東方漂流伝~the lost of reality~ 作:ブラスト・プリズム
Side.Ryo―――
いきなり浮遊感を感じた俺は、とっさに隣にいた親友の名前を呼んだが、
「未奈斗っ!」
その時には俺の視界は暗闇に包まれており、未奈斗がいるかどうかどころか、自分の姿も見えず、ただ、落ちていく感覚しか感じられなかった。
「どうする?このまま落ちると確実にミンチだ。でも………」
為す術がない。四面楚歌、八方塞がり。絶望的な言葉しか思い付かない。そんな状態でいると、いきなり暗闇が途切れ、
「ぐあっ!?」
体に衝撃が走った。さっきまで俺を襲っていた浮遊感は感じられず、地上に落ちたことだけは分かっている。
なぜ意識があるのか、そして、顔を上げたときに気付いた、自分が知らない場所。この二つのことに気をとられていた。
「どこだよ、ここ………にしても………どっかの屋敷か?絵画や、蝋燭もあるし………」
ここに留まっていてもなにも始まらないと踏んだ俺は、十分警戒しつつ、この屋敷らしき場所を探索することにした。
「おいおい………どこのファンタジーよ、ここ。」
通路の曲がり角で、某傭兵ばりに壁に引っ付き、先を覗き込んでいると、見回りなのだろうか、羽が生えた少女達が箒をもちながら浮遊していた。
「こんなところ、見つかったら確実にお縄だろ。早く出口を探さないと………」
そう呟き、後ろを振り返ると、逆方向の曲がり角から、同じ格好をした少女がこちらに来ることを視認する。
「やべぇっ」
そう言って近くにあった階段を見つからないうちに上がり、上の階層へと上がってしまう。
「ちっ、こうなりゃどっかの窓から飛び出るしか―――」
そう思った矢先、俺の目の前に大きな扉があることに気付いた。
「これは、もしかすると屋敷のエントランスへ繋がる扉か………?」
そう言い、大きな扉を開けると、開けたときに外から入った光しか光源がない、真っ暗な大きい部屋が現れた。
「ここ、は………」
そう呟いた瞬間、俺の横にあった燭台の上にあった蝋燭がいきなり火を灯した。
「うわっ!?」
「ふふふ………私の館に無断で足を踏み入れたあげく、私の部屋も土足で上がってくるとは………大した度胸ね。」
部屋の奥から響いてきたどこか幼げで、しかし威厳を感じられる声に俺は反応した。
「誰だっ!?」
「本当、マナーを知らない侵入者さんね………まあいいわ。教えてあげるわ。」
次の瞬間、すべての燭台に火が灯り、声の主の姿が完全に視認できた。
「は、はは………どこのファンタジーだってーの………」
「私の名は、レミリア・スカーレット。さあ、招かれざる客は私を楽しませてくれるのかしら?」
その言葉が終わると、レミリアの右手に赤い槍が形成され、俺目掛けて放たれる。 俺は野生の本能か、咄嗟に右に転がると、俺がさっきまでいた場所に赤い槍が突き刺さった。
「へぇ?よくかわせたものね。」
「ただの人間が『スピア・ザ・グングニル』を受けて耐えられるとは思えねぇからな………」
「あら。この槍を知っているのね?」
「………………」
俺は無言を返す。あんなことを言ったが、ただの虚勢だ。次避けれるとは思わないし、あわよくばここで交渉できたらと思っている。
「だんまりは良くないわよ?まあ、これで終わりなんでしょうけどね。」
「くっ………」
レミリアの手には、新たなグングニルが形成されており、俺には交渉の余地もないことがわかる。
「じゃ………サヨウナラ。」
無情にもそれは、先程以上の速さで放たれ、俺を貫かんとする。
(俺………死ぬのか………?)
だが、死ぬ前に映ると言う走馬灯が流れてくる気配はない。
(まだ、死ねねぇ………何か………この場面を挽回できる方法が………!)
その瞬間、俺の頭に流れてくる言葉があった。それは………
「『コピー・アレンジする程度の能力』………っ!」
「終わったわね。」
私が投げたグングニルは、侵入者をしっかり捉え、床を少し破壊した。そのせいで土埃がたっているが、仕留められただろう。侵入者がここに来るとは思わなかったけれど、私からは逃げられなかったようね。
「さて、さく―――」
咲夜、と呼ぼうとしたときだった。土埃の中から、ものすごい魔力が溢れだした。
「なっ―――」
「お返しだ、レミリア・スカーレット!『バレット・ザ・グングニル』ッ!」
土埃のなかから、あり得ない程の槍―――小さめのだが、グングニル―――が
私の方へと放たれていた。
「ッ!『不夜城レッド』!」
即座に紅い十字架のオーラを放ち、放たれたグングニルを全て弾き落とす。
「く………そっ………」
土埃の中から、声が漏れたと思うと、そこには、倒れ込んでいる侵入者があった。
「まさか、私が人間ごときに"防御"をさせられるとは………」
そう思うと、何故か笑いが込み上げてくる。抑えることもせず、私は大声で笑いだした。
「アッハハハハ!いいわ、面白いわ貴方!咲夜!この面白い侵入者に極上のおもてなしをしてあげなさい!」
私は、こんな軽い気持ちで彼を殺さずに生かした。
それが、私達にとって、良くも悪くも、多大な影響を与えるなんて、この時は思いもしなかったわ………
作「なんだかのってたんで一日で投稿!ベースがあると早い早い。」
涼「リメイク前のは本当に酷かったからな。かなり改善はしてある………はず。」
作「したよ!したからね!」
涼「さて、次回は未奈斗のパートか。」
作「はい。涼君が能力発現したので、次は未奈斗君です。」
涼「リメイク前は収集つかなくなってしまったところだな。」
作「そーですねー………」
涼「では、また次回!」