その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「前回のあらすじ!
体が入れ替わり一日経っても元に戻る進展が無いままバグスターが出現!おまけにこっちにはロイミュードが来たりであぁもう大忙し!
だから俺は仮面ライダージョーカーとなってロイミュードに立ち向かうのであった!」

「先輩、こんな所で何やってるんですか?」

「オイオイ姫柊、俺は愛しの暁じゃないぞ、悪人の灰原だぞ。」

「知ってますよ!それになんですか愛しの暁って!!」

「まぁまぁ落ち着け、そんな姫柊に良いニュース。
こいつ右太腿の裏に黒子合るんだぜ?」

「え?知ってますよ。あと左の脇の下にもあるんですよね。」

「え……そうなの?」

「ハイ。色々知ってますよ。
夜寝る時はうつ伏せになったり、欠伸は平均で11回したり、お風呂に入る時はいつも足から洗うんですよ。」

「えっと……何でそんな詳しいの?」

「監視役ですから!」

「………あ、そうなの………じゃあ最新話、いってみようか。」




秘策

「ウォリャ!──ッ!」

 

三体のロイミュードに向かって漆黒の戦士、仮面ライダージョーカーが開幕早々飛び掛かり、バッド型とコブラ型に跳び蹴りを見舞わす。

 

その後正面から向かって来る鉤爪の死神ロイミュードの鉤爪を側面を蹴って逸らし、もう一度蹴りを見舞わす。

 

死神を下がらせたジョーカーの背後からバッド型とコブラ型が再度襲い掛かって来る。顔面目掛け放たれたコブラ型の拳を頭を僅かに逸らして回避、続いて来るバッド型が飛び付いてきたのを掴み、柔道の応用で受け身から地面を転がって、投げ飛ばした。

 

「フゥ──ッシャ!」

 

一連の動きを確かめるジョーカー。今までの自分と昨日の体の違いを直に感じ取りながら感覚を掴んでいく。

 

ロイミュード達向けて駆けるジョーカー。向かって来るロイミュード達に巧みな足技を繰り出していく。

 

「ウォリャァ!──セァッ!!」

 

コブラ型を回し蹴りでガードごと蹴り飛ばし、死神の鉤爪を右足で蹴りあげすかさず左足で顔にハイキックを決める。殴り掛かるバッド型の拳を素早く半歩引いて躱した所に太腿に強烈な蹴りを入れるとバッド型の腰から下が打ち上がり背中が地面に水平になった所をサッカーボールの如く蹴り飛ばした。

 

転がっていくバッド型を見送りながら、ジョーカーはドライバーのメモリを抜き取る。

 

「時間を掛ける気はねぇ、とっとと仕上げる!」

 

<< JOKER MAXIMUM DRIVE! >>

 

「ライダーパンチ──ッ!」

 

メモリをサイドのマキシマムスロットに挿し、ジョーカーは拳に紫の炎の様なエネルギーを纏わせ起き上がったコブラ型に向かって跳躍。コブラ型が此方に気付いた時には既に拳を突き出していた。

 

「ドラァッ!!」

 

突き出した拳はコブラ型の頭部に直撃。大きく仰け反って吹き飛んだコブラ型はそのまま爆散していった。

 

「もう一発!」

 

<< JOKER MAXIMUM DRIVE! >>

 

「ライダーキック──ッ!」

 

ジョーカーはスロットから一度メモリを抜いた後もう一度挿し込み、次の標的をバッド型に決める。

 

バッド型は翼を広げて空を飛び、ジョーカーへ襲い掛かっていく中、ジョーカーは大きく跳んでエネルギーを纏わせた右足をバッド型に叩き込んだ。

 

「オゥリャァアッ!!」

 

見事にボディに入ったキックを受けてバッド型は爆散。ジョーカーは着地し、最後の一体になった死神に目を付けた。

 

「最後はお前だけ!」

 

残る死神にジョーカーが拳と蹴りのラッシュを見舞わせ、確実に弱らせていく。

 

腹部に強烈な蹴りを叩き入れて吹き飛ばし、弱った所を見てジョーカーメモリをドライバーから抜こうとした時だった。

 

ジョーカーの背後から強力な一撃を喰らわされた。

 

「グァッ!?」

 

背中に衝撃と熱を感じながらジョーカーは吹き飛ぶ。

 

