その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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前回の話から話の流れを戻しました。
では、どうぞ。




 

神通に心の弱さを打ち明けてから数日、悠が転生者を狩っている噂が転生者たちの間で広まった影響かここ最近仕事のメールは来なくなった。

悠にとって仕事が来なければ来ないでそれで良いし、契約しているミラーモンスター達のエサは最悪はぐれ悪魔で補えばいいと思ってる所存である。

そんな事を思いながら自宅に帰宅中の時、後ろから突然声を掛けられた。

 

「おい、灰原!」

 

「?・・遠山。」

 

声を掛けたのはキンジであり、彼は悠に問い詰め様に話し出す。

 

「お前、ここ最近どうしたんだよ?暁から聞いたけど誰にも言わず消える様になったって。俺もこうしてお前と顔会わすのすごく久々な感じだしよ。」

 

「・・・まぁ、色々ね。」

 

キンジは唯単純にここ最近の悠について心配しており、せめて話を聞くぐらいはと思って偶々見かけた悠を呼び止めたのだ。

 

「色々って、・・・なぁ灰原、お前は何考えてるか分からない奴だってことは知ってるけど少なくともお前がいきなり周りの奴らから遠ざかるってことは流石に何かあったとしか思えねえよ。

灰原、お前一体何を隠してるんだ?」

 

「・・・・。」

 

キンジの質問に無言を貫く悠。

何も話さない悠にキンジは問い詰めようとするがキンジの携帯から突如着信が入りキンジは渋々携帯に出る。

 

「もしも・「遅い!アタシが掛けたらすぐに出なさいよバカキンジ!」・・・アリア今俺立て込んでるんだが。」

 

電話を掛けたのはキンジのパートナーのアリアであり、余りの大声で離れてる悠の耳にも聞こえるくらいの音量だった。

アリアはキンジの事お構いなしに話を進める。

 

「いいから聞きなさい!今連続強盗犯が目撃されたって情報が入ったわ!アタシ達でそいつを捕まえるから今から言う場所にすぐ来なさい!」

 

「おい!だから今俺は・・・。」

 

「行きなよ遠山。」

 

「灰原。」

 

「君は武偵だろう?俺なんかより優先すべき事があるんじゃないか?」

 

悠の事でアリアの呼び出しに渋るキンジに悠は現場に行く様に言う。

 

「でも・・。」

 

「俺の事はそんなに急がなくていい事でしょ?だったら今から起こる犯罪を止めてきなよ武偵さん。」

 

悠の言葉に押されたキンジはアリアから合流場所を聞いてこれから事件解決に向かおうと内心自分に活を入れる。

 

「灰原、とりあえずこの事件終わったらゆっくり話そうぜ。

その時は暁も入れてさ。」

 

「・・・俺はともかく暁はどうだろうなぁ、・・・まっ覚えてたらね。」

 

「お前が忘れても俺が覚えてるっての!」

 

キンジは悠にその一言だけ言い、走り去って行った。

悠は走り去ったキンジの背を見て帰ろうとしたが自分の携帯にメールが入る。

メールの内容見て、悠は先程キンジが走った方角へ顔を向ける。

 

「悪いね遠山、次会った時の話・・・また君の愚痴を聞く羽目になりそうだよ。」

 

 

____________________________________

 

 

 

真夜中のオフィス街。

そこにウエスタンハットとアイマスクを付けた黒スーツの男が、背にパンパンに詰めたリュックを背負いながら走っていた。

 

「そこまでよ!」

 

すると男の前方に二丁の銃を構えたアリアの姿が、さらに後ろには銃を構えたキンジがおり二人は男を挟むように追いつめる。

 

「遂に追いつめたわ、強盗・傷害・器物破損の容疑で現行犯逮捕よ!」

 

「アリア!手錠掛けてないのに気を緩めるな!」

 

追いつめた男に対し勝負は決まったと確信するアリアと油断してるアリアに注意を言うキンジを余所にハットの男は声を噛み締めて笑う。

 

「何よ、何が可笑しいっていうのよ?」

 

「いや、失礼。このオレを追いつめたと思ってる上にこの状況で夫婦漫才するおたくらに笑いがね。」

 

「なっ!なななななななんでこんな奴と!」

 

「落ち着けアリア!そいつはお前の動揺を狙ってるぞ!」

 

「こんのー!風穴ーー!」

 

「!、待て撃つな!」

 

挑発に乗ったアリアは持ってる銃を発砲する。

キンジが止めるもすでに遅く、撃ったアリアも正気に戻るときにはすでに撃った弾は男に着弾する間近だった。

だが、弾が当たった瞬間硬いものがぶつかり合った音が辺りに響く。

二人がこれに気付き、男の方を見ると足元には先が潰れた弾と男の肌が鱗のような物に包まれた姿があった。

 

「ふ~、あぶねなぁ。オレじゃなかったら死んでたかもしんないぜ?」

 

「何なのその姿。」

 

「・・・まさか、お前ブラドと同じ・・。」

 

「ブラド?何だそりゃ?・・まぁそんな事は置いといて。

先ずはさっき撃ってくれたお礼をしなくちゃなぁ!」

 

男の正体を探るキンジ達を余所に男はアリアに向かって行く。

アリアは迎撃に銃を撃つも硬い鱗の所為で銃弾が効かず、武器を切り替えて二刀の刀を構えるも男の鋭利な爪で二本の刀は折れてしまい後ろに飛ばされる。

 

「アリア!」

 

