その男が進む道は・・。   作:卯月七日

157 / 187


「前回のあらすじ!
BABELから思い掛けない決戦の申し込みを受けた俺達チームライダーズは、個々のレベルアップをする為、アホ上司が創ったVRによっての特別訓練を行う事となった!
一体どうなる最新話!」

「ほぉ、ここがあらすじ紹介するスタジオですか。思ってたより狭いですねぇ。」

「ってなんで敵のアンタがいんだよ!」

「まぁまぁ、キミ達のパワーアップも大変そうだと思って差し入れを。ケーキは嫌いですかな?」

「あ、どうも…じゃねえよ!何で敵に塩送ってんだよ!!」

「何を言うのですか。コレは塩と言うより、甘いものですよ。疲れた時は甘いものが良いですしね。」

「そういう意味で言ってねえ!!…喰うけど!」






試練

 

 

 

BABELから宣戦布告を言い渡された翌日。

 

この日も普通に学校はあったが、悠達ライダーズの面々は欠席。更に今日から五日間休校扱いにするという話もロスヴァイセから担任の那月に伝わり、それを聞いた古城は気になって放課後、原宅へ足を運ぶことにした。

 

同行してくるのは当然の如く雪菜とつい最近悠達の正体を知った浅葱。そして現在灰原宅で居候している夏音と護衛の吹雪達三名に、凪沙も同行しての訪問となった。

 

道中、古城は悠達が休校届を出した理由を吹雪から聞いていた。

 

「特訓?アイツ等学校休んで鍛えてるって言うのか?」

 

「はい。五日後の決戦に向けて大幅なパワーアップをする、って。」

 

「特訓って、なんともベターな…。」

 

「でも特訓と言ってもそんな無茶な事は出来ない筈ですよ、たった五日ですし。下手に怪我でもしたら勝算が下がるのは流石の灰原先輩も思い付く筈ですし。」

 

「だよねぇ。ゆーくんならそういうの考えてそう…どんな特訓してるのか聞いてない?夏音ちゃん。」

 

「ごめんなさい。私は何も…ただ、五日間ラボで過ごすから、お姉さんが寂しがらないよう寝てやってくれ、って。」

 

「ラボで過ごすって…アイツ等何やってんだ?」

 

「分かんないっぽい~!ご飯もラ・フォリアさんが持って行ってるぽいし~。」

 

「神太郎さんも朝姿を見せてないにゃし…。」

 

「あのさ、さっきから言ってるラボって何?私その辺の事知らないんだけど?」

 

「行けばいやでも分かるよ…着いたぞ。」

 

会話をしながら歩いていた古城達は目的地である灰原宅へ着く。

 

だが先導する古城は灰原宅では無く、隣のガレージへ歩を進めていた。

 

「?ちょっと古城。何処に行ってんのよ?そっちはガレージでしょ。」

 

「いいんだよコッチで。アイツ等この中に居るから。」

 

「?」

 

浅葱の疑問が深まるのを他所に古城はガレージの裏口のドアを開け中へ。ガレージにはディケイダーやエクステンダー等のバイクが置かれてるだけで肝心の悠達は居ない。

その事を古城に言おうとした浅葱だったが、工具置き場の棚を押すと、出てきた地下へと降りる階段を見て一瞬言葉を失った。

 

「へ…え、地下ぁ!?此処、地下室なんてあったの!?」

 

「見りゃ分かんだろ。まぁ、驚く気持ちは分かるけどよ。」

 

ラボへと降りる階段を進みながら古城達も最初はこんな風に驚いていたかと思い出しながらも目当ての悠達を見付ける。

が、その光景はあまりに奇妙で、敷かれたマットに寝転がり頭にゴーグルらしき機会を着けていた。

 

「…何やってんだアレ?」

 

「ちょっと何よココ!ラボっていうより秘密基地じゃん!!

しかもよく見たらこの機材…私のより凄いハイスペック!中にどんなデータが入ってるのかしら……灰原達寝てるみたいだし、少しだけなら…。」

 

「ダメだよ浅葱ちゃん!勝手に見ちゃったらゆーくん怒っちゃうよ!」

 

<その通り。ココにあるのは全て機密扱いのデータなのだ。此処を管理している立場として勝手に見られては大変困る。>

 

浅葱が目の前にある端末へ手を伸ばそうとした所に、台座に乗ったクリムが止めに入る。

 

「ッ!?うわぁぁぁッ!?べ、ベルトが、喋った!?しかも無駄にイケボ!」

 

<ムゥ。そこまで大袈裟に驚く事かね?>

 

「あら、皆さん何時の間に来ていたんですか。」

 

「うわ!お茶菓子取りに行ってる間にたくさん人が…。」

 

「あ、お姉さん。」

 

浅葱がクリムに驚いて腰を抜かしてる間に、ラ・フォリアと明石がタオルや水、お菓子など持ってラボへ。尽かさず古城はラ・フォリアに悠達が何をやっているのか聞き出す事に。

 

「なぁラ・フォリア。灰原達一体何やってんだ?新しい精神統一?」

 

「アレですか?アレはですね…。」

 

「ハイハイ!その辺の説明は私がしちゃいますよー!」

 

「うおッ!?ビックリした。えっと、アンタ確か…あ、凪沙の時の。」

 

「ハイ!こうして自己紹介するのはまだでしたっけ?

