ファイアーエムブレムif 白光と黒闇の双竜   作:キングフロスト

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第50話 蒼き双炎、竜の叫び

 

 睨み合うアカツキとクリス。片や敵意を剥き出し、片や冷や汗を浮かべている。当然ながら、後者はクリスの事を指していた。理由は簡単。

 

「僕らの中で最強に位置するアカツキさんが相手となると、流石に僕だけで勝つのは厳しいですね……」

 

「勝つなどと、戯言を。むしろお前は逃がさん。そこのルディア共々捕まえるに決まっておろう。それより、質問に答えるのが先だろう? 私は、何故お前達がここに居るのかを聞いている。何故、白夜の味方に回っている? お前はあの方の言葉を忘れたか?」

 

 静かな怒りを滲ませて、アカツキの声は恐ろしい程に冷たさを伴っていた。それは、傍らで話を聞いている、氷の部族のフローラを以てして、背筋をゾッとさせるには充分すぎる迫力を出している。

 

 しかし、そんなアカツキの怒気を一身に浴びてなお、クリスは冷や汗を浮かべる程度なのだから、どれほど肝が据わっているのかが伺い知れるというものか。

 

「忘れてませんよ。ですが、僕らは暗夜のやり方には賛同出来ません。戦争を終わらせる事を先決とするなら、僕は白夜に味方したい。それに、あの人のお子さんを見つけるのは、戦争が終わってからでも遅くはありません。そう思ったからこそ、こちら側で闘う道を選びました。たとえそれが、あなた達と闘う道であったとしても…」

 

 クリスにしては珍しく、おちゃらけた態度は成りを潜めて、冷静かつ真剣そのものな表情で語るクリス。それが軽い決意の上で放たれた言葉では無い事は、彼の表情からも明らかだ。

 その彼の言葉を静かに受け止め、目を閉じて聞いていたアカツキは、ゆっくりと息を吐いた後に答える。

 

「……お前の言い分は理解した。となれば、ルディアも同じ意思なのだろう。そして、後方に居るらしいブレモンドも。だが、だからといってお前達を捕まえる事には変わりない。それにだ。私はあの方のご子息であろう方に見当はついている。故に、お前達はこちらで闘うべきだ」

 

「……へえ。そうだとしても、断ると言ったら?」

 

「その時は仕方無し。力ずくで従わせるのみ!」

 

 ゆらりと刀を構えるアカツキ。薄く白い光を放つ二振りの霊刀は、刀身が蒼い炎に包まれていく。以前、天蓋の森でノスフェラトゥを灼き尽くした蒼き炎。

 

「ちょっと! いきなり『華炎』とか手加減無しですか!?」

 

 臨戦態勢へと移行したアカツキの姿に、慌てて魔道書を開くクリス。その刹那、寸分の隙も逃さぬとばかりにアカツキが高速で刀を一閃に放つ。斬撃に乗った蒼き炎は、弧を描くように飛び出すと、クリス目掛けて飛躍していく。

 ここで忘れてはいけない。彼女は手数を善しとする二刀流の使い手だ。当然ながら、その手数を以て、数多の蒼炎が弧を描きながらクリスへと集中する。

 

「『エルウィンド』!!」

 

 それらを、フローラとの闘いでも見せた風魔法での緊急脱出で回避するクリス。しかし、それすらも先読みしていたアカツキは、既に自身も、フローラが先程の闘いで生み出していた氷塊を利用して高く跳んでおり、クリスの正面へと到達していた。

 その勢いのままに、クリスよりも高度が上になったアカツキは、彼へ目掛けて踵落としを打ち込む。

 

「くっ!」

 

 クリスは咄嗟に手にしていた風の魔道書を、自分とアカツキの踵落としの間に挟み込み、直撃を避けるが、勢いを殺せる筈もなく、一気に地面へと叩き落とされようとする。

 

「レクス……カリバー!!!」

 

 地面に落下する寸前で、彼は必死の思いでレクスカリバーの風を右手から現出させる。それを後ろ手に背中へと回し込み、思い切り噴出させる事で勢いを殺し、フワリと後方へ回転しながら着地した。

 

「っふぅ! 相変わらず手が早いですね。息つく暇もありませんよ!」

 

「ふん…。お前こそ、妙手で難を切り抜けるのは相変わらずだな。決定打がまるで入らん」

 

