新章突入にあたってタグ追加しました。
プロローグ
『オォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
白濁色に染まった迷宮に、モンスターの咆哮が轟く。
ダンジョン37階層、『白宮殿《ホワイトパレス》』。
その中でも一際広いルームで冒険者達と争うのは
人間の骨格をベースにした漆黒の骸骨。
Lv.6相当の階層主は、その巨体でもって冒険者達を叩き潰さんと迫る。
『オォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオゥゥゥウウァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
剛腕を振り下ろす。
「っっ!」
「おっと!」
地形を抉りながら迫る一撃を正面から受け止めきれないと判断した第一級冒険者は危な気無く回避、追撃の様に真下から放たれた
「【
「―――よしっ!」
「ありがとアリアー!」
一気にウダイオスへ襲いかかった。
「―――魔導師達は散らばって詠唱をしろ!攻撃を受けて詠唱が中断されても良い、
片手に銀杖を持ち、指示を次々と飛ばすグリファスは戦場を掌握する。
現在、【ヘル・ファミリア】は37階層にてウダイオスの討伐を行っていた。
10
並行詠唱を完成させたエルフの少女が炸裂させた砲撃を皮切りに、戦況が優勢になる。
(……順調だな)
様子を見守るグリファスは頬を緩める。
オラリオに現在3人存在するLv.7、その
だが彼はそれをしない、その理由は簡単だった。
同じ【ファミリア】に所属する若い冒険者達を育てる為だ。
「っ!」
『アァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!??』
風の剣を振るうヒューマンが前腕を斬り落とし、戦斧をドワーフが腰椎の『核』に叩き込んでウダイオスの動きを止めた。
「……ふっ」
頼もしい
この分では自分の出番は無さそうだと、銀杖を下ろした。
それから間も無く、ウダイオスは撃破される。
「あー疲れた!」
「今回のウダイオス強かったからねぇ」
「犠牲者が出なくて何よりだった」
「ふっ、
「おいおい、老人は労わってくれ」
「はっ、アンタみたいなジジイが耄碌するか」
『確かに』
「おい?」
アリア達と談笑する中、アマゾネスの言葉にグリファスは苦笑する。
現在位置、ダンジョン16階層。
37階層にて無事に
その時だった。
「―――止まれ」
十字路の前で、空気を一変させたグリファスの指示により部隊の動きが止まる。
「……あ」
「
「いや、あれは……」
「……」
グリファスを含め、事態を察した面々は無言で息を吐く。
素人であれば血眼の冒険者が『なすりつけ』に来たと思うだろうが、アレは違う。
覆面を被り、漆黒の装備で揃えた、他【ファミリア】の冒険者による―――襲撃だ。
モンスターの群れを上手く誘導した冒険者達が、彼等に迫る。
「グリファス、どうする?」
「……」
背後からの問いに、
彼等の所属する【ヘラ・ファミリア】は、敵が多い。
それは一重に主神と仲の悪い女神達の、とある確執によるものだ。
故に彼女の【ファミリア】が迷宮に潜る際は良く襲撃を受ける。今回もその類だろう。
あの数のモンスターは第一級冒険者でも手間がかかる。
どうしたものか、と思考し―――やがて、銀杖を装備する。
「……やれやれ」
彼の嫌いな物は三つある。
一つ、主神を泣かせる
二つ、過去に数十回彼に辛酸を舐めさせた黒竜。
三つ、それは―――孫の様に思っている
「……グリファス?」
「私が出よう」
オラリオ最強と名高い存在、【
襲撃者達は、確かに聞いた。
うんざりした様に、はっきりと―――目の前の老人が、唇を動かすのを。
「―――少しは敬意を払えよ?
その数時間後、【ヘラ・ファミリア】は無事に地上に出る。
「ん~~~っ、ようやく着いたぁ」
「腹減ったぁ」
「【フレイヤ・ファミリア】の【
「おい」
「やめろ」
「潰されるぞ」
「ナニソレコワイ」
変わらずに笑い合う彼等の引く
『……』
ボロ雑巾の様になって転がる、襲撃者達の姿があった。
彼等は【ヘラ・ファミリア】。
オラリオにおいて、【ゼウス・ファミリア】と並んで都市最強派閥とされる【
グリファス無双www
襲撃者はレベル3から5位でした。ロキやフレイヤではありません。
そして次回、二つの最強派閥の実態が明らかに……!?