地面に倒れ背後を振り返ると、そこには銃器を付けたタイプの死神が銃口を此方に向けてやって来た。

 

「…ったく、そういうサプライズは要らねえっての──ガァッ!!」

 

先程の一撃が効いているようで、ふらつくジョーカーに鉤爪の死神が好機と言わんばかりにその爪を突き立てた。

 

 

 

 

 

 

「「ハァアアアッ!!」」

 

「セェァァァッ!!」

 

「ブェハァアアアァァーーッ!!!」

 

 

エグゼイドL/Rとブレイブ、そしてゲンムが四方から一斉に飛び掛かっていく。

 

四人に囲まれて逃げ場の無い水のエル。四人の振るう刃がその身に食い込もうとする瞬間、手に持つバルディッシュを地面に打ち付けると、姿が一瞬にして消えた。

 

「「「「ッ!!」」」」

 

当てる対象を失った刃が合わさり、キィィィン!と音と火花が散る。

 

「クソォッ!!何処に行ったァ!?」

 

「落ち着け!!バラバラに散らず背中合わせで互いの死角をカバーしろ!!」

 

奇声を発しながら水のエルを探すゲンムにブレイブが纏め役として的確な指示を飛ばし三人もそれに従った。

 

背中合わせになって水のエルを探す四人、その時エグゼイドRの視界に、掌にエネルギーで生成した光球を浮かべた水のエルを見つけた途端声を荒げ叫ぶ。

 

「皆避けて!!」

 

「「「ッ!!」」」

 

『ハァ!!』

 

四人の立っていた場所が放たれた光球によって大きく爆ぜた。

 

エグゼイドRが叫んだ事によって四人は事無きを得たが、各々が咄嗟の行動だった為にバラバラに散ってしまった。水のエルはコレを狙い、またも姿を消した。

 

「また消え──ヌ゛アァッ!!」

 

「神太郎さん!!」

 

ゲンムの背後に現れた水のエルがバルディッシュで背中を斬り付ける。完全な不意打ちにゲンムはやられ、エグゼイドL/Rが駆け付けるも、水のエルはまたも瞬間移動で消える。

 

「アイツ…!正面からの戦いを避けて嬲り殺しにする気!?」

 

「何よソレ!!ズルすぎ!!」

 

水のエルに真意に気付くエグゼイドRだが、水のエルはそんな間にも容赦無く突いていく。

 

二人を挟んで真ん中に現れた水のエルは二人が気付いて剣を振るうよりも早くバルディッシュを振るい、火花を散らせた後、念動力を使い、二人を建物の壁に激突させ縫い付ける様に抑えた。

 

『絶望を受けよ。』

 

「させるか!」

 

尽かさずブレイブが間に入り込み、突き出した掌から黒の波動を放つ。

ブレイブの波動と水のエルの念動力が拮抗している状態を、ブレイブの背後にいるエグゼイド達は好機と見た。

 

「今よ!」

 

「えぇ!」

 

<< ガッチョーン!──キメワザ!──ガッチャーン! >>

 

<< MIGHTY DOUBLE CRITICAL STRIKE! >>

 

「「ハァアアーーッ!!!」」

 

二人は必殺技のライダーダブルキックをブレイブの背後から水のエル向けて仕掛ける。

 

水のエルは躱そうとしたり瞬間移動を発動させようにも、念動力を解いたらブレイブの放つ波動を喰らってしまう為身動き取れない。

 

大ダメージを与える絶好のチャンス。確実にキックが入る領域に入っても微動だにしない水のエルにエグゼイド達は確信を得た。

 

『ッ──!』

 

二人のキックは水のエルの体に触れ──る事無く、水の中に入るが如く何も無い空間に消えていった。

 

「なにッ!?」

 

「これは…マズイ!」

 

ブレイブは消えたエグゼイド達を見て驚愕し、ゲンムはエグゼイドを消した水のエルの狙いに気付き辺りを警戒しだす。

そんな二人の背後の空間が水面の様に揺れる。

 

「ハァァアアアーーッ!!──え。」

 

「なッ…!──グアァアッ!!」

 

<< ガッシューン! >>

 

「蓮司君!!「ハァアアア!!──アレ?」ヌァアァアッ!!!」

 