 クリスの文句に、ストンと綺麗に着地してから答えるアカツキ。結構な立ち回りであったというのに、彼女は息一つ切らしていない。

 

「だいたい、あなたも女性なんですよ? なんですか、踵落としって!? 改造したからって着物だとパンツ丸見えなんですよ!!」

 

 だが、クリスとて負けていない。ちゃっかりと、アカツキの攻撃の際に見えた下着について言及する余裕が彼にもあるのだから。

 そんなクリスの軽口に、アカツキは顔色一つ変えず、

 

「全裸を見られた訳でも無し、高々下着を見られたくらいで恥じらいなど感じぬ」

 

 それこそ堂々と、きっぱりと言い放つアカツキ。およそ年頃の女性の発言とは思えないその物言いに、後ろで聞いていたフローラは顔を赤くして全力で首を横に振っていた。

 

「……ぶっ飛んでますねぇ。これが仲間同士での会話なら、どれだけ嬉しかったでしょうね」

 

 しかし、それは叶わぬ思い。クリスの考えは変わらない以上、彼はアカツキと敵対するしかないのだから。

 

「…では、その思いを振り切るためにも、僕も使わせて頂きますよ。その───」

 

 レクスカリバーの魔道書を開き、右手をアカツキの方へと翳してクリスは告げる。

 

「───『華炎』をね」

 

 途端、クリスの全身を淡く包むように、蒼い炎が彼の体から立ち上る。それはアカツキの刀を覆った炎とまるで同じに見えるのは、彼の言葉が真実なら当然であろう。

 クリスを包む蒼い炎を目にし、アカツキはより険しい目つきで彼と対峙する。

 

「フローラ殿、少し離れているのだ。近くに居ては巻き込まれるぞ」

 

「は、はい!」

 

 アカツキの指示に素直に従うフローラ。深く考えずとも彼女には分かったのだ。自分が居ては迷惑になる、と。

 

 フローラが下がった事を確認したアカツキは、クリスへと意識を集中する。クリスはと言うと、フローラが離れるのを律儀に待っていたが、それももはや必要無くなった。

 

「安心しろ、絶対に殺しはせん。お前を殺すなど、叔母上に申し訳が立たんからな」

 

「なら僕も。アカツキさんを殺したりしたら、僕が叔父さんに殺されますから」

 

「はっ…! お前が殺せる程弱くないと何度言わせる!」

 

 次の瞬間、アカツキは刀を両手に、勢い良く駆け出した。迫るアカツキに、クリスもレクスカリバーで応戦する。

 風の刃は、クリス自身から燃え上がる蒼い炎を吸収すると、肥大化し蒼炎の風刃となってアカツキに降り注ぐ。風に乗って勢いの増した巨大な蒼炎の塊は、切れ味すらも伴っていた。

 

 しかし、迫る脅威を前にしているというのに、アカツキはむしろ笑みを零すと、自ら蒼炎へと突っ込んで行く。

 何も理由無くそんな無謀な真似をしたのではない。算段があったからこそ、そんな真似が出来たのだ。彼女は炎にぶつかる直前で、両手にした霊刀を同時に、“X”の形となるように振り下ろした。すると、霊刀は炎塊を両断し、それどころか刀に纏っていた()()()()()華炎に()()()()華炎が取り込まれていく。

 

「やっぱり…! さっきのトロンも、それで切り裂いたんですね!」

 

 フローラを助けに入った時、彼女は颯爽と現れただけではなかった。フローラを狙った4本の雷閃を、全て切り払ったのだ。魔法を斬るという人間には離れ業である所業。流石のクリスも、それには驚きを禁じ得ない。当の本人たるアカツキは何という事もなく、

 

「相当訓練したぞ。何度も何度も、カタリナに私に向けて魔法を撃たせて会得したからな。何度死にかけた事か」

 

 と、平然と言ってのける。よほどの命知らずか、鍛練バカでなければまず不可能なその修行法。改めて、クリスはアカツキという女剣士の恐ろしさを思い知った。

 

「でも、どうして僕の華炎が…」

 

「炎はより大きな炎に呑み込まれる……。今の華炎は、お前の炎が私の炎に劣っただけに過ぎぬ」

 

 刀から、轟々と燃え盛る蒼い炎を振り払うアカツキ。大きすぎる炎は、扱いきれないが故、最低限の華炎を刀に留めたのだ。

 

