その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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劇場版をご覧になる前に…。


此方の都合で投稿を遅らせてしまい、申し訳ありませんでした。

問題の方は今は落ち着いた状態にまで対処できたので、最新話を投稿します。


また前置きに、今回は大分詰め込み過ぎてしまい、2万字を超すほどの長さとなっておりますので、最後まで読まれる方は予めご了承下さい。







劇場版 スターティングジェネレーション・5

 

 

 

 

悠が残したライドウォッチによってロックを破ったハイパーゼクターを手に、仮面ライダーダークカブトハイパーフォームへと変身を果たした秋。

過去に跳んで見事アナザーディケイドによる歴史改善を寸でのタイミングで阻止できた。

 

秋、ダークカブトは、気を失ってる悠を地面へ寝かせるとゲイツとウォズの方へ目を向ける。

 

「悪い!、そっちに任せるつもりだったけど我慢出来なくて来ちまったわ!…いや信用してなかった訳じゃ無いぞ!マジで!」

 

 

「その声…桜井か!」

 

「…成程、キミが持っていたウォッチのお陰でダークカブトに変身出来ているという訳か。

まぁなにわともあれ、非常に良いタイミングで来てくれたよ。」

 

「そう?じゃあ良かった!」

 

 

ダークカブトが秋だと知ると警戒を解いたゲイツとウォズ。

 

顔面に一発貰ったアナザーディケイドは、隙だらけの機会を狙い地面に寝かされた悠へブラストを喰らわせようと指先を静かに向けるが…。

 

「──させねぇよ!」

 

<< HYPER CLOCK UP! >>

 

『ッ!────ガッ…!?バ、バカ、なッ…!』

 

アナザーディケイドが撃つより先にダークカブトの立つ位置が悠とゲイツ達の傍から、一瞬でアナザーディケイドの背後へ。

アナザーディケイドの体中から血の様に火花が散る。僅か一瞬の内によって滅多に切り付けられたのをダークカブトの持つクナイガンが物語っていた。

 

「テメェ如きが考える事なんざ、もうお見通しなんだよ!」

 

『グッ…ガキがぁ!』

 

「速い…!」

 

「あれがハイパークロックアップ、ライダーの中でアレを超えるスピードの持ち主は居ないとされてると聞く。」

 

「…オレの疾風よりもか?」

 

「あぁ当然!ゲイツ君なんて目じゃないだろうね!」

 

「そこまで言うか!?」

 

「まぁなにわともあれ今がチャンスだ。

桜井 秋!同時攻撃で一気に決めよう!」

 

「よっしゃ乗った!遅れんなよ二人共!」

 

「オレを置いて勝手に進めるな!!」

 

<< FINISH TIME!──REVIVE! >>

 

<< FINALLY! BEYOND THE TIME! >>

 

<< MAXIMUM RIDER POWER >>

<< 1・2・3 >>

 

「「「ハッ!──」」」

 

三人のライダーが同じタイミングで一斉に跳んだ。狙う先は当然片膝を突いたアナザーディケイドへ渾身の一撃を見舞わせる。

 

 

<< 一撃! TIME BURST! >>

 

「ハァアアッ!!」

 

<< 超ギンガ エクスプロージョン! >>

 

「デェェアァッ!!」

 

<< RIDER KICK! >>

 

「ハイパァー──キィィィックッ!!」

 

 

『ッ!!───グァァアアッ!!』

 

「「「ウオォオオオッッ!!───ダァアッ!!」」」

 

『ガアアアッ!!』

 

アナザーディケイドを取り囲んでの三人によるライダーキックは、傷だらけのアナザーディケイドでは防ぎ切れず爆散して爆ぜていく。

 

アナザーディケイドの分身が消えていくのを見届けるゲイツ、ウォズ、そしてダークカブト。完全にアナザーディケイドの姿が消え去ると、ダークカブトの体が光っていく。

 

「うぇ!?なにこれちょっとねぇ!!なんか光ってるんですけど!?」

 

「恐らく元の時代に戻るのではないかい?ここでの成すべきことは済んだからね。」

 

「後の処理はオレとウォズでやっておく。お前は先に現代へ戻ってろ。」

 

「そ、そう?じゃあお言葉に甘えて…。」

 

段々と体が薄くなってきているダークカブトは、気を失ってる悠へ目を向けた。多少の傷は着いてるが、ゆっくりと生きてる証拠である呼吸をしながら寝ている悠の姿を。

 

「悠兄さん…また未来で。」

 

 

 

 

 

 

 

 

過去へと跳び、悠を救い出すことに成功したダークカブト、秋の出した成果は現代で直ぐに表れていた。

 

 

 

「ウォォォオオオラァァ、ったぁッ!?ん?んん!?!!?」

 

「ソオォラァッ、ってぇッ!…アレ?」

 

ロードバロンと戦ってるビルドと、ハートと戦ってるクローズ。

 

勢いを増していく激戦の行方は、二人の戦っていた相手が目の前で突然消えてしまい、ビルドとクローズの繰り出した攻撃が空振ったお陰で危うくお互いを殴りかけそうになった。

 

「あぁ?どういう事だよ?あの牛野郎どっかいっちまいやがったぞ戦兎!」

 

「……これは、まさかひょっとしなくても!」

 

 

 

 

 

 

 

一方の蓮司達も事態の変化を目の当たりにしていた。

 

空を覆う程のハイドラグーン達がビルドとクローズが戦っていたロードバロンとハート同様、最初からいなかったように姿を消していった。

 

この現象を前に、アナザーディケイドはこれまで見た事無い位に動揺を見せる中、蓮司達に一つの光明が差し込んできた瞬間であった。

 

『バカな!?まさか、過去の分身の方が…!?』

 

 

「その通りだ!」

 

狼狽えるアナザーディケイドに応えながら姿を見せて来たのは、過去から現代へ戻って来た秋だった。

 

「もう一人のお前はぶっ潰してやったぜ…悠兄さんが殺される前にな!!」

 

「秋!上手くいったんだね!」

 

「おうよ!バッチリとな!」

 

 

『グ…ッ!いやまだだ!!まだ終わらせない!!一度でダメなら、二度も三度も!!ジオウの力を取り込んだ今のオレならば、直接出向いて殺すまで…!!』

 

 

 

 

 

「じゃあ余計に今ココでオタクをぶっ潰さなきゃなぁ!!──トォリャッ!!」

 

『ッ!?──グァッ!?』

 

「「「「ッ!!」」」」

 

 

突如として出会い頭早々にアナザーディケイドへ飛び蹴りをかました男を目に秋と蓮司は目を見開かせた。

 

 

 

『き、貴様ァ!』

 

「フゥ…元通りに復活!

はぁ~マジでヒヤヒヤしたわ、ホント…。」

 

「ゆ…悠兄さん!!」

 

「よぉ秋。今回ばかりは上出来だ。お手柄だ。」

 

「…あ、あの悠兄さんが開口一口にオレを…褒めてる!?」

 

「まさか、歴史の改変の影響なのではないか?」

 

「お前等こそ酷くない?復活して早々この反応って。」

 

「アンタが、秋のお兄さん?」

 

「違うけど?」

 

「…え?」

 

「ていうか、おたくら誰だ?」

 

「え…あ、ああそうだった!

