「以上が昨夜の報告になります。」
「そうか、ご苦労だった。アスタルテ。」
那月の自室にて青い長髪の少女、アスタルテの報告を聞き一段落つく。
「それで、その被害に遭った女からはそれ以上の事は聞き出せなかったのか?」
「はい、二十代前半の男に強姦に遭った事と突然現れた十代の男以外に有力な情報は得られませんでした。」
「ふむ、そいつ等は今話題の異能力者の仲間か、あるいは・・。」
「内一人は仮面の男ですか?」
「あぁ、倉庫内で激しい戦闘の跡が残ってた所から少なからずこいつ等は戦り合ってた筈だ。」
「・・・・一つ、疑問に思ったことが。」
「なんだ?言ってみろ。」
「倉庫内を捜索してみた所、中からバイクのタイヤ痕が発見されました。」
「タイヤ痕?・・それがどうしたと言うのだ。」
「はい、そのタイヤ痕が倉庫内から出た後しかなかったんです。
通常なら倉庫内に入った時のタイヤ痕も出て来る筈ですが、そのような痕跡は一切検出されませんでした。」
「・・・アスタルテ。お前はこう言いたいのか。
異能者か仮面の男が私と同じ魔術を使って突如バイクを出したと。」
「断定は出来ませんが、その可能性もあるかと。」
「・・・まぁいい、どちらにせよこればかりは調べねば分からん。
アスタルテ、お前は異能者の捜索と同時に仮面の男にもついて詳しく調べろ。
特に、バイクを使ってるかどうかをな。」
「命令承諾。」
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「あ~~、今日もだるかったぁ。」
「もう先輩、相変わらずだらしないですよ。」
「んなこと言ったってしょうがねえだろ、日の光はオレにとって天敵だっての。」
「それを言ったら全ての吸血鬼に当てはまりますよ。」
学園からの帰りにいつもの様に二人で帰宅する古城と雪菜。
雪菜は古城に悠の事ついて話し出す。
「そういえば先輩、灰原先輩と仲直りできてよかったですね。」
「ん?あぁ、と言っても喧嘩とかそういうじゃないんだけど何とか話せたよ。
・・・相変わらず弄られたけど。」
「それって仲が良いことの証明じゃないですか。
この調子で凪沙ちゃんとも接してほしいですね。」
「それに関してはスッゴク納得がいかないんだが、まぁ凪沙も灰原に会いたがってる様子だしな。
・・・そういえば姫柊。お前随分前に灰原が何か隠してるって言ってたよな。」
「・・はい、一体何を隠してるかは分かりませんけど何か違和感を感じるんです。
先輩と口を利かなかったのももしかしたらそれが原因じゃないかって。」
「・・・そうか。
っま、その辺は追々アイツから聞ければ聞くとするか。」
「そうですね。」
「雪菜ーーーーー!」
二人が話し合ってるなか雪菜の名を叫びながら二人に近ずく人影が一人。
「紗矢華さん!?」
「煌坂!?なんでお前がココに!?」
「あんたなんかに言ってないわよ暁古城!
ゴメン雪菜いきなり、アルデアル公見てない!?」
「ヴァトラー?アイツ此処に居ないはずじゃ・・。」
「呼んだかい?」
「どわあ!!」
「きゃっ!」
「アルデアル公!?」
二人の元へ来た雪菜の同僚でもある紗矢華から自身の監視対象であるディミトリエ・ヴァトラーの行方を聞き出そうとしたが、古城の後ろからそのお尋ね者であるヴァトラーが現れて場は騒がしくなる。
「やあ古城、久しぶりだね。」
「驚かすなよ!と言うかなんでお前ここに居んだよ!国に帰ったんじゃなかったのかよ!」
「アルデアル公!勝手な行動は困りますっていつも言ってますよね!?」
「まあまあ、紗矢華嬢。ボクがこのような性格だってのは君も承知の筈だろう?
それと古城。そんなに身構えなくても君には何もしないヨ、君にはまだ強くなってもらわなきゃいけないんだからサ。」
「じゃあなんの目的でここに居んだよ。」
「君の耳にも入ってるんじゃないかな。仮面の男サ。」
「それって、異能者を消してる噂の人ですよね?」
「そう、ボクが目をつけていたのがその男に横取りされちゃってね。
聞けば彼はかなり腕の立つ実力者と聞いたから居ても立っても居られなかったものだから是非とも一目お目にかかりたくてね。」
「お前またそんな事・・!」
「大丈夫サ、この前の反省を活かしてなるべく被害は抑えるよ。
ではボクはこの辺で失礼するよ。」
「あっ!待ってくださいよアルデアル公!
