その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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前回の続きです。




 

 

 

悠がミノタウロスを撃破した同時刻。

 

 

夜の闇に包まれてる空港内では赤い炎が舞い上がっていた。

 

アルディギア王国が所有している飛行船が着陸したと同時に何者かの攻撃を受け爆発した。

船内に居たラ・フォリアと王国の騎士たちはすぐに船内から脱出したが彼女たちを待ち受けていたのはファントム・ヴァルキリーとグールの大群。

 

護衛の騎士たちはラ・フォリアを守ろうとヴァルキリーとグール達に応戦したがグールの強靭な体と力に苦戦し、ヴァルキリーの上空からの攻撃に負傷者が続出していった。

 

「ハア、ハア、・・・ック!」

 

「ツレテク・・・オウジョ・・。」

 

(迂闊でしたね、まさかこっちの方を狙って来るなんて。)

 

ラ・フォリア自身も手に持ってる小型の銃剣で応戦し、グール相手なら辛うじて倒すことは出来たが空を飛ぶヴァルキリーにことごとぐ躱されてしまい遂に弾切れを起こしてしまった。

弾を撃ち尽くして地上に降り立ったヴァルキリーに詰め寄られる。周りを見ると騎士達がグールによって殆どが倒されていた。

 

「オウジョ・・・アルディギア・・。」

 

周りの騎士達に目を向けてた一瞬の間にヴァルキリーはラ・フォリアに近ずき手に持ってる銃剣を叩き落しラ・フォリアの首を掴む。

 

「ぐっ!」

 

「王女!」

 

周りの騎士たちはラ・フォリアの元へ向かおうにも立ち塞がってるグールに手こずり思うように動けない。

ヴァルキリーは掴んだラ・フォリアを確認するように見て、飛び立とうとする。

 

首を掴まれてるラ・フォリアは必死の抵抗を見せるがヴァルキリーには一切動じてる様子は見られない。

ヴァルキリーはラ・フォリアを担ぐように腕でしっかりと掴みそのまま上空へ上がって自分にラ・フォリアの捕獲を命じた者の元へ飛ぼうとしたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< WEATHEER MAXIMUM・DRIVE! >>

 

 

突如落ちてきた落雷は騎士達を襲っているグールを全て黒焦げの状態にし一瞬で全滅され、この光景に空から見てたヴァルキリーは動きを止めた。

 

「オラァ!」

 

「ゴッ!」

 

「きゃあ!」

 

動きの止まったヴァルキリーにローブを脱いだエターナルが殴りかかり、拳を受けたヴァルキリーはラ・フォリアを落としてしまう。

エターナルはヴァルキリーを足場にして離されて下へ落下していくラ・フォリアの元へ向かい、無事にキャッチした状態で下に降り彼女を降ろす。

 

ラ・フォリアは目の前に居るエターナルに少し不機嫌な顔をして愚痴を漏らすかのように口を開く。

 

「少し来るのが遅いんじゃありません?

お蔭で少し怖い目に遭いましたよ。」

 

「それは失礼、少し牛と遊んでいたんでね。

それとよく俺だって判ったな。」

 

「愛の成せる技です。」

 

「・・ホントよくこの状況で恥ずかしいセリフ言えるよな君は。」

 

二人が話してる時にヴァルキリーが降りてきて忌々しげにエターナルを見ている様子が分かる。

エターナルはラ・フォリアを庇うように前に出るが、ラ・フォリアはエターナルの息が少し上がってるのに気付いた。

 

「悠?」

 

「・・・何でもないよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あーー、やっぱぶっつけ本番は厳しかったか。)

 

ラ・フォリアが狙われてる事に気付いた悠は今居る場所から空港までゾーンのメモリを使おうにも距離が有り過ぎるため一度のジャンプでは辿り着けないことに気付き、そこで一か八かの賭けに出た。

エターナルに変身した状態でゾーンの力をエクストリームメモリで底上げしようと考えたがこの手を使うのは初めてであり後でどういう後遺症が来るか分からなかったが手段を選ぶ時間は無かった。