改めまして明石と言います。私は主にメカニックと医療関係のサポートを担当しています。」

 

「あ…どうも。暁 古城です。凪沙の件は本当ありがとうございました。」

 

「いえいえ、私はドライバーを渡しただけで後は悠さんのお陰ですので…それよりもそちらの方は?」

 

「あぁ。コイツ最近灰原達の事知ったヤツで…。」

 

「藍羽 浅葱です!あの!ここに置かれてるパソコンなんですけど!!少しだけ!少しだけ触らせて貰っていいですか!?」

 

「え!?い、いやー、それは私に聞かれても…。」

 

「浅葱!初対面の人を困らせるなよ、ったく…すいません。コイツパソコン関係に詳しいヤツなんで…。」

 

「い、いえいえ!私も似たような一面がありますので…あ、それよりも悠さん達が何をしてるかですよね!まずはコレを見て下さい!」

 

明石は悠達の前に置かれてる四つの端末を操作すると、画面にある映像が映し出される。

 

悠の変身するダークカブトが、仮面ライダーエターナルと四体の怪人を相手に追い詰められてる映像が。他の画面にもマッハ、斬月、エグゼイド達が古城達の知らない仮面ライダー達を相手に戦っている。

 

「何だコレ?灰原達が戦ってる映像、なのか?」

 

「…いえ。見て下さい先輩。先輩たちが戦ってる相手、私達の知らない仮面ライダーです。それも沢山。」

 

「あ、ホントだ…んん?マジで一体何なんだコレ?」

 

「…え、ちょっと待ってコレ。もしかして…嘘でしょ?」

 

「浅葱ちゃん?」

 

古城は写ってる映像が過去の記録の様なモノと思って見ていたが、浅葱はゴーグルを着けた悠達と画面の映像から何かに気付いて狼狽えていたので、明石がネタバラシをした。

 

「気付いた方がいたようなのでお教えしますと、悠さん達は今電脳世界で戦闘訓練をしています。この映像はリアルタイムの映像です。」

 

「電脳世界?…え、マジで?」

 

「やっぱり!でも有り得ない、今の科学でこれだけ精巧なVR技術を創るなんて!」

 

「いや~、居るんですよねぇ創れる人が…あそこに。」

 

「「「「「「「「?…ッ!?」」」」」」」」

 

ラ・フォリアを除いた全員が明石が指した方へ目をやると、ラボの隅で一心不乱にキーボードを叩く神太郎が居た。

 

今まで気付かなかったのもあるが、ブツブツと小声を発しながら片手で二台の端末を同時に操作するその顔は正に憑りつかれた様な雰囲気で、誰もがギョっと息を呑んだ。

 

「えっと…あそこにいる銀髪の人が創ったの?」

 

「えぇそうです。そして私達の最高責任者。」

 

「ベルトもあの人が創ったんだと。」

 

「それと悠のお義父様です。」

 

「ちょっと待って!一度にトンでも無い情報送り込まないで!!

えぇっとなに?あの如何にもヤバそうな人が電脳世界を創って、最高責任者で、ベルトも創って、灰原のお父さん?…。」

 

浅葱の整理の着いた回答に全員が首を頷く。

 

「それで神太郎さんはアレ何やってんだ?…あのー神太郎さん?」

 

「あ、ダメです話し掛けちゃ!」

 

「え?」

 

 

「私のクリエイティブの時間を邪魔するなぁッ!!」

 

「おぉッ!?…すいません。」

 

 

「…ねぇ。本当にこの世界の為に戦っているのよね?灰原達って…。」

 

「えぇ…すごく独創的に。」

 

傍から見ればヤバそうな人間が責任者である悠達の人となりその他諸々を心配した浅葱であったが、彼女は興味はすぐに画面に映されている仮面ライダー同士の特訓に移っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ースタジアムエリアー

 

 

<< カイガン! ノブナガ! >>

<< 我の生き様・桶狭間!>>

 

「フッ──ッ!!」

 

<< ダイカイガン! >>

<< オメガスパーク! >>

 

「なろッ!──」

 

<< シューター! >>

<< タクサン・カクサーン! >>

 

アクセル、メテオ、スペクターの三人と戦ってるマッハは、ゴーストチェンジでノブナガ魂となって分裂した銃モードのガンガンハンドでマッハを翻弄させ、動きを抑えている。

 

ゼンリンシューターで迎え撃つマッハだが、そんなマッハの元にアクセルとメテオが肉薄して来た。

 

「ハァッ!」

 

「ホワチャッ!」

 

 

「ッ!──こんのッ!!」

 

<< ゼンリン! >>

 

 

アクセルの振るうエンジンブレードと、メテオの繰り出す星心大輪拳による格闘術にゼンリンシューターで迎え撃つも接近戦に長けた二人のライダーの猛攻は止められず、苦い顔をしながら必死に防いでいた。

 

 

<< JET! >>

 

「ハッ!──」

 

「ッ!──熱ッ!アッチィッ!!」

 

<< MARS! Ready? >>

<< OK! MARS! >>

 

「ホォ~ッ──ホワァチャ!!」

 

「ッ!──グァァッ!!」

 

エンジンブレードから発する高温の蒸気を弾丸の様に放つジェットがマッハを襲い、追撃にメテオが右手のガントレット、メテオギャラクシーの能力であるマーズブレイカーでマッハに超高温の一撃を叩き込む。

 

<< カイガン! フーディーニ! >>

<< マジイイじゃん!スゲーマジシャン! >>

 

「ハァッ──ハッ!」

 

「クッ──ッ!?ぬォッ!!」

 

起き上がったマッハに尽かさずスペクターがフーディーニ魂へゴーストチェンジすると、鎖を操りマッハを雁字搦めに縛り、空へ投げた。

 

<< ENGINE MAXIMUM DRIVE! >>

 

<< LIMIT BREAK!──OK! >>

 

「ハッ!」

 

「ホォ~ッアチャアッ!!」

 

「ッ!──あー、クソ。」

 

アクセルの放つエースラッシャーとメテオのスターライトシャワーが空へ投げられたマッハへ炸裂。

 

マッハは悪態を吐きながら空中で爆散していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー森林エリアー

 

「ハァ、ハァ、ハァ──フゥ…。」

 

斬月は木陰で身を潜みながら荒い息を整えていた。

 

隠れてる木陰からそっと顔を出して様子を窺おうとした瞬間、斬月はすぐさまその場から飛び退く。すると何処からか放たれた光矢が木を貫き、木はメキメキと音を立てて倒れた。