「お前が剣士なら、もう少し骨のある闘いになっただろうに。生半可な魔法では、もはや私には効かぬ!!」

 

 それが驕りでも冗談でも無い事は、既に実証されている。クリスは少々泣きたくなる気持ちを堪えて、魔道書に手を掛けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で、アカツキが到着してからも、未だルディアと打ち合いを演じていたスサノオ。その形勢は少し前、つまりルディアが本気を出し始めた頃から、スサノオの不利へと傾き始めていた。

 

「フローラの方は、どうにか無事だったか…!」

 

「他人の心配してる暇なんてあるの!?」

 

 フローラの奮戦、そしてその顛末を何度か伺っていたので把握しているスサノオ。アカツキが援助に駆け付けてくれてホッとしたのも束の間、スサノオ自身は劣勢を覆す余裕など無かった。

 

 力強い槍の一撃一撃。その全てが剛撃、重撃と言っても差し支えのない重みを持って、スサノオへと襲い掛かり続けていたのだ。ともすれば、夜刀神が折れてしまうのではないかという程の、重圧のある槍の凪払い。それを何度も受けて耐えている夜刀神には頭が下がる一方だ。

 

「ハアッ!!」

 

 そして時折、槍の攻撃に織り交ぜて放ってくる盾の突き出し。その度にバランスを崩され、すぐさま襲い来る槍撃を必死の思いで回避するスサノオ。しかし、その全てを完全に回避出来る事は無く、何度か槍がスサノオの体を掠めていた。

 ただでさえ体力の消耗が激しい立ち回りだというのに、負傷する度に体だけでなくスタミナも削り取られていく。むしろ、今までよく持ちこたえていられたと言えるだろう。

 

「ぐっ……!!」

 

 息絶え絶えに、ルディアの槍から逃れるために、脚を竜化させて後ろへと跳ぶスサノオ。しかし、ルディアがそれを簡単に許すはずもない。

 

「まだよ!!」

 

「ガッ!!?」

 

 スサノオが跳ぶと見越した彼女は、彼が脚を竜化させたのを見た瞬間に、槍をスサノオの頭上から思いきり振り下ろしていた。後方へとジャンプするために背を丸めていたスサノオは、その背に槍の刃の腹での一撃を諸に受けてしまい、うつ伏せになる形で地面へと叩き落とされてしまう。

 背と胸に強い衝撃を受け、肺から空気が一気に奪われる。若干の呼吸困難に陥ったスサノオは、訳が分からなくなりかけるも、本能的に背中から竜翼を飛び出させた。

 

「!!!」

 

 その行動は功を奏し、倒れるスサノオへと追撃を掛けようとしていたルディアの攻撃は、勢いよく飛び出してきた翼によって弾かれる。同時に、ルディアの体も後ろへと弾かれ、結果的にスサノオは図らずも距離を取る事に成功した。

 

「ゲホッ、ゴホッ! っ……!! ハア、ハア…」

 

 混乱しながらも、立ち上がらなければ次が来ると理解はしていたので、苦しいのを我慢して無理矢理にでも立ち上がるスサノオ。

 しっかりと立つと、すぐに呼吸を整える。整えながらも、ルディアの事から目を離さないスサノオであったが、ルディアは竜翼に警戒してか、様子見をしているようだ。

 

「……本当に残念ね。その竜の力、もしかしたら、あなたとアマテラス様があの人の……、いいえ。今はそれは関係ない。今はアマテラス様の兄君として、白夜王家の一員として、あなたを白夜に連れ帰る!」

 

「それは…出来ない。俺は暗夜の家族を選んだ。俺は暗夜の第二王子スサノオとしての道を選んだ!! 今更、白夜の王子としてなんて振る舞えないし、そのつもりも毛頭無い!!」

 

 叫びは痛烈で、それでいてどこか悲痛なものを感じさせる。スサノオの決断は、それすなわち白夜の家族との決別なのだ。リョウマやアマテラス達が望んだとて、スサノオが素直に受け入れられないだろう。

 

 

 

 

「その言葉、信じるぞ」

 

 

 

 

 不意に聞こえる男の声。風圧と共に、一匹の飛竜がスサノオの前に舞い降りる。その背に、仮面で顔を隠した青年を乗せて。

 

「ミシェイル!」

 