ブレイブの背後から消えたエグゼイドRがブレイブの背中に水のエルに喰らわせる筈のライダーキックを喰らわせてしまう。

思わぬ攻撃を受け倒れるブレイブの変身が解除。身を案じるゲンムの背後にもエグゼイドLがキックを入れてしまい、ゲンムは一度死んだ。

 

「グッ……空間すらも、操ると言うのか…!」

 

「あ、彩守君!大丈夫!?しっかり!!!」

 

「こんのォ!良くもやってくれたわね!!」

 

「ちょ、待って一人じゃ!!…あぁもう!!」

 

激情するエグゼイドLが一人水のエルに向かって行くのを見過ごせずエグゼイドRがそれに続いていく。

 

水のエルは二人となった事に多少の警戒を解いたのか、瞬間移動せずバルディッシュを構え迎え撃とうと待ち構える。

 

『──ムンッ!』

 

「「ウワァアァァッ!!」」

 

本気の一振りと思われるバルディッシュの一撃は二人に大きなダメージを与える。

 

それからも水のエルの攻撃は終わらない。

二人が反撃に切り替えるより早くバルディッシュの凶刃を嵐の如く切り刻ませていく。

 

『フゥゥ───ハッ!!』

 

「「グアァアッ!!!」」

 

 

<< ガッシューン! >>

 

仕舞いに掌に浮かべた光球が二つに別れ、突き出されたと同時に追尾しながら二人の元に着弾し、スーツの限界を表す強制変身解除を迎え二人のエグゼイドは一人となり、傷だらけのハルナが地面に倒れる。

 

「さ、桜井…!」

 

『終わりだ。愚かなる人間よ。』

 

意識を失い倒れるハルナに駆け寄る蓮司。水のエルはハルナにトドメを刺すべく新たに光球を生み出し、それを無情にも放った。

 

防ぐ手段の無い蓮司はせめてもの行動でハルナに覆い被さる。

 

 

 

「さぁあせるかアァアァアアアァァァーーーーッッッ!!!」

 

「ッ!ゲンム!?」

 

着々と迫りくる光球の前に、ゲンムが腕を広げ二人を庇うべく立ちはだかった。

 

光球はゲンムに直撃。籠められた力が相当強いモノだったか、その爆発の規模は後ろの二人も無事では済まされない位の炎を巻き上げ、三人をあっと言う間に包み込んでいった。

 

『……愚かな。』

 

水のエルが燃え上がる炎を前に立ち去ろうと背を向けた。

 

 

ーブァアッ!ー

 

 

『ッ!!』

 

突如、水のエルの背後から禍々しい黒いオーラが間欠泉の如く吹き上がっていく。

 

その発端は先程光球を放ち、葬った筈の者達がいた場所から。

 

 

「ブゥエァハハハハハハハハハハハッッ!!!バァァッハッハッハァーーーッ!!!

遂にィ!!遂に至ったぞオオオ!!!

レェェエベルッ、エエエェェエエッッックスッッ!!!」

 

黒いオーラを放ち産声の如く叫ぶゲンム。

 

その身から放たれるオーラは一目で見て異常と言える程のプレッシャーを感じさせるソレを、ハルナを抱き留め間近で受けている蓮司は味方の筈なのに背筋から感じる悪寒を拭い切れずにいた。

 

「なんなんだ、この瘴気とも言える黒いモヤは…!?」

 

「ブェァッハッハッハッハ!! 最早私に、敵などなああああああいッ!!!フォォオオオーーーーッッ!!!」

 

『ッ!!───オォッ!!』

 

奇声を発しながら向かって来るゲンムに本能的な危機感を感じながらバルディッシュを振るう。

 

袈裟懸けに振るわれた戦斧はゲンムの肩口に触れる。後は振り抜き、腰元まで大きく斬り付ければ良いだけの作業であったが、ゲンムは肩に減り込むバルディッシュの刃を掴んだ。

 

『ッ!?』

 

「フェァ~~ッッハッハッ!!」

 

ゲンムの掴んだバルディッシュが腐食されてどんどん広がっていった。

 

自身の力をつぎ込んで生成した武器がどんどん腐っていく光景を前に水のエルは驚愕するも掴んでいる柄元まで腐食が進んでいくと、反射的に手を放し、瞬間移動でゲンムと離れた。

 

手放されたバルディッシュはやがて全体にまで腐食され、ゲンムが手放して地面に落ちた拍子に原形も無く崩れてった。

 

「ブェァッハッハッハッハッハッハァアアッ!!!コレが神の為せる業だアァァァッ!!!」

 