 

すぐに体制を直し、無双セイバーの刃を突き付ける先にはゆっくりと此方へ歩み寄る白い鎧武者、斬月・真がソニックアローを斬月へ向けていた。

 

「どうした。逃げて隠れるだけで私に勝てるとでも?」

 

「ただの…休息だ!」

 

地面を蹴り斬月・真との距離を詰めていく斬月。

 

斬月・真はソニックアローを構え矢を放つ。放たれた矢に対し斬月はメロンディフェンダーを前に出して防ぐが、盾越しに伝わる衝撃が左腕の感覚を徐々に無くしていく。

 

「ッ──フンッ!」

 

盾が手から離れる前に斬月はメロンディフェンダーを斬月・真に向けて投降。斬月・真はソニックアローのアークリムで弾いた隙を狙って突きを繰り出す。

 

”線”でなく”点”を突いた攻撃。間合いを詰める為に加速した勢いも乗せて威力を上げた渾身の突きは…あっさりと片手で掴まれた。

 

「ッ!!」

 

「この程度の攻撃、私が予測してないと思ったか?──ハァアッ!!」

 

「グァァッ!!」

 

斬月の突きを簡単に受け止めた斬月・真は、ソニックアローで滅多切りに斬月を切り裂いていく。反撃の余地すら与えない連撃を前に斬月は立っているだけで精一杯だった。

 

<< メロンエナジースカッシュ! >>

 

「ハアアアッ!!」

 

「ガッ…!!──」

 

斬月・真の必殺技が斬月を一撃に切り伏せ、斬月は成す術なく爆散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー市街地エリアー

 

「ハッ!──フッ!」

 

「シィッ!──ウラッ!」

 

ダークカブトは巧みな足技を繰り出してくるヒートドーパントを相手に自身も足技で挑んでいた。

 

前蹴り、回し蹴り、ハイキック。蹴っては防ぎ、蹴っては避けるという猛攻が続くが、ダークカブトが仕掛けた足払いをヒートドーパントは身軽に跳んで回避され、後ろに回り込まれハイキックを喰らうダークカブト。それ一撃を皮切りにヒートドーパントの猛烈なキックの嵐を受け止める事しか出来なかった。

 

「アハハッ!まだまだ甘いわねぇボクちゃん!」

 

「ッ!中身はアンタより年上だっての!」

 

たまらずガンモードのクナイガンを取り出し、蹴りだされた脚を空いた手で掴んだ後発砲。ヒートドーパントのボディに火花が散り、後ろへ後退していく。

 

追撃を仕掛けようとしたが、クナイガンを持つ手が撃たれ手放してしまう。撃たれた箇所を抑えながら此方に銃口を向けているトリガードーパントが更に撃ってきたのを跳んで回避したが、その先にはロッドを振り回しながら向かって来るメタルドーパントが。

 

「シャァラアアアアアッ!!!」

 

「ッ!──プットオンッ!!」

 

<< PUT ON >>

 

豪快に振り下ろされるロットの一撃をダークカブトはライダーフォームからパワー兼防御特化のマスクドフォームになって防ぐ。

 

「ガッハハハハハハ!オラまだまだ行くぜぇ!!」

 

「ッ───オラァッ!!」

 

次々と振るわれるロットの連撃にダークカブトはリーチの差で苦しめらされるも、ロッドを大振りになった所を狙い懐に入り込んで脇腹にブローを叩き込む。

一瞬動きが止まったメタルドーパント。その僅かな隙を見逃さずロットを蹴り飛ばして無手の状態にしようと仕掛けたダークカブトだが、トリガードーパントの援護射撃の所為で仕掛けられず、逆に大きな隙を見せてしまい鳩尾に渾身の突きが入った。

 

ヒヒイロカネの鎧越しに伝わる衝撃に内臓が押し潰れたと思わせる程の威力に意識が飛び掛けるが、体に巻き付く不快な感触がダークカブトの意識を起こさせた。

 

「あらァん、ガチガチに硬いのね!抱き締めがいがあるわ!」

 

「ッ~~!──キャストオフ!!」

 

<< CAST OFF >>

<< CHANGE BEETLE >>

 

悪寒を感じ取ったダークカブトは即座にキャストオフしてライダーフォームへ、弾け飛んだアーマーによってルナドーパントの拘束を逃れる。

 

「あぁん!!脱いじゃった?脱いじゃったの!?興奮してきゃうじゃない!!」

 

「頼むからマジ黙ってくんねぇ!?気が狂うから──ッ!!」

 

クネクネと腰を揺らすルナドーパントに調子を狂わせられるダークカブト、そんな中首筋に僅かに感じた殺気を感じその場から飛び退くと、先程まで頭があった所をナイフが通り過ぎた。

 

「大道…ッ!」

 

「オレを忘れてもらっては困るなぁ…ッ!!」

 

突然攻めて来るエターナルを前に、ダークカブトはトリガードーパントによって弾かれたクナイガンを回収しクナイモードのクナイガンとコンバットナイフのエターナルエッジが打ち合っていく。

 

刃が火花を散らしながら衝突し合いながらエターナルが左の手刀を繰り出すが、ダークカブトは右手でエターナルの外側へ逸らすように弾くと逆手に持ち変えたクナイガンを突き出す。

 

エターナルは瞬時にクナイガンの持つ手首を掴み取り、エッジをダークカブトの鳩尾へ突き刺そうと切っ先を向けたが、ダークカブトもこれを掴み取る。

 

すると同時に足が上がった。互いに蹴りを喰らい、二人は下がって距離を取る。

 

再度仕掛けようと接近するダークカブト。そんなダークカブトに銃弾と炎が襲い掛かった。

 

「ガァァッ…!!」

 

吹き飛ばされるダークカブトに更なる追い打ちが待っていた。エターナル、メタルドーパント、ルナドーパントが同時に仕掛けて来る。

 

「ウリャアァァァァッ!!!」

 

