その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「前回のあらすじ!
アホ上司が企画したお年玉争奪戦バトルが勃発!
それぞれが確かな欲を持ちライダーとなって繰り広げられるサバイバルゲーム!一体どうなる最新話!」

「なぁ灰原、オレが変身してる仮面ライダーキバってどんな仮面ライダーなんだ?どうも親近感が沸いてしょうがないんだが。」

「仮面ライダーキバはその見た目通りモチーフは吸血鬼!元々キバに変身していた紅 渡は人間とファンガイアのハーフという点ではお前と同じだな!」

「じゃあ仮面ライダードライブは?」

「ドライブは俺が変身するダークドライブと同じドライブシステムの仮面ライダーだ!ちなみに変身していた泊 進之介の職業は刑事!脳細胞にギアが入った時と入って無い時はまるで別人だぞ!」

「じゃあお前の変身するバースってのは?」

「仮面ライダーバースはセルメダル回収用に造られたサブライダーだ!
変身者は一億稼ぐ戦う医者こと伊達 明と、マニュアル大好き石頭の後藤 慎太郎が変身していたんだ!」

「色々いるんだなぁ仮面ライダーって、実際どの位居るんだ?」

「平成と昭和を合わせて、サブもダークもカウントすれば、軽く100はいってるな。」

「そんなに!?ていうか、昭和って?あとサブとかダークとかってのは?」

「一々答えたら時間掛かるから今日はここまで!
それじゃあ本編始めるぞ!」





大穴

VR空間にて行われているお年玉争奪戦という名のライダーバトル。

 

ある者は賞金の為、ある者は腕試し、またある者は仮面ライダーに変身してみたい等、様々な欲望を抱いて行われているライダーバトルは、白熱とした盛り上がりを見せていた。

 

 

 

 

 

「ホラホラどうしたァ!逃げてばっかかぁ?…”カチッ!カチッ!”あ、やっべ。」

 

「ッ!──弾切れ!」

 

<一気に近づけ!>

 

<< SP,SP,SPEED! >>

 

バースバスターの派手な発砲音が突如として引き金を引くだけの寂しい音になった。バースバスターの弾となっているセルメダルが切れたのをドライブは見逃さず、シフトブレスを操作して一気に加速しバースへと接近。

 

「ハッ!──」

 

「おっと!──オラッ!!」

 

「いッつ!?──そんな使い方もアリかよ!?」

 

「分かってねぇなぁ。」

 

肉薄し拳を繰り出すドライブに、バースバスターを盾に防ぎそのまま殴り掛かって行くバース。銃を鈍器の様に扱うバースにドライブは思わず異議を申し立てるも、当のバースは新たにセルメダルを装填していた。

 

「何でもありだよ、ライダーバトルなら尚更な!」

 

「おぉ!?」

 

久しく弾切れと言う概念を忘れてたバース。今度は装弾数をキッチリと把握した上で、ドライブへ向けての銃撃戦を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉ!?──クッ!」

 

「セェイッ!!」

 

「ッ!なんッ、のぉ!」

 

「ッ!───グァッ!!」

 

吹き飛ばされる龍玄に追撃を仕掛ける為、エンジンブレードを振り下ろすアクセル。

 

倒れてる龍玄は振り下ろされるブレードを蹴り上げ、一瞬の内がら空きとなった腹部にブドウ龍砲の光弾を放つ。

 

腹部を抑えて後退するアクセルに龍玄は光弾を連射しながら接近。被弾するアクセルに龍玄は飛び蹴りを見舞わせる。

 

「グゥッ!──」

 

「へッ!一気に終わらせてやる!」

 

<< ブドウスカッシュ! >>

 

カッティングブレードを倒し、撃鉄を引いてチャージ。ロックシードからのエネルギーが集まっていく6つの銃口がアクセルに向けられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソイヤァ!!」

 

「フンッ!──ハァッ!!」

 

圧倒的に上回ってるスピードを駆使し、アクロバティックな動きで翻弄しながら二本の風魔双斬刀で斬り掛かって行く風魔。

 

風魔のスピードを駆使した高速の剣を前に、スピードで負けているイクサは逆にその場を一歩も動かずイクサカリバーを振るっていた。

持ち前の反射神経と、川神院で鍛え上げられた直感という第六感を最大限使い、風魔の斬撃を防いでいたのだ。

 

「ヒュー♪思ったよりやるねぇゼノヴィア!」

 

「これで全力か!?段々と目が慣れてきたぞ!」

 

「お?言ってくれるねぇ──だったら!」

 

イクサの煽りに乗せられたか風魔は風魔双斬刀を背中の鞘に納めると、代わりに取り出したのは忍者の伝統的飛び道具である、十字の手裏剣であった。

 

「ム!」

 

「こっからは遠慮なくいっちゃうよ──ニンニン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいィィィッ!!」

 

サーベル型の剣、ベノサーベルを振るう王蛇。

まだ幼い声掛け声とは裏腹に、荒々しく野生の獣のような動き。ベノサーベルを振るう王蛇の姿は、正に血に飢えた獣と言って差し支えない。

 

