オォ、ハザードの静かな凶暴さ、マジでヤベーイ。
今回のグリスとの戦闘カッコよかったっすね!次々と披露するベストマッチに奮闘するグリス、そしてタカガトのヤベーイ蹂躙劇。
万丈もスクラッシュを制御するなど、中々見応えあるイイハナシでしたね!
でもストーリーの展開が下手すりゃ龍騎やガイム並の重い展開になってきてますね…。
突如学園を襲撃してきたラスボスバグスター、サジタリウスゾディアーツとファントム・オーガをレベル3の力で撃破したスナイプ、レーザー、ブレイブの三人。
だが手に入れる筈だったウィザードのガシャットをグレムリンことフリードが強奪し、フリードはガシャットの力を使って進化体へと変貌する。
更に混乱を増す様に現れたアベルの素顔に驚くスナイプを余所に、アベルは未知のライダー、仮面ライダーパラドクスへと変身した。
「さぁ~てと。」
仮面ライダーパラドクスへと変身したアベルは具合を確かめながら辺りを見渡す。
突然の出来事が多すぎて狼狽えていたスナイプ、レーザー、ブレイブは、パラドクスが自分等に視線を向けて来た事により武器を構える。
「フフ♪そんなに固くならないでよ、もっと気軽に行こうじゃないか!」
「…戦いの場に気軽などと言う言葉は最も似つかわしくないな。」
「お前の能天気に付き合う程優しくないんでね。ただでさえバカの相手に苦労してるんでな。」
「ちょっと悠兄さん。流石のオレも空気読むって。」
「そう?なら早速…。」
「オイオイ兄ちゃん達よォ!オレッちの事も忘れないで欲しいねぇ!!
せっかくパワーアップしたオレちゃんの実力見せてやんよ!!」
「おっとそうだね、なら一緒にやろうか♪」
パラドクスの隣で双剣ラプチャーを回すグレムリンを前に、先に動いたのはスナイプとレーザーだった。
スナイプは上空へ飛んでガトリングをパラドクスへ放ち、レーザーはスパローの矢をグレムリンに向けて放った。
「ハァ!!甘ぇんですよ!!」
「おっとっと! いきなりだなぁ!」
「ハァッ!!」
グレムリンをラプチャーを振るいレーザーを矢を叩き落とし、隣ではパラドクスがパズルのようなバリアーを貼ってガトリングの弾丸を防いでる所を、反対側からブレイブが斬り掛かって来た。
だがパラドクスは最初から気付いてたかのように片手でガトリングを防ぎながら、ブレイブの振るうソードを片手で受け止める。
「何ッ!?」
「フフ♪残念──フッ!」
「クッ…!?」
「ハァ!!」
「ッ!チッ!!」
ブレイブのソードを弾き上空のスナイプにパズルのピース型のエネルギー弾を放たれスナイプはそれを回避する。
「シャアァ!!」
「ウオッ!?」
<< ス・パーン! >>
レーザーの矢を掻い潜り懐に入ったグレムリンはラプチャーを振り降ろすが、スパローを鎌モードにしラプチャーを受け止める。
「うん、丁度イイ分配かな?キミ等二人の相手は、ボクだ♪」
「舐めた口を…! セァ!!」
「ぶっ潰す!」
挑発するパラドクスにブレイブは間合いを詰めて剣を振るい、スナイプはパラドクスの死角を狙ってガトリングを放つ。
一方のレーザーとグレムリンは鎌と双剣が打ち合い火花を散らしながらの攻防が繰り広げられていた。
「ハッハァ!! 相手がお兄さんじゃねえのは残念だが、手始めにテメエを切り刻んでやりますよォ!!」
「やってみろやこのキチガイ怪人が!!」
Bボタンを押して威力を増したスパローの鎌を危険と察したグレムリンは受け止めるのでなく下がって回避する。
スナイプ・ブレイブ対パラドクス。レーザー対グレムリンという形式で火蓋が切られた。
「イヤァッ!!」
「ハイ外れ~♪…おっとォ!」
「チィッ! ウラァァアッ!!」
パラドクスは軽快なステップを刻みながらブレイブの剣戟を躱しスナイプの銃弾をバリアで防ぐ。
二人の猛攻を容易く躱し続けるパラドクスは横薙ぎに振るわれるブレイブの剣を大きくバックステップで躱し二人との間に大きく距離を離した。
「う~ん。躱していくのもそろそろ飽きたし、こっちも攻めに行くかな…。
おっと、そういえば忘れてた。まだ教えて無かったよね?