「ワタシの愛ッ、受け取ってぇぇぇぇッ!!」

 

「グガァッ!──ブハ…ッ!!」

 

大きく振り上げられたロットに体が持ち上げられると、しなやかな鞭がダークカブトを打ち付けて更に空へ上げていく。

 

そしてダークカブトの落下する場所には、エターナルがトドメを刺す準備をしていた。

 

「詰まらん…一から出直して来い。」

 

<< UNICORN MAXIMUM DRIVE! >>

 

「ハァアアッ!!──」

 

「ッ…──。」

 

ドリル状のエネルギーによって貫通力を上げたエターナルのパンチが落ちてきたダークカブトの腹部を突き破り、爆散させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー山岳エリアー

 

 

「ロープアァームッ!」

 

「マイクロチェーンッ!」

 

 

「うげッ!?」

 

ライダーマンのアタッチメントとZXの投げるチェーンが、キースラッシャーを持つエグゼイドRの両腕を縛り抑え付けられる。

 

「むゥーッ!は・な・せ~ッ!!」

 

 

「んんッ!」

 

「ぬんッ!」

 

必死に振り解こうと力を入れるエグゼイドRに、抵抗の意思を見せるライダーマンとZX。そんな綱引き状態のエグゼイドRにアマゾンが襲い掛かってきた。

 

「ケケェーッ!」

 

「ッ!」

 

「ジャガァーッ、ショォックッ!!」

 

「ッ!?──イダタタタッ!?あ、アタシの腕ッ、美味しく無いよ!!」

 

「ガゥゥウッ!!」

 

アマゾンはキースラッシャーを持つ手に豪快に噛みつき、エグゼイドRは思わず武器を手放してしまった。

無手となり抵抗する力が弱まった所を狙い、ライダーマンとZXは、息を合わせエグゼイドRを思い切り引っ張り投げ飛ばす。

 

「「タァッ!!──」」

 

「うわぁッ!?」

 

豪快に投げられるエグゼイドR。ロープとチェーンが外れ、宙を舞うエグゼイドRを空からスカイライダーが迫って来る。

 

「スカァーイキィーック!」

 

「喰らうか!」

 

スカイライダーの必殺のキックがエグゼイドRへ放たれようとしたが、エグゼイドRは咄嗟の判断でキックを繰り出すスカイライダーの前に、チョコブロックを三つほど作り威力を軽減させたのを両腕を交差してガードする。

だがそれでもスカイライダーのキックはエグゼイドRに大きなダメージを与えた。かろうじて致命傷は逃れたモノの大きなダメージを負って地上へ落ちる。

 

「うぅ…ッ!!」

 

「ロングポール!」

 

咄嗟に跳んで避けるエグゼイドR。先程までいた場所に銀の棒、ライドルが突き刺さっており持ち主であるXライダーに加えライダーマン、アマゾン、スカイライダー、ZXが襲ってくる。

 

「マシンガンアーム!」

 

「うわぁッ!!」

 

ライダーマンがアタッチメントをマシンガンに変え、エグゼイドRの動きを牽制してる間にX、アマゾン、ZXが接近してくる。

 

「ライドルッ、脳天割り!」

 

「大ッ 切ッ 断ーッ!」

 

「電磁ナイフ!」

 

 

「キャアァッ!!」

 

三人の繰り出す技に成す術無く大ダメージを負うエグゼイドRの元へ、空から宙返りををしながら向かって来るスカイライダーがトドメの一撃を放とうとしていた。

 

「大回転ッ──スカァーイキィーック!」

 

「うわぁァァああッ!!」

 

先程のスカイキックより威力のある必殺技を受けたエグゼイドRは、爆散して消えてった。

 

 

 

 

 

 

「ウラナ!──クッ!!」

 

「トォ!──ハァッ!」

 

エグゼイドRがやられた所を目にしたエグゼイドLは、ソードモードのガシャコンブレイカーを手に拳法を繰り出すスーパー1の相手をしていた。

繰り出される洗練な技の猛攻に時折コーカサスの影がタブって見えながらもブレイカーを盾に防戦一方であった。

 

「チェーンジッ!──冷熱ハンド!」

 

「ッ!──熱ッ!!」

 

スーパー1の武器でもあるファイブハンドの一つ、炎と冷凍ガスを放てる冷熱ハンドにすると、エグゼイドLに火炎放射を放つ。

 

超高温の炎に襲われるエグゼイドLだが、炎で視界を潰す目くらましが真の狙いだったと気づくのは、バチバチと空気が弾ける音が耳に入った時だった。

 

「電ッパンチッ!」

 

「キャアッ!!」

 

炎の中から出てきたストロンガーが拳に電気を纏わせたパンチをエグゼイドLの顔面に叩き込む。

 

頭に強い衝撃と電撃によって体が痺れ動けないエグゼイドLに、ストロンガーとスーパー1は容赦の無い追撃をかます。

 

「エレクトロファイヤーッ!」

 

「チェーンジッ!──レーダーハンド!」

 

 

「ッ!!──うわぁァァッ!!」

 

地面を走る電流と小型のミサイルがエグゼイドLに炸裂し大きな爆発が起きる。

 

吹き飛ばされるエグゼイドL。痛む体に鞭を打って起き上がろうとするエグゼイドLの耳に、バイクの駆動音が聞こえ仮面の下で顔がサッと青くなり、大ダメージを負ったのに関わらずその場から逃げるように走り出した。

 

「「「トォ!!」」」

 

 

「だから…!バイクに乗るのは反則だって!!」

 

走るエグゼイドLの背後から、専用マシンであるサイクロンとハリケーンに乗るダブルライダーとV3が逃げ回るエグゼイドLを追い掛け回していた。

 

「この程度で逃げてどうする!お前はこの先どうしても勝たねばならぬのだろう!!」

 

「臆せず立ち向かえ!それがお前が強くなる唯一の方法だ!!」

 

 

「そんなこと言ったって急には無理ィィッ!!」

 

