その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「前回のあらすじ!
俺とクソ剣バカがガチの殺し合いをしてる最中、アベルがよっちゃんを発症させバグスターを誕生させた。
しかもよっちゃんは二体のバグスター、ユートピアドーパント、ロードバロンに感染しておりどちらも倒すのに困難な強敵。
秋はアホ上司と俺は剣バカと共にそれぞれバグスターを討伐しに向かうのだった。」

「ブェァアアッハッハッハ!!神の才能を見せる時が来たあああああ!!フォオオオオーーーッ!!」

「悠兄さ~ん!!ちょっとコレ手に負えないんだけど!!」

「オレの剣は負けない、オレの剣は負けない、オレの剣は負けない、オレの…。」ブツブツ

「うっわ見事にバラバラ。先行き超不安。一体どうなる最新話!?」







「蓮司君の居た世界はね、君の知ってる世界とは少し違うんだ。

国によってそれぞれの文化と歴史を重んじて暮らす、来ている服も、建物も、食も。現代科学が復旧してる時代でも、彼の居た世界では着物で外を出歩き、街並みは古風な木屋の建物が並んでいるんだよ。」

 

「それって……まさか銀〇の世界!?」

 

「うん。違うよ。流石に宇宙人は来ていない。まぁ似たようなものではあるけどね。」

 

神太郎は苦笑いで喰い付いて来たハルナの興奮を抑えると、話を続ける。彩守 蓮司という男の隠された真実を。

 

「そんな世界で彼は生まれた……ただし、武士家系、彩守家当主の隠し子としてね。」

 

「え?…隠し子!?彩守君が!?」

 

「蓮司君のお母さんの事は聞いたかな?」

 

「えぇ。日本舞踊はお母さんから習ったって。」

 

「お母さんは芸者のシングルマザーでね。お母さんが死んで蓮司君の存在が彩守家に知られる前までは彼女が一人で蓮司君を育てていたんだよ。」

 

「死んだ…病気か何かですか?」

 

「……殺されたのさ。」

 

「え…。」

 

「蓮司君のお母さんにしつこく言い寄ってたタチの悪い客が居てね。誘っても誘っても何の成果が見られないことに逆上して刺されて死んでしまったんだ……最悪な事に、息子が見てる目の前でね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ココですか。いやはや、コレは見事な…。』

 

与一から発症し実体化したバグスター、ユートピアドーパントは前方にある巨大なビル、九鬼本社ビルを見上げながらそのスケールの大きさに関心の声を漏らしていた。

 

『これだけの大きなビルが一夜にして崩れたら相当のモノでしょうねぇ…では。』

 

ユートピアはアベルの言う通りに好きに行動しているが、バグスターの本能とでもいうのか与一にとってストレスを大いに与える破壊活動を行おうと九鬼本社に悠然とした歩みでゆっくりと近づいて行く。

 

そんなユートピアの足を止めるが如く放たれたビーム光弾がユートピアの足下で弾けた。

 

『ム?これは…。』

 

 

「さっすが悠兄さん。現れる場所の予感、見事的中♪」

 

「感染者が知っている人間だったからある程度は予想できてたんだろうね。」

 

行く手を遮るようにユートピアの前に現れた秋とビームガンモードのバグバイザーを手にした神太郎がユートピアと対峙する。

 

秋と神太郎に装着されるゲーマドライバーとバグルドライバーを目にしたユートピアは小さく溜息を吐いた。

 

『また仮面ライダーですか…死んでも尚つくづく縁があるとは……非常に、不愉快です。』

 

「そりゃ災難で。ならとっとと向こうに送り返してやるぜ。速達でな。」

 

『それはどうでしょうか?キミ達には些か不可能だと思いますが。』

 

「…フフ…フハハハハハッ!!!」

 

「あ…。」

 

『…何が可笑しい。』

 

「不可能?フハハハハハッッ!!!それこそあり得なぁいッ!!何故なら神の才能を持つ私の前に不可能など在るわけが無いのだぁぁぁあああッ!!!ダァアァッッッハッハッハッ!!」

 

<< DANGEROUS ZOMBIE >>

 

<< ガッシャット! >>

 

『……。』

 

「あー、また変なスイッチ入ったよ…悠兄さ~ん、オレやっぱアンタと一緒が良かったよぉ…。」

 

