その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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スクラッシュドライバーが完全に若○だコレ。最後のブルァァアッ!!!が某神父を思い出させる。

そしておとやんこと猿渡 一海、ハイで好戦的なヤツかと思えば憎めない性格がイイですね。最後の皆が騙されたであろうあのシーンなんか、音也の面影を感じましたね!


因縁

 

 

 

灰原家・悠自室内。

 

 

「………う~ん。」

 

 

 

 

 

 

ー『彩守 蓮司…──お前の知りたがってたオレの名前だ…──』ー

 

 

ー『オレはお前を……この手で斬る為にこの世界に来た──』ー

 

 

 

 

「………う~ん。」

 

 

「随分お悩みですね、そんなに気になる人が居るんですか?」

 

「……昔売ったであろう因縁を思い出してる。」

 

「そうですかそれはよかった。てっきりまた女性関連の悩みかと思いましたよ。」

 

「それは元から抱えてる悩みだよ。」

 

悠と秋がスナイプ、レーザーとして白星を挙げた夜。時刻は夜中で自室のベットに寝転びながら遥か昔の記憶を辿る悠。

傍らでベッドに腰掛けたラ・フォリアが髪を梳かしながら悩みに悩んでる悠の相談に乗ってあげている。

 

「それってさっき秋の言ってた新しい仮面ライダーですか?確か……ブレイブ?でしたっけ。」

 

「そ、ソイツと昔どっかで会ったかなぁって、思い出してるけど中々…。」

 

「へー……子供の頃のお友達、とかじゃないですか?」

 

「…………出来ればそうであって欲しくないな。

あー止めだ。もう寝よ。疲れたし明日も学校だし。」

 

「じゃあ電気消しますね。」

 

時間が経っても一向に進まない為今日はもう休む事にした悠。

 

部屋の明かりを消し、隣には最早いつもの光景の様に悠の腕を枕として同じベットに横たわるラ・フォリアが寝物語として思いついたのか悠に話し掛ける。

 

「そういえば私、アナタの子供時代がどんなのだったかまだ知らないままでしたね。 どんなヤンチャ坊だったんですか?」

 

「オレがヤンチャ坊前提なトコから来ますか…まぁ否定はしないけど。そうさなぁ、今みたいに考えてから動くタイプとは逆の人間だったよ。」

 

「へぇ……時に、その頃からモテていたんですか?」

 

「さぁ?その頃はもう彼女持ちだったしなぁ…。」

 

「あ………ごめんなさい。」

 

「?…あぁ。そんなの気にしなくていいよ。死んだ元カノの話しなんてよくよく探せばある話でしょう。

…それに見て来た死はアイツ以外にも…………あ。」

 

「悠?」

 

少しの空白を開けて悠は上体を勢い良く起き上がらせた。

ラ・フォリアが声を掛けるも悠は顔に手を当てて「あー。」と、項垂れている。

 

「…そりゃそうだ、どうりですぐに思い出さねえワケだ。」

 

「それって、もしかして…?」

 

「あぁ思い出した。

彩守…アイツが恨んでる理由……こんな形で振り返られるとは。」

 

遥か過去の記憶から呼び起こした答えは、戦士として若かりし頃の未熟から起こされた悲劇だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

 

「………。」

 

授業終わりの放課後、蓮司はクラスで帰り支度をしていた。

鞄にノートを仕舞う蓮司に同じクラスの女子二人が声を掛けて来た。

 

「ねぇねぇ彩守クン!もしよかったら今日剣道部に顔出してみない?」

 

「いつもソレ持ち歩いてから、彩守クン剣道出来るかな、って思って。ね、どうかな?」

 

そう言いながら机に立てかけてるケースを指差し誘うクラスメート達は顔色一つ変えない蓮司の答えを今か今かと待っていた。

 

「…折角の誘いを申し訳ないが、これから外せない用事があるので断らせて貰う。」

 

「あ、そう、なんだ…。」

 

「それじゃあ仕方ないね…でも、良ければ練習に顔を出してくれれば嬉しいかな!」

 

「……検討する。」

 

クラスメートの誘いをきっぱりと断った蓮司の対応に女子達はすんなりと受け入れてその場を後にする。

 

転校してきた蓮司の評判は学園の女子の間では悠と同じくらい早く知れ渡っていた。

容姿はさることながらここ最近の授業で見せた高い知性。指された問題には難無く応え、行われた小テストでも満点回答を出し、体育でも高い運動能力を見せた彼の一面は瞬く間に女子の間で騒がれる事になった。

 

それに加え裏では仮面ライダーという一面がある蓮司の実力は並の実力者よりも上である事をクラス内で唯一知っているハルナは、自分と同じ転生者兼仮面ライダーである蓮司との格の違いを間近で見ていてただでさえチーム内でコンプレックスと化しているレベルの低さここ最近強く思い知らされていた。

 

(昨日はアクシデントだったけどあの灰原君と互角に闘ったくらいだから、相当よね彼…。

そりゃ私だって一応はライダーだから気にしないって訳じゃないけど、何かここ最近、私のチーム内での存在価値が薄くなってる様な…。)

 

最近ラボの地下に出来たドッグによって怪我の治療が大分簡易的に行えるようになったこのニュースは、ハルナの負担を大分減らしてくれるであろうと期待してはしているのだが、これまでの治療はハルナの治療の術が中心的であった為にドッグによる治療が広まればハルナの立つ瀬が無くなってしまう。

 

不謹慎である事は自覚してるが、ハルナの心情的にはどうしてもその思いが頭を過ってしまう。

 

(向こうは最初から私に気付いていたのに、話してくるどころか目を向けられる事すらしなかったって事は、最初から相手にされなかったって事、かぁ…ああイカンイカン、最近の私、段々思考がネガティブになっている…。)

 

机に頭を突っ伏して項垂れる光景はクラスにとって日常とかしたか誰も気に知る者は居なかった。

そんなハルナも耳に教室の外から騒ぎ声が聞こえ、五月蠅いと感じた彼女は何のバカ騒ぎだと思いながら教室から出て喧騒の中心を探ると、予想外にも先程教師から出た蓮司がその中心に居た。

 