 

三台のマシンに追い掛けられながら1号、2号に叱責を飛ばされるエグゼイドL。そんなエグゼイドLに見兼ねたV3はハリケーンから大きく跳び、エグゼイドLに跳びかかる。

 

「トォッ!!」

 

「ッ!危なッ!!」

 

V3のキックを横に跳んで躱すエグゼイドL。だがそこへ1号と2号も続いて跳びかかって行った。

 

「「トォ!──ッ」」

 

「ッ──しまった!」

 

寸での隙を突かれ、左右両側から腕を掴まれ捕まってしまったエグゼイドL。自慢の力技で強引に振り解こうと力を入れるが、1号と2号はそれを上回る腕力で抑え続けた。

 

「強引な力技だけに頼るな!」

 

「例え相手がお前より非力でも、技の掛けようで簡単に捻じ伏せられる!──トォ!」

 

「「ライダァー投げッ!」」

 

 

「うおおおおぉぉぉッ!?」

 

二人は同時にその場から跳躍すると、息の合わせてエグゼイドLを一本背負いの要領で投げ飛ばす。宙高く投げられ上手く受け身をとる事が出来ず地面へ強く背中を打ち付けるエグゼイドLへ、三人のライダーが同時に仕掛けた。

 

「「「トォ!──」」」

 

「ッ──えぇい!立ち向かえって!?やってやるわよ!!」

 

<< ガッシャット!──キメワザ! >>

 

エグゼイドLはせめてもの抵抗として、マイティアクションXのガシャットをブレイカーへ挿して、迎え撃とうとしていた。

 

「「「トリプル──キィックッ!!」」」

 

<< MIGHTY CRITICAL FINISH! >>

 

「しぁゃんッらあぁぁぁッ!!」

 

エグゼイドLと三人の繰り出した必殺技同士のぶつかり合いは、大きな爆発を生み、残っていたのは着地を決めた1号、2号、V3だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ハァッ!」

 

「──ッ!…クッ!」

 

「──ヌァッ!クソ!」

 

「──うわああッ!?…ハァ、ハァ…。」

 

「──うおおッ!?…あーッ!全然勝てないぃーッ!」

 

電脳世界から戻って来た五人は勢い良く起き上がったと同時に、息を荒げ、滝の様に冷や汗を流していた。

尽かさずラ・フォリアが五人にタオルと水を渡している光景を前に、古城達は上手く声を掛けられなかった。

 

「まただ…何故此方の手の内が完全に読まれてる!?」

 

「呉島 貴虎相手に斬月で挑んでる時点で詰みだろうお前の場合…。

あーダメだ、京水のあのノリの所為でいっつも調子が…!ただでさえ大道だけでもヤバいのに…。」

 

「なんなんだしあのスペクターっての、超やりづれェ。アクセルもメテオもマジ強すぎっしよォ…全然勝てる気しない。」

 

「私も全然ダメ。勇気出して向かっても勝てるビジョンが浮かんでこない…。何度バイクで追い回されなきゃいけないのよ…。」

 

「うぅ…!アタシもうやりたくない…。」

 

「あー。桜井とウラナは少し外れた方が良いかも。相手が相手だし、一番死にまくってるし…ん?何だお前等居たのか。」

 

怯えるウラナを見て、悠はハルナ達のVR訓練を控えるよう提案した時にやっと古城達の存在に気付いた。

 

「よ、よぉ灰原…大変そうだな?」

 

「あぁ絶好調だよお陰様で…。」

 

「絶好調って…お腹貫かれてましたよね!?」

 

「なんだ見てたのかよ…藍羽も連れて来たのか?」

 

「何よその言い方?来ちゃ悪いっていうの?」

 

「ココのモノ変に触ったりして無いよな?アイテムとかマシンとか、そこのパソコンとか。」

 

「………触って無いわよ。」

 

「…クリムー。セキュリティを何時も以上に強化してー。ハッキングされないようシフトカーの監視も。」

 

<OK。>

 

「ちょっと!私どんだけ信用無いのよ!?」

 

「じゃあ今の間はなんだよ。ていうかお前だから警戒するんだよ…っと。」

 

「悠?どこへ?」

 

「走って来る。体も適度に動かさねえと…。」

 

「あ、オレも行くー。姉ちゃんは?」

 

「私は少し休ませて貰うわ…ウラナも休む?」

 

「…うん。」

 

「オレはもう一度ヤツと戦ってくる…次こそは一撃叩き込んでやる…!」

 

悠と秋は体を動かす為に外へ、ハルナとウラナは簡易ベットで眠り、蓮司は再度電脳世界へと入っていった。

 

蓮司を電脳世界へ送る為端末を操作する明石に、古城は悠達の会話の中で気になったワードに気付いた。

 

「あの、明石さん。さっき灰原達が何度も死んだとか次こそはとか言ってたんですけど…。」

 

「あぁそれですか。えーっとですねぇ…。

これまでの記録では…悠さんが21回。秋さん27回。蓮司さん14回。ハルナさんウラナちゃんペアは41回向こうで死んでます。」

 

「…それって、イイ記録なんですか?」

 

「あー…まぁ戦闘時間は徐々に伸びてるんでイイ方かと…最初の方は瞬殺されてますから。」

 

「…私やっぱ不安だわ。灰原達に世界の命運任せるの。」

 

「浅葱ちゃん…!」

 

「浅葱…それは言っちゃあいけないと思うぞ…。」

 

堂々と口にした浅葱に注意をする古城であったが、内心では自分も悠達の先行きが不安になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ハァァァーー。」

 

とある山の中、滝が流れる川の中でラヴァーこと黒咲は上半身裸で滝に打たれて精神を研ぎ澄ましていた。

その光景をスーツに身を包んだ大臣こと史汪が、コーヒーの入ったカップを手に適当な岩に腰を掛けて眺めている。

 

「フム…滝に打たれて約1時間。冬間近のこの季節によく出来たものですねぇ。」

 

