その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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エクゼイドトリロジー、見て来ました!

皆それぞれ見せ場があって非常に良い作品でしたね!ヒイロが真の意味でゲームクリアとか、パラドの心の叫びとか、神の人間味が出た場面とか!

ちなみに劇場で貰ったキャラカードは、スナイプ、ポッピー、ゲンムでした。


暴走

悠の上司、灰原 神太郎ことカインからアベルの正体とBABELの仮面ライダーを転生させた諸悪の根源と知らされる悠達。

ハルナの容体にも気になるなか、未だアベルの目的が分からないまま一日が過ぎ、悠と秋はハルナを神太郎に任せ学園へ登校していた。

 

 

 

 

 

「え?凪沙ちゃんの様子が可笑しい?」

 

「あぁ。どうもぎこちないと言うか、抱え込んでるって言うかさ…。」

 

何時もの溜まり場で悠は古城から相談を持ちかけられていた。

曰く、妹の凪沙の様子が何処か可笑しいとの事。それを聞いて悠は罰が悪そうな表情を浮かべる。

 

「……まぁそれに関しては大いに心当たりがあるというか………そっちもなんだかんだ言って勘付いてるだろ?」

 

「…やっぱ、アレか? 凪沙が連れ去られちまった、あの日の…。」

 

悠は首を縦に頷く。目の前でゴルドドライブに連れ去られた挙句、命がけの死闘に巻き込んでしまった悠にとって最大の失態。

 

おまけに彼女の前で見せた姿が、ライダーの姿では無く魔進チェイサーという選択もマズかった。魔族に対してトラウマ持ちの凪沙から見たら魔進チェイサーも十分対象に入ってる分、植え付けてしまった恐怖は倍増しだろう。そんな恐怖を凪沙に与えてしまった悠は彼女に対して罪悪感MAXで抱え込んでいる。

 

 

「…今更だけどさ、ホントあの時は、ゴメン。あの日以降時間ある時ちょくちょく影から様子見てたけど、反って無理してる姿見たらなんかもういたたまれなくなって逃げちゃったわでそれがずるずると続いちゃって…。

PTSDになったって全然可笑しく無いって言うのに俺ときたら……もう何やってんだよ。」

 

「……そこまで反省してるなら、どうにかしろよ。少なくともこのままでいるのはお前にとっても凪沙にとっても良くはねえだろ。」

 

「今までこういうのは記憶消して、ハイ終わり。で済ませてたから、具体的な解決案が全然思いつかないのよねぇ、それに必要なメモリはあの野郎が管理するとか言って持ってかれたし……ていうか、そっちはそんなんでいいワケ?」

 

「? 何がだよ?」

 

「いやだってねぇ、オタク年齢詐称の殺人鬼と妹の仲をより戻そうとしてんだぜ?普通さぁ”二度と近づくな!”なぁんてのが普通だけど。」

 

「それはそうだけど、それは必要だからやってる事なんだろ?」

 

「そうだよ。でもだからって正当かと言われれば、ハイそうですね、じゃないだろ?」

 

「………まぁ、一般的に考えればな…。」

 

「つまりそういう事。本当はこれを期に縁切るべきだが……こうなった以上はちゃんとケツは拭きますよ…。」

 

「……おう。

 

古城は妹の抱えてる心の闇を悠に任せる事にした。謎だった彼の全貌が分かったというのも理由の一つだが、それを抜きにして悠なら凪沙の事について真剣に考えてくれると信じての考えで任せたからである。

 

他でも無い、憎まれ役を買っても命懸けで凪沙を助け出した悠ならば。

 

「とりあえず当面の課題は心理学を学んで、カウンセラーの資格を取る所からだな。」

 

「本気で思いやってる気持ちは伝わるけど、それ絶対時間掛かるから却下な。」

 

一般的な心理カウンセラーの資格取得は専門の大学と院生を修了。卒業後に既定の心理関係の仕事をこなさなければ取得出来ないので、今からだと大分時間が掛かる為に即座に却下された。

 

「いやホラ、話してくにしてもそれなりの準備を整えてからの方が…。」

 

「資格取るのならもっと別の準備をしろよ!何処で何を話すとか、そういうの!」

 

「ひのきの棒で戦場に行けっていうのかお前は!!」

 

「どうしてそうなるんだよ!?」

 

悠の中ではBABELやアベル相手に力量で挑むより、女性問題に立ち向かっていくのが非常に困難であった。

 

任せた当人は古城の期待通りに真剣に考えてくれてたが大分度が過ぎる位に、それこそ自身がシスコンと言われるくらい周りが見えなくなる位に暴走していた。

 

 

「よぉ、灰原に暁。久しぶ……どうした?」

 

 

久しく顔を見せて来たキンジの登場によって、一先ずこの喧騒は収められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の神太郎は地下ラボにてハルナのメディカルチェックの真っ最中だった。

 

