その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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最近暑くて体がダルイっす。
皆さん熱中症にはホントお気を付けて。


閉幕

爆煙の中からドラグブラッガーと共に現れたリュウガ。

そして、リュウガを興味深く見つめるコカビエル。

 

その二人から放たれる尋常じゃない威圧感。次元の違いを感じながら一誠は遠目から見ていた時だ。

 

[おい、相棒。]

 

彼自身の腕から声が聞こえる。

声の主は彼が宿してる神器”赤龍帝の籠手”にいる二天龍の魂、赤龍帝ドライグであった。

 

「なんだよドライグ、いきなり話し掛けて来て。」

 

[…あの黒いのに纏わり付いている見た事も無いドラゴン。アイツ、全盛期のオレか、それ以上の力を感じる。]

 

「はぁッ!?」

 

「二天龍と同等、あるいはそれ以上ですって!?」

 

ドライグの言った事に一誠とその近くに居たリアス達は驚きを隠せない。

目の前にいる黒いドラゴンが伝説の二天龍に匹敵するほどの力を持ってる等俄かに信じられないのだから。

 

[あのドラゴンもそうだがそれ以上にあれを従えてるあの男だ。あれ程の力を持ったドラゴンを手懐けているアイツは、一体何者なんだ?]

 

二天龍すら警戒の色を出すリュウガの存在。その場の者達は固唾を飲んで見る事しか許されなかった。

 

___________________________________

 

 

 

「小僧。その龍は一体何処から…それにまた先程とは違う姿に成るとは、貴様は一体…。」

 

「そんな事気にするより、今はまだパーティーの途中だ。」

 

<<SWORD VENT>>

 

コカビエルの問いを無視し、ウイングランサーを召喚するリュウガ。

闘志と殺気を見せるリュウガにコカビエルも笑みを浮かべて戦闘態勢に入る。

 

「さぁ殺ろうや、パーティーのクライマックスと洒落込もうや。」

 

「…ククッ。それもそうだ。精々オレを楽しませろ小僧!」

 

リュウガに光の矢を次々と投げるコカビエル。

矢はリュウガの周りを囲んで爆発するが、突如飛来したダークウイングがリュウガの背に着き翼となってそのまま空中でコカビエルと相対する。

 

「ほう、空も飛べるか!益々面白くなってきたぞ!」

 

お互い宙を舞いながらコカビエルの光の槍とリュウガのウイングランサーがぶつかり合う。

激しい剣戟。幾度の打ち合いの最中リュウガは次に仕掛ける為、間を空けてカードをバイザーにセットする。

 

<<TRICK VENT>>

 

リュウガの姿が飛行しながら分裂していきその数は五体になる。

五体になったリュウガは数の理でコカビエルを全方位から攻撃しその体に傷をつけていく。

 

「えぇい、小賢しいわ!」

 

リュウガの攻撃を鬱陶しく感じたコカビエルは一体のリュウガを掴みあげ、体に槍を刺していく。

地上ではリアス達が目を見開くが刺されたリュウガはガラスの様に砕けていき本物ではなかった事にコカビエルは舌打ちをする。

 

「面倒だ、全部叩き落とす!!!」

 

コカビエルの背後から二体のリュウガが襲って来るが自身の羽を突き刺すことで二体のリュウガも砕け散る。

 

残る二体の内一体に狙いを定めて威力を増した光の矢を連続で投げつけ爆風で怯んだリュウガに矢を当て砕け散った。

 

「残るは、貴様かッ!!」

 

残る一体が本物だと確信したコカビエルは光の槍と羽を使った攻撃をリュウガに仕掛ける。

手数の多さにウイングランサーで防ぐしかないリュウガの首をコカビエルが掴みウイングランサーを叩き落とされてコカビエルは槍をリュウガに突き刺そうとしていた。

 

「これで終わりだ小僧!」

 

光の槍をリュウガの体に突き立て自身の勝利を確信する。だが…。

 

「何ッ!?」

 

槍に貫かれたリュウガの体は先程の分身体と同じように砕け散っていった。

 

「これも偽物、本物は何処に…!?」

 

 

 

 

 

 

 

<<FINAL VENT>>

 

一瞬思考が固まったコカビエルだったが鳴り響いた電子音でハッと目が覚める。

 