「この時期だからこそよ。身と心を引き締められるわ。アナタもやってみる?」

 

「謹んで遠慮します。風邪を引きたくないもので。」

 

「フン。軟弱ね…。」

 

BABEL一行も、来るべき決戦に向けての準備を整えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特訓開始から三日目。

 

「…出来た。完成だ。」

 

「やりましたね!この短時間で新兵器完成です!」

 

「あぁ…。」

 

電脳世界で訓練してる蓮司達を他所に、悠は夕張を補助にディケイドライバーの解析したデータを基にある兵器を手掛けていた。

そんな彼等の元に、一人トレーニングを受けていた秋が帰ってきた。

 

「あーしんど。武蔵姉さん相変わらずパネェわ…あれ?悠兄さん夕張ちゃんと何やってんの?サボって浮気?」

 

「楽しく、って意味では間違って無いかも。息抜き兼新しい仲間を創っていたんだよ。ホレ。」

 

「ん?…おぉ!新しいシフトカー!…てかデケェなコイツ。」

 

デスクの上にある新たなシフトカーを見て目を輝かす秋だが、従来の片手サイズより遥かに大きいトレーラーの様なシフトカーであった。

 

「コイツは変身用でもタイヤコーカン用でも無い。ドライブ専用の武器で、キャノン砲になれる。」

 

「へぇーだからこんなデカいんだ…何て名前?」

 

「トレーラー砲。」

 

「…それ正式名称?」

 

「あぁデータにはそう書いてあった。多分…ていうか確実に泊 進ノ介の命名だろ。」

 

「まんまだしな。にしても短い時間で良くコイツ創れたね。

で、コレを創ったって事は、決戦の日に使う訳?」

 

「元々シフトカーを創る工程に一手間入れるぐらいだったからな、案外楽に出来た。ヤツ等との決戦には勿論使う。コイツのデビュー戦でトリ野郎を派手にぶっ放す為にな。」

 

「お、もしかしてもう作戦思い付いちゃったカンジ?流石~。で、どんなん?」

 

「あぁそれはな…。」

 

 

「───ハァッ!

やったぞ…ッ!遂に一撃ヤツに見舞わせてやったぞ!…一撃だけだが…。」

 

 

「──ブハァッ!

今のもう少し早ければ倒せた!」

 

「…うん!イケる!!アタシたちイケるよ!!」

 

 

「…この話後にする?」

 

「あぁ息抜き終了。夕張後任せた。」

 

「了解です!」

 

 

その後の悠と秋も、倒すまではいかなくとも倒す一歩手前まで追い詰め、確実にレベルアップをしたと言える成果を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特訓開始から四日目。

 

 

 

 

 

ースタジアムエリアー

 

<< ゼンリン! >>

<< イマスグ・トマーレ! >>

 

「ハッ!──ウラァァッ!!」

 

アクセル、メテオ、スペクターの三人を相手に、マッハが取った行動はただ一つ。ひたすら早く動く事。

 

アクセルが攻撃するより早く、メテオがメテオギャラクシーに触れる前に早く、スペクターがゴーストチェンジするより早く。

後手に回らず、相手より一歩先の行動を起こすというスタンスを貫くマッハは、シグナルトマーレで三人のライダーの動きを抑えた。

 

「ヌゥ…!」

 

「う、動かない…!」

 

「クゥゥ…ッ!」

 

 

「シァャッ!」

 

 

 

 

 

 

 

ー森林ゾーンー

 

「フッ!──ハァッ!!」

 

「ッ!───ッ!!」

 

斬月は無双セイバーを手に、ソニックアローで光矢を放つ斬月・真の矢を躱し続けながら間合いを詰め、斬り掛かって行く。

 

今斬月はロードバロン戦で見せた極限の集中状態、ゾーンに入った状態である。ロードバロンの一戦以来、意図的に出す事が出来なかったが今の蓮司は一対一の強敵と何度も戦った成果によって意図的にゾーンへ入る感覚を得たのだ。

 

雑念を切り捨てた斬月の猛攻は斬月・真でも容易に受け流せず、袈裟懸けからの切り返しの流れにソニックアローで受け止めたのに関わらず力負けして下がってしまい。一呼吸する前に瞬時に詰めて来た斬月の突きを喰らう羽目になった。

 

「グゥ…!やるようになったじゃないか…。」

 

「ッ!──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー市街地エリアー

 

<< RIDER KICK >>

 

「オラァッ!!」

 

 

「あぁンッ!!──か、克己ちゃん!!」

 

 

「ほぉ。京水も倒したか…やっと面白くなりそうだ。」

 

「フゥ…今日こそ勝つぞゴラァッ!!」

 

 

ルナドーパントを含む四体のドーパントを倒したダークカブトは、エターナルと一対一で勝負に出る。

 

クナイガンを手に突っ込んでいくダークカブトは、ソレをエターナル目掛け投げた。

 

「ッ!──フン。」

 

エターナルはそれをエターナルエッジで軽々と弾く。不意を突いた浅知恵の一手だと鼻で笑ったが、ダークカブトはエッジを持つエターナルの手首を掴み、捻ってエターナルからエッジを手放させる。

 

「ッ!?」

 

「それからァッ!!」

 

すると今度は腕を掴み取ってレスラーの様にマウントを取ると、滅多殴りに。腕を前に出して防ぐエターナルは、首を掴んで僅かに体が浮いた所で足を腹部に駆け、巴投げの要領でダークカブトを投げた。

 

だがそのほんの僅かな一瞬。投げられる前に、ダークカブトはエターナルの首に掛かってるローブに手を掛けエターナルからローブを奪い取ったのだ。

 

「ッ!貴様…!!」

 

「うぉっとッ!!──ハッ、もーらい。」

 

「アイツ等の時もそうだが、随分と小癪な手を使う様になったな。」

 

「技術的にはアンタ等に負けてるんでね。セコイ手もなんでも使うしかなかったんだよ。」

 

