その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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前回は何の報せも無くお休みしてしまい本当に申し訳ありませんでした。

大分落ち着きましたが、皆様もインフルエンザにはご注意を。




神話

 

 

 

クリスマス一色に染まりつつある街のど真ん中に突如として地中から現れた謎の巨塔。

 

悠達ライダーズはアベルの仕業と見抜いて塔へ向かおうとするも、それを阻止すべく立ちはだかるBABELのライダー達と復活したバグスター。

 

街の至る所で戦いが繰り広げられてる最中、塔の中に居るアベルは地面に描かれた魔方陣の様子を見て満足気に頷く。

 

「順調順調♪もう少しで完成だ──今日から始まるんだ、ボクが描いた、新たなる神話がァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、塔の破壊を計画する風魔だが、それを阻止すべく差し向けられたソーサラーと戦闘の真っただ中。

 

エクスプロージョンの魔法を乱発し、塔どころか自身にすら近づけさせることを許さないソーサラーの魔法が風魔を襲って行く。

 

風魔はその高い機動性を活かし、ソーサラーの魔法を素早い動きで回避。爆発によって生じる熱と風を肌で感じ取るよりも速く動ける予想以上のスピードに風魔は吃驚しながらソーサラーの魔法を躱しながらライフルモードのネビュラスチームガンをソーサラーへ向けて発砲していた。

 

(速ぇ!思ってたより全然コンパクトに動ける!)

 

風魔は高速で動きながらライフルでソーサラーを撃ち抜こうとするも、ソーサラーはコネクトで取り出したディースハルバードで弾丸を弾く。

 

<< LIGHTNING NOW! >>

 

するとソーサラーは、エクスプロージョンからライトニングの魔法に切り替えて風魔へ放つが…。

 

「ッ!──ッ!!」

 

雷光さえも軽く追い越す風魔のスピードにソーサラーの魔法は不発に終わった。

 

「スッゲ、逆にビックリだわ…これ、秋の野郎に勝ってんじゃね?」

 

悠自身今回初めて使ったハリケーンニンジャガシャット。そのレベルはハルナのマキシマムゲーマーを上回る、レベルX。

現状において、デンジャラスゾンビと並ぶ最上位レベルのガシャットである。

 

「よぉし、大体コイツのコツは掴んできた──ッ!」

 

立ち止まった風魔は片手で印を結ぶと、現れてきた忍者プレイヤー達。

 

その数は10人、対するソーサラーは一人だが、彼は魔法使いだ。

 

<< DUPE NOW! >>

 

ソーサラーはデュープの魔法で忍者プレイヤー達と同じ人数分増えた。

 

「ハッ、イイじゃん。忍術と魔法の一番勝負、結構楽しめそうだ。」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、別の場所で、ゴルドドライブと戦闘しているマッハは…。

 

「ダァラァァッ!」

 

『ッ──へぇ、見ない間に随分強く、なったねぇ!』

 

「当然だ!今のオレは、あの頃よりずっと強ぇ!!───ラアァッ!」

 

マッハの繰り出したパンチをガード、その数値が以前のデータと比べて明らかに上がってる事に感心の言葉を漏らす。

 

その後もマッハはひたすらゴルドドライブへの攻撃を繰り出す。右フック、膝蹴り、連続ジャブなど。

ゴルドドライブは、それらの攻撃をガードしながらただジッとしてるだけ。不意に繰り出された顔面狙いのストレートを受け止めて、ゴルドドライブはマッハへと語りかける。

 

『だがこの程度、例えボクを倒せても、彼を倒すにはまだまだ力不足だねぇ。』

 

「あぁ!?アベルの事言ってんのか?」

 

『そうさ。彼のゲムデウスの開発に深く関わっている身だからね、イヤでもそのスペックの高さを実感してるのさ…。

アレには、幾ら束になったって到底敵いっこ無い、ってねぇ!!』

 

「グッ…!」

 

掴んだ拳を振り払い、マッハへ前蹴りを入れるゴルドドライブ。少し後退したマッハは、ゼンリンシューターを取り出し、ドライバーからシグナルマッハを抜き取る。

 

『確かにキミ達は以前よりも強くなっている、下手すれば当初のBABELの5人よりも遥かに!

でもゲムデウスの力は別格だ!例えキミ達とボク等BABELが全員で掛かってもヤツには勝てない!ヤツがゲムデウスの力を得てしまった時点で、最早チェックメイト。完全な詰みなんだよ。』

 

「ハッ!だから諦めろ、ってハナシかよ?さっすが何度もやられてるだけはあるなぁ?

今だって仲間が良いように操られてるっつうのに、オメェはアベルに尻尾振ってご機嫌取りか!

