その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「前回のあらすじ!
ゼノヴィアに頼まれ一子とデートに行った俺であったが、姉の百代ことゴリラが目を覚ましたと聞いて病院へ駆け付けるも、ゴリラはバグスターウイルスを発症させロイミュードの王、ハートを実体化させてしまう!
そんな時、苦戦を強いられる俺を元にダメージを負って昏睡状態だった秋がやって来た。」

「オレ・復活!イヤーやっと出番到来だよ!長かったなあ!」

「つーかお前散々心配させといて焼肉で起きるとかマジふざけてるとしか思えねえんだけど。」

「イヤイヤ俺だって超ビックリよ?だって目を覚ましたら悠兄さんでも無く超カワイイ速吸ちゃんじゃ無く肉クセェ煙が部屋中蔓延してたんだぜ?お蔭で部屋の中超煙くせぇ!」

「あー確かにするわぁ焼肉のニオイ。お前もうちょっと離れろ。匂いが移るし。」

「ちょっとそこはオレの復帰を祝ってのハグする場面でしょ!?何人をゴミの様な目で見てんのさ!」

「だって臭いもん!とにかくさっさと最新話、行くぞ!!」

「あぁちょっと待ってよ!そんな離れないでよ!!悠兄さーーん!!」







「「オオオォォォッ!!!」」

 

 

<< ゼンリン! >>

 

ダークドライブ、そしてマッハが同時にハートに向かって駆け出し、ダークドライブはファングスパイディーをマッハはゼンリンシューターをハートに向けて突き出すが、ハートはそれぞれを片手で受け止め、拮抗状態となる。

 

『マッハまで居るとはな!益々面白くなってきたぞ!お前達が二人でどう攻めて来るのかも、興味がある!!』

 

「ハッ!言われずとも見せてやんよ!オレと悠兄さんのコンビネーション!」

 

「気持ち悪い事いってんじゃ──ねぇ!」

 

ダークドライブはハートの腹部に前蹴りを叩き込む。体が僅かにブレた隙を二人は見逃さない。

 

「「ハァッ!!」」

 

『ッ!──グゥ!!』

 

 

「「ウオオオオォッ!!!」」

 

ほぼ同時、ほぼ同じ個所に二人の攻撃がハートに炸裂する。

 

一人なら兎も角、二人分の一撃は流石のハートも堪えている様子。二人の勢いは攻撃を重ねる毎にどんどん増してく。

 

『グッ…!──ハハ!、フハハハ!!』

 

怒涛の攻撃を受けながらも、興奮を隠しきれないハート。

 

勢いに乗り、二人の息が自然と合った攻撃をハートは片手で受け止めた。

 

「「ッ!!」」

 

『イイぞ!矢張り仮面ライダーはこうでなくてはなッ!!』

 

「ッ!?──ぅオォッ!?」

 

「えぇッ!?」

 

ハートは片手で掴んだダークドライブとマッハを軽々と振り回し思い切り投げた。二人は投げられた際空中で体勢を整えて無事に着地し、武器の銃口をハートに向ける。

 

<< シューター! >>

 

「ハッ!」

 

「ッ!」

 

ブレードガンナーとゼンリンシューターから光弾が発射。迫りくる光弾を前に、ハートは地面を思い切り殴った。

 

『ムゥンッ!!』

 

「ッ!殴った地面が壁に…!」

 

<アレも川神百代の技か!>

 

地面を殴った事で巨大な岩の壁がハートの前に現れた事により放たれた光弾は全て岩の壁に防がれる。

 

光弾が止むとハートは前に憚る岩の壁向けて無双正拳を繰り出した。

 

『オオオォォォーーッ!!!』

 

「ウェ!?今度は石礫かよ!!」

 

「いいから叩き落とせ!」

 

殴り砕いた岩が今度は弾丸となって二人へと襲い掛かって来る。ダークドライブとマッハは迫りくる岩を武器で砕いていくが、凄まじい数と向かって来る速さに全てを捌き切れず、被弾した。

 

「グッ…!」

 

「イッ、テェ…!」

 

『まだまだァ!!ウオォォッ!!』

 

「ッ!今度はデッドゾーンか!」

 

「だったらコッチも!来いデッドヒート!」

 

<< SignalBike/ShiftCar!──Rider! >>

 

<< DEAD HEAT! >>

 