寝台に寝かされたハルナの額にはいくつものコードが貼りつけられ、神太郎は傍らで端末を操作していく。

 

「───うん。脳波測定はこの位で良いか。

お疲れ様。もう外しても大丈夫だよ。」

 

「はい。」

 

神太郎に言われ起き上がったハルナは額に張られたコードを剥がしていく。

脳波の測定データを速攻で纏め上げた神太郎は、今日取ったデータを一通り見通した後、顎に手を当て考える素振りを見せハルナに質問を投げる。

 

「フム……改めて聞くけど、昨日の戦いの事はちゃんと覚えているんだよね?」

 

「はい……でもどこか朧気というか、夢を見ていたような感覚と言うか…。」

 

「フムフム、完全に意識を乗っ取られた、って訳ではないのか…。分かった、ありがとう。

今日はもう終わりだから、後はゆっくり休みなさい。」

 

「あ、はい…あの、もしも何ですけど、もし私の体で何も問題無かったら…私も戦うんですか?」

 

ハルナの口から出た言葉に神太郎は端末から目を離して腕を組む。

 

昨日の戦闘を見た限りではレベル差が大いにあるグレムリン相手に有利に相手取ったあのセンス。勝ちに行くならアレは放って置いとくのはこの戦争に置いて愚策とも言える。

 

だが彼女の体に潜んでいる謎が解けたとしても前線に出させるのを悠は反対するだろう。いや、悠以上に弟である秋が猛反対を出しても可笑しくない。

 

選ぶべきは効率か人情か。どちらも此方にとって必要な故に非常に難しい選択である。

 

「それは…………そうだなぁ………保留って事で!」

 

「はぁ……分かりました。」

 

若干話しを濁されたハルナは少しガッカリしながら寝台から降りて上に上がる階段へ向かおうとする。

 

その際に視界に入ったデスクに置かれているモノに目移りしてしまう。昨日変身に使ったゲーマドライバーをマイティアクションXのガシャット。

そして他のガシャットとは違って、持ち手に竜の意匠が見られる金色のガシャットに注目していた。

 

「神太郎さん。このガシャットは?」

 

「ん? あぁ、それね。今朝ロールアウト出来た新しいガシャット、ドラゴナイトハンターZさ。」

 

「ドラゴナイトハンターZ…なんか前世で見たのと似たようなタイトルなんですけど…。」

 

「アレはアレ、ソレはソレだよ! なんにせよそのガシャットも含め彼等に渡した十本のガシャットは全て私の作品さ!

特にソレは今まで作ったガシャットの中で最高のレベル…Lv.5に至るガシャットだ!」

 

「Lv.5!?……凄いですけど、でも何で4とばして5?」

 

「少しでもアベルのレベル50に近づく為さッ!!

非常に悔しいが、今の私の腕ではアベルのレベル50に至るガシャットはまだ出来無い…!

だがァ!!ガシャットを作り!!得た戦闘データを基に更に強力なガシャットをこの手で生み出すゥ…やがてその力はアベルのガシャットを超えッ、この私に軍配が上がるのだァァアアアアアアッ!!!」

 

(…しまった、ガシャット病が起きてしまった…。)

 

腕を高々と上げて勝利宣言を上げる神太郎に、前以て効かされた秋命名のガシャット病が発症した際は全力でスルーするか頭を殴って気絶させた方がいいと聞かされたのでハルナは後者を取った。

 

思いっきり後頭部を殴りうつ伏せに倒れる神太郎を先程まで使っていた寝台に寝かそうとし運ぼうとした時だった。

 

ラボ内に敵を出現を知らせる警告音が鳴り響いたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「カウンセラー? お前将来カウンセラー目指しているのかよ?」

 

「いやぁ、自分と一人の少女の心と向き合うのに必要でして…。」

 

「は? どういう意味だ?」

 

「無視して良いぞ遠山。」

 

自販機前で以前の様にたむろっている悠達三人。最近では武偵の方で忙しかったようであり、こうしてゆっくり出来るのは大分久しぶりだとかで声色に疲労が見て取れる。

 

「お疲れの様だねぇ。」

 

「まぁな。最近になって蘭豹がバケモノと仮面ライダーに対する実戦訓練とかいって扱きに扱かれるわでな、受けた強襲組連中は毎回ゲロ吐かされるまでやらされるわで…。

しかも強襲組の中でオレが一番仮面ライダーと接触してるから、細かな報告書作らせられるわ、アリアはそれをオレ一人に押し付けるわ…。」

 

「そ、そうなのか…。」

 

苦笑いで隣の悠に視線を向ける古城だが、当の本人は知らぬ顔でコーヒーをちびちびと飲んでいた。

折角久しぶりに揃ったというのに、キンジから漂う暗い空気に耐え切れなくなった古城は、半ば強引に話題を変えた。

 

「そ、そういや修学旅行前に授業参観があるけどよ、お前等は親来るのか?」

 

「あー、そういえばあったなぁ。

どうだろうか、オレん家はちょっと色々ごたついてっから…。」

 

「そうか、じゃあ灰原は? 親父さん家にいるんだろ?」

 

「来させねえ。絶対面倒な事になりそうだから。」

 

「…ん? 親父さん?…え、灰原の親父さん、居るの!?」

 

喰い付いた!と言わんばかりに目をギラつかせる古城。この流れに乗っかって重い空気を変えようと口を開いた。

 

「そうなんだよ!この前コイツの家寄ったら居たんだよ!