「フッ!──ハァッ!」

 

「う゛ぅッ!?」

 

王蛇のベノサーベルの剣戟を前に最小限の動きで躱し、ブランバイザーによるカウンターの突きで王蛇にダメージを与えるファム。

 

動と静。正に対照的とも言える二人の戦闘スタイルのぶつかり合いは、客観的に見て冷静に立ち回っているファムの方が上回っていた。

 

「そんな勢い任せの攻撃、どうぞ反撃してくださいと言っている様なモノですよ?初めて扱うその力、上手く使いこなせていないようですね。」

 

「むぅ~~ッ!!じゃあコレっぽい!」

 

<< STRIKE VENT >>

 

<< SWING VENT >>

 

剣による真っ向勝負では分が悪い王蛇は、盾として使えるメタルホーンと中距離からの攻撃が可能のエビルウィップを召還し装備する。

 

「そちらがそう来るなら…。」

 

対するファムも、バイザーを腰に差しデッキから引き抜いたカードを装填する。

 

<< SWORD VENT >>

 

バイザーにカードを読み込ませると、晴天から現れた巨大な白鳥型モンスター、ブランウイングがファムの上空を通過していく途中でファムの元に落とした薙刀型のウイングスラッシャーを手に構えた。

 

「ウォーミングアップは終わりです、ここからは本気で相手になってあげましょう。」

 

「ぽい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー…みんなすっげぇ。」

 

『おいィィ!なに吞気に見てんだよお前は!?』

 

たった一人、9人という奇数の為残されたキバこと古城は、激化していく四組の戦いを眺めるしか出来なかった。

 

「いやだって、あんな中に割り込んでいくのもなんか、なぁ?…空気読めって言われそうだし…。」

 

『お前ルール理解してるのか!?バトルロワイヤルだぞ!バトルロワイヤル!!

奇襲不意打ち何でもアリだぞ!?初っ端からデカイのぶちかましても文句なしのゲームなんだぜ!?』

 

「だけどなぁ…「ぽいィィィィッ!?」…うわッ!?」

 

「うぅ~ッ、流石神通さん…ぽい?」

 

キバットの助言に躊躇いを見せるキバの元へ、独特の悲鳴を上げて吹き飛ばされた王蛇が。王蛇はキバと目が合うと首を傾げながら訪ねて来る。

 

「もしかして、余っちゃったっぽい?」

 

「お、おぉ。」

 

「へ~…じゃあ夕立がなんとかしてあげるっぽい!」

 

<< ADVENT >>

 

「へ?──うわッ!?」

 

王蛇はベノバイザーにカードを読み込ませると、呆けるキバの背中に強烈な突進が襲い掛かってきた。

 

地面に倒れ減っていくHPのゲージを見て、自分は攻撃を受けた事に気付くキバは背後を振り返ると、そこには荒い息でいかにも興奮している二足歩行のサイ型モンスター、メタルゲラスがキバを獲物として睨みつけていた。

 

「コイツッ、灰原の…!」

 

「その子貸してあげるから、神通さん倒すまで遊んでてっぽい!」

 

「えぇ!?」

 

『前見ろ古城!来てる来てる!!』

 

「えッ──グァァァッ!?」

 

王蛇が召喚したメタルゲラスの突進を受けて吹き飛ばされるキバ。

 

思い掛けない形でキバもライダーバトルへ本格的に参戦したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

<< SP,SP,SPEED! >>

 

バースのバースバスターの光弾を高速移動で掻い潜りながら接近していくドライブ。

 

バースとの間合いを詰め、懐に入り込んだドライブはバースに左のストレートをかましていくも、バースはこれを簡単に見切り、顔を反らすだけで躱しバースバスターの銃口をドライブの胸部に押し付けて、ゼロ距離で光弾を発射した。

 

「グァッ!!──グッ…なぁベルトさんよ!こっちにもなにか武器ないか!?出来れば銃!」

 

<それならコレを使いたまえ!>

 

「ッ!──コレは…!ドア?」

 

ドライブの手元に現れたのは、一丁の赤い銃。

 

ただそのモデルが、車のドアと銃を合体したようなデザインに仮面の下で思わず目を見開いてしまう。

 

<ドライブ専用武器、名をドア銃だ!>

 

「名前まんま過ぎやしないか!?」

 

<データベースにそう載っているから文句を言っても仕方あるまい。

銃撃戦で行くなら、タイプスピードからタイプテクニックに乗り変えたまえ!>

 

「テクニック?──ッ!コレか!」

 

クリムのアドバイス後にやって来たシフトカー、シフトテクニックをブレスのシフトスピードと入れ替えレバーを倒すと、たすき掛けしていたタイヤがバースの元に飛んでいった。

 

<< DRIVEtypeTECHNIC! >>

 

赤いスポーツカーから鮮やかな緑の作業車を思わせるボディに変わり、首と胸部の間にタイヤが横向きに駆けられる。

タイプスピードより精密性な作業に長けたタイプテクニックにファームチェンジを果たすと、スピードタイヤによって牽制されているバースにドア銃の銃口を構えた。

 

