「前回までのあらすじ!
ハルナから生まれたバグスター、ウラナの所為で同じクラスメイトの藍羽に俺達の秘密がバレてしまった!
俺は暁を利用し藍羽の口封じに成功するも、ウラナに対する問題は未だ山積みであった!!」
「また正体バレしちゃったね~。」
「由々しき事態だ。どうにかして機密性を高めなければ。」
「コードネームとか?」
「それだ!じゃあ手始めに秋は…お調子者。」
「ちょっと。」
「剣バカは剣バカでいっか。」
「おい。」
「桜井は苦労人か病人、あるいはJK。」
「最後まんまね。」
「ウラナは…ウイルス、は可哀そうだから、末っ子。」
「?」
「で、俺は悪人。どうだ?」
「「「却下!」」」
「?…最新話どーぞ!!」
「…ねぇみんな、私のコードネームは?」
「うわああああああん!!!!がえ゛じでェェェェェェッ!!!」
「だーめーでーすー。」
「びぇぇえええええんッ!!」
早朝の灰原家は何時に増して騒がしい朝を迎えていた。
リビングでは制服姿の悠に泣きついてひたすら飛んだり跳ねたりしているウラナ。彼女が泣きながらも取ろうとしているのは、この前の勝手な行動のお仕置きという名目で取り上げられたデュアルガシャット。
取り上げられたガシャットを奪い返そうとしているのだが、身長差に加え腕を高く上げている為に届かず、遂には泣き出してしまったのだ。
「反省の色が見えるまでコイツは没収。またコイツを使って好き勝手に動かれちゃあ、何が起こるか不安だしな。」
「うわああああん!!!ユウのバカ!!オニ!!スケコマシのムッツリスケベ!!!」
「よーし反省の色ゼロだなー。このオモチャは永遠に没収!!」
「あああああああああん!!!!」
デュアルガシャットを懐にしまうと、遂に床にへたり込んで泣き出すウラナ。そんな新たな朝のワンシーンを他の面子が時には微笑ましく、時に苦笑いで眺めていた。
「さっすが子どもの扱い慣れてんなー。ありゃもうお兄ちゃんって言うか子持ちのお父さんってカンジ。」
「ですねぇ。生まれた後の子育ては問題ないそうで一安心です。最近はお父さんも積極的に子育てする世代ですし。」
「ラ・フォリアさんまだそのネタ引っ張ってくつもりですか。」
「将来に関わる大事な事なので。」
「度が過ぎて想像妊娠とかそういうケースは勘弁してくれよな。」
「お、お疲れお父さん。」
「お前のムスコ潰されたくなかったら黙れ。そんな事よりもう時間だ。行くぞ。」
「ハイアナタ、お弁当。」
「そういうノリはいいって。ありがたく貰うが。」
「ハイお二人のも。」
「サンキュー!」
「ありがとう。ほらウラナ。私達もう学校行くから、ラ・フォリアさん達困らせないようちゃんと留守番…。」
「……アタシも行くもん。」
「え?」
「アタシも行くーッ!!」
「ちょ!、ウラナ!?」
ウラナは体をデータ状に変えてハルナの体へと入っていった。
「ウラナ!ちょっと!!…あぁもう。」
「大方ロン毛にでも会いたいって思ってんじゃね?一応傷心中だし。」
「お前ら、分かってると思うがウラナをあんま甘やかすなよ。
アイツは中身が幼稚なガキだ。そんなのがライダーの力を得て調子に乗らせたら、今度は身バレじゃ済まされねえ。」
「まぁまぁ悠兄さん。その辺のアメとムチは追々としていこうぜ。初っ端から厳しめも却って逆効果になるんじゃね?」
「うっさい。俺には俺のやり方がある。つべこべ言わず、黙ってろ。いいな?」
そう言い残し、悠は一足先に家を出ていった。
「お、灰原か。おはよう。」
「おっはー。昨日はお疲れさん。」
学園に着き自身の教室へ入った悠。未だ眠そうに目元を擦りながら挨拶して来た古城に挨拶を返し、昨夜の浅葱の件に対する感謝の言葉もついでに送った。
「気にするなよ。色々あったけど、お前等の苦労に比べたらそこまでじゃねぇしな。」
「そう言ってくれると助かるけどね。
でも良かったのかよ、お前の事まで明かして。本当にヤバそうだったら上手く誤魔化してやったのに。」
「…あぁ。お前等だけ、ってのもな。
