ファイアーエムブレムif 白光と黒闇の双竜   作:キングフロスト

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※今回は本文の途中にて、サプライズがございます。活動報告を見ていた方ならお分かりになるかも…?

 


第56話 イズモの乱、終結。そして──

 

 壮絶極まる爆発の跡地で、一人悠然と佇むスカアハ。彼女を除き、この場で傷一つない人間は皆無だった。

 

「加減というのは難しいものよ。分かっていても、つい力が入りすぎてしまう。闘いにおいて手加減出来ぬが、我が悪癖か……」

 

 かといって、全員が死んだかといえば、そうでもなく、ヒノカ達は辛うじて一命は取り留めていた。

 百歩譲歩してやっと、彼女の場合は手加減と呼べるものとなる。なので、敵が死んでいない事それ即ち、スカアハにしては手加減という点においては上出来なのだ。

 まあ、彼女がそれに納得するかは別としてなのだが。

 

「これはまた、派手にやらかしましたね……」

 

 そこへ、王の間から一足先に出て来た邪術士、オーディンが眼前で広がる惨状を前に、少し引いたように感想を口にした。

 

「む、やはりそう見えるか? うーむ、やはりか、やはりそうなのか……。難しいな」

 

 真剣に悩んでみせる素振りから、彼女が如何に手加減が下手くそなのか、それが計り知れるというもの。

 だが、手加減が下手くそなだけであって、完成された武を持つ彼女の存在は、同じ軍に身を置く者としては頼もしい以外の何物でもない。

 

 そして、それは同時に、敵にとって絶望を与える力の塊でしかないとも言えるだろう。

 事実、サイラスは彼女を前にした時、手も足も出ないどころか、手も足も出そうとする事すら出来なかった。

 結果が見えていたから……といえば、そこまでの話だが、それでも彼の戦意を奪い去るだけの実力を有しているのは、脅威でしかないだろう。

 

「……少し暴れ過ぎやしないかい?」

 

 と、オーディンから遅れて出て来たレオンもまた、オーディン同様にボロボロに変わり果てた城内を見て、引きながら暗にスカアハを窘める。

 

「すみませぬ。どうにも、加減しようとしたのだが、それでこの様でしてな。やはり私には加減などとは無縁のようだ」

 

 レオンの言葉に、彼女は反省はしているが、改善は見込めないようである。器用ではないが、不器用でもないスカアハ。彼女にとっては手加減という行為は不得手に分類されるだけに過ぎない。

 人間、不得手な事を人並みにこなせるようにするには、それ相応の練習や訓練が必要だが、ここまで極まった武を持ってしまっては、それも困難なものとなるのに違いない。

 要は、遅過ぎるという訳だ。

 

「まあいい。お前も勝手にゾーラに同行したんだ。ある程度の処罰は覚悟するんだね……と、言いたいところだけど、今回はゾーラの独断によるところが大きい。だから『勝手に軍を動かしたゾーラを追う形で、奴を監視する為に同行した』って言い訳を与えてやるさ。それなら、失敗したゾーラにほとんどの責任が行くだろう」

 

「別に罰を恐れはしないが……そうなると、ゾーラは死刑という事でよろしいのか? 見たところ、ここで処刑はせずに生かして連れ帰るようだが。……ふむ、何やら企んでおられるな?」

 

 オーディンの背負うゾーラにチラリと視線を送り、含んだ笑みを浮かべてレオンへと訊ねるスカアハ。

 彼女の問い掛けに対して、レオンは表情に変化を見せず、むしろどうとでもないと言わんばかりの余裕すら滲ませて、淡々と答えてみせた。

 

「別に。企んでるなんて大層なものじゃない。ただ、手駒は多い方が良いだろう? それがどんなに使えなくても、どれほど無能であろうとも、役立たずには役立たずなりの使い道ってものがある。コイツには、コイツなりの役割を与えてやるのさ」

 

 無論、そのためにも彼にはここで死んでもらう必要がある。そう、()()()()死を与えねば、どのみちゾーラは帰ったところで、処刑される未来しか残されていないのだから。

 

「──さて、無駄話はここまでだ。そろそろ退却するよ。白夜の斥候……忍って言ったか、奴らも本物のイザナ公を見つけている頃合いだろう。忍はなかなかに手練れ揃いと聞くし、追撃されては軍を退かせた意味がない。彼らに鉢合わせる前に退くぞ」

 