コカビエルの死角からエビルダイバーに乗ったリュウガがコカビエルにハイドべノンを喰らわそうと迫っていた。

コカビエルは翼で身をガードするがハイドべノンの威力に翼が耐え切れず右半身の翼は全て爆散していった。

 

「ぐおおおおおおッ!」

 

翼を失いうまくバランスが保てず地に落ちていくコカビエル。

コカビエルがもう飛べないことを知ったリュウガも地に降りる。

 

「ぐぅっ!、おのれ。」

 

「おーぉー。やるねぇアンタ。さっきのアレ、モロに喰らったら死んでも可笑しくないんだけど。」

 

「ハッ!オレを舐めるなよ小僧!堕天使の幹部たるこのオレがそう易々殺せると思うな!…ムッ!」

 

右の翼を全部失い大きなダメージを負ったコカビエルの背後に何者かが襲い掛かりコカビエルは槍でガードする。

 

奇襲した相手は聖剣デュランダルを持ったゼノヴィアが奇襲の失敗に顔を険しくしていた。

 

「教会の小娘か。まさか貴様のような小娘がデュランダルの使い手だったとは思いもよらなかった…。」

 

「やっぱり一筋縄では行かないか。デュランダルを持ってしても防がれるとは。」

 

「闘志は衰えずか。意外だな。

教会のお前があの悪魔の小僧の様にエクスカリバーを失った事実に意気消沈してるかと思ったが案外そうでもないらしい。

お前の役目は教会のエクスカリバーを奪還する事ではなかったのか?」

 

「確かにエクスカリバーの奪還は一番重要な任務だが、それはもう失敗に終わってしまった。ならばその汚名を晴らす為に首謀の貴様を討ち取る。

それに貴様をこれ以上好き勝手させるわけにはいかないと思ってな。

そこの黒いのにだけやらせるわけにはいかない。

…堕天使コカビエル、神の名のもとに貴様を断罪する。」

 

「神か、…ふふふ、ふはははははは!」

 

デュランダルを突きつけ、神の名を借りて宣戦布告するゼノヴィア。

それに対しゼノヴィアを口から出た神と言う言葉に笑いだすコカビエル。

 

「なにが可笑しい?」

 

「なに、お前が本当の事を知ったらどうなるかと思ってな。

…この際だ教えてやろう。

お前が崇拝する神は、三大勢力の戦いで前の魔王と一緒に死んだのだ!」

 

コカビエルが告げる真実にその場に居たものは皆驚愕の顔を見せる。

特にゼノヴィアやアーシアは崇拝する神の死について心が壊れかけていた。

 

「信じられないか?だが今言った事は全て事実だ。

最もこの事はそれぞれの勢力のトップしか知らないことだがな。

あの戦いで魔王含め純潔の悪魔が減り、我々も幹部以外の堕天使の数が減った。

そして天使勢も神と天使が大勢死んでいったことで三大勢力は休戦を結んだのだ。」

 

淡々と述べられる事実にゼノヴィアとアーシアを除いた面々はただ聞くことしか出来なかった。

すると語り出したコカビエルが今度は不満げな表情で語り出す。

 

「最終的に休戦となったが、オレだけは納得がいかなかった!

あのまま戦ってれば今頃は堕天使勢が勝っていたというのにアザゼルの奴は臆病風に吹かれてもう戦争はしないと来たものだ。

そんなこと認められるか!だからオレは起こすんだ、戦争を!

あの血肉が躍る戦いをオレはもう一度したい。そして今度こそ我ら堕天使が頂点に立つのだ!

…その為にも、貴様らにはその礎になってもらうぞ!」

 

コカビエルは神の死で抜け殻になっているゼノヴィアに槍を突き立てようとする。

ゼノヴィアは全く動く様子が無い。いっそこのまま死んでもいいと思うほど絶望していたのだ。

 

だが、そのゼノヴィアの前にドラグシールドを持ったリュウガがコカビエルの槍を防ぎ蹴りを入れて後ろへ下げさせる。

 

「ふぅー。…お前の相手は俺だろう。」

 

「小僧、貴様は何とも思わんのか?

