その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「前回のあらすじ!
突如として現れた謎の男、はぐれタイムジャッカー・ウェイドの策略によって仮面ライダー、灰原 悠の存在が消滅し、歴史が大きく変わってしまった!
同時にウェイドの手にとって別世界へと送られた彩守 蓮司は仮面ライダービルドこと桐生 戦兎の居る世界に送り込まれてしまう。
一体どうなる最新話!?」

「なぁ戦兎。オレ達なんでこんな狭いスタジオでナレーションなんてやってんだよ。」

「いやオレも気付いたら流れでこの台本と前払いの報酬渡されてココに…。」

「は?金貰ったのかよ!一体幾ら…って!メチャクチャあんぞオイ!」

「え、マジで!?」

「オイ戦兎!これからガラクタ販売じゃなくてこっちで稼げばいいんじゃね!?こういうナレーションオレ達49回もやってるベテランだしよ!!」

「いやぁ、でも、他所の所で世話になるのもちょっと気が引けるんだよなぁ…。
そういう訳でこのオレ桐生 戦兎がゲスト出演の新作をどうぞ!」

「オレも居るっての!」





劇場版 スターティングジェネレーション・2

 

 

 

灰原 悠が消えた世界。

 

そこでは今、ウェイドことアナザーディケイドによって秋と蓮司を別世界に送られてしまった神太郎は単身アナザーディケイドへ挑んでかかるも、余りの実力差を前に一方的にやられるだけであった。

 

ソードモードのガシャコンブレイカーを上段に振るうも、右手に伸ばした光の剣によって軽々と弾かれ、前蹴りを喰らってしまうゲンム。

 

地面を転がり回るゲンムに、アナザーディケイドは胸のクレストを光らせる。ドクロのマークから巨大な棺桶がアナザーディケイドの前に現れ、棺桶が開き無数のミサイルがゲンムに顔を覗かせた。

 

「ッ!それは悠君のトイボックス!」

 

『オォゥッ!これは面白そうなオモチャだな!──派手に散れぇ!!』

 

アナザーディケイドはゲンムにG4-Xの主力武器であるトイボックスのミサイル攻撃、ギガントを発射。嵐の様に降り掛かるミサイルの雨にゲンムは瞬く間に炎に包まれる。

 

「グゥゥッ!──グァァァアアアアッ!!!──」

 

<< GAME OVER >>

 

ミサイルの集中砲火をその身に喰らってしまい、ゲンムは貴重なライフを一つ減らしてしまう。

 

ゲームオーバーになった事によりゲンムはコンティニュー機能によって復活するのだが、一向にゲンムが出て来る土管が現れない事にアナザーディケイドは首を傾げる。

 

『…ム?……フン、逃げたか。まぁイイ。あの程度なら態々負う必要はない…クククク。』

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ!ハァ!!…マズイな、コレは…思ってた以上にマズイ!」

 

アナザーディケイドと戦った場所から離れた位置の路地裏で神太郎はコンティニューし、壁に身を預けて地べたに座り込む。

 

一度死んで冷静になった神太郎は今現在の事態を把握すると、過去最大の危機的状況に軽くパニック状態に陥てしまう。

 

悠は歴史から消滅。ハルナは歴史改変の影響でエグゼイドでは無くなり、秋と蓮司は別世界へと送られてしまった。今この世界で戦えるライダーは、たった一人。

 

幾らライフがまだあってもあのアナザーディケイド相手ではあっという間に使い果たしてしまうビジョンが神太郎の脳裏に鮮明に流れる。

 

最早打つ手無しの絶望的な現状。打つ手が浮かんだとしても戦闘力が低い神太郎一人では到底打破出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

「フフ♪相当参ってるようだな?カイン♪」

 

掛けられた声は天使の一声か、それとも悪魔の囁きか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方同時刻、蓮司がウェイドによって飛ばされた”仮面ライダービルド”の世界では…。

 

「油断すんじゃねぇぞ戦兎!気合入れてけ!!」

 

「お前に言われたか無いよ!」

 

蓮司と共にこの世界にやって来たアークオルフェノクを止めるべく、ビルド、クローズが変身しアークへと向かって駆けていく。

 

「「ハァッ!!」」

 

『ッ!!』

 

ビルドとクローズの同時に繰り出したパンチをガードするアークだが、戦車の成分とドラゴンの成分から繰り出される予想以上のパワーに後退させられる。

 

その後も二人による連携でアークに攻めに攻めて行く。アークはビルドとクローズの息があった接近戦に終始押され攻撃を防ぎきれなくなり、二人の放った前蹴りによって地面を転がされる羽目になった。

 

「ん?…思ってたより弱い?」

 

「だったら速攻で決めるぞ!」

 

<< Ready GO! >>

 

「あ、コラ待てって!」

 

クローズは先立ってアークにトドメを指すべくドライバーのレバーを回し跳躍し、必殺キックの態勢へ入った。

 

<< DRAGONIC FINSH! >>

 

「ウオリャアァァァァァッ!!」

 

『ッ!──ゥ゛ゥ゛ゥ゛ッ!!…ブア゛ア゛ァァァッ!!』

 

 

