東方漂流伝~the lost of reality~ 作:ブラスト・プリズム
Side.Minato―――
いきなり何かが聞こえたと思ったら、僕は暗闇の中を紐なしバンジーしていた。
「えぇぇぇぇぇぇっ!?なんで僕落ちてるの!?涼ーっ!?」
親友の名前を呼ぶが、近くにいないのか、帰ってくる言葉は無かった。
「いやぁぁぁぁーーーっ!?」
そして、暗闇はいきなり終わりを告げた。
「まぶしっ!………うわぁ………」
光に目が眩んだが、その次の瞬間に、僕達の世界にはあり得ない、広大な自然が眼下に広がっていた。
「こんな場所があったなんて………って、あれ?こんなに"森全体"を見回せるほど僕の身長って高かったっけ………?」
そして僕は気付く。"空中に自分が止まっている"ことに。
「う、わぁぁぁぁぁっ!!」
僕の体はまた重力に従って下降し、森の木々にぶつかりながら墜落し、意識を失った。
「………っ………ここは?」
僕が目を開くと、知らない天井が目に入った。
「あら、気がついた?」
寝かされていたソファーの横から、女性の声が聞こえたので、からだを起こしてそちらを見ると、僕は思わず口に出した。
「七色の魔法使い、アリス・マーガトロイド………!」
「私の名前を知っているの?服装からして、外来人みたいだけど。」
金髪に赤いカチューシャをつけた、アリス・マーガトロイドがこちらを訝しげに見ていた。
「ああ、ごめんなさい。僕は未奈斗。日向 未奈斗(ひゅうが みなと)です。一応、来たばかりの外来人………になると思います。」
「………なるほど、大体の事情は分かったわ。」
「一応聞きますけど、ここって……幻想郷、ですか?」
「………ええ、ここの名前は幻想郷。現実から忘れられたものが辿り着く場所よ。」
アリスはそう言って、額に手を当てた。
「………でも、あなたの場合は確実にあいつの仕業だけどね。」
「あいつ………って、まさか、八雲 紫ですか?」
「紫のことまで知っているのね………そうよ。紫が原因よ。いつもの通り、ただの神隠しだろうし、頼めば元の世界に戻してもらえると思うけど?」
アリスのこの言葉に、僕は少しだけ考えて、言った。
「いいえ、戻りません。」
「早いわね、決断。親とかいるんでしょ?」
「僕の親、僕を置いてよく旅行に行きますし………それに、」
僕は一息置いて、アリスの目をみて言った。
「変わらない日常に、飽きてたんですよ。ここは危険だって分かってるけど、何か刺激がほしかったんです。」
「ほんと、変わってるわねあなた………」
「よく言われます………」
頭を掻きながら、アリスの言葉を待った。
「仕方ないわね。行く当てなんて無いんでしょう?」
「ゔっ。」
「いいわよ、幸い部屋が一つ空いてるから、そこ使って。」
「ありがとうございます!」
「ただし。」
アリスは僕を指差してこう言った。
「敬語禁止。家事の手伝い。魔法の研究の手伝い。これだけを守ってくれたら、ここに住んでもいいし、幻想郷で生きていく術を教えてあげるわ。」
その言葉に僕は、笑顔で返した。
「うん、分かったよ。よろしく、アリス。」
これが、僕達の物語の始まりだった。
このとき、僕は、あんなことになるなんて、思いもしなかったんだ………
作「遅れましたー、第二話です。」
未「今回は僕なんだね。えーっと、アリスの家に運び込まれたのかな?」
作「そうですね。一応、移転前と同じ展開にはしますが、描写をもっと上手く書いていくつもりです。」
未「じゃあ、次もしっかり書きなよ?次はバトルシーンなんだから。」
作「が、頑張ります………」