気にすんな、アイツだったらそう易々と言わないだろうし。」
「おはよー灰原、そして第四真祖さん。」
「…そう易々?」
「ちょッ、浅葱お前なぁ…!」
話していた二人の間に入ってきた浅葱、昨夜雪菜の失言によって言い逃れできぬと判断した古城が止む無しに自身が第四真祖だと明かしたのだ。
最初は戸惑いを見せていたが吸血鬼特有の証拠、悠が携帯で見せたアダルトサイトで古城の吸血衝動を起こさし吸血鬼であると実証させた。その後古城と雪菜による異論が出たが、論より証拠に勝るものは無いという悠の持論に無理矢理話を終わらせられたのだった。
「なんて冗談。おはよう古城。」
「お、おう。おはよう…ってそうじゃなくて、お前言っていい冗談ってのもがあってなぁ…。」
「分かってるわよ。ただイジワルしてやっただけ。」
「はぁ?なんでまたそんな事されなきゃ…。」
「暁くん暁くん。女ってヤツはね、野郎じゃ計り知れない複雑な心情で生きてる生き物なんだよ。オレはこの世界に来てそれを学んだ。」
「お、おう?」
「ま、そういう事よ。」
「だからどういう事だよ…。」
「あ、そういやさ灰原。昨日のあの子…ウラナちゃんだっけ?まだちゃんとお礼言ってなかったから今日アンタの家行ってイイ?」
「ウラナに?それなら家に寄らなくても、アイツなら今…「やぁ悠。おはよう。」…?」
突然背後から柔らかな感触と首に回された手によって言葉が遮られる。悠の後ろから抱き着いて来たゼノヴィアの突然の大胆な行動に古城と浅葱は目が見開くも、悠は平然とした態度で行動の真意を聞いてくる。
「おはようゼノヴィア。早速だけど、このスキンシップは?」
「なに、今さっき予想外なモノを見てしまってな、私も負けていられないなと思って行動したんだ。」
「見たって、何を?」
「それがな、此処に来る途中ハルナと彩守のクラスを通ったんだ。そしたらハルナが公衆の面前で堂々と彩守に抱き着いていたんだよ!やっぱりあの二人はそういう関係だったんだな!」
(…ご愁傷様。桜井。)
この日、ハルナは羞恥に染まった顔で授業中自身の中に居るウラナに対し延々と説教したそうな。
昼休み。昼食の後悠は何時もの面子とで自販機前でたむろっていた。
そんな中悠は昨日起こった騒動の、新たにチームに加わる事になったバグスターの少女の事を未だ知らないキンジに昔話を語るかのように話していた。
「という訳で、悪者の親玉を逃がしてしまい、お子ちゃまバグスターの教育に勤しむ羽目になりましたとさ。
クソったれ、クソったれ。」
「それ、めでたしめでたしか?」
「アレンジだ。独特の。」
「でもあと一歩ってとこまで追い詰めたんだろ?それはそれで勝てる見込みが見えて来たって事だし、仲間も増えたって事でポジティブによ。」
「悪いけど、そういうのは無しにしてくれ。却って余計惨めになる…ホント悪いけど。
…ハァー。あん時油断してなかったら今頃は…。」
途中から失敗の愚痴吐きになってきていた。これはダメだと思った悠は頭を冷やすのと古城とキンジを気遣い、一足先に戻ろうとした。
「何だ、もう行くのかよ?」
「あぁ。このままだとお前達に八つ当たりしそうだから。」
「そんな気にしなくても…。」
「俺が気にすんだよ。」
何処となく調子が悪そうに見える悠を不安気に見送る二人。離れていく悠の背中にはアベルを取り逃がしたショックか、又はこれから来る難敵に対しての不安か、何にせよ相当重い何か抱え込んでいる様に見えた。
段々と離れていく悠であったが、ふと、足を止めた。
古城達には見えないが、その顔はかなり険しい。相当不快なモノと言わんばかりに眉間に皺を寄せる悠は、周囲一帯の気配を探った。
「……このネチっこく、鳥肌が立つようなイヤ~な視線…間違いない…。
オイ!!陰からコソコソコソコソ、遂にはストーカー行為まで始めたのかぁ!?居るのは分かってるんだよ!!それとも、暫く見ない内に見せられないザマになってる訳!?えぇ!?」
「オイどうした灰原!?いきなり叫んでよ。」
「…まさか、敵!?バグスターか!?それともアベルってヤツか!?」