オレ常盤 ソウゴ!仮面ライダージオウ!秋と友達になった!」

 

「そうそう!ソウゴ達が居なかったらマジで戻ってこれなかったんだぜ!!」

 

「私はツクヨミ。過去でアナタが会った、ゲイツ達の仲間よ。」

 

「…成程、大体理解出来た。

…ウチのバカが世話になったようで…感謝する。お陰で助かったよ。」

 

「ううん!気にしないでよ、同じ仮面ライダーなんだし!」

 

 

「そういう事!お前も言う様になったな、ソウゴ!」

 

 

「ッ!戦兎!龍我!!」

 

「二人とも、無事だったか。」

 

「あったりまえだ!オレが倒す前にあの牛野郎消えちまったけどな!」

 

「にしてもまた変な所で再会しちまったな、ソウゴ。」

 

「うん!まさか戦兎達も来てるなんて思わなかった!」

 

「あー…あの二人も仮面ライダーか?」

 

「みたいよ、オレみたいにロン毛を連れて来たんだって。確か…ビルドって言ってた!」

 

「ビルド…あの赤と青のライダーか!」

 

「知ってるの?」

 

「…忌々しい記憶としてな。」

 

歴史が元に戻った事でバグスターが消失した為に合流を果たした戦兎と龍我。

 

戦兎が仮面ライダービルドと知ると顔を顰めながら渋々答える悠。変身アイテムを破壊された因縁があるが、あの時変身してたのは某世界の破壊者であったが為に、あの時の恨みは戦兎へ向く事はお門違いなモノの、どうも苦い顔になってしまう。

 

「ん?…お前が歴史から消えてた仮面ライダーか?」

 

「あぁ。灰原 悠だ。」

 

「オレは桐生 戦兎。で、こっちが助手の筋肉バカ、万丈だ。」

 

「…お前そこまでオレに名乗り言わせないつもりかよ?」

 

「よろしくお二方。さて、ライダー同士交友を深めるのは…アイツを倒してからにしようか。」

 

「それもそうだな!」

 

「うん!」

 

合流を果たした戦兎達も加え、一同は仮面の下で睨み付けるアナザーディケイドへ目をやる。

 

悠も復活し、敵である仮面ライダーも増えた現状、アナザーディケイドへの勝率はかなり下がった。分が悪いと知って尚未だ敵意を向けているという事は、まだ戦う意志、手が残されているようだ。

 

『フン!何人増えようが関係ない!!今のオレはジオウの力もある!!

灰原 悠の力も合わせた、全ての力を使い、先にお前達をォォォォォォォォッ!!!』

 

 

「何する気だよアイツ!」

 

「さぁ、でも凄くイヤな予感…止めろ!」

 

「止めなさいウェイド!」

 

雄叫びを上げるアナザーディケイドから、黒と金の凄まじきエネルギーが溢れ出る。

 

悠が咄嗟の判断でアナザーディケイドの企みを阻止しようと動くも、エネルギーがアナザーディケイドを包み込み、その姿が次第に大きくなっていく。

 

「な、何かデカくなってない?なぁ悠兄さん!」

 

「なんだ!?なんかでっかくなりやがったぞ戦兎!!どういう事だよ!!」

 

 

「「落ち着けバカ!…ん?」」

 

 

『ヌゥウウァァァァァァァアアアアアアアッッッ!!!』

 

 

変な所で息があった悠と戦兎が互いに顔をてる間に、アナザーディケイドがその姿を醜悪に変えた姿が、巨大化し、雄叫びを上げるだけで空気が奮えビルのガラスが次々と割れ、一歩ごと進むたびに大地が揺れた。

 

頭の両サイドに這えてた角がヤギの様にねじ曲がりより悪魔に近い頭部の下には、ソウゴ達の知るアナザーライダー達の石像がアナザーディケイドの胸部、腕や足、這い出てきたかのようレリーフとなっている。

ソウゴのウォッチを取り込んだ影響か、その姿はジオウとディケイドを除いたグランドジオウを思わせた。

 

「ジオウ!──ッ!なんだ、あの悍ましい化け物は!」

 

「ッ!ゲイツ!ウォズ!!」

 

「我が魔王!気の所為じゃ無ければ、アレはグランドジオウの力を?」

 

「うん…ウェイドに取られちゃって。」

 

アナザーディケイドが変貌した直後に過去から帰還したゲイツとウォズが合流。目の前で巨大化し悪な姿となった

 

アナザーディケイドがグランドジオウの力を取り込んだと知ると一気に苦い顔になる。過去でアナザーディケイドの素の実力がどれほどのモノか散々思い知らされた為に、それが強化された等二人にとって最悪のニュースであった。

 

『これがオレの真の姿だ!コレでオレはもう誰にも負けない!!お前等にも!!スウォルツにもォォォォォォオォオオオッ!!』

 

 

「ヤベェ──全員退避ィーーッ!!」

 

「言われずともォ!!」

 

 

『ブルゥァアアアアアアアァァァーーーーッ!!!』

 

 

ードガァァァンッ!!ー

 

 

 

「うわあぁぁッ!」

 

「グァァッ!!」

 

「おおォォォッ!?」

 

アナザーディケイドの体中に着いてるアナザーライダーのレリーフから様々な攻撃が放たれる。ビーム、炎、ミサイル、タイヤ、火の玉。広範囲に放たれた攻撃が悠達やソウゴ達に襲い掛かる。

 

「クッ!!このままじゃ変身出来ない!」

 

「ちっくしょう!これじゃあ嬲り殺しだぜ!!」

 

「つべこべ言わずに走れ!当たったら即死ぬぞ!」

 

「ツクヨミ!時間を停められるか!?」

 

「やってみるわ!」

 

「いや止めた方が良い!今のウェイドはツクヨミ君の力を上回ってる、逆にこっちが止められてしまう可能性が高い!」

 

「じゃあどうしろっていうの!?」

 

「おい戦兎!何かいい方法ねぇのかよ!!」

 

「無茶言うなよ!ぜぇ!ぜぇ!いくら天才でも全力で走りながら名案出せないっての!!」

 

 

『ハハハハハハハハッッ!!死ね死ね死ねぇ!!虫ケラの様に死に晒せぇ!!ハハハハハハ──グァァァッ!!』

 

 

「ッ!?攻撃が止んだ!?」

 

「今…誰がヤツに一発入れたんだ?」

 

「ッ!ゆ、悠兄さん!アレ!!」

 

「アイツ…!」

 

変身する余裕も与えないアナザーディケイドの攻撃は何処からか放たれた斬撃によって止んだ。

 

その正体を探るや、見つけた秋の指差す所には宙に浮かぶアナザーディケイドとはまた違う異形の怪人。アベルのもう一つの姿である、ゲムデウスが悠達を助けたのだ。

 

「また敵!?」

 

「アレは…ゲムデウス!エグゼイドの世界の怪人、だが私の知るゲムデウスとは色が違う?」

 

 

『やぁやぁ灰原 悠ク~ン♪また君と会えてボクはこれ以上に無く感激してるよ!』

 

「オレはお前の声を聞くだけで最悪の気分だね…一体何の真似だ!」

 

『まぁまぁ、今回は特にこれといった策略は何も無いよ。ボクは個人的にコイツにやられた分を仕返したいだけでねぇ、それに今回ばかしは停戦中だし♪』

 

「停戦だと?何を言って…待て、まさかゲンムのヤツが…?」

 

『そういう事♪じゃあボクはアイツを抑えててあげるから、今の内に準備なり作戦会議でもしてなよ!』

 

そう言ってゲムデウスはデウスラッシャーを手にアナザーディケイドへと向かって行った。

 

「えっと…一応味方って事でいいのよね?」

 

「信じられないが、恐らくそうみたいだな…その辺の説明やっとしてくれるんだろうなぁ?えぇ?」

 

「?──ッ!誰!?」

 

「うおッ!ちょ、待った待った!私味方!彼等の上司!!だから銃を向けないで!…って何この銃?ファイズフォン?」

 

知らぬ内に背後に居た神太郎に思わずファイズフォンを向けるツクヨミだったが、悠達の仲間と知ると直ぐにしまった。

 

そして神太郎からアベルと位置的に手を組んだ経緯を聞かされる。

 

「ハァ、状況が状況とはいえ、諸悪の根源と手を組むとか…。」

 

「だってだって!悠君や秋君が居ない状況で私一人だけとか!そんなん無理に決まってるじゃん!!止む無しに話しに乗るしか無いじゃん!」

 

「ああもういい騒ぐな!取り敢えず今は目の前の問題だ。

どうにかしてあのデカブツとクソ野郎を一遍に消す方法だが…。」

 

「え…あの人も倒しちゃうの?味方なのに。」

 

「アイツとは敵、そして戦争してる関係だ。戦争じゃあ裏切りで背後からズドンなんて定石よ、一時の同盟関係なら尚更な。」

 

「…オレ達は、こんなヤツを助けに過去にまで行ったのか…。」

 

「なんと清々しい迄の豪胆な判断…我が魔王に引けを足らない。」

 

「あぁそうさ、俺は自他共に認める悪人だからな!」

 

「…異世界のヤツ等って、皆バカか?」

 

「蓮司…お前も、苦労してるんだな。」

 

「言うな桐生。それと万丈、こいつと同種扱いは勘弁だ。」

 

ゲイツとウォズが若干引いたり感心したり、龍我は以前並行世界に行った時にやたら印象に残ってる神を自称する男を思い浮かばせたりしてるなか一団に向かって来る二つの人影。いち早くそれに気付き、反応を見せたのは秋だった。

 