『ッ~~!!何処までも我が神を、我を愚弄するか!!』

 

「ウェァアアッハッハッハーーーァッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方のジョーカーは、二対一となった死神達を前に苦戦を強いられていた。

 

二体の死神はそれぞれが役割を持ちながら連携をしていた。

銃器の方の死神がマシンガンの如く放つ弾丸でジョーカーを牽制し、鉤爪がヒットアンドウェイの戦法で爪をジョーカーのボディに刻んでいく。

 

ジョーカーと言う仮面ライダーは近接格闘戦がメインの仮面ライダー。故に、これまで出て来たライダーの中で武装もフォームチェンジ等の機能は着いていない。

 

となれば自然にジョーカーとして戦うのであれば装着者自身の戦闘技能が高いのが必須になる訳だが、今の装着者は満足に実力を発揮できる状態では無い。

 

一方的に不利な戦況へと追い込まれていくジョーカーの姿を、悠(キンジ)は血が出る程に拳を握りしめ歯痒い思いをしていた。

 

「チクショウ。これじゃあ昨日と同じじゃねえかよ。…またオレが行っても足手纏いになっちまうし、何か、何か出来る事は無いのかよ!」

 

悠(キンジ)が胸の思いを吐き出しながら苦戦するジョーカーを目に眺めてる事しか出来ない事に何か出来る事は無いかと思案する悠(キンジ)は敵のロイミュードを見てある事に気付く。

 

(待てよ。昨日は勢い任せに我武者羅に突っ込んだけど、これなら…!)

 

悠(キンジ)は懐に手を伸ばしあるモノを取り出そうとした。

 

 

 

 

 

 

銃撃に見舞われ倒れるジョーカーを前に死神達は終止符を打つ気でいた。

後方の援護射撃を行っていた銃器と、前衛についてヒットアンドウェイの鉤爪のとる模範的な連携を前にジョーカーは防ぐ手も策を思わせる素振りも取らず、ただ的となってやられているだけ。

 

故に鉤爪はトドメを刺すべく駆けだした。鋭く光る爪を装甲毎突き破ろうと、右手を膝着くジョーカーの胸元目掛け、突き出した。

 

 

ーガッ!ー

 

 

「───フゥゥーーッ。」

 

突きつけられた爪を両手で掴み止めたジョーカーはゆっくりと立ち上がる。

 

死神が引き離そうにも掴まれてる爪が引いても押してもビクとも動かない。俯いてた顔が見え、赤い複眼が光りながらジョーカーは爪を掴む力を上げると、鉤爪からピキッ!っと音が鳴った。

 

「やっと火が着いたぜ、コイツを使うのはホンット久々だから…なぁッ!」

 

立ち上がったジョーカーは散々痛め付けてくれた鉤爪を両手の握力でへし折った。

 

「ォラアァッ!!──」

 

即座に追撃として、右手に炎を様に揺らめく紫の光を灯らせた拳を顔面に叩き込む。

 

その威力がどれ程のモノかと語る様に頭部の編み笠の様なカバーが大きくへこみながら鉤爪の死神は吹っ飛んでいった。

 

銃器の死神はジョーカーを撃つべく構えた矢先、何処からか放たれた銃弾によって被弾。体から火花を散らし地面に転げ回る。

 

「ん?…アレは。」

 

ジョーカーが死神を撃った主、ガシャコンマグナムを構えたスナイプを視界に捕えた。

 

「遠山、また変身したのか。」

 

「あぁ。でも今回は違うぜ。

昨日は考え無しに突っ込んだが、こうして遠くから銃撃って援護するのがベストだと思ってな。」

 

「全く…んな事せんでも勝てるっつうの。」

 

「嘘吐け、さっきまで一方的にやられてただろうが。」

 

「ワザとだよ。こうでもしないとコイツがやる気出さないんでね。」

 

そういいながらドライバーに挿さってるジョーカーメモリに触れる。

 

ジョーカーメモリの能力、それは単純な肉体強化だけでは無い特殊な機能。

 

使用者が危機的状況に陥ってもその闘志が無くならない限りメモリの限界をも超えるブーストが課せられる、正に一発逆転の切り札となる。

 

だがその力が消える様に右手に灯っていた紫のエネルギーが消えた。

 

(やっぱ意図的にやるんじゃ効果薄か…まぁいい。)