相手が蓮司だと知ったハルナは何の騒ぎを起こしたのかと気になり人の輪を掻い潜って騒ぎの内容を知ろうと聞き耳を立てると、案の定その原因を知ることが出来た。

 

「何故だ!そちらも武士の一人ならば、決闘の誘いに受けるのは武士として当然であろう!!」

 

「何度も言うがオレは武士では無い。だからこんな茶番染みた見世物の果し合いを受ける道理は無い。」

 

「何だと!?貴様武道を侮辱するか!!」

 

冷静に自身の主張を述べている蓮司に対し怒りを露わにしているのは風間ファミリーのクリスだった。

手にしてるワッペンからクリスが蓮司に決闘を申し込んだのだろうが、蓮司はその申し出を断ってる事にクリスが突っ掛かっているというのがハルナの見解だった。

 

「いや、侮辱したつもりは無い。言葉足らずのようですまなかった。言い直そうか。

お前達の言う、決闘と言う遊びに付き合う気は無い。」

 

「遊びだと?…私のしてる事が遊びだと言うのか!?」

 

「なら言わせて貰うが、決闘と言われる行為は、本来命懸けで行われる死闘。言い方を変えれば、殺し合いだ。」

 

「っ!?」

 

突然言われた決闘の本来の意味、命を賭けての死闘という主張に反論を出そうも威圧とも言える蓮司の真っ直ぐ向けられた視線はクリスの反論を出す事を許さないと言う無言の圧力を放っていた。

 

「聞いてみればここで行われる決闘は、決闘という名ばかりの賭場らしいじゃないか。

お前の言う武士とやらは、競走馬の如く他人の私欲を動かし、尚且つ自分の価値を見せ付ける為の快楽の場かね?」

 

「違う!! 私は自分の信じる武をそのような下賤な理由の為に振るった覚えなど無い!!」

 

「そうか…まぁこれはオレ個人としての意見だ。

最も、お前がそのワッペンを前に出した時から、周りからの値踏みされてる様な視線が鬱陶しく感じたのは事実だったがな。」

 

そう蓮司が口にすると周りに集っていた生徒の何人かがバツの悪そうな顔をしているのが何人か見えて来る。

 

これだけの反応で蓮司は相手する価値など無いと判断し、人込みの輪を抜けて去ろうとする。が、それでも何処か納得のいかないクリスは蓮司に対し意味の無い挑発を仕掛ける。

 

「待て。先程から決闘が遊びだ賭場だと口に出すが、それは只単に逃げているだけの口実では無いのか!?」

 

「ご想像にお任せしよう。」

 

たったそれだけで返した蓮司は足を止める事無く去って行く。

ハルナはそんな蓮司の姿がある人物に似ていると思った。他人にどう言われようと自分の意志を貫く姿勢がまるで彼のようだと。

 

そんな事を考えてる内に更に周りのざわめきが増して来る。目をやれば丁度その人物が蓮司の足を止めていた。

 

 

「やっほー。」

 

「貴様…。」

 

 

気の抜けた挨拶で手を振ってる表の顔の悠に蓮司は睨み付けて来る。

クリスの憤慨に顔色一つ変える事の無かった蓮司が悠の姿が現れた途端、怨敵でも見る様な険しい顔つきになった事にギャラリーが悠との間に何があったのかとざわめきだしたのだ。

 

 

「…何の用だ?」

 

「用って程じゃあ無いよ、ただこんなとこで立ち往生しながら話すのもアレだし、ちょっと顔貸してくんないか、な?」

 

ワザとらしい仕草で誘う悠の仕草は、蓮司からしたら滑稽としか言いようがなかった。そんなワザとらしい演技で騙される周りの人間にも心底呆れるも、それはあくまで悠が仮面ライダーという真実を知っているという前提の下での視点であるが故に、蓮司の考えは少し的を外しているとも言える。

 

「…いいだろう。少なくともそこの女子に絡まれるよりはマシだな。」

 

「なにッ!?」

 

「んじゃ決定、ついてきなよ。」

 

「お、おい待てお前達!」

 

自分と明らかに対応が違う蓮司の行動にクリスは二人を呼び止める。

 

「何故だ!?何故私の誘いには乗らず、そのような男の誘いには簡単に乗るなど…ッ! そうか分かったぞ。さてはお前達、歪みに歪んだ思想を掲げる同士、仲間だった訳だな!!」

 

 

 

(あ…。これヤバい。)

 

 

 

ハルナの心の呟きは誰にも聞こえる事の無い危険信号だった。

 

 

主にクリスの。

 

 

 

 

 

「「………あ゛?」」

 

 

 

「ッ!!、あ…あ……ぁ…。」

 

 

クリスは腰を抜かして気を失う寸前、錯覚か幻覚か、二人の殺意が籠められた視線を浴びると通常ではありえない光景が浮かんできた。

 

鎌を持った死神が自身の首に鎌の刃を掛けられるのと、見ただけで昇天しそうな鬼が棍棒では無く剣を持っての形相が自分に向けられた幻覚。

 

二人から向けられた”マジギレ”という殺意にクリスだけでなくその場に居たギャラリーすらその気に当てられ冷や汗を搔いて腰を抜かす物や寒気を感じて身を擦る者もいる。唯一ハルナだけが呆然と立ち尽くしていたが、たった睨み付けただけでこんな惨状を起こす二人に顔を引き攣らせていた。

 

 

(いや、仲間って言われただけでこんなんなるまで怒るとか、どんだけよ?)