「ッ!──姉ちゃん!ウラナ!」

 

「ッ!」

 

 

「おっ待たせ!ウラナちゃん参上!」

 

「一体どうなってるの!?なんでアベルかあのデカイのと…?どうしたのよ皆?それにその人達は?」

 

駆け付けて来たのは、歴史が改変され仮面ライダーでなくなったハルナと消失したウラナ。

 

姉が元に戻った事に歓喜の表情を浮かべる秋や、安堵の溜息を吐いた蓮司、そして見知らぬ集団を前にハルナはただ首を傾げるしかなかった。

 

「詳しい話は後!今はここに居る面子であのクソ共ぶっ潰すぞ!」

 

「えぇ?ここに居る面子って、この人達の事?」

 

「大丈夫姉ちゃん。この人等も、仮面ライダーだから。」

 

「?…え?え??この人達も、仮面ライダー?」

 

「桜井。お前には何が起きたか分かって無くて混乱してるだろうが…この者達を信じろ。オレが保証する。」

 

「彩守君…。」

 

「レンジが言うならアタシ信じるよ!アタシウラナ!よろしく!!」

 

「まさか…この子も仮面ライダーとか言うんじゃないよな?」

 

「信じられないだろうが、そうだ。」

 

「…可愛い。」

 

「ツクヨミ?」

 

歴史が元に戻ったことにより、ハルナとウラナもこの場に駆け付け戦力は十分。

後はあの強大な力を有してるアナザーディケイドをどう倒すかだ。

 

そんな時、いの一番に口を開いたのは…。

 

「あるよ!最高最善の作戦が!」

 

「ソウゴ?」

 

「ほぉ?随分自信たっぷりだな。どんな手だ?弱ったアイツ等を取り囲んで、一斉攻撃より有効な手か?」

 

「うっわ卑劣…。」

 

「勿論!それはね…。」

 

「「「「それは?」」」」

 

「…皆と一緒に、力を合わせて戦う!

ウェイドがどんなに強くたって向こうは一人で、オレ達は十人いる!」

 

「「「「……。」」」」

 

ソウゴの提案した作戦と呼ぶに言うまじき案に、一瞬空気が静まり返るが…。

 

「…ハァ、ジオウ。ソレのどこが作戦なんだ?」

 

「全く、我が魔王の考えは相変わらずだ。」

 

「ま、ソウゴらしいといえば、らしい作戦よね。」

 

 

「オレは乗った!分かりやすくていいじゃねえか!なぁ!」

 

「まぁ、単純バカなお前には確かにピッタリだな。」

 

「あぁ!?誰が単純バカだよ!せめて筋肉付けろよ!」

 

 

「要は総力戦か…確かに下手な小細工を使うより、マシに戦えるかもしれんな。」

 

「アタシも賛成ー!」

 

「私は未だ何が何だが分からないままなんで、任せます。」

 

「オレも異論無し!悠兄さん、後はアンタだけ…どうする?」

 

「………ハァ。なぁ常磐。

お前等と桐生達は元から知り合いだったからいけるとして…名前しか知らない初対面の俺等と力を合わせられるって根拠は?」

 

「え……いや、まぁ、根拠、っていうより…。」

 

「より?」

 

「…ここに居る皆なら、イケる気がする!素直にそう思ったんだ!」

 

「……。」

 

何の躊躇いも無く、真っ直ぐに悠と直面しながら率直に告げたソウゴの考えに今度こそ呆然としてしまう悠。

秋達が見守るなか、悠は溜息を一つ吐いて呟くように口を開いた。

 

「…なーんか難しく考えてたのがアホらしくなってきたわ……うん、考えるのやーめた。」

 

「じゃあ!」

 

「乗ってやるよ…どのみち全員でかかるのは決めてたしな。」

 

「もう悠兄さんったら、そこは素直に皆でやろうって言えばいいのに。」

 

「ハハ、こちらまぁそれでこそってカンジだけど…。悠君!ヤツからコレだけは取り返せたよ!」

 

「っと!スナイプか…。後方支援には丁度イイか。」

 

「じゃあオレ達も!」

 

「ふむ。」

 

「ウラナ!取り敢えずブラザーズで行きましょう!」

 

「イエーイ!」

 

神太郎は悠にスナイプのウォッチを投げ渡されるとスイッチを押し、ゲーマドライバーとガシャットにして装着する。

 

それに合わせて秋達もゲーマドライバーとガシャットを手にする。その際、ハルナが持つガシャットを戦兎とソウゴが目にすると、「「女の子がエグゼイド!?」」とリアクションを上げた事に、ハルナは驚いた。

 

「えっとぉ…何かマズい事でもしました?私…。」

 

「あ…い、いやいやなんでも!なぁ?」

 

「う、うん!…よっし!それじゃあを気を取り直して!」

 

<< ジオウトリニティ! >>

<< ジオウ!──ゲイツ!──ウォズ! >>

 

「ってぇ!オイ待て!皆で行くってこういう!?」

 

「待ちたまえ我が魔王!!」

 

「「「「「ん?」」」」」

 

やたら慌てた様子のゲイツとウォズを包む空からの光に目を奪われる一同。妙な動きをしながら訴えている二人の言葉も聞く前に、ソウゴはドライバーにジオウライドウォッチとジオウトリニティライドウォッチをセットする。

 

「──変身ッ!」

 

<< TRINITY TIME! >>

 

「「ああッ!?──ふぉッ!?」」

 

<< 3つの力~!カメンライダージオウ!ゲイツ!ウォズ!!──トーリーニーティー! TRINITY! >>

 

「「「「「「「「ッ!?!?!?」」」」」」」」

 

ゲイツとウォズが変身した状態から顔を残してジオウの周りを飛び回った後、ゲイツが右肩、ウォズが左肩にくっ付くと、ジオウの顔も胸部に下がり、代わりに三色の色でライダーと描かれた複眼が頭部に着くと、ジオウは三人のライダーと合体した強化フォーム、ジオウトリニティへと姿を変えた。

 

 

「「が…合体したぁー!?」」

 

「「「てんこ盛りだ…!」」」

 

「…阿修羅か?いや、腕は二本か…。」

 

「……。」

 

「お~~!」

 

上から戦兎と龍我、悠と秋と神太郎、蓮司、ハルナ、そして何故か目を輝かせているウラナ。

 

様々な反応を見せてる中、トリニティの中では…。

 

 

「ジオウ…貴様どういうつもりだ?」

 

「どう、って。言ったじゃん、皆で力を合わせるって。」

 

「いや確かに言ったがコレだと数が減るだろ!」

 

「私も正直このタイミングで出すのはどうかと…。」

 

「えぇ~?」

 

など、軽い内輪揉めをしてる中、ジオウトリニティを眺めるウラナが、どういう訳かトンでもない言葉を悠達に投げつける。

 

「ねぇねぇ!アタシ達もアレやろうよ!アレ!!」

 

「やろうって…てんこ盛りを!?」

 

「うん!カッコいいからやろうよぉ!ねぇ!!」

 

「カッコいいって…ウラナ、アナタ本気でそう思ってるの?」

 

「うん!」

 

 

「ッ!ねぇ聞いた!?今のオレ達カッコいいって!!」

 

「マジか…。」

 

「なんと…。」

 

「…抱きしめたいわ。」

 

 

「…アレ、カッコいいのか?」

 

「ま、まぁ、子供のセンスは分かり知れないから…別にいいのか?」

 

 

「い…いや無理だって!そんなもん出来るわけ無いだろ!なぁ!」

 

「うん!うん!!私キミ達が合体できるアイテム何て造って無いよ!!」

 

「え~?…じゃあ今造る!いよッ!」

 

「ちょッ、ウラナ!?────へへぇん!」

 

「「「「え?」」」」

 

ウラナは名案と言わんばかりに造ると宣言すると、ハルナに憑依した状態でハルナが持っていたマイティブラザーズのガシャットに強く念じた。

 

するとブラザーズのガシャットが光りだすと、出て来た光の帯が悠達の持つガシャット、タドルクエスト、バンバンシューティング、爆走バイクに繋がるとガシャットがブラザーズのガシャットに吸い込まれていき、やがて一つの金色に輝くガシャットが生まれた。

 

「ん~ッ…っとぉ!出来たァ!!」

 

<< ULTIMATE ACTION Z >>

 

「「「「ホントに出来た!?」」」」

 

ウラナが憑依するハルナの背後にはたった今造りだしたガシャット、アルティメットアクションZのスタート画面。

 