「ッ!タイプチェンジしやがったか!」

 

バースはバースバスターのセルメダルを満タンに装填するとタイプテクニックにチェンジしたドライブに向けて光弾を発射。

 

対するドライブは迫り来る光弾を前に慌てた様子など一切見せず、ドア銃を発砲。

 

バースの放った光弾を、ドア銃の弾丸で撃ち抜くという神業を見せるドライブ。それだけに収まらず、弾切れを起こし装填し直すバースの手からポッドを撃ち抜いて隙を見せたバースにようやくダメージを与えHPゲージを減らした。

 

「──ッ!さっきの…オレ、ヒステリアになってねぇのに…。」

 

<コレがタイプテクニックの能力だ、精密機械の様に的確な行動を迅速に行えるのだよ!>

 

「スゲェなドライブ…よしこのまま!──アレ?」

 

ドライブの性能に舌を巻くキンジは、追撃を仕掛けようとドア銃の引き金を引くも、銃口から弾丸が発射されなかった。

 

<弾切れだ!ドアを開いて閉じれば弾がチャージされる!>

 

「んだよその仕様──こうか!」

 

<< 半ドア! >>

 

「え?」

 

<< 半ドア!半ドア!半ドア! >>

 

<ちゃんとドアを閉めないからそうなるのだ!>

 

「マジでなんなのその仕様!?必要なの!?」

 

ドア銃のシステム設定に疑問を申しだすドライブを前に、バースはバースバスターを捨てるとセルメダルをドライバーへと装填した。

 

「やっとそれらしくなってきやがったな!」

 

<< CUTTER WING >>

 

バースの背部カプセルが開き、背中にカッターの翼で出来た飛行ユニットが装着されると、バースはそれを取り外しブーメランの様にドライブに向けて投げた。

 

「ッ!──この程度!」

 

ドライブは投げられたカッターウィングにチャージを終えたドア銃を発砲。カッターウィングをあらぬ方角へ弾くが、その次に来たのは、土煙を上げて此方に向かって来るバースだった。

 

<< CATERPILLAR LEG >>

<< SHOVEL ARM >>

 

左手に巨大なショベルと、両足に着いたキャタピラを装着したバースは迎撃するドライブの銃弾をショベルを盾代わりに防ぎながら距離を詰めていく。

 

「捕まえ──たァ!」

 

「ッ!──ガァァァッ!?」

 

ドア銃を持つドライブの腕をショベルで掴み取りると、キャタピラに包まれた右足を上げてドライブの体に押し当てる、高速で稼働するキャタピラがドライブのボディを削りHPゲージを徐々に減らしていく。

 

「オゥラァッ!」

 

「グゥッ!!」

 

その次に掴んでいた腕を放し、ショベルで思いっきり殴り飛ばす。

 

その一撃がかなり効いたか、ドライブのHPは半分を切った。

 

「ヤベェ、もう半分切っちまった!…ベルトさんよぉ!何か手はねぇのか!?」

 

<向こうは接近戦で決めるつもりだ、ならば此方も接近戦で迎え撃とう!タイプワイルドに乗り換えるんだ!>

 

「分かった!」

 

「へぇ…。」

 

 

<< DRIVEtypeWILD! >>

 

ドライブはタイプテクニックからパワーに特化した黒い4WDのようなボディとなり、右肩に立て向きにタイヤが掛けられたタイプワイルドへとフォームチェンジを果たすのを、余裕の表れで眺めるバース。

 

タイプワイルドへとチェンジしたドライブの元に飛んで来た一本の剣。ソレを目にしたドライブは、そのデザインにまたも唖然する…。

 

「今度はハンドル…ハンドル剣か?」

 

<ほぉ、よく分かったね。>

 

「そりゃドア銃何てモン来たらなぁ。」

 

<それと彼にも来てもらおう…カモン!ダンプ!>

 

ハンドル剣の次に来たのはダンプカーのシフトカー、ランブルダンプ。

ドライブはブレスのシフトワイルドからレバー状態のダンプへと入れ替え、レバーを倒した。

 

<< タイヤコーカン! >>

<< RUMBLE DUMP! >>

 

右肩のタイヤが黄色いタイヤへと変わり、更にドライブの左手にドリル型武器、ランブルスマッシャーを装備された。

 

「おぉドリル!…なんかメッチャ強そう!」

 

<気の所為か、声が弾んでないかね?>

 

「ドリルなら──こっちにもあるぜ!」

 

<< DRILL ARM >>

 

対するバースは右腕に巨大なドリルを装着。

態々自分と同じ武装して来たバースの態度に、遊ばれていると思ったドライブは絶対一矢報ってやると決心しながら向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< ブドウスカッシュ! >>

 

「いっけぇ!──」

 

龍玄が放った必殺技、ドラゴンショットがアクセルに向けて発射。

 

無数の光弾の後に続く龍と化したのエネルギー弾がアクセルに向かっていく中、アクセルはドライバーのアクセルメモリを外すと、何処からか取り出した銀色のアイテム、[ガイアメモリ強化アダプター]をアクセルメモリに挿した。