遠く離れていてもハートから発せられる高熱の波、爆発的に力を底上げするデッドゾーンに入るとマッハも対抗してデッドヒートマッハへ姿を変える。

だがそれでも金色の、ロイミュードの最終進化態である超進化を遂げているハートの方が遥か上をいっていた。

 

<何と凄まじいエネルギーだ…!正面からのぶつかり合いは避けるんだ!>

 

「というと?」

 

「正面意外から行けって事だろ!」

 

「成程理解!」

 

<< SignalBike! >>

<< シグナルコウカーン! マガール! >>

 

 

<< COME ON! >>

<< FLARE!/SPIKE!/SHADOW! >>

 

<< タイヤ・カキマゼール! >>

<< ATTACK 1・2・3! >>

 

マッハがシグナルバイクをダークドライブがタイヤを変えると再度ハートへ仕掛ける。

 

マッハが先行し、ゼンリンシューターで殴り掛かって来るのをハートは迎え撃とうと拳を振るったが…。

 

<< マガール! >>

 

『何ィッ!?』

 

「へへッ、残念!」

 

真っ直ぐ直線的に向かって来たマッハが突如直角に真横へ移動すると言う有り得ない動きでハートの拳を避ける。

思い掛けない回避行動に拳が空を切りかつて無い隙を見せるハートに、ダークドライブが合体タイヤの能力で四人に分身し、炎を纏った棘と手裏剣をハートに目掛け放った。

 

「「「「ハァ!」」」」

 

『グッ!グオォッ…!』

 

「秋!」

 

「言われずとも!」

 

<< Burst! キュウニ・DEAD HERT! >>

 

デッドゾーンへ入ったマッハが尽かさず高速移動でハートを翻弄しつつ、ヒットアンドウェイの連続攻撃を繰り出す。

 

デッドゾーンに入った事によりパワーも底上げされてるが、それでもハートに与えられるダメージは微細なモノだった。

 

『フッ…この程度か?』

 

「まっさかぁ!──悠兄さん!」

 

<< ヒッサーツ! >>

 

<< FULL THROTTLE! ATTACK 1・2・3! >>

 

マッハの合図と共にハートの周りを取り囲みキックの体制に入る十人のダークドライブ。これだけの数の必殺技が入れば流石のハートも無事で済まされない。

 

『成程!だが──甘いぞッ!ハァアッ!!』

 

ハートの全身から発せられた金色に輝く高エネルギーの波が全方位に放たれる。

 

ハートに向けてキックを決めようとしたダークドライブ達は、高エネルギーの威力に耐えられず霧散して消えてしまう。

その時ハートはハッと気付く。取り囲んでいたダークドライブ達が全て消えた…本物が居ないという事に。

 

『ッ!──しまった!』

 

<もう遅い!>

 

姿勢を低くしハートの懐に入り込んだダークドライブはエネルギーを籠めた拳を叩き込み、エネルギーはハートの体に浸透していった。

 

『クリム…ッ!一体何をした!?』

 

<アンチプログラムをキミの体に送り込んだのさ。ロイミュードと川神百代のデータがあったお蔭で直ぐに出来た。>

 

『何ッ!?──グッ!?オガァァアァアッ!!!』

 

<と言っても、バグスターでもあるキミには高エネルギーと動きを鈍らせる程度だが…。>

 

 

<< ヒッサツ! >>

<< Burst! Full Throttle! DEAD HEAT!! >>

 

「デカいワザ二人同時に叩き込む分には──!」

 

 

<< ヒッサーツ! >>

<< FULL THROTTLE! FUTURE! >>

 

「十分過ぎるんだよ!」

 

 

クリムの作ったアンチプログラムの効果で動きが止まるハートに二人は同時に跳び上がる。

 

左右から同時に放たれるライダーキック。二人のキックがハートに渾身の一撃が叩き込まれた。

 

「「ハァアッ!──デァアッ!!」」

 

『ッ──グアァアアァアッ!!』

 

 

二人のキックをモロに喰らったハートは大きく吹き飛ばされ岩壁へ激突。立ち昇る爆炎を眺めるダークドライブとマッハは未だ聞こえてこないゲームクリアの音声が響かない事から、まだ勝負は終わってないと見て警戒を解かない。

 

そして、二人の予想が当たったと知らしめすような光の奔流が二人を襲った。

 

「ッ!?んだよ、コレは…!」

 

<物凄い高エネルギーだ!もはや限界を超えてるレベルの域に達している…!>

 

余りの威力に身が飛ばされそうになる二人を余所に、全身から金色のオーラを噴き出すハートがゆっくりとした歩調で歩み寄って来た。

 

『見事だ!ここまでされたら認めるしかない。お前達は……強い!──ッ!』

 

「ッ!?───ガッ…!?」

 

「悠兄さん!?