今ボクが使ってるゲームがどんなゲームで、レベルは幾つか。」
「……自分の手の内を曝す余裕があるのか、それとも此方をバカにしているのか…。」
「両方だろう。あのムカつく態度からして…。
ゲームの内容は見たまんま、パズルゲームだろ。でも戦闘に活かせるゲームかどうか判断しかねるが…。」
「正解♪そう、ボクの使ってるゲームはパズルゲーム。でもただのパズルゲームじゃない。
パーフェクトパズルはゲームエリアのあらゆる物質を操り、組み替える事が出来る。例えば…そぉ~れ!」
パラドクスが両手を翳してその場で一回転すると、パラドクスから中心に波紋がゲームエリアに広がりブレイブ、スナイプ、レーザーの召喚された入れ物である、宝箱・ドラム缶・トロフィーが中身のエナジーアイテムを残して消え去った。
「何ッ!?」
「こ~んなカンジにバラバラだったエナジーアイテムを統一する事が出来たり───ッ!」
「ッ!?エナジーアイテムが…!!」
スナイプとブレイブの視線の先には、散らばっていたエナジーアイテムがパラドクスの前に縦横綺麗に並べられ、パラドクスが手の動きと連動してエナジーアイテムが組み替えられるように動く。
「エナジーアイテムを組み合わせて使えるんだよね。こんなカンジに♪」
<< マッスル化! 高速化! ジャンプ強化! >>
「ッ!?」
「マジかよ…。」
「フフ♪──フッ!!」
「ッ!速ッ…!!」
「ハァッ!!」
一枚づつしか取り込めないスナイプ達とは違い、三枚のエナジーアイテムを取り込んだパラドクスはまず上空に飛んでいるスナイプに狙いを定める。
ジャンプ強化と合わせてスピードを爆発的に上げる高速化を使い、瞬間的にスナイプの眼前に迫ったパラドクスにスナイプは銃口を向ける前に腕力の上がったスレッジハンマーを叩き付けスナイプを地面に叩き落とす。
垂直に真っ直ぐ落とされたスナイプは地面に強く叩きつけられパラドクスも地面に着地すると狙いをブレイブに変える。
着地した直後、消える様に移動したパラドクスはソードを構えるブレイブの死角に入り込み、回し蹴りを叩き入れスナイプの方まで吹っ飛ばした。
「グァッ!!…ゥウ!」
「野郎…ッ!!」
「ハハハ♪まだまだ行くよ?」
<< 鋼鉄化! 分身! >>
<< KIME・WAZA!──DUAL GASHAT! >>
パラドクスは二枚のエナジーアイテムを取り込むと一瞬だけ体が鋼鉄になった後にパラドクスの隣にもう一体のパラドクスが現れ二体となった。
腰のギアホルダーからデュアルガシャットを引き抜きダイヤルを元の位置に戻し再度回しホルダーに入れるとホルダーから溢れるエネルギーがパラドクスの右足に収縮される。
<< PERFECT CRITICAL COMBO! >>
「「ハァァアッ!!!」」
「ッ!!、舐めるなぁァァアッ!!」
「セァァアアアッ!!」
二体のパラドクスがスナイプ、ブレイブ目掛け跳び蹴りを放ってくる。
スナイプは両腕のガトリングを、ブレイブはスクラッチを回し刀身に音のエネルギーを宿しパラドクスを迎え撃とうとする。
だが二人の攻撃は防御力を上げる鋼鉄化によってパラドクスの勢いを止める事無く無効化され、二人はパラドクスの蹴りをその身で受けてしまう。
「ガァ…ッ!!」
「ヌアァッ!!」
<< ALL CLEAR! >>
「ハァーー…。」
二人は吹き飛ばされ飛ばされながら強制的に変身が解除されてしまい、傷つき倒れる悠の姿をグレムリンと戦ってるレーザーの目に写ってしまった。
「悠兄さんッ!!」
「余所見禁物ゥ!!ソイヤァ!!」
「しまッ、ウワァァアッ!」
「ッ!!秋ッ!!」
隙を見せてしまったレーザーにグレムリンは魔力を籠めたラプチャーでレーザーを斬り付ける。進化体となったグレムリンの一撃は重く、滅多切りに斬られたレーザーは変身解除されてしまう。
秋は相当のダメージを負って意識が無くなり、ハルナが秋の元に駆けよる。
「秋!秋しっかりしなさい!!秋!!!」
「あ~りゃりゃ、もうお終いでやんすか?呆気な~。」
「アララ、もうそっちも片付いちゃった? 参ったなぁ~、まだ全然遊び足りないよぉ。」
「ッ…攻撃が、桁違い過ぎる!」
「ヤツは、レベル3以上だというのか!?」
「ん? あぁそうだったゴメ~ン!まだレベル言って無かったね!!」
悠と蓮司はその身でパラドクスの性能と攻撃を受けて自分達のレベルを遥かに超えてる事を実感した。そんな二人を見てパラドクスはおどけた物言いで自身のレベルを明かした。
「ボクの使ってるガシャットギアデュアルは、キミ達が使ってるガシャットよりも性能が大きく上回っている。
そのレベルは……50。」
「ッ!?…50、だと…!?」
「まさか…10倍以上も差があるのかよ…。」
「レベル50って…レベル3で勝てる訳無いじゃない!!」
「ハハハハ♪驚いてる驚いてる♪」
「オーイ!オイオイ!!んじゃオレッちは!?パワーアップしたオレッちのレベルは幾つなんだ兄ちゃんよぉ!!」
「ん?ん~、そうだねぇ……パッと見たカンジだと、レベル10って所かな?キミの場合は。」
「オゥ、 悪くは無いけど兄ちゃんの聞いた後だと低ゥ!!」
「…最初からそのレベルは高すぎるでしょ…。」
ハルナが思わず口にした言葉は誰の耳にも聞かれる事無く風に掻き消される。
なにわともあれ状況は最悪。秋が戦闘不能に追いやられ、悠と蓮司もかなりの傷を負ってる。
加えて敵とのレベルの差は倍以上。何処からどう見ても絶体絶命のピンチだった。