そんな奴の言う事なんざ、ただの負け犬の遠吠えにしか聞こえねぇな!!」

 

<< ヒッサツ!──Full Throttle! >>

<< ゼンリン! >>

 

『ッ!!…随分と達者な口になったじゃないか…身の程知らずのガキがぁ!!』

 

必殺技を発動させるマッハ。激昂するゴルドドライブは、シフトブレスのスイッチを押すと右手にエネルギーが蓄積されていく。

 

「『ハァァッ!!──』」

 

駆け出した両者が同時に繰り出した必殺技。マッハのゼンリンシューターと、ゴルドドライブの拳が激突、青と金のエネルギーが衝突した弾みで周囲に広がった。

 

「ウァァァッ!!──ッ!!」

 

『グァァアアッ!!──ッ!!』

 

二人が勢いよく弾かれ、地面へ転げ回る。

 

そして二人は何も口に出さず、仮面の下で相手を睨み付けたまま立ち上がった。

 

 

 

 

場所は塔から少し離れた場所にある広場。

 

あちこちで忍者プレイヤー達と分裂したソーサラーが火花を散らす中で、風魔は風のように地面を駆ける。ネビュラスチームガンから両手に風魔双斬刀、二刀を手に戦斧を持つソーサラーの背後に回り込み斬り掛かる。

 

ソーサラーは体を捻り、ディースハルバードを横薙ぎに払い二刀を弾き後方へ下がらせると、その後透かさずコモンリングをドライバーへ翳す。

 

<< EXPLOSION NOW! >>

 

「グァァアアッ!!」

 

眼前に現れる魔方陣からの爆炎に呑み込まれてしまう風魔。

 

轟々と燃える炎に包まれる風魔、だが、炎の中から出て来たのは傷ついた風魔では無く、胸部のアーマーと”はずれ”を付けた丸太の身代わりだった。

 

これにソーサラーが反応見せる中、ソーサラーの背後に”ボンッ!”という音と共に白煙が上がり、その中から風魔が白刃を光らせソーサラーへと斬り付けた。

 

背中を斬られ怯ませお、風魔はソーサラーの頭部目掛けて回し蹴りを叩き込む。右足の回転回し蹴りを立て続けに三発。終いに二刀による滅多切りを浴びせ、ソーサラーに大きなダメージを与える。

 

後退させられるソーサラーは尽かさず新たな魔法を行使する…が。

 

ソーサラーの右手に嵌めるコモンリングがベルトに翳す前に止められた。ソーサラーの右手を掴んだのは、新たに呼び出した忍者プレイヤーだった。

 

直前で強制的に止められて隙が出来たソーサラーに、一瞬で間合いを詰めた風魔の強靭な足から繰り出す、ドロップキックが炸裂した。

 

本体のソーサラーが倒れたと同時に、デュープの魔法で分裂してたソーサラーたちが消えた。

 

「卑怯だなんて言わせねぇよ?忍者なもんでな…あ、言いたくても言えないか……あ?」

 

 

 

「ウオォォォォォォオオオッ!!」

 

喉が裂けると言わんばかりの雄叫びを上げながら風魔の前に現れたのは、コーカサスと拳を打ち合わせながら剣を振るうサソード。

 

拳と剣が衝突し合って金属音を鳴らせる。気のせいか、サソードの振るう剣が荒く、怒りを帯びていた。

 

二人が距離を取ってサソードが風魔の近くにまで下がる。

 

「んだぁ?何キレてんのよお前?」

 

「ム?誰だ!……って、貴様か、紛らわしい。」

 

「オニューのガシャットだよ、オメェも貰ったろ。」

 

「興味は無い。」

 

「ならオレに寄こせ。オメェより有効利用してやる。」

 

「断る。今のオレは非常に機嫌が悪いんだ、余り話し掛けるな。」

 

「はぁ?思う様にいかないからって?お前そんな短気だったか?」

 

「違う!……ヤツの拳が、前より軽いんだ!」

 

「?…どういう事だよ?」

 

サソードの言ってる事が理解出来ず首を傾げる風魔。

 

「ヤツの拳が最初の時と比べたら全然劣っているのだ!技のキレも込められてる気迫も全然感じん!操られてないホントの実力なら、ここまで互角にやれんのだ!!」

 

「……えっと、それはこっちにとって都合がイイ事じゃないの?」

 

「ふざけるなッ!武道を道を歩む者同士の一騎打ちは、鍛え上げた心技体をぶつけるものだ!!