先が思いやられる秋は、神太郎から貰ったガシャット、更なる力を有した爆走バイクを取り出した。

 

<< BAKUSOU BIKE >>

 

<< ガッシャット! >>

 

「行くぜぇ?零速──ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…来たか。』

 

一方のロードバロンを任された悠と蓮司は高層ビルの屋上に一人佇むロードバロンの元へ訪れた。

 

ロードバロンは何かをする訳でもなく只ジッとこの場で一人立っていたのだ。

 

「来たかって、態々俺達の事待ってたワケ?」

 

『お前達はオレを倒したいそうだからな、下手に動かずともこうして待ってれば勝手に来ると踏んでいた。』

 

「そう……正直な所、俺アンタの事そこまで嫌いじゃあないんだよね。」

 

『ほぉ。ならどうする、オレをこのまま見逃す気か?』

 

「まさか。個人的意見はどうあれアンタを倒さなくちゃ人命に関わるんでね。本気でいかせて貰うぜ。」

 

『いいだろう!そこまで言うのならその力見せてみろ!!』

 

ロードバロンはグロンバリャムを手にし悠達と対峙すると、悠と蓮司はゲーマドライバーを装着しデュアルβを取り出した。

 

その際に悠は隣に立つ蓮司の様子を窺う。蓮司の表情にラボに居た時よりも険しい目でロードバロンを睨んでいた。

 

「オイ。無駄に力入り過ぎてんぞ。」

 

「黙れ。貴様の指図など聞き入れる気は無い。」

 

「…チッ、どうなっても知らねえからな。」

 

<< BANG BANG SIMULATION >>

 

 

「今度は遅れを取らん!」

 

<< TADDLE FANTASY >>

 

 

<<<< デュアルガッシャット! >>>>

 

 

「第伍拾戦術──ッ!」

 

「段位五十段──ッ!」

 

 

 

 

「「「「──変身ッ!!」」」」

 

 

<< ガッチャーン──DUAL UP! >>

 

<< ガッチャーン──LEVEL UP! >>

 

<< BUGGLE UP! >>

 

 

<<──BANG BANG SIMULATION! 発進! >>

 

<<──TADDLE FANTASY! >>

 

<<──BAKUSOU BIKE! >>

 

<< ───DANGEROUS ZOMBIE! >>

 

 

悠と蓮司はデュアルβでスナイプレベル50とブレイブレベル50に、神太郎はデンジャラスゾンビガシャットでゲンムレベルXへ。

 

そして秋は神太郎から渡された爆走バイクガシャットでレーザーへと変身するが、その体系はレベル1の様にずんぐりとした体躯でも無くバイク形態でもなかった。

 

他のライダーの様にスマートな体系で背中にはレベル1の頭部を背負ったハイスペックを有するレーザーの新たな姿。

 

仮面ライダーレーザーターボ レベル0

 

「オォ~!!メッチャスリムになった!!いいじゃんいいじゃん!最高じゃん!!」

 

「ダァーッハッハ!!驚くのは姿だけでは無いぞォ!!その力は…戦ってみれば分かる!!」

 

「なーるほど、だったら派手な試し運転と行きますかぁ!マッハでぶっ飛ばすぜ!!」

 

「見るがいい!!神の才能による天才的な戦術をォォォォオオオッ!!トゥゥワァアッ!!」

 

『やかましい連中ですね…ッ!!』

 

 

 

 

 

「行くぜ先輩…削除、開始。」

 

「オレの剣に、迷いは無い……いざ、参る!!」

 

『来い!何が来ようと全て押し退けるまでだ!!』

 

 

 

<< STAGE SELECT! >>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──お母さんが死んで少し経った後に蓮司君の出生の秘密が明らかになったんだ。

彩守家は事の不祥事が世間に大きく広まらないよう当主を追放した後、切腹させたんだって。」

 

「せ、切腹って…。」

 

「いやはやこれが蓮司君の居た世界じゃ冗談抜きであるんだよ。特に武家や貴族の家系とかは。

んで、彩守家は最初蓮司君も在る事無い事でっち上げて消そうと考えてたんだけど、その考えに待ったをかけた人がいたんだ。

それが蓮司君のお爺さんこと先代当主の彩守 椿。」

 

「お爺さんって事は、その人が彩守君の師匠…。」

 

