その男が進む道は・・。   作:卯月七日

165 / 187
「この台本によれば。
普通の高校生から魔王となった常磐 ソウゴ。彼の前に突如異世界から来た仮面ライダー、桜井 秋の世界がはぐれタイムジャッカー・ウェイドの手によって危機的状況と知ると彼と共にウェイドを止める為、桜井 秋の世界へ。
我が魔王とゲイツ君、私ことウォズは二手に分かれウェイドの阻止と歴史から灰原 悠の消失を防ぐ為に過去へ…おっと。
ここからは先は未来のハナシ、でしたね?」



劇場版 スターティングジェネレーション・3

ビルドの世界

 

 

戦兎が蓮司の居た世界へと戻す為に葛城 巧の協力を得て並行世界へ移動できる装置を作ってる間、科学について全くの素人である蓮司と万丈は装置が出来上がるまでの時間、別室にて…。

 

 

「……………Zzzz~。」

 

「──喝ッ!!」

 

ーバチィン!ー

 

「イッデェッ!!かぁ~~ッ!…。」

 

「また寝てたぞ。しかも次第に集中する時間が短くなってきている。」

 

「だってよぉ、こういうジッとしてるのオレ苦手なんだよなぁ…。」

 

「ジッとするのではない。集中力を高め、雑念を捨てる事によって無我の境地に入る。お前も武道をしていたのなら一度は似たような経験をしてる筈だ。それを意図的に出せる為の精神統一なのだ。」

 

「ん~そう言われてもなぁ。オレ的には筋トレの方が効果有ると思っけどよぉ…。」

 

 

「いたいた、こんな所に……何やってんだお前等?」

 

 

装置の制作を手掛けている戦兎が龍我と蓮司を見付けるが、何故か座禅を組んだ姿勢で頭を抑える龍我と、警策という棒を持った蓮司という想定外の光景に戸惑う戦兎に蓮司が口を開いた。

 

「フム…突然万丈から、”ヒマだから腕相撲でもすっか!”と言われて。」

 

「…なんで腕相撲?」

 

「なんとなく!」

 

「で、勝負した結果、10回やってオレが10勝した。」

 

「え……あの、筋肉とプロテインしか取り柄の無い脳筋の万丈から力勝負で、全勝…?」

 

「オイ!流石にそこまで言うのは酷すぎるだろ!」

 

戦兎が有り得ないといった表情を浮かべるが、蓮司は構いなく話を続ける。

 

「それからどうしてそこまでやれるのかと聞かれたから、”心技体を極めた成果だ”とオレは応えた。」

 

「…あぁ。要はメンタルの強さで万丈に勝ったと…。」

 

「それで言われるがままにこうして座禅組んでっけど、やっぱオレの性に合わなくてよぉ。さっきから蓮司にビシビシ叩かれるわで…。」

 

「だが身に着けておいて損は無い。オレから見ればお前の体や技は相当なモノだ。後は精神面を鍛えぬけば、オレから腕相撲で10勝取るの位簡単にできる。」

 

「マジか!いよぉしならもう一度やってみっか!!」

 

「悪いけど、もうそんな事やってる時間は無いぞ。」

 

「あ?どういう事だよ。」

 

「ッ!…まさかもう?」

 

「あぁ。装置が完成したぞ!実験はやって無いが、これで確実に並行世界に行ける!

スゴイでしょ!最高でしょ!天ッ才でしょ!?」

 

頭を掻いてる戦兎の髪がピョンと跳ね上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、混乱に満ちる世界の変化を楽しむアナザーディケイドの前に、先程嬲り尽くした神太郎が再度姿を見せる。

 

だが今度はもう一人、髪以外瓜二つの人物を連れて。

 

 

『──ほぉ?驚いたな、お前等双子か?』

 

 

「そうだよー♪」

 

「悲しい事に事実だが、今は止む無く共闘中の関係”だけ”さ。」

 

皮肉交じりの返答を返す神太郎にアベルが不満げに見つめるもそれを無視する。

 

そんな二人の関係がツボに入ったのか、アナザーディケイドことウェイドは手を叩きながら大爆笑する。

 

