その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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連続投稿です。


憎悪

 

「ふあ~、・・ねむ。」

 

欠伸をしながら深夜の街を回る悠。

 

今回も転生者を狩る仕事としてターゲットの元へ近ずいていき、眠気をふっ飛ばして気持ちを入れ替える。

 

「さてそろそろだけど、時にアイツ何連絡ミスってんだよ。

特典が未だ不明って。」

 

今日送られたメールにはターゲットの名前と顔、もらった特典の誘惑により近頃通り魔的な犯罪を犯してる為今回の抹消対象に選ばれた事。

だがその肝心な特典の情報が送られてない。

今回の様なケースは過去に一度や二度ではなく、転生した神が転生者の情報を隠すようなケースがいくつかあるのだ。

 

だから今回も恐らくそのようなケースだろうと思い警戒心をより一層高めてターゲットの元へ向かう。

 

そろそろ姿が見えると言った所で悠は戦極ドライバーを着けロックシードを構える。

左の曲がり角を曲がって悠が見た人物はメールのターゲットではなかった。

 

 

その人物は悠と同い年に見え、赤に近い茶髪の髪をセミロングに伸ばし、何処かの学校の制服を着た少女が悠の前に立っていた。

 

「・・・カナ?・・・何で、お前。」

 

悠は目の前にいる少女、カナを知っているようでありその顔はあり得ない物を見るような目で見ていた。

 

するとカナは突如悠に背を向け離れる様にその場から歩いて行く。

 

「おい待て!カナ!」

 

悠は離れていくカナを追いかける形で走って行く。

今悠の頭には仕事とか転生者の事など全く頭に入っておらず、今はただ目の前にいるカナの事で一杯だった。

 

やがて追いかける事数分が立ち、街から川辺に移動した所でカナは止まった。

 

悠は今まで見せた事のない緊迫した表情を見せてカナに近ずく。

 

「なあ、・・お前本当にカナなのか。

俺の・・・俺の知ってる御堂香苗なのか?」

 

悠の問いにカナは悠に笑顔を向ける。

その笑顔は悠の記憶にあるカナの確かな笑顔だった。

 

「・・カナ。」

 

悠はカナの顔に自身の手を差し出し、触れる。

手から伝わる感触は幻ではなく確かにそこにいると言う事が分かる暖かさが確かに伝わった。

差し出した手にカナの手が重なりカナの笑顔を見て、悠もまるで最愛の人に向ける笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナの顔が歪に笑うまでは。

 

「!」

 

カナの異変に気付き咄嗟に距離を取る悠、その際に顔に何か掠った感触があり離れて確かめると悠の左の頬に切り傷が出来ていた。

 

「くくくくっはははははっ。」

 

離れて見るカナから明らかに合ってない男の笑い声が聞こえる。

するとカナの姿が瞬時に変わり、その顔は悠の今回のターゲットの男だった。

 

「くははははは!

惜しい惜しい!あとちょっとで殺せたのに反応良すぎだぜお前~。

まあ噂の転生者殺しがあんな顔をすることに思わず我慢が出来なくなったけどよ~。」

 

悠の見ていたカナの姿は男の額にあるヘッドギアの様なアイテム”スペクテッド”による幻であり、相手の一番大事な人間の幻影を見せる能力で今噂になっている悠を殺そうとしていたのだ。

 

この男は元々何の変哲もない唯の転生者だったがスペクテッドの能力の一つである心の声を聴く能力で襲ってきた転生者を返り討ちにした際に聞こえた殺される絶望の声に魅了されて暇さえあれば適当な人間を殺してその心の声を聴くのが彼の楽しみになっていた。

 

そして彼も悠の噂を聞いて今まで転生者を殺してきた悠の死の声がどんなものかと居てもたってもいられず彼の方から悠へ仕掛けてきたのだ。

 

そんな男を余所に悠は顔を下に向け立ち尽くす。

 

(くくくっ、大事な女かと思えば実は違う人でしたって事にショック受けてんのか?

今奴の心はっと・・。)

 

 

ーこ・・・・ス。ー

 

(ん?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーころす、殺す、こロス、コロス、コろス、殺ス、ころす、殺す、ころす、コロすー

ー殺す、ころす、コロす、ころス、コロス、コロス、殺す、ころス、コロス、ころすー

ーころス、殺す、ころす、コろス、殺ス、コロス、ころす、ころす、殺す、殺スー

ーこロス、ころス、コロス、ころす、殺す、殺ス、コロス、殺す、こロス、コロスー

ー殺す、ころす、コロす、ころス、コロス、コロス、殺す、こロス、コロス、コろスー

ーころす、殺す、こロス、コロス、コろス、殺ス、ころす、ころす、殺す、殺スー

ーころス、殺す、ころす、コろス、殺ス、コロス、ころす、殺す、こロス、コロスー

ーこロス、ころス、コロス、ころす、殺す、殺ス、コロス、こロス、コロス、コろスー

ー殺す、ころす、コロす、ころス、コロス、コロス、殺す、ころス、コロス、ころすー

ーコろす、こロす、殺す、ころす、コロス、コロす、コロス、ころす、殺す、殺スー

ーころす、殺す、こロス、コロス、コろス、殺ス、ころす、殺す、こロス、コロスー

ーこロス、ころス、コロス、ころす、殺す、殺ス、コロス、ころす、殺す、殺スー

ー殺す、ころす、コロす、ころス、コロス、コロス、殺す、ころス、コロス、ころすー

ーころス、殺す、ころす、コろス、殺ス、コロス、ころす、こロス、コロス、コろスー

ーこロス、ころス、コロス、ころす、殺す、殺ス、コロス、ころす、殺す、殺スー

ー殺す、ころす、コロす、ころス、コロス、コロス、殺す、ころす、殺す、殺スー

ーコろす、こロす、殺す、ころす、コロス、コロす、コロス、ころす、殺す、殺スー

 

 

(なっ!?)