いやぁ、びっくりしたぜ。若かったし、頭銀髪だったしでよ。」

 

「マジかよ、うわすっげえ気になる……。」

 

「そんな大した事じゃ無いと思うんだけどなぁ…。」

 

「「いやそれ結構な事だからな!?」」

 

何時の間にかいつもの調子に戻ったキンジを見て、悠も満更でない反応を見せる。話しは次第に盛り上がり、キンジの様子もすっかり元気になった。

 

口にこそ出さないが、こうして三人揃って他愛も無い会話をするこの時間。この時間だけは普段かけ離れた平穏とも言える一刻を味わえる為に三人は自然と此処に足を運んでいるのである。

 

 

だがその平穏は、短いからこそ非常に貴重なのだ。

 

 

「見つけた!

ちょっとキンジ!!アンタこんなとこで何やってんのよ!?」

 

「げ、アリア…。」

 

「全く、休み時間になると何処に行ってるのかと思えばこんな所に…ッ、アンタ…。」

 

三人の前に現れたアリアは悠の姿を見るや顔を歪ませ、目の敵を見る様な視線を飛ばす。

 

「ちょっとキンジ。アンタこんな奴とこんな所で何やってるのよ。」

 

「そ、それは…。」

 

「ご覧の通りコーヒーブレイク、ですけどなにか?」

 

「アンタに聞いてないのよ!!」

 

「どうせ誰が何言っても、オタクそうやって怒鳴り散らすしか能が無いんだから別にイイじゃないの。」

 

「何ですってぇ!?」

 

「アレ? 俺間違った事言ってた?」

 

「あーハイハイそこまで!! 灰原は無駄に挑発し過ぎ!!」

 

「アリアもそこまで好戦的な反応を返すな。

蘭豹にも言われたろ。お前それで今まで痛い目に遭ってるの、もう忘れたのか。」

 

一触即発の空気になるのを古城とキンジが収める。

悠はこれ以上何も言って来なかったがアリアは未だ悠の態度が気にいらないのか敵意を向けて睨み付けている。

 

アリアは悠が自分に対して舐めている態度を取るのが非常に気に喰わない為嫌っており。悠は当初の頃、仕事中余計な邪魔をされた事でアリアを嫌いな部類の人間にカウントしている為に、滅多に表に出さない辛辣な口を出すのである。

 

兎にも角にもこのままではこの場に銃弾が飛び交ってしまう危険があるのでキンジは即座にアリアを連れてこの場を去ろうと動いた。

 

 

 

「ほら行くぞ…悪かったな二人共、今度メシでも行こうぜ。」

 

「おう。気にすんな。」

 

「その時は借金も返せよー…8万。」

 

「いや3万だろ借りたの!! 何ぼったくろうとしてんだ!?」

 

「冗談だよ。」

 

 

そんなやり取りを残しながら自分達のクラスへと戻るキンジ達。まだ後ろに二人の姿が見える道中アリアが口を開く。

 

「ねぇキンジ。アンタあの二人と何話してたのよ?」

 

「特に大した話はしてねぇよ。

強いて言うなら授業参観の話になって、灰原の親父さんが今家にいるんだと。」

 

「親父…。」

 

眉を八の字にシワ寄せたアリアの顔がそう呟いた際、何処か曇りかがった顔になる。

 

(アイツは家に帰れば家族が待っている…それなのに、私のママは…!!)

 

「アリア?」

 

「……別に…なんでも無いわ……ッ!?うッ、ゥゥウ…ッ!!」

 

「アリア!?おいどうしたアリア!!」

 

突如胸を抑えて苦しみ出したアリアは膝から崩れ倒れてしまう。

 

その様子は離れていた悠達の耳にも届いており、只事では無いと察した二人はキンジ達の元に駆けよる。

 

「おいどうした遠山!?」

 

「分からねぇ、アリアのヤツが突然苦しみ出して……うわッ!?な、何だよコレ!?」

 

「ッ!!このノイズ…!」

 

アリアの体に奔るオレンジのノイズ。それが表すサインに気付いた悠はキンジをアリアから引っぺがして距離を取った。

 

「お、おい灰原!!何すんだよ!!アリアが…!!」

 

「いいから離れてろ!!……出て来るか!」

 

「ァァアアアアァアァアアアーーーーッ!!!」

 

