その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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案内

「おーい、悠。居ないのかー?」

 

「どうやら留守みたいね~。」

 

主の居ない家の中に居るのは非番を利用して訪れた、天龍と龍田。だが家の中を見ても主である悠が居ないことから留守中であることを知る。

 

「何だよ折角オレが態々来てやったってのによ。」

 

「うふふ~、天龍ちゃんってば彼に会えなくてがっかりしてるのね~。」

 

「違えよ!、ったく。・・・あ、そうだそういえばガレージは?まだ見てないのあそこだろ。」

 

天龍はこの家でまだ入ったことがないガレージに向かおうとする。それに自然と龍田が付いて行く形になりガレージの前に着いたのだった。

 

「ねえ天龍ちゃん。留守なら留守でこういった所って自然と鍵が付いてるものじゃない?」

 

「あーたしかに、でも一応・・・あれ、開いた。」

 

扉に手をかけ鍵がかかって無い事に不用心だと思い、中に入ってく天龍だが

 

 

 

ーファン!・ファン!・ファン!ー

 

 

ーガブっ!・ガブっ!・ガブっ!-

 

 

「おあたたたたたた!何だよ!コイツ等!、イテテテテ!コラ噛むな!」

 

「あらら~、番犬ならぬ番車ってとこかしら~。」

 

入ってきた天龍に、パトカー型シフトカー[ジャスティスハンター]とモンスターカー型の[マッシブモンスター]が侵入者と判断し襲いかかる。

その後は龍田が二台のシフトカーに誤解を打ち解け天龍を開放してもらい、二台は何処かへ消えてった。

 

「痛てて、あの野郎ケツ噛みやがって。・・しかし、思ってたよりバイクが置いて在るんだな。」

 

ガレージの中には三台のバイク

 

ダークカブト専用マシン[Dカブトエクステンダー]

 

エターナル専用マシン[エターナルボイルダー]

 

そして悠が作り上げた[ライドマッハー]

 

後のマシンは別空間にあったり地下のラボで収納しているためガレージの中には今は無い一台と含めて4台収納している。

 

「う~ん、やっぱり何処かに出かけちゃってるみたいね~、スペースがやけに空いてる所があるからバイクで行ったのかも・・・天龍ちゃん?」

 

「・・すげー。」

 

悠がバイクで行ったことを推測する龍田を余所に、ショーウィンドウに飾られてるトランペットを見る少年のような目でバイクを見る天龍だった。

 

 

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悠は銀の髑髏と紫の炎が描かれたマシン[ライドチェイサー]に跨って初めてこの世界に来た時に居た高台へ訪れていた。

悠は気分転換にツーリングと思ってこの場に来ており街を見渡しながらただ時間を過ごしていった。

ふと誰か近づいて来たので思わず振り返る。

そこには軍服の様なものを着た銀色の髪に青い瞳という日本人離れした容姿の女性が居た。観光客かと思ってたら女性の方から悠に話しかけてきた。

 

「ここの眺め、なかなかイイものですね。」

 

「これだけ高ければねぇ、・・観光客?随分日本語うまいけど。」

 

「もともと日本に興味があったので学んだんです。この国には今回初めて訪れたので内心ワクワクしてるんですよ。」

 

「へぇ。」

 

「いたぞ!あそこだ!」

 

何気ない会話をしていると、黒スーツにサングラスと言う如何にも追手と言う三人の男が悠達に近ずいていく。

 

「あのぉ、いきなりで申し訳ないんですがそのバイクに乗せてもらっても構いませんか?」

 

「・・・出来れば面倒事に巻き込まないで欲しいんだけど・・。」

 

「でも、この状況で私が捕まったらアナタも捕まってしまいますよ?」

 

「・・・・・はぁ、・・ホラ。」

 

渋々ヘルメットを女性に渡し、後ろに乗せたのを確認してライドチェイサーのアクセルを回し追手を振り切る。

 

「くそっ!、逃げられた!」

 

「すぐ他の奴に連絡しろ!王女は黒いバイクに連れ去られたと!」

 

 

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「アルディギア王国?」

 

追手を振り切って一先ず目に入った喫茶店に入った二人。

悠は対面している女性の素性について聞きだす。

 

「はい、ご存じありませんか?」

 

「確か、歴史ある独立国とか聞いたけど。」

 