 

殴り飛ばした死神の様子を見るに、先程の一撃が相当きているのか足取りがおぼつかない状態。放って置いて銃器の死神を相手に専念してもよさそうな位瀕死状態だった。

 

「遠山、右手が銃のヤツ。援護射撃よろしく!」

 

「お、おうッ!」

 

銃器の死神に目掛けそれぞれ別れて行動を起こす二人。

 

スナイプがジョーカーの援護射撃にマグナムを死神へ向けて発砲。銃口を構えるヒマを与えない牽制の射撃は功を制し、ジョーカーが間合いを詰めてインファイトで攻める。

 

「ウラァ!──遠山!」

 

「オウ!」

 

ラッシュを決め、横蹴りで距離を空けた所をスナイプが射撃。先程の死神達との立場が一転しての連携に死神は手も足も出ないで鉤爪の所まで吹っ飛んでいった。

 

「オォ、これスゲエ使いやすい!」

 

「いよぉし、決めんぞ。お前顔へこんでるヤツやれ。」

 

「分かった!…で、どうやればいいんだ?」

 

「ああもう、これ押して、コイツをココに挿してだな…。」

 

「えーっと、これ押して…コイツをココか!」

 

<< ズ・キューン! >>

 

<< ガッシャット──キメワザ! >>

 

 

「外すなよ。外したらダサいぞ。」

 

<< JOKER MAXIMUM DRIVE! >>

 

「外さねえよ!」

 

 

スナイプはマグナムをライフルモードに切り替え銃口を鉤爪の死神へ。ジョーカーは再度メモリをマキシマムスロットへ挿すと大きく跳び上がって銃器の死神目掛け右足を突き出した。

 

 

<< BANG BANG CRITICAL FINISH! >>

 

「喰らえッ!!」

 

 

「オゥリャーーッ!!」

 

タダの的当然の鉤爪を狙い打つスナイプ。ジョーカーのライダーキックも銃器の放つ弾丸を押し退けボディにヒットし、二体の死神ロイミュードは大きく吹き飛びながら爆散していった。

 

「…やった。オレ、倒せた!」

 

「フゥ…ナイスショット。」

 

「ッ!…あぁ!」

 

ロイミュードを撃破した喜びから声色がはつらつとしているスナイプに賞賛の声を送るジョーカー。

 

突き出した拳に応える様にスナイプが拳を合わせた、その時だった。

 

「ッ! グ、ガッ!?ァァアアアーーーッ!!」

 

「ど、どうした灰ば、ッ!?グゥ!!ウアァアアアーーッ!!」

 

 

 

「ッ!?ウガァアアアァァアアアーーーッ!!」

 

「せ、先輩!?どうしたんですか!?先輩!!」

 

 

ジョーカーとスナイプが頭を抑え謎の叫び声を発するなか、離れて雪菜を介抱していたキンジ(古城)にも同じ症状が出ていた。

 

変身が解け地面に倒れ込む二人とキンジ(古城)。

 

死んだかと思われる位に何の反応も無い三人。だが少しすると動きだし、三人とも頭を抑え具合が悪そうに起き上がって来る。

 

「ゥゥ……なんだってんだクソッタレ…ッ!!」

 

「マジで頭割れるかと思った…ッ!!」

 

「イデデ、急に何が…ッ!!」

 

「せ、先輩?」

 

起き上がった三人は激しい頭痛に見舞われながらも自身の服装や体を触れて調べだすと、揃いに揃って声を上げた。

 

「「「も……戻ったぁああーーーッ!!!」」」

 

頭痛の後遺症すら忘れる位に感情的になった三人。離れていたキンジと雪菜が合流する。

 

「先輩達、本当に戻ったんですか!?」

 

「あぁ!間違いなく戻ってる!!」

 

「このダルい感覚……戻っちまったかぁ。」

 

「まさか時間が経つと戻る仕組みとは……あの低脳堕天使、そういう仕組みならさっさと言えってんだ!」

 

「まぁまぁとにかく体が戻った事だし、これで一段落とうことで。」

 

「お前達はな。」

 

「? どういう事だよソレ。」

 

「俺はもう一つの厄介事を片付けに行って来る。お前達はこのまま家に帰ってろ!」

 

「あ、オイ灰原!」

 

悠は古城達を残しその場から駆けて去った。

 

視界に入った高層ビルに向かって携帯を取り出す。

 

「クリム!G4を出せ!とっておきのアレを使う準備もだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヴェァア八ハハハハハハハハーーーッ!!!