 

この状況下で内心ツッコむハルナも大概ではある。

 

 

「チッ…一気に気分が悪くなっちまった。」

 

「此方の台詞だ。 誰がこんなのと同士だ。」

 

 

互いに悪態を吐きながら一定の距離を保ってその場を去る二人に、ハルナも別ルートから目的地であろういつもの校舎裏に向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………おい。」

 

「あぁ。うん分かってる。どうしてこうなったか俺でも疑問だから。」

 

例の如く人目の付かない校舎裏に移動した悠と蓮司。だがそこで思い掛けないアクシデントが起こっていた。

 

悠の後ろに呼んだ覚えのない同行者達が原因で。

 

 

「……何で居るの。」

 

 

「私は灰原先輩を出来る限り監視すると決めたので、ココに。」

 

「オレはそんな姫柊に、監視対象ですから来てください!と言われて…。」

 

「彩守に決闘を申し込みに行ったクリスを探してたら、キミが彩守を連れてったって聞いてな、ココではないかと思って来てみた。」

 

「あ、アタシも、ゼノヴィアと一緒に居たから…。」

 

「私はアンタ等がこれから何するか目に見えてるから、万が一と目に入る為にね。」

 

「オレはちゃんと悠兄さんに呼ばれたから来てるぜ!」

 

 

 

「………あそう。」

 

怒る気になれなかった悠であった。

 

そんな悠とは対象に蓮司は如何にも不快極まりないといったカンジに顔を顰める。

 

「人気者だな、大方貴様の猫被りに惑わされた連中みたいだが。」

 

「モテるヤツも辛いってヤツだ…。まぁそれはいいとして。」

 

「良くないだろう、そこの兄弟はともかく後の連中は……まさかお前…。」

 

「…ココに来てから初体験が多くてね、知られちゃったよ。」

 

この一言に蓮司の顔は更に険しいモノとなる。

 

「…女に囲まれて腑抜けになったか。

お前は指示されたターゲットを100%の確率で消した来たのと同じ位に、素性を明かさない事が売りの筈だったが?」

 

「随分とお詳しい事で、もしかしてファン?」

 

「斬り殺す相手の情報は知っておくに越した事はないだろう?」

 

「同感。そう言う心構えは共感できるってのが、余計ムカつくわ。」

 

「お、オイオイ待て!! 何かオレ等置いてけぼりで話進めてるけど、ソイツってまさか…!」

 

「古城センパイ正解、アイツもライダーだよ。新入りっぽい。」

 

「えぇ!?」

 

「まさか彩守が…驚いた。」

 

「また新しい仮面ライダー!?

でも今さっき、灰原先輩を斬り殺すって…まさかBABELの…!!」

 

「一緒にしないで貰おうか、オレはBABELも、そこに居る男も斬りに来ただけだ。あんな俗な連中と同等に見ないで貰おうか。」

 

「それではどちらにせよ味方では無く敵じゃあないか!

キミは何故悠の命を狙う!?」

 

「そ、そうだよ!!BABELを倒すのなら、一緒に戦ったって…。」

 

「部外者は黙っていろ!!」

 

蓮司は古城達を怒鳴りつけて黙らせた。 蓮司の気迫に思わず臆してしまう。

 

そんな蓮司の怒りに油を注ぐか如く、悠がある話題を持ち出す。昨夜ようやく思い出した違和感の正体を。

 

「外野が騒がしいからってそうかっかすんなよ……”あの時”と違ってもう大人だろ?」

 

「ッ!!……そうか、お前…。」

 

「あぁやっと思い出したよ。 彩守……まさかあの時のガキとこんな再会をするとは、夢に思ってなかったよ。」

 

「……そうか………ならば……ッ!!」

 

蓮司の手にしてるケースから日本刀の鞘が見え…。

 

 

 

ーシャキッ!ー

 

 

「ッ!!、悠兄さん!!」

 

「速いッ…!?」

 

悠との瞬時に間合いを詰めた蓮司はケースから出した日本刀を抜き、その切っ先を悠の首に突きつけていた。あと少し腕を動かせばその首から鮮血が噴き出すであろう。

 

離れて見ていた古城達はおろか秋達もその動きを捕えられずにいた。今助けに行こうとすると、その瞬間に蓮司は悠の首を切り落とすつもりだった。

 

「…お前がこの場で斬られる理由がようやく分かった訳だ。」

 

「…あぁ……それともう一つ。」

 

 

ーチャキッー

 

「ッ!!」

 

蓮司が視線を下げると、何時の間にか悠の手に握られたブレイクガンナーの銃口が向けれていた。

一変して互いにお互いの命運を握っている状態になり、下手に動く事が出来なくなった蓮司は銃口に意識を向けながらも、悠の言葉に耳を傾けていた。

 

「確かお前こう言ってたな、俺を殺した後に仕事を引き継ぐって?…ざっけんなよテメェ。そんなんで後任なんぞが務まるかっての。」

 

「ッ、なんだと…?」

 

「分からねェの? こう言ってんだよ……お前には、無理だっての!!」

 

 

ブレイクガンナーを振り上げて、首にかけられた刀を弾いた悠は蓮司に蹴りを入れるが、蓮司は弾かれたと同時に下がった為に空振りに終わった。

 

「何を根拠に決めつける!!」

 

「色々だよ、チャンバラごっごで何もかも上手くいくと思ったら大間違いだっての!!

そんなヤツに任せる位なら、老体に鞭打ってでも俺が続けるね。だから…。」

 

そういいながらブレイクガンナーを構える悠。同じく刀を構える蓮司との間に、昨日と同じく一触即発の空気が流れだす。

 

「お前の持ってるガシャットとゲーマドライバー。あとそのケースに入ってるだろうサソードヤイバーも回収させて貰うぜ、灰原 悠個人としてで無く、”イレイザー”の権限を使って、な。」

 

 

「い、いれいざー?…って何ソレ?」

 

「抹消者、という意味だ。会話から察するに、エクソシストの様な役職名みたいなものだと分かるが…。」

 

「桜井先輩、先輩も灰原先輩の様にそう言った役職が?」

 

「あーいや、オレもイレイザーとかそういうの今初めて聞いたわ。」

 

「大方、”聞かれてないから”って理由で言わなかったんでしょ。」

 

 

 

初めて聞かされるワードに秋達も驚くなか悠と蓮司の間に散らされる火花は増す勢い闘志の火が着き、互いの武器が下げられる。

 

「…ここではなんだ。場所を変えるぞ。」

 

「あぁ。でも移動する必要はねえよ。秋!!」

 

「は、ハイ!!」

 

「レーザーになってゲームエリアを出せ。使い方はもう全部把握したろ?」

 

「え?もしかして、オレこの為だけに呼ばれた?ていうか、こういう展開になるの分かりきってた?」

 

「素直にコイツが出してくれればこうならなかった、要はコイツの所為。」

 

「うわァ、出た責任逃れ…まぁやりますけど?じゃなきゃ学校が冗談抜きで廃墟になっちまうし。」

 

秋はしぶしぶながらも悠の指示通りゲーマドライバーを身に付け、ガシャットを手にする。

 