「えぇ、結構いい国ですよ。町の人もいい人ばかりで賑わってる所です。」

 

「ふぅん、・・で、その国の人が何で追われてる訳?」

 

「本当はこの国との外交目的で訪れたんですが、つい出来心で抜け出して来ちゃいました。」

 

「・・・・・ちょっと待って、外交目的?」

 

「はい、・・・あっすみませんまだ名前言って無かったですね・・ラ・フォリア・リハヴァイン、アルディギア王国で王女やってます。」

 

「・・・・・・・は?」

 

悠は思わず素の状態でになってしまう。

だがそれは仕方無い事だと思う、だって目の前に王女名乗る人物の騒動に巻き込まれたのだから。

 

「あっ、でもアナタとはそこまで歳が離れてるわけではなさそうなので気軽にラ・フォリアと名前で呼んでください。それか、日本文化に則ってフォリりんと呼んでもいいですよ。」

 

「日本にそんな文化は無いよ。・・・じゃあさっきの黒服は・・。」

 

「私のボディガードです。」

 

つまり悠は目の前にいる王女の勝手な逃亡に巻き込まれたと悠は自分の運を嘆くのだった。

 

「そう、ならもう俺は付き合わなくてもいい訳だ。」

 

「あら?目の前の女性をほっといて帰るのですか?」

 

「流石に君の我儘に付き合う必要は無いからね、何だったら携帯貸すから連絡して迎えに来てもらえばいい。」

 

「へぇ、これが携帯ですか。私こういった物は中々触る機会が無いもので。」

 

「・・・こら、下手に弄るんじゃない。・・・たく。」

 

「それはそうと私どうしても行きたい所があるんですが。」

 

「この状況でよく人に物頼めるね。」

 

「まぁ、まぁいいじゃないですか日本のことわざに旅は道ずれ世は情けってありますよ?」

 

「こんな時だけ達者な言葉かよ。」

 

「仕方がありませんね、アルディギア王国王女として命じます、私のお願い聞いてください。」

 

「・・・・ちなみに断ったら?」

 

「ご想像にお任せします。」

 

「・・・・・はぁ、君随分と良い性格の持ち主だよ。」

 

「そうですか!なら早速行きましょう!・・あぁそういえばあなたの名前まだ聞いてませんでしたね。」

 

「灰原 悠だよろしく王女様。」

 

 

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「血縁?」

 

「えぇ、この国のこの土地に居ると聞いたので。」

 

ライドチェイサーにて目的地に向かう中、ラ・フォリアの抜けだした理由について話す。

簡潔にまとめると祖父の愛人の子がこの国に居るので一目会っておきたいという彼女の願望からくる行動だったようだ。

 

「なんか、王国って案外ドロドロした事情お持ちで。」

 

「えぇ、これの所為でお婆様はもうカンカンにお怒りのようですし。」

 

「で?会ってどうすんのさ?」

 

「直接話してもしよければ王国に迎え入れようと思います。仮にも血の繋がった家族みたいなもんですから。」

 

「意外だな、そう言うのって迫害されるのが殆どみたいもんだけど。」

 

「一般的にはそうですが、私はそういうの関係なしに迎えたいのですよ、家族ってそういうものではありません?」

 

「・・・家族・・か。」

 

そう話してる中、その血縁者の居る修道院に近ずいてきた。

だが、修道院には人の気が無く廃棄されたようにボロボロの状態でそこにあった。

この事に近くの住人に聞き出すと出火不明の火事によって修道院は潰され、そこに住んでいた子供たちなどは他の所に行ったか引き取った家に行ったという。

 

「残念ですね、このような事になってるとは。」

 

「物事ってのは案外うまくいかない事が多いもんさ、でも他の施設や引き取り手を調べれば・・。」

 

「いえ、そうはいきません。私今日が国に帰ってしまう日なのであまり長居は出来ないんです。・・・・でも、構いません。目的は果たせなくても貴重な体験は過ごせました!・・前に見た映画で一度やってみたかったんですバイクに乗って街を巡るって。・・・それに、アナタみたいに私を王女としてではなく一人の人間として接してくれたことが何より嬉しいんです。・・・名前で呼んでくれないけど。」

 

「それは悪かったね、王女サマ。・・で、この後どうすんの?」

 