体から浮き上がるオレンジの物体が形を創っていく。

だがそれは人型のサイズに収まらず、どんどん大きくなっていきやがて校舎ほどの大きさになるとその姿を現わす。

 

胴長の巨大な体に赤い頭部。首回りは獅子を思わせる白髪を纏う龍の妖。巨大魔化魍・オロチが目覚めの産声をかき鳴らした。

 

『ガアァァァァァアアアンッ!!!』

 

 

「おいおい冗談キツイって!!厄介そうなのガシャットからよりにもよってオロチかよ!!」

 

「おい灰原!!こいつは一体何なんだよ!?!? どうしてアリアがあんな姿に…!!」

 

「お、落ち着けって遠山!」

 

 

『グアァアァアアアンッ!!』

 

「やべぇ、こんな所で暴れられたら……あぁもうしゃーねぇ!!」

 

 

<< STAGE SELECT! >>

 

 

オロチが学園内で暴れる危機を脱する為、悠は英断を下す。

キンジの前でゲーマードライバーを装着し、ゲームエリアを展開。辺りは学園から断崖の岩壁が並ぶ渓谷エリアになりキンジはしきりに首を回していた。

 

「なッ、なんだよコレ!?なんで何時の間にこんな岩場に来てるんだオレ達!?」

 

「灰原、お前…。」

 

「負うリスクを考えればまだ知られる方が軽いと思ってね…遠山、これから見るのは他言無用で。」

 

「え?」

 

 

<< BANG BANG SHOOTING >>

 

「な、なんだよ、ソレ…。」

 

「変身──。」

 

<< ガッシャット! >>

 

<< Let`s GAME! Mettya GAME! Muttya GAME! Whats your NAME?──>>

<< I`ma KAMEN RIDER! >>

 

 

「は、灰原…!?」

 

 

悠は未だ状況が掴めないキンジの前でスナイプに変身。

目の前で友人がゆるキャラ当然の姿になった事に更なる混乱が湧くなかスナイプは目の前で空中に佇むオロチと相対する。

 

<< ガシャコンマグナム! >>

 

「嫌いな奴だが、見殺しにする理由はねぇ…な!」

 

『ガアァァァァァアアアンッ!!!』

 

スナイプは嫌いな人間を助けるべく単騎でオロチに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場所は変わりガレージ地下ラボ。

 

神太郎が新たに設置したバグスター発生警報器によって報せを知ったハルナは端末から送られる情報を目に通し見開いた。

 

「学校にバグスターが!? しかも何よコイツ、最早怪獣じゃない!!いくら灰原君一人じゃ…。」

 

ハルナは学園に居る秋に連絡しようとしたが、その時デスクに置かれたドライバーとガシャットが視界に入る。

 

「……私自身もまだ分かっていないけど…今の私ならこれだって!」

 

ハルナの手は通信機では無くガシャットへと手が伸びていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グオオオオオオォォッンッッ!!!』

 

 

「クッ!!」

 

 

単身一人でオロチへと挑んでいたスナイプ。

 

スナイプ自身、オロチの厄介さを理解してる為かオロチ相手に攻め胡坐を搔いていた。

 

オロチの強さは単純が故に厄介な相手だ。動きは空も自在に飛べる為速く、その巨体故に強く固い。

振るわれる尻尾の攻撃をドラム缶を足場に動いて避け続けるスナイプはマグナムを放つもオロチに対し有効打に至っていない。

 

オロチが圧倒的有利のイタチごっこが繰り広げられている光景を、離れた場所で岩陰に隠れた古城とキンジは顔を出した。

 

「一体何が何だってんだよ!?

アリアはあんなバカデカい化け物になるわ、灰原は着ぐるみみたいなの着てあんな身軽に飛び回って化け物と戦ってるし、一体どうなってんだよ!!」

 

「……オレだって今だに分かんねえ事だらけだよ…でもこれだけは言えるぜ遠山。」

 

「な、何だよ…。」

 

「…少なくともアイツは、いつもああやって命懸けで人の生き死に関わってるって事だよ…。」

 

「…何だよソレ……いきなりそう言われても理解に困るっつうの…!」

 

「だよなぁ……悪い。オレじゃあ上手く説明できそうにねぇな。」

 

「…知ってるなら後で聞くさ。当然、灰原のヤツにもな。」

 

 

キンジが目を向ける先、オロチの背に乗ってマグナムを撃ち続けるスナイプへと再び視線を戻される。

 

 

『グアァアアァアッッンッッ!!!』

 

「このッ、大人しくしろって!!──おわァッ!?」

 

 

オロチが抵抗に身を大きく振り払ってスナイプを振り落す。

 

振り落とされたスナイプは地面に転げ回り、オロチはスナイプ目掛け口を大きく開き炎を吐き出すべく溜め込んでいく。

 

 

 