「そ。この人がまた人として出来た人でねぇ。

息子の不祥事はどうしようもない事実だが、生まれてきた子に罪も責任も無い。って、ただ一人蓮司君を弁護してね。重鎮達も先代とは言え当主だった椿氏に何も言えず、椿氏の勧めで蓮司君は彩守家に養子に引き取られたんだよ。」

 

「養子、ですか……そういう展開って大抵家の人から煙たがられるパターンですけど…。」

 

「お察しの通りさ。此処とは到底違う理念と見解。隠し子の蓮司君は彩守君の人間に厄介者扱い。

まだ10歳にもなっていない子供の彼にとって最悪な居心地だったが、唯一安らげる場所があった。椿氏がお家とは関係無しに開いていた剣術道場さ。」

 

「………。」

 

「椿氏が当主の座を降りた後に開いた道場でね。お金を貰わずに近所の子供に剣を教えていたんだ。剣に憧れを持っていてもお金が無く貧しい子供たちに。」

 

「…凄い人ですね。」

 

「あぁ。蓮司君にとってなによりたった一人の肉親だった。それが彼にとって救いだったんだよ…あの日までは。彼が此方側の世界へ関わる事となった悲劇までは……。」

 

 

 

 

 

 

 

場所は巨大なスタジアムの中。外から遮断された室内の中では、トチ狂ったような笑い声がイヤという程響き渡っていた。

 

「ブアァァァァァッッハッハッハッハァッ!!無駄無駄無駄ァ!!」

 

『クッ…!!何なんですかコイツは…!?』

 

無茶苦茶な動きで攻撃を繰り出していく不死身のゾンビとなっているゲンムの前に、ユートピアは悪態を吐く。

 

ユートピアドーパントの能力は、対象の生きる希望という精神エネルギーを吸収し自らの力として取り込むこと。触れられたら忽ち吸収されて物同然の如く動かなくなるのに先程から触れているゲンムは全く弱まる所か、むしろ奇行が目立っていっている。

それに加え先程からゲンムに触れるたびに触れた個所が腐蝕するという厄介極まりない能力にゲンムの攻撃を回避するのに精一杯の状況であった。

 

『どういう事です!?何故アナタの希望が吸い取れない!?』

 

「ヌァッッハッハッハッハ!!!決まってるだろう!?今の私はライフがゼロのゾンビィ!!死んでいるヤツから生きる希望などが吸い取れるわけ無いだろォ!?」

 

『ッ!! ここでもゾンビですか…やれ、本当に不愉快な気分です…ッ!!』

 

「うおォッ!?」

 

ユートピアはもう一つの能力、念動力を操る能力でゲンムを手で触れずに後方へと吹き飛ばす。

 

直接手で触れず重力や念動力でゲンムを始末する方針で手に持つ杖を振るおうとしたが、突如ユートピアの手から杖が弾かれたように手から離れた。

 

『ッ!!』

 

「オラ!オレの事忘れてんじゃねーよ!!」

 

目にも止まらぬ超スピードで間合いに入ってきたレーザーターボの蹴りがユートピアの杖を弾くと、そこから怒涛のラッシュがユートピアのボディへと叩き込まれる。

 

「ウララララァッ!!──ドリャァッ!!」

 

『ッ!──これしき……ッ!?こ、これは、一体…!?』

 

怒涛のラッシュの後に繰り出された回し蹴りを受け地面を転がるユートピア。立ち上がったその時体に襲う倦怠感に近い感覚に驚きを隠せない。まるで自身の能力をそっくりそのまま味わってるかのように。

 

『まさか、私の力を…?』

 

「そ、レベル0のウイルス抑制の力。アンタの場合吸い取られるってより、段々下がっていくらしいぜ?」

 

『またなんと厄介な……先にアナタを始末した方が良さそうですね!──ッ!!何ッ!?』

 

レーザーターボの能力を危惧したユートピアはゲンムより先にレーザーターボを始末しようと試みるが突然背後から両肩を掴まれた為に振り返ると、そこにいたのは信じられない事に二体のゲンムがユートピアを抑える形で拘束しており、更にその背後ではドス黒い瘴気を体から放っているゲンムが高らかに笑っていた。

 

『こ、これは…ッ!?』

 

「ブェハハハハハッッ!!ゾンビといえば、増殖するのがお決まりというものだろう!?」

 

『グッ!離れ…!!グァァァッ!!』

 