「いんや、それよりももっと最悪なヤツだ。」
ーパチ、パチ、パチ、パチー
古城とキンジが誰かに向けて叫ぶ悠に対し敵襲かと思ったが、それを否定した悠に続いて何処から手を叩く音、拍手しながら木陰から一人の男が悠達の前に姿を見せた。
白いジャケットを羽織り、以前と比べ黒から茶髪になった男を姿を見ると悠の不機嫌さは更に増してく中、当の男は対照的に人当たりの良い笑みを向けていた。
「へぇ、前回より気付くのが早くなったね。うん、ちゃんと成長してるようで安心したよ。」
「それはどうも。なんならどれだけ成長したか…死んで確かめるか?」
「全く、相変わらず物騒だなぁ。折角の再会なんだから、ちゃんと挨拶くらいしたまえ。
…久しぶりだね、オオカミ少年。」
「俺は、二度と会いたくなかったよ。ホモ野郎。」
「やれやれ。口の悪さも、磨きがかかってしまったようだね…。」
「な、なぁ灰原。誰なんだよアイツ…。」
「へぇ?…友達が出来たんだねオオカミくん。成程、キミが大きく変わった理由が、よく分かったよ。」
「勝手に納得するんじゃねえよ。で?結局何しに此処に来たわけ?」
「決まってるじゃないか…ボクの向かう先に、貴重なお宝あり、だよ。」
「あっそ…相も変わらずセコい泥棒やってんのな。」
「何度も言ってるだろう、トレジャーハンターだって。」
「一緒だ、バーカ。」
「オイ灰原!勝手に二人だけで話し進めてるけど、結局のところアイツは誰なんだよ!?敵なのか!?」
「敵じゃあ無いよ。どちらかと言えば、先輩さ。」
「先輩?…どういう事だ?」
「自己紹介がまだだったね。ボクは…。」
そういって男は懐から取り出したのは一丁の銃。
シアンをベースに銃口が縦に二つ付いた特徴的な銃と、一枚のカードの絵柄を見せながら男は名乗り上げた。
「海東 大樹。通りすがりの仮面ライダーさ…。」
<< KAMEN RIDE── >>
名乗り上げた男、海東は、カードを銃身の横にセットし前にスライドさして銃身が僅かに伸びると、待機音を鳴らしながら自身の上に向ける。
「変身ッ!──。」
<< DIEND! >>
トリガーを引き、空に放たれたのは弾丸では無く10枚のプレート。そして海東の周りに現れた赤、青、緑の幻影が海東と重なり、上にあった10枚のプレートが頭部へ。
頭部と胸部アーマーがバーコードの様なデザインに黒とシアンのボディスーツに身を纏った仮面ライダー。
世界を駆け巡る怪盗・仮面ライダーディエンド
「ッ!?アイツも仮面ライダーだったのかよ!!」
「ていうか、通りすがりって…?」
「細かい事は、気にしないでくれたまえ。」
「もういいかぁ?話し進めて…。変身したって事はその気なんだろ?」
変身したディエンドを前に、悠はマッハドライバーを装着する。
「後輩がどれだけ強くなったか見極めるのも、先輩の務めだからね。」
「あぁいいねぇ。どうせボコすつもりだったすからな…変身ッ。」
<< Signal Bike! RIDER! >>
<< CHASER! >>
「へぇ。新しいライダーの力を手に入れたんだね。なら──ッ!」
悠がチェイサーへと変身すると、ディエンドは高速移動で即座に間合いを詰めディエンドライバーを突き付けたが、それに反応したチェイサーもブレイクガンナーを突き出し、両者互いに銃を突き付けた。
「もう手加減の方はいらないみたいだね。」
「逆に俺がしてやってもいいけど?」
「フフッ──ッ!」
「ッ!」
至近距離で同時に放たれた弾丸を身を捻って回避。それがゴングとなって激しい銃撃戦が繰り広げられる。
ほぼ同時に後方へ跳躍し、着地と同時にチェイサーが二発発砲。ディエンドは横に転がって回避ししゃがんだ体制で連射。
対するチェイサーは走りながらディエンドの銃撃を避けつつ連射。ディエンドはチェイサーの光弾を躱しながら撃つ手を止めず、互いの光弾同士が衝突するか、壁壁や地面に当たってコンクリの破片を飛ばすか、二人の放つ光弾は未だに当たらずにいた。
(埒が明かねえ、だったら…!)