『ブッ、ッハッハッハッハッハッハッハ!!ハァ~ッ、笑えるねぇ!お仲間が居なくなったから不仲の兄弟と仲直りか!ダッハッハッハッハッ!!』

 

「あぁそうさ。だからキミを早々に…ブチコロシテヤル。」

 

「ひっどいなぁ~、そこまで嫌悪しなくて良いのに、傷つくよぉ…。」

 

『オイオイ、オレが言うのも何だがそんなんでオタク等平気かよ?』

 

「問題ない。盾としては十分だ…グレードXー0」

 

<< MIGHTY ACTION X >>

<< DANGEROUS ZOMBIE >>

 

 

「えぇ?そりゃ無いよぉ、ていうか盾役はどっちかというとそっちだろ?」

 

<< PERFECT PUZZLE >>

 

 

『ハッ、凸凹コンビでどう来るか…面白い、遊んでやる!』

 

 

「言ってるがいい──変身ッ!」

 

<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>

 

<< MIGHTY ACTION──X!──アガッチャ! >>

<< ──DANGEROUS ZOMBIE! >>

 

 

「変身♪──」

 

<< DUAL UP! >>

<< ──PERFECT PUZZLE! >>

 

ウェイドの前に、神太郎が変身したゲンムゾンビアクションゲーマーと、アベルの変身したパラドクスパズルゲーマー。

 

「さぁ~て、行くよカイン!」

 

「指図するな!其れと私は、灰原 神太郎だァァァァァァァァッ!!」

 

 

『カハハハハハッ!!──フンッ!!』

 

<< BLAST… >>

 

アナザーディケイドの両手の指、10の銃口から発射されるマゼンダの光弾。

 

立ち昇る爆炎を押し退けて二人の仮面ライダーは向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

ゲンムとパラドクスがアナザーディケイドへ挑みに掛かっているのと同時刻。

 

空に突如として現れた灰色のオーロラカーテン。その向こうから、段々と近づいて来るジェット音と巨大な影二つがオーロラから出ようとしていた。

 

 

<< ターイムマジーン! >>

 

 

オーロラから飛び出て来たのは二台の巨大なバイク型のマシン。

 

ソウゴ達が操る可変型タイムマシーン、タイムマジーンは地上で起きてる惨劇を目の当たりにしながら空を飛んでいた。

 

 

「…酷いね、コレ。」

 

「えぇ。街が滅茶苦茶に荒らされてる…。」

 

「ちょっと離れてこの有り様かよ…。」

 

銀色のタイムマジーンには操縦するソウゴと同乗しているツクヨミと秋。彼等は街の様子を見て顔を歪ませたところに、赤いタイムマジーンを操るゲイツから通信が入る。

 

「悲観的になってる場合か!

ジオウ、手筈通りにオレとウォズは過去に行ってウェイドを止めて来る!」

 

「我が魔王達はこの時代のウェイドの足止めを、灰原 悠の消失は我々に任せたまえ。」

 

 

「うん!そっちは任せたよゲイツ!ウォズ!」

 

「気を付けて。聞いた限りだと、ウェイドは相当強いらしいから。」

 

「あ、向こうで悠兄さんに会ったら接し方にも気を付けて!

その頃の悠兄さんツンツンしてて人付き合い悪い頃だとおもうし!」

 

 

「忠告どうも。そういったタイプの相手はゲイツ君で慣れてるから心配無用だよ。」

 

「…ウォズ。貴様後で覚えておけよ。

行くぞ──時空転移システム、起動!」

 

ゲイツが操縦するタイムマジーンは、時間の壁を越えてウェイドが悠を歴史から消す為に向かった過去へと飛んだ。

 

残されたソウゴ達はタイムマジーンを地上に降ろし、自身達も降りる。

 

ゲイツ達が過去に跳んでいるウェイドによる悠の殺害を阻止してる間、この時代のウェイドを抑えるべくまずは捜索を開始しようとしたが、聞こえて来る喧騒の声に向かって走る。

 

すると目に入ってきた光景はインベスとロイミュードによる抗争。中には巨大な龍のインベスと蝙蝠型の巨大ロイミュードが衝突し合い、ビルが損壊するなど街に被害が被っている。

 

 

「秋、アレって…!」

 

「あぁ!オレが言った復活したバグスター達だ!あぁチクショウ、ウェイドのヤツも相手しなきゃいけねえってのに…!」

 

「でも見捨てておけないよ!…ツクヨミ、オレがアイツ等を抑えるから、キミは秋と一緒にウェイドの所をお願い!」

 

「え、でもソウゴ、それじゃあ…!」

 

「ちょい待ち!……元はと言えばこっちが頼んだ身だ。オレが此処に残る!

