その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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今回の話は長いうえに胸糞な展開があります。
あと、ライダーは出ません。


救済

時刻は深夜を過ぎており人通りの少ない路地裏ではある地獄絵図が出来上がっていた。

囲まれた壁や、地面にはペンキで落書きしたような赤い血がまき散らされており。

辺りにはまるでプラモデルの部品を全て繋げる前のバラバラな状態の人体がやけに綺麗に揃えられており。

それを作り出したであろう張本人は揃えられた人体を見て歪に笑っていた。

 

 

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「はぁぁぁ~・・。」

 

「・・・またすごいタメ息だね遠山。・・・出来れば他のところでやってくれないかなぁ。」

 

「そりゃつきたくなるぜ、タメ息。この前の誘拐事件と言い今回と言い近頃物騒な難事件起き過ぎなんだよ。」

 

「あぁ、バラバラ事件か。」

 

自販機の前で喋っているのは悠とキンジであり最初にココで出会った時からキンジの愚痴を悠か古城に聞かせる事がちらほらあり、今日も今キンジが追いかけてる事件が進まないことに関しての愚痴を聞かされてた。

 

「確かテレビではこれで3件目だよねぇ・・。」

 

「あぁ、鋭利な刃物で体が綺麗にバラバラ、被害者の共通もなく武偵が巡回してもその間を突くように事件が発生、最初あの死体を見たときは・・・・うっ。」

 

「はいはい、吐くならトイレでね、・・・でも変な偶然だね。」

 

「うん?何が?」

 

「だって2件目の事件以来武偵がこの辺巡回してんでしょ、殺された被害者は確か会社帰りのサラリーマンにチンピラにホームレスでしょ?共通点が無いってことはこれは無差別の通り魔事件みたいなもんじゃない?何の考えなしに武偵に見つからず適当に殺しをしてるとは思いづらいんだよねぇ・・。」

 

「・・・灰原、お前今すぐ武偵のクラスに来ても可笑しくない推理だぞ。」

 

「まさか、唯の思い付きだよ思い付き。・・でもさぁ、正直武偵側も思ってんじゃない?この身近な疑問にさ。」

 

「まさか、・・お前それ本気で・「キンジ!アンタまたここに居たの!」・。」

 

キンジの話の腰を折ったのはキンジとコンビを組んでいるピンクの髪をツインテールにした小柄な少女、神崎・H・アリア。主にキンジから聞かされる愚痴の大半がアリアの理不尽な態度であったり、あのシャーロック・ホームズの子孫だとかなんだとか。

 

「こんな所で油売ってないでさっさと事件の捜査行くわよ!・・ん?誰よアンタ。」

 

「灰原 悠、そこの遠山の愚痴聞いてる。」

 

「そう、ならキンジ借りてくから行くわよキンジ。」

 

「おい!待てってアリア!」

 

二人が去った後を見て、悠はさっきから口を付けてないコーヒーを再び飲み始めたのであった。

 

 

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放課後、悠は街を見回しながら歩いていた。

今起きているバラバラ事件は十中八九転生者がらみだと思ってた。仕事のメールはまだ来てないが最低犯行を止めるくらいなら出来るので既に仲間達に周辺の捜索を頼み、悠自身も犯人の捜索をしていた。

 

「すいません。ちょっといいですか?」

 

声を掛けられたので振り返ると武偵の制服を着た男子が悠に話しかけてた。

 

「なんです?」

 

「いや、今この辺りにはバラバラ事件の犯人が出るかもしれないからあまり夜に出歩かない方がいいと言おうと思ってね。」

 

「そうですか、それはどうも。」

 

「構わないよ、この辺に住んでる人たち一刻も早く平和に過ごしてもらいたいからね。」

 

「・・・あんた、お人好しなんだね。」

 

悠は目の前の男子が本気で自分や周りの人間を気に欠けてることが伝わり、言われた男子は少し目を開かせて照れくさそうに話した。

 

「初めて会った君にも言われるかあ、俺は唯本気で思ってること言ってるつもりなんだけど。」

 

「それだけわかりやすいってことでしょ、でもいいんじゃない?決して悪い事ではないんだからさぁ。」

 

「・・・正直言うと俺、武偵になってこうして誰かの役に立てる事ってすっごく恵まれてると思うんだ。腕っぷしには自信ないけどそれでも誰かの為に何か出来るって思えば不思議と心が満たされるんだよ。」

 

男子は悠に心の底から自分が感じてる物を曇りない目で語ってた。

悠は男子のその言葉に嘘偽りない思いが伝わり心の底から応援したいと思ってた。

 

「・・っと、長くなっちゃったねゴメン。じゃあ俺そろそろ行くから。」

 

「・・・ねぇ。」

 

「うん?」

 

「・・・がんばりなよ、武偵さん。」

 

「!、あぁ!」

 