「ア゛ァッ!?」

 

「羽が…生えたッ!?」

 

アークの背中から光輝きながら生えてきた翼がクローズの必殺キックを受け止めると、凄まじいほどの光を放ってクローズを弾き飛ばす。

 

「グァァアアッ!!──熱ッ!熱ッちィッ!!んだよこの熱さッ!?」

 

「油断するなとか言っておいてお前が油断してどうすんだよ!」

 

アークの放つ光熱で体の中の血が沸騰するような苦しみを受けるクローズ。本領を発揮させたアークは神々しい光を放ちながら空へ飛び上がった。

 

「飛んだ!?…だったらこっちも!」

 

<< タカ!/GATLING! >>

<< BEST MACH!──Are you Ready? >>

 

「ビルドアップ!──ッ!」

 

<< 天空の暴れん坊! ホークガトリング!──YEAH >>

<< ホークガトリンガー! >>

 

ビルドはタカとガトリングのベストマッチファーム、ホークガトリングになるとソレスタルウィングと呼ばれる翼を広げてアークの居る空へと飛ぶ。

 

小型のガトリング銃、ホークガトリンガーから放たれる光弾をアークへ向けて発砲するも、アークの翼から放たれる光がアークに当たり前に蒸発させてしまい、ビルドの攻撃は無効になってしまう。

 

「効いてな…!?──うわァッ!?」

 

お返しと言わんばかりにビルドに向けて高エネルギーで出来た球体を連続で放つアーツ。一発一発が相当な破壊力を有してるのを察したビルドは必死になって回避に専念する。

 

「このッ!──こうなったら…!」

 

<< PHENIX!/ROBOT! >>

<< BEST MACH!──Are you Ready? >>

 

「ビルドアップ!──ッ!」

 

<< 不死身の兵器! フェニックスロボ!──YEAH >>

 

ビルドはアークの放つ光に対抗すべく、飛行性能を持ち尚且つ強力な攻撃に耐えられるフェニックスロボフォームへ変わると、ドライバーのレバーを勢いよく回し、その身を炎に包ませる。

 

<< VOLTEC FINISH! >>

 

「ハァァァァァッ!!!──」

 

『ッ!!』

 

ビルドが炎の翼を広げながら左手のロボットアームを大きくさせてアークへ特攻。

アークはビルドを迎え撃つべく攻撃を放つ。一直線に向かって来るビルドは攻撃受けるも、ビルドは止まる気配も無く攻撃を受けてなおアークへ向かって行く。

 

『ッ!?』

 

「ウオォォォォォッ!!」

 

そして遂にアークの間合いに入り込んだビルドはロボットアームでアークを掴み、そのまま地面に向かって急降下していく。

 

地面に辿り着くまで僅かな時間。ロボットアームの破壊力と、フェニックスの炎に焼かれていくアークをジワジワと苦しめる。

地面へ近づくと、ビルドは左腕を大きく振り上げて勢いよくアークを地面に叩き付けた。

 

そしてフェニックスの炎によって大きな火柱が上がる。ビルドは地面へゆっくりと降り立つと、大きく息を吐いて脱力する仕草を見せる。

 

「ふぅ~…ギリギリフェニックスロボの耐久力でどうにか出来たか…。とにかくコレでひと段ら…えッ!?」

 

どうにか上手くいったと安堵するビルドであったが、立ち昇った炎の中からゆっくりと立ち上がり何とも無い様な様子でいるアークを前に一変した。

 

「あ、アレを受けてノーダメージ?…マジかよ…「やはり駄目だったか…。」ッ、お前…。」

 

唖然とするビルドの隣に蓮司がやって来る。腹部にゲーマドライバーを身に着け、手にはタドルクエストのガシャットを手に。

 

「お前、何か知ってるのか?」

 

「ヤツはこのゲーマドライバーで変身するライダーでしか倒せない。完全体になったからもしやと思ったんだが…。」

 

「はぁ!?何でそれ早く言ってくれなかったの!?」

 

「それについては謝罪する。それよりもまずはヤツを倒すのが先決だ、文句はその後にしてくれ。」

 

「あ…ハイ。」

 

やたら素直な態度の蓮司にビルドは虚を衝かれながらも、今は話を聞くことに専念する。

 

「ほんの一瞬で良い。ヤツの隙を作ってくれ。その隙を突いてオレが一撃叩き込む。」

 

「…分かった。オレにココまでやらせるからにはしっかり頼むぞ!」

 

「言われずとも…。」

 

<< TADDLE QUEST >>

 

「段位二段──変身ッ!」

 

<< MAX HAZARD ON! >>

<< TANK&TANK!──BUILD UP! >>

 

「ビルドアップ!」

 

ゆっくりと歩いて近寄って来るアークに7台の戦車型ユニットが編隊を組んで砲撃を浴びせる。その間に蓮司はブレイブLv,2に変身し、ビルドも更なる形態へ変身を果たす。

 

<< OVER FLOW! >>

 

<< 鋼鉄のブルーウォーリアー! タンクタンク!>>

<< ヤベーイ!──ツエーイ! >>

 