 

遠くにいた筈のハートの姿が一瞬の内消えたと思った矢先、ダークドライブの視界に自身の懐に入ってきたハートの拳が何時の間にか叩き込まれていた事に気付いたのは、殴り飛ばされ後だった。

 

岩の地面をボールのように弾みながら余りのダメージに変身が強制解除されてしまう。血反吐を吐き出す悠を目に、マッハは激情にも近い感情がふつふつと湧き出てくる。

 

「この野郎ッ!!」

 

単身でハートに向かって行くマッハ。悠は僅かに霞む視界越しから再変身をしようとイグニッションキーを回そうとするが、ドライバーであるクリムからスパークが奔る。

 

「クリムどうした…?」

 

<す…すまない悠。先の一撃の所為で、私の幾つかの機能に破損が…これでは、タイプフューチャーになれない…!>

 

「ッ…あの一撃から、守ってくれたんだよな…気にすんな、後は俺達でどうにかするさ…。」

 

<無茶だ!タイプフューチャー無しでヤツと戦う等…!>

 

「まだ戦う手段はある…どうにかさせるさ。」

 

悠はクリム、ドライブドライバーは外すとその場に置き、秋が乗って来たライドクロッサーを目に、マッハドライバーを装着した。

 

 

 

 

 

「デェェリャァッ!!」

 

『…怒りか。確かに一番力が増す感情だが…。』

 

マッハが繰り出すパンチやキックを、ハートはガードも回避もせず全て受け止めておりコレといったダメージが入っていない。

開いてる手が、力強く握り締められる。

 

『その程度で、オレを倒せると思うなぁ!!』

 

「ッ! グァァアアッ!!」

 

ハートの繰り出す拳はあらゆる障害を打ち壊すと言わんばかりの破壊力。

両腕を前にガードしたマッハは、ガードを破って胸に入った拳をその身で受けた際、咄嗟にそう印象付けてしまう程の威力であった。

 

地面に倒れデッドヒートから通常の形態へ戻ってしまい、中々起き上がって来ないマッハにハートはジリジリと近づいて行く。

 

『まずはお前からだ、もう一人のマッハよ…。』

 

「グッ、クソッタレ…!」

 

<< シューター! >>

 

迫りくるハートを前にゼンリンシューターを構え光弾を放つもハートの足は止まらない。

 

『これで…ッ!』

 

トドメを刺そうとしたハートだったが、横合いから放たれた砲撃に阻まれる。

 

次々と放たれる砲撃を腕を交差して防ぎながらその正体を見ると、秋が此処に来る際に乗って来たライドクロッサーがビーム砲撃をしながら此方に接近していた。

 

砲撃を放ちながら車体が跳ね上がり、ハートに向けての体当たりが見舞われようとしたが、ハートはライドクロッサーを掴んで受け止め、そのまま持ち上げてしまった。

 

『最早この程度の策しか無いのか?…だとしたら残念だ──ッ、ウオオオオッ!!』

 

ハートは掴み上げたライドクロッサーを振り回して勢い付けると、遥か上空に向けて豪快に投げ飛ばすという荒業を見せる。

そして拳にエネルギーを集いだし、溜めたエネルギーを空目掛け投げたライドクロッサーに向けて放ち、忽ち空に巨大な炎が上がった。

 

「ゆ…悠兄さん……ウソだろ…。」

 

『………ん?』

 

空に上がる爆炎を見上げ、マッハは絶望の声を漏らすが、ハートは爆炎の中から出てくる人影を目に捕える。

 

落ちて来るその姿が鮮明に見えると、ハートは何度目になるか、驚愕の声を上げた。

 

『ッ!──チェイスッ!!』

 

 

「ッ!──」

 

<< マッテローヨ! >>

 

 

『………いや。』

 

 

<< イッテイーヨ! >>

 

「オォォオオオッ!!!」

 

 

 

『別モノかぁ!!』

 

 

<< Full Throttle! >>

 

 

「ドラァアアアッ!!!」

 

シンゴウアックスを持ち、ハートに目掛け落ちていくチェイサーは落下の威力を足したアクロスブレイカーをハート目掛け振り下ろすのに対し、ハートはエネルギーを纏った拳を放ち、シンゴウアックスとハートの拳がぶつかり合った。

