その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「前回のあらすじ!
青葉の取材を受けて昔の思い出を振り返った俺は初めての仕事を思い返すのだった!
今日からまた本編進めてくぞ!」

「やーっと過去編終わったよ!やる事なくて超ヒマだった!」

「大抵の作品って過去編とかエピソードゼロ的な話出すけど、コレでも出るとは思わなかったわ。」

「もうこのゲーム飽きたー!早くみんなで暴れちゃおうよ!」

「よっしゃやろうぜ!久々のマッハなオレとことん魅せちゃうぜ!」

「イエーイ♪」

「あんまり嵌め外し過ぎないでよ?」


「あ、先言っとくけど。お前等三人、今回も出番無いから。」

「「「え?…」」」






 

 

 

青葉の取材を受けてから数日後。

 

バベルの塔が出現したあの日以降、特に敵側の目立った動きも無いまま警戒を続ける日々が不気味に続く中、悠の開発作業も進展を見せていた。

 

組み上げたプログラムを端末から伸びているコードと繋がっているシフトカーへ転送。

少しの時間を経てデータ転送が完了したアラートが鳴り、悠は完成されたシフトカーを手に取った。

時間を掛けて創った新型シフトカーをまじまじと眺めながら内心こみ上げる達成感に浸っていた所に、クリムが話し掛けて来た。

 

<まずは一つ完成したようだね。>

 

「あぁ、意思の無いただのパワーアップアイテムだがな。でもコイツを上手く使いこなせば、ゲムデウスを良い勝負が出来る筈だ。

問題は使い手の技量次第だが…。」

 

悠が手に持つシフトカー、バグスター・ハートロイミュード戦で大破したライドクロッサーをそのまま縮小したシフトカーをあらゆる角度で眺める悠に対し、クリムは呆れ交じりに言葉を放った。

 

<今更何を言ってるのだが。信頼してるからこそ、そのシフトカーを彼の為に創ったのではないか?>

 

「…さぁね。ま、使いこなせなかったら俺が使うだけだし。

さて、この調子であと一つ、と…。」

 

<うむ…其方の方は少し手こずってるみたいだね?>

 

「大した問題じゃ無いよ、ロックシードよりシフトカー関連の開発がノッてるってだけ。コッチは基本骨子をコピーして、データ入れ替えるだけの単純作業だ。そこまで苦では無いよ。」

 

<そうだとしても作業量は相当だろう?

それにキミ、ちゃんと休んでいるのかい?この二日間ずっとココに居座ってるだろうに。>

 

「その前はしっかり寝たさ、3時間以上ぐっすり寝れた。酷い時は1週間以上も働いてた時あるんだから。」

 

<だとしてもちゃんと一般的な生活サイクルに則った休息をだね……ん?悠、キミにお客さんが来てるようだよ。>

 

「ん~?また遠山が泣く泣く金借りに来たか?それとも暁が世話女房から逃げて来た?」

 

<残念だが異性のお友達だよ。もうそこに来てる。>

 

「ん?……やぁゼノヴィア。」

 

「やぁ悠…ちゃんと寝てるのか?クマが出来てるぞ。」

 

「さっきも言ったが、3時間以上は寝た。」

 

<あぁ寝たな。52時間前に。>

 

「全く…ラ・フォリアが私に愚痴を言ってたぞ、最近一緒に寝てくれないって。」

 

「夏音が代役してくれてるから大丈夫…で、今日は何でまたココに?デートの約束した覚えないけど?」

 

「あぁしてない。だから誘いに来た。」

 

「んん?」

 

突然の事に理解が追い付かない悠であったが、有無を言わせる前にゼノヴィアは悠を席から立たせて事を進めていった。

 

「というわけで悠を借りていくぞ。」

 

<あぁ是非とも頼むよ!私が言ってもてんで聞きやしなかったもんだからね。>

 

「オーイオイオイオイ、俺の意見は?全くの無視?」

 

「心配せずとも夕飯までには帰すさ、では行って来る!」

 

<いってらっしゃい。悠を頼んだよ。>

 

「散歩に連れてかれる犬ですかー?俺はー?オーイ…。」

 