全身黒のビルドの元に牽制してた7台の戦車ユニットがビルドの胸部、腕部、脚部の各部アーマーとなってブレイブの前に立つ。

 

<< FULL BOTLE BUSTER! >>

 

<< FULLFULL MACH! デース! >>

 

『ッ!──ヴゥ゛ゥ゛ゥ゛ッ!!』

 

タンクタンクフォームとなったビルドは大剣と大砲を合わせた武器、フルボトルバスターをコールすると、ドライバーに挿してたフルフルラビットタンクボトルを装填。

 

青いエネルギーが銃口に集い、アークへ向けられる。対するアークも両手を上に翳し、特大サイズの光球を作り出す。

 

「いっけぇッ!!」

 

<< FULLFULL MACH BREAK! >>

 

『ヴァ゛ァ゛ア゛ッ!!』

 

ビルドのフルボトルバスターの必殺技の砲撃とアークの強一番の攻撃が衝突し合う。

 

砲撃弾と光球が衝突の際に相討ちとなって弾け、凄まじい衝撃が辺りに広がりビルドとアークを後退させる程であった。

 

「ッ~!…今だ!!」

 

「あぁッ!」

 

<< TOUKENDEN GAIM >>

<< ガッシャット!──キメワザ! >>

 

ブレイブは呼び出したガシャコンソードに鎧武のガシャットを装填、刀身にオレンジのエネルギーが収縮されると、ブレイブはアークに向けて斬撃を放つ。

放たれた斬撃はアークに直撃するとオレンジを模した拘束具となってその動きを封じ込めた。

 

「覚悟!──ッ!?」

 

 

『ヴェァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛───ガァ゛ッ!!』

 

拘束されたアークはこのまま易々倒されるかと言わんばかりの絶叫と共に全身から光を放ち、オレンジの拘束を無理矢理破壊した。

 

ブレイブは既にアークまでとの距離を5mまで切った所。拘束から逃れたアークは両手に光球を生み出し、斬りに掛かって来るブレイブへ投げようとしていた。

 

(Lv,2の出力では抑えきれなかったか!──ならば、相討ち覚悟でッ!)

 

『ヴェア゛ア゛ア゛ア゛ッ──ッ!?』

 

 

 

 

<< MILLION SLASH! >>

 

突如としてアークの体に巻き付かれる鎖が、ブレイブへの攻撃を阻止する。

 

鎖を辿ると、両刃剣のビートクローザーを手にアークに手痛くダメージを受けられたクローズが抑え付けていた。

 

「万丈!」

 

「お前等オレの事忘れてんじゃねぇ!──そのまま行けッ!」

 

 

「ッ!──セエェァアッ!!」

 

<< TOUKENDEN CRITICAL FINISH! >>

 

クローズのサポートのお陰で走るペースを落とさずアークへ必殺の一撃を叩き込んだブレイブ。胴体に横一文字の切り傷を付けられたアークは、走り抜けたブレイブの背で爆散。炎と共にオレンジの果汁が辺りに散る。

 

「……フゥ。」

 

どうにか脅威を退けたブレイブは変身を解除。蓮司の元に同じく変身を解除した戦兎と龍我が彼に近づく。

 

「どうにか倒せたな。」

 

「あぁ…助太刀、感謝する。オレ一人ではヤツを倒す事が出来なかった。」

 

「…なんか、古くセェな、助太刀とか…。」

 

「素直に礼言ってるのに失礼でしょうが……さて、邪魔者は居なくなったわけだしそろそろ教えてくれるよな?お前の事や、さっきの怪物も。」

 

「…あぁ。ただ、長く複雑な説明になってしまうが…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じく秋が飛ばされた”仮面ライダージオウ”の世界。

 

そこでは秋の目の前で変身したジオウ、ゲイツ、ウォズが、ガンマイザーに挑んでいく場面である。

 

『速ヤカナ排除ヲ実行───執行、”薔薇ノ指先”』

 

「えぇッ!?腕生えた!?」

 

ガンマイザーの背中から突如現れた巨大な腕を前に足を止める三人に勢いよく降ろされるが、三人は左右に転がって回避する。

 

「あの腕は?…私の知ってる知識に、ガンマイザーにはあのような腕は無かった筈…。」

 

「だが現に出してるぞ!」

 

「…ねぇウォズゥ。じゃあアレもウォズの知らないヤツだったりする?…」

 

ジオウが声を震わせて指を指す方には、ガンマイザーが自身の手にライフルとボーガン。背中の巨腕にランスとハンマー。自身の両隣には、電気と重力の力を宿した球体が浮かぶ。

 

「あぁ、安心したまえ我が魔王。アレはガンマイザー自身が持つ能力だ。あの他にもまだまだ武器や能力があるんだよ。」

 

「「全然安心出来 ないよ/るか!!」」

 

ウォズから告げられるガンマイザーの説明に思わずつっこむジオウとゲイツ。

 

そんな三人のやり取りを一切気にせずガンマイザーは巨腕のリーチを生かしたスピアとハンマーの中距離攻撃、ライフルとボーガン、そして両サイドの電撃と重力波での遠距離攻撃という容赦ない戦法でジオウ達を苦しめる。

 