 

<< BAKUSOU BIKE >>

 

「んじゃ、変身、っと。」

 

「…随分やる気の無い変身ね。」

 

<< ガッシャット! >>

<< Let`s GAME! Mettya GAME! Muttya GAME! Whats your NAME?──>>

 

<< I`ma KAMEN RIDER! >>

 

何時もと打って変わり、ローテンションの秋は足を蹴るでは無く上げた動作でパネルを選択すると、レーザーレベル1へと変身する。

始めて見るレーザーの姿に古城達の反応は様々だった。

 

「…ゆ、ゆるキャラ?」

 

「…かわいい。」

 

「ほう、これはまた奇抜な…パワーと防御を特化してるのか?」

 

「うわカワイイーッ!これウサギの耳?あ、違うハンドルだ!!」

 

「お?おぉ!?オレ今結構人気者?」

 

「どちらかと言うと、着ぐるみ効果での人気ね。」

 

 

「オーイ!握手と写真は後にして早くやる事やれ!!」

 

「ほーいほい。いよっと。」

 

 

<< STAGE SELLECT! >>

 

 

レーザーのキメワザホルダーのボタンが押されると、先程まで立っていた校舎裏から廃工場の内部に風景が変わった。

 

外野が騒いでいるのをスルーし、悠と蓮司は戦闘準備に入った。

 

 

「さて…始めますか。」

 

「あぁ…この時をどれだけ待ったか。」

 

「ッ!…へぇ、まだドライバーあったんだ。」

 

 

蓮司が取り出したのはゲーマドライバーでもサソードヤイバーでも無く、黒の小刀が着いたドライバー、戦極ドライバーを腰に着けた。

 

蓮司が戦極ドライバーを身に着けるや、悠も同じ戦極ドライバーを身に付ける。

 

「ま、丁度いいや。格の違いを見せつけるのには同じドライバーの方が効果的だからな。」

 

「…精々今の内に胡坐を搔いていろ。その余裕、直ぐに崩してやる。」

 

 

悠が取り出した赤黒いロックシードに対し、蓮司はグリーンのロックシード、メロンロックシードの開錠スイッチに指を掛ける。

 

「変身ッ」

 

<< ブラッドオレンジ! >>

 

 

「変身ッ」

 

<< メロン! >>

 

 

<<<< LOCK ON! >>>>

 

 

頭上に開くクラックから降りてくるアームズとギターと法螺貝のサウンドが響き渡り、カッティングブレードを同じタイミングで倒した。

 

 

<< ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道・オン・ステージ! >>

 

 

<< ソイヤ! >>

<< メロンアームズ! 天・下・御・免! >>

 

 

 

降りて来たアームズが被さり、悠は紅い武将、武神鎧武へ。

 

蓮司は淡い黄緑が映えるアームズを被さり、白のボディスーツを纏いアームズウェポンであるメロンディフェンダーを携え鍬形の兜被った武将・斬月へと変身した。

 

 

「秋、 彩守君の変身してるのって?」

 

「あぁ、斬月だね。ノーマルの。確かに剣を使うライダーっちゃあそれっぽいけど…。」

 

「白い鎧武者…もしかしてアレがまゆっちを助けた仮面ライダーか?」

 

「あー、それ多分悠兄さんっしょ。その頃は一人でやってたらしいし、斬月にはもう一つの姿が在るし。」

 

「もう一つの姿!?その情報について知っているのなら、詳しく教えてください!!」

 

「おい姫柊落ち着けよ!!お前最近仮面ライダーの事になると我を忘れるクセがついてねえか!?」

 

「これも必要な事です!!……目の前で見たモノと知った情報で機関の言う通り抹殺すべきかどうか、私はそれを見極める必要があるんです。」

 

「姫柊…お前灰原の事を…。」

 

「信じていませんよ。灰原先輩はともかく桜井先輩達もまだ隠してる事がたくさんあようなので…ただ。」

 

「ただ、なんだよ?」

 

「……ラ・フォリア王女が、あそこまで先輩達を信じて共に過ごしてるあの人の言葉なら、信じてみようと思いましたから。」

 

「…そっか……ありがとうな姫柊。」

 

「って、なんで先輩がお礼を言うんですか!? 先程も言った様に、私はまだ灰原先輩の事信じては…!」

 

「おーい。そんな事言ってる間に、向こうはもう始まっちまったみたいだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

武神鎧武と斬月は腰に差してある付属武器、無双セイバーを抜き斬月は盾と剣の攻守が揃ったスタイル。対する武神鎧武は長剣と短剣の基本的な二刀流のスタイル。

同じ戦極ドライバーを駆使しての戦局は、下手な小細工無しの技量を求められる一戦になる事が想像出来る。

 

 

「ゼラァッ!!」

 

「セェィアッ!!」

 

 

互いの無双セイバーが火花を散らしながらぶつかり合っていく。

 

 

無双セイバーの打ち合いの次は各アームズウェポンでの攻防。左の大橙丸を振るう武神鎧武の剣戟を盾であるメロンディフェンダーにて防御、パリィによる反撃、時には幅広い面積を活かしての打撃など駆使して攻めていく。

 

無双セイバーから繰り出される強烈な突きをディフェンダーで受け斬月は下がる。追撃を仕掛けに前に出る武神鎧武に斬月はメロンディフェンダーを投降して牽制。その後無双セイバーを両手で持ち、牽制で僅かに怯んだ武神鎧武に振り降ろす。

 

無双セイバーと大橙丸を交差して受け止めるも、振り下ろされた剣は想像以上に力強く、危うく脳天に刃先が触れる位にまで押される。

斬月は受け止められた剣を押し出して武神鎧武を力押しで下がらせると、斬月による剣の猛攻撃が繰り出される。

 

「ッシェァアッ!!!」

 

「ッ!!」

 

左から右に振るわれた無双セイバーの一振りは斬月の気迫も込められており正に一撃必殺の一振り。

武神鎧武は狙われた胴だけを後ろに引っ込める形で回避。だが刃先がアーマーの被っていないスーツ部分をすれすれに通り過ぎた感触が伝わる程の速さと鋭さから”当たればマズイ”というワードが第六感で感じ取れた。

 

そんな武神鎧武を余所に、斬月を剣を切り返して今度は頭部目掛けての切り上げが襲い掛かる。咄嗟に大橙丸を顔の横に持っていきガードしようとしたが、斬月の力強い太刀筋に圧されてしまう。

 

弾かれて宙を舞う大橙丸。再び振り降ろされる剣を武神鎧武も両手に持ちにして受け止めるが、鍔競り合いの力勝負は斬月が勝っていた。

 

 

(斬月とのスペック差では、コッチの方がパワーは上な筈なんだが…!)