腕を掴まれてラボから出されていく悠だが、悠の言った冗談の所為かクリムの目にはリードでイヤイヤ引き連れらていく大型犬に見えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事もあってされるがままに連れて来られたのは一軒のカフェ。

 

店内には見渡す限り仲睦まじい男女二人組、所轄カップルで埋め尽くされているが大抵のカップルは青い顔して口を抑えてるか白目を向いていた。

 

そんな異様な光景を生み出してる元凶が今、向かい合って座ってる悠達の目の前にあった。

 

「………ナニ?これ…。」

 

「ココの名物パフェだそうだ。ほら、周りの客も頼んでるだろう?」

 

テーブルの上を堂々と鎮座してる巨大なパフェ。特注と思われるバケツサイズのガラス製パフェグラスにはアイスやらフルーツやらクリームやらその他色々盛られており、悠の目にはパフェというよりも糖分の山にしか見えなかった。

 

あまりの大きさに目をパチクリと見開く悠に、ゼノヴィアは説明口調で目の前の巨大パフェについて語りだした。

 

「最近になって置くようになったカップル限定メニューらしくてな、なんでも二人で食べ切ったら二人の仲はより親密になれるらしい。おまけにお代もタダになれて、その後のデートもより楽しめるとな!」

 

「いやコレただのチャレンジメニューだよね?大食いの。メニューに失敗したら7500円って書いてあんだけど。」

 

「だが、未だこのパフェを食べ切ったカップルはまだ居ないらしい。」

 

「だろうね、周りはもう死屍累々だよ。色んな意味でリア充達の墓場だよ。」

 

「でも、私と悠なら、なんかいけそうな気がしたから…思い切って挑戦しようと思ったんだ!」

 

「一体全体何処からそんな自信が出て来た?」

 

最近共に戦った魔王と名乗る別世界のライダーが脳裏に浮かんでしまった悠だが、ここである一つの事実に気付いたのでゼノヴィアにそれを伝えようとした。

 

「ねぇゼノヴィア…一つ、言ってもいい?」

 

「なんだ?」

 

「俺とキミ、色々あってまぁイイ感じの仲を築けているとは俺も思ってるけど……でも俺達ってカップルと呼べる関係ではなッムッガ…!?」

 

悠の言葉を遮るように、口にエクレアを突っ込まれた。

 

エクレアを口に入れたのは当然ながら対面に座っているゼノヴィア。最後まで言えなかった為、エクレアの味わって呑み込んだ後、また口を開いた。

 

「………俺達って、彼氏彼女の関係じゃッボフッ…。」

 

またしても塞がれた。しかも今度はマカロン、2個同時に。

 

異なる味を噛み砕きながら味わって呑み込み、再度口を開こうとした所で、フォークにブラウニー刺したゼノヴィアを見て観念した。

 

「…オーケー、あーんもイイけど自分のペースで食べたいからコレでお終い。

あ、このチーズケーキいいか?」

 

「あぁ構わない…こう言うのも何だが、随分潔いな。もっとごねてくるかと思ってた。」

 

「ん…ちょうど甘いものが欲しかったんだよ。二日間頭フル活動してたし、それに折角のキミとのデートに文句言って空気を悪くしたくない。」

 

「…そうか。なら、食べるか!」

 

もういっその事何も考えず素直に楽しもう。上機嫌なゼノヴィアの笑顔を見ながら、スプーンですくったアイスを口に運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしても、小食と言ってる割にペース早くないか?」

 

「甘いモノは別腹って言うだろ?

それに俺は食べた分を脳と体に必要エネルギーとして送ってるから幾らでも食べれる。」

 

「…それはウソだろう?」

 

「いや強ちウソじゃない。

最初は疲労回復に良いからって聞いて、仕事中ちょくちょく食ってたら好きになってた。で、糖分食って今日の今日まで生き延びてきた。

…あーアイスの所為で寒くなってきた。あ、すいませんコーヒーください。ホットで。」

 

「私にも一つ。

ま、ウソかホントかどっちかは分からないが偏った食生活してるって事は分かったよ。」

 

「あ、このプチシュー美味い…。

そういうそっちこそ、そんなガンガン食って平気なの?女子にとってこういうカロリーのお化けは天敵じゃない?」

 