大きく描かれたゲームタイトルと共に、バイクに乗ったマイティの背後に、剣を持った水色のマイティと、銃を持った藍色のマイティが写されていた。

 

<< ULTIMATE!──ガッシャット! >>

 

「スーパーッ!──大変身ッ!!」

 

<< ガッチャーン! >>

 

「ッ!──何ッ、ってうぉぉッ!?」

 

「えぇちょ待ッ!──おおぉぉッ!?」

 

「何だコレは!?──ぬあぁッ!!」

 

ハルナがドライバーから出て来たセレクトパネルに触れると、パネルからブレイブ、スナイプ、レーザーのアイコンが出現し、独りでに悠、秋、蓮司の元に飛んでいくと、悠達を強制的スナイプ、ブレイブ、レーザーに変身させる。

 

すると次の瞬間。先程のゲイツとウォズのように背中のレベル1の頭部に三人の体が吸い込まれ、三つの頭部は頭部がダブルアクションゲーマーLv.Ⅹ時のエグゼイドの周りを飛び回る。

 

<< FUSION UP! >>

 

<< パワーとテクニック!スピード!ハート!4つの力!──ULTIMATE ACTION!──Z! >>

 

左肩にブレイブ、右肩にスナイプ、胸部にレーザーの頭部が合体、4つの力と五人が一人となった原典に無いエグゼイドの新たなる姿。

 

仮面ライダーエグゼイド アルティメットアクションゲーマー

 

 

「「…こっちも合体したぁー!?」」

 

 

「え…1、2、3、4…負けたぁ。」

 

「何を張り合ってる!」

 

「これは何という…やはり平成ライダーは何が起きるか予想がつかない…。」

 

 

「……私は?」

 

たった一人残された神太郎の虚しき呟きに答えてくれる者は居なかった。

 

 

「へ?──うおおおおおおおおッ!?マジで合体したぁぁぁ!!てんこ盛りキターーーッ!!!」

 

「オイオイマジかよマジですかぁ!?

つーかなんでオレ肩なんだオイ!!」

 

「何故オレが左なんだ…右利きなのに!!」

 

「やったー!できたー!」

 

「ちょっとアンタ達!女子の体に何ペタペタくっ付いてんのよ!!セクハラよセクハラ!!」

 

「しょうがないだろ、ウラナの所為で勝手にこうなったんだから!」

 

「えー?だってアタシもみんなと合体したかったもん!」

 

「だからと言ってこの姿はどうなんだ!?」

 

「まぁまぁ、もうなっちゃったもんは仕方ねえし!もうこのままノリノリで行っちゃおうぜ!」

 

「何故貴様が仕切っているのだ?」

 

「だってオレが一番目立つとこ居るし!…普段目立ってないから余計にね。」ボソッ

 

「秋~?アンタなんか言った?えぇ?誰の部位が目立ってないってぇ?」

 

「いえ何でもォ!」

 

「バカだろお前。何でそう地雷踏むんだよ。」

 

「…こればかりは右肩に同意だ。」

 

正に奇想天外な状況に五人はわちゃわちゃと騒いでるが、客観的に見れば肩や胸がピクピク上がったり首が右に回ったり左に回ったりなど可笑しな挙動してるヤツにしか見えない。

 

”あぁ。オレ達も最初はあんなカンジだったのかな”とジオウトリニティがしみじみ思う中、ジオウに続きエグゼイドも合体を果たした現状を見て、蚊帳の外になりかけてた戦兎は一大決心を決めた。

 

「…何か置いてけぼり喰らっちまった気分…よっし!こうなったらオレ達もやるぞ万丈!」

 

「あ?やるって……ッ!?アレの事言ってんのかぁ!?

無理だろ!だってもうベルナージュは居ないんだしよ!」

 

「ところがどっこい…じゃーん!」

 

「ッ!?ハァアアアッ!?お前ッ、何でソレが此処にあんだよ!?」

 

龍我が驚愕に染まった顔で指差す先には、本来なら一度きりしか使えなかったパワーアップアイテムが何故か堂々と自信たっぷり戦兎の手に握られていたのに理由を聞き出せずにいられなかった。

 

「エボルトや他の地球外生命体の事を気にかけてたのはお前だけじゃないんだよ!

素材となるボトルは分かってるし、父さんや葛城の手も借りてやっと復元出来たんだよ!──さぁ、実験を始めようか!」

 

<< CROSS-ZBULLD! >>

 

戦兎が来る日に向けて用意したというとっておき、クローズビルド缶をドライバーにセットしレバーを回すスナップビルダーが戦兎と龍我を挟む様に展開される。

ポーズを取る戦兎の後ろでガックシと肩を落とす龍我。「マジかよ…。」と小さく呟くが、その後頭を掻いて自棄糞気味に覚悟を決めた。

 

「あああもうやってやるよ!!アイツ等に遅れを取っちまうより100倍マシだ!!──行くぞ戦兎ォ!!」

 

「フッ──あぁ!!気ィ引き締めろよ万丈ォ!」

 

<< Are you Ready? >>

 

「「変身ッ!──」」

 

<< RABBIT! DRAGON!──Be The One! >>

<< ──CROSS-ZBULLD! >>

 

スナップビルダーが中に居る戦兎と龍我を合わせてアーマーを装着させると、其処に居たの一人の戦士。

 

半分がウサギのビルド、もう半分がドラゴンのクローズ。ハザードレベルの限界値に達する事で成れた、ビルドドライバーを使用するライダーシステムでの究極の進化形態。

 

ジーニアスフォームを超えるビルドとクローズの究極フォーム、仮面ライダークローズビルド。

 

 

「いよっし成功だ!!どーよ万丈スゴイっしょこれ!最ッ高だろ!!天ッ才でしょ!!」

 

「だあぁぁぁッうるせぇッ!耳に直に響くだろうが!クッソやっぱり馴れねぇこの感覚!!」

 

 

 

「オイ、向こうの方が断然カッコいいじゃないか。」

 

「つかどこの二人で一人の探偵よアレ?」

 

「兎と龍…何処がベストマッチなのだ?」

 

「う~ん…アタシやっぱりアッチがいい!」

 

「ウラナ、本気で言ってる?」

 

 

「うえぇぇッ!?戦兎達も合体しちゃった!!」

 

「なんだこの光景…頭が痛くなる…。」

 

 

 

「コレは最早…云わねばなるまい!!──ッ!」

 

「えぇ!?ちょっとッ、ウォズゥ!?」

 

「貴様また勝手に…!!」

 

ジオウトリニティの主導権が強制的にウォズへと移ると、ウォズは呆然と立つエグゼイドとクローズビルドの前に移動すると、大手を振りながらその場で盛大に高々と声を上げた。

 

「──祝え!

ジオウトリニティと、クローズビルド…そしてエグゼイドアルティメットアクションゲーマー!

三位、ニ位、五位一体!合わせて十位三体の共演による、歴史上嘗て無い奇跡が生まれ、刻まれし瞬間である!!」

 

 

 

「えっと……喜べばいいの?」

 

「知るかよそんなの…。」

 

 

 

「ウォズ…。」

 

「だから…恥ずかしいから止めろと言ってるのに…!」

 

「何を言うんだ二人共、これが我々にとっての醍醐味だと言うのに。」

 

「こんな醍醐味いらんわ!」

 

ソウゴ達にとってはいつもの事らしいが、それ以外の面々はウォズの突然の祝言により呆然とする始末。

 

 

そんな光景をアナザーディケイドの足止めに自ら進んで行ったゲムデウスことアベルは、デウスラッシャーの斬撃をアナザーディケイドへ喰らわせた後、合体したエグゼイド達を目にするや、腹を抱える位盛大に笑いだした。

 

『ブゥーッ…!ダッハハハハハハハハ!?なぁにあれぇ!?コレだけは全ッ然ッ予想していなかった!!