 

エターナルに変身し、ローブを脱ぎ捨てゾーンとエクストリームのメモリをマキシマムスロットへ入れる。

 

<< ZONE MAXIMUM・DRIVE! >>

 

<< XTREME MAXIMUM・DRIVE! >>

 

「ぐっ!?」

 

エクストリームの制御に慣れてない所為か、体から緑の放電を放ち体力の消耗を感じ一瞬苦痛の声が出てしまう。

 

(あークソ!今度からコイツ使い慣れるための練習が必要だなコリャ。)

 

「オアァァァァァァッ!!!」

 

内心毒をつきながら力任せにメモリの力を引き出そうとすると放電がより一層強くなり緑のオーラに包まれてエターナルは空港へとジャンプした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(とにかく長期戦は避けたいとこだなココは。)

 

「ジャマモノ・・・ケス。」

 

「王女、周りの怪我人動かせるなら此処から離れる様に言っといてくれ。コイツは俺が何とかする。」

 

「・・・・分かりました。ご武運を。」

 

ココにジャンプするのに体力を消耗しているエターナルは短期決戦に持ち込もうと決め、取りあえずラ・フォリアに周りに騎士達を下がらせる様に頼む。

 

エターナルは青い拳銃[トリガーマグナム]を取り出してヴァルキリーに発砲。

ヴァルキリーは弾丸を避けるために再び上空へと飛び手から光弾をエターナルに撃ちだす。

迫る光弾を回避しながらトリガーマグナムを撃つも空を飛んでいるヴァルキリーに躱され中々決定打を与えられない。

 

「だったら!」

 

エターナルはLとTが描かれた二本のメモリを取り出すが、猛スピードで急降下してきたヴァルキリーに阻止され二本のメモリを弾かれてしまう。

ヴァルキリーはそのままエターナルに高速飛行の体当たりを繰り出していき、一歩的に翻弄されていく。

 

(やっぱり、ミノタウロスの時もそうだが、コイツ本来のヴァルキリーよりかなり強い!)

 

ヴァルキリーの飛行スピードとテクニックから見てエターナルの知っている実力以上の力を持っていることに気付くが、そんなことお構いなしに四方八方から高速の体当たりを喰らわせるヴァルキリー。

 

ようやく攻撃が収まったころにはエターナルは片膝を着いてかなりのダメージを喰らっていた。

先程のミノタウロスの攻撃を生身で受けた時のダメージとエクストリームの消耗が出てきてかなり深刻な状況であった。

 

「・・・なんかここ最近こういうピンチな状況に遭い過ぎじゃねえかなあ。」

 

愚痴を溢しながら今度はNと描かれたメモリを取り出し、エターナルエッジを構える。

 

<< NASCA >>

 

「まっ、戦いに楽して勝とうとする場面なんて滅多にないよな!」

 

<< NASCA MAXIMUM・DRIVE! >>

 

Nのメモリ、ナスカメモリをスロットへ入れてオレンジ色の翼がエターナルの背に出て空へ飛び立ち、空中でヴァルキリーと対面して両者高速移動の空中戦を始めぶつかり合う。

 

ナスカメモリは飛翔能力と超高速移動を可能としたメモリ。

その速度は段々とヴァルキリーよりも速くなっていき次第に今度はヴァルキリーがエターナルの速度に翻弄されていく。

 

「ハアッ!」

 

「グオォォォッ!!」

 

すれ違い様にエターナルエッジでヴァルキリーの片翼を切り落として地上へ落下していくヴァルキリー。

落ちたヴァルキリーを見てナスカメモリを抜いて、エターナルも地上へ降りると先程使ったナスカメモリの反動で体に負担が掛かったようで体が一気に重くなったような感覚が襲って来る。

 

本来ならば多少無理してもナスカメモリの反動はそんなに受け付けないがエクストリームの反動がかなり悠の体に負担を掛けていたようで、しかもこれまで使ったマキシマムドライブはエクストリームを除いて三本。常人ならば三本のメモリのマキシマムに耐えられずそのどれもが強力なメモリであるためかなりの負担がエターナルに掛かっているのだ。