「そんでぇ、どうすんよお兄ちゃんよォ。正直今ここでお兄さん殺しちゃうのもなーんかつまんないんだよなぁ。」
「彼等にはまだまだやって貰う事があるから殺してはダメだよ…でもそれ以外なら…。」
「ッ…!?」
ハルナはパラドクスの黄色い釣り目を向けられた途端、途轍もない悪寒が背筋を通った。
一目見られただけでハルナは全てを察した。自分の命の危機を。
「アレだったら消しちゃっても問題無いよ。」
「うっしゃ!!そんじゃチョキチョキイッちゃいましょーか!!」
「ッ!! 桜井逃げろォ!!」
「見過ごしてなるものか!!」
ラプチャーを合わせ巨大なハサミと化したソレを誇張するように刃をかき鳴らすグレムリンに悠と蓮司は傷ついた体を無理矢理起こし、阻止すべく駆けだそうとする前にパラドクスが立ちはだかった。
「おーっとダメダメ♪ キミ等の相手は、ボクだよッ!」
「グゥアァッ!!」
「ヌアァッ!!」
走る二人に回し蹴りを入れて吹き飛ばすパラドクス。生身の状態であった為に二人は防ぐ間も無く喰らい倒れてしまう。
「灰原君!彩守君!!──ッ、へ、変身ッ!!」
<< OPEN UP! >>
「ハーァッ!しゃらくせぇ!!!!」
ーパキーンッ!!ー
「嘘ッ!?」
ハルナはラルクへ変身しようと取り出したバックルとカードを素早く取り出しオリハルコンゲートを出現させるが、グレムリンは眼前に迫ったゲートをラプチャーを振るい粉々に砕け散らせた。
「そんな…。」
「ざ~んねんでしたァ!! さァ~ちょっきんの時間ですよォ~?」
<< Hy-Hy-Hy-HYPER! >>
「んッ!?」
「オッラァァアアアッ!!!」
ハルナに迫るグレムリンの前に立ちはだかったのは、意識を取り戻しビーストハイパーとなった秋。
ミラージュマグナムで牽制しながらハルナから遠ざけ、近づいてダイスサーベルを振るい、グレムリンはラプチャーで受け止めた。
「姉ちゃんに手は出させねぇ!!テメエはオレが倒す!!」
「おぅ~、美しい兄弟愛だねぇ~、感動ォ!………そういうモンほどズッタズタにぶち壊してやりてぇんだよォォオォ!!!」
ダイスサーベルを弾きビーストに蹴りを入れるグレムリン。地面に転がるビーストはマグナムを撃つも振るわれるラプチャーの剣戟の前に防がれる。
そんな光景を前にパラドクスは視線を悠と蓮司の元に戻す。
「うんうん、イイ感じに盛り上がって来たかな?それじゃあこっちも再開と──ッ!!」
二人の元に足を進めるパラドクスの前を丸鋸らしき物体が横切っていく。
不規則な軌道を描きながら放ったであろう人物の下に戻って行くそれをパラドクスは目で追うと、丸鋸、否、車輪を掴み取った人物はパラドクスの想像通りの人物だった。
「ハハハ♪ やっぱり来たか、カイン。」
「アベル……!」
期待通りの展開に喜びを隠しきれないパラドクスとは対象に、不快な心情を表す声で現れたゲンムLv3。
ゲンムの登場に悠達も驚きを隠せずにいた。
「ゲンム…何故此処に…!?」
「やっぱ知ってるのかよ、お前……アイツ味方って見ていいのか?この状況下で?」
「…ヤツについてはそこまで詳しくないが…少なくとも共通の敵と言う点では味方と言って良いかもな…。」
「イイねぇイイねぇ! これで役者も全員揃ったワケだ!」
「アベル………お前は何を企んでる。この世界を一体どうする気だ!?」
「おいおいカイン。そういう話はもっと展開が進んでからじゃなきゃ盛り上がれないぜ?そんなの時間が経てば自然と知っていくさ。
それよりも、だ…。」
ゲンムの追求を聞き流したパラドクスはホルダーのデュアルガシャットを抜き取り、ダイヤルに手をやった。
「この前遊んだ時はこのパーフェクトパズルしか見せて無かったよな?…見せてやるよ、お前が造り上げたデュアルガシャットの真髄を。」
ダイヤルを正位置に戻し、今度は逆側に回した。
<< KNOCK OUT FIGHTER >>
<< The strongest fist! "Round 1" Rock & Fire!──The strongest fist! "Round 1" Rock & Fire! >>
「ッ!それは…!?」
「大変身♪」
<< DUAL UP! >>
<< Explosion Hit!──KNOCK OUT FIGHTER! >>
背中に取り付けられたダイヤルが回るとパラドクスの姿が大きく変わる。
頭部が横に180°回転すると、青とは対照的なヘットバンドを付けた逆立った赤い頭髪。
胸のグラフィックも反転してパズルピースから炎の意匠へと変わり、肩のマテリアライズショルダーは前後反転され拳に装着し、[マテリアライズスマッシャー]という近接武器へと変わった。
知的と思わせる姿とは対照的な猛々しい姿となったパラドクスのもう一つの姿。
仮面ライダーパラドクス ファイターゲーマー レベル50
「行っくぜぇ?──ヌアァッ!!」
「ッ!!──クッ!!」
マテリアライズスマッシャーに搭載されている特殊燃焼装置[マテリアライズバーナー]から発生する炎がゲンムに襲い掛かって来る。
ゲンムは向かって来る炎を横のローリングで回避するが、動きを予測して先に動いたパラドクスが眼前にまで迫り、その拳をゲンムに振るった。
「ハイ!──ワン!ツー!! ワン!ツー!!」
「グウゥ!!」
パラドクスの繰り出されるラッシュにゲンムはガードして防いでいくも、圧倒的なパワーで繰り出されるそのパンチの前に、ガードは難無く崩され吹っ飛ばされてしまった。
「ハハッ!