「俺はスサノオ様に仕えると決めたんだ。それがどんな決断であろうと、臣下として付き従うのみ。まあ、暗夜王国から離れないと、元々信じていたがな」

 

 ようやく増援に駆け付けた臣下に、スサノオは思わず笑みを零す。ルディアが強いとはいえ、1対2では分が悪いだろう。

 そして、増援は彼1人には留まらない。

 

「おにいちゃーん! 助けに来たよー!!」

 

「わたしと同じアーマーナイト…是非とも手合わせ願いたいわ」

 

「ま、待って下さいエリーゼ様…! 先程、瓦礫に躓いて転んだダメージが抜けきっていないのです……!」

 

 馬上で杖をブンブンと振り回して駆けるエリーゼと、その後を追うエルフィにハロルド。

 

「やっと追い付いた! ……って、ルディア!? あっちにはクリスも居るし!?」

 

「なるほど……白夜兵の数が減ったと思えば、撤退しているようですね。そして、その殿をあなたとクリスが務めている、と」

 

「フハハハハハ!! 幼なじみと言えど、敵であるなら容赦はせんぞ!! 殺さない程度にいたぶってやろう!!」

 

「私も死なない程度に杖でボコボコにしてあげます! 覚悟するです、ルディア!」

 

 続いてスサノオの臣下達が、続々とこの場に駆け付ける。何故かノルンは魔神トリップしたままだが、この状態は、それはそれで心強いのでありがたくさえある。

 

「どうやらまだイっちまってなかったようだな、スサノオ様。いや、俺達が来なければ、危うく昇天するところだったか?」

 

「私はあなたに付いて行くと言ったでしょう? それなのに、そんなにすぐに死なれたら目覚めが悪いじゃない」

 

 ミシェイルやミネルヴァと並び立つように、ゼロ、ニュクスもスサノオの前に庇うように立つ。これで、この場にスサノオの部隊が総員勢揃いした。

 

「みんな……!」

 

「おにいちゃん、怪我してる! あたしが治すよ!!」

 

 馬から飛び降りると、エリーゼはスサノオへと駆け寄り、杖を翳して傷を治療し始める。光を帯びる杖の先から、暖かな温もりがスサノオの全身を覆っていき、傷もみるみるうちに塞がっていった。

 全身を触診して具合を確認するスサノオ。どうやら傷は全て消えたらしい。しかし、やはりオーラはまだ出せないようだ。体力や傷とは無関係なのだろう。

 どちらにせよ、形勢逆転に変わりない。スサノオは夜刀神をルディアへと向けて宣告する。

 

「もう白夜軍には追い付けないだろうから、撤退戦はお前達の勝ちだ。でも、これで逆にお前達を捕縛出来るぞ!」

 

「……口惜しいわね。目的は達成出来たけど、スサノオ様を連れ戻すっていうのは、どうやら絶望的らしいし。多勢に無勢、これ以上は無意味かしらね。それに出来る事なら、1対1で決着をつけたいから」

 

 言葉こそは諦めているように聞こえるが、その声音も、表情も、負けを認めるものではない。このままおとなしく捕まるつもりは一切ないのだ。

 

「クリス!! 退くわよ! 仕掛けは万端なんでしょうね!?」

 

 スサノオ達へと警戒を怠らず、ルディアは離れて闘っているクリスへと呼び掛ける。

 クリスはと言えば、アカツキの猛攻をなんとか凌いでいたが、ルディアの呼び掛けに対し顔を向けずに、

 

「やっぱりそうなりますよね! 大丈夫です! しっかりと仕込んでありますから!!」

 

「何か仕掛けたか…!!」

 

 一度、大きな烈風を発生させると、自分を風で押し出してルディアの元へと吹っ飛ぶクリス。それをルディアは難なく受け止めた。

 

「それでは皆さん、これにて失礼しますね。『ファラフレイム』!!」

 

 会釈の直後、クリスは再びあの巨大な爆炎魔法を放つ。今度は敵を狙ったものではなく、天井や壁、柱をデタラメに、いや、正確には一定の距離を開けてバラバラに撃ち放った。

 

「!! 不味い! 皆、下がれ!!」

 

 その行動の意味を理解したスサノオ、アカツキがほぼ同時に叫ぶ。先程まで闘っていたアカツキと、フローラとの闘いを見ていたスサノオだからこそ分かったクリスの狙い。

 それは砦の崩壊だ。クリスが今攻撃した箇所は全て、今までの戦闘を経て亀裂が入って崩れかけた所ばかり。彼は戦闘中にも関わらず、これをやる為に計算して魔法を放っていたのだ。