 と、レオンは忍の姿がないうちに撤退するよう指示を出す。少数であっても、トラップや不意打ち、暗殺のエキスパートである彼ら忍を相手に、追撃されるのが手痛いのは必然。

 故に、余裕のあるうちにレオンはゾーラの指揮下にあった暗夜軍を、それよりも上の強制権を有する王族命令として速やかに撤退へ移行させていた。これ以上の損害は、レオンにとっては看過出来るものではなかったのである。

 

「出来れば忍とも一戦交えたかったが……仕方ない。ここは素直に下がるとしよう。帰ってルー辺りにでも組み手の相手をさせるか」

 

「うわぁ……ルーさんお気の毒に」

 

 さっぱりと忍との闘いを諦めて、帰るスカアハ。そんな彼女の言葉に、オーディンは合掌して冥福を祈るように、ゾーラを担いで追従する。

 

 レオンもまた、彼らの後を追おうと足を踏み出し───

 

 

 

「待、て」

 

 

 

 ───たところで、何者かに足を掴まれた。弱々しくも、必死の力が込められたその手の持ち主に視線を送る。

 

「なんだい? そんな瀕死の状態で、僕を止められるとでも思っているのかな───

 

 

 

 

 

 

 ───タクミ王子?」

 

 レオンの足を掴んだ人物──タクミは、血濡れの手で去ろうとする彼の行く手をどうにか阻もうと、醜聞すらかなぐり捨てて這ってまで手を伸ばしたのだ。

 

「なんで、お前が…ここに…居るんだ……っ!?」

 

 震える唇から紡がれる、同じく震えたその言葉。

 

 何故、レオン王子がここに居る?

 何の目的で?

 アマテラスは、他の2人はどうなった?

 

 それら全ての疑問が集約されたであろう、短くはあるが的を射た問いかけの言葉。レオンがアマテラス達の闘う王の間へと入って、そして彼がアマテラス達を残して出て来た事の意味。

 それは、彼にアマテラス達が倒された事に他ならない。安否の確認をしたいところだが、現状、タクミ達とて瀕死というギリギリの極限状態だ。せめて、敵だろうとも真実を知る者に確認をしたくなるのは、仕方のない事かもしれない。

 

「アマ、テラス…姉さん達、は……?」

 

 そんなタクミの心情を察してかは分からないが、その問いに対し、レオンは無感情に答える。

 

「安心しなよ。まだ生きてるさ。本当は僕がこのまま姉さんを連れて帰りたいところだけど、それは出来ないんでね。まあ、こちらにも色々と都合があるって事だよ」

 

「……っ」

 

 何でもないように言い放つレオン。彼の言葉がタクミに何を思わせたのか、その答えは単純かつ明快なものだ。

 

 アマテラス達の命に別状が無い事への安堵。そしてその気になれば簡単に自分達を倒し、アマテラスを連れ去る事など容易であると示すレオンへの劣等感。

 同じ王族きょうだいの4番目という立場に位置するというのに何故、彼との差がこんなにも大きいのか。何故、自分はこんなにも弱いのか。

 

 許せない。赦せない。ユルセナイ。

 

 何故、何故、何故、何故、何故、何故!!!

 

 そんな、自分やレオンへの怒りと憎悪にタクミの心が満たされていく。

 いっそのこと、このまま憤怒と憎悪に身を任せてしまいたくなる程に───

 

 

 

「タクミ!!」

 

 

 そんな時、今にも我を失いかけた瞬間に、彼の名を呼ぶ声があった。

 それは、幼い頃から何度も耳にした、透き通るような歌姫の声。

 その声に、タクミの心は引き戻されていく。

 

「チッ。無駄話が過ぎたか。それじゃあね、タクミ王子。せいぜい足掻いてみせなよ?」

 

「待て、よ……まだ、僕は……!!」

 

 これ以上の長居はレオンにとっても流石に拙い。そう判断した彼は、強引にタクミの手を振り払うと、タクミの元へと駆け寄るアクアには目もくれず、撤退したのだった。

 

 

 

 

 

「なんて酷い……」

 

 爆発が起きてすぐに、前線へと駆け付けたアクア。その目には、魔法によってもたらされた破壊の残滓が映される。城内は抉られ、爆発に巻き込まれた暗夜兵の死体からは大量の血が滴っている。

 そして、その中には仲間達の姿もあったのだ。

 

「兄様っ、姉様っ!!」

 

 遅れてやってきたサクラが、この惨状の中に沈むヒノカとタクミ、そして仲間達の姿に顔を青くして駆け寄る。

 彼女の後ろでは、互いに肩を貸し合いながら、たどたどしい足取りで歩くヒナタとカザハナの姿があった。

 

「ヒデェ……」

 

「まさか、これってあの女の仕業なの……!?」

 