ノックアウトファイターは、相手をKOするまで殴り続ける格闘大戦ゲームだ!!シンプルが故に、その力は強力だぜ!?」
<< KIME・WAZA!──DUAL GASHAT! >>
「ッ!──ハァ!!」
デュアルガシャットを操作するパラドクスを前にゲンムは離れた所でトリックフライホイールを投げるがパラドクスはホイールを弾き飛ばし、ゲンムの懐に入った。
<< KNOCK OUT CRITICAL SMASH! >>
「ヌァアーーーーッ!!!」
「グァァアーーーーッ!!」
<< K・O! >>
「ガ!……う………あ…。」
「うわッ!?」
<< ガッシューン! >>
パラドクスの必殺技であるストレートを喰らったゲンムは大きく吹っ飛ばされる。
飛ばされた先はハルナがへたり込んでいる場所まで転がり、与えられたダメージが大きかった所為で変身が強制解除されてしまい、その素顔が明らかになった。
その素顔に近くに居たハルナは絶句してしまう。髪の色は違えど、それを除けばパラドクス、アベルと瓜二つの同じ顔。
そして悠は別の意味で絶句していた。本来なら絶対と言って良い程にここに居る筈の無い存在が今この場で倒れているこの現実に。
「あ……アハハ、参ったな。出来れば気付かれずに事を済ませたかったんだが…。」
「あ、アナタは…?」
「う~ん、ちょっと加減を間違えたかな?
まぁいいや、それよりもまだやれるだろカイン?久しぶりにもっと遊ぼうぜ!」
「このッ…ぐッ!!」
「ちょっと!誰だが知らないけどその傷じゃ無理よ!!」
「そうだねぇ、でも悲しい事に引く事が出来ないみたいだ……ハルナくん。キミはあそこに居る彼女と倒れてる二人を連れて逃げなさい。」
「え……どうして私の名前を…?」
「いいから逃げるんだ!! 今キミがこの場に居ても──ゥ゛ウ゛ッ!!」
ゲンムこと悠の上司であるカインは、止めようとするハルナを押し退けパラドクスへと向かって行こうとしたが先程のダメージが想像以上に体に響いて起動しようとしたガシャットを落としてしまう。
それでも落としたガシャットを手に取ろうと懸命に手を伸ばすカインを皮切りに、ハルナは今一度その場を見渡す。
「ガッ、ガァアァアッ!!!」
「ヒャハハハ!!!」
ラプチャーから繰り出される斬撃の雨を受け、手にした武器を落として倒れるビースト。
「ガハッ……ん、なろォオォッ!!!」
「グッ!………ヌ、ァァアアア…ッ!!」
パラドクスとグレムリンを視線で殺す勢いで睨み付けながら痛む体を無視し気合で立ち上がろうとする悠と蓮司。
「ど、どうすればいいんですか!?」
気絶してる松田、元浜を庇うように前に立つロスヴァイセは自身に出来る事を必死に探している。
「フフフ♪ハハハハハ♪」
愉快に、愉悦に笑いながら此方に歩み寄って来るパラドクス。
(どうする!?どうるすのよ私!! 言われた通りに先生たちを連れて逃げる!?……そうしよう!
だって私が残ったって何も出来ないもの!!)
ービキッー
(ッ、なんでこんな時に頭痛なんて……ッ!!)
ービキキッ!!ー
(ッ!!……痛い…頭、割れそう……!!)
「ハルナくん!?どうしたんだ!!しっかりしろ!!」
「ッ!!姉ちゃん!?」
「ハイ本日二度目の隙有りィィ!!!」
突如頭を抱え苦しみ出すハルナ。顔色も段々悪くなり、カインが近寄って声を掛けるも全く返事を返さない。
そんなハルナを見てビーストは意識が完璧にグレムリンから外れたのを見逃さず、グレムリンはラプチャーにエネルギーを籠めて斬り付けビーストの変身を強制解除にまで痛み付けた。
声を上げる間も無く膝から崩れる秋。そんな秋の姿を見てしまったハルナの容体は次第に悪くなっていった。
(痛い痛いイタイイタイーーーッ!!それに……寒い!…息が、苦しい!……もう、ダメ……。)
『それでイイの?』
(?………誰?)