<< ズーット・CHASER! >>
<< BREAK >>
(前に出る!)
「ッ!」
チェイサーは上部スイッチのブーストイグナイターを押して加速し、被弾しながらも瞬時にディエンドの間合いへと潜り込む。ガンモードからブレイクモードへ切り替えたブレイクガンナーをディエンドへ叩き込む。
ディエンドは迫るブレイクガンナーの一撃をドライバー盾に受け止め、受け流し、蹴りを入れるが、チェイサーは空いた手で叩き落とすかのように弾き、接近戦へと持ち込んだ。
ディエンドへ攻めなていく中、チェイサーはふと目に留まった。ディエンドの持つディエンドライバー。以前見たドライバーとは違い、黒いベースからディエンドのシンボルカラーと言えるシアンに染められているのが頭の片隅で気になってしまい、油断を誘う手という名目を付けてフックと共に訪ねてみる事にした。
「よう!どうしたんだよそのドライバー?流行りのデコレーションにしちゃあセンス無いね!」
「あぁ。コレを見せるのも初めてだったね。」
繰り出したフックを上体をスウェーすることで回避したディエンドはチェイサーと距離を取り、腰のカードケースから二枚のライダーカードを取り出した。
「ボクの新しいお宝、とくと見たまえ。」
<< KAMEN RIDE──BEAST! >>
「ッ!ソイツは…。」
<< KAMEN RIDE──BRAVE! >>
「ハッ!」
二枚のライダーカードをドライバーへ装填しトリガーを引くと、光の幻影が実体化し、チェイサーの前に二人のライダーが現れる。
ダイスサーベルを手にする古の魔法使い・仮面ライダービースト。
ガシャコンソードを手にする魔法の騎士・仮面ライダーブレイブ。
ディエンドが選んだ二人のライダーは偶然にも秋と蓮司が変身するライダーであった。
「ッ!アイツ、他の仮面ライダーを呼びやがった!?そんなのアリかよ!?」
「オイ…あの仮面ライダーって、秋と彩守のじゃあねえか!」
「え?…本当だ。まさか野郎、灰原にとって手の出しにくいのを狙って出してきたのか?」
「なんだよそれ、性格悪いにも程があんだろ!」
「なんだか外野が騒がしいな…まぁいい。行け。」
二体のライダーに指示を送るディエンド。ビーストとブレイブはディエンドの指示通り、それぞれの武器を手にチェイサーへと迫っていく。
<< GUN >>
「「え?」」
迫る来る二人のライダーを前に、チェイサーはブレイクガンナーをガンモードにし撃った。何発も、正確に、容赦の無く。
「ハッ…野郎にしては気の利いたイイチョイスだ事で…上等なサンドバックじゃねえかオイ!」
<< BREAK >>
「「えぇ~~ッ!?」」
躊躇う所かイキイキとビーストとブレイブに迫り殴り掛かって行くチェイサー。ビーストとブレイブの振るわれる剣の一撃を弾いてボディに重い一撃を入れてる様を見て、古城とキンジは大事な事を忘れていた。
”そういや、アイツも相当性格悪かった。”
「先輩!」
「ッ!ひ、姫柊!?何でここに!?」
「式神を通じて駆け付けたんです!!あれは、BABELの仮面ライダーですか!?それにどうして先輩方が仲間割れを!?」
「いや、なんつーか、その…。」
「通りすがりの仮面ライダー、だって。」
「はい?」
「おや……これは好都合だ♪」
<< ShiftCar! >>
<< タイヤコウーカン・ハヤーイ! >>
二人のライダーとのインファイトを繰り広げていたチェイサーは、ドライバーのシグナルチェイサーを抜き取り、黒いシフトカー、プロトタイプのシフトスピードを装填し、ブーストイグナイターを連打で押した。
<< トテモ・ハヤーイ! >>
「ッ───!!」