神が死んだという事実に貴様は何も感じないのか!?」

 

「生憎無宗教でね。神が死んでようが無かろうが、俺の戦う理由に何の関係もねえよ。」

 

「…私は。」

 

「あ?」

 

コカビエルの語った神の死に何の揺らぎも見せないリュウガ。

その時ふと背後にいたゼノヴィアが口にした事にリュウガは耳を傾ける。

 

「私のしてきたことは皆無駄な事だったのか?…神に捧げた祈りも心も全て無駄だったと、…私はどうすればいいんだ?これから何を目的に生きればいいんだ?」

 

「…くっだんね。」

 

うわ言の様に言うゼノヴィアの言葉にリュウガは呆れたように呟き、ゼノヴィアに言うだけ言う。

 

「何を目的に生きればいい?何当たり前の事でそんなしょげてんだか…。

最初から自分の生きる目的が決まってる奴なんかいる訳ねぇんだよ。それを探してこその人生だろうが、甘ったれるな。

…理想や信念を裏切られたんなら、また探せばいい。それが人生ってヤツだ。」

 

「………。」

 

リュウガはそれだけをゼノヴィアに言って再びコカビエルと相対する。

 

<<SWORD VENT>>

 

ドラグセイバーとドラグシールドを持って剣先を突きつけ戦いを再開しようとしていた。

 

「さてと、第二ラウンドと行こうや。」

 

「…小僧、貴様はつくづくオレを楽しませてくれる。

どうだ?オレの元へ来ないか?お前ならそれ相応の見返りを用意してやろう。

そして共に、戦火が奔る戦場を駆け回ろうではないか!」

 

「生憎とお断りするよ。

誰かの下に就くより、好き勝手やるのが性に合ってる。

それとずっと言いたかった事が有んだけどよ。…お前、人間舐めてるだろ?

どうせ弱っちいからいくら死んでも関係ありませんよって内心思ってる所あるだろ?

俺はなぁ、そういう奴をぶっ潰すのが性に合ってんだよ。。」

 

「…そうか、貴様人間か。

驚いたぞ、まさか人間がここまでオレを傷つけるなんてな。」

 

「そりゃどうも。だけどまぁ…これからもっと痛い目に遭うがな!」

 

リュウガはコカビエルに向かって走り、コカビエルも槍を出して迎え撃とうと構える。

 

リュウガは持っていたドラグセイバーを上に高く放り投げた。

コカビエルの視線が空のセイバーに向いてる一瞬を狙いリュウガは両手に持ったシールドでコカビエルを殴った。

 

「ぐおっ!?」

 

流石のコカビエルも防御に使う盾で殴りかかるとは予想できずその体に深く突き刺さる。

リュウガは攻撃の手を休めず、ドラグシールドによる攻撃を繰り出す。

 

盾を打撃武器として殴られ、あばらや頬骨が骨折してるコカビエル。

このまま好きにはさせない。その思いがコカビエルを動かし、眼前迫るドラグシールドを掴んだ。掴んだ事で出来た隙を狙いにコカビエルは光の槍をリュウガに突き立てるが、もう片方のドラグシールドがコレを防ぐ。

するとリュウガはドラグシールドを捨て、コカビエルを踏み台に高く跳んだ。

 

跳んだ先には先程投げた宙を舞ってるドラグセイバー。キャッチしてそのまま落下の勢いを利用して斬り付ける技。[龍舞斬]をコカビエルの体を縦一閃に斬る。

 

「ッ!、…まさか、この、オレがッ…!」

 

「そろそろフィナーレと行きますか。」

 

肩から腰元まで斬られ血を大量に流すコカビエル。

リュウガは戦いを終わらせようとデッキからカードを抜きバイザーにセットする。

 

<<FINAL VENT>>

 

リュウガの足元から現れたのは巨大な人型の牛[鋼の巨人 マグナギガ]

 

リュウガはモーテル銃のようなものをマグナギガの背中にセット。

するとマグナギガは腕のキャノン砲と胸部と脚部が展開してミサイルとキャノン砲が出てきてコカビエルへ向けられ砲門にエネルギーが集まっていく。

 

「パーティーのシメは、やっぱり派手な花火だろ。」

 

モーテル銃のトリガーを引いてマグナギガの全ての砲門から弾丸、ミサイル、エネルギー弾が発射。

リュウガの持つ技の中で一番の火力、[エンドオブワールド]がコカビエルに炸裂する。

 

「オレがぁ…このオレが人間にぃぃぃッッッ!」

 

爆炎の中からコカビエルの断末魔が聞こえる。

全て撃ち尽くした後は巨大なクレーターが出来てコカビエルは塵も残らず死んでいったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回でエクスカリバー編ラストです。

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