 

「スゥー……カァッ!!」

 

「ヌォッ!?」

 

 

内心斬月の圧倒的な力の差に愚痴を吐くなか、斬月は一呼吸を入れた後、足を踏み込みと同時に鍔競り合ってた武神鎧武を弾き飛ばした。

 

地面を転がる武神鎧武へ追い打ちを掛けんと詰め寄る斬月に武神鎧武は無双セイバーのコッキングレバーを引き無双ノズルから牽制で銃弾を放つ。

 

これに斬月はバックステップで回避し、武神鎧武は再度レバーを引いて銃弾を放つ。

だが斬月は弾道を見切り、無双セイバーで向かって来る銃弾を全て切り落とした。

 

 

「…終わりか?だとしたら拍子抜けも良い所だな。」

 

「んなわけねぇだろうが。お前みたいな剣術バカなんぞの相手、それこそ拍子の抜けたヤツで楽勝だっつうの。」

 

「…そこまで言うなら。」

 

 

斬月は正眼で構えた無双セイバーを降ろすと、ベルトに取り付けられたロックシードのホルダーから別のロックシードを取り出す。

 

そのロックシードを目に、武神鎧武は仮面の下で僅かな反応を見せた。

 

 

<< オレンジ! >>

 

「その剣術がどれだけのモノか、お前の体直々に刻み込んでやろう…。」

 

<< LOCK ON!──ソイヤ! >>

<< オレンジアームズ! 花道・オン・ステージ! >>

 

斬月がアームズチェンジしたのは武神鎧武と同じ形状なアームズだが、色は血のような赤黒い色でなく、一般的に見られる橙色のオレンジ。

そして新しく左手に持つオレンジの大橙丸と無双セイバーを構える。

 

「二天一流…参る!」

 

「んのヤロッ…!!」

 

 

再び放った弾丸を斬月は両手の剣を巧みに振るい切り落としながら駆け進んで間合いを詰めて行く。

 

片手持ちとなった剣戟は両手の時と比べて力を劣るものの、それを除けば太刀筋は衰えるどころかより速さが増した剣筋に武神鎧武は思わず舌を巻いた。

 

斬月が攻め、武神鎧武が防ぎ、躱すが続いて討ち合いが二十を過ぎた頃合いに斬月は武神鎧武の持つ無双セイバーを自身の無双セイバーと討ち合った瞬間、僅か一瞬の時を狙われる。

 

「──フッ!」

 

「ォオッ!?」

 

合わさった剣先から柄元を辿る様に巻き上げ、無双セイバーが武神鎧武の手から離れ宙を舞う。

 

剣道にて用いられる巻き上げ。武道に精通していない武神鎧武はものの見事に嵌ってしまい無手の状態になってしまった。

 

「セェァッ!!」

 

「グァッ!!」

 

武器無しの武神鎧武へ斬月の容赦ない一太刀が浴びせられる。

 

斬られて倒れた武神鎧武の上に斬月が無双セイバーをその首元に突きつけ、こういう形となった根柢を突きつける。

 

 

 

「同じ力。同じ武器を扱う者同士の勝負を大きく左右するのは、扱う者の技量の差。

その点では貴様より剣術に長けたオレの方が圧倒的に上だ。」

 

「成程、確かにお前の言う通りだ…だがな…。」

 

斬月の見えない位置で武神鎧武は密かに持っているロックシードの開錠ボタンに指を掛ける。

 

「それとは別に、武器であるライダーシステムをどれだけ上手く扱い使いこなせるか…様は経験の差だ!」

 

<< ブドウ! >>

 

「ッ!貴様ッ!」

 

「ソラッ!!」

 

「グッ!!」

 

 

開錠音に気を取られた斬月の背を蹴って自身の上から退かす武神鎧武。ブラッドオレンジのロックシードを外すとアーマーが展開前に戻り、武神鎧武の体から切り離される。

 

「オラ、プレゼントォ!」

 

「何ッ!?…クッ!!!」

 

外れたブラッドオレンジのアーマーをサッカーボールの如く蹴り飛ばし斬月に当てる。その間に武神鎧武はブドウロックシードをドライバーへ嵌めた。

 

<< LOCK ON! >>

<< ブドウアームズ! 龍・砲!ハッ!ハッ!!ハッ!!! >>

 

降りて来たブドウのアームズが頭に被さり展開されると、紫の中華風鎧となったブドウアームズへと変わり手にはアームウェポンのブドウ龍砲が手にされた武神鎧武は撃鉄部を操作すると、連射は聞く様になったブドウ龍砲を放ちながら斬月の動きを止め、自身は手から離れた無双セイバーを回収すべく走る。

 

「っとぉ!…んじゃ、巻き返してくかァ!!」

 

 

無双セイバーを回収した武神鎧武は、コッキングレバーを引いて弾をチャージし、斬月目掛け走る。

 

「ソラッ!!」

 

「ッ!!」

 

間合いを詰めた武神鎧武はまずブドウ龍砲を発砲、大橙丸と無双セイバーでガードする斬月との距離を縮め懐に入ると無双セイバーを振り降ろす。

詰め寄られて避けるのが間に合わないと判断した斬月は左の大橙丸で受ける。その時、弾丸をチャージした無双ノズルが斬月に向けられ、武神鎧武は引き金を引いた。

 

「ガッ!、ガァアアッ!!!!」

 

「オラまだまだァ!!」

 

四発全て喰らった斬月に武神鎧武は再度弾をチャージし、猛攻撃が始まる。

 

斬月は撃たれる前に無双セイバーを振り降ろして来るのを、逆手に持ったブドウ龍砲で受け止めたら同じく逆手に持った無双セイバーを足元目掛け振るい左の腿を斬り付ける。

体勢が崩れ左足の膝が着いた所を、頭部目掛け膝蹴り。

 