シフトスピードの効果によりスピードが上がったチェイサーは瞬時に二人の間合いに入り、高速のラッシュを何発も叩き込んでいく。
「ウラァッ!!」
渾身の一撃を放ち、ビーストとブレイブを吹き飛ばすチェイサー。
いち早く起き上がったブレイブはソードのBボタンを連打。ビーストもファルコンのリングでファルコンマントを羽織り、空へ跳び上がる。
「ッ!──おっとォ!!」
ブレイブから繰り出した炎の斬撃を転がって躱すチェイサー。躱した先に空中から滑空しながら迫るビーストの一撃を受けてしまい、古城達の元まで吹き飛ばさる。
「チィ!」
「うぉッ!!だ、大丈夫か?」
「ハッ…楽勝!」
<< シンゴウアックス! >>
「ハンター、来いッ!」
起き上がったチェイサーはシンゴウアックスとブレイクガンナーを手にし、古城の懐から出て来たジャスティスハンターが独りでにブレイクガンナーへと装填される。
<< TUNE JUSTICE HUNTER >>
<< ヒッサツ! >>
<< マッテローヨ! >>
「ちょっとコレ持ってろ!」
「え?お、オイ!って重ッ…。」
<< マッテローヨ! >>
「先輩!まだ赤です!」
「分かってるよ!」
<< マッテローヨ! >>
「だから分かってるって!!」
「落ち着けよ暁…にしても自己主張激しい斧だなぁ…。」
「いいなぁ、そんなに盛り上がられて──ッ!」
シンゴウアックスを古城達に一旦預けチェイサーは空を飛ぶビーストに目をやる。
急降下して向かって来るビーストに、ハンターを装填したブレイクガンナーを向けて発砲。突如前方に現れたゲージがビーストに激突し、高圧電流が流れビーストは地面に倒れた。
「まだあのバカが上手く飛べてたぞ…スズメ程度だが──っとぉ!!」
倒れるビーストを見て一蹴するチェイサー、そんなチェイサーにブレイブは死角を突いてソードを突き出したが、紙一重で躱し切る。
「あぁ失礼、野郎と比べてウザくなかったから忘れてた。」
<< イッテイーヨ! >>
「あ!先輩青です!!」
「お!よしこのままオレが!「ご苦労!」ってオイ!!やっぱこういうオチか!!」
「…まともなのオレだけか?」
<< Full Throttle! >>
「オォッ、ラァッ!!」
チェイサーはブレイブ目掛け、シンゴウアックスによる必殺技・アクロスブレイカーを繰り出す。
ブレイブは振り下ろされるアックスの一振りをソードを盾に受け止めようとしたが、重量級に分類される斧の一振りは剣を容易くへし折り、ブレイブは縦一文字に斬られ爆散していった。
「今の…超快感♪」
ブレイブにアクロスブレイカーを叩き込み、ご満悦状態のチェイサー。仮面の下では普段見せない表情を出しているが、声色からかなりご機嫌な様子。
ブレイブに続き起き上がってきたビーストにもトドメを刺すべく、ドライバーに手を掛ける。
<< ヒッサツ! >>
<< Full Throttle! CHASER! >>
「ハッ!──」
空へ高く跳び上がったチェイサー。足を突き出す先にはサーベルを手に迎え撃つビースト。
紫のエネルギーに身を包むチェイサーの一撃はビーストの胸部に直撃。後ろへ吹き飛んでいくビーストは壁に激突すると、限界を超えて姿を消してった。
「ハハッ、やるねぇオオカミくん。アレでもキミと相性の悪いのを選んだつもりなんだけど。」
「逆にやる気が上がってね。お陰様で。」
「へぇ、なら今度は…。」
ディエンドが次の手をチェイサー相手に繰り出そうとしたその時だった。二人の上から乱入する形で振り落ちて来る集団が…。
『『『イィーーーッ!!』』』
「「ッ!!」」
突如として現れた黒タイツに身を包んだ謎の集団がチェイサーとディエンドへ襲い掛かる。