悪いけど、二人は先にウェイドのとこ行っててくんね?」

 

「秋…。」

 

「なんかオレよりもソウゴ達の方がヤツに因縁あるっぽいし…任せるぜ、王様!」

 

「……うん。分かった。」

 

「ソウゴ!?彼一人でこの数をやらせる気!?無茶よ!」

 

「平気平気!アイツ等一度倒してるし、再生怪人はあっさり倒されるのがお決まりだし!」

 

「…何言ってるのアナタ?」

 

「ま、要はノリで何とかするって事よ!

ようしッ、いっちょ暴れっか!──爆速!」

 

<< BAKUSOU BIKE >>

<< SHAKARIKI SPORTS >>

 

「変身ッ!──」

 

<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>

<< BAKUSOU BIKE!──アガッチャ!>>

<< ──シャカシャカ!コギコギ!──SHAKARIKI SPORTS! >>

 

「マッハで行くぜぇ!ハァッ!!──」

 

 

「ちょっと!

ソウゴ!アナタ彼一人で行かせるなんて、何考えてるの!」

 

「大丈夫、出来る事はやるつもりだから…。」

 

レーザターボへと変身し、単身で数多くのインベスとロイミュードの大群を相手取るレーザー。その様はとても無謀としか言いようがない光景を前に、ツクヨミがソウゴに訴える。

 

ソウゴは取り出したウォッチ。普通のウォッチとは一回り大きく、金の装飾で模られたグランドジオウライドウォッチを取り出すと、ウォッチから二つの光がレーザーの元へと飛んでいく。

 

 

<< GAIM! >>

 

<< DRIVE! >>

 

「ウリャッ!……ッ!?

へ、ウソなんで!?なんで鎧武とドライブ!?何コレ!?ドッキリ!?」

 

「秋-ッ!」

 

レーザーの元にソウゴによって召喚された仮面ライダー、鎧武とドライブは狼狽えるレーザー他所にインベスとロイミュードを相手取る。

未だ目の前の光景を前に混乱するレーザーの耳に、ソウゴの叫び声が聞こえた。

 

「ゴメン!このぐらいしかしてやれないけど、そっちは任せたよ!

ウェイドの事は、オレとツクヨミに任せて!」

 

「ソウゴ……ヘッ、サンキュ!頼んだぜ!」

 

 

 

「ソウゴ…。」

 

「行こうツクヨミ……大丈夫、まだあって少ししか経ってないけど、秋はこの位じゃ死にはしないよ。絶対に…。

それにゲイツ達が上手くやってくれればバグスター達も消えていなくなる。だからオレ達は、この時代のウェイドを止めるよ!」

 

「…分かったわ。私は逃げ遅れた人が居ないか見に行く!確認したら後で合流するわ。」

 

「うん、任せた!」

 

ツクヨミは鎧武とドライブと共に怪人達を抑えてる秋を信じ、タイムマジーンへ乗り込んでいく。

 

そしてソウゴは一人、秋に任されたウェイドの足止めをするべく、ライドストライカーを起動させアクセルを吹かした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方のゲイツとウォズ。

 

彼等二人に割り当てられたウェイドによる灰原 悠の殺害阻止。あの時秋達の前で分身しオーロラカーテンを使って過去へ飛んだアナザーディケイドを倒す為に過去へと跳んだのだ。

 

時刻は深夜。暗い夜の空を駆けるタイムマジーンの中からウォズがお目当ての人物を探し当てる。

 

「ゲイツ君、あそこを。」

 

「仮面ライダー…アレが灰原 悠か。」

 

 

 

「ギャアアアァァァアアッ!?!?!?」

 

「うるせぇなぁ──オラッ!