はぁーッ、お腹痛い…フゥー。どうやら足止めは良さそうだね。後は高みの見物でもさせてもらうか!』

 

そう言うやゲムデウスは姿を消した。

先程まで相手していた存在が消えた事によってアナザーディケイドは自動的に標的をエグゼイド達へと変更。地響きのする足音が次第に近づいて来るのに気付いたライダー達は、意識を切り替え、向かって来るアナザーディケイドに意識を向ける。

 

 

「来るよ!」

 

「あぁ、こうなったら仕方ねぇ!もうこのままいっちまうぞ!!」

 

「正気か!?こんな訳分からない状態で!!」

 

「ワケわかんないじゃないもん!!」

 

「でも実際どうやって戦う気よ!?タダでさえ一人一人我が強いのに、こんなバラバラなカンジでまともに戦えるわけないでしょ!?」

 

 

「…じゃあ、一人づつ交代でしてみたら?」

 

 

「「「「「え?」」」」」

 

 

「オレ達そんなカンジで戦ってるよ!ねぇ?」

 

「じゃないとロクに動けんからな。」

 

「私の祝福もままに出来ないからね。」

 

「マジかよ!いいなーそっちは交代出来て、コッチなんて息合わせなきゃロクに動かせねぇしよ。」

 

「文句言うんじゃないよ。この缶復元出来ただけで超スゴイ事なんだからな!」

 

 

「…だって。」

 

「じゃあソレで行くか。」

 

「…仕方ない、付き合ってやる。」

 

「よーし!みんなで行くぞォーッ!」

 

「ホントにやれるの~?」

 

ジオウからアドバイスを貰い、ジオウとクローズビルドの間に立ち並び立つ形でアナザーディケイドと対面するエグゼイド。

 

地響きと獣の様な雄叫びを上げながら一歩づつ向かって来る巨大なアナザーディケイドの姿は誰もが恐ろしいと思わせる光景だが、前に立つ三人のライダー達はそんな感情は全く以て無い。

 

別世界から来た心強いライダーが来てくれただけではない。文字通り、自覚して無いが五人が一心同体となっているお陰か不安や恐れは無い。

 

五人の心に強く抱いてるのは、ただ一つの強い意志だ。

 

 

「さ~てと、んじゃ──。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「削除か…!/いざまい…!/ノリノリで…!/このゲーム、きょ!…/ドーンと…!」」」」」

 

 

「「「「「「…………オイ/ちょっとォ!!!!!」」」」」

 

 

 

「……なんで私だけ仲間外れ…。」

 

「………。」

 

羨ましそうにエグゼイドを見つめる神太郎に、ツクヨミは何も言わずそっと肩に手を置いた。

 

 

 

 

 

 

「んじゃ仕切り直して───てんこ盛り祭りじゃああああああッッ!!」

 

 

「よっしゃぁああッ!ガンガンノッてくぜぇぇッ!!」

 

「左肩だが…参るッ!!」

 

「うおッ、ちょっと!いきなり走らないでよ私の体なんだから!!」

 

「イェーイ!!イケイケドーンーッ!!」

 

 

 

(((((てんこ盛り祭りって、何なんだ?)))))

 

思わず心の中でツッコむレジェンド達。先走っていったエグゼイドに遅れを取られたと気づくや否、直ぐに自分達もアナザーディケイドへと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『虫けらがぁ!!そんな姿になった所でオレに勝てるかぁァァァァアアアアアアアッッ!!』

 

向かって来るライダー達に両手からブラストの光弾を放つアナザーディケイド。

 

放たれた光弾を跳躍して回避するエグゼイド。宙に舞うエグゼイドの前にガシャットの機能で出現したチョコブロックが現れる。

ブロックを足場に更に上へと跳ぶ。気が付けばブロックはアナザーディケイドを取り囲むように現れていたブロックを足場に素早く動き回るエグゼイドの素早さにアナザーディケイドの目が追い付かなかった。

 

「まずはオレから行くぜぇ!!」

 

<< ガシャコンスパロー! >>

 

鎌モードのスパローを手にしたエグゼイドはブロックを足場に斬り掛かって行く。

 

「ソラッ!──ッ!」

 

『グゥッ…!!』

 

「まだまだァ!!ガンガン飛ばすぜぇ!!」

 

『グッ…!この…ッ!!チィ!!すばしっこい虫が!!』

 

アナザーディケイドを取り囲むブロックを足場にあらゆる角度から斬り込むエグゼイド。そのスピードは段々と上がっていきアナザーディケイドは残像で何人にも見えるエグゼイドを前に捕らえられずにいる。

 

「オイ秋!あまり踏み込み過ぎるな!!何かイヤな予感がしてきた…。」

 

「平気平気!まだまだ速く出来るぜ!──っておゥッ!?」

 

一方的な展開となっていたが、突然足が何者かに掴まれ動きが止まるエグゼイド。

 

視線を下げると、アナザーディケイドに張り付いていたアナザーライダーの石像。アナザーカブトがエグゼイドの脚を掴んで動きを止めたのだ。

 

「コイツッ、飾りじゃ無かったのかよ!?──ウォォォッ!?」

 

アナザーカブトに掴まれたまま地面に向かって投げ飛ばされるエグゼイド。地面に叩き付けられ、アナザーディケイドは踏み潰そうと片足を上げた。

 

『潰れろ!蟻んこの様に!!』

 

「マッズ!──ッ!!」

 

 

<< VOLTECH BREAK! >>

 

<< 爆裂deランス! >>

 

「「ハァッ!!」」

 

 

『グォォォォォッ!?』

 

踏み潰されかけるエグゼイドの前に立ったビルドとジオウは、ドリルクラッシャーとジカンデスピアで押し返しアナザーディケイドを転倒させた。

 

「全く!オレ等を置いといて手間をかけさせやがって!」

 

「我が魔王を差し置いて出しゃばるからだよ?」

 

「アハハハ…ごめんなさい。」

 

「話を聞かないからこうなる…気を付けろ。あの体に張り付いてる石像、意思を持って動くようだ。」

 

「何?…てことは、実質アナザーライダー20人近く相手しているという事か。面倒な…。」

 

「…でも待って、もしあの石像全部倒したら、アイツ丸裸って事にならない?それならアイツを簡単に倒せるかも…。」

 

「すっぽんぽん?」

 

「桜井…女子が丸裸という言葉をそう使うもんじゃあない。ウラナ、お前もだ。」

 

「…いや、イケるかもよソレ。うん!イケる気がする!!」

 

「あの体に付いてる石像ぶっ壊せばいいんだな?ならぶっ壊そうぜ!

こっちだって10人も居るんだし、負ける気が全然しねぇ!!」

 

「いや、実質今三人だからな?」

 

 

『このッ!…オレをコケにしやがってェェェッ!!』

 

 

「来るよ!──」

 

 

跳びかかって来るアナザーディケイドが勢いよく振り下ろした両腕は地面を大きく陥没させたが、ライダー達は跳んで回避しエグゼイドが生み出したブロックに乗って各自攻撃を開始し出した。

 

「今度はオレが行く!──彩守の剣技、魅せてやる!」

 

「お!お前蓮司か!なら一緒にやろうぜ!」

 

「万丈──フン、遅れるなよ!」

 

「そりゃコッチのセリフだ!」

 

ガシャコンソードとキースラッシャーを持ったエグゼイドにビートクローザーを持ったビルドが並んでアナザーディケイドへ向かって行く。

 

脚部に居るアナザーウィザードとアナザー響鬼による火炎攻撃が襲ってくるものの、先行するエグゼイドがそれらを斬り落としながら右足へ向かって行く。

 

その最中、エグゼイドはドライバーのレバーを一度閉じ、再度開くと、必殺技のモーションに入った。

 

<< ガッチョーン──ガッチャーン!──ブレイブ! >>

 

<< TADDLE! ULTIMATE SLASH! >>

 

「セェェァァァァッ!!」

 

エグゼイドが跳躍し、向かう先の炎を吐き出してるアナザー響鬼の攻撃を二本の剣で捌きながら向かって行く最中、ガシャコンソードに青く輝くエネルギーが刀身に灯ると、勢いよく振り下ろす。

その一撃は、ガードしたアナザー響鬼を真っ二つにした。

 

突き立てた剣はそのまま下へ下へと下り、一瞬の内にアナザーブレイドとアナザーファイズの石像も破壊し、アナザーディケイドの石像があった個所が爆ぜた。

 

『ガァァアアアァァァァッ!?!?!?』

 

 

「やるじゃねか!オレも負けてらんねぇ!!」

 

<< SPECIAL TUNE! >>

 

<< ヒッパレー!ヒッパレー!!ヒッパレー!!! >>

 

ビルドもエグゼイドに負けじとビートクローザーにドラゴンフルボトルをセット。刀身に青い炎を灯し、炎を放つアナザーウィザードへ狙いを定めた。

 

<< MEGA SLASH! >>

 

「ウォリャァァァァッ!!」

 

振るった斬撃は、青い龍となってアナザーウィザードへと飛んでいき向かって来る炎にビクともせず龍はアナザーウィザードを破壊した。

 

「よっしゃぁあッ!──ってうおォ!?」

 

「ッ!万丈!!」

 

アナザーウィザードの石像を破壊したビルドだが、すぐさまアナザー鎧武とアナザードライブの逆襲を受ける。

 

助けに入ろうとしたエグゼイドであったが、立ち昇った煙の中からビルドが青い龍に乗って現れた。

 

「ブハッ!危なかったぁ…。」

 

「だから油断しすぎだっての!