チェイサーは集団の格好を見て仮面の下で目を見開かせていた。黒タイツに書かれた骨のデザインと腰に巻かれた鷹の意匠が彫られたバックルのベルト。もはや見間違える要素など何処にもなかった。
「コイツ等、ショッカー戦闘員!?どうして…オイ海東!!まさかお前ショッカー連れ込んで来たんじゃねえだろうな!?」
「まさか!──フッ!──そもそもショッカーなんて組織、どこの世界に行っても過去の遺物とかしてるよ!──ハッ!」
「ならコイツ等は…ウラッ!」
チェイサーはショッカー戦闘員の一人にパンチを繰り出すと、拳が当たった個所から”MISS”という文字が現れ、吹き飛んでいくもダメージを受けてないのかすぐに立ち上がった。
「やっぱりバグスター、ディケイドのガシャットか!!」
「バグスター?確かそれはエグゼイドの世界の……成程、大体理解したよ──ハッ!」
戦闘員と応戦しながらチェイサーから聞いたワードで大体の状況を理解したディエンドは、カードケースから一枚のカードを取り出しドライバーへと読み込ませた。
<< ATTACK RIDE──INVISIBLE >>
「あ!オイ海東テメェ!!」
「この世界の問題はキミに任せるとするよ、オオカミくん♪」
ディエンドは姿を透明にしてこの場から離脱。残されたチェイサーはダメージが入らないショッカー戦闘員を相手に取り残される。
「ったくよォ!!あのホモ野郎が…!最初から期待なんざしてなかったけど!!」
<< BANG BANG SHOOTING >>
「トォ!」
チェイサーは立っている場から限界まで真上に跳躍。空中に居る間にマッハドライバーからゲーマドライバーへ取り換えると素早く変身し直した。
「第弐戦術──変身ッ!」
<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>
<< ──BANG BANG SHOOTING! >>
<< ガシャコンマグナム! >>
「ハッ!!」
チェイサーからスナイプへと変わりショッカー戦闘員へマグナムを撃ちまくる。
ショッカー戦闘員達がスナイプ一人を取り囲んで向かう中、離れに居たショッカー戦闘員の何人かが古城達に目を付けジリジリと迫っていく。
「ッ!コイツ等…!」
「先輩方下がって!ここは私が…!」
キンジが懐からベレッタを抜いて構えるなか、雪菜は二人の前に出て背中に背負ったギターケースから自身の武器を取り出し構える…が。
「…ひ、姫柊?…それ、何のギャグだ?」
「?…ッ!?え、えぇ!?な、なんで!?雪霞狼が…!」
「…ギター、だな。」
雪菜がケースから取り出したのは自身の相棒ともいえる銀の槍・雪霞狼ではなく、青と白のエレキギター。しかもそこそこイイメーカーの高価なギターをショッカー戦闘員に突き出していた。
「お前、クラスメートのと間違えて持って来たのか?」
「間違えてませんよ!クラス内でケース持ってるの私だけなんですから!!」
「オイお前等喧嘩してないで逃げるかやるかどっちかにしてくれ!!」
後ろで言い争ってる古城と雪菜を庇う様にキンジがショッカー戦闘員へ発砲するが、所詮一時凌ぎ。ほんの少しよろめくだけで徐々に距離を詰められる。
「あぁもう限界!灰原!!助けてくれ!!」
「ッ!──もう手がかかるな!!」
ショッカー戦闘員の輪の中を飛び越えてキンジの前に立つスナイプはマグナムのBボタンを押し連射して一掃。更にホルダーからジェットコンバットガシャットをマグナムへ装填した。
<< ガッシャット!──キメワザ! >>
<< JET CRITICAL FINISH! >>
「消えろ雑魚共──ッ!」