 

<< ACCELL! UPGRADE! >>

 

「えぇ!?おまッ、ソレ!!」

 

<< BUSTER! >>

 

アダプターを挿したメモリを再度ドライバーへセットすると、アクセルのボディの色が赤から金色へ、胸部、背部、肩、脚部の飛行用ブースターが火を噴いて、アクセルを空中へと飛び立たせたアクセルの強化フォーム。ブースターアクセルは、龍玄のドラゴンショットを不発に終わらせた。

 

「オイィ!トライアルすっ飛ばしてブースターとか、大人げねぇぞロン毛!」

 

「真剣勝負に大人げも加減も不要だ。倒すからには──常に全力だ!」

 

「ッ!──グァッ!!」

 

飛行が可能となったアクセルはブースターを吹かして龍玄へ向かって急降下。

猛スピードで向かって来るアクセルの攻撃を避けられないと察した龍玄はブドウ龍砲でブレードを受け止めるも、アクセルの腕力とブースターの推進力が加わった一振りは龍玄のガードを軽々と突き破り、HPゲージを減らしていった。

 

「つ~ッ!…あぁそうかよ。

だったらこっちもガチでいってやるぜ!」

 

「ッ──それは。」

 

ブースターをなったアクセルに感化された龍玄が取り出したのは、ゲネシスコアとエナジーロックシード。

 

戦極ドライバーのフェイスプレートを外し、ゲネシスコアを嵌めると尽かさずエナジーロックシードを開錠した後、ゲネシスコアへとロックシードを嵌めると、ブドウロックシードが自動で閉まった。

 

<< ドラゴンフルーツエナジー >>

<< LOCK ON! >>

 

龍玄のブドウアームズが一旦離れ、新たにクラックから出現したドラゴンフルーツアームズと合体すると龍玄は再びカッティングブレードを倒すと、ブドウロックシードと連動してドラゴンフルーツエナジーロックシードも開き、アームズが龍玄に被された。

 

<< ハイィー!──MIX! >>

<< ジンバードラゴンフルーツ!──ハハァ! >>

 

「オラッ!」

 

展開されたアームズは武将が纏う陣羽織を思わせるアームズとなり、近接と矢による遠距離射撃が可能なアームズウェポン、創生弓ソニックアローを手にした龍玄の強化形態、ジンバードラゴンフルーツアームズとなった龍玄は、空にいるアクセルに向けて矢を放つ。

 

「ッ!──フンッ!」

 

アクセルは第一射の矢を横にズレて回避した後、続けて第二、三射の矢をブレードを振るって払われると、龍玄はエネルギーをチャージさせ、アクセルの頭上目掛け矢を発射。

 

すると矢はアクセルの頭上で赤いドラゴンフルーツとなり、真下に居るアクセルに向かって無数の矢が降ってきた。

 

「何ッ!?──グァァッ!!」

 

頭上から降って来る無数の矢を捌き切れず地上に落ちていくアクセル。

 

空から地上へと引き釣り降ろされたアクセルに向かって駆ける龍玄。ソニックアローのアークリムを振り下ろし、ブレードを前に出して防ぐアクセルとつば競り合いになる。

 

「へッ!空から引き釣り降ろせばコッチのモンだぜ!」

 

「ッ…舐めるなッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イクサと風魔の一騎打ちの戦いは、互角の戦いから一方的なワンサイドゲームへとなりつつあった。

 

手裏剣と言う投擲武器を交えた風魔の攻撃にイクサは苦戦を強いられる。前から斬り掛かって来ると思いきや、瞬時に目の前から消えたら背中に手裏剣を投げられ、防いだとしても怯んだ所に双斬刀の斬撃に見舞われる。

 

この調子でイクサのHPゲージが徐々に減っていき四分の一を切った所で、対する風魔は未だ満タンゲージ。客観的に見て、勝負は風魔の方へ傾いていた。

 

だが風魔は、優勢な現状に対して余裕な様子は無く、むしろ未だイクサカリバーを構えるイクサに対して警戒心を強めながら攻めていた。

 

元から戦場に立つ彼女は知っているのだ。手負いの獣を前に決して油断してはならないと。少しでも隙を見せてしまえば、一瞬の内に首元を噛み付かれると。

 

それに何より窮地に追いやられてるイクサからヒシヒシと感じるのだ。この現状を一発で変える、逆転の一手を狙っているのに。

 

(さ~て、ゲージも大分減ったし、そろそろキメに行くか…どう来るか分かんないけど、離れた所で必殺技を出せば…!)

 

風魔は決着を着けるべく、イクサと距離を取った所でドライバーからガシャットを抜き、キメワザホルダーへと挿し込む。

 

<< ガッシャット!──キメワザ! >>

 

「ッ!───ウオォォッ!!」

 

(来た!でも…遅い!)