声が漏れる斬月に、持ち直した無双セイバーを横一文字に振るい斬撃、そしてチャージした無双セイバーとブドウ龍砲の銃撃を浴びせた。

 

「グァァアアッ!!」

 

アーマーに火花が散る斬月。そんな斬月を前に武神鎧武はベルトのカッティングブレードを倒す。

 

<< ブドウスカッシュ! >>

 

「ドオラァアッ!!」

 

右足にエネルギーが蓄積されながら走る武神鎧武は、ふらつきながら立った斬月目掛け蹴りを放った。

 

「ッ!!──グァァアアァアッ!!!!」

 

咄嗟に二本の剣を交差して受け止めるが力負けして吹き飛ぶ斬月。

 

その際に変身は解除され、ベルトに嵌ったオレンジロックシードは武神鎧武の手に渡った。

 

 

「グッ……バカな…ッ!」

 

「ハ、勝負あり、てか?」

 

 

 

 

 

 

 

「勝った!ゼノヴィア!ユウが勝ったよ!!」

 

「ウム、剣と銃を組み合わせての近接戦闘。おまけにあの仕込み銃の刀を用いてのだと更に厄介な戦法だな。」

 

「…やっぱ仮面ライダー同士の喧嘩ってとんでもねえな…でも今回はどちらかといえば、アイツ等の素の実力が目立っていたな。」

 

「えぇ。オレンジやブドウ被った事についてはアレですけど…仮面ライダーの力を抜きに見ても、あの二人の実力は相当ですよ…一体何処であんな技術を…。」

 

「ヒュ~♪ さっすが悠兄さん♪

あんのイケすかねぇ野郎に一発叩き入れたシーンはスカッとしたぜ!」

 

「いや、やり過ぎじゃない? まぁでも変身が解けたくらいで済んだみたいだけど。」

 

「流石の悠兄さんもその程度の加減はしてるっしょ? でもあのキックをまともに喰らったら少なくとももう戦えないっしょ。」

 

「…いや、彩守のヤツ立ち上がったぞ!しかもまだやる気満々見てぇだ!!」

 

「え、マジ? うわマジだ。何アイツ、タフガイかよ。」

 

 

 

 

「ぐッ……ヌゥゥ…!!」

 

「やれやれ。」

 

 

腹部を抑えて立ち上がる蓮司を前に、武神鎧武は変身を解いた。

 

「止めとけよ。今のはモロに入って相当キツい筈だぜ?」

 

「黙れ!! 貴様は…貴様だけは…!!」

 

悠に対し親の仇でも見る様な眼差しを向けながらポケットから黒く四角いケースを取り出す。それは先程使った戦極ドライバーと同じ、悠も持っている変身アイテムだった。

 

 

「アレって、カードデッキじゃん!アイツまだ持ってたのかよ!? しかも四つ目って…最初の頃のオレより持ってんじゃん!!」

 

「桜井先輩、彩守先輩が持ってるあのケースもまさか…。」

 

「えぇそうよ。 ここに居る全員が知ってる仮面ライダーになる為のアイテムよ…特に暁君達はその時の彼に助けられているわ。」

 

「助けられ……ッ! もしかして…リュウガ?

え、どういう事だよ!? アレって、ただのケースじゃねえか!ベルトじゃねえだろ!?」

 

「あー、偶にあるんだよねぇ。ベルト以外にもなれる仮面ライダーって。

オレの知ってる限りじゃ、音叉だったり笛だったり、ブレスレットや銃でなる仮面ライダーも居るぜ?」

 

「本当ですか!?……それじゃああのデッキで彩守先輩もリュウガに…。」

 

「それは無いねぇ、カードデッキって13枚それぞれ決まったライダーになれるアイテムだから、同じライダーになるってのはまず無いね。契約モンスターによってその力も変わるけど。」

 

「そうなんですか……ん…13枚!?

あのデッキってあと11枚あるんですか!?あんな危険なモノが!?」

 

「あ、やっべ墓穴掘っちまった…姉ちゃん、これ悠兄さんに絶対言わないで。」

 

 

 

 

観戦する秋達が勝手に騒いでるなか、悠と蓮司のいがみ合いは第二戦目と向かおうとしてた。

 

蓮司は抜いた刀を地面に刺し、刀身に写る自分にデッキを翳しVバックルを見に付ける。

それを前に悠も、懐から手鏡とデッキを取り出し、自身もVバックルを装着する。

 

「イイぜ。こうなったらとことん相手になってやるよ…変身」

 

「お前だけは絶対に…ッ! 変身!」

 

お互いにデッキをVバックルに装填すると、鏡像が重なってその姿を変えていった。

 

 

悠は黒い龍を使役する龍騎士、仮面ライダーリュウガに。

 

 

そして蓮司は西洋の騎士の様なデザインにデッキにはコウモリのエンブレム、腰には[翼召剣 ダークバイザー]を挿した闇夜の騎士、仮面ライダーナイトに。

 

 

黒の騎士達はお互いに動かずジッと相手の動きを見る。特にナイトは先程のダメージもあって100%の動きが出来ない状態な為に下手な長期戦では圧倒的にナイトが不利だ。

 

ならば取る行動は一つ。長短期決戦による最大攻撃。

 

 

ナイトは腰のダークバイザーとデッキから一枚のカードを引き抜く。

 

カードを眼前に持っていくナイトの周囲から何処となくナイトを中心に風が巻き起こり、やがて嵐と見間違うほどの強烈な風が吹き荒れる。

 

 

そしてそれは秋達の元まで…。

 

 

 

「「キャアアァァアッ!!!」」

 

「ム?おっと…。」

 

「どうした姫柊…ぶッ!?」

 

「せ、先輩見ないでください!!」

 

「ハッ! 後ろで起こってるこれはもしや、ラブコメの定番、ラッキースケベが…ッ!!」

 

「ハイ、チェストォ!!」

 

「あばァッ!?」

 

後ろの騒ぎを聞いてレーザーが振り返ろうとした所を、ハルナがレーザーの顔面、丁度目の部分に蹴りを入れて視界を潰す。その際に転倒したレーザーのホルダーのスイッチが偶然にも小石に当たりゲームエリアが変わり出す。