が、そんなオロチの頭部目掛け横から放たれる光弾。光弾は頭部に当たりオロチの気がスナイプから外れたその隙を反対から別の影が飛び掛かって来た。

 

 

「ハァアッ!!」

 

『ギュアアァアァアアアーーーッ!!!』

 

 

飛び掛かって来た影、ブレイブはオロチの目元目掛けガシャコンソードを振り、見事命中させオロチの片目を奪う。

そして倒れているスナイプの元に先程光弾を放ったレーザーが駆け寄って来た。

 

「悠兄さんお待たせ!大丈夫か!?」

 

「…あぁ。二度とロデオなんかしねぇ。」

 

「よし!大丈夫だな!」

 

普段の軽口を聞いてスナイプの安否を確認したレーザーは、ブレイブが斬り掛かってるオロチを前に”うわー”と声を漏らす。

 

「また倒すのに相当厄介なが来ちまったなぁ…。」

 

「おまけにまだ分離も済ませてねぇしな。

…アイツを利用しよう。オロチが剣バカに目がいってる隙に俺達が死角から同時攻撃…。」

 

「グァァアアッ!!」

 

スナイプが作戦を伝えようとした矢先、ブレイブがオロチの攻撃を喰らい吹っ飛ばされてしまい、断崖の壁に激突してしまった。

 

「…よし!一人減った。さっきのは忘れろ。」

 

「今メッチャ喜んだなオイ!?…って!来てる来てる前ぇ!!」

 

 

『グアァアアァアンッ!!』

 

 

標的をブレイブからスナイプとレーザーに切り替えたオロチは、二人目掛け体当たりを仕掛けるが、二人は左右に分かれて回避し、スナイプはマグナムを、レーザーはフロントアタッカーから光弾を放った。

 

それでも与えられるダメージは無い。やはり同時攻撃による大技しか手が無いかと思考を働かせるスナイプであったが、目に付いた崖にめり込んでるブレイブを見て妙案が思いついた。

 

 

「秋!! 崖の前に追い込むぞ!!」

 

「えぇ!? なんでか分かんねえけど、了解!!」

 

 

スナイプの指示を聞いてオロチの気を引きつつ誘導していくスナイプとレーザー。

 

飛び跳ねながら動き続ける二人は崖を背に空中で固まった時、オロチは好機と見たか、揃った所で頭から突っ込む体当たりを仕掛けに行く。

そしてその時が、スナイプの狙った瞬間だった。

 

 

「よし、喰い付いたぁ!!」

 

「でぇえッ!?」

 

 

スナイプはレーザーを蹴り、蹴られたレーザーは明後日の方向に吹き飛び、蹴った反動でレーザーとは逆の方向に飛んでいくスナイプは、オロチの体当たりの軌道上から外れた。

 

方向転換が効かないオロチは、スナイプ達で無く断崖の壁に頭をぶつける。その衝撃で減り込んでいたブレイブの体が壁から剥がれ、体の自由が効くようになった。

 

 

「今だ!!」

 

「おっしゃ!!」

 

「くッ…遅れるものか!!」

 

 

この瞬間を狙い、スナイプは自信を弾丸に、レーザーは高速回転を、ブレイブは体に炎を灯しオロチに向かって三方向から同時攻撃を仕掛けに行った。

 

 

「「「ハァアアアアアッ!!!」」」

 

 

『ギャアァアァアアアーーーッ!!』

 

 

流石に耐え切れなかったのか、オロチは三人の当時攻撃をその身に喰らい雄叫びを上げると、体から吐き出されたようにアリアが飛び出て来た。

 

それに気付いたスナイプはアリアをキャッチし、岩陰に隠れているキンジ達の元に運んでいった。

 

「アリア!オイしっかりしろ!!アリア!!」

 

「う……んんッ、ゥ…。」

 

「灰原、コイツは無事なのか?」

 

「いや、あのバカデカいの倒さねえ限り、常に危険な状態だ。」

 

「灰原…。」

 

「…話しはあのデカブツ消してからしてやるよ。それまでソイツを連れて隠れててくれや。」

 

「…………。」

 

キンジはスナイプの言葉を聞いて、静かに首を縦に頷いた。

 

見届けたスナイプは我武者羅に炎を吐くオロチの攻撃を避け続けるブレイブとレーザーの元に行く。

 

「悠兄さん!!」

 

「コイツが街に出ちまう前に速攻でケリつけんぞ!!」

 

<< JET COMBAT >>

 

 

「おう!!」

 

<< GIRIGIRI CHANBARA >>

 

 

「貴様に言われる筋合いは無い!」

 

<< DOREMIFA BEAT >>

 

 

<< ガッシャット! >>

 

 

三人の周りに飛び交う三体のゲーマーが攻撃を放つオロチを牽制しつつ、それぞれのライダーの元に向かう。

 

「第参戦術!──」

 

「三速!──」

 

「段位・三段!──」

 

<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>

 

 