「ウワァッ!!──ぜ、全然近づけない!」

 

「グゥゥッ!!──一方的に嬲り殺すつもりか!」

 

「ク…ッ!──ッ、我が魔王!ゲイツ君!私にいい考えがあるよ!」

 

「本当!?」

 

「信用していいんだろうな!?」

 

「あぁ!キミ達に補足説明したおかげで、我ながら素晴らしい案が浮かんだよ!突破口は私が開く!」

 

「分かった!ゲイツ!!」

 

「今は信用してやるか!」

 

 

<< ジオウⅡ! >>

 

<< ゲイツリバイブ!──疾風! >>

 

<< キカイ! >>

<< ACTION! >>

 

 

<<<< RIDER TIME! >>>>

 

<< 投影!──FUTURE TIME! >>

 

 

<< KAMEN RIDER! RIDER!!──Zi-O Zi-O! Zi-O!!──Ⅱ!! >>

 

<< リバイリバイリバイ! リバイリバイリバイ! リバイブ・疾風!──疾風! >>

 

<< デカイ!ハカイ!ゴーカイ! >>

<< フューチャーリング・キカイ!──キカイ! >>

 

ジオウは未来予知を可能にする強化形態のジオウⅡに、ゲイツは未来予知すら追い越すスピード特化形態のゲイツリバイブ・疾風へ、ウォズは目元の”ライダー”の文字が”キカイ”となったフューチャリングキカイとなると、ウォズが先頭に立つ。

 

『対象ノ更ナル変化ヲ確認。脅威判定、上昇…速ヤカ二抹殺!』

 

ガンマイザーは強化形態を果たしたジオウ達の力を感知したのか、所有している16の武器と能力を全て曝け出し、先程の攻撃とは桁違いの数と威力でジオウ達を排除しようする。

 

そんな状況を前に、ウォズは"フフン"と鼻を鳴らして笑う。

 

「何たる幸運!日頃の行いが良いお陰かな?」

 

<< BEYOND THE TIME! >>

 

ドライバーを操作した後に頭部のスパナを模したパーツからスパナやドライバー等の工具の形をしたエネルギー体が現れる。

それらはガンマイザーの呼び出した武器と属性の球体に同化すると、武器と球体はガンマイザーのコントロールから離れウォズの背後に並び立った。

 

『制御不能!制御不能!?原因不明!!原因不明!?』

 

 

「自分の力で存分にやられるといい──ッ!」

 

<< FULL METAL BREAK! >>

 

ガンマイザーから奪い取った武器と球体を操り、一斉に攻撃を行うウォズ。ガンマイザーはなぜ自分の元から武器と球体が奪われたのか理解出来ず焦燥に陥った所為もあり、全ての攻撃が命中する。

 

剣の一振りも、槍の一撃も、炎も電撃も重力も。全てジオウ達に向けて排除しようとした攻撃が全て自分の元に放たれる現実がガンマイザーの冷徹な感情を揺らがしたのだ。

 

『制御不能!理解不能!損傷、危険値!…一時撤退、一時撤退!!』

 

 

「ッ!──逃がすかッ!」

 

<< スピードクロー! >>

 

逃走を図るガンマイザーを阻止すべく、ゲイツが動き出す。

 

左手にかぎ爪型の武器、ジカンジャックローを持つと、目にも止まらぬ速さでガンマイザーの正面に立つ。

 

『ッ!?』

 

「ハァッ!──!」

 

<< つめ連斬! >>

 

正面に回り込んで懐に入ったゲイツはジカンジャックローの連続攻撃をガンマイザーに叩き込んだ。

斬撃を繰り出した残像すら目で捉えられない攻撃を前に、ガンマイザーは成す術無く受ける事しか出来ない。ゲイツは仕上げと言わんばかりに下から斬り上げて、ガンマイザーを空へ打ち上げた。

 

「決めろジオウ!!」

 

「任せて!」

 

<< サイキョー! FINISH TIME! >>

 

ゲイツの行動を予め予知で見ていたジオウは既に準備を終えた後だった。

 

両手にジカンギレードと、ジオウの仮面が着いた両刃剣、サイキョウギレードを合体させ、刀身から伸びる光には”ジオウサイキョー”と書かれてる。

 

<< キング! ギリギリスラッシュ! >>

 

「テェェァァァアアッ!!」

 

『ッ!!!──活動、停…シ…──。』

 

ジオウの振るった光の剣戟は空に打ち上げたガンマイザーの胴体を真っ二つに斬り捨て、ガンマイザーは爆散。

 

完全に消滅したガンマイザーを確認したジオウ達は、変身を解除する。

 

 

 

「スッゲ…あっさり倒しちゃったよアイツ等……ゥッ!」

 

「大丈夫!?ねぇ!」

 

「ツクヨミ!どうしたの!?」

 

「分からない!急に蹲って…。」

 

 

ーぐぅ~~ー

 

 

「「「「……。」」」」

 

 

「あ、あははは…安心したら腹減っちゃって…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルドの世界

 

 

蓮司は戦兎と龍我と共に倉庫に戻ると、治療を受けながら彼等の知りたい情報を言える限り話していた、のだが…。

 

「ん~~ッ、分かった!お前達の居る世界では、そのウェイド?ってヤツの所為で、色々ピンチって事か!」

 

「……長く複雑とは言ったが…そこまで理解してくれるのにこんな時間がかかるとは…。」

 

「ごめんな~。コイツ難しい話が出来ない脳筋バカで。」

 

若干一名が話の内容についていけず、一から十まで理解するまでに時間がかかった。

 

「誰か脳筋バカだ!?よーし!丁度いいからお前にも言っておくぞ!