無駄無駄無駄ぁァアアアッ!!真の神にそんな攻撃が効くかァアアアァアッ!!」

 

『ヌォォオオオーーーッ!!!』

 

水のエルが放つ光球をゲンムは避けもせず直撃を受けるが一向にダメージが入って無いらしく、水のエルに向けての特攻をかましていた。

 

爆炎に身を焼かれながらもスパローを振るうゲンム。水のエルは瞬間移動でその場から消え、ゲンムから離れた位置に姿を現す。

 

「ダァーッハッハッハッハッハ!!!どうしたァ、私を一向に倒せないではないかァ!?

所詮貴様の様な天使如きが、真の神である私を相手にすること自体が烏滸がましいのだァァァアッ!!!」

 

『認めぬ!断じて認めぬ!!貴様のような下賤な人間が神など、断じて否定する!!』

 

「嘆かわしいなァ。貴様が仕えている神が矮小な所為で私の偉大さが理解出来ないとは…可哀そうなヤツだ。」

 

『ッ!………き…キサマアァアァアアアッ!!!』

 

ゲンムの放った言葉に相当効いたのか水のエルから放たれる膨大なオーラが天に届く位に放出される。

 

『キサマだけはッ、キサマだけは断じて許さん!!我らの神を侮辱した報いを…!!』

 

 

 

ーダァァンッ!!ー

 

『ッ!!!』

 

「ム?」

 

水のエルに背中に上がる白煙。当たった衝撃に一瞬前のめりになるがすぐ体制を直す。

 

『……小癪な…ッ!?ガッ、グァアァアァアアアーーーーーッ!?』

 

突然水のエルの体から煙が吹き出し悶え苦しみ出す。

 

ゲンムは静かに水のエルの背後に立つ高層ビルの屋上から、僅かに光ったのを見てすべてを悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

<初弾命中。着弾箇所ノ誤差ヲ確認。許容範囲内。>

 

「続けてもう一発。再計算。」

 

<了解。>

 

ゲンムと水のエルがいる場所から大きく離れた高層ビルの屋上。巨大な棺桶、トイボックスを背後に巨大なライフルを構えたG4-Xが弾頭の無い薬莢を排出し、長いバレルを取り外しながら、ズームで苦しむ水のエルを確認する

 

「流石に効いたな。改良に改良を重ねた神経断裂弾。一発ぶち込めばクジラだって卒倒するレベルの破壊力。それに加え…。」

 

トイボックスから取り出したのは新しい狙撃用のロングバレル。ストックと従来のより一回り大きいスコープを着けたスコーピオンに取り付け、バレルから伸びるコードをベルトのサイドに繋げた。

 

「超長距離狙撃電磁砲ユニット”GM-09ジャッジメント”コイツのフルチャージは例えこの距離の戦車だって簡単に突き破れる貫通力だ………まぁ神経断裂弾使う以上抑えめだし、一発撃つ毎に取り換えなきゃいけないし…気を付けてはいるんだがどうしてもこういうのを造るのに金を掛けちまう。」

 

<弾道計算完了。データ転送シマス。>

 

「っと、さてダメ押しの一発…スゥーー…ッ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(今のは悠君の新兵器…という事は、元に戻ったという事か!)

 

『ウガァアアアァァアアアーーーーーッッッ!!!

屈さぬ゛ッ!倒れぬ゛ッ!!我らが神の遣いである我が人間の小細工等にぃ!!』

 

「フン、だから底が知れているのだ貴様は!」

 

G4-Xの放った神経断裂弾に苦しむ水のエルに向かって、スパローのボタンを押し刃にエネルギーを溜めながら接近する。

 

「その小細工に、いや、私の言葉に感情的になった時点で貴様は人間に劣っている…自分が至高だと思いあがった、クズなんだよぉ!!」

 

『グアァアァァアアッ!!!』

 

肥大した紫の鎌が水のエルの体を切り裂いた。

 

体に大きな切り傷を刻まれた水のエルは地を転げ回り、その光景にゲンムは高らかに笑い上げる。

 

『ヌゥウッ!!キサマァァッ!!”ダァァンッ!!”ッッッ~~~~!!!グァアァアァアアアッッッ!!!』

 