 

 ガラガラと崩れ落ちていく砦内部。次から次へと瓦礫が通路へと降り注ぎ、スサノオ達とクリス達の間を次第に埋め尽くしていく。

 

「くそっ……!!」

 

 瓦礫の山が築かれていく中で、スサノオはチラリとだけ、去っていくクリス達の背が見えた。一瞬、クリスが振り向いたような気がしたが、その姿は瓦礫に隠れて完全に視界から外れてしまう。

 

 気のせいなのだろうか。その時のクリスの顔は、とても悲しそうにスサノオには見えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい! 遅いだろーが!! 心配しちまったじゃねーか!!」

 

 後方、黒竜砦の外部へと脱出してすぐに、クリスとルディアは怒鳴られる。その怒鳴り主はもちろん、厳つい強面神父ブレモンドだ。

 

「馬鹿ね。殿を務めて無事に帰ってきたんだから、普通は褒めるところじゃないの?」

 

「馬鹿だァ!? 心配してやってるんだぞ! ありがたく思うってのが筋だろ!!」

 

「はあー、うっさいわね。そんなだから、山賊山賊って言われるのよ。口の悪い神父なんて聞いた事もない」

 

「ンだとコラ!?!?!?」

 

 口汚い言葉である事も忘れ、ブレモンドはルディアにメンチを切る。ただし、その強面を以てしても、彼女が怯む事は無いのだが。

 

「…チッ。ハイタカならどうにか一命を取り留めた。刺しどころが良かったんだろうな。急所を綺麗に外れてやがった」

 

「……そうですか。彼には聞きたい事がありますから、無事で何よりです」

 

 静かに答えるクリスに、ブレモンドは不思議に思うも、あえて口にはせずに続ける。

 

「まったく、ハイタカも馬鹿な真似をしてくれたもんだぜ。特攻精神は誉められるもんじゃねぇ。命を粗末にするやり方は許していいはずがないからな。リョウマ様も、きっとお許しにはならないはずだろ」

 

「そうね。自分だけでなく、部下の命まで省みない進軍……だからこそ、よ」

 

「はい。だからこそ……僕らは彼らを助けに来たんです。この無謀すぎる特攻───

 

 

 

 

誰に唆されたのか、それを聞き出すために」

 

 




 
「ベロアの『くんくん、ガルーアワーズ』…」

※ここからは台本形式でお送りします。

ベロア「今日は白夜で言う七夕という日だそうですね」

カンナ「時間的には、今日の19時以降が正確なんだけどね。夜空に星の川が浮かび上がるんだって!」

ベロア「星界で育ったわたし達には、まだ見れていないので、実は少し楽しみです」

カンナ「あ、ホントだ! ベロアの尻尾がパタパタ揺れてる!!」

ベロア「それだけ楽しみという事ですよ」

カンナ「でも珍しいね。ベロアがガラクタ以外に興味を示すなんて。オフェリアとかなら分かるけど…」

ベロア「わたしだって女の子です。別にそういったものは嫌いではありません。それに、ガルーにも流れる血筋である狼は夜行性ですから、星を見る機会はよくありました。具体的には、夜中に宝物探しに出掛けた時などです」

カンナ「へえ~。なんか意外だよ。でも、親近感も湧いたかな?」

ベロア「そうですか…それは嬉しいですね。これでカンナとより親しくなれました。これからの為に、もっと仲良くなりましょうね、わたしの未来の娘……」

カンナ「だからやめて!? まだ決まってないよ!?」

ベロア「それはそうと、明日…ついにこの『ファイアーエムブレムif 白光と黒闇の双竜』も一周年を迎える訳です」

カンナ「流された!?」

ベロア「当日に向けて色々準備をしていますが、あまり期待しすぎないように。妙に期待されすぎて、その期待を裏切ってしまうのもどうかと思いますので」

カンナ「当日は、活動報告で前に話した『オリジナル兵種』の募集を始めるよ! 詳しい事は、その時にね?」

ベロア「それでは、そろそろ失礼しますね」

カンナ「今度は目前の100話到達! だよ!」





ベロア「ちなみに、今日は覚醒のティアモの誕生日でもあります。めでたいですね」

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