「オウリャ、セイッ!!」

 

振りほどこうとするユートピアだが、二体のゲンムが掴んでいる両肩の腐蝕が肩の装甲を崩し、ユートピアの体にダメージが入っていく。

 

そこへダメ押しと言わんばかりにユートピアに掴んでいくレーザーターボ。腐敗による浸食とレベル0によるレベル低下によってユートピアは崖っぷちの状況へ追いやられていく。

 

「ウラァッ!!」

 

『グァッ!!……馬鹿、な!こんな事が…!!』

 

ある程度弱らしたところでユートピアを蹴り飛ばし、ゲンムの隣に並ぶレーザーターボ。

 

「いよぉし、このまま速攻で倒すぜおやっさん!」

 

「ブヘェァハハハッ!!どーだ神の才能の前に手も足も出ないザマはァ?ダァーハッハッハッハ!!!」

 

「…今ならあのロン毛でもマシに思えて来たなぁ…。」

 

戦況は好調でも相性は不調であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『セエェアァッ!!!』

 

 

「ウオラァッ!!」

 

「ハァッ!!」

 

一方のスナイプとブレイブは、噴水がある公園の広場のような空間でロードバロンを相手に立ち回っていた。

 

ガシャコンソードを巧みに振るうブレイブと強固な装甲によるパワーと防御力でキャノンを撃ちながら殴り掛かるスナイプ。

対するロードバロンはグロンバリャムを振るい二人の猛攻を凌ぎ、迎え撃って、一歩も引けを取らない攻防を繰り広げていた。

 

「んなろォッ!」

 

『ッ!──甘いッ!!ヌァァッ!!』

 

「グォッ!?」

 

砲撃と同時に繰り出したストレートをグロンバリャムで受け止め、強引に弾き返したロードバロン。

弾かれて吹き飛ぶスナイプは間合いが開いた後両腕と両肩の10の砲門を向けるが、丁度射線上にブレイブが入ってしまい、砲撃が放てない。

 

「チッ、オイ剣バカ!!邪魔だ撃てねえ!!」

 

「貴様の指図は受けないと言った筈だ!!ハァッ!!」

 

スナイプの言う事に耳も貸さずに単身でロードバロンに挑むブレイブ。

勇ましく振るわれるソードの剣閃をロードバロンは容易く受け流し、ブレイブの剣戟を完全に見切っていた。

 

『フン、空っぽの剣に焦りしか見えないぞ?強がらずあの男の手を借りたらどうだ?』

 

「ッ!黙れぇ!!」

 

ロードバロンの挑発に乗ってしまったブレイブは力任せにグロンバリャムを弾くと、ソードを勢いよく上段で振り下ろした。

 

渾身の力を込めた一振り、だがその刃はロードバロンの体に触れる事無く剣を持っていない方の手で容易く掴み取られてしまった。

 

『…やはり貴様は弱者だな。』

 

「ッ!!」

 

『だからこうして簡単に砕けるッ!!』

 

ロードバロンは掴んだ手に力をれるとソードの刀身にヒビが入っていき、やがてソードは甲高い音を立てて砕け、欠片がデータとなって霧散した。

 

「そんな…!」

 

『ムゥンッ!!』

 

「ッ!グァァァアアッ!!!」

 

<< ガッシューン! >>

 

武器を失ったブレイブに容赦なくグロンバリャムの刃が襲われる。凄まじい威力を有した一撃により変身を解除されてしまい地面を転がる蓮司。

 

そんな蓮司の前にスナイプが庇いながら十門の砲撃をロードバロンに浴びせ動きを抑える。

 

「貴様…!」

 

「足手まといは引っ込んでろ!!」

 

<< 鋼鉄化! >>

 

エナジーアイテムを取り込んだスナイプが単身ロードバロンへと肉薄していく。

 

単身ロードバロンへ肉薄していくスナイプを蓮司は倒れながら眺めるこの現状に悔しさから腹を立てるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──蓮司君の世界に一人の転生者が降りて来た。

そいつは特典の力に溺れ連続殺人鬼として無関係な人間を殺しに殺した。そいつが偶々目をつけてしまったのが蓮司君が通っていた剣術道場。

お爺さんと一緒に遅れて来た時には血塗れの殺人鬼と通っていた子供達の無残な死体が待ち受けていた。殺人鬼は当然二人も殺そうとして椿氏は蓮司君を逃がす為に立ち向かったが……人知を超えた特典の力の前に、椿氏は倒れてしまったんだ。」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!!お爺さんと他の門下生を殺したのがその転生者なら、灰原くんは彩守君に恨まれる要素が…。」