「いや、これといって特に気にしたことは一度も無いな。普段から体を動かしてるし…。

む、なんだこのクリーム、緑なのに抹茶では無いな。」

 

「それピスタチオ。豆だよ豆。

これ食い終わったら次何処行くよ?」

 

「それなんだが、買い物に付き合ってくれないか?是非ともキミの意見を貰いたくてね。」

 

「いいけど、あんまり俺にセンス期待しないでよ?」

 

他愛も無い会話をしながらパフェを食べ続けていく悠とゼノヴィア。

 

二人にとっては何の違和感も無いほのぼのとした一刻であるが、店員や他の客からしたら一向にペースを落とさず減っていくパフェに目を奪われていた。

 

 

(あのカップル、さっきからペース落とさずにずっと食ってる…。)

 

(独身店長の逆恨みメニューが遂に破られるのか!?)

 

(つーかあの彼女あんな細身なのにどんだけ入んだよ!?オレの彼女よりナイスバディだし!)

 

(イケメンで甘党とかポイント高すぎでしょあの彼氏!それに加えてウチのはとっくにダウンだし…。)

 

 

「──んッ…ふぅ。やっぱ量が量だけに結構腹膨れたなぁ。」

 

「半分以上は食べたからな、じゃあ行こうか。コーヒー代もタダだし。」

 

「あぁ。いやーバッチリ充電出来たし、味も思ってた以上に良かったし、また来るか。」

 

「そうだな、でもあんまり通い詰めると出禁喰らってしまうから気を付けないと。」

 

「イヤイヤ、秋や剣バカはともかくそんな考えなしには…。」

 

誰も完食出来なかったパフェを余裕で完食し、驚愕の視線に見送られながら二人は店を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、灰原家では…。

 

「どうぞ、粗茶ですが。」

 

「頂こう。」

 

ドライバーの整備を目的に灰原家へと訪れた蓮司にお茶を出すラ・フォリア。

だが整備が出来る悠と神太郎がタイミング悪く不在な為引き返そうとしたのをラ・フォリアが引き止め、更にお茶を淹れてくれた好意を無下に出来ずこうしてリビングでラ・フォリアと対面する事になった。

 

「…うむ。御茶の淹れ方が段々と上手くなっているな。この前よりも香りが際立ってる…。」

 

「ありがとうございます…そういえば、こうして蓮司と話すの初めてですね!」

 

「そうだったか?………ふむ…。」

 

「フフ、不思議ですねぇ…お互い、悠を通じて知り合ったからでしょうか?」

 

「ッ…だとしたら、皮肉な縁だな。」

 

「そうですか?私は結果的に見て蓮司の様な殿方と知り合えて良かったと思ってますよ!

日本食のレシピ教えてくれて、幅が広がりましたし!」

 

「……そうか。」

 

「えぇ!……それはそうと折角の良い機会ですし、一つ、聞いてもイイですか?」

 

「構わん。答えられる範囲でなら答えよう。」

 

「じゃあ遠慮なく…蓮司って──。」

 

「あぁ…。」

 

長丁場になると思い、湯飲みを手に一口お茶を飲んで喉を潤そうとした瞬間…。

 

「蓮司の好きなヒトって、ハルナですか?」

 

「ブゥーッ!?…ゲホッゲホッ!?」

 

思い掛けない質問内容に口に含んでお茶を吹き出してしまう蓮司。

 

あまりにもベタなリアクションにラ・フォリアはクスクスと笑うなか、蓮司は慌てて吹き出したお茶を手早く片付ける。

 

「い、いきなり何を言ってるんだお前は!な、何故オレが、桜井を…!?」

 

「だって、気付けばお二人何時も一緒ですし、しょっちゅうハルナの方チラチラ見てますし?てっきり蓮司はハルナの事が好きなのかと…。」

 

「え?……い、いや、まさか、そんな…いや、アイツの事は修学旅行の件で見方を改めただけであって!決して、そういう目では、って熱ゥッ…!」

 

奮える手つきで急須の御茶を湯飲みに注ごうにも手にかけてしまう蓮司。目に見て取れるように動揺しているのが丸分かりである。

 

「じゃあ、ウラナですか?あんなにも率直に好意をぶつけてますし!」

 