「空港で従者たちが待ってるのでそこに向かいます。そこまで送ってもらえませんか?出来ればアナタと他愛もない話をしながら最後にこの国の思い出を作りたいんです。」

 

「・・・なぁ、フライトの時間ってあとどのくらい?」

 

「えっ?、えぇと確か夜でしたからまだ時間はありますけど。」

 

「ならゆっくり行けるな、途中休んだり遠回りしたって大丈夫だろ。・・・ほら行くぞ、時間は限られてんだからさ。」

 

「悠、・・・そうですか・・・これがジャパニーズツンデレって言うんですね!」

 

「速攻で空港に送らすぞオイ。」

 

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その後は悠の運転により、街で途中立ち寄った店などに色々訪れ眺めのいいツーリングコースで走ったりなどしていた。

ラ・フォリアは見るもの全てが初めて見たように目を輝かせており途中暴走気味になったのを悠が止めたりなどの光景もあったが、彼女の顔は年相応の女性がするいい笑顔だった。

そして空港に向かう際、途中休憩で立ち寄った公園のベンチで二人は座っていた。

 

「この国はいいとこですね。アルディギアとは違った食べ物も景色も一杯あってホント楽しかった。」

 

「そうかい、それはいい経験だったな。」

 

「アナタには大きな借りが出来てしまいましたね、巻き込んだとはいえここまでよくしてもらって。」

 

「別に、こういった事にはもう慣れてるんで。」

 

「・・・最後に一つ聞いて良いですか?」

 

「何?」

 

「・・・アナタは何故人と距離を置くのですか?」

 

ラ・フォリアの言葉に確信を突かれたような気分になる、悠は突然の事で一瞬動揺したがそれを顔に出さず聞き返す。

 

「どういう事かな?」

 

「アナタは私と関わるなかでとても良くしてもらいました、でも関わってく中でどうも違和感を感じるんです。それが一歩踏み込まないって感じだと気付いたのはアナタが私の事を王女と呼び続ける事がそうじゃないかって。」

 

「・・・君って腹黒い王女だと思ってたけど案外鋭いんだね、でもそれ知ってどうすんのさ、そういうのってソイツのかなり内面の問題だと思うよ。」

 

「そうですね、端から見ればかなりお節介に見えるかもしれません。でも気になり出したのは途中からじゃないんですよ、最初にあの高台でアナタを見た時とても何かに悩んでたのが伝わってきました。」

 

「・・・君は随分俺を高く評価してるみたいだけど、俺はそこまで立派な人間じゃ無いよ。・・・間違ってることも失敗したことも山程して来た。そんな人間に本当は君みたいな人と関わっちゃいけないんだよ。」

 

「・・・本当にそうでしょうか?・・少なくとも本当に悪い人は自分をそこまで責めたりはしませんよ。でなければ私の我儘にここまで付き合ってくれませんしね、アナタがどれだけ自分を責めようが私は信じてますよ。アナタが本当はいい人だって。」

 

「・・・・。」

 

何の裏もない真っ直ぐな言葉に悠はラ・フォリアの目を見る、その目からは悠を本気で信じようとする真っ直ぐな目だった。

その時ふと狙われてる視線を感じ立ち上がって周りを見渡す。

ラ・フォリアは突然立ち上がった悠に驚くが悠は此方に近ずいてくる集団に目を向ける。

 

「悠?」

 

「なぁ、あれも君のとこのボディガード?」

 

「・・いえ、どちらかと言えばよく私を誘おうとするテロの人たちみたいですね。」

 

「王女は人気者で辛いな。・・こっちだ!」

 

悠はラ・フォリアの手を引いてその場から走り出す。

ラ・フォリアは悠に申し訳ないような顔で悠に話し出す。

 

「すみません、まさかこのような事にまで巻き込んでしまうとは。」

 

「そんな事言ってるヒマあるなら速く走りなって・・・うお!」

 

バイクのあるとこまで走ろうとする二人だが突如横から犬の獣人が跳びかかってくる。寸での所で回避したが足が止まってしまったせいで、犬の獣人から牛、トラ、の獣人と武装した追手に囲まれた。

 

「もう逃げられんぞ、大人しくそこの王女を渡せ、そうすれば命は助けてやる。」

 

「そんなありきたりなウソ信じるかっての、・・・おい、ここは何とか時間稼ぐから人の多い場所に行って助けを呼べ。」

 