 

鈍い金属を合わさった音が鼓膜を突く様に響く。ぶつかった反動でのけ反って地面に背が着くチェイサーと、突き出した拳が傷ついたハート。

チェイサーは倒れながらもシンゴウアックスをハートの足目掛け振るい、足を引っ掻けて転倒させる。そして起き上がり、倒れたハートにアックスを勢い良く振り下ろし、刃がハートの胸部に直撃する。

 

『グウゥッ!……ッ、ヌァアアッ!!』

 

「ッ!ウァアッ!!」

 

胸に食い込むアックスを振り払い、頭部の角からエネルギーで出来た光弾をチェイサーに放つ。

光弾はチェイサーに直撃し、吹き飛んだ所にマッハが駆け付けた。

 

「悠兄さん!大丈夫なの悠兄さん!?」

 

「大丈夫じゃねえよクソッタレ!……さて、マジでどうすっかコレ…。」

 

「デッドヒートさっきのでイカれちまったよ…どう戦えって言うのさあのトンでも野郎とよ!?」

 

「………ッ!…やってみる価値は…あるか。」

 

「え、何?もしかして閃いた!?ナイスなアイデア出て来た!?」

 

「いんや、確証の無い仮説だ。下手したら間違いなく死ぬ。て言うか失敗する可能性も高い。」

 

「………なんだ。ようはさ……いつも通りって事じゃん!良しやろうぜ!どうせやらなきゃ死ぬんだろ?」

 

「ハァ…思い切りがいいのか、それとも本物のバカか……それも今更、か。

…耳貸せ。良いか、これから二人で──。」

 

 

『作戦会議は終わりか?──ならば行くぞォ!!』

 

ハートの突き出した拳から放たれるビームが再戦の合図となって二人の前に着弾する。

 

 

<<<< ShiftCar! >>>>

 

<<<< タイヤコウーカン・モエール!/ササール! >>>>

 

 

「ウオォォッ!!」

 

「ウラァアッ!!」

 

巻き上がった粉塵の中から姿を出したマッハはマックスフレアを、チェイサーはファンキースパイクをドライバーへ挿しながら、放たれるエネルギー弾を躱しながらハートへ向かって行く。

 

<< キュウニ・モエール! >>

 

<< タクサン・ササール! >>

 

 

「「デェァアッ!!」」

 

『グゥッ…!』

 

マッハの拳に激しく燃える炎が、チェイサーの拳にエネルギー状の鋭い棘を宿しながらハートを攻め立てる。

二人の攻撃をその身で受けただけでボディが焼け焦げ、削られるハート。迎え撃とうとハートも負けじと攻めに行くが、二人は防御などの姿勢を一切見せない攻めのスタイルでハートへの攻撃する手を止めない。

 

合わさる拳同士のぶつかり合いが激しくなる中、二人は戦況を進めていく。

 

<<<< ヒッサツ! >>>>

 

<< Full Throttle! モエール!/ササール! >>

 

「頼むぜ悠兄さん!」

 

「誰にモノ言ってんだ!」

 

マッハが空向けて高く跳ぶなかチェイサーは加速しながら単身ハートへ向けて特攻する。

 

迎え撃とうとハートは拳を突き出すタイミングを見計らい、チェイサーは頭を僅かにずらす事で直撃を回避。頬に少し拳が掠りながら、棘が生えた拳をハートの胸部に目掛けカウンターを決めると、棘が爆発したかのように弾ける。

 

『グァァッ!!』

 

「今だ、秋!!」

 

「ダァァアアアッ!!」

 

隙を見せたハートの腕をチェイサーが抑える、動きを止め胸を曝け出せた所を足に炎を灯したマッハのキックが炸裂しハートは後方へ吹っ飛んでいく。

 

『ガァアァアッ!』

 

<<<< ShiftCar! >>>>

<<<< タイヤコウーカン・アラブール!/タクール! >>>>

 

<< TUNE・COLORFUL COMMERCIAL >>

 

 

『ッ!……カ、ハハ!やってくれたな…ッ!』

 

 

蹴られた個所を抑えながら歓喜と興奮の声を混ぜた声がハートから漏れる。

 

その時、伏せていた顔を上げたら、マッハが足にドリル状のエネルギーを纏わせながらハートに再度キックを見舞わせようと向かっていた。

 

『同じ手が通用するとッ──ッ!?』

 