『何も出来ないままで、イイの?仲間も、弟も助けられないで本当にイイの?…』
(……イイ訳無い!………でも…私にはみんなのような力は…)
『そう、だったら…。』
『”アタシ”が代わりにやってあげる…。』
ードサッー
「ハルナくん?…しっかりしたまえ!!オイ!!」
苦しんでいたハルナが糸が切れた様に倒れ、抱き上げるカイン。
頬に手を添え、酷い熱を帯びている事に気付き一刻も早くこの場から離せねばと思いながらも目の前の障害がそれを許してくれなかった。
「オイオイ、何やってんだよカイン!そんなヤツ放って置いて早く遊べって!!」
「黙れ!今はお前などに”ガッ”構って…?」
パラドクスに目をやっていたカインは腹部に妙な違和感を感じ視線を下げてみる。
見えたのは今自身が着けているゲーマドライバーに、ハルナが手をやっていた。
「ハルナくん!キミ、だいじょ…。」
「コレ、ちょっと借りるね。」
「え……うわッ!?!?」
ハルナは突然カインからゲーマドライバーを無理矢理引っぺがすと抱き上げていたカインを力強く押し退けた。
尻餅をつくカインの余所に、ハルナはゲーマドライバーを自身に着け、落ちている紫のライダーガシャットを拾い何の躊躇も無く起動スイッチを押した。
<< MIGHTY ACTION X >>
「な!?…や、止めろ!!それはキミが扱える代物じゃない!!」
「………。」
<< ガッシャット! >>
必死のカインの制止を振り切ったハルナは起動したガシャットをドライバーに装填したが、ドライバーから奔る紫の電流がハルナに襲い掛かった。
「ッ!……ッ、ゥゥゥウッ…!!」
「ダメだ……抗体プログラムを浴びたとしても、プロトガシャットの使用には…!!」
「お?なんだなんだ♪ 一体何が起こるって言うんだ?」
「桜井!?アイツ……何やってんだ!?」
「まさか。変身しようとしているのか…?」
「ね…姉ちゃん……。」
「あぁん?なんですかコリャ?」
「う…あ……あぁ………ウアアアアアアアァァァーーーーーーーッ!!!」
<< ガッシューン! >>
全員の目がハルナの突然の行動に注がれるなか、ハルナの体から突然現れたピンクの粒子が独りでにドライバーから排出されたガシャット共に宙に浮かぶ。
全員の目が宙に浮かんだガシャットと粒子に向けられると通常では到底ありえない光景に誰もが目を見開いた。
ピンクの粒子がガシャットへ取り込まれるように吸収されると、ガシャットの塗装がメッキが剥がれる様に崩れ落ち、黒が混ざった紫から、鮮やかなピンク色へ、描かれてるゲームの絵も塗り替えられたように変わったのだった。
「あ……有り得ない……プロトガシャットが、正規版のガシャットになっただと!?」
「こ、これは…一体…!?」
こればかりは傍で見ていたカインは他、パラドクスも言葉が出ない程驚いていた。
そして当のハルナは落ちて来たガシャットを手に取り、再び起動スイッチを押した。
その眼が赤く輝きながら。
<< MIGHTY ACTION X >>
起動されると同時に辺り一面に散らばめられるチョコブロック。
風が舞い上がるなか、ハルナの表情は普段見せる事の無い、獰猛な笑みを浮かべていた。
「…このゲーム……”アタシ”が攻略してやる!」
腕を多く振るい高らかに叫ぶ。
その身を戦士へと変える、ハルナにとって本当の意味での言葉を──。
「──変身ッ!」
<< ガッシャット! >>
<< Let`s GAME! Mettya GAME! Muttya GAME! Whats your NAME?──>>
<< I`ma KAMEN RIDER! >>
レベル1の姿となったハルナは、悠達と同じ二頭身の巨体と頭部はピンクの頭髪が目立つライダー。
そして…。
「そして────大ッ変身ッ!」
<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>
<< Mighty Jump! Mighty Kick! Mighty MIGHTY ACTION──X! >>
ゲートを潜った先に現れた仮面ライダー。
姿はゲンムそのものであるが、色は黒では無くガシャットと同じ鮮やかなピンク。
高々と跳び上がった後に着地し、腕を高く上げその存在を主張させた。
「桜井が…変身した……。」
「色違いの、ゲンム…?」
「姉ちゃん……マジ、かよ…。」
悠と蓮司は変身した色違いのゲンムの姿に出る言葉が思いつかず、秋は変身したハルナの姿を見て一言つぶやいた後、蓄積されたダメージの所為で気を失った。
そんな中、カインは色違いのゲンムを驚愕の表情で見つめる。
本来ならこの世界にその姿を見せる事は無かった戦士。それが説明のつかないイレギュラーによって出現した戦士の名は──。
「…………エグゼイド。」
<< ガシャコンブレイカー! >>
「さぁ! このゲーム、劇的に逆転してやる!!」
色違いのゲンム、否、エグゼイドは呼び出した小型のハンマー型ガシャコンウェポン、[ガシャコンブレイカー]を持ち、高々と宣言してみせた。
「ッ、グレムリン!やれ!!」
「アイサー!」
パラドクスの指示で標的をエグゼイドに変えたグレムリンがラプチャーを振るう。
それをエグゼイドはその場から大きく跳び上がり、軽快な動きでグレムリンの攻撃を躱していく。
「うしゃしゃしゃ!!ほらほらどうしたァ!?大口叩いて逃げてばっかですかァ!?」
「分かってないわねぇ、レベルに差のあるキャラクターとやる時は、先ず様子見……よ!!」
「ぶッ!?」
グレムリンの左右から挟むように繰り出された斬撃をジャンプで回避したエグゼイドは、その脳天にブレイカーを叩き込み、グレムリンにダメージを与えた。
「お、おおお……お、星サマがキラキラとォ……。」
「そして怯んでる今が攻め時!アイテムは…アレにしよう!!」
幾らレベル差があろうと頭と言う急所を突かれれば、生き物は当然大きな隙を見せる。