「でも!、そんなことしたら悠が・・・。」

 

「いいから行け!、正直守りながらやるのは性に合わないんだよ。」

 

「・・・・すみません、必ず来ますから死なないでください。」

 

ラ・フォリアは悠の言うとおり走ってその場を離れる、悠を囲んでる獣人と追手はうっすら笑いながら喋り出す。

 

「へー、姫を守るナイト気取りかだが所詮それは無駄になったな今頃王女の方には俺達のボスが向かってる。どの道お前のやったことは無駄に終わったな。」

 

「・・・何でアイツを狙う?そこまでして狙う価値がアイツにあるのか?」

 

「まあな、使い道としては人質にアルディギアからたんまり身代金貰うかあの体を使って楽しむってのもありだな・・・さてそろそろいいか?」

 

「・・・あぁ。」

 

獣人と追手が悠を仕留めようとする中、悠はブレイクガンナーを構える。

 

「そろそろ始めようか。・・・一方的な暴力だ。」

 

<<BREAK UP>>

 

悠は魔進チェイサーに変身して目の前の敵に向かって行く、銃を持った人間の方は銃を的確にブレイクガンナーで撃ち抜き、当身や鳩尾の蹴りで無力化していく。

 

「なんだその姿は?!お前は一体。」

 

「名乗る必要は無い、これから倒される相手には。」

 

先程と打って変わって余裕の表情が無い獣人達を余所にチェイサーは近ずいて行く。

トラの獣人が爪による攻撃を仕掛けてきたがチェイサーはカウンターのブローを叩き込み、続けて顎にアッパーカットを入れる。フラフラになったトラ獣人にとどめのストレートを入れてダウンさせた。

 

「くそっ!聞いてないぞこんな奴が居るなんて!」

 

「あっ!おい待て!」

 

チェイサーに恐れをなして牛の獣人は逃げようとするが、チェイサーが呼んだシフトカー、ジャスティスハンターをブレイクガンナーに装填した。

 

<<TUNE・JUSTICE HUNTER>>

 

ブレイクガンナーのエネルギー弾が牛獣人の上で弾いてジャスティスゲージが檻を作って拘束する。

檻を壊そうとする牛獣人だが、ジャスティスゲージから出る電撃によって意識を失う。

 

「このぉ!調子に乗るなぁああ!」

 

残された犬獣人はチェイサーに突撃するがそれを難なく躱し、また新たなシフトカーを装填する。

 

<<TUNE・HOOKING WRECHER>>

 

レッカー車型の[フッキングレッカー]のフックワイヤーがブレイクガンナーから発射され犬獣人を拘束する。

チェイサーはそのまま犬獣人を振り回し、その弾みで木々がなぎ倒されていき、最後に大きく上から叩き付けることで犬獣人も戦闘不能にさせた。

 

そしてチェイサーはガイアメモリによる記憶の改竄を行った後にすぐさまラ・フォリアの所へ向かうのであった。

 

 

_________________________________

 

「はあ、はあ、はあ。」

 

ラ・フォリアは悠の言われた通り公園から出て人の居る場所に向かおうとしたが敵の伏兵によって逃げていた。

 

「はははは!いつまで鬼ごっこしてるんだ王女サマ?」

 

「はあ、はあ、はあ」

 

追い込まれてじりじりとラ・フォリアに近ずいてくるコウモリの獣人に成す術がなかった。

本当は自身の持ってる武器で迎撃したいところだが、抜け出す際に忘れてきたことを後悔するが今更そんなこと思ってもすでに遅い。

それに一番の心残りはあの場に置いてきた悠の安否がこの状況で一番の気掛かりだった。

 

「さてと、そろそろ大人しく捕まってもら・・・ゲフッ!」

 

ラ・フォリアが内心諦めてた所に突然コウモリ獣人の横から何者かが殴ってきた。

正体を確かめると、先程獣人と追手を無力化させたチェイサーが寸での所でラ・フォリアの危機を救った。

 

「アナタは・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

「テメエ!何者だ!邪魔するからにはタダで済むと思うなよ!」

 

チェイサーとラ・フォリアを余所にコウモリ獣人はチェイサーに向かって行く。

チェイサーはコウモリ獣人の攻撃を躱しながらラ・フォリアとの距離を離れ、ブレイクガンナーで殴っていき圧倒的な実力差を見せつけていく。

接近戦では分が悪いと感じたコウモリ獣人は背中の羽を広げて空中へと飛び、チェイサーへヒットアンドウェイの攻撃をしていく。

 