 

風魔の持つ双斬刀の刃にガシャットのエネルギーが送り込まれるのを目に、イクサは一目散に駆けた。

 

風魔が予想してた通り何か策を考えて居たようだが、イクサと風魔の間に空いてる距離の長さは、7m。仮面ライダーのスペックで走ったとしても、風魔が必殺技を出すまでに辿り着くには間に合わない。

 

これから放つ必殺技も当てる相手がこっちに近づいて来てるから外す心配もない。勝った。風魔は技を放つ直前、心の中で己の勝利を確信した。

 

「───そらッ!」

 

「え───。」

 

その確信がブレてしまったのは、イクサが今まで手放す事無かったイクサカリバーを上空に向けて放り投げたからだ。

 

僅かに反応が硬直した風魔をイクサは見逃さなかった。

スライディングで地面を滑りながらベルトのナックルを外し、風魔の懐に入るとナックルから強力な電磁波を帯びた一撃を風魔に叩き込んだ。

 

「ガッ!?……ッ!」

 

「見えたぞ、勝機!」

 

初めて入ったダメージにたじろく風魔を前に、放り投げたイクサカリバーをキャッチするとベルトに挿してるカリバーフェッスルを読み込ませた。

 

<< イ・ク・サ・カ・リ・バー・ラ・イ・ズ・アッ・プ >>

 

「ハァァァ──ッ!」

 

「ッ!眩し…ッ!!」

 

イクサの背後に燃え盛る日輪が浮かび、その眩い光に風魔が思わず手で目元を隠してしまう。

 

赤く灯った刀身を振るって放たれる一撃、イクサジャッジメントが風魔を一刀に切り伏せ、HPゲージを0にした。

 

「あ…やられ、ちゃった?」

 

「あぁ。私の勝ちだ。」

 

「…アハハ、悔しいなぁ。折角悠と同じライダーになれたのに…。」

 

「…さっき見せたヤツだが…。」

 

「?」

 

「アレ、前に悠と鍛練した時に見せてくれた技なんだ。意外と使えるぞ、って。教えてもらった。」

 

「…ズルいなぁ、私教えてもらって無いよ…。」

 

「フッ…コレでお相子だ。」

 

「そっかぁ、なら、しょうがないや…──。」

 

<< GAME OVER >>

 

風魔が消えて、一つの戦いが終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ!!」

 

「ぽいィィィィィッ!?」

 

ファムはウィングスラッシャーを巧みに扱い、武装してた王蛇を無力化させる迄に追い込んでいた。

 

王蛇は減っていく自分のゲージと平然と構えるファムを見てイヤでも思い知らされる。

 

自分とファム、神通とどれだけの差があるのか。艦娘としても仮面ライダーとして戦っても今の自分では到底勝てない事を。

 

「夕立さん。貴女は駆逐艦の子達の中では好戦的故に優秀ですが、それは貴方にとって欠点とも言えます。それは詳しく言わずとも、もうお判りでしょう?」

 

「うぅ~~ッ……はい……でも!まだ終わってないっぽい!」

 

<< FINAL VENT >>

 

せめて一矢だけでもと、王蛇はベノバイザーにカードを読み込ませるとやって来たエビルダイバーに乗ってファムへと向かって行く。

 

「その意気は良し。ですが、その技は悠さんのを見て既に学習済みです。」

 

<< ADVENT >>

 

「ッ!!──」

 

向かって来る王蛇とエビルダイバーの真下から、水飛沫を上げて現れたブランウイングが体当たりをして王者の必殺技を無効とした。

 

宙に舞い上がってしまった王蛇。だが、未だその闘志は消えてはいなかった。

 

「まだあるっぽい!」

 

王蛇は落下しながらデッキからコブラのエンブレムが描かれたカードを引き抜く。

原典の王蛇が契約したモンスターは三体。故にファイナルベントのカードも三枚ある為、王蛇はまだ必殺技を二回出せるのだ。

 

王蛇という仮面ライダーの長所を活かして何としてでもファムに一撃入れようとする王蛇の執念。カードをバイザーへと入れようとする王蛇の手に、ファムのバイザーであるブランバイザーが刺さり、カードを手から離れさせた。

 

「あ……。」

 

「貴女ならそうすると思ってましたよ。」

 

手から離れてったカードから声をする方へ目を向けると、そこには跳んで王蛇の元まで来たファムがウィングスラッシャーを振り翳していた。

 

左の肩口から腰まで斬られた、ゲージが0へとなった時、王蛇はファム、神通に向けてのリベンジを強く胸に抱いて消えてった。

 

<< GAME OVER >>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあぁぁッ!!」

 

『古城!大丈夫か!?』

 

「な、なんとか…。」

 

一方、王蛇の召喚したメタルゲラスを相手に立ち回るキバは、その突進力を強固な体に歯が立たず、吹き飛ばされているばかりであった。

 

『このままじゃ一方的にタコ殴りだぜ!どうにかして反撃だ!』

 

「あぁ!やられっぱなしは癪に障るぜ!──ッ!」

 

キバットの言葉に同意したキバは、右手を強く握りしめ頭上に翳した後、声高らかに叫んだ。

 

「疾く在れ!五番目の眷獣───“獅子の黄金”──!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……なに、やってんだ、お前…?』