 

男は悠の心を除いて男は悠が自分に明確な殺意を抱いてる事に一瞬吐き気を催す。

悠が顔を上げて男が見たその表情はさっきまでの様な人間味溢れた顔ではなく、冷酷で且つ殺意しかないような人間離れした顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・殺ス。」

 

戦極ドライバーのフェイスプレートを外してそこにロックシードを嵌める[ゲネシスコア]をセットする。

 

「・・・変身。」

 

<<ブラッド・オレンジ!>>

 

<<レモンエナジー!>>

 

ブラッドオレンジとエナジーロックシードのレモンを開錠してドライバーにセットする。

 

<<LOCK・ON>>

 

二つのアームズがクラックから降りて一つに合わさり、悠はカッティングブレードを倒した。

 

<<MIX!>>

 

<<ジンバーレモン!ハハァー!>>

 

アームズが被さって陣羽織の様になり。ジンバーアームズへと変身した武神鎧武は無双セイバーを持って男へ近寄って行く。

 

ーころス、殺す、ころす、コろス、殺ス、コロス、ころす、殺す、こロス、コロスー

ーこロス、ころス、コロス、ころす、殺す、殺ス、コロス、こロス、コロス、コろスー

ー殺す、ころす、コロす、ころス、コロス、コロス、殺す、ころス、コロス、ころすー

ーこロス、ころス、コロス、ころす、殺す、殺ス、コロス、ころす、殺す、殺スー

ー殺す、ころす、コロす、ころス、コロス、コロス、殺す、ころす、殺す、殺スー

ーコろす、こロす、殺す、ころす、コロス、コロす、コロス、ころす、殺す、殺スー

 

「ぐうう!?」

 

近寄る際も未だに心の声は自分に対しての殺意のみ。

そんな声を聴き続けて男はたまらず能力を解きさらに別の能力を開眼する。

 

(まだだ!まだこのスペクテッドには未来予知の能力がある!

心の声を聴かなくても俺が負ける訳がない!)

 

両手にナイフを持って武神鎧武に特攻する男は未来予知の能力を使い次の武神鎧武の動きを見る。

見えたのは未だこちらに歩み寄ってく姿だけ、男は右のナイフで斬りかかりこの時も未だ武神鎧武は仕掛けて来ない。

有り余る殺意で的確な判断が出来なくなったのか、男はこれをチャンスだと思い斬りかかるが。

 

 

 

 

 

 

ザシュ!

 

 

「え?」

 

男が呆気に取られたその理由は自身の右手が肘から先が切り落とされた事。

男の切り口からは鮮血が噴水の様に吹き出ていた。

 

「ぎ、ぎゃああああああああ!」

 

斬られたことに我を返し野垂れ回りながら必死で切り口を圧迫して出血を抑えようとする。

 

そんな事お構いなしに武神鎧武は一歩一歩男に近寄って行く。

 

「ひっ、ひいいいいいいい!」

 

武神鎧武が恐ろしく見えたのか、情けない悲鳴を上げて背を向けて逃げ出す。

武神鎧武は無双セイバーからソニックアローに持ち替え男に狙いを定めて矢を放った。

 

「がっ!、があああああああ!」

 

放たれた矢は男の足に突き刺さり転ぶように動きが止まる。

 

動きが止まった男を見て武神鎧武はまた一歩一歩男の元へ近寄って行く。

 

「はあ、はあ、・・・ひい!!」

 

何とか這いつくばって逃げようとする男だがその進路先に武神鎧武が立ちふさがる。

 

武神鎧武は男の首を掴み片手で持ち上げ、無双セイバーを持つ。

 

「た、たす・・けて。」

 

男の命乞いを聞かず武神鎧武は無双セイバーを男の体に突き刺した。

 

「ぐうっ!」

 

刺された男は苦痛の表情を浮かべるが武神鎧武は無双セイバーを抜きまた男の体に突き刺した。

何度も何度も、男の体がハチの巣に近い状態になるまで突き刺していき、やがて男はピクリとも動かない状態になった。

 

「・・・・死ネ。」

 

武神鎧武は男の体を上に放り投げベルトのカッティングブレードを倒す。

 

<<ブラッド・オレンジ スカッシュ!>>

 

<<ジンバーレモン スカッシュ!>>

 

無双セイバーにエネルギーが溜まり、下に落ちてくる男を両断した。

 

一撃だけでは終わらず、何度も必要以上に両断し最早人間の原形を留めてない所までバラバラにした。

 

その場に残ったのは肉塊の中心に返り血で血まみれになった武神鎧武の姿だけ。

 

その時天気が崩れ雨が降り、武神鎧武の体から血が流されるが彼の心には雨では流れない黒いモヤがあった。

 

 

 

「うがああああああああああああああああ!」

 

空に向かって吠えた武神鎧武の叫び声の意味を理解できるものは今この時誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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