「はははっ!流石に空までは手も足も出まい!」

 

「・・・・。」

 

<<TUNE・CHASAR・BAT>>

 

余裕を見せるコウモリ獣人を余所に此方に来たチェイサーバットバイラルコアを装填して背中にコウモリの翼を模した[ウイングスナイパー]が装着されて空中へと飛んだ。

 

「何?!、お前も空を!」

 

飛んでくるチェイサーに驚きながらもぶつかり合うチェイサーとコウモリ獣人。

チェイサーはコウモリ獣人の翼目掛けて攻撃し、翼の片方を失ったコウモリ獣人は下へ落ちて行った。

 

「・・・!、しまった。」

 

そこでチェイサーはミスを犯す、コウモリ獣人が落ちて行ったすぐ傍にはこちらを見ているラ・フォリアの姿があることに。

ラ・フォリアの近くに落ちたコウモリ獣人はラ・フォリアを捕まえ人質にした。

チェイサーはすぐさま下へ降りて行き、コウモリ獣人とラ・フォリアの前に立つ。

 

「はは、形勢逆転だな。下手に動くと王女が傷つくぞ。」

 

「・・・余り舐めないでもらえますか?私を人質にとった所であなたの状況は変わりませんよ?」

 

「黙ってろ!・・・さて、色々痛めつけてくれた礼はどうしてくれようかな。」

 

爪をラ・フォリアの首元に突きつけるコウモリ獣人に下手に動けないチェイサー、そんな中ラ・フォリアはある決断をする。

 

「・・・そこの人、私に構わずこの獣人を倒してください。」

 

「あぁ?!、テメエ何言って・・。」

 

「その代りお願いがあります。私を逃がすために助けてくれた灰原 悠という人を助けてください。あの人は唯巻き込まれた何の関係もない人なんです。」

 

「・・・・。」

 

チェイサーはラ・フォリアの覚悟を見てかウイングスナイパーを腕に装着して構えた。

 

「お、おい!お前本気か?!本気でこの女ごとオレをやるつもりか?!」

 

(ここまでですか。・・悠、すみませんアナタの抱えてる悩みをせめてのお礼に何とかしてあげたかったのですがこんな形でのお別れですみません。)

 

「・・・ラ・フォリア。」

 

ラ・フォリアは名前を呼んだ方へ顔を向ける。呼んだのは目の前でウイングスナイパーを構えてるチェイサーだった。

 

「俺の事・・・信じてくれるか。」

 

ラ・フォリアはチェイサーの言ったことに静かに縦に頷く。

そして、チェイサーはウイングスナイパーの矢を発射した。

発射した矢は真っ直ぐコウモリ獣人とラ・フォリアの元へ向かって行くがその矢に向かってくる小さな影が矢を何処かへ消した。

 

「ぐあああああ!」

 

「きゃっ!」

 

次の瞬間コウモリ獣人の右肩に矢が突き刺さっていた。

チェイサーが撃った矢は、タクシー型のシフトカー[ディメンションキャブ]の空間操作でコウモリ獣人の右肩へ跳ばしたのだ。

ラ・フォリアはコウモリ獣人が矢に撃たれた際に投げ飛ばされるが、チェイサーに抱き抱える形で受け止められ無傷の状態だった。

 

「アナタは、まさか・・。」

 

「・・・・。」

 

ラ・フォリアはチェイサーに問いかけるがチェイサーはすぐさまコウモリ獣人の元へ向き、止めを刺そうとしていた。

 

「き、貴様ぁ!」

 

<<EXECUTION>>

 

<<FULLBREKE・BAT>>

 

ウイングスナイパーを背に付けコウモリ獣人にキックする[エクゼキューションバット]を喰らわす。

手加減したために死んではいないが襲い掛かって来ることは無いくらいダメージを負っていた。

チェイサーとラ・フォリアはお互い顔を合わせて、チェイサーはラ・フォリアの無事を、ラ・フォリアはチェイサーの正体をそれぞれ思っていた。

 

「いたぞ!あそこだ!」

 

「王女を救出しろ!」

 