今度はオレの番!」

 

<< 分身の術! >>

 

龍の背から飛び降りたビルドは、新たに手にした[四コマ忍法刀]の機能の一つである分身の術を使い二体に別れる。

 

<< 火遁の術! 火炎斬り! >>

 

<< 風遁の術! 竜巻斬り! >>

 

「「ハアッ!!」」

 

二体のビルドはそれぞれ炎と風を忍法刀に纏わせ、アナザー鎧武とアナザードライブを破壊する。

 

脚部に貼り付けられたアナザーライダー達がすべて破壊されると、アナザーディケイドは悲鳴を上げながら膝をつく。

 

分身したビルドを見てジオウは、良いヒントを得たようで早速実行に移した。

 

「我が魔王!ゲイツ君!我々もコレでいこう!」

 

<< シノビ! >>

 

「これは!…成程、確かにコレなら…!」

 

「お~!ウォズナイス!」

 

ジオウはシノビミライドウォッチで三体に分身を果たす。

 

それぞれサイキョーギレード、ジカンジャックロー、鎌モードのジカンデスピアを手にアナザーディケイドの左腕と腰に狙いを定めた。

 

 

<< ジオウサイキョー! >>

<< 覇王斬り! >>

 

「デェェアアァァッ!!」

 

 

<< のこ切斬! >>

 

「ハァァッ!!」

 

 

<< 一撃カマーン! >>

 

「ハッ!」

 

 

左腕と腰にいたアナザーオーズ、アナザーフォーゼ、アナザーゴーストを破壊する三体のジオウは一人に戻る。

 

ブロックを足場にして跳び、そのまま左肩にいるアナザーエグゼイドへサイキョーギレードを突き立てようとするが、咄嗟に振り払われたアナザーディケイドの左腕に当たってしまい吹き飛ばされてしまった。

 

「うわぁ!!──」

 

「おっと──キャッチ!」

 

吹き飛んでいくジオウをエグゼイドが受け止め、後方にブロックを生み出して壁として止めた。

 

「平気か?」

 

「ありがとう!えっと…。」

 

「灰原だ。あー…右肩の!」

 

「あ、秋のお兄さん!」

 

「だから兄じゃないって。」

 

「そんな話は今どうでもいいだろ!」

 

「無駄口叩いてるならオレに戻せ!ヤツを今すぐ切り伏せてやる。」

 

「交代だっつてんだろアホ剣バカ!──消された分たっぷり倍にして返したいんだからよォ!」

 

 

<< ガッチョーン──ガッチャーン!──スナイプ! >>

 

<< BANGBANG! ULTIMATE FIRE! >>

 

エグゼイドはライフルモードのガシャコンマグナムとキースラッシャーを手にしながらブロックを足場に駆け回り、アナザーディケイドの右腕に目を付けた。

 

右腕に居るアナザーアギトとアナザー龍騎、二つの石像に藍色のエネルギーが充填された二つの銃口を跳び跳ねながら構え狙った。

 

「──BANG!」

 

マグナムとキースラッシャーから放たれた藍色の弾丸は不規則な軌道を描きながら狙ったアナザーライダーの石像へ。

途中アナザー龍騎が火炎弾を放つも、弾丸は火炎弾を躱しながら狙い通りにアナザーアギトとアナザー龍騎を撃ち抜き、破壊した。

 

「悠兄さん!もっかいオレに変わって!!やられっぱなしとか超カッコ悪ィ!お願い!!」

 

「えー?…ったくしょうがねえなぁ。」

 

「サンキュー!」

 

エグゼイドの主導権が再び秋へと変わる。悠の持っていたマグナムを捨てると、ドライバーのレバーを閉じ、再度開く。

 

<< ガッチョーン──ガッチャーン!──レーザー! >>

 

<< BAKUSOU! ULTIMATE ATTACK! >>

 

「喰らいやがれ、必殺!カミカゼアタァァァァックッ!!」

 

 

「「「オイ テメェ/貴様!!」」」

 

 

「ドリャァァァァアアッ!!」

 

キースラッシャーをアナザーディケイドへ向けながら一直線にトップスピードで特攻するエグゼイド。

不吉な必殺技名にウラナを除いた三人が声を荒げながらも、黄色の閃光となったエグゼイドの捨て身の必殺技は腰部のアナザーカブトの石像を破壊した。

 

 

「おッ、とととととと!ふぅ~、なんとか上手く出来たぜ…。」

 

 

「「「出来たじゃねーよ! このバカ/戯け!!」」」

 

「こっちにもダメージ来たわ!…地味にだけど!!」

 

「此方の意見は一切無視か!貴様の自爆特攻に付き合えと!?」

 

「秋アンタねぇ!」

 

「アハハハ!今の楽しかった~!もう一回!」

 

「お、アンコール?んじゃもう一発…。」

 

 

「「「するかぁ!!」」」

 

 

『ガァァァァ…ッ!!このッ、このこのこのッ!!ニセモノの出来損ないがァァァァッ!!」

 

アナザーディケイドは次々と石像が壊されていくせいで力が衰退していくが、沸々と込み上がってくる憤りを背中を向けているエグゼイドにぶつけようとするが…。

 

 

<< キング!ギリギリスラッシュ! >>

 

「「「ハァァァアアアアッ!!!」」」

 

<< FULLFULL MACH BREAK! >>

 

「「ウオリャアァァッ!!」」

 

 

『ッ!?───グァァァァァァアアッ!!!』

 

ジオウとビルドが、両肩の着いてる残りの石像、アナザークウガ、電王、キバ、ダブル、エグゼイド、ビルドを破壊する。

 

「オイオイ、オレ達もいるって事忘れてたのか?」

 

「言ったでしょ?みんなで戦うって!」

 

 

『グゥッ!クゥ…!何故だ!何故、お前等はそんな奴らに力を貸す!?

ソイツ等はお前達仮面ライダーの力を勝手に使ってるニセモノのライダーだ!そんなまがい物達の築いた歴史など、守って何の意味がある!?』

 

 

「関係ねぇよ!偽物だとか、紛いモノだとか。例えそうであっても、コイツ等が作り上げた今までの出来事を無かった事にして見過ごすなんて…オレは絶対にしない!」

 

「桐生…。」

 

 

「今日会ったばかりだけど、秋や、お兄さんと話して確かな事が分かった!

オレ、秋達と良い友達になれる気がする!ううん、なりたいって!だから助ける!」

 

「ソウゴ…。」

 

 

「まぁ確かに俺達は偽物と言われてもしょうがねぇよ。

でもな、俺達が歩いてここまで来た道のりは、俺達にとっちゃあ確かな本物なんだよ!」

 

「…そうだ。

悠兄さんや姉ちゃん。この世界の人達と出会ってオレは変われた!今の自分に!」

 

「私も前まで自分だけが良ければ他人はどうでもいいとか本気で思ってた…でも今は違う!

みんなと会って、一緒に戦って、新しい生き方を見付けられた…ここに居るコイツ等と最後まで戦って勝ちたい!この世界を守りたいって!」

 

「アタシ、レンジが好きだけどみんなの事も好き!

これからもいっぱい!たくさん遊びたい!!楽しい思い出を作っていきたい!!」

 

「オレはコイツ等程思い入れがない。が、この世界には斬るべき敵が山ほど居る。

ソイツ等を全部斬る為にも、貴様の下らん野望の礎になる気は毛頭無い!」

 

 

「偽物だ紛いモノだなんざ好き勝手言いやがれ!

