英雄達の最初の迷宮探索、ここでいよいよ一区切りです。
『アァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
「っ!」
咆哮と共に、飛竜が襲いかかる。
通路に飛び込むディルムッド、彼を追う
「―――」
光の衣を
通路の途中で突然反転し、高速で飛び続ける飛竜―――その真下に飛び込み、小さな体を活かしてイル・ワイヴァーンを
『!?』
突然
そして通路の狭さが災いし、方向転換もできないモンスターを、騎士の碧眼が穿った。
『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!?』
追う者と追われる者が、瞬く間に反転する。
「おぉ、無茶すんなぁ……」
ルームの端、モンスターを斬り伏せたジャックは通路内で飛竜を撃破してのけたディルムッドに呆れと称賛の混じった視線を向ける。彼の背後では詠唱を行う
「―――【集え集え集え、
精霊の名に恥じない莫大な魔力を練り上げ、
あらゆる闇を切り裂く聖なる光でもって、敵を
規格外の魔力に反応したモンスターが殺到する中、戦士達はその全てを抑えつけた。
「【我が名は
「下がれ!巻き込まれたら死ぬぞ!」
言うまでもなかった。
モンスターを無視して戦士達が全力で離脱する、その直後―――魔法名が紡がれた。
「【ホーリーレイ】」
視界が、純白に塗り潰される。
『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!??』
無数に放たれるのは極太の閃光。それが全てを一掃する。
下層から飛んで来たモンスターも全て撃ち抜かれ、魔石を砕かれて灰になった。
「ったく、
「しょうがないじゃん、凄い疲れるんだから」
呆れた様にぼやくガランとアリシアが言い合う中、ジャックも息を吐いて座り込む。
「……そろそろ、向こうも終わった頃かね」
視線の先には、砲撃でできた大穴があった。
「―――」
手が離されるのを感じた。
「―――【吹き寄せる熱風、
大火球で生まれた穴の中央を自由落下する中、無防備に詠唱を始めるレイラに複数のモンスターが襲い掛かるが―――その全てが、粉砕される。
『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!?』
縦横無尽に飛び回り、少女を狙うモンスターの撃破を重ねるのはグリファスだ。あらゆる敵を打ち砕き、決して少女には届けない。
「【世界の始まりから存在する二つの
乱戦の中グリファスが回収した杖を右手に構え、少女は歌うかの様に詠唱を続ける。
『オォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
竜の咆哮と共に大火球が放たれるが、戻ってレイラを抱き寄せるグリファスが真横に飛ぶ事で回避した。
「ッ―――【足を踏み入れし愚者は瞬く間に焼き尽くされ、跡には灰すら残らない】」
爆炎の余波に屈せず歌う少女にグリファスはこの苦境の中で笑みを投げ―――襲いかかる
紡がれるのは【二ヴルヘイム】と対になる獄炎の広域殲滅魔法。
ありとあらゆる物を焼き尽くす業火でもって、
己を守る青年を信頼し、他の全てを投げ出して歌い続ける少女の魔力が、膨れ上がった。
「【咲き誇れ、紅蓮の
無数のモンスター、大火球による迎撃を突破すると同時、詠唱を完成させる。
その距離、10
ルーム中央で瞠目する大紅竜、何体もの凶悪なモンスターを前に―――魔法名を唱えた。
「【ムスペルヘイム】!!」
『~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!??』
火柱が、ルームの全てを呑み込んだ。
レイラを抱えるグリファスをも巻き込みかねない程の業火。
並の魔法ならば耐え凌いでみせるヴァルガング・ドラゴンをも苦しめる獄炎。他のモンスターなど断末魔も発せずに消し飛ばされていった。
『―――ゥウ』
ズン、と。
レイラの魔法を受けてよろめきながら、大紅竜が地響きと共に体勢を立て直した。
上方を照準し、眼を光らせ、口腔を赤熱させる。
その直後。
「ッ―――」
タンッ、と焼け焦げた地面に降り立つ
最大出力。
嵐の様に吹き荒れる紅い魔力を銀杖に
今日は2話連投しました。マジ奇跡。
次の投稿は月曜日、か?頑張ります。