っとぉ…ん?」

 

『ハハハハハハ、いたいた。』

 

ウォズが示した所には、この世界に来たばかりの悠が仮面ライダーガオウとなってはぐれ悪魔にトドメを刺し終えて一息ついた所だった。

 

ガオウの背後に現れたオーロラカーテン。中からゆっくりと歩いて姿を現したアナザーディケイドの登場に、ガオウは反射的にガオウガッシャーを突き付ける。

 

「何お前?…ディケイド擬きの怪人?」

 

『な~に気にする事はねぇさ…出会って直ぐにサヨナラだ!』

 

<< BLUST… >>

 

「ッ!?──ヌォッ!」

 

不意打ち気味に放たれた光弾を、ガオウは寸での所で地面を転がる事で躱す。

 

アナザーディケイドは回避したガオウの位置へ先回り、右手に金のエネルギーで伸びた剣をガオウへ振り下ろそうとするが、アナザーディケイドとガオウの間を巨大なマシン、タイムマジーンが横切って来た為、咄嗟に後ろへと下がった。

 

『ッ──んだとぉ!?』

 

「今度は何だよ!?」

 

タイムマジーンの登場にアナザーディケイドは驚き、ガオウは状況の理解に苦しむ所へ、タイムマジーンから降りたゲイツとウォズがガオウの前に立ちアナザーディケイドと対面する。

 

「貴様がウェイドだな。」

 

『そういうお前等は…介入者か?なんだってこの世界に…。』

 

「キミのした行動が偶然にも我々の所に舞い込んだ、それだけの事さ。」

 

『…ハッ、成程な。あのガキ共か…。』

 

「あのーちょっと、一体何が何だが全く分からずで置いてけぼりなんだけど?」

 

「詳しく説明してるヒマは無い!少なくとも言えるのがヤツをココで倒さねば未来がトンでも無いことになるという事だけだ!」

 

「未来?……未来、ねぇ。

なんか大体分かっちゃったかも。」

 

「それならキミはココを離れてくれ。私達はキミが殺されない為に態々来たのだからね。」

 

『おぉっと!そうは…させるかよぉ!』

 

ーGyaaaaaaaaaaaa!ー

 

「「「ッ!!」」」

 

アナザーディケイドは、ガオウがこの場から離れなくさせる為に胸のライダーズクレスト。ガオウのクレストを光らせる。

 

すると夜空から耳に劈く程の叫びが響く。

三人が空を見上げると、夜空の中を走る巨大な細長い、そう、まるで龍のような影がだんだんと此方に近づいて来ている。

 

その正体は、黒味を帯びた銅色の鱗を身に纏ったワニと思わしき爬虫類と列車が歪に合わさった巨大な生物とも列車とも言えない異形の怪物だった。

怪物、アナザーガオウライナーと呼ぶべき怪物は牙がびっしりと並んでる大口を開けて三人に喰らい付こうとするが、三人はその場から大きく横に跳んで回避した。

 

「なんだあのデカイのは!?」

 

「まさかこんなモノまで使って来るとは…。」

 

「ったく、未だに状況が上手く飲み込めないってのに…!

あのデカイのは俺が引き受ける!アンタ等はあのディケイド擬きを任せた!」

 

「な…ッ、オイ待て!」

 

ガオウは空を走るアナザーガオウライナーをどうにかすべく、ゲイツの声を聞かず呼び出したガオウライナーへと飛び乗り、アナザーガオウライナーへ向かって行った。

 

「ゲイツ君、ここは彼の言う通りにしよう。アナザーディケイドを倒せば、ヤツの呼び出したあのデカイのも消える筈だからね。」

 

<< ギンガ! ファイナリー! >>

 

「仕方ない。そうと決まればとっととヤツを倒すぞ!」

 

<< ゲイツ! >>

<< ゲイツリバイブ!──剛烈! >>

 

『ほぉ?言ってくれるねぇ…果たして上手くいくかな?ハハハハハ!』

 

 

「「変身!──ッ!」」

 

<< RIDER TIME! >>

 

<< 投影!──FINALLY TIME! >>

 

 

<< ──リ・バ・イ・ブ!剛烈!──剛烈! >>

 

<< ──ギンガファイナリー!──FINALLY! >>

 

「「ハァァアアッ!!」」

 