「ウラナは、その…決して嫌っては無いが、えっと…い、妹的な…?」

 

再び淹れ直した湯飲みを口に持って行こうにも、振るえる手つきで持ってる為に中身のお茶がこぼれてしまっている。

 

「へぇ~?だったら…」

 

凛とした佇まいから一変して慌てふためく蓮司。そんな初心な反応を見せる蓮司を面白そうに眺めるラ・フォリアは、蓮司にとって天敵と分かった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は戻り、悠はゼノヴィアに連れられてある店の一角に佇んでいた。

 

意見を聞きたいと言っていたので、服屋か小物店かと思っていたが、悠の予感は見事外れた。

 

「うーむ…悠、どっちが良いと思う?」

 

「ん?…おぉ、黒か紫…随分とアダルトなチョイス…。」

 

ゼノヴィアが両手に持って見せ付けて来たのは、黒と紫の下着。

 

そう、今悠が居るのはランジェリーショップであった。

 

「最近サイズが合わなくなったから新調するついでに勝負下着もと思ってな。勝負下着となるとやはり相手の男性の好みも聞いておく必要があるって。」

 

「ちなみにそれは誰の入れ知恵?」

 

「京から。」

 

「…あー、確か辛党の?」

 

「そう。で、どっちが良いかな?」

 

「うーん………二択なら、紫かな。コッチの黒は少々背伸びしすぎなイメージが…。」

 

「ほう?なら私にはどんなイメージが合ってると言うんだ?」

 

「どんなって…まぁうら若き女子だし、もうちょっと若者っぽいのだと……あ、こんなんどう?」

 

そう言って手に取ったのは青を基調として胸元に小さなリボンをアクセントとした下着一式だった。

 

「コレか…悠はコレを私に着て欲しいと?」

 

「2割センス、8割下心。まぁゼノヴィアの好みに合うかは分らんが。」

 

「…いや、折角選んでくれたんだ。コレも買おう。」

 

悠の手に取った下着に手を伸ばそうとしたが、悠はその手を躱し更にはゼノヴィアの持ってる紫の下着を掠め取った。

 

「この位出しますよ、デートですし。」

 

そう言ってレジに向かって行く悠。ランジェリーショップ内で臆せず堂々しつつ自分の好みを選んで代金を払ってるそのハートの強さに店内の女性店員は内心関心の声を上げる。

 

余談だが、今頃何処ぞの腹黒王女に弄り倒されてる剣士であったら、借りて来た猫状態になっていたであろう。

 

「はい。」

 

「ありがとう…お礼に今度実際着た姿を見せればいいのかな?」

 

「それはイイね、朝帰りになりそうだけど…っと、失礼。」

 

店内から出て丁度悠の携帯が鳴った。鳴った瞬間、イヤな予感を感じながらも渋々電話に出る。

 

「はいもしもし?」

 

<お楽しみの所非常に申し訳ないのだが…仕事だ、それも急用の。>

 

「…悲しいかなぁ、こういう展開に段々慣れてくるのは…場所は?」

 

<位置座標をそっちに送る。キミが一番近い。>

 

「了解…ハァ。」

 

電話を切ると一気にテンションがガタ落ちとなった悠は、頭を掻きながら申し訳なさそうにゼノヴィアに話し掛ける。

 

「…ゴメン、折角誘ってくれてアレだけど…。」

 

「私の事は気にするな。ほら…コレで気持ちを切り替えろ。」

 

当のゼノヴィアは既に割り切っており、悠の後頭部に手を回すと強引に引き寄せて唇を合わせた。

ランジェリーショップの前なだけに店内から黄色い歓声が上がるなか、ゼノヴィアの後押しもあって気持ちを切り替えた悠はクリムから送られた位置座標を目にした。

 

「帰りは…そっちから行った方が良い、遠回りだけど安全ルートだから。」

 

「そうするよ。気を付けてな。」

 

「今度埋め合わせするから!…その時は、ソレのどっちか着て!」

 

「考えとくよ!」

 

駆け足で現場へと向かって行く悠を見送るゼノヴィア。

 

内心残念と思いながらも、小さくなっていく背中を見つめるその瞳にはなんの不安も見られなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼノヴィアと別れ、クリムから送られた位置情報に沿って辿り着いた大通りには、二体のバグスター怪人が待ち構えていた。