オレはプロテインのッ「にしても驚いたよなー。」だから被せんなよ!最後まで言わせろ!!」

 

「まさか世界ってのは予想よりも沢山あって、その秩序を守るために色んな世界のライダーの技術を使ってるとか…なぁ、ちなみにその中にはビルドのもある?」

 

「おぉ!其れオレも気になってた!なぁクローズはどうなんだ!?」

 

「知らん。さっき見たビルドもクローズも、オレの記憶に無い。」

 

「え、無いの!?…何かショック…。」

 

「…何故あそこまで落ち込んでるんだ?」

 

「ん?あぁ、あいつナルシストだから!」

 

「……すまん。意味が分からない。」

 

「まぁソレは置いといてだ。お前、これからどうするつもりなんだよ?」

 

「無論。元の世界に戻って、ウェイドを倒す。」

 

「戻るって、どうやって戻んだよ?それに戻れたとしてもソイツの所為でお前の仲間が…。」

 

「関係ない。」

 

龍我が蓮司の言う事に対し、些か無茶が過ぎると口にしようとするが蓮司がそれを真っ向から一蹴した。迷いの無い目を龍我や戦兎に見せて。

 

「例え戻れる可能性が無くとも、オレ一人で戦う事になろうともココでジッと待つ理由にはならない。

…ヤツに奪われた命を、オレは取り戻す。それだけだ。」

 

蓮司の脳裏に浮かぶのは、あの世界で生まれて自分に好意を向けてくれる小さな少女の姿だった。人の身でなかろうと、今を精一杯生きようとする彼女の元気な姿が無かった事になっているのは蓮司からしたらとても許せなかった。

 

そんな蓮司の意思を読み取ってか、戦兎は椅子から立ち上がり、見せつける様にコートを靡かせる。

 

「…そっか。ならしょーがない、ラブ&ピースを胸に掲げる、この天ッ才物理学者が、手を貸してあげますか!」

 

「なに?」

 

「聞いた話だと、そのウェイドってヤツは他の世界もお前のとこと同じ事をする可能性があるんだろう?現にココに怪物を送り込んで来たし。」

 

「…此方としては非常に有難い申し出だが、幾ら同じ仮面ライダーとは言え、無関係なお前達をこれ以上巻き込むのは…「逆だよ。」…?」

 

「お前は知らないかもしれないけど。同じ仮面ライダーだから、助け合うのは可笑しい話じゃないんだよ!」

 

「桐生……すまない。

協力、よろしく頼む。」

 

「あぁ!任せなさいって!」

 

「オレも手を貸してやるぜ!聞いてたらそのウェイドってヤツを、ぶん殴りたくなってきたからよ!

この、プロテ「いやもうそういうのはいーから!話ヘンになるから。」なんでだよ!ったく…あ、そうだ。

戦兎!カズミンやゲンさんにも手伝ってもらおうぜ!なんせ別世界に殴り込みに行くんだしよ!」

 

「お前、忘れた?

一海は美空が行きたい行きたいって言ってた温泉旅行に……。」

 

「?」

 

 

 

 

 

~万丈記憶回想中~

 

 

 

「遂に来た!来ましたよぉ~、みーたんと付き合ってのビックイベント!

彼氏彼女!二人っきりの温泉旅行!何も起きないワケが無い!

一緒に露天の混浴風呂に入って身を清め、その後は同じ部屋の一つの布団で浴衣のみーたんと…デュフ!デュフフフフフフッ!」

 

 

ードッキングゥゥゥゥゥゥゥ!ー

 

 

 

 

 

~回想終了~

 

 

「…確かに言ってたな!」

 

「三羽ガラスは一海のフォローにお忍びで後付いて行ってるって。」

 

「じゃあ、ゲンさんは?」

 

「ゲンさんはアメリカでやってるサミットの付き添いで…。」

 

「…えーっと。」

 

 

 

 

 

 

~万丈記憶回想中~

 

 

「オレは暫く日本を離れるが、何かあったらその時は…。」バッ!(革ジャン開ける。)

 

 

ーオォォウゥラァァァ!ー

 

”任せた!”←Tシャツ着用中

 

 

「……。」クルッ(背中向ける。)

 

 

ードリャァァァァァァァ!ー

 

”あばよ!”←背面プリント

 

 

~回想終了~

 

 

 

 

「…確かに言ってたな……じゃあ仕方ねえから内海に…。」

 

「内海さんも無理だと思うぞ。だって…。」

 

 

 

 

~戦兎回想中~

 

 

「駄目だ!駄目だ駄目だ駄目だあああああああああ!!!難波工業の更なる発展の為にィ!!旧世界の知識を利用した難波スティックの更なる改良おおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