ゲイツとウォズはアナザーディケイドを前に短期決戦を決める為、それぞれ最終フォームであるゲイツリバイブとギンガファイナリーとなってアナザーディケイドへと立ち向かって行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、現代のアナザーディケイドは…。

 

 

 

「ヴェアアアアァァァァァァッ!!!」

 

「そぅっりゃあッ!!」

 

 

『ハァ──。』

 

ゲンム、パラドクスが左右から挟み込んでの同時攻撃を仕掛けるが、アナザーディケイドは二人の突き出した拳を軽々と受け止めた。

 

『さっきから単調な攻撃…詰まらんぞ?貴様等。』

 

 

「「グゥ…!」」

 

 

『双子とは言え、コンビネーションは最悪か…笑えるねぇッ!!』

 

「ぐふゥッ!?」

 

『ウラァッ!!』

 

「ガハッ!」

 

アナザーディケイドは掴んでいた二人の拳を放し、ゲンムに拳、パラドクスに蹴りを浴びせ吹き飛ばす。

 

『どんな遊びが出来るかと期待してたが…飽きたな。もういい、消え失せろ──フッ!』

 

アナザーディケイドは上空へ高く跳び上がる。突き出した右足の先に、胸のライダークレストから送られるエネルギーを纏い、二人に向けて必殺キックが放たれようしていた。

 

「ッ、えぇい!舐めるなぁぁァァァアアッ!!」

 

「ちょ!?カインお前、無茶だって!!」

 

「黙れぇぇエエエエエエッ!!」

 

「うわッ!」

 

ゲンムはブレイカーを手にアナザーディケイドを迎え撃とうとするが、無茶が過ぎるとパラドクスが止めに入るも突き飛ばされて地面に倒れてしまう。

 

「私の才能をぉッ、舐めるなァァァアアアアアアアッ!」

 

『馬鹿がッ!死ねぇッ!!』

 

「グッ!?──グァァァアアアアアアアッ!!」

 

「カイン!!」

 

ブレイカーを振り上げようとしたゲンムであったが、それよりも先にアナザーディケイドの必殺キックがゲンムに炸裂。

 

必殺キックを受けたゲンムはダメージの許容量を超えて爆散して散ってった。

 

『フン、思ってたより呆気ない最後だなぁ!ハハハハハハ!!』

 

「カイン、そんな………なぁ~んてね!」

 

『何?──ッ!』

 

アナザーディケイドはパラドクスの不可解な言動に首を傾げてたが、背後の地面から突如現れた土管からゲンムが現れ羽交い締めされた時には既に遅かった、自分が二人の策に嵌っていた事に。

 

「ハァァーーッハッハッハッハッハ!!見事に油断したなぁ!!」

 

『貴様等ッ、まさかオレを油断させるために…!?』

 

「そういう事♪真っ向勝負じゃ勝ち目無いから、さ!」

 

<< 混乱! >>

 

『ッ!?──な、何だ、コレはァ…!?』

 

パラドクスはエナジーアイテムを操り、取り込んだ相手の動きを上手く動けなくさせる混乱のアイテムを取り込ませた。

 

「ヴェハハハハハハハハッ!狙い通りィ!!

スナイプの力を取り込んだ貴様ならばァ、エナジーアイテムの効果を受け付けると思ってたぞォ!!」

 

「さぁ~てさっきのお返しだよ!」

 

<< マッスル化! >>

 

<< マッスル化! >>

 

パラドクスは自身とゲンムに攻撃力を上げるマッスル化のアイテムを取り込ませアナザーディケイドへ接近する。

 

パラドクスはパンチとキック、ゲンムはハンマーモードのブレイカーをアナザーディケイドへ叩き付けていく。二人の攻撃を防ごうにも混乱のアイテムの所為で回避や防御姿勢も上手く取れないアナザーディケイドは二人の攻撃をその身に受ける事になった。

 

『ガァァッ!!──き、貴様等ァ!!』

 

「おっと時間切れ?なら──おかわりドーン!」

 

<< 混乱! >>

 

『グゥゥッ!?…ゥォォオ……!』

 

エナジーアイテムの効果が切れた頃合いを見てパラドクスは更に混乱のアイテムをアナザーディケイドへ取り込ませる。

 

「そろそろ決めちゃおうかな!──大変身ッ!」

 

