その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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今回は主人公の腹黒さが現れます。


策士

悠は手紙の内容通り町はずれの廃工場へ訪れていた。

辺りを見回すと人影は見えないが感じる気配で何処に居るかはっきりと把握していた。

 

「ちゃんと一人で来てやったぞ、いい加減隠れてないで出てこい。」

 

悠に言われて柱の陰から一人の学生服の男が姿を出す。

 

「・・ちゃんと持ってきただろうな?」

 

男の言葉に悠はゲネシスドライバーとチェリーエナジーロックシードを見せる。

 

「よし、それをこっちに投げ渡せ。」

 

悠は言うとおりに二つを男のもとへ投げ渡した、男はベルトを腰に着けて本物であるかどうか確認する。

 

「・・・ありきたりな質問だが、なぜこんな回りくどい事を?」

 

「それは、お前なら分かってるんじゃないか?転生者であるお前なら。」

 

男は自信を転生者であることを打ち明け、自身について語り出す。

 

「俺は最初違う世界へ転生できるって聞いたときは喜んだよ。生まれ変わって自分のやりたい事好きなだけやれるって。・・・だけど、もらった特典が五感の強化ってなんだよ!

周りはFateやらワンピースとか強い特典貰ってるっていうのに五感強化してどう生き残れってんだよ!・・・そんな時だよお前の噂を聞いたのは、強い転生者を簡単に殺してる奴がいるって。実際に見て驚愕したよ、皆お前の前じゃあ強い特典使っても簡単にやられちまう様を見てさ。」

 

「だからこんなやり方で、俺のベルトを奪おうと?」

 

「あぁ、真っ向から行っても返り討ちに遭うのが目に見えてるからなその為にあの子を利用させてもらったよ。・・・これで俺は誰にも怯える事無く最強になれる。」

 

「・・・お前が俺のベルト使ったって、それがお前自身の本当の力になったとは言えねえよ。」

 

「うるさい!お前に何が分かる!・・ふふ、取りあえずまずはお前を倒してやる。おっと言っておくけど抵抗しようと考えるなよ。こっちには人質が居るんだからな、そしてその後はお前の持ってる残りのベルトはすべて俺が有効活用してやるよ。」

 

「人質ねえ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなの居たっけか?」

 

悠の言った言葉に転生者は声を上げて悠に叫ぶ。

 

「ふざけた事を言うな!見たんたぞ!今日の帰りあの子と名前で呼び合って話してたのを!少なくともあの子が一番お前と仲がいい筈の女だろ!」

 

「・・・・なあ、お前の言う人質って後ろに居るそいつの事言ってるのか?」

 

「なっ!」

 

転生者は後ろを振り返ると、そこには縛って隠したはずの凪沙が立っていたのだ。

凪沙は笑った後、転生者の頭を踏み台にして大きく跳びあがり悠の元へ着地していった。

 

「ご苦労。」

 

「いやいや、結構楽しかったよコレ?」

 

「ど、どういうことだ?!なんで縛って動けなくした筈のお前がココに?!」

 

「知りたい~?それはねぇ。・・ほっ!」

 

凪沙は来ていた服を脱ぎ捨てるとそこに居たのは凪沙ではなく別人だった。

 

「じゃ~ん!、夜戦の事ならアタシにお任せ!艦隊の忍者川内!ただいま参上!」

 

「・・・・・とまぁ、お前が誘拐したのは全くの別人って訳。」

 

「ちょっと!折角の名乗り無視しないでよ!」

 

「そ、それじゃあ本物は・・・。」

 

「今頃、何の問題無く家に帰ってるよ。」

 

「アタシの妹は良く出来た子達だからねぇ~。」

 

 

_______________________________

 

 

「あはははは!那珂ちゃんっておもしろいね~。」

 

「凪沙ちゃんこそ!ねえねえ!将来那珂ちゃんとユニット組んでアイドル目指さない?」

 

「凪沙の奴、また賑やかのと仲良くなったなあ。」

 

「すみません。妹がお騒がせして。」

 

______________________________________

 

「な、なっ・・・。」

 

「さてこれでお前の切り札は無くなったと。・・・川内、あとは俺がやる。お前は下がってろ。」

 

「え~、もう終わり?!・・・まあいいや、今度夜戦付き合ってね。」

 

川内が消え、悠と転生者の二人となり、転生者は人質が居なくなったことで優位な状況から一転してしまったが腰に巻かれてるベルトを見て悠に敵意を見せる。

 

「まだだ、・・まだだ!俺にはまだこれがある!・・・・確かこうするんだったよなあ?変身!」

 

<<チェリーエナジー!>>

 

<<LOCK ON>>

 

<<SODA!>>

 

<<チェリーエナジーアームズ!>>

 

転生者はシグルドに変身し、ベルトから伝わる力に酔いしれていた。

 

「あぁすごい!これが俺の力、何でも思うがままにする最強の力!」

 

「完璧に力に溺れるタイプの奴だな。俺が消してきた奴らは大抵そういう奴らが殆どだったぜ。」

 

悠はL字型の赤いベルト[ロストドライバー]を装着し、USBメモリのアイテム[ガイアメモリ]のガイアウィスパーを鳴らす。

 