 

<< STAGE SELLECT! >>

 

 

辺りは廃工場から、貯水ダムの壁上に立っていた。

 

ナイトとリュウガは突然立っている場所が変わった事に対して驚いた様子も見せず、ただただその場を動かず相手を見据えている。

 

吹き荒れる暴風の中、リュウガも静かにデッキからカードを抜く。

そのカードを抜いた途端、リュウガの周囲に蒼炎が奔り、ナイトが起こす風もあって二人の周りは一気に蒼い炎で包まれる。

 

 

そしてリュウガの籠手のバイザーが蒼炎に包まれ、銃剣のブラッグドラグバイザーツバイへと変わり。ナイトの持つダークバイザーも鏡が砕ける様に散るとその姿を変え、盾に剣を添えられたダークバイザーツバイへと変わると、リュウガは龍の口の中へ、ナイトは盾の差込口へカードを入れた。

 

 

<<<< SURVIVE >>>>

 

 

蒼炎と疾風が二人を包み、その姿を生存へと導く進化を施す。

 

 

蒼炎の力を宿した黒と青の騎士、リュウガサバイブ。

 

疾風の力を宿した青と金の騎士、ナイトサバイブ。

 

 

本来ならば交わる事の無い二つの生存の力が相まみえた。

 

 

 

 

 

<< FINAL VENT >>

 

「ッ…ハァ!」

 

ーKyiiiiiiin!ー

 

ナイトはダークブレードにベントインすると、ナイトの契約モンスターであるダークウィングが飛来し進化を遂げる。

黒の体がナイト同様に青と金の装甲になり、巨大化した両翼にホイールが備わった進化態、[疾風の翼・ダークレイダー]へ。

 

ナイトは跳躍してダークレイダーの背に。

 

 

 

<< SHOOT VENT >>

 

ーGuooooon!!!ー

 

対するリュウガは背後にブラッグドラグランザーを呼び出し、ブラッグドラグバイザーツバイをナイトへ向ける。

 

 

「ッ!」

 

ナイトを背に乗せたダークレイダーは真っ直ぐリュウガへ向かっていく中その姿がバイク形態へと変形し。機首からレーザーの様なモノが放たれると、リュウガは避ける素振りを見せずにそのままレーザーを受ける。

 

 

「ッ…指さえ動けば…!」

 

放たれたレーザーはナイトの紋章となってリュウガの動きを拘束し、その場から動けなくなったリュウガであるが構えたドラグバイザーに掛けた一指し指は健在だった。

 

 

「ッ──!!」

 

ナイトのマントがバイク形態のダークレイダーを包み込むと槍の様な突起物となって拘束されたリュウガに向かって突貫するナイトサバイブの必殺技[疾風断]。

 

 

ドラグバイザーの銃口から放たれたレーザーがポインターとなってブラッグドラグランザーの火炎弾が放たれるリュウガサバイブのメテオバレッド。

 

 

「「ハァッ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

ードガアァァァァアアンッ!!!ー

 

 

 

「うおォッ!? ちょっとコレ…!!」

 

「あの二人、やり過ぎ…!!」

 

 

メテオバレッドと疾風断が合わさった際の衝撃は凄まじく直視できない程。

 

その衝撃を間近に受けた二人は吹き飛びながら変身が解除され倒れる、悠は兎も角元々のダメージを受けている蓮司は戦闘不能に陥った。

 

 

倒れ込む二人を見てもう終わりかと思ったレーザーは変身を解いてゲームエリアを解除。ダムの壁上から元の校舎裏に戻る。

 

 

立ち上がった二人、特に蓮司の体はもう戦えずとも悠に向ける怒りの眼差しは一向に劣っていなかった。

 

「フゥー……そろそろゲームセット、てヤツだ。」

 

「ッ、まだッ…だ…!」

 

「……フゥ。そいじゃあ、ドライバーの回収を、っと…。」

 

「ちょっと待って!」

 

悠が蓮司の持つドライバー全てを回収しようとした時に、ハルナが悠と蓮司の間に入って悠に静止を呼び掛ける。

 

「姉ちゃん!?何やってのさ!?」

 

「これは…一体どういうつもりだ?桜井。」

 

「えっと…私思ったんだけど、これからもバグスターの襲撃で今よりも戦う事が増えるなら人では多くても…。」

 

「却下。 ソイツにライダーシステムを持たせた所で早死にするのが目に見えているんだよ。

現に俺とやって、そんなザマになってるのがいい証拠。」

 

「ッ…!」

 

「でも彩守君は少なくともバグスター二体を倒したし、さっきのだって…!」

 

「いいから退け。 さっさと回収して王女に頼まれた買い出し行かなきゃなんねえだよコッチは。」

 

頑としてハルナの意見を聞き入れない悠。背後の蓮司を庇って悠の前に立つハルナは、顔を俯かせる。

 

「……どうしてもダメなのね。」

 

「あぁ。決定事項だ。」

 

「そう……なら仕方ないわね。」

 

「何を…い゛ッだぁ!!」

 

俯いたハルナは悠の足の甲を思い切り踏みつける。

そして無意識に踏まれた足へ、顔が下に向いた悠の目にハルナの拳が。

 

「ゴメンッ!!」

 

「ぶッ!?」

 

ハルナのアッパーカットが見事悠の顔面にクリーンヒット。生身のパワーならチーム内で一番のハルナの腕力から繰り出された一発は、悠の体をキレイな放物線を描きながら宙に浮かせたのだった。

 

宙を舞った悠は地面に大の字で倒れ込み、しかもモロに入った為にノックダウン寸前だった。

 

「へ?……ゆ、悠兄さーん!?」

 

「ユウ!?」

 

「おい悠!大丈夫か!?」

 

「…う……ぅん…。」

 

倒れ込んだ悠の元に駆けつける秋、一子、ゼノヴィアは気を失う寸前の悠が何か言いたげな様子だったので、しゃがみ込んだ。

 

「悠兄さん!!どうした!?」

 

「……お、お前等…。」

 

「私か!?私はここに居るぞ!!」

 

「大丈夫ユウ!?アタシの事分かる!?」

 

「……中………見えて、る…。」

 

「?…ッ!」

 

「へ?…ッ!キャ!!」

 

「見えてるって……。

ってぇ!! アンタ何さり気無くラッキースケベ起こしてんだゴラァアア!!!