<< DUAL UP! >>

<< ──KNOCK OUT FIGHTER! >>

 

「覚悟しろォ!ウェイドォォォォォォォッ!!秋君と蓮司君のッ、敵だァァァアアアアアアアッ!!!」

 

<< ガッシャット!──キメワザ! >>

<< MIGHTY CRITICAL FINISH! >>

 

<< KIME・WAZA! >>

<< KNOCK OUT CRITICAL SMASH! >>

 

 

「ハアアア───ハァッ!!」

 

「くたばれぇエエエエエエエエエエエッッ!!!」

 

 

『ッ!───グォォォォオオオッ!!』

 

パラドクスはパズルゲーマからファイターゲーマーとなり、ゲンムもブレイカーにガシャットを装填して必殺技を発動させる。

 

頭の中では正常な動きを働かせてる思考を働かせるアナザーディケイドは、二人の必殺技が段々と近づいてく中で、ゆっくりと動く右腕を自身の胸に持って行く。

 

そして二人の必殺技と、アナザーディケイドの右手が接触するタイミングは、同時だった。

 

黒いエネルギーと燃え盛る炎がアナザーディケイドの体に浸透していく手応えを、二人は確かに感じた。

 

 

『………フフ、ハハハハハッ!!ギリギリセーフだったぜぇ。』

 

 

「「ッ!?」」

 

 

『確か、コイツのお陰でオレが可笑しくなっちまってるんだったよなぁ?』

 

そういいながら余裕の態度で見せ付けて来たのが、スナイプのライドウォッチ。アナザーディケイドは、寸での所で自身からライドウォッチを取り出す事でエナジーアイテムの効果から逃れ、その後バリアーを自身の体に膜の様に張らせる事で必殺技のダメージから逃れられたのだ。

 

『惜しかったなァ、あと少しトコだったのによォ!!』

 

<< SLASH… >>

 

 

「「グァァァアアッ!!──」」

 

<<<< ガッシューン >>>>

 

 

アナザーディケイドは両手にエネルギーの剣を伸ばし、ゲンム、パラドクスを斬り付けた。

 

斬られた二人は、至近距離であったというのもあって変身が強制解除されてしまう。

 

『いやァ、流石にアレはヒヤッとしたぜ。お、そうだコイツはその礼に返してやるよ。』

 

アナザーディケイドは手に持っていたスナイプのガシャットを神太郎に投げた。さっきの戦闘で同じ手を喰らわない為の安全策として捨てる事にしたのだ。

 

ウォッチを投げ渡した後、トドメを刺すべくトイボックスを召還する。開かれた棺桶から覗いてくるミサイルの弾頭が、神太郎とアベルへ向けられた。

 

『それじゃあ…サヨナラ。』

 

「「ッ!」」

 

引き金が引かれミサイルが発射された。その場から逃げようにも到底間に合わず、神太郎とアベルが身構えたその時だった。

 

 

 

<< ダブル! >>

 

「「トリガーフルバーストッ!!」」

 

 

『何ッ!?──グァァッ!!』

 

 

<< オーズ! >>

 

<< フォーゼ! >>

 

「セイヤァァァァッ!!!」

 

「ライダーロケットドリルキィィィックッ!」

 

 

『グォォォォォオオオッ!?』

 

 

突然二人の前に、仮面ライダーダブルルナトリガーの必殺技が迫るミサイルとアナザーディケイドを撃ち抜いた後、仮面ライダーオーズタトバコンボと仮面ライダーフォーゼの必殺キックがアナザーディケイドに炸裂し、大きく吹き飛ばされた。

 

『ハァッ、ハァッ、ハァッ、何故だ!何故この世界に別の仮面ライダーがこんなにも…!』

 

 

「オレが呼び出したんだ。」

 

その声と共にアナザーディケイドの前に立っていた三人の仮面ライダー達が光となって、此方に向かって歩いてくるソウゴの持つウォッチへ吸い込まれる。

 

「き、キミは…?」

 

「秋の仲間、だよね?助けに来た!」

 

「秋君!?彼が、彼がこの世界に居るのかい!?」

 

「うん。今別の所で戦っている。コイツは、オレに任せて。」

 

『貴様、一体…いや待て、そのウォッチ、まさか…!』

 