今のヤツには心が無い……そんな状態でオレと戦うなど、最大の侮辱に等しい!!」

 

「え~?なにその訳分かんねぇ怒り。」

 

「貴様のような奴には一生理解出来ん。」

 

サソードの武道家としての持論にいまいち理解が出来ない風魔。

 

相対して並ぶソーサラーとコーカサスが揃って歩いてくるのを前に、風魔とサソードが獲物を構えると、今度は左右から爆炎が上がった。

 

「なんだ!」

 

「多分アイツ等だろ、このパターンは…。」

 

風魔の予想通り、戦闘しながら広場に現れたのは、ゴルドドライブとマッハ、エグゼイドL・Rとバグスターバッドファンガイア、デスイマジンだった。

 

「ムッッカー!もう完全に怒った-ッ!…あ、レンジだ!レンジィー!」

 

「彩守くん!…と、灰原、くん?」

 

「うおッ!悠兄さんソレ忍者!?川内ちゃんメッチャ喜びそうじゃん!ペアルック!」

 

「ソレは後、そんな事よりも…なんで野郎が居るんだよ?」

 

風魔が視線を向ける先には、嘗て自身が倒した筈のゴルドドライブの健在な姿が。

 

『フフフ、驚いてるようだねぇ。個人的にはもう少しリアクションが欲しかったがね。』

 

「コッチも色々あったんでね、アンタが生きてた程度で騒ぐことも無い位に。

それにまだ生きてたってハナシなら…死ぬまで何度も殺してやるさ。」

 

そう言って風魔は懐から別のドライバー、ディケイドライバーを取り出すと、ゴルドドライブが僅かに反応を見せて、ソーサラー達に指示を飛ばした。

 

『行け!ヤツの姿を変えさせるな!!』

 

ゴルドドライブの飛ばした指示により、ソーサラー、コーカサス、デスイマジン、バッドファンガイアが駆けだす。

 

風魔の元へ妨害すべく向かって来るソーサラー達。ゲーマドライバーを取り外し、生身の状態を狙いに掛かるが、マッハとサソードが何も言葉を口にせぬまま独自の判断で動いた。

 

「そう易々と!──」

 

<< RIDER SLASH >>

 

「邪魔させっか!──」

 

<< タクサン! カクサーン! >>

 

サソードの飛ばした斬撃と、マッハの広範囲攻撃によりソーサラー達の足が止まった。

 

二人が再変身する時間を作ってくれたお陰で、悠は何事も無くディケイドライバーを腰に巻き付けられた。

 

「変身ッ!──」

 

<< KAMEN RIDE──DECADE! >>

 

ディケイド真・激情態へと変身を果たすと、ディケイドライバーから呼び出された武器がディケイドだけでなく、マッハ達の手にも呼び出された。

 

ディケイドにはガジェット・バッドクロックが合体されたガンガンセイバーライフルモードを。

 

マッハにはガンモードのガンガンセイバーとサングラスラッシャーの二丁拳銃。

 

サソードにはブレードモードのガンガンセイバーとサングラスラッシャーの二刀流。

 

エグゼイドRにはガンガンセイバーナギナタモードを、エグゼイドLにはガジェット・クモランタンと合体したガンガンセイバーハンマーモードがディケイドから渡された。

 

「コレは…。」

 

「おぉ!どうしたん悠兄さん、珍しくサービスイイじゃん!」

 

「手っ取り早く済ます為だよ、レンタル料はマケてやるからしっかり働け野郎共!」

 

「オォー♪」

 

「ちょっと!私達も野郎にカウントしないでもらえる!?」

 

 

『ッ!、えぇい武器を手にした程度で!!』

 

<< YES! VANISH STRIKE!──UNDER STAND? >>

 

ライダー達の態度が癪に触ったのか、ゴルドドライブはエネルギーの出力をMAXにした特大級の光球を作り、隣に立つソーサラーも魔法による必殺技を繰り出そうとしていた。

 

必殺技を放とうするBABELのライダー達を前に、ディケイドとマッハが前に出た。

 

<< FINAL ATTACK RIDE──G,G,G,GHOST! >>

 

ディケイドが一枚のカードをドライバーへ装填すると、ディケイドとマッハ、後ろにいるサソードとエグゼイド達の体から出て来たエネルギーが手に持つ武器へと宿っていく。

 

『消え去れェッ!!──』

 

ゴルドドライブとソーサラーの攻撃が放たれる。

 

 

「テメェ等全員ぶっ殺すまで──消えるかァッ!!」

 

<< シンネンインパクト! >>

 

 

「負けねぇ!オレ達が──勝つ!」

 

<< イサマシュート! >>

 

 

ディケイドとマッハが放った、信念と勇気の一撃。

 