俺は、オレ達は俺達の道を進んで行く!立ち塞がる壁が有ろうがぶっ壊す!───テメェの事だ!ウェイドォ!!」

 

 

『ほざけぇええええええええええッッッ!!』

 

 

「「「「「ウオォォォォォォオオオッッ!!」」」」」

 

<< ガッチョーン──ガッチャーン!──エグゼイド! >>

 

「「「「「ハッ!!」」」」」

 

両手からブラストと口からは黒いエネルギー球体を吐き出すアナザーディケイドだが、攻撃を全て素早い動きで回避するエグゼイド。

 

エグゼイド。中にいる五人が思う気持ちはただ一つ…思い切りぶん殴る。

 

その思い一心で、嵐の様な攻撃の雨を切り抜け、一気にアナザーディケイドの眼前にまで迫ってきた。

 

 

「「「「「ウェイドォォッ!!!!」」」」」

 

『ッ!?』

 

 

 

「「「「「俺達/オレ達/私達/アタシ達を──」」」」」

 

 

<< MIGHTY! ULTIMATE BRAEK! >>

 

「「「「「──舐めるんじゃねぇえええええええええッ!!!!!」」」」」

 

体を捻り、握り締めた拳が、アナザーディケイドの顎にアッパーで入った。

 

 

『グフゥッ!?───ォォォォォォォオオオアアアアアアアァァァァッ!』

 

 

「えぇ!?」

 

「バカな、あの巨体を…。」

 

「あそこまで高く…。」

 

 

「うそーん…。」

 

「うおおおおッ!?筋肉スゲェ!?」

 

エグゼイドがアッパーで殴り、打ち上がったアナザーディケイドだが、その高さが空に浮かぶ雲にまで達するほどの怪力に唖然とするジオウとビルド。

 

本来ならココまでのパワーを発揮しない。だが、五人が心を一つにする事により、アルティメットゲーマーのスペックは従来の5倍にまで上がる。それがアルティメットゲーマーの真の能力である。

 

「ジオウ!ビルド!トドメだ!!」

 

 

「ッ!分かった!ゲイツ!ウォズ!」

 

「「あぁ!」」

 

<< FINISH TIME! >>

<< ジオウ! ゲイツ! ウォズ! >>

 

 

「戦兎!」

 

「分かってるって!勝利の法則は──決まった!」

 

<< Ready GO! >>

 

 

「行くぜぇ──ッ!」

 

<< ガッチョーン──アワセワザ!──ガッチャーン! >>

 

 

「「「ハッ!──」」」

 

 

『ォォォォァァァァァアアアアアッッッ!!』

 

 

落ちて来るアナザーディケイドに向かって空高くジャンプするジオウ、ビルド、そしてエグゼイド。

 

三人が落ちて来るアナザーディケイドとすれ違うと、ジオウからピンク、黄色、緑色のキックという文字が、ビルドからは金と銀の二重螺旋が落下していくアナザーディケイドを止め、拘束すると、三人は右足を突き出し、キックの態勢をとった。

 

「「「ハァァァァァッ!!!」」」

 

<< TIME BREAK!──BURST!──EXPLOSION! >>

 

 

「「ラブ&ピース!──フィニィィィィッシュ!」」

 

 

「「「「「コレで──決まりだァァァァッ!!!!!」」」」」

 

<< ULTIMATE CRITICAL STRIKE! >>

 

 

『ガァッ!?グァァァアアアアアッ!!!』

 

 

「「「ハァァァッ!!───ダァアアッ!!!」」」

 

 

『グァァァァァァァアアアアアアアッッッ!?───』

 

拘束されたアナザーディケイドの胸部に炸裂する三人…否、十人のライダーキックを喰らい、アナザーディケイドは遂に耐えきれず空中に浮かんだまま爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──グ…ッ!ク、ソがァ…!!」

 

ボロボロの姿で地面に倒れるウェイド。その傍ではディケイドのアナザーウォッチが砕け完全に勝負がついたようだが、彼の目は未だ怨敵であるライダー達を真っ直ぐに捉えていた。

 

「ま、だだ!オレは、まだ!まだ戦える…!!」

 

 

「…ちょっと気になってたんだけど…。」

 

立ち上がろうにも最早立つ力も残ってないウェイドの元へ、ソウゴが一人でウェイドの元に歩み寄って来る。

 

「アンタがスウォルツを恨んでる理由ってさ、ホントは自分が裏切られた事より、ツクヨミを消そうとした事に対して恨んでたんじゃないの?」

 

「ッ!…。」

 

「え?」

 

「だってツクヨミが生きてたって知った時のアンタ、本当に嬉しそうだったから。もしかしたら、って思って。」

 

「………。」

 

「…ウェイド。」

 

ソウゴの指摘によって顔を俯き黙り込むウェイドの元へ、ツクヨミが歩み寄って彼の前にしゃがみ込む。

複数のライダーの力を有したアナザーディケイドとグランドジオウのウォッチを取り込んだ代償か、ウェイドの体にノイズが奔りもうすぐ消滅しようとしていた。

 

「……もう、お人形だけが友達のかわいそうなお前じゃあ無いんだな。」

 

「…えぇ。信頼できる仲間が出来たわ!」

 

「…………フン。そっか…──。」

 

僅かな間、短く放った言葉と共に浮かべた笑みを最後にウェイドは消滅した。

 

 

 

 

 

 

「──終わったか。」

 

「そのようだな。」

 

ウェイドが消滅する瞬間を見届けたチームライダーズと、ビルド、ジオウ勢の面々。今回の騒動を引き起こした主犯が消えた場面を見て安堵の息を吐いた所で、ソウゴとツクヨミが合流した。

 

「改めてを礼を言うよ。別世界の厄介事だってのに態々来てくれて…本当にありがとう。」

 

「別にいいって!オレ達したくてやった事なんだから。」

 

「ラブ&ピースを掲げる天ッ才物理学者にとっちゃ、この程度朝飯前ってね!……っと。終わったのなら、オレ達はさっさと帰んないとな。」

 

「は!?もう帰るのかよ!?」

 

「ココと向こうを繋げてるゲートが長く持たないから短期決戦で頼む、って行く時葛城に言われただろ?

一生戻れなくなるなら好きに居てもいいけど?」

 

「あ…ヤッベ忘れてた!」

 

「全く…ていう訳だから、オレ達はココで。」

 

「うん!また会えて嬉しかったよ戦兎。いつかまた。」

 

「桐生。万丈。お前達二人には大いに世話になった。改めて感謝する。」

 

「あぁ!…蓮司。話に聞いてた通り、お前の仲間、中々個性的だな……でも、結構良いチームだと思うぞ?」

 

「…どうだがな。」

 

「ハハハ!」

 

「おう蓮司!今度会った時は負けねえからな!首洗っといて待っとけよ!!」

 

「首洗うって、たかが腕相撲でお前…。」

 

「んだよ!使い方として間違ってねぇだろ?」

 

 

 

「我が魔王。我々もそろそろ帰るとしよう。もうすぐ夕食の時間だ。」

 

「そうだね、お腹空いてきちゃったし…。

それじゃあ秋。オレ達も元の世界に帰るよ。」

 

「ソウゴ、ホンっとありがとうな!お前達が居てくれたお陰でみんな元に戻った…この借り、何時か倍にして返すぜ!」

 

「ん~だったら……王族直下の親衛隊になって貰おうかな!」

 

「おう良いぜ!こっちでの戦いが終わったら、な!

あそうだ、折角だし記念写真撮ろうぜ!こんな機会滅多にないんだしさ!!」

 

「イイねそれ!ゲイツー!ツクヨミー!ウォズも一緒に撮ろうよ!」

 

「あぁ分かったよ我が魔王…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────さて、こうして別世界のライダー達を巻き込んだ騒動は終わりを迎えました。

だが、この騒動が後に彼等のこれからの運命を左右するのは、まだ誰も知らない。

その時が来るのは、まだまだずっと、未来のハナシ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルドの世界。

 

「──へぇ~。で、これがその時に撮った写真かぁ。

それでその蓮司って男の子はどれ?」

 

「コイツ。この髪が長いイケメン。」

 

「わ、ホントにイケメン…いいなぁ、別世界との交流何て…アタシも行きたかったぁ。」

 

「えぇ?一海との温泉旅行行ってたんだろお前……そんなに悪かった?」

 

「悪かった所じゃないし、グダグダだし!

アイツったら緊張紛らわす為にお酒飲み過ぎてベロベロに酔った挙句、風呂にのぼせてダウンするし!その翌日は二日酔いで布団から出てこれなかったし!

結局三バカ達引き連れて遊んだだけに終わったし!」

 

「あー、だからか。美空が来た途端隅っこで縮こまってるの…。」

 

 

 

「……。」

 

「カシラ!何時までもそう落ち込んでたってしょうがないでしょうよ!