 2人は身を以てスカアハの実力を知っていたが故に、この有り様には納得出来ていた。アレは暴力の塊だ。なればこそ、この状況にも頷ける。

 だが、納得出来るとはいえ、それを良しとするかはまた別の問題である。仲間を傷つけた彼女を、決して許して良いはずがないのだ。

 

「サク、ラ…か…?」

 

「…っ! 姉様!!」

 

 自身へと近寄る存在に、意識が少しずつではあるが、はっきりし始めたヒノカ。それが妹だった事に安心したのか、ヒノカは一気に緊張の糸が切れ、脱力してしまう。

 それを見て、ヒノカが事切れたと勘違いして慌て、涙を浮かべるサクラに、比較的ダメージの少なかったオロチが安心させるように声を掛けた。

 

「安心せい、サクラ様。ほれ、皆この通り瀕死の重体ではあるが、死んではおらぬ。まあ、立つのは無理そうじゃが……」

 

 うつ伏せに倒れたまま、顔だけを向けて語るオロチ。彼女の言葉に、少し冷静さを取り戻したサクラは、傷の深い者から順番に治療を始めていく。

 

 アクアは妹の奮闘する姿を確認し、タクミの傍から離れると、倒れたままのオロチの元へと歩み寄る。

 ここで何が起きたのか、それを聞くためだ。

 

「オロチ、一体何があったの?」

 

「うむ。ちと想定外の事が起きてのう。どこから話せばよいものか……」

 

 

 そうして、オロチが事のあらましを語り始める。アクアは彼女の言葉に、じっと耳を傾けて聞いていた。

 

 

「───とまあ、王の間へとアマテラス様らを送り出したまでは良かったのじゃが、その後で援軍が現れてのう。そやつ1人に、わらわ達はこの有り様という訳じゃ」

 

「……そう、暗夜の将軍が」

 

 その話を聞き、アクアは少し驚きはしたが、同時に得心もしていた。

 聞いた事があったのだ。暗夜にはマークス王子に勝るとも劣らない、極めて強力な将軍が4人居る、と。

 

 1人は、まるで城塞がごとし護りの固さと、攻め入る敵をことごとく討ち滅ぼさんとする力を持った、件の魔道重騎士スカアハ。通称『城塞のスカアハ』。

 

 他にも、かつて大地の部族が飼い慣らしていたとされる、世にも珍しい蛇竜を駆るワイバーンナイトのドレイク。その鋭い矛は、あらゆるものを抉り貫くとされており、槍の達人の中の達人と噂されている。通称『蛇矛ドレイク』。

 

 そして多彩な武器や暗器を使いこなす、遠・中・近距離のエキスパート、トリックスターのルー。その器用さと実力で、歴代最年少で将軍の地位にまで上り詰めたと言われている。通称『レンジマスター・ルー』。

 

 最後に、暗夜屈指の武勲者でもあるとされる、地走竜を駆るドラグーンのイスカル。通称『地走暗夜竜』と呼ばれている。

 地走竜とは、暗夜の火山地帯に少数住む、翼を持たずその足で駆けるのに特化した竜の事であり、その様はさながら戦車である。

 数が少なく獰猛なため捕獲も非常に困難、この獰猛な竜を乗りこなすのもまた非常に困難とされているため、この兵種につける者は仮に暗夜軍全体で見てもほとんどいない。

 その地走竜を暗夜で最も、そして唯一完璧に乗りこなすイスカルは、戦車の如き勢いを以てして、誰よりも戦場で戦果を上げているのである。

 

 つまり、要約するに暗夜の将軍達はそのほとんどが飛び抜けており、イスカルに至っては、マークスが暗夜最強の騎士ならば、彼は暗夜最強の竜騎士と言えるだろう。

 そして、そんな2人に騎兵ですらないにも関わらず、拮抗した力を持つのがスカアハだ。その彼女を相手に、この惨状は当然とも言えたのである。

 

「でも、本当にみんなの命に別状がなくて良かったわ」

 

 アクアは心底ホッとしていた。下手をすれば、ここに居た全員が死んでいた可能性もあったのだから。本当に運が良かった、と。

 が、今のアクアの反応に、オロチはやりきれない表情となる。

 

「いや、あやつは手加減したと言っておったのじゃ。これは当然にして必然の結果だったのやもしれん。わらわ達は、束になっても将軍たったの1人にこの様じゃと思い知らされたようなもの。結果的には助かったが、悔しいに決まっておる。特に──」

 

 そして、その視線の先には、

 

「ヒノカ様はな」

 

 治療を受け、ある程度傷の癒えたらしいヒノカが、片膝を抱えて俯き、地面に拳をぶつけていた。

 その顔には、苦悶が容易に見て取れる。

 