 

「あ…しまったつい何時もので──グォォッ!?」

 

 

 

 

 

 

「なに、やってんのよあのバカ…!」

 

「?…古城くん何がしたかったんだろ?雪菜ちゃん分かる?」

 

「さ、さぁ?なんで、しょうね、アハハ…。」

 

 

 

 

 

 

 

『しょうがねぇ!こんなヤツに使いたくなかったが!──ドッガハンマー!』

 

「な、なんだ!?」

 

キバットが鳴らした紫の笛、ドッガフエッスルの音色に狼狽えるキバの元に紫の彫刻、魔鉄槌ドッガハンマーがハンマー形態になるとソレを恐る恐る掴んだキバの両腕、胸部が重装甲なモノに変わり、キバとキバットの目の色が紫へと変わる。

 

吸血鬼からフランケンシュタインを思わせる驚異的なパワーと防御力に優れたキバの複数あるフォームの一つ、ドッガフォームへとフォームチェンジを果たした。

 

「ッ!……紫になった!」

 

『色が変わっただけじゃないぞ!ホレ、前々!』

 

「?…うおッ!」

 

フォームチェンジしたキバの余韻に浸る間を与える暇なく、突進してくるメタルゲラス。

 

真正面から向かって来るメタルゲラスに反射的に手を前に出す。

 

「…?──なッ!」

 

先程まで一方的に吹き飛ばされてたキバだったが、今目の当たりにしてるは咄嗟に出した片手で止められてるメタルゲラスがいた。

唸り声を上げて、地面に溝を掘る程足に力を入れるが、ドッガフォームとなったキバのパワーの前では歯が立たず。完全に形成が逆転した。

 

『なにボサっとしてんだ!ハンマー振れ!ドガーン!と振れ!』

 

「お、おう!───オウリャアァ!!」

 

止めていた片手を振り払い、両手持ちでメタルゲラスの顎下から思いっきりドッガハンマーを振り上げるキバ。

 

キバの渾身の一撃が完全に入ったメタルゲラスは空高く打ち上げられた。その光景を前にキバは思わず唖然とした。

 

先程まで力負けしてた相手を逆に自分が力で手玉に取っている。吸血鬼となって眷獣を率いて目の前の脅威を掃って来た古城だが、疑似的に仮面ライダーになっているとは言え、眷獣を出さずに、力を得た自分の手で脅威を打ち払ってる実感を味わってる古城が感じた感情は───恐れだった。

 

当初、吸血鬼となった自分が自身に対して抱いた感情。強大な力を持っているが故にその重さに耐えきれなくなった時に抱いた感情が今、この時再び芽生えたのだ。

 

(アイツは…アイツ等も、こんな気持ちで戦ってるのか…?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウラァッ!!──ドラッ!」

 

「クゥッ!──このッ!!」

 

掘削するドリル同士のぶつけ合いを繰り広げるバースとドライブ。

 

耳に響く金属音と派手に散る火花を浴びながら互いに一歩も引けを取らない攻防戦。時折ハンドル剣も駆使してバースに斬り掛かるも、バースは右手のドリルだけで対処していた。

 

「フッ!──思ってた以上にやるじゃん!」

 

「このッ!──余裕で捌いてッ、嫌味にしか聞こえねえよ!」

 

「そうか?純粋に褒めてやったんだが──オラァッ!」

 

「クッ!──そういう所だっつうんだよ!」

 

<落ち着け!挑発で冷静を掻かれてるぞ!>

 

 

 

「ソラッ!──当たれやッ!」

 

<< ENGINE >>

<< JET! >>

 

「ムンッ!──セェァッ!!」

 

龍玄はアクセルが飛ばない為にソニックアローを射る手を止めず、アクセルもエンジンブレードに疑似メモリのエンジンメモリを装填し、熱気を帯びた斬撃を飛ばして応戦する。

 

 

 

 

 

 

『キバっていくぜぇ!──WAKE UP!──』

 

「ッ!───オウリャアアアァァッ!!!」

 

キバはキバットの吹くウェイクアップフエッスルによってカテナによって拘束された右足のヘルズゲートが解放されると、キバは跳び上がった。

 

そして何度か見た光景を頭に浮かべて、自身も同じようにメタルゲラスに向けて右足を突き出す。

 

キバの必殺技、ダークネスムーンブレイクがメタルゲラスに炸裂し爆散。地面に着地し、再びカテナがヘルズゲートを閉じる映像を、現実世界で端末越しに見る神太郎は、少し浮かない顔をしていた。

 

(まだだ。全然足りない。

今までの彼等の戦闘データと、今行ってるゲームのデータを合わせてもたった2割程度…これでは例のガシャットの完成は夢のまた夢だ…。)

 

神太郎にとってこのゲームは余興ではなく、あるガシャットの開発の為に行ってる戦闘データの収集だった。

 

ソレが完成すれば、アベルのゲムデウスを意図も容易く攻略できる正に無敵の切り札と言えるアイテムの開発は楽な道のりでは無いと知りながらも、難航しているこの現状に不満を抱かずにはいられずにいた。