~回想終了~

 

 

 

 

「って、この間ここに来て相談されたしな。」

 

「……うん。しょうがない!オレ達二人でやるしかねえか!」

 

「…何と言うか……お前達も個性的な集まりだな。」

 

「ほんとソレな。

さて、ともかく早速行動開始するか。」

 

「開始って、まずは蓮司の居る世界に行けなきゃ意味ねえだろ?どうやって行くんだよ。」

 

龍我の言う通り、現状蓮司の世界へと向かう手段は一つも無い。だが戦兎だけは、達観した様子で掛けたあったコートを手に取り羽織った。

 

「慌てるなよ。それについては一人、どうにか出来るかもしれないヤツを知ってる。」

 

「!?、何だと…。」

 

「…誰だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジオウの世界

 

 

「ふぅ~ッ!美味かったぁ、ごっそさん!」

 

秋は傷の手当てを受け、順一郎の恩情で食事を出してもらい満悦の笑みを浮かべたが、それを眺めるソウゴ達は引き攣った笑みを浮かべていた。

 

尋常ない程の高さに積み上げられた皿のタワーと、燃え尽きたかのようにソファーに倒れる順一郎を前に。

 

 

「す、凄い食欲ね、怪我してたのに…。」

 

「おじさん、大丈夫?」

 

「う、うん、いやぁ~最近の若い子は沢山食べるんだねぇ、おじさん張り切りすぎちゃってもうヘトヘト…。」

 

「うん、うん!もういいから休みなよぉ!」

 

 

「さて、そろそろ話して貰うぞ!

どうしてお前が詩島 剛のだけなく、仁藤 攻介や加賀美 新のベルトまで持っているのか!」

 

「永夢先生の使ってるドライバーも持っているし…。」

 

「何より我々の目を一番惹かせたのは…コレだしね。」

 

ウォズが手にしてるのは先程ソウゴ達も使っていたライドウォッチ。悠の変身するダークカブトのウォッチはまだ秋が持っていたのだ。

 

「あーー…正直信じて貰えっか微妙な話になんだけど…。」

 

秋は、ウォズから悠のライドウォッチを手に取ると、少し複雑そうな表情を浮かべた後話す決意をした。

 

自分達が世界のバランスを保つ為に戦うという神太郎の作り話から、はぐれタイムジャッカーのウェイドによってこの世界に来た事。

 

前半は眉を歪ませて微妙な顔をしていたが、ウェイドの話が出た途端に顔色が変わり出したが、秋は余計な口を出さず最後まで話し切った。

 

「まさかタイムジャッカーがまだいたなんて…。」

 

「え…知ってんの!?」

 

「うん。でももう居ないって思ってたんだけど…ウォズ何か知らない?」

 

「期待を裏切るようで悪いが、タイムジャッカー自体にそこまで詳しく無くてね。はぐれ、という事は、スウォルツ達の仲間と言う事では無いようだが。」

 

「どちらにせよ異世界でアナザーライダーとなって好き勝手やってるという事は、ロクでも無い事を仕出かすつもりに違いない。」

 

タイムジャッカーについて何も知らない秋を置いて話が進んでいくソウゴ達を前に秋は一つの考えを脳裏に浮かばせる。

同じライダーとは言え別世界の住人であるソウゴ達に助けを求めるか否か。罪悪感を感じながらも、意を決して、一つの判断を下すことにした。

 

「あ…あの!」

 

「なに?…って、えぇ!?ちょっと…!」

 

秋は驚くソウゴ達を無視し、彼等の前で土下座してまで頼み込んできた。

 

「こんな事言われても困るかもしんないけど…頼む!オレ達の居る世界を元に戻す為に手を貸してくれ!礼なら言ってくれればオレが出せるもん全部出す!」

 

「ちょ、ちょっと落ち着いて!」

 

「情けねぇ話今のオレじゃあウェイドのヤツに敵いっこねぇ……だから頼む!オレは、みんなを…悠兄さんを取り戻したいんだよ…。」

 

「……。」

 

必死のソウゴ達に頼み込む秋を前に、ソウゴは後ろのゲイツ、ウォズ、ツクヨミに目を配る。彼等のを見ただけで伝わったのか、ソウゴは土下座する秋の方にしゃがむと、その肩に手を置いた。

 

「助けるよ。だって、世界は違えど同じ仮面ライダーだし!」

 

「え…いいのか?」

 

「うん!それに、オレ会いたくなっちゃった!キミのお兄さんに。みんなもそうだよね?」

 

「興味は無い。だが、タイムジャッカーが絡んでるとなると、放っておくわけにはいくまい。」

 

「我が魔王が望むならそれに従うのが家臣の務めだからね。」

 

「私も彼に協力する。もしかしたらウェイドが兄に関係してるかもしれないし。」

 

「…いいのかよ?頼んでるオレが言うのもアレなんだけど…。」

 

「平気平気!秋は、お兄さんや消えちゃった人達を助けたいんでしょ?だったら遠慮なく頼っちゃってよ!オレ、王様だし!」

 

「……ブッ、ハハハハハハッ!!はぁ~、なんだし王様って!」

 