<<──BANGBANG SHOOTING!──アガッチャ! >>

<<──JET COMBAT! >>

 

 

<<──BAKUSOU BIKE!──アガッチャ! >>

<< ギリ・ギリ──GIRI GIRI CHANBARA!>>

 

 

<<──TADDLE QUEST!──アガッチャ! >>

<<──DO・RE・MI・FA BEAT♪ >>

 

 

三人はそれぞれレベル3へとレベルアップする。

その姿を見たキンジはレベル1形態だった為に気付かなかったが、改めて腰のベルトとレベルアップした姿に、悠達が仮面ライダーである事に気付いた。

 

「マジかよ…灰原のアレって、仮面ライダーだったのか!?」

 

「…まぁそりゃ誰も思わねえよな。見たまんまゆるキャラのアレがなぁ…。」

 

悠達の正体がキンジの知る仮面ライダーとは大分違う事にかなり驚くキンジを余所に、スナイプ、レーザー、ブレイブはガシャコンウェポンを手に構える。

 

「削除、開始!」

 

「マッハでノッていくぜぇ!」

 

「いざ、参る!」

 

 

『グアァアァアアアァアンッッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……う~~ん……わ、私は…また知らぬ間に眠っていたのか…?」

 

ハルナに殴られて気絶していた神太郎は酷い頭痛に見舞われながら寝かされた寝台から身を起こした。

 

寝台から降りコーヒーでも飲もうとデスクに置いてあるカップを探す途中、端末に写ってるオロチとスナイプ達の戦闘がリアルタイムで写されていた。

 

「これは!…なんてこった、私が寝ている間に…!

見た所レベルは5か…今の彼等ではキツイ相手だ。

よし、ココは私も…………?」

 

神太郎はスナイプ達の増援に向かおうとデスクに置いたゲーマードライバーを探すが、どこにも無かった。

 

デスクの裏も、下も、マシンの下も隈なく探したが影すら見当たらず、仕舞いには昨日ロールアウトしたばっかりのドラゴナイトハンターZも無かった。

 

「無い…無い無い無い無い無いッ!!、なああああぁぁぁぁぁいィィッ!!!!

私のガシャットとドライバーッッ!!一体誰が、何処にやったぁアァアァアアアァァァッッ!?!?!?

ヌウゥゥウァァアアアアァアァアアアアァアァアアアーーーーーーッッッッ!!!!」

 

ハルナの力加減が悪かったのか、悪化してしまったガシャット病によって神太郎の叫びは数十分続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラオラァアアッ!!!」

 

「ウッラアァアァアアアッ!!!」

 

「セァァアッ!!」

 

 

『グアァアァアアァアンッッ!!!』

 

 

スナイプ、レーザー、ブレイブから繰り出される猛攻撃を前にオロチの動きは一向に止まる気配は無かった。

 

スナイプの弾丸は強固な鱗によって弾かれ、レーザーの矢は振るわれる尾に風と共に散り、ブレイブの剣戟は宙を駆ける素早い動きの所為で空振ってしまう。

 

 

スナイプ達の攻撃を捌き続けるオロチは高く空に昇りブレイブとレーザーが届けない位置にまで上昇した後、急降下しながら口から隕石を思わせる位の火炎弾を放っていく。

 

「クッ!!」

 

「ウワァッ!!」

 

「グァァッ!!」

 

「秋!──ッ!!」

 

『ガアァァァアァアッ!!!』

 

「ヤベッ──ッ!!ウァッ!!」

 

スナイプは降り注いで来る火炎弾を避けていくが、地上に居るブレイブとレーザには火炎弾の衝撃が襲い掛かってくる。

そして下に居る二人の様子を見て隙が出来てしまったスナイプにオロチが大口を開けて向かって来る。覆われた影から気付いて回避しようとしたが、背中のブースターがオロチの牙に当たってしまい、スナイプは煙を上げながら地上へ落ちていく。

 

 

「グァッ!!」

 

「悠兄さんッ!…ちょっとどうするよ!?オレ等の攻撃全然ッ効いてねえし!!」

 

「ヤツのレベルは此方を上回ってるという事か…!」

 

「それ以前にあのバカデカい図体クセに素早いのも問題だ!どうにかして動きを止めなきゃ…。」

 

 

「みんなーーーッ!!」

 

 

オロチに対する対策を練っていくスナイプ達の耳に届く高い叫び声。

 

一斉に首を回すと、今日学園を休んでいるハルナが腰にゲーマドライバーを巻き付けゲームエリア内に入って来た。

 

「桜井!?お前何しに来た!?」

 

「決まってるでしょ!! 私も戦いに来たのよ!!」

 

「戦いに、って…まだ可笑しくなった原因分かって無いのに!?」

 

「馬鹿な事は止せ!コイツはお前では太刀打ち出来ん!!」

 

「………だとしても。」

 