 

(さてはて、コレはどうしたものか…。)

 

この問題をどう解決すべきか悩む神太郎は、コーヒーの入ったカップを手に口に運ぼうとするが…。

 

 

「アタシもやりたーい!」

 

「ぶふォ!?」

 

「こらウラナ!」

 

突如神太郎の背後から強い衝撃が奔り手に持ったカップを落としてしまう。

 

神太郎に体当たりをかまして来たのは腹痛でダウンしていたウラナで、痛みが治まり、ゲームへの参戦を神太郎に訴え出たのだ。

 

「ズールーいー!アタシ抜きで楽しそうな事するなんてズゥールゥーいィーッ!アタシもやりたーい!!」

 

「ふ、復活したウラナくんはまた一段と元気……アァァァァァァァァァァァッ!?!?!?!?」

 

「何ッ!?…ってああああああああッ!?!?!?」

 

ウラナが背後からぶつかってきた所為で神太郎の手から落ちたカップが、中身のコーヒーをぶちまけて端末のキーボードに盛大にかかってしまい、尋常ない程の絶叫を上げる神太郎。

 

すぐさま中身のデータを確認する。特に開発中のガシャットのデータが無事かどうかを確認した所、幸い何とも無かった為に心から安堵の溜息を吐いた神太郎。

 

「よかった!マジでよかった!!アレが消えたら正に一生の終わり……あ。」

 

ガシャットのデータが消えて無かった事に安堵するが、他のシステムに異常が無いかチェックしていた所、現在進行形で問題が発生していた。

 

その問題は、主にVR内の彼等に降りかかるが…。

 

 

 

 

 

<< CELL BURST! >>

 

「ブレストキャノン──ッ!」

 

<< ヒッサーツ! FULL THROTTLE! >>

<< RUMBLE DUMP! >>

 

「ハァッ!──」

 

 

<< ENGINE MAXIMUM DRIVE! >>

 

<< ブドウスパーキング! >>

<< ジンバードラゴンフルーツスパーキング! >>

 

「「ハァァッ!───」」

 

 

バースのブレストキャノンとドライブのハンドル剣による斬撃。龍玄の矢とアクセルの斬撃が衝突し、その衝撃の余波でお互いに一歩引くバース、ドライブ、龍玄、アクセル。

 

その光景を離れた所で見るイクサ、ファム、キバの三人。休息と漁夫の利を狙っての観察だったが、互角の勝負を繰り広げるバース達の戦いに何時の間にか目を奪われていた。

 

「うむ、流石としか言いようが無いな。」

 

「えぇ。私としては遠山さんも相当凄いと思います。

クリムさんの補助もあるでしょうけど、悠さんとあそこまで戦えるとは…。」

 

「勝てる気がしねぇ……うん?」

 

バース達の戦いを見ていたキバだったが、突然現れたオーロラカーテンの存在を見付ける。

 

「なぁキバット、アレって何かの演出か何かか?」

 

『ん?いや、そんな報せは一切来てないぜ?』

 

「何かのトラブルでしょうか?」

 

何かしらのアクシデントを疑うファム。ノイズが奔る不安定なオーロラカーテンにバース達も気付き、手を止めてオーロラを警戒しながら注視し始めた。

 

「なんだ…桜井かウラナが飛び入り参加でもすんのか?」

 

「ウラナはともかく桜井がそんな事をするとは思えないが…。」

 

「…ッ!見ろ!何か出て来るぞ!!」

 

ドライブが指差すのは、オーロラの中からこちらに向かって来る人らしき四つの影。

 

やがて中から姿を現してきたのは、四人の仮面ライダー。ハルナでもウラナでも、神太郎でも無さそう雰囲気を漂わせるライダーの出現に参加者のライダー達は戸惑いを隠せずにいた。

 

「なんだヤツ等は?」

 

「仮面ライダー、だよな?…ん?アレ確かどっかで見た事あるような…?灰原?」

 

「?オイ弟。何を固まってる?ヤツ等を知ってるのか。」

 

「ゆ…悠兄さん、オレ達…。」

 

「…あぁ。俺達、もう…。」

 

バースと龍玄は現れたライダー達を知ってるのか、仮面の下では青い顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「仮面ライダー──BLACK!」

 

「オレは太陽の子!──仮面ライダーBLACK!RX!」

 

「悲しみの王子!──RX!ロボライダー!」

 

「怒りの王子!──RX!バイオッ、ライダー!」

 

 

 

 

「「もうダメだぁ、お終いだぁ…!」」

 

別名、”公式チート”の”出現にこのゲームの結末が見えた二人であった。

 

 

「誰だか知らぬが、勝負の邪魔立ては許さんぞ!」

 

「どうやら彼方を片付けなければいけないようですね!」

 

「アレって、倒すべき、か?」

 

『悩むくらいなら、いっその事行っちまえ!』

 

「…よし行くぞ!!」

 

「オレも勝負の邪魔を許す程優しくは、無い!」

 

 

「お、おおい彩守!…行っちまったぞ?」

 