 

「ここからだよ、彼らの間に生じる問題は。

椿氏を殺した後、転生者は蓮司君も殺そうした所で悠君が助けに入ってね。前からターゲットであった転生者をようやく追い詰めて排除したんだ。」

 

「ならやっぱり灰原くんを恨む要素なんてどこにも…。」

 

「ところがそうでもない。考えて御覧よ?その時の蓮司君は精神が未熟な子供だ。おまけに二度も肉親を目の前で殺されている。お爺さんを殺した恨むべき殺人鬼も目の前で死んでしまった。ならそのどうしようもない怒りや、憎しみといった感情は何処に向くと思う?」

 

「ッ!!」

 

「そう。彼は助けてくれた悠君を非難してしまったんだ。

”どうしてもっと早く来てくれなかった?みんなが死んだのはお前の所為だ!!”とね。

…悠君は蓮司君の言葉を一切否定するどころか、受け入れたんだ。”自分が殺したんだ”と。」

 

「どうして…。」

 

「…蓮司君のの過去を聞いて何処か思わない?何処かの誰かの過去と、似てるって。」

 

「え……あ。」

 

「…きっとあの時の悠君は、蓮司君を昔の自分と重ねて見ちゃったんじゃないかな?でも唯一違うのは蓮司君の恨むべき敵は悠君が消しちゃったから、代わりに自分が憎まれる役になろうとしたんだよ。現に彼はあの殺人鬼を消すのに相当手こずっていたから、もっと早く殺してればこんな悲劇を回避出来たんだって、自分を責めてんだよ。

…大事な人を失った絶望を知ってる彼だからこそ取った行動だと私は思うよ。それが例え歪な形でも。」

 

「そんな…。」

 

「だから彼は蓮司君にあんな態度を取ってるんだよ。許して貰う気も、好かれる気も無い。蓮司君は悠君を恨んで当然だって。」

 

「…彩守君はそれに気付かないんですか?子供の時の気の迷いっていうんなら、今はもう気付いてもいいはずですよね。」

 

「……多分気付いてる、と、思いたいんだけどなぁ。私も流石にそこまで踏み込むべきじゃないと思ってる。

だから今回の戦闘には少し賭けてるのさ。二人の仲違いが改善とはいかなくても軌道修正してくれることに。」

 

「? それって仲良くなるのとどう違うんですか?」

 

「それは後のお楽しみ♪さて、私も秋君を待たせてるからそろそろ行かせて貰うよ。

……ハルナ君。」

 

「はい?」

 

「君が蓮司君、悠君の過去を知ったと言っても、下手に二人の仲をどうこうしろとは思っていないけど、せめて見守ってやる位はしてやってくれ。あの二人、お互いに不器用だから。」

 

神太郎はそれだけ言い残しラボを後にした。一人残されたハルナはあまりにも衝撃的な過去話を聞き精神的に疲れたのもあってデスクに顔を突っ伏した。

 

「…男って、ホント馬鹿なのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヌンッ!!』

 

「グァアッ!!」

 

ロードバロンの繰り出す袈裟懸けからの突きを受けスナイプは後方へと吹き飛ばされる。

 

単騎で奮闘していたがスナイプだったが、やはり接近戦においてはロードバロンの方が上。ならば必殺技を放とうと考えるがヤツなら難無く交わしてしまうだろうと勘繰っていたが、スナイプの傍にあったエナジーアイテムを見て、一発逆転の博打を思いついた。

 

「この状況、やるしかねぇ!!」

 

<< ガッチョーン!──キメワザ!──ガッチャーン! >>

 

『フン。そんな見え見えな攻撃に当たるとでも?』

 

「思ってねえよ……こうでもしない限り!」

 

<< 挑発! >>

 

『ッ!?な、んだ…!?──ウオォォォッ!!!』

 

意思とは関係無しに相手の元へ特攻していく特殊なエナジーアイテム、挑発。

ロードバロンはスナイプへ向けて特攻、両腕のキャノンを合わせてエネルギーを充填しながら向けるも、未だ発射しない。

 

(確実に当たる距離まで……ダメージを与えられるギリギリの間合いまで!!)