的確な射撃をするトリガードーパントの対策に、トリガーの位置を把握し他のドーパントにカブって盾にする事で銃撃を防ぎつつ此方が銃撃し。

 

足技を使うヒートドーパントには足首や膝関節を重点的に狙って蹴りのキレと動きを鈍らせ。

 

屈強なメタルドーパントは人体の急所へライダーキックを連続で叩き込み。

 

ルナドーパントは……ひたすら無心で殺しにかかった。

 

「さて武器も自慢のローブ無くなって丸裸だ。使ってくるメモリも分かってる…こっからが本番だ。」

 

「ハハハハ!いいだろう、ならば存分に…殺し合おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー山岳エリアー

 

 

「エレクトロファイヤーッ!」

 

「チェーンジッ!──レーダーハンド!」

 

「衝撃集中爆弾!」

 

 

「ウラナ!」

 

「オーケー!」

 

 

ストロンガー、スーパー1、ZXの同時攻撃を、出現させたチョコブロックを足場に三次元的に飛び跳ねて躱しながら接近していくエグゼイド達。

 

二人で互いの死角をカバーしつつ、武器を手に立ち回るエグゼイド達の耳に、こちらに向かって来る駆動音が聞こえた。

 

「来た!」

 

「そりゃッ!──ハルナ!見返してやろうよ!!」

 

「えぇ勿論!」

 

向かって来る1号、2号、V3を前に、エグゼイドRはチョコブロックを足場に跳んで三人の頭上へ。手に持つキースラッシャーをガンモードにし下に居る三人へ銃撃へ見回し牽制すると、1号の乗るサイクロンの前にエグゼイドLが待ち構えていた。

 

「フゥーー──シャアァアアアアッ!!」

 

「ッ!?──なんだと1?」

 

「ンンッナロォォォォオッ!!!」

 

エグゼイドLは向かってきたサイクロンに押されながらも力ずくで押し止め、1号が乗ったままのサイクロンを持ち上げたのだった。

 

「女は…度胸よッ!!」

 

「なんと…。」

 

 

「本郷ッ!」

 

「先輩!──ッ!?」

 

思わず圧巻する1号の元に助けに向かって来る2号とV3。

 

するとV3の乗るハリケーンの後ろにエグゼイドRが乗り降り、背後からV3をキースラッシャーで斬った。

 

「ハッ!」

 

「グァァァッ!」

 

「士郎ッ! 「避けろ一文字ぃ!」 なにッ!?」

 

2号が1号の声によって見たモノはエグゼイドLが2号に向かって投げたサイクロンだった。気付いた時には既に眼前にまで迫っており、2号はマシンから飛び降りるしかなかった。

 

「クッ…!」

 

「一文字!──ッ!!」

 

 

<< MIGHTY DOUBLE CRITICAL STRIKE! >>

 

 「「ハァァアアアーーーーッ!!」」

 

2号の元に駆け寄る1号。1号が咄嗟に気配を感じ見上げると、エグゼイド達が1号と2号に向けて必殺技を発動させていた。

 

「一文字!」

 

「あぁ!行くぞ本郷!!」

 

「「トォ!!」」

 

 

「「タァアアッ!!」」

 

「「ライダァアーッダブル、キィック!!」」

 

 

お互いのコンビネーション技がぶつかり合い、空は大きな炎が上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…スゲエな。うん…ありきたりだけど、それしか言えない。」

 

「古城達から聞いていたが、これ程のモノとは…最早魔法と言っても過言では無いな、科学と言うのは。」

 

「ほぇ~~。」

 

古城から聞いて特訓している悠達の元に訪れたキンジ、ゼノヴィア、一子の三名。

画面越しから見る場のリアル感と、悠達の戦う場面の緊迫感に圧巻していた。

 

「…なぁ明石さん。コレってオレ達にも使えるんすか?」

 

「えぇ。あくまでこれは既存のVRの技術を改良したものですから、痛覚のオンオフも効きますし、普通にゲーム感覚で使えますよ。」

 

「ほぉ。それは面白い。今度悠に頼んで私も「あ。」…どうした一子?」

 

「あ、あのぉ…間違ってボタン押しちゃって。」

 

「ん~?どれどれ……あ、コレは…。」

 

「な、なんですか!?アタシ今何押しちゃったんですか!?」

 

「…難易度のランクがSランクに上がっちゃってる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ースタジアムエリアー

 

「ん?なんだなんだ?」

 

突如としてい糸が切れた人形の様に動きが止まったアクセル、メテオ、スペクターの体にノイズが奔りマッハが故障か何かと思ってみていると、三人の目が再起動したかのように突然光ったと思ったら、それぞれの強化アイテムを取り出した。

 

<< TRIAL >>

 

<< METEOR STORM! >>

<< METEOR ON! Ready? >>

 

<< DIVE to DEEP!──アーイ! >>

<< ギロットミロ~ギロットミロ~! >>

 

 

「え。ちょま…ッ!」

 

 

<< TRIAL! >>

 

<< ゲンカイガン──ディープスペクター! >> 

<< ゲットゴー!・覚悟!・ギ・ザ・ギ・ザ!・ゴースト! >>

 

三人のライダーはそれぞれの強化形態、エンジンブレードを持つトライアル、メテオシャフトを持つストーム、そしてディープスラッシャーを持つディープスペクターとなり、マッハへ向かっていった。

 

 

「えぇちょっとなにこの展開!?いきなりすぎんですけど!?ねぇぇぇッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー森林エリアー

 

「グゥッ!」

 

「フゥーー…トドメだ!」

 

斬月はゾーン状態に入った事でポテンシャルを高めた事により遂に斬月・真を追い詰めた。

 

五日間の雪辱を晴らす為カッティングブレードを倒そうとした時、何処から放たれた三本の光矢が斬月を射抜いた。

 

「グァァアアッ!!」

 

 

「い、今のは…?」

 