男子は悠の声援を受けて気持ちを引き締めて街の巡回に行った。

残された悠も犯人を捜そうと歩くがその時携帯にメールが入った。

自分が先に見つけるより先に向こうが見つけたかと思い、上司のメールから今回の事件の犯人を知ろうとした瞬間。

 

「!、・・・・・何だと!」

 

滅多に表情が変わらない悠の顔がひどく驚いた顔をする、開いたメールには犯人の顔と転生する時の経緯を見て、すぐさま上司の神に電話を入れた。

 

「・・・そろそろ来る頃だと思ってたよ。」

 

「どういう事だあれは、もう既にあれをやる主犯はお前たちが消したんだろう?」

 

「どうやらバカの協力者は過去に有った転生について色々調べたらしい、その結果今回の事件が起きてしまったと言う訳なんだ。」

 

「それじゃあ。」

 

「あぁ、・・・君にはまた辛い思いをさせてもらう事になる。」

 

「・・・・・分かった。」

 

電話を切り壁にもたれかかって腰を下ろし、しばらくした後決意を固めて今回のターゲットのもとへ向かう。

 

 

これからまた大きな罪を背負うために。

 

 

 

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場所は今、人通り少ないビルの路地裏で一人の男が目の前にいる今回の獲物であるOLを持ってるナイフでバラバラにしようと笑ってた。

OLは目の前の男が今世間を騒がしてるバラバラ事件の犯人だと思い恐怖で叫び声すら出なかった。

男がいざOLにナイフを突き立てようとした瞬間

 

「!」

 

色取り取りの小さなミニカー達が宙に道を出しながら男に襲いかかり、余りの光景に呆然としたOLがこの隙にと思い逃げる一心で走って行った。

ミニカー達が引き、男が見た人物は狙ってたOLではなく悠であった。

 

「今、・・・俺のことが分かるか?」

 

「・・・・・君は・・・。」

 

 

 

 

悠の目の前にいたのは先ほど会話した武偵の男子だった。

 

「あれ?俺何でこんな所に、君もどうして・・。」

 

「須川、落ち着いて俺の話を聞け。まず自分が手に持ってる物を見ろ。」

 

悠が話しかけた武偵の男子、須川は右手の持ったナイフを見て驚いて落とす。

 

「なっ、なんで俺が、・・・。」

 

「須川、思い出せ。・・お前がココに・・この世界に来る前に起きたことを。」

 

「この・・世界?・・・いったい何を・・・!!」

 

 

 

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「今からお前を作り上げた世界に転生させる、そこで精々ワシ等を楽しませろ。」

 

「嫌だ!俺は、俺はそんなこと望んでない!」

 

「仕方ないのう、ならば。」

 

「なっ、なにをする!やめろ!やめろおおおおおおおおおおおお!」

 

 

 

 

 

 

 

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「うあああああああああああああああああああ!」

 

須川は思い出した。

自分は神と言われる存在に望まぬ生を受けた事。そして神に施された術に自分はとんでもないことしてしまったと。

 

「俺は、俺はなんてことを・・・。」

 

「須川、こんなことをしたのお前ではあるがお前ではない正気を取り戻せ。今ならまだ間に合う。」

 

「ダメだ。アイツが、アイツが出て・・・・。」

 

須川は膝をついて力なく顔を伏せる。

 

「・・・・くっははははははは!、ひゃーーーーーはっはっはっは!」

 

次の瞬間、須川はまるで人が変わったように狂い笑いだし歪な顔で悠に話しかける。

 

「あーあ、もうばれちったよ。早すぎるってお前さんさぁ。まぁ奴のあんな絶望した顔がすっっっごく見物だったのは間違いなかったがなぁ。」

 

「お前が。」

 

「そう!お前さんの言うとおり俺は神によって作られた人格、もう一人の須川。コイツとは対照的な存在さ♪」

 

神による転生は何も誰もが受けたがるようなものではない、転生され過酷な戦いに巻き込まれたくない物達もいる。

それでは面白味が無いと感じた神はソイツの精神にもう一つの人格を宿し、相反する人格を持ってどのような展開に巻き込まれるか高みの見物をしようとする物が居たのだ。

悠はこのような転生者を相手にするのは一度や二度ではない、皆望まぬ生を受け尚且つ神の玩具にされる被害者たちを危険な存在として消してきたのだ。

 

「聞こえてるか須川。お前は何も悪くない、だがそれでもお前のしてしまったことは許されるものではない。」

 

「おいおい無駄だぜぇ。今コイツビビッて頭の奥底に縮こまってるからよォ。」

 

「俺にはお前を助けることは出来ない。・・・唯一出来るのはお前を絶望から解放してやることだけだ。」

 

「だからぁ、無駄だって言ってんじゃんよ。」

 

「お前は俺を許さなくていい、むしろ恨んでくれお前には当然の権利だ。」

 

「だーかーら!、さっきから・・・。」

 

ふと別人格の須川が喋るのを辞めて一瞬、ほんの一瞬だけ元の人格に戻った。

 

 

 

 

「・・・・頼む、・・・・・やってくれ。」

 