「ヒノカ……」

 

「無理もないわ。ヒノカ様は幼き頃より、ただひたすらに武芸を磨いておった。がむしゃらに強さを求めておった。奪われた弟妹を自らの手で救いたいが為に。しかし、必死で鍛えてきた武芸も、カミラ王女やあの女将軍にはまるで届かんかったのじゃ。同じ女戦士として、悔しくて悔しくて堪らんじゃろうて」

 

 オロチの言葉は的を射ていたが、その心の内までを計り知る事は不可能だろう。だってそれは、ヒノカだけの苦悶だ。彼女だけの気持ちなのだ。

 今までずっと培ってきて、それでもまだ届かなくて。

 弟に伸ばした手は届かなかった。そして今度はやっと帰ってきてくれた妹まで、自らの力量不足のせいで再び奪われるかもしれないという恐怖。

 今、彼女の中で渦巻く様々な感情は、決して明るいものではなかった。だけど、それに支配されてしまう程、彼女の心は弱くない。

 それこそ、これまでの鍛練の賜物と言っても過言ではないだろう。その芯の強さは、彼女が今まで培ってきた事の、紛れもない証なのだから。

 

 そんな彼女の強さを、幼い頃から妹としてずっと身近で見てきたアクアは知っている。だからこそ、ヒノカが挫けず、そこから更に上を行くであろう事も知っている。

 

「大丈夫。きっと、あなたは強くなる。カミラ王女よりも、スカアハよりも、イコナ様よりも……。誰よりも強い天馬武者になれる。私はそう信じているわ」

 

 故に、下手な励ましは不要だろう。ヒノカなら、放っておいても自分で立ち上がる事が出来るだろうから。

 それよりも、アクアが心配なのはタクミだった。アクアが駆け付けた際、一瞬だが、レオンを見つめるその瞳に、強い憎しみが籠もっていたように見えたのだ。

 ともすれば、恐ろしい何かに支配されかけていたかのような、恐ろしく鋭くて冷たい眼光。

 目を離せば、タクミが別人になっているのではないかとさえ思わせる程の不安を、アクアは心の奥底で感じていた。

 

「何もなければ良いのだけど……。そうだわ、アマテラス達の様子も見に行かないと…」

 

 後ろ向きな思考を追いやり、違う事を考えて切り替えるアクア。オロチの話を聞く限り、タクミとレオンのやりとりからアマテラス達も命に別状はないらしい。

 思い立ったら即座に王の間へと足を向けたアクアは、サクラの治療する姿を逐一確認しながら、アマテラス達の元へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、後方にて1人残って、ツバキに運ばれてきたフェリシアとリンカの治療をしているのはジョーカーだ。

 2人は全身傷だらけで、どれだけ激しい闘いを繰り広げたのかが一目で分かる。リンカのサラシは血で真っ赤に滲み、フェリシアのメイド服は至る所が裂けて、その白い肌に痛々しい切り傷が刻まれていた。

 

「無茶しやがって。お前らだけで将軍相手に勝てる訳ないだろうが」

 

 気絶している2人に向けて、無意味な説教をするジョーカーだが、その言葉に辛辣さは無い。むしろ、将軍相手によく健闘したと称えている声音に聞こえる。

 と、無意味に思われたその言葉は、

 

「…えへへ。負けちゃいましたぁ……」

 

 しかし、しっかりとフェリシアへと届いていた。変わらず気絶したままのリンカの隣で、儚げな笑顔をするフェリシア。ジョーカーの真意を読み取れたからこその、穏やかな微笑みだった。

 

「バカが。どうして他の連中に助けを求めなかった? 勝てないって分かってたろうに」

 

「だって……勝てなくても、足止めくらいにはなるじゃないですか。あんな危険な人と闘うのは、私達だけで十分だって、リンカさんと決めたんです。負けちゃいましたけど……」

 

「ユウギリが近くに居れば良かったんだがな。あいにく、アイツは全く違う方面に突っ走ってやがったから、どの道お前らだけで闘うしかなかったって事だ。まあ、足止めの役割自体は果たせただろうな」

 

 事実、フェリシアとリンカが彼女と長く戦闘を続けていたおかげで、アマテラスが王の間に突入する際に邪魔立てが入らなかったのだから、足止め自体は上出来と言えるだろう。

 

「そうだと…嬉しいですね」

 

「…ああ。さて、じきにユウギリ達を探しに行ったツバキも戻るだろう。あいつらが戻り次第、俺達もアマテラス様の元へ向かうぞ」

 