 

今の体の状況を考えて使えるマキシマムはあと一本か二本。

これが終わったら徹底的に一から体を鍛えようなど頭で思うなかエターナルエッジを逆手に持ってヴァルキリーに接近戦を持ち込む。

 

「ジャマ・・モノ・・・・ケス・ケス・ケス!!!!」

 

ヴァルキリーは槍を取り出し、エターナルに突きを繰り出すがエターナルはこれを躱しエターナルエッジで斬り付けヴァルキリーにぴったりくっつく様にする。

 

そこからヴァルキリーが槍が振りづらい様に掌底や膝蹴り、ナイフの攻撃などでお互い距離を取らないような接近戦でヴァルキリーを追いつめ、ヴァルキリーも何とか防いだり反撃しようとするがエターナルはこれをうまく受け流しカウンターの要領で攻める。最後のダメ押しにエターナルの力を引き出し青い炎を纏った拳をヴァルキリーに叩き込む。

 

「グウゥゥゥッ!!?」

 

腹を押さえて蹲るヴァルキリーを見てトドメを刺そうとしたが、突如ヴァルキリーが我武者羅に周りに光弾を放ちまくる。

 

「ケスッ!ケスッ!!ケスゥゥゥゥッ!!!」

 

元々なかった理性が更に外れたような感じでエターナルの事など眼中に無く辺りを破壊しまくるヴァルキリーに手が出せない。

 

その時一発の銃声が響き、放たれた弾丸はヴァルキリーの頭部へと命中しヴァルキリーの攻撃は止んだ。

 

「ゴアァァァァッ!!!」

 

「どうやらいいタイミングで戻れたようですね。」

 

「・・・下がってろって言わなかったっけ?」

 

「アナタが余りにも遅いので我慢できなくなっちゃいました♪」

 

先程の銃弾を撃った主は騎士達を下がらせたラ・フォリアで、全員の避難を終わらせた後弾を補充して戻ってきたようであった。

 

「全くとんだじゃじゃ馬王女だよ君は。」

 

「失礼ですね、折角助けてあげたのに。」

 

「あのくらい簡単に切り抜けられた。」

 

「でも結果私が助けた形になりましたよね?」

 

「・・・・どうもありがとう。」

 

「どういたしまして♪

あとこれ落としてましたよ。」

 

ラ・フォリアが取り出したのは先程ヴァルキリーに弾かれたLとTのメモリ。

エターナルは諦めたような溜息を吐いてラ・フォリアからメモリを受け取った。

 

「ここまで来たんなら、最後はご一緒に如何ですか王女サマ?」

 

「えぇ、喜んで。」

 

ダンスに誘うように手招きするエターナルにラ・フォリアは満悦の笑みで銃剣をヴァルキリーに構える。

エターナルもトリガーマグナムを取り出して一本をマグナムに、もう一本を腰のマキシマムスロットへ入れる。

 

<< LUNA MAXIMUM・DRIVE! >>

 

<< TRIGGER MAXIMUM・DRIVE! >>

 

トリガーマグナムの銃身を上げマキシマムモードにした状態で構え、ヴァルキリーに発砲する。

 

放たれた銃弾は変則な軌道を描きながらヴァルキリーに向かい、ヴァルキリーは変則な弾丸に惑わされ全て喰らってしまう。

 

それに追い打ちを掛ける様にラ・フォリアはヴァルキリーに銃弾を放ち、弾丸はヴァルキリーを貫いていった。

 

「ケ・・・ス・・ジ・ャ・・マ・。」

 

ヴァルキリーは最後まで狂ったように同じ事を言いながらゆっくりと倒れ爆散していった。

 

「お見事。」

 

「王女の嗜みです。」

 

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「おやおや、まさかヴァルキリーもやられてしまうとは、これは計算外ですね。」

 

水晶玉に写った映像を見て、大臣は流石に予想外だったのか驚きの顔を見せる。

 