三人から戦わずに逃げろと強く言われるハルナだが、取り出したガシャットを強く握りしめる。

 

「戦える力が在るのに……私だけ安全な所でジッとするなんてご免よ!」

 

 

 

<< MIGHTY ACTION X >>

 

 

ガシャットを起動させたハルナの顔が一陣の風と共に不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「このゲーム…アタシが攻略する!!」

 

<< ガッシャト! >>

 

「大変身!──」

 

 

<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>

 

<<──Mighty MIGHTY ACTION──X! >>

 

 

『グアァアァアアァアンッッ!!!』

 

ハルナは人格と共にエグゼイドへ変わり、雄叫びを上げるオロチと対峙する。

 

 

<< ガシャコンブレイカー! >>

 

「行くわよ!──ていッ!!」

 

「おい待て!!」

 

エグゼイドはスナイプ達の制止を振り切りオロチへ向かって行く。

 

オロチはエグゼイドに向けて尾を横に振るうが、跳んで回避したエグゼイドはチョコブロックをブレイカーで壊す。

 

<< マッスル化! >>

 

「ハァアアアーーーッ!!」

 

腕力強化のアイテムを取り込みオロチの頭部目掛けブレイカーを振り降ろす。

 

大きく出る”HIT!”の文字がオロチの頭部を覆うが、オロチは首を振るってエグゼイドを払い除け、エグゼイドは吹き飛ばされてしまう。

 

「ウアァアッ!!!」

 

「姉ちゃんッ!!」

 

「確かに入った一撃だったのに……やっぱりレベル差が大きな壁か!」

 

「……仕方ねえ、隠し札を切るしか…。」

 

「イツツ……あ~、やっぱ強いわねえ。だったらコレの出番ね!」

 

スナイプが隠し札と言われるモノを取り出そうとした時、起き上がったエグゼイドは金色に輝くガシャットを取り出して来た。

 

「なんだあのガシャット…?」

 

「レベルもゲームも、コイツを倒すのにピッタリの見せ場ね!…行くわよ。」

 

 

<< DRAGO KNIGHT HUTER Z >>

 

 

エグゼイドが取り出して来たガシャット、ドラゴナイトハンターZを起動させるとゲーム画面から出て来た巨大な竜型のゲーマー、[ハンターゲーマー]咆哮を上げながらエグゼイドの周囲を飛び回る。

 

 

<< ガッチョーン──ガッシャット! >>

 

「ッ!──大・大・大・大・大変身ッ!」 

 

<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>

 

腕を大きく振るエグゼイドは勢いよくレバーを開くと、ハンターゲーマーが分解され、頭部の[ドラゴンファング]、両腕の[ドラゴンブレード]・[ドラゴンガン]、両足の[ドラゴンクロー]が、竜の鎧となって纏われようとする。

 

 

<< Mighty Jump! Mighty Kick! Mighty MIGHTY ACTION──X!──アガッチャ! >>

 

<< D・D・DRAGO! KNI・KNI・KNI・KNIGHT! DRA!DRA!──DRAGO KNIGHT HUTER!──Z! >>

 

レベル3を超えたレベル5。ハンターアクションゲーマーとなったエグゼイド。

 

レベルアップしたエグゼイドは強化された姿でオロチへ挑もうと足を踏み出したその瞬間。ガシャットを挿しているドライバーに電流が奔り、やがてそれは全身にまで伝わっていく。

 

「なッ、なによッ、コレッ!……う、うゥッ!………ウガアァァァアァア!!!」

 

「ッ!?」

 

「ね、姉ちゃん!?」

 

「アレは…!」

 

突如としてエグゼイドは辺りに手当たり次第と言わんばかりに攻撃を放ち始めた。

 

竜の頭部から吐き出される火炎放射、右腕の剣から斬撃が、左腕の銃身からエネルギー弾が放たれ、一撃一撃が相当の威力を有しており、断崖に大きな傷跡が刻まれ、当たりの地形が変わりつつある。

 

「クッ! 桜井のヤツ、暴走してやがる!!」

 

「うおアブねッ!!……ちょっとコレどうすんの!?手が付けられないのが増えちゃったよ!?」

 

『グアァアァアアアンッッッ!!』

 

オロチは暴走してるエグゼイドに向けて口から火炎放射を吐く。

向かって来る炎の壁に、エグゼイドは避ける所か炎に向かって飛んでいき、右腕のブレードを突き出すと炎を両断しながらオロチに向かって行く。

 

「ガァアァアァアアアーーーーッッ!!」

 

『ギャアァアァアアアーーーッ!!』

 

炎を突き破ったエグゼイドはオロチの頭部目掛け両腕と頭部から繰り出される強力な一撃を見舞わせる。

 

「あの攻撃を突き破りやがった!?」

 

「あのガシャット、なんと強力な力を…。」

 

「あ! オロチのヤツが!!」

 