怯んでいるグレムリンを目にエグゼイドは周りに浮かんでいるエナジーアイテム、そう、パラドクスが統一させて剥き出しとなってるエナジーアイテムの内、目当てのアイテムを見つけて自身に取り込んだ。
<< マッスル化! >>
「行くわよォ!!」
攻撃力を強化した上にブレイカーのBボタンを連打し威力を更に上げエグゼイドは、瞬時にグレムリンの懐に入り、顎元目掛けブレイカーを振り上げた。
「しゃあッ!!」
「ぼごォ!?」
<< ジャ・キーン! >>
「まだまだ行くわよ!!」
<< 高速化! >>
「ハアアアーーーーッ!!!!」
空に打ち上がったグレムリンを目にブレイカーのAボタンを押すとハンマーの上部から刀身が伸びる。
そして高速化を使い、浮かんでいるチョコブロックを足場にして高速で跳びながらグレムリンの元まで上がり、高速でブロックを足場に跳びながらグレムリンを通り過ぎながら斬りつけて行った。
「ぶへッ! んぎゃッ! ぐぉッ!」
「これで……フィニッシュ!」
高速化の効果が続くまで攻撃をしたエグゼイドは、切れる寸前にブレイカーのBボタンを連打し刀身にエネルギーをチャージ。
グレムリンに近づくと、両手持ちに高く頭上に掲げ、思いっきり振り降ろした。
「むぎゃッ!!」
地面へ真っ逆さまに落ちたグレムリン。エグゼイドは華麗に着地を決め、ブレイカーを肩に担いだ。
「へへ。どうよ、これがアタシのプレイスタイルよ!!」
グレムリンを前に威勢良く名乗るエグゼイドを目に、パラドクスは面白く無いような素振りでエグゼイドを睨み付けた。
「なんだよアイツ。パッと出のクセに大きく出やがって……潰すか。」
パラドクスにとってエクゼイドの存在は大いに目障りである事が見て取れ、仕方なく自身の手で始末しようとゥ置いた時、龍の咆哮と、蝙蝠の羽ばたきがパラドクスの耳に入った。
ーGuooooon!!!ー
ーKyiiiiiiin!ー
「ッ──!!」
死角から体当たりをけし掛けるドラグブラッガーとダークウィングを避けるパラドクス。
そして次に視界に入って来たのは、カードデッキを手にVバックルを身に付けた悠と蓮司だった。
「あんのアホ上司やら桜井やら!、何が何だか全ッ然分からねえが!……取り敢えずテメエをぶっ潰してからだ────変身」
「彩守の剣は…簡単に折れやしない!────変身!」
<<<< SURVIVE >>>>
悠と蓮司は目の前の不可解な現実に驚くより、目の前の敵を倒す事を優先すべく強化形態であるリュウガサバイブ、ナイトサバイブへ変身し、パラドクスの前に立ちはばかる。
「やれやれ………元気良すぎるよキミ達、はァ!!」
パラドクスはリュウガとナイトに、スマッシャーから発生した火炎攻撃を放つ。
炎は二人の直前にて爆発し、瞬く間に炎に飲み込まれていく。だが。
<< STRIKE VENT >>
「オォォォォオオオッ!!!」
「ハァァアアアアアッ!!!」
リュウガは召喚したメタルホーンを盾変わりに、ナイトは左腕に装着されているダークシールドを前に翳して炎の爆発から身を守りながら進んで行った。
「ドォラァアッ!!!」
「ッ、フッ!!」
リュウガの突き出したメタルホーンとパラドクスの突き出すマテリアライズスマッシャーが二人を中心とした衝撃を放ちながらぶつかり合う。
「ッ、ク…ッ!」
「フフ♪」
合わさったメタルホーンの先端がスマッシャーによって潰れひしゃげた形となり、リュウガの腕には先程の衝撃が伝わり僅かなヒビが入っていた。
拳のぶつかり合いに勝ったパラドクスは、片方の空いている拳を打ち付けようとしたが。
「セェエァア!!」
「うわッ!!」
横から入って来たナイトがパラドクスにダークブレードを入れる。この時、パラドクスに初めてダメージが通った。
「オレが居るのを忘れないで貰おうか!!」
「テメエ、横からでしゃばってんじゃねえよ!!」
「このッ…ヌアァッ!!」
パラドクスを斬り付けたナイトに前を取られたくないようにリュウガもバイザーをソードモードにしパラドクスへ肉薄する。
パラドクスは拳を振るいながら、ただひたすら遅れを取りたくない一心で振るわれる二人の剣戟を捌きながら後ろに下がっていく。
「クッ!……仲が悪い割には、結構なコンビネーションじゃないか!!」
「コンビネーションだぁ?──ッ!!」
「虫唾が走る戯言を──ッ!!」
「ウワァァッ!!!」
禁断のワードでスイッチが入った二人の、蒼炎と疾風を帯びた刃がパラドクスのガードを突き破る。
二人の頭には共闘等の考えは一切無い。むしろどさくさに紛れパラドクス諸共やってしまおうかと思う位に不仲である。
だが今の二人の標的はパラドクス唯一人。隣の邪魔者より先に受けた屈辱を倍にして返してやると言う幼稚とも言える考えを持っている。
「全く、面白いなキミ達は!!」
「ん…んおおお……ッ!」
「えぇ?まだ立つの? 本当タフ過ぎでしょアンタ…。」
一方でエグゼイドに滅多切りにされたグレムリンは覚束ない足元ながらも立ち上がる姿にエグゼイドはウンザリしていた。
「こんのクソアマがァ…! いきなり出しゃばって来て調子乗ってんじゃねぇええッ!!」
「ウワァアッ!?!?」
激高したグレムリンはエグゼイドに魔力を籠めたラプチャーから繰り出される斬撃を飛ばし、気を緩んでいたエグゼイドはグレムリンの斬撃を喰らい吹き飛ばされた。
「イテテ…げっ、ヤッバ。結構減っちゃった…。」
起き上がるエグゼイドは胸のライダーゲージが先程の攻撃で半分以下に減っている事に軽薄ながらも危機感を抱く。
グレムリンの推定レベルは10。加えてエグゼイドのレベルは2。幾ら技量が高くとも、どうしてもレベルの差が大きな障害となっている。
そんなエグゼイドの状況を見ているカインは懐から赤いガシャットを取り出した。
「コレを使えば多少のレベルの差は縮められる。だがハルナくんの身に何が起こっているのか分からない状況で二本差しは………っ、それでも無残にやられてしまうより僅かな可能性に…!