<<ETERNAL>>

 

メモリをドライバーのスロットルに入れ右手を顔の前に構える。

 

「変身。」

 

<<ETERNAL>>

 

スロットルを倒し、悠の周りに風と青い炎が包みその姿を変える。

∞の黄色い複眼に三つの角、腕とアンクレットに青い炎の刻印、全身白のボディと25のマキシマムスロットを包む黒いマント[エターナルローブ]

 

 

地獄を創り出す白い悪魔[仮面ライダーエターナル]

 

 

「手始めにコイツだ。」

 

<<JOKER>>

 

エターナルは取り出したメモリを、ベルトのマキシマムスロットに入れる。

 

<<JOKER MAXIMUMDRIVE!>>

 

エターナルの周りに紫のオーラが纏いそのままシグルドへ向かって行く。

シグルドはソニックアローで撃ってくるが、エターナルの纏うエターナルローブの効果ですべて無効になりそのままエターナルのパンチを受けることになった。

ジョーカーメモリで身体能力を強化されたパンチはシグルドに大きなダメージを与え、大きく後ろに吹っ飛ばされた。

 

「ぐぅう!」

 

「ふん、来い。」

 

吹き飛ばされたシグルドをコンバットナイフの[エターナルエッジ]を弄びながら挑発する。

ソニックアローで斬りかかってくるシグルドにエターナルエッジでソニックアローを捌きながら巧みなナイフ捌きと体術によりシグルドを大きく圧倒する。

 

「くそォ!」

 

「ダメ押しだ。」

 

<<ROCKET>>

 

<<ROCKET MAXIMUMDRIVE!>>

 

エターナルの周りに無数のミサイルが現れ、シグルド目掛けて発射された。

 

「ぐああああ!」

 

「ほう、さすが俺の作ったドライバーだ、これだけ受けてまだ変身解除されないか・・だがそろそろ終わりにさせる。」

 

身に纏ってたエターナルローブを脱ぎ捨て、4本のメモリをマキシマムスロットに入れる。

 

<<ACCEL MAXIMUMDRIVE!>>

 

<<JOKER MAXIMUMDRIVE!>>

 

<<SKULL MAXIMUMDRIVE!>>

 

<<VIOLENCE MAXIMUMDRIVE!>>

 

強化系メモリ4本の力で限界にまで身体能力を上げていき、右足にパワーを集中させる。

 

「ライダーキック!」

 

シグルドに目掛けて跳び上がり、強化ライダーキックをシグルドに直撃させる。

 

「はあっ!」

 

「ぐあああああああ!」

 

もろに喰らったシグルドは変身が解け、転生者の姿に戻る。

エターナルを変身を解き、転生者の元へ歩み寄っていく。

 

「なんでだ、なんで同じ力を使ってるのに俺が。」

 

「お前まだ気づかないの?」

 

近寄ってくる悠に警戒し、再度変身しようと転生者はロックシードを構えるが。

 

「キルプロセス。」

 

悠が取り出したリモコンの操作でベルトは火花を放ち爆散していった。

ベルトの残骸を見て転生者は訳が分からないと言った顔になる。

 

「気付かないかな、何で人質はこっちが用意した偽物なのに俺がお前の要求に素直に乗ったか、・・最初からこの為だったんだよ。

強敵と戦った時の戦闘データ、それを収集するために態々データ収集用のスペアドライバーを用意したんだよ。まっ、データは家のラボに自動的に転送される以外オリジナルと性能は全く変わりないんだけどね。

正直ぶっちゃけると、最初からバレバレなんだよお前、あの晩シグルドになって戦った時も、学校から出る所も、凪沙ちゃん人質にしようとした所もな、・・だから店に居た時アイツ等に連絡して身代わりになるように頼んだわけ。」

 

淡々と述べる悠に対して転生者は自分の行動が筒抜けだった事に何も言えず、ただ聞くことしか出来なかった。

 

「さて、殆どが俺の目的の為に色々利用したわけだが、お前は何の関係もない彼女を利用しようと企んだ。本当なら今までと同じように消してるとこだが生憎お前の削除は仕事に入ってない。だから・・。」

 

悠は二本のメモリを取り出し、怯える転生者に見せつける様にガイアウィスパーを鳴らす。

 

<<NIGHTMARE>>

 

<<TELLER>>

 

「お前に恐怖と悪夢の地獄をプレゼントしてやる。・・さあ、じっくり楽しみなぁ。」

 

「う、うああああああああああ!」

 

 

 

_______________________________

 

 

 

「ふう。」

 

悠は帰路に着く際、今回の事を思い返す。

自分の正体は普段隠してるが今回の様にばれてしまった際周りの人間が巻き込まれてしまう事に。

今回はたまたま単独犯で向こうの狙いが分かってたから何とかなったがもし自分を上回る相手なら?そいつが自分の調子を狂わすために見境なく襲うとしたら?

 

「・・・少し、関わりすぎたかな。」

 

明日から、凪沙も含め今まで話した奴らの関係を見直そうと思った夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回の事件を思って周りの関係を遠ざける決意をする主人公。
次回、まさかのあの男が。

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