『―――へぇ、階層主や
『まぁ、できればな』
『任せな!最強の武器を打ってやるよ!図面引くから待ってな』
『お、おい?』
最初は、他愛も無い話の中で出した冗談のつもりだった。
『……なぁ、もう何時間も待たされているんだが』
『……うーん。このままだと五、六
『おい待て、どんな武器を打つつもりだ』
鍛冶師が本気になった時程恐ろしい物は無いと後にグリファスは語った。
当時オラリオに存在した鍛冶派閥、【ヴィシュヴァカルマン・ファミリア】。
目を輝かせる団長の言葉に応えた彼等は大量の
『これ、は……』
『名付けて「アスカロン」だ!はっはっはっ!』
笑顔で彼女が見せてきた極大の大剣とその請求書を見てグリファスは本気で頭を抱えたのを覚えている。
六
馬鹿げてる、と当時のグリファスは思った。
でも。
そんな規格外の武器だからこそ、怪物達を討つ一手となるのかも知れない。
「―――ッ!!」
駆ける。
彼の足元が爆ぜると同時、彼は一〇〇
『オォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
「!」
放たれた
六
『ウゥ!?』
「チッ……」
超硬の皮膚に軽傷どころか深々と裂傷を刻んだ一撃に
堅実に
そしてアスカロンを構えなおしたグリファスを―――
砂漠の形を大きく変える一撃。足はめり込んで大きなクレーターを作り出していた。
そもそも八〇
そのはずだった。
だが。
「―――色々対策も考えて来たが……やはり
『!?』
細身のエルフを踏み潰したはずの足が、揺れる。
直後、強引に足が持ち上げられて無理矢理横にずらされた。
砂漠に轟音が轟く。
「……」
グリファスはともかく足場の方が耐えられなかったのだろう、踏み潰しを受けて胸まで砂に埋まった彼は高い【ステイタス】を利用して一息で砂を吹き散らす。
だが本来、グリファスでも生身ならば今の一撃を受ければ無傷ではいられ無かっただろう。
普段の効果とは別に、使用者にかかる
「―――【我が身に翼を】」
地上での戦闘は不利と早々に判断したグリファスは詠唱を始める。
「【矮小なる妖精の身を遥か空の上の
ゴッッ!!と、再び
一気に前方へ疾走したグリファスが、巨竜の腹の下まで潜り込んでいたからだ。
「―――【奇跡の翼を】」
並行詠唱。
大上段に構えた極大剣が振り下ろされ、
「……【我が名はアールヴ】」
鼓膜が割れかねない大音量で叫喚が飛び、怒り狂う
「【フィングニル】!」
虹色の翼が生まれた。
それは
後は簡単だった。
カンストした魔力、A評価の『魔導』によって形作られた二対の翼。
それを羽ばたかせて生まれた莫大な力でもって、
『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!??』
前足を落としてやった方が効果的だっただろうが、それでも体勢を崩してやるには十分だった。
足を切り崩し、地に落とす。
グリファス達冒険者が一〇〇〇年に渡るモンスターとの闘争の中で手に入れた、階層主及び超大型モンスターに対する
「―――よし」
確かな手応えに笑みを見せるグリファスは宙に浮かび、
彼の黒竜と同じ様に傷は癒え血は止まり始めているが、失われた足が戻る事は無い。
その差に笑みを浮かべるグリファスは、畳みかける為詠唱を始めた。
「―――【
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