ゴルドドライブとソーサラーの必殺技よりサイズは小さいが、込められた想いの力はBABELのライダー達の放った技よりも強大であるのを証明する様に、ゴルドドライブとソーサラーの放った攻撃を打ち破った。

 

『バカなッ!?───グァァァァァッ!!』

 

渾身の一撃が打ち破られた驚嘆されながらディケイドとマッハの放たれた光弾によって吹き飛ばされるゴルドドライブとソーサラー。

 

巨大な爆炎が立ち昇り、後ろに控えていたコーカサス達が思わず怯む程。道が出来た事により、ディケイドとマッハの後ろに控えてた三人のライダーが一斉に動いた。

 

 

「胸に宿ったこの怒り──この一撃にッ!」

 

<< イカリスラッシュ! >>

 

 

「いっくよォーッ!──ウオリャァァッ!!」

 

<< ヨロコビストリーム! >>

 

 

「シャアァァンッ──ラァッ!!」

 

<< ラブボンバー! >>

 

 

サソードの怒りを宿した斬撃がコーカサスに大きなダメージを与え、エグゼイド達の喜びと愛を宿した一撃はデスイマジンとバッドファンガイアを消滅させた。

 

ディケイド達の強い想いを込めた一撃により、形勢が大いに傾いた。

 

『何なんだ今のは…!測定が、エラーだと?バージョンアップを施したばかりだと言うのに…!』

 

「単純に計り知れないほど俺等が強いってだけのハナシだろ。」

 

『ッ…!!』

 

「終わりだ。先ずはテメェ等からだ…。」

 

ディケイドが倒れたBABELのライダー達にトドメを刺すべく銃口を向けた、その時だった。

 

怪しげな光を点滅させていた塔が、直視した目が痛くなる程強く怪しげに光り出した。

 

「ッ!?何だ!!」

 

『アレは…………まさか。』

 

 

「そう!キミ達の仕事は無事達成されたってコト♪」

 

張り詰めたこの場の空気に場違いと言わんばかりに陽気に現れたアベル。少しの間空白の時間が経ち、ディケイド達が口を開くよりも早くアベルが塔についてノリノリに語りだす。

 

「嘗て天上の神の元まで辿り着ける塔を造ろうとした人間達がいた。だが神はそんな人間達の考えに腹を立たせ塔を壊した……その神話は今!この時を以て新たに書き加えられる!

天上の世界へ向かうゲート───バベルの塔の完成だ!!」

 

「バベル…?」

 

「そうさ、彼等の組織名はこの塔にちなんで付けられたんだよ。だよね?」

 

『……。』

 

アベルがゴルドドライブに由来について聞くも、ゴルドドライブは僅かにソーサラーに目をやるだけで言葉を発しなかった。

 

「ちぇ…おっとゴメンまだ途中だったよね。

ま、ざっくり言っちゃえばあの塔はコッチの世界から神々の住む天界へ行ける入口ってワケ。」

 

「天界へ行く?ソレがBABELの目的だったていうのか!」

 

「でも、向こうへの入り口を造るだけで、とても世界が壊れるなんて…。」

 

「ところがどっこい!天界へ辿り着くための道と扉を開くのにはそりゃまたドえらいエネルギーが必要なのよ!

そう…この地球がドカーン!っと吹っ飛ぶ位の♪」

 

「「「「「ッ!!」」」」」

 

「さっきのに付け加えるなら、あの塔は天界へ行く為の入口であり、地球を惑星爆発させる導火線なんだよ♪」

 

サラッとトンでも無い事を言うアベルに対してか、それともバベルの塔の危険に対してか、五人は何も口に発せなかった。

 

ただ、五人が共通して頭に浮かんできた一つの考え…あの危険な塔を何が何でも破壊せねばいけない、と。

 

<< FINAL ATTACK RIDE──De,De,De,DECADE! >>

 

<< ヒッサツ! Full throttle! >>

<< キケーン! >>

 

<< RIDER SLASH >>

 

<< ガッシャット!──キメワザ! >>

<< ACTION!/ROBOTS! CRITICAL FINSH! >>

 

 

「「「「「ハァッ!!──ッ!」」」」」

 

五人の必殺技がバベルの塔へ向けられて放たれた。対するアベルは笑みを浮かべるだけで何もしてこない。

 

そして五人が放った必殺技は塔に当たって倒れる…事は無く、塔に纏われた怪しげな光によって阻まれて無傷に終わった。

 

「ッ!?…何で!」

 

「フフフ♪……アッハッハッハッハッハ♪

無駄無駄♪もうあの塔はキズ一つも着けられや出来無いし、中へ入る事も出来ない♪」

 