「我が魔王は正真正銘の魔王だよ?平成ライダーの力を受け継ぎし、時空の統べる時の王者!キミはそんな彼に助力を求めたのだから、少しは敬意を見せたまえ。」

 

「…マジ?」

 

「あぁ。あのウォッチを見給え、アレこそが力を継承した王の証さ!」

 

ウォズに言われるがままに目をやると、ウォッチを収める専用のダイザーに秋が知る平成ライダー達の顔が描かれたウォッチがあるのを見て、秋は相互に対する態度を思わず変えてしまう。

 

「……え、えっとぉ、よ、よろしくお願いします。魔王サマ…。」

 

「ソウゴでいいよ!…ウェイドを止めて、お兄さんを取り返そう!」

 

「お、おぉ!やってやろうぜ!ソウゴ!!一緒にウェイドをぶっ潰してやろうぜ!」

 

「うん!」

 

 

「…それで、どうやってソイツの居る世界に行くんだ?」

 

「「…え?」」

 

「そうね。先ずはそこからどうにかしないと…。」

 

「今の我が魔王なら世界の壁位簡単に自由に行き来出来るが…彼の言った事が事実なら、無数にある世界から一つの世界を見付けるのは相当時間が掛かりそうだね。何か考えはあるかい?」

 

 

「「……あ、アハハハ…。」」

 

「早速手詰まりか。」

 

「ダメだこりゃ…こうなったらソウゴの力で一つ一つの世界を行くしかないのかも…。」

 

「それだと時間が掛かっちまう!こうしてる間にもウェイドの野郎が好き勝手に…!どうすりゃいいんだよ!こういう時悠兄さんだったら…!」

 

 

 

 

 

 

「何だ、なんか面白そうな事になってるみたいだな。」

 

 

「ッ!──貴様は。」

 

「「あぁーーッ!!…え、知ってるの?」」

 

「まさかキミがこのタイミングで来るとは…一体何しに来たんだい?──門矢 士。」

 

頭を抱えるソウゴ達の前に突如現れた世界の破壊者こと仮面ライダーディケイド、門矢 士は首にかけてるトイカメラをソウゴ達に向けながら答える。

 

「決まってるだろ…通りがかっただけさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルドの世界

 

 

戦兎が龍我と蓮司を連れて訪れたのは政府の研究施設の一室。

 

そこで戦兎は目の前に居る一人の男性、ライダーシステムを開発し悪魔の科学者と呼ばれた葛城 巧に事の事情を説明すると葛城は納得したように首を頷かせる。

 

「成程、だからボクの所に来たという事か…。」

 

「前に最上 魁星が創った並行世界を移動できるエニグマ、その開発に関わってたお前なら何かヒントを持ってるんじゃないかと思ってな。」

 

「……率直に言わせて貰うと、不可能ではない。」

 

「ッ!ホントか。」

 

「マジか!」

 

「最上さんと一緒に造ったエニグマのシステムの構成プログラムは、まだボクの記憶に残ってる。

それとこの新世界を生み出したホワイトパネルと、エボルトの遺伝子を持つ万丈がそれを動かせれば並行世界に行ける扉を開ける筈……ただ。」

 

「なんだよ?何か足りないって言うのか。」

 

「あの時は、スカイウォールから発見したバグスターウイルスを辿ってエグゼイドの世界へ行けたが、今回は何の手掛かりも無しに別世界の扉を開くとなると…。」

 

「そこが蓮司の世界に繋がってるとは限らない、か…。」

 

「でも行ける事は確かなんだろ?だったらアタリが来るまで何回かやりゃいいんだよ!」

 

「そんな悠長にやってられないでしょうが。こうしてる間にもウェイドが何をしてるか分かったもんじゃ無いだろ…蓮司、何か向こうの世界と繋がりのありそうなモノ持ってないか。」

 

「フム………ッ、コレは…コレは使えないか?」

 

戦兎に言われ懐を弄る蓮司、そして取り出したのが悠に返しそびれた武神鎧武のライドウォッチだった。

 

「アレ?これどっかで見たような…?」

 

「コレって…ソウゴの使ってるデバイス!何でお前が。」

 

「オレのいる世界で出来たヤツだ。歴史が改変されてるのに関わらず消えずに残っている、コレならば。」

 

「やってみる価値はあるな…葛城。」

 

「あぁ。一応父さんにも声を掛けてみるよ。パネルの扱いについてなら、父さんの方が詳しい。」

 

「よし、手分けして作業に取り掛かろう。

万丈と蓮司は…まぁ、装置が出来上がるまで友好でも深めてな。」

 

「はぁ!?なんだよそれ!」

 

「…こればかりは手の貸しようが無いから仕方がないな…葛城、と言ったか、どうかよろしく頼む。」

 

「気にしないでくれ。二つの世界を壊す筈だったエニグマがこういう形で役立てるなら、協力は惜しまないよ。」

 

「ホント礼儀正しいよなぁ。どっかのバカに爪の垢を飲ましてやりたいよ。」

 

「何言ってんだよお前?そんなん汚ねぇだけだろ。」

 