空に向けてトリガーを引くと、無数のミサイルが放たれショッカー戦闘員達を炎に包み込んでいく。やがて全てを倒し切ると、周囲の安全を確認して変身を解除した。
「ディケイドのバグスター…まさかショッカーが来るとは…。」
「灰原!」
「あぁお前等、無事みたいだな…てか姫柊のそれ…。」
「そうなんですよ。どうやら中身がすり替わっていたようで…。」
「……あぁ。」
「…先輩?何か心当たりあるような顔ですね?」
「心当たりと言うか…十中八九海東の仕業だ。」
「海東ってさっきの仮面ライダー?なんで姫柊の雪霞狼なんかを…。」
「泥棒だから。」
「「「は…?」」」
「海東 大樹。仮面ライダーディエンドは、世界をあちこち回っては貴重なお宝とやらを頂くんだと。」
「てことは、海東ってヤツは雪霞狼をお宝と見たから…盗んだ?」
「そういう事。」
「そんな!灰原先輩!直ぐその人の所に行って、雪霞狼を返してくれるよう言ってきてくださいよ!!」
「えぇ、なんで俺が…?」
「だって先輩その人とお知り合いなんでしょう?私が頼むよりも、先輩が行った方が…!」
「はぁ!?俺が!?野郎と知り合い!?ハッ、冗談じゃない!ジョークにしても程があるよ!!」
「そこまで?…そういや大分因縁めいた風に見えたけど…何があったんだよ?その…海東ってヤツと。」
「ハァ…野郎とは、あちこちの世界で会った。
お宝とやらを盗むために仕事中の俺を何度もダシに利用しやがったんだよ!おまけに先輩だなんだ上から目線で見下しやがって…!
あぁ腹が立つ!!誰が先輩だあのホモ野郎が!!テメェなんざを先輩をして見る位ならまだ音也か矢車の野郎がマシだっつうんだよ!クソったれがぁ!!」
「落ち着け灰原!!木なんか蹴ったってどうにもならねえだろ!!」
「…姫柊。槍の事は、本気で諦めた方がいいかもしれねえ…。」
「そんなぁ…。」
過去の海東に対する恨みを傍に立っていた木に当たる悠を羽織い締めるキンジを見て、古城は雪菜に諦めるよう告げた。
そんな彼等のやり取りを屋上から眺めていた男が一人。首に下げたトイカメラのレンズに収めシャッターを切る音が鳴る。
「アイツがこの世界の仮面ライダーの一人か…青臭いガキだな。
にしても海東のヤツもこの世界に来てるとはな…まぁいい。まずはどの程度のモノか、試させて貰うか…。」
『…貴様の言葉を信じてもいいのだな?』
「勿論♪キミがお望みのターゲットは此処に写ってる彼等で間違いないよ♪」
とある部屋の一室でアベルは謎の人物に情報を流していた。
彼等にとって有益な、自分にとって思考の見世物を見る為の。
『…フン。まぁいい。貴様が何を企んでるかは知らんが、コイツ等は我等の野望にとって唯一の障害となる。たとえ、偽物の仮面ライダーであろうと!』
謎の人物はアベルから受け取った写真、三人の少年と一人の少女力強く握りしめる。
『例え死しても必ずややり遂げてみせる。我等ショッカーが抱きし永年の野望をな!!』
その頃の悠は、バグスターが出現した為に午後の授業をサボりローズアタッカーに跨って走らせていた。
ディケイドのバグスターが出現した事は既に他の面子にも伝え、秋達も街に出てショッカーの捜索を行っている中、悠は学園から出る際に雪菜に海東から雪霞狼を取り戻すよう散々言われたが、”野郎ならとっくにこの世界からトンずらしてる頃”と言った際膝から崩れ落ちた姿が未だ脳裏に浮かぶが、悠自身海東に関わって良い事など一つも無かった為に出来るなら関わりたくない。むしろ会って一秒で殺したい。
雪菜にとっては気の毒だが、海東に奪われた雪霞狼よりバグスターを優先させて貰う。それになんやかんやであの二人が海東を追っかける画が何故か予想できる。
(とにかく今はショッカーの行方と、感染者を見付けて……ッ!!)