迎え撃つ為にマッハへ向けて拳を突き出したハートだが、拳をマッハの体に触れる事無くすり抜けてしまう。ココでハートは実体の無いまやかしだと気付いた時に、ブレイクガンナーからカラフルコマーシャルの能力である立体映像を流したチェイサーがドライバーの上部スイッチに手を掛けていた。

 

「同じ手が何だって?」

 

<< タクール! >>

 

『ッ!!』

 

ハートの眼前に突如現れたのは、人一人が通れそうな大きさのタイヤ型のワームホール、シフトカーの知識があるハートはチェイサーの狙いにようやく気付いた頃にはタイヤから雄叫びの声が聞こえていた。

 

「オリャァアアッ!!」

 

<< Full Throttle! アラブール! >>

 

『グアァアアァアッ!!!』

 

タイヤから弾丸の様に飛び出ていたマッハのドリルキックがハートに直撃。思わぬダメージを受けるハートにチェイサーが続く様にシンゴウアックスを手に仕掛けに行く。

 

<< ヒッサツ!──マッテローヨ! >>

 

『ッ!ヌォォオオオ!!』

 

 

「させっかよ!」

 

<< ズーット・マゼール! >>

<< シューター! >>

 

『な…ッ!』

 

チェイサーのサポートに回ったマッハはスピンミキサーのコンクリート弾がハートの体を瞬く間に包み込んだ。

コンクリは直ぐハートのオーラによって弾け飛んだが、ハートの前にはアックスを振り上げたチェイサーが。

 

<< イッテイーヨ! >>

<< Full Throttle! >>

 

「ゼェァアッ!!」

 

『グァァアアーーッ!!』

 

振り下ろしたアックスによる必殺技、アクロスブレイカーがハートに炸裂。斬られた個所から火花を散らすハートは胸を抑え片膝が着く。

 

『グァア………イイぞ!オレはこういう戦いを待っていたんだ!!

ハァアアアーーーッ!!』

 

「「ッ!グアアァアッ!!」」

 

ハートの放つビームがマッハとチェイサーを襲う。爆炎に呑まれその身が宙を舞い、二人の体が更に悲鳴をあげていく。

 

「ゥア……なんか、さっきより強くなってね?」

 

「あぁ、確実に、強くなってやがる…!ゴリラの力じゃない!恐らく、ハート自身の、能力だ…!」

 

『そうだ!オレは戦う相手の強さを受け入れる事で、その上をいく!

お前達は強い!そのお蔭でオレは更なる進化を得る事が出来た!』

 

「何ソレ、超反則級じゃん!」

 

「構うか!反則だろうがチートだろうが、どの道戦ってぶっ潰すのに変わらねぇだろうが!」

 

「ハハ、そりゃ、そうだった、な!」

 

傷ついた体を起こし、未だ消えない闘志を胸に立ち上がるマッハとチェイサー。

 

その光景を前に、ハートの脳裏に嘗て戦った戦士たちの姿が二人と重なった。

 

『そうだ、その意気だ!決して屈せず立ち向かっていくその心意気こそ、オレが認める仮面ライダーだ!!』

 

「あらら、敵さんに認められちったよ、悠兄さん。」

 

「なら応えてやんなきゃな、ヤツの知ってる仮面ライダーとは違う……俺達自身の力をだ!」

 

「オッケーィ!ならトコトン見せちゃいますか!」

 

<< タイヤコウーカン・シノービ! >>

<< イマスグ・シノービ! >>

 

「「「「「「ハァアッ!」」」」」」

 

ミッドナイトシャドーの能力で分身したマッハ。複数のマッハ達はハートを囲みながら走り回ったり宙を跳んだりして時折ゼンリンシューターで牽制をしつつ撹乱する。

 

俊敏かつ機敏な動きでハートの動き止めるマッハ。チェイサーはブレイクガンナーを手に離れた位置に陣取る。

 

<< TUNE・BURNING SOLAR >>

 

<< EXECUTION >>

<< FULL BREKE・SOLAR! >>

 

「ッ!──」

 

ブレイクガンナーの銃口に溜まっていくエネルギー。狙いはマッハが動きを止めているハートの胸部。

あちこちと動き被さるマッハの間を通り抜けるタイミングを待ち、そして針の穴を通すが如く、ただ一点の道を見つけ引き金を引いた。

 

「ッ!」

 

『ッ!──グアァアァアアアッ!!!』

 