「・・・・・・すまない。」

 

悠は須川からの頼みを聞いて覚悟を決める。

懐からバイクのハンドルと銃が一体となった[ブレイクガンナー]を銃身の短いディストラクションマズルに掌を強く押し当て待機音が鳴り響き掌を離す。

 

<<BREAK UP>>

 

ギターのサウンドと共にバイクのジャンクパーツが悠の体につき鎧となる。

 

 

体にジャンクパーツを纏い紫のメタルボディに左肩の不吉な髑髏。

 

 

全てを処刑する冷酷な死神[魔進チェイサー]

 

 

今、哀れな魂を救うためにその命を刈り取る。

 

「ったく!急に出てきやがってこのゴミが!まあ取りあえずはお前さん殺して憂さ晴らしでもすっかぁ!」

 

ナイフを持った別人格がチェイサーに襲いかかる。

 

<<BREAK>>

 

ノズルを押しブレイクガンナーを打撃モードにし、振り下ろされるナイフを持った腕を掴み前蹴りでひるませた後ブレイクガンナーでアッパー、フック、ストレートを浴びせダメージを与える。

 

「こんにゃろうが!」

 

別人格はビルの壁を利用して超人的な脚力でスーパーボールの様に跳ね跳びチェイサーを錯乱させる。

 

<<GUN>>

 

ブレイクガンナーをガンモードにして射撃するも余りのスピードに当たらず、別人格はナイフでチェイサーに斬り付けた。

 

「っ!」

 

「ひゃははははは!そのままバラバラに切り刻んでやるぜぇぇ!」

 

<<BREAK>>

 

チェイサーは受け待つ構えを取り視覚を閉じる。

耳で聞き、肌で感じ、鼻で確かめ、第六感を開いて向こうから来るのを待つ。

 

「・・・・・ハアッ!」

 

「!、ぐああああ!」

 

後ろから来た別人格に振り向いてブレイクガンナーを叩き込み、咄嗟の反応で左腕をガードに使った別人格は壁に叩きつけられた。

左腕が折れた別人格はすぐまた足を使った戦法を取ろうとするが、チェイサーはそれを封じるために仲間であるミニカー[シフトカー]の一台を手に取りブレイクガンナーに装填した。

 

<<TUNE・ROLLING GRVITY>>

 

ロードローラーのシフトカー、ローリンググラヴィティの弾丸は別人格の上で弾き倍にした重力が別人格の動きを抑える。

 

「ぐおッ!・・・か、体が・・。」

 

<<TUNE・CHASAR・COBRA>>

 

体の動けない別人格に、コブラを模したチェイサーバイラルコアで右腕に装着した鞭[テイルウィッパー]で滅多打ちにする。

テイルウィッパーでナイフは弾かれ一方的にやられる別人格にノズルを押して止めを刺す。

 

<<EXECUTION>>

 

<<FULLBREKE・COBRA>>

 

チェイサーから離れたテイルウィッパーが別人格に攻撃する[エクゼキューションコブラ]を喰らわせる。

喰らった別人格は大きな爆発の後倒れ込み、チェイサーはそれに近ずいてまだわずかに息があることに気付き、ブレイクガンナーを構える。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・あ・・り・が・・・・とう。」

 

「・・・・・・。」

 

最後の最後、須川に人格が戻りチェイサーに礼を言った後、息を引き取り体は光となって消えたのだった。

 

___________________________________

 

 

「終わったようだね。今、彼の魂の回収が確認されたよ。」

 

「そうか。」

 

「・・・君には本当に申し訳ないと思ってる。我々の勝手な行いで君に重い責任を押し付けてしまった。」

 

「謝るのは俺じゃなくて本当の被害者に言ってくれ、・・・・それに今更背負う罪が増えたぐらいでどうもしないよ・・・・・

 

 

 

 

俺はもう止まれないんだ全て抱えて死ぬまで、それが俺に課せられた罰だから。」

 

 

___________________________________

 

事件は悠の助言によって動いたキンジ達の捜査とあの場から逃げ延びたOLの証言から武偵の巡回ルートの穴を突いた須川の犯行として今現在行方不明の須川を捜索しているが、本当の真相について悠以外知ることはない。

 

 

「どうした灰原?心ここに非ずって感じみたいだが。」

 

「・・あぁ暁か。・・いやちょっとね。」

 

「なんだよ。」

 

「人間って、もう慣れたや強くなったと思ってるうちはまだ全然進歩してないんだなって・・・・いや、何でも無い。今の忘れて。」

 

「・・・灰原、お前今日ウチに飯食いに来いよ。お前が来るって凪沙が知ったら豪勢な料理が出てくるぞ。」

 

「・・・・・なら、お邪魔しても良いかな?」

 

 

 

罪を背負いながら戦う少年は少しばかし休んでもいいかもしれない。

 

 

 

 

 

 




魔進チェイサーが好きすぎてライダーではないのに出してしまいました。
でも、後悔はない!

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