「…こんなんじゃ飲んでも無理か……いよしッ!科学の力をいっちょみせてやりますか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジオウの世界

 

 

「久しぶりだな魔王。それと、生意気小僧の弟。元気に…では無いか。」

 

「お前、門矢 士と面識があったのか?」

 

「うん、でもどっちかといえば悠兄さんの方が関わってるけど。」

 

「まぁその辺は特に気にするな…にしても、通りがかったついでにココの美味い飯を食って行くかと思ってたが…。」

 

「え、ごはん!?」

 

秋によってダウンしていた順一郎だったが、ごはんというワードを耳にした途端スイッチが入ったように起き上がってきた。

 

「あ、いつぞやのお友達!」

 

「よぉ。今日は作ってくれないのか?」

 

「あ~、ごはんねぇ今冷蔵庫の中殆ど無いから…あ、買って来るからソウゴ君達とお喋りでもして待っててね!」

 

「え、お、おじさんッ!?」

 

「順一郎さん…人が好過ぎるのも困りものね。」

 

「全く大したもんだな。」

 

「お前のその暴虐無人っぷりが原因だろ!」

 

「…あ、そうだ。なぁアンタなら…!」

 

秋が何か思いついた様子で士に詰め寄るが、秋の眼前に手を翳して止められる。

 

「あーいい、言わなくとも大体分かってる。一度お前達の世界に行ったことのあるオレなら、ってハナシだろ?

別にいいぞ。お前達を送ってやっても。」

 

「マジっすか!?」

 

「どういう風の吹き回しかな?キミがそんなあっさり承諾するなんて。」

 

「大した理由は無い。ただアノ小僧と遊ぶ約束をしていたんでな…ま、頑張ってくれ。」

 

「え、一緒に行かないの?」

 

「オレはメシを食いに来ただけだ。それ以外は知らん。」

 

「貴様…ッ!」

 

「ま、まぁとにかく!これで秋の世界に行く問題は解決できたし…行こうみんな!」

 

「フン…。」

 

「えぇ!」

 

「仰せのままに。」

 

 

「あ、ちょっと待って!行く前に…。」

 

「…ん?なんだ。」

 

方針が決まり、いざ出発しようとした所で、秋がオズオズとしながら士に詰め寄り…。

 

「あのー、この前貰おうとして貰えなかったサイン…今お願いできます?」

 

 

あまりの場違いな申し出に、ソウゴ達はずっこけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点は戻り秋達の世界の方では、ウェイドの圧倒的実力差に叩きのめされた神太郎が逃走した路地裏で、声を掛けて来た人物。

 

「アベル…何しに来た。」

 

「もう!そんなおっかない顔するなよぉ、まぁそんな状況じゃ無理もないか。」

 

狼狽えていた神太郎であったが、アベルの前でその態度は見せたくないのか、睨み付ける神太郎に対し、アベルは少し離れた位置にあるポリバケツに腰を下ろした。

 

それからしてアベルの口から、耳を疑う言葉を聞く羽目になる。

 

「なぁカイン。今回ばかりは状況が状況だし、手を組まない?」

 

「な…ッ!」

 

「あのウェイドの所為で歴史変わっちゃっただろ?そのお陰で折角手に入れたゲムデウスの力が無くなってさぁ…。」

 

「…それは、嬉しいニュースだね。」

 

「それでもこの最悪な現実と比べてたら何の気休めにもなら無いだろ?

お前が今一番倒さなきゃいけないって思ってるのは、あのウェイドっていうふざけたヤツ。そうだろ?」

 

「……。」

 

「でもお前一人では到底、無理。だから…。」

 

「お前と二人で、か?」

 

「そ♪前まではボク達二人で色々やって来ただろう?相性は悪く無い筈だよ。」

 

「……。」

 

神太郎は考える。今優先すべき、倒すべき敵は誰か。街が炎と混乱に包まれてる光景が路地裏から見え、決断を下すのに時間はかからなかった。

 

「…分かった。だが今回だけだ。すべて元通りになったら、また敵同士だ。」

 

「そうこなくっちゃ!よろしく頼むよん♪」

 

「フン……でもお前ゲムデウスの力を失ったんだろう?どうやって戦う気だ?」

 

「それは、コイツでだよ♪」

 

「ッ!…ウラナくんのギアデュアル…。」

 

アベルが神太郎に見せ付けたのは消滅したウラナが持っていた筈のギアデュアルガシャット。神太郎が呟いた言葉に対しアベルは首を横に振るう。

 

「違う違う。コレはボクが作ったガシャットだよ?あのバグスターの彼女も最初から居ない存在になったんだから、ボクの手元にあるのは当然じゃないか。」

 

「ッ……まぁいい、全て元に戻れば……足を引っ張るんじゃないぞ。」

 

「ハイハイ♪少しの間だけなんだから、昔みたいに仲良くやろうぜぇ~。」

 

「……無理だよ、もう…。」

 

神太郎はアベルを引き連れて隠れてた路地裏から出ていく二人。

 

 

 

 

狂わされた歴史を戻す為のリベンジの準備は着実に進められていく。

 

 

 




滅はやっぱ高岩さん効果からか、動きに強キャラ感を感じる…。


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