ハルナくん!!コレを使えぇ!!」
「ん?」
カインから投げ渡されたガシャットをエグゼイドは受け取り、そのゲームタイトルと絵柄を見ると赤いロボットが描かれていた。
「ゲキトツロボッツ、ロボットを操って対戦するSFロボットバトルゲーム。それを使えばレベル3へと至れる!」
「へぇー、イイじゃん!アタシ好みのゲームね!!」
<< GEKITOTSU ROBOTS >>
紅いガシャット、ゲキトツロボッツの起動スイッチを押したエグゼイドの背後に現れたスタート画面から、ロボット型のゲーマー、[ロボットゲーマー]がエグゼイドの周囲を飛び回る。
<< ガッチョーン!──ガッシャット! >>
「大・大ッ・大変身ッ!」
<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>
<< Mighty Jump! Mighty Kick! Mighty MIGHTY ACTION──X!──アガッチャ! >>
<< ぶっ飛ばせ! 突撃! ゲキトツパンチ!──GE・KI・TO・TSU ROBOTS! >>
現れたゲートを潜るとロボットゲーマーがエグゼイドの頭から噛み付く様に合体し、強固な胸部アーマーにV字アンテナが付いたヘッドギアと左腕には巨大なロボットアームが装着された姿。
仮面ライダーエグゼイド ロボットアクションゲーマー レベル3
「んな格好がゴツくなっただけでぇ!!」
エグゼイドのレベルアップした姿に臆さずグレムリンは魔力を籠めたラプチャーをハサミの状態にして、襲い掛かって来る。
向かって来るグレムリンに対し、エグゼイドは丁度背後に、グレムリンから見えない位置に置かれているエナジーアイテムを見つけた。
「生憎ともうアンタとのゲームは終わりよ!」
<< 発光! >>
僅かに下がってエナジーアイテムを取り込んだエグゼイドの体は全身から太陽の様に光り輝きだした。
強烈な光が距離を詰めていたグレムリンの網膜を焼き焦がしていく。
「んぎゃあああああっ!?目がぁ!!目がぁぁっ!?」
「これで決めるわよ!!」
<< ガッシャット!──キメワザ! >>
エグゼイドはゲキトツロボッツのガシャットをホルダーに装填し、武器を落とし目元を抑えるグレムリンに左腕のアームを向けながら、腰を落として引き構えた。
<< GEKITOTSU CRITICAL STRIKE! >>
「ハァアッ!!」
ロケットパンチの如く射出されたアームが真っ直ぐとグレムリンに向かい、その拳はグレムリンの腹部に突き刺さる。
「ぐふゥッ!?」
「しゃーーーーーッ!!」
突き刺さったアームを抱えながら下がるグレムリンだが、ここぞとばかりに発揮する気合で踏み止まる。だがそんなグレムリンの間合いを雄叫びを上げながら詰めて行くエグゼイドが、アームに向けて渾身のストレートを叩き入れた。
「──んなろうッ!!」
「ンガァアアアァアーーーーーーーッ!!!」
アームから繰り出されるパンチは50トンを超え、単純に数値を見ればその威力はレベル50を超える威力。加えてパワータイプのハルナの腕力とも相性が良い為にパワーだけ見れば本来のレベル3のスペックを遥かに凌駕する。
そのアームから繰り出された必殺技を受けたグレムリンは絶叫を上げながらホームランボールの様に遥か彼方、空へ吹っ飛んでいった。
<< STRIKE VENT >>
「火遊びよりコイツで遊んでろ!!」
「ッ、ヌラァッ!」
リュウガは召喚したアビスクローから高圧水流をパラドクスへと放ち、パラドクスはスマッシャーから炎を生み出し向かって来る水流に向けて放った。
高圧の水流と超高温の炎が交じり合い、爆発的に発生した水蒸気が爆弾を使ったかのような風が起こり辺り一面が真っ白な煙に包まれる。そんな中ナイトは離れた所でカードをベントした。
<< BLAST VENT >>
ーKyiiiiiiin!ー
「クッ!……う、うわァアアアッ!!!」
ベント共に飛来して来たダークレイダーの翼が巨大化すると翼内部にあるホイールが高速回転し強力な旋風が発生する。
風は視界を潰していた煙とパラドクスを一気に吹き飛ばし、パラドクスは無防備な姿を見せたのを皮切りに二人は一斉に動いた。
「ダークレイダーッ!!」
ーKyiiiiiiin!ー
<< ADVENT >>
「ソイツは俺の得物だッ!!」
ナイトはダークレイダーの背に乗り、リュウガは機動力のあるエビルダイバーの背に乗って宙に舞うパラドクスへ向かって行く。
丁度前後に挟み込む位置で標的を捕えた二人はデッキから抜いたカードをバイザーへ読み込ませた。
<<<< SWORD VENT >>>>