 

「おやおや~?珍しいね貴虎。キミが苦戦を強いられるなんて。」

 

「ハッ、こりゃあレアなモノを見ちまったモンだな?」

 

「口を閉じなさい。仮にも主任をここまで追い詰めた猛者が目の前に居るのよ。」

 

「お、お前達…。」

 

斬月・真の危機を前に姿を見せたのは、同じゲネシスドライバーで変身したアーマドライダー。デューク、シグルド、マリカの三人のライダーが斬月・真の元に駆け付けた。

 

「どうした貴虎?もしかしてもう戦えない程やられたのかい?」

 

「…冗談を言うな。少し油断をしただけだ。」

 

「別に強がんなくていいだぜぇ?お前も結局は限界のある人間なんだからよぉ。」

 

「プロフェッサー、シド、そろそろお喋りはその辺にして仕事に取り掛かりましょう。」

 

「湊の言う通りだ…行くぞ!」

 

 

 

「ッ…この機に及んで増援だと…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー市街地エリアー

 

 

 

<< ZONE MAXIMUM DRIVE! >>

 

 

「ウオォォォォォォオオォォォォォオオッ!!!」

 

 

<< ACCEL! >> << BIRD! >> << CYCLONE! >> << DUMMY!>> << FANG! >>

<< GENE! >> << HEAT! >> << ICEAGE! >> << JOKER!>> << KEY! >>

<< LUNA! >> << METAL! >> << NASCA! >> << OCEAN!>> << PUPPETEER! >>

<< QUEEN! >> << ROCKET! >> << SKULL! >> << TRIGGER!>> << UNICORN! >>

<< VIOLENCE! >> << WEATHER! >> << XTREME! >> << YESTERDAY! >> 

 

<< ETERNAL MAXIMUM DRIVE! >>

 

 

「………オイオイ。」

 

26本のガイアメモリによる膨大なエネルギーがエターナルを包み、地球規模の破壊力を持つその必殺技をダークカブトに放たれようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー山岳エリアー

 

 

「グァァッ!!」

 

「ヌゥゥッ!!」

 

 

「先輩!大丈夫ですか!!」

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ…。」

 

「や…やった!」

 

 

必殺技のぶつかり合いで1号と2号相手に一手勝ったエグゼイド達。

 

ダメージを負い、蹴られた箇所を抑える1号と2号を見て、ようやく届いたと歓喜するエグゼイド達。手も足も出ず瞬殺された初日と比べ成長の兆しが見えて来たと希望を見出し掛けた…その時だった。

 

 

 

 

「「待てぇ!!」」

 

 

「それ以上、オレの仲間を傷つけるなら…。」

 

「オレ達が、相手だ!」

 

 

「お、お前達は…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

【その時、不思議な事が起こった!】

 

 

「え?なに?何でいきなりナレーションが入ってきたの!え、本当になんなの!?」

 

 

「ッ──変ッ─身ッ!」

 

「変身ッ──ッ!」

 

 

 

 

【昭和ライダー達の危機を察し遥か時空を超えて、二人の南 光太郎。仮面ライダーBLACKと仮面ライダーBLACK RXが現れたのだ!】

 

 

「仮面ライダー──BLACKッ!」

 

「オレは太陽の子!仮面ライダーBLACK!RX!」

 

 

 

「ちょっと待てぇぇぇぇぇッ!!!

危機って言ったけどそんなヤバくないから!!やっとキックが入っただけだから!!

ていうか二人の南 光太郎って何!?同一人物だよね!?いくら電脳だからってそういうのアリなの!?」

 

 

 

「BLACK!、RX!」

 

 

「遅れてすまない。1号。」

 

「オレ達も一緒に戦うぞ!」

 

 

「…あぁ!勿論だ!!」

 

 

二人の仮面ライダーも加わって合計12人となった昭和ライダー勢を見て、エグゼイドRことウラナはブルブルと震えてエグゼイドLことハルナにしがみついていた。

そしてハルナはBLACKとBLACK RXの加わった昭和ライダー達を見て、どういうライダーなのかは知らないのに本能的に悟ってしまっていた。

 

 

(あぁ…もうダメだぁ、おしまいだ…。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウオォォォォリャリャリャリャッ!!!んぎゃぁ!?パニッシャーが!!パニッシャーが!!!──えぇちょ!!なんか明らかにヤバイのが…ってギャアアアァァアアッ!!!』

 

 

 

『グァアアアアアッ!!』

 

 

 

『オイィイィイッ!!!なんでそんなネバーエンディングヘルポンポン撃てんだよ!!俺でさえ一発撃ったらグロッキー状態になるッうのに反則にも程があんだろ!!

ウォオオオォオオオーーーッ!?』

 

 

 

 

『『キングストーンッフラァァッシュッ!!』』

 

『『ギャアアアァァアアーーーッ!!』』

 

 

 

 

 

「…あー、一子さんでしたっけ?逃げ…んんッ!今日はもう帰った方がよろしいかと。」

 

「え、えっと、いいんですか?」

 

「えぇ。なんなら私の方から責任を神太郎さんの方へ向けるよう工作しておきますので。」

 

「で、でも…。」

 

「一子。ココは空気を読んだ方が良いと思うぞ。」

 

「あぁ。アイツ等が帰って来る前に…!」

 

 

不慮の事故によって起きたアクシデントは、ガシャット開発で疲労困憊状態になって意識を失った神太郎の誤作動という事になって電脳世界から戻った五人が息の合ったキックを浴びた神太郎に明石は心の中で謝罪をした。

 

 

そして日付は変わり、約束の日。決戦の朝まで残り数時間となった…。

 

 

 






グランドジオウ、変身シーンが正に平成の集大成と言えるほどにスケールデカいですね。もう省略されちゃいましたけど。

にしても今日のジオウでほんのうっすらとアナザードライブとディケイドらしき石像が映ったって事は、やっぱ全部出る前振りなのかな?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。