アナザーディケイドはソウゴの持つウォッチと巻かれているジクウドライバーを目にすると脳裏にある存在が浮かんでくる。

 

たった一人、過去と未来を統べる王。アナザーディケイド、ウェイドの最も憎む存在が目を付けた最強の王者の無双する姿を思い出し戦慄するウェイドを他所に、ソウゴはジオウライドウォッチとグランドジオウライドウォッチを前に掲げた。

 

 

<< ジオウ! >>

<< グランドジオウ! >>

 

ウォッチを起動させゥと同時に出て来た黄金の城と20の平成ライダー達。

それらを背後に控えさ、ウォッチをドライバーへセットするソウゴは高らかに叫ぶ。

 

「変身ッ!──ッ」

 

<< GRAND TIME! >>

 

<< ──KAMEN RIDER!──GRAND Zi-O! >>

 

ソウゴは全ての平成ライダーのレリーフを全身に宿し、彼等の力を持つジオウの最終形態、グランドジオウとなった姿を見て、ウェイドはココで初めてと言える動揺を見せた。

 

『ジオウだと!?何故貴様がこの世界に!どうやって!!』

 

「ウェイド!お前のしていることは見過ごせない…だからオレ達が来たんだ!」

 

『ッ……イヤ、待て、アイツはまだ若造、オレの知るジオウとは別人の域だ…やれる!やってやる!!オレはこんな所でまだ終われない!!』

 

「行くぞォォオオッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、インベスとロイミュードの相手をしているレーザターボは…。

 

 

<< FULL THROTTLE! >>

 

「ハァッ!──」

 

<< オレンジスカッシュ! >>

 

「セイッハーッ!!」

 

<< SHAKARIKI CRITICAL STRIKE! >>

 

「オゥッ、リャア!!」

 

ソウゴの召喚した鎧武、ドライブの助力もあって思いの外苦労が掛からず怪人の軍勢を全て撃破する事に成功。

 

レーザーは周囲に生き残りが居ないか注意深く確認した後、手を貸してくれた鎧武とドライブに声を掛けた。

 

「フゥ…いやー助かった!お二人のお陰で思ったより早く片付けられたぜ!」

 

「「……。」」

 

「…あ、あれー?無反応?あー、やっぱこういう呼び出した系って、中身ご本人さんじゃねえのかなぁ?

……ぶっちゃけ時間ないけど、折角だし一枚くらい写真撮ってもいいよな?うん。ファンなら仕方ない。えっと携帯携帯…。」

 

「「……ッ!!」」

 

「お、あったあった!ってえぇッ!?」

 

突如レーザーを押し出した鎧武とドライブ。レーザーに向けて放たれた攻撃の身代わりとなって受けた二人は、光となって消えてしまう。

 

そしてレーザーに攻撃を放った下手人。嘗て苦戦を強いられながらも倒したインベスとロイミュードの王。ロードバロンとハートが姿を現してきたのだ。

 

『オレの僕を倒したのはキサマか…。』

 

『オレの友達も全て倒してしまったのか…なら、敵討ちをさせて貰おうか。』

 

 

「グッ…!このタイミングでコイツ等かよ…!」

 

正直言って今のレーザー一人でロードバロンとハート相手に勝てる見込みはゼロ。ゲイツ達がアナザーディケイドを倒すまで逃げるという策もあるが、この二人を相手にそれが通じるかどうかも微妙だ。

 

だが戦えば確実に負ける。此処は自身のスピードを生かして逃げようと足に力を籠めた瞬間、ロードバロンとハートの足下に銃撃が放たれたのだった。

 

『グッ!?…誰だ!』

 

『新手か!』

 

 

「ッ!?今のって…!」

 

 

「どうやらいいタイミングで割り込めたようだな!」

 

レーザーの背後から聞こえる声に沿って振り返ると、其処に居たのは三人の男。

 

手に大型の銃、ドリルクラッシャーを手に自信満々な笑みを浮かべる戦兎。

その隣に拳をもう片方の掌に叩き付けて戦う気満々といったカンジにロードバロンとハートを睨む龍我。

そして最後の男はレーザーのよく知ってる男、蓮司だった。

 

「おまッ、ロン毛!?お前どうやって戻ってこれたんだよ!?」

 

「詳しい説明は今出来ないが、桐生達の協力のお陰とだけ言っておく。」

 

「オゥ!お前が蓮司の言ってた仲間か!