 それまでに、完璧に治療を終えてみせるとばかりに、ジョーカーの杖を握る手に力が入る。気合いでどうにかなるものでもないが、なんとなく作業が捗りそうな気がしたのだ。

 

「アマテラス様、どうかご無事で……」

 

 祈りにも似たその呟きは、ジョーカーとフェリシア、2人の従者どちらの漏らしたものであったのか───それを知るのは、この2人だけ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、アマテラスよりイザナ公救出を命じられた3人もまた、アマテラスの元へと急いでいた。

 

「さっきの爆発音…かなり大きいものだった。急ぐぞ!」

 

「いや、気持ちは分かるが、敵がどこに潜んでいるやも知れぬ。ここは慎重かつ迅速に動くべきだろう」

 

「そうですよ兄さん。私達はアマテラス様よりイザナ公の安全を任されているのです。彼の身の安全が何より重要なのですから、ここは慎重に行くべきかと」

 

 サイゾウの逸る気持ちも理解は出来る。仲間に何かあったと思うのは当然なのだから。

 だが、それを簡単に許してしまうのは駄目だ。イザナ公の身に何かあれば、白夜王国とイズモ公国の関係にも亀裂が入ってしまう恐れがある。

 忍として、時に優先させなければならない事は、命に代えても遂行する必要があった。

 国か、仲間の命か。

 

 それでも、任務を優先するのが忍だ。そうあらねばならぬのが、忍なのだ。

 

 ただ、彼らが無情な訳でもなく、

 

「心配せずとも、あれでなかなかにしぶといからな私達の仲間は。戻った頃には、全て終わった後かもしれんぞ?」

 

「ふっ……それもそうか」

 

 カゲロウに賛成するように、軽く笑ってみせるサイゾウ。そう、仲間達の強さを信じているからこそ、余裕を持てるのである。

 

「では、焦らず慎重に行きましょう。どうやら敵の気配は無いようですので、進みましょうか。ではイザナ公、こちらへ──」

 

「────」

 

 確実に、彼らの歩みは仲間の元へと近付いている。そこで何が待ち受けるのかは……もう分かるだろう?

 

 

 

 イズモ公国で起きた騒乱は、これにて終結した。後は、無事にイザナ公とアマテラスが、真の邂逅を果たすだけ。

 

 その時こそ、オロチの占いが示した、イズモ公国へと向かえという()()()意味が明らかとなる──。

 

 

 




 
「キヌの『コンコン! お狐通信』~!」

※ここからは台本形式でお送りします。

キヌ「コンにちわ~! 前書きに書いてあったコト、分かってくれたかな?」

カムイ「正解は、『活動報告で募集したオリジナル兵種の登場』でした!」

キヌ「いや~、やっと出せたよ~。出そう出そうとは思ってたみたいだけど、出すたいみんぐが全然無かったんだよね」

カムイ「こんな風に、頂いたアイデアは出来る限り形として使わせてもらいたいと思ってるからね」

キヌ「募集自体は半年も前だけど、恒久的に募集はしてるからね。案があったらドシドシどうぞー!」

カムイ「ところで、それ以外にも懐かしい兵種があったね」

キヌ「ワイバーンナイトに、トリックスターだね」

カムイ「聖魔の光石に登場したワイバーンナイトの固有スキル、『貫通』は怖かったよね」

キヌ「キングフロストも、それをぷれいしてた頃は小学生だったから、効果はイマイチ分かってなかったみたいだけど、とにかくだめーじがスゴくて怖かったんだって!」

カムイ「あとジェネラルが確率でダメージ無効化とかもあったよね。あれは難易度崩壊のチートスキルだったよ」

キヌ「うんうん。だから敵で出てきた時はとにかく厄介だったんだよね~」

カムイ「あの頃のジェネラルはアクションも見た目もかっこよかったから、聖魔のジェネラルが作者さんは一番好きなんだって」

キヌ「剣・斧・槍を装備出来て、全部のもーしょんがカッコイいんだよ! 特に必殺が出たときは最高だね!」

カムイ「話は戻すけど、今回のワイバーンナイトは聖魔のワイバーンナイトとは少し変えてあるよ。あと、トリックスターも覚醒の頃とは少し変えているみたい」

キヌ「具体的には装備出来る武器とかだね」

カムイ「まだ登場は先になるだろうけど、難易度ルナティック+を目指してるから強敵なのは間違いないね」

キヌ「ふーん。もっと更新頻度上げてほしいよね、最近遅いよ~。ぶーぶー!」

カムイ「あはは……。じゃあ、今回はここまで。また次回もよろしくね!」

キヌ「応募も気長に気楽にね~!」

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