起き上がる水のエルに再度撃ちこまれた神経断裂弾が水のエルを更に苦痛に与えていく。

地獄とも言える痛みを味わい地面に転がり悶え苦しむさまに、ゲンムはスパローを投げ捨てドライバーのAとBのボタンを押した。

 

「神の裁きを受けるがいい!」

 

<< CRITICAL DEAD! >>

 

ゲンムの足元を中心に広がるドス黒い水の中から這い上がって来たのは、幾人のゲンム。

足元の黒い水たまりごと一斉に水のエルに向かい、奈落へと連れて行こうと言わんしがみ付くゲンム達。すると水のエルと触れている箇所から腐臭が放ち、色味が黒くなって腐敗していく。

 

『ヌガァアアアアアアッ!!!己ェッ、下賤な人間がアァアァアアアッ!!』

 

「下賤な人間では無い……神だあああああああッ!!!」

 

ゲンム達が一斉に赤く点滅しだし、やがてすべてが赤一色に染まっていくとゲンム達が一斉に爆発。その中心に居る水のエルは当然一溜りも無く、炎に呑まれ散っていった。

 

<< GAME CLEAR! >>

 

空に上がったアギトのレジェンドライダーガシャット。掴み取ったゲンムはガシャットを目に笑い声を上げていた。

 

「ハッハッハッハ、宣言通り後でこのガシャットから貴様だけのデータを削除してやるゥ!これぞ神にしか出来ぬ事よぉ!!

ブァアアッハッハッハッハッハッハッッッ!!ダアアアァァアァアアアァアッハッハッハッハッッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんか酷くなってね?撃っちゃおうかな?どうせ死なないし。」

 

<弾道計算完了。データ転送シマス。>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──あーーホンット散々な目に遭ったぁ。」

 

「アナタの周りはいつも賑やかですね。体が入れ替わるなんて貴重な体験じゃあないですか?」

 

バグスター騒動が片付き負傷者のハルナと蓮司は地下のドッグへと運ばれ(水着を着せて隣り合わせに入れた)、神太郎はラボに籠り不気味な笑みを浮かべながら端末の画面に齧りついていたので近づかなかった。

 

悠は自室にて風呂上りのラ・フォリアに髪をヘアブラシを使って梳いている作業をしながら入れ替わった際の愚痴を溢していた。

 

「私も機会があれば変わってみたいですね。男性の体って女性とどう違うのかちょっと興味ありますし。」

 

「止めとけ止めとけ。同性であんなんだったんだろうからもっと最悪だって。

他の二人だって同意見だろうよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のキンジは、寮の自室にてベッドに寝ころびながら今日一日を振り返っていた。

 

(……ちょっとだけだったけど、なったんだよなぁ、仮面ライダーに…。)

 

いつも離れて見ていた仮面ライダーに自身がスナイプとなってロイミュードを撃破した場面とジョーカーを拳を合わせる場面が走馬灯のように浮かぶキンジは何処か感慨深く思い返していた。

 

「キンジー?ちょっと桃まん切れたから買って来てー…ちょっと聞いてんのキンジ!?」

 

 

 

 

 

「ぉ、ォォオオオ…。」

 

「大丈夫ですか先輩?」

 

「あー、もう湿布無いよ。薬局行って買って来なくちゃ。」

 

古城は自室のベッドにて雪菜と凪沙に見舞われながら全身を襲う筋肉痛に悶えていた。

 

原因は昨日今日の変身した後遺症である。

 

「灰原のヤツゥ、もう少し人の体労れっての…!」

 

「先輩…これを機にトレーニングでもしますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ自分の体が一番だってのが今回の一件で重々身に染み付いたわ…ハイお終い。」

 

「ありがとうございます。」

 

「………。」

 

ラ・フォリアの髪から手を放す悠。

その際に彼女の背後から見える白く細い首筋、悠の視線が傷の無い綺麗な肌に向けられていた。

 

 

「?どうかしまし”ギュ”え?」

 

違和感を感じたラ・フォリアが振り返ると、何の前触れも無く悠が抱き着いて来たのに戸惑いを隠せずにいた。

 

「ちょっと悠!?どうし”カプ”ひゃ!?ちょッ、んんッ!」

 