 

『ウオォォォッ!!!』

 

間合いが5mを切り、グロンバリャムを振り上げるロードバロン。

 

その隙がスナイプが狙っていたタイミングだった。

 

<< BANGBANG CRITICAL FIRE! >>

 

「この距離ならァッ!!」

 

ほぼゼロ距離で放たれたチャージショットはロードバロンのボディに直撃。

 

だが超至近距離の必殺技を受けているのに関わらずロードバロンは後ろに吹き飛ばされる事無く地に足をつけて踏ん張り、必殺技を受けてなお赤黒いエネルギーを刀身に込めたグロンバリャムをスナイプ目掛け振り下ろした。

 

『セェェァアアァァァーッ!!!』

 

「グァァアアッ!!」

 

<< ガッシューン! >>

 

ロードバロンの技を受けたスナイプは変身が強制解除され悠の姿に戻ってしまう。

 

だがロードバロンもスナイプの必殺技を受けた影響か、グロンバリャムを支えに片膝をついていた。

 

痛み分けで済んだもののロードバロンを倒す貴重なチャンスを逃した悠。懐から戦極ドライバーを取り出して装着した後、蓮司の方へ怒号に近い叫びをあげた。

 

「オイ剣バカ!!いい加減サボってねぇで戦うか逃げるかどっちかにしやがれ!!もしくはそのまま死ね!!」

 

いつもなら反論するか買い文句を言い返す蓮司だが、当の本人は地に膝をついて顔を伏せたままだった。

 

「……オレの剣は、空っぽじゃ無い…!」

 

「あ゛?」

 

「オレは誓ったんだ!彩守の剣で、道を外した外道を斬ると!空っぽな筈が無い…なのに何で通じない……何が足りないと言うんだ…!ヤツに届かせるには、何が必要なんだ…!!」

 

「うるせぇぇえええッ!!」

 

蓮司の態度が気に入らなかったのか悠は蓮司の襟口を掴んで自身の目と無理やり合わせた。

 

「今この状況でんなの考えてる暇があると思ってんのか!!そういう所がダメダメなんだよテメエは!!!」

 

「ッ!!貴様に何が分かるッ!!相手が気に入らないという理由だけで力を振るう貴様に!!……オレは師匠とみんなの墓前の前で誓ったんだ!!お前があの時死なせた人達の前で!!」

 

「………。」

 

「貴様にはあるのか、死んでった者達に!!誓いを!!」

 

「………あるよ。」

 

「なに?」

 

「誓いじゃなくて約束だけどな……愛してた女と最初にした約束。この世界に来るまで忘れちまってたけどな。

そいつが今でも俺を動かしてんだよ!バグスター倒してよっちゃん助ける気満々なんだよ!!」

 

「ッ!」

 

「…お前が剣振るう理由は誓いだけかよ。その誓い立ててからバカの一つ覚えみたいに剣ブンブン振ってたのかよ!?」

 

「何、だと…?」

 

「もっと簡単な理由じゃねえの?お前も俺の様に何時の間にか忘れてるってオチ…大事な人と交わした約束ってヤツ。」

 

「大事な人との、約束…──。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──蓮司よ。お主はどうして剣を持つ道を選んだ?」

 

広大な屋敷の庭の一角で黙々と竹刀を振るう道着を着た少年に白髭を生やした老人が後ろから声をかけた。

 

少年は竹刀を振るう手を止める事無く、背中を向けたまま老人の問いに答える。

 

「強くッ、なるためッ、ですッ!」

 

「ほう?何故じゃ。」

 

「力があればッ、あの時ッ、母を助けられたッ!だからッ、…」

 

「…それではお主の母を殺した男と何も変わりはせぬよ。」

 

「ッ、違うッ!!オレはあんなのになりたくて力が欲しいわけじゃない!!」

 

素振りを中断し老人に向き合って反論する少年に、老人は静かに首を横に振った。

 

「力というのは大きさに伴って責任が着くものなんじゃよ。今のお主は、力を持つに値しない。」

 

「そんな事は…!!」

 

「なら聞くが、力を持ったとしてその力をどう使う?誰に向けて振るい、傷つけるのじゃ?」

 

「ッ…!」

 