オイ起きろ!!何色だ!?何色が見えたんだゴラァアア!!!」

 

「………バカ。」

 

「うぅ…スパッツだけど流石に恥ずかしいよぉ…。」

 

 

「……何よコレ。」

 

 

一番心配していた筈の秋が気を失った悠の襟首を掴んで揺らし、その傍でスカートを抑えたゼノヴィアと一子が赤面しながらモジモジとしている光景を目に、ハルナは自分が起こした暴挙の結果だという自覚が失われていく。

 

そんな光景を目にしていたハルナだが、すぐに背後に蹲ってる蓮司の事を思い出す。

 

「あ、そうだ彩守君!アナタ…アレ?」

 

ハルナが振り返った先には既に蓮司の姿は居なくなっていた。

 

「アレ、何処に?…て言うか何時の間に…。」

 

「桜井先輩!!」

 

「姫柊さん、どうし…。」

 

「彩守先輩なら先程向こうに行きましたよ。大分苦しそうにしていましたけど。」

 

「ッ! ありがとう!」

 

「あ、先輩!!…行っちゃった。」

 

雪菜が蓮司の向かった先をハルナに教えると、ハルナは蓮司を追い掛けにその場を後にした。そして残され場には…。

 

 

 

「おい落ち着けって秋!!仮にも怪我人だぞ!?」

 

「放してよ!!どうせ古城センパイは姫柊ちゃんのパンツ見たんでしょう!? オレなんか目に入ったの蹴りだよ!?蹴り!?!?」

 

「バッ!、あ、あれは不可抗力であってだな…!」

 

「ハイ来たよそのお決まりの言い訳ぇ!!なんなんこの差!?オレだってそういう展開欲しいわ!ちっきしょー!!」

 

 

「ぬかったな…こういう事になるなら勝負下着を着けるべきだった…!」

 

「何を言っちゃてるのゼノヴィア!?」

 

 

 

「…コレ、どう収めればいいんでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐッ……クソ…!」

 

 

校舎裏から離れた場所で蓮司は壁に拳を打ち付けながら自身の不甲斐無さを責めていた。

 

最後の一撃の時、放たれた火炎弾は蓮司に直撃していなかった。突貫する軌道上の地点で火炎弾による爆発の影響で吹き飛ばされ、悠自身も蓮司の攻撃で吹っ飛ばされたのではなく、自身の放った攻撃が近すぎたが為に自身もその爆発に巻き込まれたのだ。

 

あの時起動線上では無く蓮司自身に狙いを付けていたら自身も巻き込まれる事無く、難無くと蓮司を倒せただろう。なのにそれをしなかったのは何故か。

 

そう、悠は手を抜いて蓮司と戦っていたのだ。一撃勝負以外に、戦極ドライバーで渡り合った時も。

 

 

「何をしているんだオレは!…ようやく辿り着いたというのに…!ヤツを……アイツを…!!」

 

「あ、居た!!彩守君!!」

 

全力を出した自分に対し手を抜かれて相手されていた事実に屈辱されていた蓮司の元へハルナが駆け寄る。蓮司はハルナに対し睨み付けソレに一瞬怯むが、腹部を抑える蓮司を見てすぐに気持ちが切り替わる。

 

「傷大丈夫?なんなら私が診てあげようか?」

 

「要らん、不要だ。少し休めば治る…それとさっきのに関しては礼を言う気は無いぞ。お前が出なくともオレ一人でどうにか出来た。」

 

「あー…そうですか…(なんという典型的なツンツンキャラ。)」

 

ハルナも知らぬ内に悠達に毒されて来たのか内心では場の空気とは違った見方を見せる等の精神的余裕が出来ている事に気付か無いまま、ハルナはずっと疑問に思ってた事を口にした。

 

「…ねぇ彩守君。アナタはどうしてそこまで灰原君を目の敵にしているの? 灰原君もアナタの事を知ってる口ぶりだったけど…アナタ達の間に一体何があったの?」

 

「………。」

 

ハルナの口から告げられた疑問を前に、睨み付けていた蓮司は忌々しげな表情を浮かべると考え込むように下に俯く。

 

暫くの間沈黙の空気が流れたが、やがて蓮司の口から、重く、どこか哀愁を帯びた声色で呟く様に言葉を発した。

 

 

「………奪われたんだ。アイツに。」

 

「え?」

 

「…オレにとって大事な…仲間を……師匠を…祖父を!…アイツの所為で皆死んだんだ!!」

 

「ッ!!」

 

顔は下を向いている所為で窺えないが、今の蓮司は様々な感情が入り乱れているのが先程の心の叫びで聞き取れる。

 

悠が転生者を相手にその命を狩る事は知ってる。実際その光景を見た事があるから。

ならば蓮司の言っていた師匠やら仲間も転生者なのか?ハルナは多少の動揺を感じながらも蓮司の言った真実の信憑性に疑問を感じ取る。

 

「…お前がヤツを信じていようがいまいが、どちらでもいい…!だがこれだけは言っておくぞ!」

 

「ッ!」

 

考えるハルナを余所に蓮司はハルナに背を向けながら、悠の人物像について語り出す。

 

「お前の知っている灰原 悠は、”この世界”で知った一面に過ぎん…ヤツが他の世界で何をして来たか…どれだけの無関係の人間を不幸にしてきたかを、お前等は知らないだけだ!…その中の一人が、このオレだ。」

 

「……。」

 

蓮司はそれだけをハルナに告げて立ち去って行った。

 

 

確かに蓮司の言ってる事は道理に合ってる。ハルナや秋はこの世界に来る前の悠の事を時々教えて貰ってるが、全部が全部で無いし、何より自分自身を嘘吐きと称してる悠が本当の事を言っていたのかも今になって気付いた。

 

だが唯一つだけ、蓮司の言っていた”大切な存在を奪われた者”は悠も同じである事。それを教えるべきかどうか小さくなっていく背中を見ながら、結局口にする事は無かった。

 

 







アマゾンズが映画化されるって聞いたけど、子供も見れる内容になるだろうかが心配な自分です。だって二期トラウマシーン多すぎだもん。

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