 

一体は、水のエル。もう一体はアークオルフェノク。二体が通った跡は破壊し尽されており人々は逃げてった後のようでこの場には悠と二体の怪人しかいなかった。

 

『aaa~~…。』

 

『……。』

 

 

「お前等ってホンット、タイミング悪く出て来るよなぁ…。」

 

<< 真・激情態! >>

 

ウェイドの一件からライドウォッチと化したディケイドライドウォッチを起動させると、ディケイドライバーが装着される。

バックルを展開し、ライドブッカーからカードを引き抜いて自身の前へと翳した。

 

「ま、事態が事態なだけに文句言ったってしょうがないけど──変身。」

 

<< KAMEN RIDE──DECADE! >>

 

「それでも私情を挟まずにはいらねぇ位──機嫌悪いんだよゴラァ!!」

 

『『ッ!!──』』

 

怒号を散らしながら駆けるディケイドに続いてバグスター達も動き出す。

 

先に出て来たアークの拳を受け流し、通り過ぎ様に背中に裏拳を入れて体制を崩させる。

 

その後水のエルはディケイドに長斧・怨念のバルディッシュを振り降ろすが、懐に入り柄の部分を左腕で受け止めるディケイド。

空いた右手でバルディッシュをかち上げ、がら空きとなった胴体に左のストレートを叩き込む。

 

後退る水のエルと代わって背後からアークが再度仕掛けて来るが、ディケイドは目で確認する事無く右足だけを突き出してアークの腹部に蹴りを入れた。

 

「糖分補給したから調子良いねぇ!──ガンガン行くかぁ!!」

 

意気込みを入れた直後、ディケイドライバーから緑色に発光する”ヤリ”という文字がディケイドの前に現れると、光が強くなりやがて一本の槍となってディケイドの手に収まった。

 

<< ジカンデスピア! >>

<< ヤリスギ! >>

 

「あ?…コレって確か、アイツの…。」

 

手に取った槍、ジカンデスピアはウェイドの一件にて出会った仮面ライダーウォズが使っていた武器であると思いだしたディケイドは、何故こうして使えるのか一瞬疑問に感じたが挟み込む形で向かって来る水のエルとアークを目に、時計回りに回転しながらの水のエルとアークを薙ぎ払った。

 

「まぁいいや!使えるんなら遠慮なく!」

 

疑問を振り払い、ディケイドはジカンデスピアを手に水のエル目掛けて駆ける。

 

ディケイドの持つジカンデスピアと、水のエルが持つバルディッシュが衝突し、火花が散る。

同じ長物の武器のぶつけ合いは互角の勝負を繰り広げていた。

 

緑と群青色の軌跡を描きながら激しく打ち合う。ディケイドが突き出した槍の穂先を水のエルがバルディッシュの柄で受け止めると、ディケイドはジカンデスピアのパッチタネルを押した。

 

<< カマシスギ! >>

 

ジカンデスピアから音声が鳴った直後、穂先が90°倒れ槍から鎌へと形状を変えると、鎌になった事でバルディッシュの柄を引っ掛ける事が出来、その後小さく円を描くようにすくい上げる事で水のエルの手からバルディッシュが放れ、宙を舞った。

 

「オラッ!──ハッ!」

 

『ッ~~!!』

 

武器を失った水のエルに肩から腰に掛けての袈裟懸け、切り返し、横薙ぎの三撃を浴びせる。

 

吹き飛んで地面を転げ回る水のエルから、ディケイドは標的はアークに変える。

 

「ウォズの使えるって事は、アイツ等のも──ッ!」

 

<< ジカンザックス! >>

<< You Me! >>

 

「ホラ出た!──そんでもって!」

 

<< リュウガ! >>

<< FINISH TIME! >>

 

ジカンデスピアから仮面ライダーゲイツが使っていた専用武器、ジカンザックス・ゆみモードを手に取ったディケイドは、ウォッチと化したリュウガライドウォッチをジカンザックスへと装填し、アークへと向けて構えた。

 

対するアークも、掌から高エネルギーで生み出した光球をディケイドよりいち早く放った。迫り来る攻撃を前に、チャージを終えたジカンザックスの必殺技を放った。

 