「…ソイツ等の時間稼ぎは、塔があのバリアを張り終わるまでの時間稼ぎってワケか!」

 

「正解♪あの塔を纏っているバリア、アレね、なんとあの賢者の石を核にしてるんだ~!どう?スゴイでしょ?」

 

「賢者の石!?ウソだろ、だってウィザードのアレって日食でするサバトでしか造れない魔法石だぜ!そんなモンどうやって…!」

 

マッハの言う賢者の石とは、指輪の魔法使い達が使う魔法石の中で上位の位置に置かれる、【生と死を裏返す究極の魔宝石】と言われた魔法石。

使う用途としては、因果律を壊す程の力を秘めた魔法石だが、それだけの魔法石をバリアの核とするなら突破するのは容易ではない。

 

それよりも気にしてる点は、どうやってそれほどの魔法石を造れたのか。賢者の石は、サバトと呼ばれる大規模な儀式を開かないと生み出す事が出来ない。

 

「ッ!…もしかして、今までファントム達が集めてた魔力って…!!」

 

そんな疑問にハッと気づいたエグゼイドLがポツリと漏らすかのような声で口にしたのを、アベルは聞き逃さなかった。

 

「またまた正解ィ!どうも彼はサバトで賢者の石を造るのは色々効率が悪いと思って時間が掛かる地道な手段を取ったらしくてさぁ。

ま、結果的に賢者の石を創れたからその辺もうどうでもいいんだけど♪」

 

次々と告げられるBABEL、アベルのこれまで行ってきた行動の真意。

 

たがまだ一つ、肝心な、この世界で戦争を始めるに至った根源がまだ不明なままだ。

 

「アベル…お前は一体あの塔で何をするつもりだ!元々天界に居たお前が!この世界を壊してまで、何の意味がある!?」

 

「……創るのさ、新たな神話を。」

 

「神話だと?」

 

「そう、舞台も、演出も、そして役者も。ボクが一から全て!全ての世界も天界も!誰もが目を見開く様な神話を創るのがボクのッ……遥か昔から抱いてた夢なのさァ!!」

 

「ッ…下郎め!その為にこの世界に生きる人間を全て消すつもりか!!」

 

「だーいじょうぶ♪塔はご覧の通り完成したが、まだ扉は開かないよ♪フィナーレはもうしばらくお預けさ♪

心配せずとも…

 

 

 

 

 

 

 

キミがココに居られるまでの期間中ギリギリまで、思いっきり遊ぶつもりだからね♪」

 

 

「ッ…!」

 

「え…?」

 

「灰原、くん…?」

 

「え?なにソレ?どういう事?ねぇユウ!」

 

「………。」

 

アベルがディケイドを指差しながら告げた言葉。それはライダーズを先程までとは違う方向性で言葉を失わせた。

 

「あれれ?もしかして、まだ言ってないの?あ~、こりゃ失言だったかな?」

 

「……どういう意味だよ?なぁ…悠兄さん!」

 

「……。」

 

「言えないならボクが教えてあげるよ♪

イレイザーの使命。各世界に蔓延る転生者達が、世界に悪影響を広げないよう芽が開く前に抹消する事…そこまではキミ達も知ってるよね?

でもさぁ、それって視点を変えればこーんな風にも思えない?……イレイザーも、その世界にとってイレギュラーな彼も、何かしらの影響を与えないか、ってね♪」

 

「「「ッ!!!」」」

 

「だからイレイザーはその世界に長居しないよう滞在できる期間を決められてるんだよ。その期間は1年!彼がこの世界に来てもう半年以上…だからあとここに居られる時間は、約4か月かな?」

 

「そんな…私、聞いてないよ。」

 

「ユウ、居なくなっちゃうの?…ヤダよぉ、そんなの…!」

 

「ウソ、だろ…なぁ、悠兄さん。アレってホントのハナシじゃないよなぁ?…」

 

「…………。」

 

「…何か言えよ!オイ!!」

 

 

 

「あぁ~あ、なんかクダクダなカンジになっちゃったよ。

コッチは折角バベルの塔が完成してウキウキのご機嫌なんだ、だから…──』

 

これまでの真意と共に告げた悠の秘密、ライダーズの面々に思わぬ亀裂を生じさせたアベルは内輪揉めしかかってるライダーズを前に姿を変える。

 

バグスターの神、平成ライダー達を苦しめたラスボスの集合体であるゲムデウス。

 

『遊んでもらうよ?カワイイカワイイ、ボクの役者たち♪』

 

ゲムデウスがライダーズに更なる追い打ちを仕掛けにデウスラッシャーを向けた。

 

 

 







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