放たれたレーザー光線は動き回るマッハ達の間を上手く抜けながらハートの胸部に直撃。超高熱のレーザーはハートのボディを赤く熱した所に、マッハが立て続けに必殺技を決めようとした。

 

<< Full Throttle! シノービ! >>

 

「「「「「「行くぜぇ!──デェァァアアッ!!」」」」」」

 

『ッ!ヌァアアァアッ!!!』

 

マッハ達の繰り出すライダーキックが立て続けにハートに見舞わされた。

 

分身が解かれ一人となったマッハの隣に並ぶチェイサー。先程から立て続けに繰り出し必殺技の影響か肩で息をしており大分体力を消耗している。

 

そんな二人を余所に、立て続けに必殺技を受けたハートは、ダメージをモノとしない堂々とした姿勢で立ち上がった。

 

「「ッ!!」」

 

『ハハハハ!本当にやってくれるよ!大技でダメージを与え続ければ倒れると思ってやっているのだろうが、オレはお前達の攻撃を受ける度に、力が上がっていくだけだぞ!!』

 

「ッ!!」

 

「あんヤロ、まだ上があるってのかよ!?」

 

ハートから源泉のように吹き出る金色のオーラの質と量が更に上がっており、展開しているゲームエリアが破壊されそうなほどまでの凄まじいエネルギー量にまでハートの力が上がっていた。

 

『さぁどうする!?どうやってオレを倒す気だ!?仮面ライダーッ!!』

 

「悠兄さん!…。」

 

「ッ!…。」

 

圧倒的力量を見せ付けながら一歩づつ近寄って来るハート。もはや災害レベルの域に達しているハートを前にチェイサーも言葉が出ず、どう手を打つべきか切り出せずにいた。

 

『打つ手無しか……ならば今までの敬意を表し、オレが持てる最高を一撃、を…ッ!?な、こ、コレは…ッ!?』

 

「ッ!悠兄さん!」

 

「あぁ!」

 

突然ハートが胸を抑え膝を着く。ボディが水の入った袋に穴を開いた様に火花や電流が流れ苦しんでおり、二人はコレを前に待ち望んでいたと言わんばかりの反応を見せた。

 

『コレは!……まさか、お前達……!』

 

「お察しの通り、俺達はただ必殺技をぶつけた訳じゃねえ。ただ一点。お前の胸にあるコアに攻撃が届くまで喰らわせてたんだよ。」

 

『ッ!』

 

「バグスターでも忠実に再現されたロイミュードだからもしかしてと思ってね、コアはロイミュードにとって弱点だし♪」

 

「加えてさっきお前が言った能力。相手を常に上回るソイツはボディは耐えられても傷ついたコアは耐えられない!……オーバートースってヤツだ!」

 

 

『ま、さか…こんな、事が…!』

 

「今なら…ッ!」

 

「悠兄さん!?どうし…ッ!!」

 

絶好のチャンスを前に最後の一撃を見舞わせようとするチェイサーだったが、突如糸が切れた様に膝を着いてしまい、マッハが声を掛けようもマッハも膝が着いてしまう。

 

「ッ…お互いそろそろ限界か…!撃てて後、一撃、か…。」

 

「これで決めなきゃ、後は無いってか…ホント起き抜けにトンでもねぇったらありゃしねぇ…。」

 

「なら、止めるか?」

 

「冗談。最後まで一緒にやろうぜ…!」

 

「それなら…ッ!アレは!」

 

二人の背後から近づいて来る飛行物体、ネクストライドロンと合体したライドブースターが二人の元へとやって来た。

 

「ライドブースター…クリムか!」

 

<私に出来る事は最早この程度…頼んだぞ悠!秋!>

 

「サーンキュ!行くぜ悠兄さん!!」

 

「命令すんな!」

 

二人はネクストライドロンの左右に着いてるライドブースターへと乗り込むと、ネクストライドロンは上昇し、ハートの元へ。

 

ライドブースターの下部のファンから高速回転し生じた竜巻の如くの二つの突風がハートに降り掛かる。

 

『グッ!グウゥゥ…ッ!』

 

 

「これで最後だ!」

 

<< ヒッサツ! >>

<< Full Throttle! CHASER! >>

 

 

「派手に決めるぜ!」

 

<< ヒッサツ! >>

<< Full Throttle! MACH! >>

 

二人はライドクロッサーから飛び降り竜巻の中へ。高速回転に身を任せキックに回転の力も合わさり、風が二人を導きながら一直線へハートに向かう。

 

 

「「ハァァアアアーーーッ!!!」」

 