しかし、少ししたらその顔はすぐに獲物を見つけたような笑みを浮かべて興味深そうにヴァルキリー目から届いたエターナルを見る。

 

「どうやら私達は君を甘く見ていたようですね。

認めましょう君の実力を。

今度は私が直接行って、君の力を目の当たりにしたいですねえ仮面ライダー君?」

 

大臣は懐から取り出したものを見ながら楽しそうに言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り出した仮面の顔が付いた指輪を見ながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「いきなりで悪いんだけどさぁ、誰か迎え寄越してくんない?」

 

「珍しいね、君がそんな頼みをするなんて。」

 

「白々しい、どうせ見てたんだろ。俺がどれだけ苦労したか。」

 

悠は空港の倉庫内で壁にもたれながら上司に電話をしてた。

 

ヴァルキリーを撃破した後、ラ・フォリアが居なくなったことに気付いた騎士達がラ・フォリアを捜しにこちらに来ていたのですぐさま彼女と離れこの倉庫内にたどり着き。

変身を解除した悠に先程のダメージと体力の消耗が襲い掛かり、思わず意識を失いそうになるところだった。

 

それで今に至り、悠は先程のファントムについて話を聞き出す。

 

「それはそうとあのファントム。

あれって、アンタが言ってた・・・。」

 

「うん、恐らく例の転生者だろうね。どうやら向こうも動き出してきたって所かな。」

 

「そうみたいだな、結局何を企んでたかは分からず仕舞いだが今日はもう来ないことを祈りたいよ。」

 

「その辺は大丈夫。君の友達の所に艦娘達を向かわせたからそっちは気にしないでいいよ。

あと迎えの件だけど君の邪魔しちゃ悪そうだから空気を読むことにするよ。」

 

「はっ?どういう意味?」

 

「いずれ分かるよ。それじゃあお大事に~。」

 

「おいちょっと待てオイ!・・・切りやがったアイツ。」

 

上司の言った事に理解が出来なかった悠だが、そんな所に一人こちらに近ずいてくる足音が一人。

咄嗟の事に構えようにも消耗しきってる体に中々立ち上がれない悠だったが、聞き覚えのある演歌の様な音に顔を向ける。

 

「・・・デコトラ?」

 

そこにはデコトラベラーが演歌を流しながら悠の元へ向かってくるデコトラベラーと一人の女性。

 

「また何も言わず消えるなんて、ホント酷い人ですね。」

 

「なんでココに居るんだよ王女サマよォ。」

 

「この子が教えてくれました♪」

 

悠はデコトラベラーを睨むがすぐさま二人の元から消えていき、悠はあんな風に作ったっけ?と思うなかラ・フォリアの悠の隣に密着するように腰を下ろす。

 

「こうして顔を合わすのも久しぶりですね。」

 

「会うたんびにこんな騒動に成っているがな。」

 

「それについては同意見です。もう少しムードがある再会をしたかったのですがね。」

 

「それはそうといいのかよこんな所にいて、また護衛が騒ぐぞ。」

 

「それなら大丈夫です。さっきもう一台の子が私そっくりの映像を出して騎士達の目を誤魔化してます。」

 

「コマーシャルもかよ。アイツ等なんか勝手に動き過ぎじゃね?」

 

そんなやり取りをしていく内に悠の瞼が段々重くなってきて、それに気付いたラ・フォリアは悠を自身の膝元へ導く。

 

「・・・何やってんの?」

 

「いえ疲れてる様子でしたから。」

 

「・・・あぁそういえば例の彼女・・・叶瀬については無事だよ。多少のトラブルはあったけど。」

 

「ありがとうございます。彼女を助けてもらって、私も・・。」

 

「・・・言っただろ・・・借りを返してる・・だけだって・・。」

 

悠の目が段々と閉じていき眠りについてしまう。

 

ラ・フォリアは悠の頭を撫でながら、眠ってる悠に笑みを浮かべる。

 

「ホントに・・素直じゃない人ですね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、迎えに来た天龍がどのタイミングで出ていけばいいか迷ったのは後の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はエピローグみたいな話です。

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