「ッ!、これはマズイッ!」
<< PERFECT PUZZLE >>
「大変身──ッ!」
<< DUAL UP! >>
<< ──PERFECT PUZZLE! >>
「ォオオーーー……ッ!」
「ハァァアーーー……ッ!」
二人のバイザーの刀身に、それぞれ蒼炎と疾風が刃の延長となって巨大な剣と化す。
パラドクスは危機を感じたのか、空中でファイターゲーマーからパズルゲーマーへと変わり、能力で目当てのエナジーアイテムを自身に取り込ませる。
「間に合えッ…!!」
<< 液状化! >>
「ウラァアッ!!」
「セェアアッ!!」
二人が通り過ぎ様に、挟み込むように横一線に振るわれた炎と風の剣戟はパラドクスの胴体に入った。
しかし、液状化のエナジーアイテムを直前に取り込み、寸でのタイミングで体をゲル状に変え物理攻撃を向こうにしたパラドクスへ致命傷を与えるに至らなかった。
二人はそのまま通り過ぎ、パラドクスは先程の危機感を表に出さずに冷静に地面へ着地した。
「フゥ………いやぁ~、危なかったなぁ。流石にアレを喰らったらタダ、じゃ……ッ!?」
突如腹部を抑え蹲るパラドクス。
抑えてる箇所は丁度リュウガとナイトが斬り付けた箇所だった。抑えてる所から煙が上がり、肉が焼けるような音が僅かに聞こえる。
液状化によって物理攻撃である斬撃は喰らって無いものの、剣と剣との接触時、ナイトの風で勢いを増したリュウガの蒼炎による高熱までは無効化出来なかったようであった。
「あ、熱いッ!腹がッ、焼ける……ッ!」
「──っとぉ。余計な邪魔が入ったが、今度は逃さねえぞ。」
「──次はその首を貰うぞ。アベル。」
「オーイッ!ソイツまだ倒れて無い?なんならアタシがやってもイイ?」
パラドクスを囲むようにリュウガとナイトが降り立ち、グレムリンを相手してたエグゼイドもその場に加わって三体一となり、数の優劣ではパラドクスが不利な状況だった。
「グレムリンはやられたのか…。
ハハッ、そうだよねェ…この位はして貰わなきゃ盛り上がりに欠けるからなぁ……でも。」
パラドクスは俯いていた顔を上げ、仮面の下でエグゼイドに睨み付ける。
「キミのようなイレギュラーの参加はまだ認めていないよ、ボクの選んだ役者以外の者がボクの舞台に立つなど…!」
「舞台?役者ぁ? そんなのに微塵も興味無いわよ。アタシはただゲームをクリアするだけ。そんなのつまらなそうなやつは勝手にやってれば?」
「……ハ、ハハハハハ!!…見物だねぇ、何時までそんな余裕が叩けるか…!」
その言葉を最後にパラドクスは体をデータ状に変えこの場から消え去っていった。
後を追う事が出来ず内心舌打ちをするリュウガと、静かにダークブレードを収めるナイト。
「あーーッ!!ちょっとぉ!!
何逃げてんのよ!!アタシとゲームで勝負しなさいよぉ!!……もぉ!」
「……オイ。」
「ん?何?」
パラドクスが逃げた事に不満から地団駄を踏むエグゼイド。そんな彼女の元にリュウガが声を掛けた。
「お前……本当に桜井か?」
「はぁ?何言ってんのよ? 正真正銘、桜井 ハルナよ!」
「そうか…だが俺の知ってる桜井とは言動も態度も大分違うぞ。」
「もぉ~、どうだっていいじゃないそんな事! 相変わらず細かい事ばっか気にしちゃって…。」
<< ガッチョーン!──ガッシューン! >>
「そんなに色々気にし過ぎてると、いずれ頭がハ…ゲ……──。」
「ッ!オイ桜井!!」
変身を解除したハルナは次第に意識を遠のき、遂には倒れ込んでしまう。
リュウガは変身を解除しハルナを抱き上げて状態を確認すると、脈も呼吸も正常に動いていた。
蓮司もハルナの事が気になるのか、ハルナの手から落ちたライダーガシャットを拾いまじまじと見た直後再びハルナに視線をやった。
「このガシャット、これが原因で彼女を可笑しくしたのか…?」
「さぁな………でも、それについては知ってそうなヤツが居るみたいだぜ。」
悠に釣られ蓮司も目を向けた先に居た人物。
バツの悪そうな顔で俯きながら此方に歩み寄るカインに悠は言葉を投げた。
「ここまで来て誤魔化しもクソも通じると思うなよ……説明しろ。
桜井の身に何が起こってるのか、何でアンタが此処にいるのか、アンタとアベルはどういう関係なのか!」
「………分かったよ。流石にここまで来て隠し通すのはもう無理そうだ。」
カインは何処か吹っ切れた様子で、俯いた顔を上げ、悠と目を合わせた。
「話すよ。キミの知りたい事全てと………この戦争に裏に隠された、真実をね。」
ちょっと詰め込みすぎたかなぁって思う内容でしたけど、二週間に一話のペースで最後まで通すとなればこの位行けばかなぁって、ここ最近思ってる自分がいます。