『ッ!──ガアァアァアアアーーーッ!!!』

 

チェイサーとマッハの最後のライダーキックがハートの胸部に炸裂。ハートは後方へ吹き飛んで倒れる様を着地したチェイサーとマッハが倒れそうになる体に鞭を打ちつつ最後まで立っていた。

 

体中から煙をあげながら未だ動きを見せないハート。思わず顔を合わせる二人だったが、指先が僅かに動いた後ゆっくりと体を起こしたハートに二人は武器を向けた。

 

『…一つ、頼みがある。』

 

立ち上がり二人の前に相対するハートだが、データで出来た体が崩壊を始めだし、二人は武器を降ろした。

 

『最後に、お前達の名前を、教えてくれないか。』

 

「…灰原 悠。」

 

「桜井 秋だ。」

 

『灰原 悠…桜井 秋、か…お前達の強さ、しかとこの胸に、刻んだぞ…──。』

 

最早思い残す事など無いとハートは静かに倒れ、爆散していった。

 

 

<< GAME CLEAR! >>

 

空から落ちて来たガシャットを手に取るとゲームエリアが解かれ、病院の裏に。二人はドライバーからシグナルバイクを抜き取り、変身を解除する。

 

<<<< オツカーレ! >>>>

 

 

「「…ハァ~~。」」

 

元の姿に戻った二人は糸が切れた様に地面へ倒れ込む。

 

「しんど…マジでキツかった…。」

 

「イヤマジそれな。さっすがハートは…って何ソレ!?どうしたのその頭!?髪型も変わってるし!失恋!?」

 

「イメチェンだバーカ。今日だってデートだってのにコレだぞ、ったく…。」

 

「イヤイヤどういうイメチェンなのよソレ…。」

 

「…大丈夫なのかよ。お前。」

 

「ん?何が…ってああハイハイ体の事ね、さっきも言ったけど問題ナッシング!…今はあちこち痛いけど…。」

 

「そうか…………グス。」

 

「? 悠兄さん?」

 

隣に寝そべる悠の方から小声ですすり泣く声が聞こえ、首を動かすと顔を見せない様に背中を向けて寝る悠が小刻みに肩を動かしていた。

 

「ちょ…止めてよそういう柄にもねぇ一面見せんの、調子可笑しくなっちゃうよ!……まぁでも?ぶっちゃけオレの為に泣いてくれるのは…「ラ゛イ゛ドグロ゛ッザ~!…」……は?」

 

一瞬聞き間違いかと思われたが、感情の抑えが利かなくなったのか、背中を向けた悠から明らかな嗚咽が聞こえる。

 

「え…ねぇ、もしかして泣いてる理由って、俺に対する嬉し泣きじゃ無くて……ライドクロッサー壊れたから?」

 

「だって!…だってお前!アレ!バーン!って!ドガーンって!俺の目の前で、バラバラになって…!」

 

「ま、まあ気持ちは分からなくないよ?オレだってちょっとショックって言うか…。」

 

「俺はちょっとじゃね゛え゛んだよ゛!!

始めて作ったマシンだし、時間も手間ヒマもたくさんかけて、時に失敗して、それでようやく出来たマシンが…バラバラに……う゛ぅ!!」

 

「えーー、この人ガチなんですけどォ、ガチで凹んでんすけどォ。こんな悠兄さん見せられてオレもなんか凹むんですけどぉ…。」

 

相当の思い入れがあったのかハートによって破壊されたライドクロッサー、ライドチェイサーとライドマッハーの損失は悠のメンタルに相当な大ダメージを与えていた。

 

余りの惨劇に秋もお手上げの状態、大の字で空を見上げる秋だが、ある程度吐き出してスッキリしたのか、悠の嗚咽が止んだ。

 

「……あの時は、悪かった。自分を見失った所為で、お前を殺し掛けた。」

 

「…え?」

 

「今日もお前が来てくれなかったら正直ヤバかった。だから……ありがとう、来てくれて…。」

 

「ッ~~~!悠兄さぁんッ!!」

 

予想外の言葉を掛けられた事に感極まったのか、秋は背中御向けた悠に抱き着く程喜びを抑えきれなかった。

 

「んも~!やっぱ悠兄さんはオレが居ねえと危なっかしいたらありゃしねえからなぁ!」

 

「ちょっと離れて。キモいし、息掛かってるし、体痛いし、何か焼肉臭いし…。」

 