ゴメン雪菜、時間空いたらまた話しましょう。それと暁古城!雪菜に手を出したらタダじゃすまさないからね!」
嵐が去ったような空気になってしまい、二人はその場に残った。
「なんか随分話がデカくなったな。ヴァトラーも動くなんて。」
「それだけ危険な存在になってるようですね。仮面の男は。」
「・・・あ、そういえば浅葱が言ってたような気がする。
仮面の男がネット上じゃこう呼ばれてるって。」
「どんな呼ばれ方なんですか?」
「あぁ、確か・・・。」
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「それで?武偵の人がココにどんな用件で来たのかしら?」
場所はリアス・グレモリーが拠点としているオカルト研究部の部室。
そこに捜査として訪れたアリアとキンジの姿があった。
「アナタ達が私達が追ってるヤツと似たようなヤツを捜してるって聞いたものですから詳しく話を聞こうと思って来たのよ。」
「聞けば、全身鎧に身を包んで腰にベルトの様なものを巻いてる男だとか。
俺達も似たような奴を捜しているから、協力してくれないか?」
「似たようなの・・・・貴方たちが追ってるのってどんな姿をしてた?」
「それはそっちが話してからよ。
流石に最低限のギブアンドテイクがなきゃこっちも情報を提供できないわ。」
「・・・そうね。
ならこうしましょう、私達からは此方が知りうる情報と人員を貴方たちは今知りうる情報と新しく掴んだ情報を教える、どう?悪くない条件だと思うけど。」
「さすが悪魔ね、欲しいもの為にうまい取引を切り出す。
・・・・いいわ、乗りましょう。」
「いいのかよアリア。」
「相手が相手よ、正直理子や白雪が加わったとしてアイツに敵うかどうか分からないわ。だったら形はどうあれ戦力を増やしていくのが定石よ。」
「話は決まったわね?それなら早速貴方たちが掴んでる情報を教えてくれるかしら?」
「えぇ、アタシ達が知ってるのはこの目で見た特徴と、ヤツの通り名よ。」
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「ヒマだなあ~~~。」
「キャップ、それもう何回も言ってるよ。」
また場所は変わって風間ファミリーが集まる廃ビルの中、今メンバー全員が揃ってるなかでリーダーである翔一が項垂れる。
「とは言ってもよ~、実際暇なんだから仕方なくね?」
「俺も筋肉鍛える事しかやる事無いぜ。」
「ガクトはいつも通りでしょ。」
「私もヒマすぎて可愛い子ちゃんと遊ぶことしかないなあ~~。
やっぱり灰原と戦るしか退屈を凌げそうにないなコレは。」
「モモ先輩!ヤツを倒すのはこの私だ!次こそは必ずヤツを倒す!」
「お姉さまもクリも落ち着きなよ。ユウはホントに必要以外に戦わないって言ってたよ?」
「・・・ワン子ホントに灰原と仲が良いんだね。
この前一緒に稽古してるの見たし。」
「何!?おい犬!どういうことだ!?何故ヤツとお前が仲良く稽古など!」
「そうだぞ一子!私なんか全然相手にしてもらえなかったぞ!」
「ちょ、京!私とユウはただ約束で稽古しただけであってあれ以来してないよ!」
「でもワン子の顔、とても活き活きしたイイ顔だったのは覚えてるよ。」
「犬~~!」
「一子~~!」
「ちょっと待って二人とも・・イヤーーーー!」
「はわわわわ!この状況どうすればいいんでしょ、松風。」
「何言ってんでい!ココはワン子の恋を遠くから応援するのがスジってもんだぜい、まゆっち!」
こんなやり取りをしてるなか大和はモロが開いてるノートパソコンの画面を見てふと呟く。
「モロ、なんだそれ?」
「ん?ああこれ?今ネット上で話題になってるやつなんだ。
超能力を持った凶悪な犯罪者を裁いてる仮面の男の話。」
「仮面の男?」
「うん。姿形から色々あるんだけど共通点が鉄仮面を着けて腰にベルト、あとバイクに乗ってたって言う書き込みがあるからネットではこう呼ばれてるんだ。」
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仮面ライダー
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「随分人気者になってるようだね。」
「俺としては非常に不本意だがな。」
ラボの一室にて携帯で上司と連絡を取り合う悠。
悠の存在がネット上で社会の耳に入るようになり、その事について話し合ってた。
「にしても君の事が知れ渡るタイミングにちょっと違和感がわくね。」
「その違和感は多分当たりだと思うぜ。
自分を狙われるかもしれない転生者が俺を動きにくくするための小賢しい手かどうかは知らんが大方転生者が広めた噂だ。
じゃなきゃこうもピンポイントに仮面ライダーなんて名前がつくわけないからね。」
「それで?君の今後の方針は?」
「変わらないさ。
転生者は消し、邪魔する奴も消す。それだけだ。」
「ブレないね~。さすが私が見込んだ男だよ。」
「お喋りはお終いか?これ以上ないならもう切るが。」
「あぁちょっと待って。伝えなきゃいけない事が一つある。
あのバカが送った転生者の中にブラックボックスの情報があったんだ。」
「ブラックボックス?」
「そう、今中の情報を読み取ってる最中だけど、分かってるのが今まで君が相手してきた転生者とはレベルが違うほどの強者ってことしか分かってない。」
「全然役に立たない情報じゃねえか。」
「・・・反論の余地がありません。」
「・・・まあいい、その辺は臨機応変でやるさ。」
「・・・そっか。私からはこれぐらいしか君の役に立てないが全力を尽くすよ。
あとさっき言った転生者が何時何処で何を仕掛けるか分からないから十分気を付けるんだよ。」
「了解。」
短くそれだけ答え電話を切る。
携帯を置いて席を立とうとした時に携帯から着信が入る。
本来この携帯は上司の連絡用にしか使っておらず、上司からの電話やメール以外来ることは無い。
だから悠もまた何か伝え忘れかと思い携帯の画面を見るが、その考えは裏切られた。
何故なら携帯の画面には大きく非通知と出ていたのだから。
悠は先程の電話もあって慎重に心構え、恐る恐る電話の通話ボタンを押す。
「…もしもし…。」
『私、メリィさん。今、アナタの後ろに…。』
「…何くだらないイタズラ仕掛けて来てんすかねぇ、王女サマぁ?』
意外な相手に変わらないが、先程の緊張を返せと言いたい気分だった。
ちょっとした手違いで一部編集することにしました。