「……フム。のう蓮司。お主、十人十色という言葉を知っておるか?」

 

「?…はい。人によって考えや見方が違うという意味ですよね?」

 

「うむ。儂は人はそれぞれ違う。故に十人はそれぞれ違う色を持つ。

昔の彩守家は元々そういう教えの元、剣を学び、力をつけ、人を守護する。今では、そのような考えを持つものは少なくなってきてしまったがな…。」

 

「…彩守の由来は分かりました。でもそれだと結局人を傷つけるのに変わりないじゃないですか!!どんな教えを守ったって、結局は人を斬って傷つけてしまう!!」

 

「おー、賢い子じゃのう。お主の言う通り、詰まる所人を斬るのに変わりない。人を斬り続けたものはいずれ修羅へと陥り、鬼と化してしまう…。」

 

「なら!…。」

 

「だからこそ、鬼にならず、人として剣を振るう為の道標が必要なんじゃよ…蓮司よ。」

 

老人は少年に近づき、肩に手を置いて目線を合わせる。

 

その眼にはただ一心に、少年を思う気持ちで満ちていた。

 

「お主が剣を学び力をつけたいというのなら、儂と一つだけ、約束してくれ。

人の痛みを知る優しさを、思い遣りを持っておくれ。お主と同じような境遇の者を一人でも生み出さぬよう……それを忘れなければお主は鬼にはならぬ。心優しき、強き剣士となれる。」

 

「おじいさん…。」

 

「蓮司よ。儂は信じとるぞ。お主が立派な剣士となる、その時を…──。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ッ!……おじいさん…!!」

 

「…思い出して感慨に浸ってるとこ悪いんだけどさ…奴さん、もう起きて来たぞ。」

 

悠が目を向けるその先にはダメージを受けながらも平然と立つロードバロンの姿が。

 

膝をついていた蓮司は目元を手で拭った後、先程までとは違った目つきとなって戦極ドライバーを装着した。

 

今の蓮司にはもう焦りも何も無い。決意を定め強き思いを胸にした戦士。否、約束の果てに目指した剣士となって。

 

「申し訳ありません師匠。オレは何時の間にか大事な事を忘れていました……彩守の剣、今こそ此処に!!」

 

『ほう、少しはマシになったようだな…いいだろう!今度こそ見せて見ろ、貴様の強さを!!』

 

「やっと本番ってとこか…今度は足引っ張んじゃねえぞ。」

 

「…云われずともだ、むしろ貴様が足を引っ張らぬよう気を付けることだ。」

 

「ハッ…。行くぜ。」

 

<< カチドキ! >>

 

「いざ、尋常に──。」

 

悠は懐から取り出したカチドキロックシードを開錠、一際大きなアームズ悠の頭上で浮かぶなか蓮司は戦極ドライバーのフェイスプレートを外すと、懐から神太郎から受け取った強化アイテム、ゲネシスコアをセットした後、二つのロックシードを開錠した後、ドライバーにメロンロックシードを、ゲネシスコアにエナジーロックシードをセットすると待機音が流れた。

 

<< メロン! >>

<< メロンエナジー! >>

 

<< LOCK ON! >>

 

 

「「変身──ッ!!」」

 

 

カッティングブレードを倒すとロックシード同時にエナジーロックシードが展開。クラックから蓮司の頭上に現れた二つのアームズが合わさり黒のアームズとなったソレは蓮司の頭を覆いかぶると斬月のライドウェアを身に纏わせ展開。メロンの断面が描かれた黒の陣羽織を思わす造形。蓮司の決意と共に進化した斬月の強化形態。

 

<< メロンアームズ! 天・下・御・免!──MIX! >>

 

<< ジンバーメロン! ハハァ! >>

 

 

<< カチドキアームズ! いざ出陣!エイ・エイ・オー! >>

 

 

『ッ!?アーマードライダーだと!?』

 

ロードバロンが驚くなか、斬月は腰の無双セイバーを抜刀。武神鎧武はアームズウェポンの火縄大橙DJ銃を手にした。

 

「決着着けるぜ、先輩!」

 

「…参る!」

 





龍騎回、ジオウのパワーアップ回としては中々良かったですね。表と裏の設定にミラーワールドを出してくるとこが。

最後の真司と編集長の場面もよかったです!!次のレジェンドは誰が出るか本当に楽しみですよね!!

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