<二人共。取りあえずここを離れないかね?私は早く破損しか箇所を修復したいのだが。>

 

傍に来たネクストライドロンの扉が開けられても、二人は中々動かなかったと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悠兄さん、いい加減しっかり立ってよ!オレだって体あちこち痛ぇんだし!」

 

「うるせぇ、俺は体も心もズタボロだっつうの…。」

 

灰原家へ帰って来た二人。気力の無い抜け殻状態の悠の腕を肩に回して廊下を歩く秋はリビングに入る。

 

「ッ!姉ちゃん…。」

 

「ッ!秋…。」

 

リビングで待ち構えていたのは秋が目覚めたと聞いてソワソワと待っていたハルナ。何処か気まずい感じの秋はオズオズとハルナの前に出る。

 

「あー…まぁその……おはようございます。」

 

「……。」

 

「…えと、姉ちゃん?”ガバッ!”ッ!」

 

「秋…!良かった!本当にッ…!」

 

目じりから涙が零れながら秋に抱き着くハルナ。秋も余計な言葉を出さず、ただ肩に顔を埋めるハルナの背に手を回した。

 

 

 

 

 

 

「悠?どうしたんですか一体?」

 

「お兄さん?どこか痛いんですか?」

 

「………心です。」

 

姉弟の感動の再会の傍らで、ハートにハートブレイクされた悠は優しく介抱された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──まぁコレが一連の出来事の始末、と言う訳で…。」

 

「そ、そうなんだ…。」

 

後日談として学園の校舎裏で一子に語る悠は鬱な表情を見せつつ最後まで話しきった。

未だライドクロッサーのショックは抜けきれないが、ラ・フォリアと夏音の献身的なメンタルケアのお蔭でこうして話せる位のレベルまで回復できている。

 

「そんでその後のゴリラはどう?」

 

「ゴリラ……お姉さまは大丈夫よ。悠が記憶を消してくれたお蔭で元のお姉さまに戻ってくれわ。今じゃあ早く戦いたいって。」

 

「懲りないヤツ……ヒョロ男と同じ暗示でも掛ければよかったか?」

 

あの後、あまりのショックで寝込んだ百代に神太郎がアフターケアとしてロイミュードに関する記憶を消去したという報告を受けた悠であったが、一誠と同様真面目な性格にさせる為に暗示を掛けようとしたが、止められたらしい。

 

「にしてもビックリしたよね。まさかみんなあの時ついて来てたなんてさ。」

 

「ホンット、何で俺は普通にデートが出来ないんですかねぇ、いつもいつも何かが起きるわつけられるわ……呪われてんのかなぁ…。」

 

「そ、そんな事無いよ!……なんだったらさ、今度はちゃんと、最後まで、デートして…。」

 

「そうだなぁ、今度は最後までやりきりたいわ。うん、やろう。こうなったらやってやる。」

 

「なんか、凄い大事になったね…?」

 

意味があるのかないのか分からない目標を決めた悠は次の授業がある為に立ち上がる。

 

「あ…そういえばさ!ゼノヴィアから聞いたんだけど、あのデートアタシを元気づかせる為のデートだって…。」

 

「そうだよ。俺にも責任があるって事で。」

 

「そんな。悠には色々して貰ってるから、こっちが何かしてあげるべきなのに…。」

 

「ほお?何かとは、どの位の事を言うんで?」

 

「ッ!ち、違うから!エッチな事とかは無しね!無し!!」

 

「チッ、残念………そうだなぁ、何かというのなら、この位は…。」

 

「え、ちょっと悠?なに…ッ──。」

 

「ん──。」

 

突然詰め寄って来た悠に一子は戸惑いながらも、悠は一子の頬に手を添えた後、顔を近づけ一子の唇と自身のを合わせた。

 

「──ん……あら?おーい。」

 

突然のキスに頭がショートしたのか顔が真っ赤っかになって頭から煙の様なモノが出ている一子に、悠はばつが悪そうに頭を搔いた。

 

「ちょーっと欲張り過ぎたかなぁ…でもまぁ大事なマシンは壊れちゃったし、この位貰わなきゃ割に合わないし、気分が晴れないし…。」

 

気絶した一子の背中と膝裏に手を回して持ち上げ、保健室へと運んだ悠は次の授業に遅れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 






今回のディケイドは流石に何度も出ているお蔭か、貫録と言うのが感じられましたね!ドライバーも知らぬ間にグレードアップしてますし、この調子で海東も出るんですかね?

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