前方に立ち止まる人影の見て悠は慌ててブレーキを掛ける。
顔を上げて文句の一つを怒鳴ってやろうと立ち止まる人物を見た。
「ッ!……アンタは…。」
「…よぉ。」
ヘルメットを脱ぎローズアタッカーから降りる。
「お前だろ、あちこちの世界でライダーの力を使ってるっつう…殺し屋、ってのは。」
「アンタの耳にも届いていたとは光栄だこって…何しにこの世界に来た?…門矢 士。」
「知ってるなら分かり切ってるだろ?…通りがかっただけだ。」
「あぁそう。なら直ぐに通り過ぎた方が良いよ。
これと言った観光スポットは無いし、なにより…海東が来てるし。」
「あぁ、この世界については大体分かってる。でも通りすがる前に一つ──ッ!」
「な…!」
突如として現れた灰色のオーロラが士と悠を包み、とっさに目を伏せた悠が次に見た光景が、先程まで立っていた街中では無く、崖に囲まれた山岳地に立っていた。
「お前もディケイドの力を持ってるんだってな?どれだけのモノか一つ、試させてくれよ。」
一方的に話を進める士が取り出したのはマゼンダ一色に染められたディケイドライバー。士はドライバーを装着すると、ライドブッカーから一枚のカードを取り出し見せつける様に指で叩いた。
「──変身ッ!」
<< KAMEN RIDE──DECADE! >>
現れたバーコードと19の幻影が一つに重なり、その全貌が明らかとする。
世界の破壊者・仮面ライダーディケイド
「さぁ、掛かって来い。」
「生憎だけど、アンタと遊んでるヒマは無い!」
手招きしているディケイドに対し、悠が取り出したのはディケイドライバー…では無く、戦極ドライバー。
<< フィフティーン! >>
「ほぉ?」
「変身ッ!──」
<< LOCK・ON! >>
悠は後の事を考え制限のあるディケイドでは無くフィフティーンになってディケイドと相対する。悠の記憶上では、フィフティーンはディケイドを相手に白星を掴んでいる。
「出し惜しみする気か…舐められたもんだ!」
「遊んでる暇は無いって言ったろ!」
ディケイドはソードモードのライドブッカーを、フィフティーンは黄泉丸を手に駆ける。
ライドブッカーと黄泉丸がぶつかり合い、両者の間に火花が散る。
フィフティーンの裏拳をディケイドは空いた手で叩き落とし、時計回りに回ってライドブッカーを振るう。フィフティーンはライドブッカーを黄泉丸で受け止め、ライドブッカーを弾き、前蹴りを繰り出しディケイドを下がらせる。
距離を空けたフィフティーンが取り出したのは平成十五ライダーロックシード。戦いを長引かせない為に、速攻で勝負を決めに掛かる。
<< 鎧武! >>
「なんだ、もうソイツを使うのか。」
「あぁ、時間掛けて楽しむのは美人とのひと時って決めてるんでね。」
<< LOCK・ON! >>
<< 鎧武アームズ!フルーツ鎧武者・オンパレード! >>
フィフティーンは無骨な姿からオレンジの鎧、鎧武アームズへと身を包み黄泉丸と大橙丸を手にする。
鎧武アームズへと変わったフィフティーンを見て、ディケイドは刃を収納したライドブッカーを開き一枚のカードを取り出してドライバーのバックルを展開した。
「フィフティーンだがなんだが知らんが…。」
<< KAMEN RIDE──DRIVE! >>
「何ッ!?」
<< ──typeSPEED! >>
ディケイドは赤いボディにタイヤを肩にたすき掛けした仮面ライダー、ドライブへと変身し、ハンドルにブレードが着けられた独特なデザインのドライブの武装・ハンドル剣を手にした。
「数が多いのは──過去の事だ。」
「ッ──!」
「──ハァァァッ!!」
アナザーキバがまんまファンガイアのデザイン。
明日は長期休みで考えた番外編を出す予定。嘘予告ですけど…。