<< リュウガ! ギワギワシュート! >>

 

ジカンザックスから放たれた黒い光矢は、アークの放った光球を貫いて霧散した後、そのままアークの胴体を貫くとアークの体が貫かれた箇所から段々石化していき、やがてアークはただの石像と化してしまった。

 

「そろそろ仕上げよう!──ッ!!」

 

<< ジカンギレード! >>

<< ケン! >>

 

最期を決めるべく次に出したのは二本の剣。仮面ライダージオウが使う、ジカンギレードとサイキョーギレードを合体させた。

 

<< サイキョー! FINISH TIME! >>

 

二本の剣を一つにしたサイキョージカンギレード の刀身が”ジオウサイキョウ”という文字が描かれた巨大な光の剣となり、背後から奇襲を仕掛けて来た水のエルに、振り向き様にサイキョージカンギレードを振るった。

 

<< キング! ギリギリスラッシュ! >>

 

「オゥラァッ!!」

 

『Gaaa…!?』

 

「もういっ、ちょォ!!」

 

振り向き様に水のエルに一閃喰らわせて吹き飛ばした直後、石化して動けないアーク目掛け振り下ろし、完全に粉砕した直後派手な爆発を起こして消滅した。

 

「…フゥ。糖分パワーでアイツ等の武器も使えるとは、流石俺…さて…。」

 

<< ライドヘイセイバー! >>

 

アークを撃破したディケイド。だが、深手のダメージを負ってはいるが、まだ水のエルは健在。

ライドヘイセイバーを取り出し、水のエルにトドメを刺そうと仕掛ける。

 

<< HEY! AGIΩ! >>

 

『aaa…AGI、Ω…?』

 

「夕飯前の腹ごなしにはなったかな?…んじゃ最後バシっと──ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< PAUSE >>

 

全てが静止した世界。

 

刀身が金色に輝くヘイセイバーを持ったディケイドも、虫の息で覚束ない足取りの水のエルも。

 

生きる物だけでなく、音も風も光も、全てが止まってる世界にて、地面を踏みしめる足音が一つ。丁度ディケイドと水のエルの間に入ってきた。

 

 

「───フゥム。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< Re・START >>

 

「ッ!?───グァァアアッ!!!」

 

『ッ!?…──』

 

突如として二つの爆炎が上がった。

 

水のエルは消滅し、ディケイドは変身が強制解除される。

 

「グゥッ…!?なんだ?何時、攻撃された…!?」

 

 

 

 

 

 

「ほんの5秒前さ…。」

 

「ッ!?」

 

一発で変身が解除される程の攻撃に気付けなかった事に気を取られてしまっていたのか、自身の背後に居る存在に声を掛けられるまで気付かなかった悠は、ネビュラスチームガンを取り出して背後を振り返った。

 

背後に立っていたのは…。

 

 

「…仮面ライダー?」

 

「あぁ。御覧の通りさ。」

 

無防備に手を広げているのは、緑と黒のボディスーツとアーマーに身を包み、腰から下は黒いマントを付けており、頭部はエグゼイドとゲンムに似た逆立った頭髪とツリ目、そして悠の目を一番引かせたのが、色違いのバグバイザーに挿したガシャットだった。

 

「スゴイだろう?コアドライピアに続いて、ガシャットもベルトもこの私が一から創り上げたんだ。

今の私は、仮面ライダー…クロノス。」

 

「クロノス?…てかちょっと待て、その声聞き間違えじゃ無ければ…!!」

 

「お察しの通りだよ…。」

 

<< ガッシューン… >>

 

突如現れた謎の仮面ライダー、クロノス。その声に聞き覚えのある悠の疑念に応えるべく、バグバイザーからガシャットを引き抜いて変身を解除した。

 

 

 

「ッ!……番堂!」

 

「フフ…こうして対面するのは、初めて会った時以来かな?少年…。」

 

アベルの手先となっているゴルドドライブ、番堂 天治が、人間の姿で悠の前に立ちはだかった。

 

 

 

 

 







ゼロワンも放送が延期になってしまうんですかね…。それも滅亡迅雷復活!っていい所で…。

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