すると、ラ・フォリアを追っていたボディガードたちがチェイサーを敵と判断してラ・フォリアを庇うような形で睨んでた。

 

「待ってください!この人は・・あっ!」

 

誤解を解こうとするラ・フォリアだが、それよりも先にチェイサーはウイングスナイパーで飛んで行った。

ラ・フォリアはチェイサーの飛んで行った方角を見て悲しげな顔で呟いた。

 

「・・・悠。」

 

 

___________________________________

 

 

空港にてラ・フォリアはボディガードに囲まれながら出発ロビーへ向かっていた。

その顔は浮かない顔でありあの時チェイサーに何も言えず別れたことが相当ショックだと分かる。

落ち込んだ顔のまま歩いてるとふと、気になる物が目に映った。

それはミニカーのようなもので光を放ちながら独特の音楽を流してラ・フォリアに対し何か訴えてるように見えた。

ラ・フォリアはチェイサーが戦ってた時にあの位のミニカーを使って戦っていたのを思い出すと足を止めた。

 

「王女?」

 

「・・すみません。すぐ戻ります!」

 

ラ・フォリアは走ってミニカーの元へ向かおうとするが囲んでるボディガード達がそれを許すはずがない、その時ボディガード達にジャスティスハンター、マッシブモンスター、フッキングレッカー、ディメンションキャブがボディガード達を抑える。

抑えてくれているシフトカー達に対しラ・フォリアは礼を言って自身を案内しているシフトカーに付いてくのであった。

 

 

_____________________________

 

 

その頃悠は空港から出ようとライドチェイサーの元へ向かっていた。

仕方ないとは言え正体をラ・フォリアに感づかされてしまったのであわよくば記憶を消そうと思って空港に来たのだが、何の気まぐれかそれをやる気が無くなった為引き上げようとした所だった。

バイクに跨ってエンジンを掛けようとすると一台のシフトカー[デコトラベラー]が悠の元へ来た。

 

「デコトラ?、お前何でここに居るんだ?」

 

「私を案内してくれたんですよ。」

 

その声の元へ向くと、若干息が上がってるラ・フォリアが悠の元へ来た。

 

「この子達が私をここまで導いてくれたんです。そのお蔭であなたに会うことが出来ました。」

 

「デコトラ、お前何勝手なことを。」

 

ラ・フォリアの掌に乗せられたデコトラベラーは演歌を流しながら悠に訴える。まるで、”別れるくらいちゃんと挨拶しろ”とでも言うように。

 

「・・・アナタには本当に迷惑掛けてばっかですね。」

 

「全くだ、こんなガイドをしたのは生まれて初めてだよ。」

 

「ホントなんて言葉にしたらいいか分からないくらいです。街を案内させてもらって、助けてもらって。アナタには大きな借りが出来てしまいました。」

 

「なら報酬は、俺の事を黙秘で頼むよ。それが気掛かりでここまで来たようなもんだからさ。」

 

「本当ですか?私の事最後まで気に欠けてくれたじゃなくて?」

 

「・・・・さあな、・・・そんな事より、いつまでもこんなとこいて良いのか。少しは王女としてしっかりしなよ王女サマ。」

 

「もう、あの時は名前で呼んでくれたというのにまた王女ですか。・・・でもいいです、次会ったときはちゃんと読んでくださいね。」

 

そう言って手を差し出すラ・フォリアに悠は最後位はと思って手を伸ばして答える。

次の瞬間、ラ・フォリアは手を引いて悠を近ずけさせ悠の口と自身の口を合わせた。

悠は目を見開いて驚く中、ラ・フォリアは悪戯な笑みを浮かべていた。

 

「では、また会いましょう。その時はまたバイクに乗せてくださいね。」

 

そう言ってラ・フォリアは空港の中へ戻って行った。

悠はしばらく呆然とした状態になり、足元でデコトラベラーが突いて来るのを軽く蹴ってやった。

 

 

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「ただいま。・・・あれ、お前居たの?」

 

「おかえり~、随分と遅い帰りね~。」

 

「まあ、色々あってね。・・・天龍は?今日は一緒じゃないのか。」

 

「あぁ、天龍ちゃんは・・・。」

 

 

_______________________________

 

 

 

「おぉ!かっけえ!」

 

 

ライドマッハーに跨って一日中ガレージで興奮してる天龍だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回やけに長く書いてしまった。

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