今回の失敗活かして、次頑張ればいいじゃないですか!!」

 

「そうそう!えっとこういうの…汚名返上って言うんでしょ?ね?」

 

「まぁみーたんと楽しんじまったオレ等が言える立場じゃあねぇけどな。」

 

「うるせぇよ!オレだって、オレだってみーたんと思い出作りたかったわ!……あ?」

 

 

「………。」

 

「なんだよヒゲ。言いたい事あるなら黙ってねぇでなんか言えよ…。」

 

「………ッ!」バッ!(革ジャン開ける)

 

ードリャァァァッ!ー

 

”丼米!”←Tシャツ着用中

 

「……んだよそれ。」

 

「新作だ、イイだろ?」

 

「イイもクソもねぇよ、ただの寒いダジャレじゃねぇか!!」

 

「んだとォ!向こうじゃ大ウケだったんだぞ!?”Oh! it,s japanese joke!"って!」

 

「アメリカ人が漢字読めるわけねぇだろ!んなダサTシャツ着てるテメェに笑ったんだよ!!」

 

 

 

「全く。相変わらず騒がしい連中だ。」

 

「ごもっともだな…って!う、内海さん!?何時から?」

 

「ついさっきまでいたぞ。

それよりも桐生、そこまで大変だったというのにどうして私には声を掛けてくれなかった?お互い過去の事はもう水に流した仲だと言うのに…。」

 

「いや、内海さん忙しいだろうなーっと思って…その棒の開発に。」

 

「ただの棒では無い!これぞ旧世界の技術を活かして生み出した自信作!その名も”難波スティック改Ver2”!!

私の計算上インド象が10頭踏んでも決して曲がらない強度を持った思考の発明品だァ!!」

 

「ぁ…はい、おめでとうございます。」

 

「…ねぇ戦兎。さっきからあえて言わなかったけど…万丈のヤツさっきからなにやってんの、アレ?」

 

 

「……スゥー……ハァー…。」

 

 

「あーアレ?ホラさっき言った蓮司ってヤツから教わった、無我の境地に達する為の座禅。」

 

「む、無我の境地ィ?あの、筋肉バカの万丈が?」

 

「寝てんじゃねぇのかアイツ?」

 

「………ッ!」バッ!(革ジャン開ける)

 

”ナンセンス…”←Tシャツ着用中

 

「いやだから口で言えよテメェ…。」

 

 

「………ッ!!見えた!───ッ!」

 

 

「ム?何だ貴様、こっちを見て…って、オイ!難波スティック改Ver2をどうする気だ!?…まさか、折る気か!?

フッ…ハハハハハハ!無駄だ!!旧世界の技術を用いて作ったそのスティックは貴様ではどうにも…!」

 

 

「スゥー────ウォォォオオリャアァァアアアア!フン!!」バキッ!!

 

 

「出来…ァァァァァァアアアアアアアッ!?!?!?な、難波スティックがぁァァああああああああああああッ!?!?!?」

 

 

「しゃあッ!!どーだ見たかァ!!コレが心技体を鍛えた今のオレ!!

プロテインの貴公子ッ!──万丈 龍我だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジオウの世界

 

 

「──おじさんただいま~!…って。」

 

 

「よう。どうやらなんとかなったみたいだな。」

 

「貴様、まだいたのか!?」

 

「おぉ。丁度今夕飯を食べ終わった所だ。」

 

「あ、ソウゴ君おかえり~!ってうわ、またみんなボロボロで帰って来たねぇ、あ、お腹空いたでしょ?今ご飯作るから!」

 

「あぁそうだ…その前に、コレを。」

 

「え、えーと何かなコレ?…っ!?え、ちょっとなにこのお金?5万円も…。」

 

「桜井 秋の兄からです。食事代と迷惑料だそうで。」

 

「えぇ?いや、確かにちょっと大変だったけど、こんなに貰っちゃ逆に申し訳ないなぁうん…また今度来た時、とびっきり美味しいのご馳走しなきゃいけないね!うん!」

 

「それと…コレはキミに。」

 

「オレにか?」

 

「あぁ。キミが居ると聞いて、この手紙を渡しといてくれと頼まれてね。」

 

「なんだ、お礼の手紙か何かか?………あ?」

 

「?どうしたの?」

 

「…ハ、あの餓鬼。少し合わない内に随分調子に乗ってるようだな……近いうちまた遊んでやるか。

ご馳走さん。また来るよ!」

 

「あ、ハーイ!またのご利用を~。って、ウチ何度も言うけど時計屋なんだけどねぇ…。」

 

「…アラ?彼、手紙置いてってるわ。」

 

「え?一体何が書かれてたんだろ?………ッ!」

 

「なんだ?……ッ!コレは…。」

 

「コレはコレは。随分と恐れ知らずだな、彼は…。」

 

 

 

 

 

”他人の家でメシたかりに来る位ならプラプラせず働け、このニート破壊者”

 

 

 

「……ツクヨミ…明日からバイトでも探すか。」

 

「…そうね。何時までも順一郎さんに甘えてる訳にはいかないわ。」

 

「え、二人共どうしちゃったの!?ねぇ!!」

 

 

「出来たよ~!って、うん?どうしたのみんな?」

 

「いいえ、なんでもありませんよ。おぉ、今日も美味しそうだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠達の世界

 

 

「──そうなんですか。私の知らない間にそんな事が起きてたなんて、怖いですねぇ。」

 

「私も聞いた時は信じられませんでしたけどね。ウラナが最初からいなかったって。」

 

「アタシ、居るよ?ここに居るよ?」

 

「ていうか知らなくて当然。過去が弄らされてそういう歴史になったってハナシなんだから。」

 

「それでもですよ。悠と夏音が居ないだなんて、そんなの考えたくもありませんもの。」

 

「もう終わったハナシだがな。いやーにしても今回ばかりは本気でヤバかったわ。過去改編で消えるわ、ディケイドの力盗られるわで…。」

 

「そうね……所で灰原君。」

 

「ん?」

 

「その……いつまで夏音ちゃんを膝に乗せて抱き締めてるの?夏音ちゃん顔真っ赤なんですけど?」

 

「ッ~~~!」

 

「いやホラ、ねぇ?歴史が元に戻ったとはいえ、俺は記憶残ってるし、こうして触れないと、安心できないというか、さ?」

 

「いや、別に責めてはいないんだけど……ラ・フォリアさん、いいの?」

 

「ええ全然♪後で私にもしてもらうだけですから。」

 

「あ、そう、ですか…。」

 

「アタシもレンジにしてもらおーっと!」

 

 

「…アレ?そういやあのバカは?」

 

「秋?…そういえば見て無いわね、あの子何処行ったのかしら?」

 

「もうすぐ夕飯ですからじきに戻って来るのではないですか?…あ、ホラ、今帰ってきたようですよ。」

 

 

「ただいまー!」

 

「ただいま戻りました!」

 

 

「おかえりー…って、速吸ちゃん?秋と一緒だったの?」

 

「あー…えーっとですね!ちょっとこの場を借りて皆に一つ、ご報告が…。」

 

「「「「?」」」」

 

 

 

 

 

「えーっと…ゴホン!

私!桜井 秋は!今日!速吸ちゃんと…結婚を前提にお付き合いする事になりましたぁ!!」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

 

 

「「…………………ッ!?」」

 

 

「まぁ!まぁまぁまぁ!!おめでとうございます二人共!今日はお赤飯を炊かなくちゃいけませんね!」

 

「え!シュウ結婚するの!?どうして?なんでなんで!?」

 

 

「いや~、その、歴史が変わって速吸ちゃんが消えたって聞いた時、ものスッゴイショック受けて…前々から気にはなってたけど、失って初めてどれだけ好きかって思い知らされて、我慢できず告白しました!」

 

「おぉ~!」

 

「ロ、ロマンチック、でした…!」

 

 

「という訳で、速吸ちゃんと幸せな未来を共に歩んで行く為に、桜井 秋!より一層の思いで戦っていきますんで、悠兄さん!姉ちゃん!これからもよろしくオナシャス!」

 

「お願いします!悠さん!ハ…ハルナ義姉さん!」

 

 

 

「「……………ええええええええええええッ!?!?!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガレージ地下ラボ

 

 

「…フフ、クフフフ…!

彼の言った事が正しければ、このガシャットを完成させれば我々は…

 

 

 

 

 

 

 

アベルに、ゲムデウスに勝てる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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