キンジが助けに後ろから銃を撃ちながら近ずくも男はキンジの銃を腕を振るう事で弾き、首を掴みあげアリアの方へ投げ飛ばす。

 

「ぐぁっ!」

 

「キンジ!」

 

「ははは、大した事無かったなぁ。じゃそろそろ・・うおっ!」

 

二人に爪を擦りながら近ずく男の足元に突如光矢が飛来し爆発する。

男とキンジ達はそれに驚きながらもこちらに近づいてくる足音に気付き、音のする方へ顔を向ける。

 

その先には腰にゲネシスドライバーを着け、手にソ二ックアローを持ち白いライドウェアの上に黄緑とオレンジの胸当てに肩アーマー

 

 

天下無双の白き武者[仮面ライダー斬月・真]

 

 

 

「また変なのが、一体なんだってのよ。」

 

「・・・鎧武者?」

 

アリアとキンジが斬月に対し、各々の言葉を発する中男はさっきの様子から一変して斬月を前に恐れていた。

 

「腰のベルトに全身纏う鎧。・・・ウソだろ、まさかあれが噂の・・。」

 

男の言う噂と言うワードにキンジは引っかかる中、男は斬月を見て決死の覚悟を決めた。

 

「こうなったらヤケクソだ!見せてやるよ、オレの真の姿!」

 

すると男の体が大きくなり、形も最早人とは言えず恐竜の様な爪と牙をのぞかせていた。

その姿は一言でいえば恐竜の一種、Tレックス。

 

「ウソでしょ。こんなデカいの。」

 

「ブラド以上とかシャレになってねえぞ。」

 

先程人間の姿でも手も足も出なかった二人は目の前の恐竜に圧巻するが斬月は

 

「竜の次は恐竜か、いやどちらも一緒か?」

 

目の前の相手に臆する事無く軽口を言うぐらい余裕の様子だった。

 

ーGyaaaaaaaa!!!-

 

斬月に向かって吠えながらTレックスは突っ込み、斬月もTレックスに向かって駆ける。

 

Tレックスは体の向きを変え自身の尾を横薙ぎに斬月に振るう。

斬月は瞬時に跳んで回避し、ソニックアローで足を斬り付けTレックスの動きを奪う。

足を斬られたTレックスは口を開け斬月を噛み付こうとしたがこれも回避され距離が出来る。

斬月はソニックアローの弦を引いて構えるが、構えた先はTレックスではなくその上。

空に大きく矢を放ち、Tレックスは外したと警戒を解くが放たれた矢は上空でメロンのような球体になりそこから無数の矢が空から雨の様に降ってくる。

空からの攻撃に反応できず、矢を全て受けてしまい大きなダメージを喰らう。

攻撃が止みTレックスが次に見たものは自身の眼前に居る斬月の姿、斬月はソニックアローで顔を二度斬り付け、鼻先を足場にして空中での回転を利用して鼻先に踵落としを決め最後にソニックアローで頭を撃った。

 

ーGuaaaaaaaa!!!ー

 

顔にモロに攻撃を喰らったTレックスは咆哮を上げて余りの痛みを訴える。

我武者羅に周りに八当たり、偶々尾に当たった車が斬月の方へ飛んでくるがソニックアローで真っ二つにし斬月の周りに炎が上がった。

落ち着いたTレックスが目に見たのは炎の中こちらを見ている斬月の姿。

此方の方がデカい筈なのに、此方を見てくる斬月の方が何倍もの巨大な存在に見えた。

 

<<LOCK・ON>>

 

ソニックアローにロックシードをセットして構える斬月。

怯えるTレックスを余所に斬月は最後の一撃を放とうとしていた。

 

<<メロンエナジー!>>

 

ソニックボレーはTレックスの頭を吹き飛ばし、頭を無くしたTレックスの巨体は大きな音を立てて倒れた。

 

「そら、久々の食事だ。仲良く分け合って食えよ。」

 

ビルの窓ガラスに語りかけると、ガラスに三つの波紋が浮かび上がる。

そこからドラグブラッガー、ダークウイング、ベノスネーカーがTレックスの体を掴みガラスの中へ引きずって行った。

ガラスから聞こえる咀嚼音を聞いてこの場を去る斬月だが

 

「ま、待ちなさいよ!」

 

呼ばれて振り返ると、銃を構えたアリアとキンジが斬月を止めた。

 

「あんた、一体なんなのよ!さっきの恐竜になった奴もガラスから出て来た化け物も!

納得いく答えが出るまで・・・!!」

 

アリアはそこから先は言わなかった。いや、言えなかったのだ。

斬月から放たれる殺気にアリアとキンジはヘビに睨まれたカエルの様な気分を味わい下手に喋ることも動くことも出来なかった。

斬月はダンテライナーを開錠してビークルモードにし、その場から飛んで消えてった。

斬月が離れた事を確認した二人は冷や汗を流し、地にへたり込んで息を整えていた。

 

「はあ、はあ、おいアリア、大丈夫か?」

 

「え、えぇ。何とか。・・何ナノあいつ、さっきの恐竜男よりよっぽど化け物じゃない。」

 

「でもさっきの恐竜男、あの鎧武者についてなんか知ってるようだった。

噂とかなんとか。」

 

「噂って、あんな奴の噂なんて聞いた事も無いわよ。

・・・もしかしたら、さっきの異能力者達から広まった噂とか?」

 

「どちらにせよ、調べる必要があるな。

さっきの鎧武者について。」

 

 

 

 

 

 




今回は此処までです。

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