首元に顔を埋める悠はラ・フォリアの首筋に自身の歯で噛み付き出した。

痛みとかは一切無く甘噛み程度の加減だったが、肌を吸い付く感触に思わず艶めかしい声が漏れてしまう。

 

「───ん、フゥ。」

 

そんな時間が暫く続くと満足したのか悠が離れ、彼女の首元にはくっきり着いた歯型と虫刺されの様な赤い点が残された。

 

未だ状況が理解できてなのか頬を赤くしながら目が点となって見つめるラ・フォリアに悠があっさりとした態度で応える。

 

「暁の体に入ってる時、ずっとそうしたくて堪らなかったの抑えてたもんだからね。お蔭でスッキリした。」

 

そう何時に無く満足気にいいながら部屋を出ようとする悠。ドアから出る際に「あぁ後…。」と呟きながら、振り返ってイタズラな笑みを見せた。

 

「俺だって男なんだし、抑えが効かなくなって喰っちまうか分かんねえから、これを機に少しは気を付けなさいよ。特にあの仮装紛いのコスプレはさ。」

 

それだけ言い残して悠は自室から出ていった。

 

残されたラ・フォリアは言葉の意味を理解した後、ベッドの枕に蹲って噛まれた首元を擦る。

 

「襲って来ても良いって前から言ってるのに……バカ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、コレって”お前は俺のモノ”って印!?キャー!」

 

「はわ、はわわわわッ!!!」

 

ちなみにあの時居た他の二人もしっかり堪能した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





※何度目になるか分からない嘘予告。

今回は完全に作者の趣味です。ライダーモノではありません…。














四人の転生者は、死んだ。

ある世界を救う為、その命を引き換えに強大な悪から守りきった。


そして長い年月が経ち、彼等の魂は輪廻転生を迎え新たな世界へ生を得た。

しかし、彼等はその世界でも戦いの場に身を投じる。


仮面の戦士では無く、陰我を狩る魔界の騎士として。




「ココが新しい管轄、ね。」

『来て早々無様な姿は曝さないでくれたまえよ?キミは只でさえ詰めが甘いトコがあるのだからね。』

「…ムーヴァ。その辛辣な小言は何時まで続くんですかねぇ?」

『キミが一人前になった時さ。キミの代で鎧に称号を得たとは言え、まだ半人前だと言う事実は消えないからね。』


称号を得た魔戒騎士 灰原 悠。






「お!オタクがこれから一緒にやる魔戒騎士?いっちょよろしく!」

『なんや!思うとったよりも随分優男やんけ!ホンマ大丈夫なんかいな?』

「マルバ、それちょーっと失礼っしょ?」


陽気な魔戒騎士 桜井 秋。





「楽観的な騎士と礼儀のなって無い騎士…頭が痛くなりそうだな。」

『蓮司様。気持ちは分かりますが、これもお役目です。』

「分かってる、ボルバ。これしきの事で彩守の剣は遅れを取らん。」


名家から出た魔戒騎士 彩守 蓮司。




「えぇ?アタシ一人でこの癖有りまくりの三人の面倒見ろって言うの?…勘弁してよ。」


三人をサポートする魔戒法師 ハルナ









『見せたれや秋!電光騎士サマの腕前ちゅうんをな!』

「オウ!速攻で決めんぜ!!」

稲妻の如き速さで槍を振るう琥珀の狼 電光騎士 滅牙



『蓮司様!』

「邪悪な闇に染まりしホラー…いざ参る!」

一刀の元全てを断つ空色の狼 断罪騎士 醒牙




『少々厄介なホラーだ、油断せずに行きたまえ。』

「あぁ…きっちり斬ってやるさ!」

双剣を振るいし黒曜の狼 深淵騎士 暗駆





人知れず人々の希望を守る新たな魔戒騎士達の活躍を括目せよ!







「良く来たな、若き騎士達に法師よ。
私がこの地を管理する神官…神と言ってもよいぞ!
ダァーッハッハッハッハッハ!!」


((((うわ、ウザ。))))



近日、公開?







はい、という訳でライダーでは無く雨宮監督作品の牙狼を基に造った予告でした!

ライダーシリーズに次いで好きな特撮作品だったのと、某破壊者が騎士をやってる影響で書きました!
実際ガロシリーズにライダーで出てた人結構いるんですよねぇ、ドラゴン北崎だったり斬鬼さんだったりタイガ兄さんだったりメロンの主任とか。

お付き合いいただきどうもでした!

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