<あー…行っても行かなくても結果はもう見えてしまってるがね。>

 

 

 

 

 

 

 

「…神太郎さん、コレって…。」

 

「うん…キミ達が前に受けたのと更に上のEXランク。さっきので設定が固定されちゃったみたいで…。」

 

あの時のトラウマが再発したのか、体が小刻みに震えて冷や汗が流れ出るハルナとウラナ。

 

だが端末に映し出されてる映像は、あの時の惨劇を軽く凌駕する映像が映し出されていた。

 

 

 

 

 

「キングストーンッ、フラァァッシュ!」

 

「ウアアアアアァァッ!!──」

 

<< GAME OVER >>

 

 

「ボルティックシューターッ!」

 

「キャアァッ!──」

 

<< GAME OVER >>

 

 

 

 

「バイオアタァックッ!」

 

「ッ!刃が通らな──」

 

<< GAME OVER >>

 

 

 

「リボルケインッ!」

 

「『ガハッ…!───』」

 

<< GAME OVER >>

 

 

 

 

「…どうする?悠兄さん。」

 

「このまま突っ立ってやられるか、向かって返り討ちに合うかか?

…カッコよく死のう。」

 

「賛成…行くぞゴラァァァァッ!!」

 

「オラァァァァァッ!!」

 

 

 

<<<< GAME OVER >>>>

 

 

 

 

 

 

 

「えー、とんだアクシデントがあって、皆さん全滅してしまいましたがー。」

 

現実世界に戻った9人の前に立つ神太郎。システムの誤作動と言うアクシデントが起きた為にやり直しが効くと思っているが…。

 

「えー、皆さんは当然この結果に納得がいかず、ゲームをやり直したいと思っているでしょうが…なんとこの結果をドンピシャで当てた子がいるのでやり直しはしません!」

 

 

「「「「「「「「「…えぇ!?」」」」」」」」」

 

 

 

「ハイという事で、賞金を贈呈しまーす。無駄遣いは程々にね、夏音ちゃん。」

 

「あ、ハイ…ありがとうございます、でした。」

 

「しかも当てたの夏音!?」

 

「えっとぉ…誰に書いていいか迷ってたら、時間切れちゃって…。」

 

「それでもこの結果を当てたのなら、賞金は夏音ちゃんに挙げなきゃ!

あー、ちなみに意義がある人は?」

 

神太郎の意義の有無に、誰も手を挙げなかった。

 

「じゃあお年玉争奪戦はコレでお終い!ハイ解散!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして新年会が終わり、悠はリビングンのソファーでゆったりと過ごしていた。

 

「──ハァァ。なんか、変に疲れたな。」

 

「あ~んゼノヴィアに負けちゃったぁ、悠慰めて~。」

 

「全然元気じゃねぇかよ…。」

 

「あ、悠さん。ポストに年賀状届いてましたよ。」

 

「年賀状?…誰からだ?──ッ!」

 

神通から受け取った年賀ハガキを受け取り差出人を見ると、悠の目がこれまた大きく見開いた。

 

「?誰から来たの?」

 

「………アベルから来た。」

 

「「…えぇ!?」」

 

悠から告げられたまさかの過ぎる相手に川内も神通も揃って声を上げる。

 

悠と共にハガキの裏面を見ると、そこにはビーチの砂浜でアロハシャツ着たアベルがチェアに寝転んだ写真が。

如何にも、余裕綽々と正月休みを満喫しているその写真に、悠は青筋を立ててハガキを握りつぶした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所はバベルの塔の中。

 

アベルが今居る場所は塔の中なのに、青空だけでなく潮風すら忠実に再現された砂浜でのんびりとしてるアベル。

 

そんな彼の元に歩み寄る人影が。

 

「ん~?何か用?」

 

『ハァ…キミのする事に一々口出す気は無いが…態々敵の所に年賀状出すヤツが居るのかい!?』

 

「ハハ、敵と言え長い付き合いだからねぇ、その辺の礼儀はちゃんとしてあげようと思ってね♪」

 

『だからといって年賀状って…ハァ、もういいよ。ボスはキミだから好きにするがいいさ。』

 

「…それはそうと、キミに与えてやった正月休み、どう過ごしてるんだい?ずっと部屋に籠りっきりで。」

 

『プライベート、とだけ言っておくよ。』

 

「ふぅ~ん?……部屋に籠って何かを造ってる事が?」

 

『……まぁ、ね。ボクは科学者だから、研究、開発は四六時中さ。』

 

「へぇ?……まぁいいよ♪ソレが、面白いモノなら、ボクはだーい歓迎だからね♪」

 

『…失礼するよ。』

 

ゴルドドライブはアベルの居る砂浜から、一面石造りの壁の通路に出た。

 

 

 

 

 

 

 

『……面白いモノ、ね。果たしてソレが、自分を破滅させるものでも歓迎してくれるのかな?』

 

そういうゴルドドライブの手には、一本のガシャットが握られていた。

 

 

 

 

 

 






不破さんまさかの改造人間説…令和なのに昭和要素も入ってきたぞオイ!

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