レーザーが指差す所に、背中を見せてこの場から飛び去って行くオロチの姿。先程の一撃がで深手を負ったらしくこの場は撤退する選択を取ったらしい。

 

「マズイ!アイツが街に出たら…ッ!」

 

「ガアァァァアァアーーーーッ!!」

 

「ちょ、姉ちゃんッ!?」

 

 

追い掛けようとするスナイプ達を未だ暴走してるエグゼイドが襲い掛かり、そうしてる間にオロチの姿がだんだん小さくなっていく中、ブレイブはエグゼイドの頭上を跳んでオロチを追い掛ける。

 

「あーッ!、オイアンタ何一人だけ逃げてんだよ!!」

 

「身内の不始末は身内が片付けろ!!オレはヤツを追わせてもらう。」

 

「って待てやオイ!!」

 

「放って置け!! 俺達は桜井を止めるのに専念するぞ!」

 

残されたスナイプとレーザーは暴走してるエグゼイドを止めるべく、放たれた火炎放射を避けながら近づいて行くが斬撃とエネルギー弾の弾幕によって後一歩近づけずにいた。

 

「クソッ、全然近づけねえ!!何か……ッ!アレだ!!」

 

スナイプの視線の先にあったのはエグゼイドの攻撃で壊されたであろう剥き出しのエナジーアイテム。スナイプはそのアイテムの元まで駆け、自身に取り込んだ。

 

<< 反射! >>

 

「コレで…ッ!」

 

「ウガァアアアーーーーッ!!」

 

反射のエナジーアイテムを取り込みブースターを点火させ、一直線にエグゼイドへ特攻する。

 

エグゼイドの放った斬撃とエネルギー弾がスナイプへ向けて放たれた。だが反射のエナジーアイテムの効果、放たれた攻撃を相手に返す能力によって、斬撃とエネルギー弾はスナイプに被弾せず、放ったエグゼイドの元に返り、エグゼイドは自身の攻撃でダメージを負った。

 

「ッーーーーー!!!」

 

「今だ!」

 

攻撃を喰らい怯んだエグゼイドの背後に素早く回り込んだスナイプはエグゼイドを抑え付け、レーザーへ叫んだ。

 

「秋ッ!」

 

「分かった!!」

 

スナイプの意図を読んだレーザーはエグゼイドに向かって駆けだし、手を伸ばしてベルトに挿さったガシャットを掴み取り、変身を解除させた。

 

<< ガッシューン! >>

 

 

「──ッ!……わ、私?……あ…──。」

 

「桜井!!」

 

「姉ちゃん!!」

 

変身が解けたハルナは暴走による反動の所為か糸が切れた様に意識を失うと同時にゲームエリアが解除され校舎裏へ戻っていく。

 

悠が脈や呼吸を確認し、正常である事を秋に伝えると秋は腰が砕けた様にへたり込んだ。ハルナの安否を知ってホッとした様子である。

 

それに反して悠の心情は酷く曇っていた。厄介なオロチには逃げられ、ハルナは暴走するわ、キンジに正体を知られるわで盛大な溜息を吐いた。

 

一先ずハルナと共に、離れた所でアリアを抱え呆然としてるキンジを連れて移動しようと立ち上がる悠だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……逃がしたか。」

 

一方、オロチを追っていた蓮司は追跡を巻かれた事に眉間を寄せながら、建物の屋根に昇り周囲を注意深く見渡す。

 

(……ヤツが暴れている様子は見られないな。

何処かに隠れて傷を癒しているのか?……ともあれヤツを野放しにすると必ず街の方に被害が出る。)

 

現状で取れる行動は二つ。

オロチの潜伏先を見つけ傷を癒してる間に叩くか、バグスターが感染者のストレスを増大する為に狙うであろうストレス元を見つけ先回りするか。

 

(あの巨体なら潜伏してる場所は限られる。だが下手に時間を掛ければヤツの傷は癒えて暴れ出す可能性もある…。

安全策、と言う点では先回りが有効か。バグスターの行動パターンも、”完全体になるのを一刻も早く望む”と聞いてるし、脇目も振らず真っ先に来る筈だ。)

 

蓮司は屋根から飛び降り、まずは感染者であるアリアのストレス元を調べに動く事にした。

 

だが真の問題は先回りしたとしてどうオロチと戦うか。自身の持ってるガシャットではオロチのレベルに届かない事は先程の戦闘で十分思い知った。

脳裏に浮かぶのは、最後の局面。エグゼイドがオロチの攻撃を突き破って大ダメージを負わせたあのガシャットの力。

 

(あの力ならばあの龍擬きに対抗できる…問題は、どうやってアレを手に入れるか、か…。)

 

傷害と成り得る男の顔が過ぎるを不快な表情を浮かべながら蓮司は歩を進めた。




アマゾンズの予告見たけど、メッチャ流血シーン出てるやん!これもうR15タグ付けた方が良いと個人的に思いました。

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