オレはお前の世界を助けに態々来てやった、プロテインのッ…!」

 

「オレは桐生 戦兎!天ッ才物理学者で、仮面ライダービルドだ!で、コイツは助手の万丈。」

 

「オイ!やっとまともに名乗れるチャンスだってのに何で邪魔すんだよ!?あと助手じゃねぇし!」

 

「にしても、お前こそどうやって戻って来たんだ?」

 

「あー、オレもちょっと手を貸して貰ってさ、ソウゴやゲイツやウォズやツクヨミちゃんや、門矢 士に…。」

 

「ソウゴ?…ソウゴもこの世界に来てるのか!?」

 

「え、知り合い?…あ、あぁ。ソウゴは今、ウェイドの所に行ってる筈だぜ。」

 

「アイツもこの世界に…なら、お前達は先にソウゴと合流してろ。コイツ等は…オレと、万丈で倒す。」

 

「まて桐生。忘れたのか、バグスターはゲーマドライバーを使ったライダーでしか…!」

 

「分かってるって!ちゃんと対策済み!

装置造る前、お前のゲーマドライバー見してくれって言ったろ?あの時お前のドライバーを解析して得たデータをビルドドライバーにインプットしておいたんだよ!」

 

「じゃあ…オレ達にも倒せるって事か!」

 

「い、いつの間に…。」

 

「フフン!コレが天才の成せる技ってな!

って事だ。此処は安心して、お前等はやるべき事やりに行ってこい!」

 

「あんまりチンタラしてたらオレ達が手柄横取っちまうからな!しっかりやれよ!」

 

「……あぁ、頼んだ!行くぞ桜井。」

 

「えぇ!?い、いいのかよ!?アイツら強いんだぜ!ココは四人で行くのが…。」

 

「ココで時間を掛けるヒマは無い。この場は桐生達に任せよう。」

 

「ッ…えぇいこうなったらままよ!すぐ終わらせっから!其れまで持ちこたえろよな!」

 

「ハイハイ…さて、随分親切なんだなおたくら。態々待っててくれるなんて。」

 

『どの道お前等を倒した後はアイツ等の番だ。』

 

『オレは真正面から戦うのが好きなんでな!話の最中に襲い掛かるなど無粋な真似はしないさ。』

 

「随分良識ある敵さんだな、どっかの宇宙人にも見習って欲しいよ…行くぞ万丈。今度は気を抜くなよ」

 

「あったり前だ!蓮司との修行の成果、見してやる!」

 

<< BOTTLE BURN! >>

<< CROSS-Z MAGMA! >>

 

<< GREAT! ALL YEAH!>>

<< GENIUS! >>

 

ドライバーのレバーを回す戦兎と龍我の背後に、巨大な未来都市ステージ型のプラントライドビルダーGNと坩堝型のマグマライドビルダーが出現する。

 

 

<< Are you Ready? >>

 

「「変身ッ!──」」

 

 

<< ──BULID GENIUS! >>

<< スゲーイ! モノスゲーイ! >>

 

<< ──CROSS-Z MAGMA! >>

<< アァァチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャーッ!>>

 

戦兎は60本全てのボトルの成分が込められたジーニアスフルボトルで変身するビルドジーニアスへ、龍我はマグマを鎧と化して纏う圧倒的攻撃力の高いクローズマグマへと変身し、ロードバロン、ハートと対峙する。

 

 

「さぁって!改良を加えたビルドドライバーの性能をとくとご覧あれ!!」

 

『フン…来い!』

 

 

「ウオォオオオッッ!!負ける気がしねぇ!!」

 

『面白い!お前の相手は、オレだァ!!』

 

 

 

他世界の仮面ライダーを巻き込んだ歴史を狂わす大乱戦が、今、本格的に始まった瞬間だった。

 

 

 







やっぱプロトタイプってロマンがある所為か通常のフォームと比べてカッコいいですよね。

今日見た最新話でメッチャプログライズキーあった。あれもビルドの様に一回も出番なくおわるキーもあるのだろうか…。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。