桜井和生と暗殺教室   作:トランサミン>ω</

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小説を書くのってやっぱり楽しいですね!
再認識したトランサミンでありますっ!(  ̄ー ̄ )ゞビシッ


間違う時間

「さぁ!二学期中間テストの時期ですよぉ!!いよいよA組を越える時が来たのです!!」

 

 

浅野に仕掛けられた体育祭の罠もかわしきり、E組の生徒達はテスト勉強に集中できていた。

だがその一方で…皆どこか落ち着かない様子であった。

殺せないまま勉強の時間だけが過ぎていくことに彼らは焦りを感じていた。

 

 

「あ〜疲れた。分身使って立体視まで活用してくるとかよく思いつくよな、殺せんせーは」

 

 

下校途中の生徒達は杉野の言葉に振り返る。

 

 

「でもさ、勉強に集中してる場合かな?私達。あと五ヶ月だよ?暗殺のスキルを高める方が優先じゃないの?」

 

 

「仕方ねーだろ。勉強もやっとかねーとあのタコが来なくなんだからよ」

 

 

矢田の言葉に吉田が苦笑しながら答える。

 

 

「クックック、あんま難しく考えんなよお前ら。俺に任せろ、スッキリできるグッドアイディア見つけたからよ」

 

 

「「「…?」」」

 

 

岡島の言葉を理解出来ないまま、生徒達は彼について行く。

すると彼らは住宅街の一角に繋がる丘へとたどり着いた。

岡島がジャンプで住宅の屋根に飛び移る。

 

 

「ここは?」

 

 

「すげー通学路を開拓したんだ。ここからフリーランニングで建物の屋根を伝ってくとな?ほとんど地面に降りずに隣駅の前まで到達できる。ただの通学が訓練になるってわけだ」

 

 

「えぇー…危ないんじゃない?」

 

 

「そーだよ。烏間先生も裏山以外ではやるなって言ってたでしょ?」

 

 

倉橋と片岡が危険性を述べるのだか、そこは岡島も想定内なのだろう。

 

 

「へーきだって!行ってみたけど難所は無かったし、鍛えてきた今の俺らなら楽勝だって!」

 

 

「やめた方がいいんじゃないか…?俺らにはまだ早いだろ」

 

 

磯貝が岡島の考えを否定し、安全面を考え止めることを提案する。

 

 

「俺も悠馬に賛成だね。こんな鍛え方しなくてもいいと思うし、怪我しちゃったら元も子もないよ」

 

 

和生も岡島の意見には賛同せずといった様子だ。

しかし好奇心旺盛な生徒達は2人の言葉に聞く耳を持たない。

 

 

「いいじゃねーか2人共!勉強を邪魔せず暗殺力も向上できる!2本の刃を同時に磨くなんて殺せんせーの理想だろ?」

 

 

前原の言葉に周りの生徒達はヤル気になったようだ。

 

 

「よっしゃ!先導するぜ、ついてこい!!」

 

 

「おう!」

 

 

「いぇーい!」

 

 

「ちょ、ちょっと皆待ちなさいよ!」

 

 

岡島を先頭に一部を除いた生徒達が建物に飛び移る。

 

 

「和生…どうする?」

 

 

「しかたない…危ないようなら止めよう」

 

 

2人は危険と判断した場合に止めるため、先頭の方まで一気に追いつく。

残った女子たちは

 

 

「元気だねー若人は」

 

 

「あはは、安全そうなら明日いってみようかな?」

 

 

彼らの後ろ姿を笑って見送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うは!きもちーっ!」

 

 

生徒達は風を切るように建物から建物へと飛び移っていく。

彼らは自分たちのチカラがどれ程までに凄いものなのかを実感していた。

日々の訓練でチカラを付け、本校舎の生徒も少しずつ彼らのことを見直していた。

出来ることがどんどん増えていくその感覚に彼らは酔いしれていた。

 

 

「ん?」

 

 

「どうした和生?」

 

 

何かを感じ取ったのか和生が怪訝そうな顔つきになる。

 

 

「悠馬悪い、背中借りるよ」

 

 

「は?」

 

 

「よっと!」

 

 

和生は磯貝の背中を踏み台にして先頭のすぐ後ろについた。

先頭を走る木村と岡島がゴールへとたどり着こうとしていた。

 

 

ガタガタ…キイッキイッ

 

 

「(この音…拙い!!)」

 

 

「よっしゃ!一番乗りゴー…っえ!?」

 

 

「いや俺…うおっ!?」

 

 

木村と岡島が飛び降りようとした時、和生が二人の首をつかんで後ろへと引っ張った。

しかし和生は2人を引っ張った反動で前に出てしまった。

それも体制を崩した状態で…

 

 

「和生くん!」

 

 

渚が和生の名前を叫ぶ。

下に落ちていく彼を生徒達が上から見下ろした時、彼の落ちる先には驚いて体制を崩す、自転車に荷物を積んだ老人の姿。

落ちていく和生が思ったことは。

 

 

「(あぁ…間に合わなかったか。お爺さん無事だといいんだけど…)」

 

 

彼の意識はガシャン!!という大きな音と左腕に感じた痛みと共に失われた。

 

 

「和生!しっかりして!」

 

 

「和生くん!」

 

 

「さ、桜井…?おい大丈夫…だよな?」

 

 

その頃周りでは、青ざめた顔をした生徒たちが気を失った和生と痛みに悶え苦しむ老人を取り囲んでいた。

そこに若い男性の声が響く。

 

 

「今の大きな音何があった!?事故か!?大変だ!救急車!!」

 

 

その数分後には甲高いサイレン音と共に救急車が到着、怪我をした2人を病院へと搬送していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自動ドアが開き、烏間が病院から出てくる。

 

 

「老人の方は右大腿骨の亀裂骨折だそうだ。落ちてきた桜井君に驚いてバランスを崩して転んだ拍子にヒビが入った。程度は軽い方らしく二週間程で歩けるそうだが、なにせ君たちのことは『国家機密』だ、口止めの示談の交渉をしている。頑固そうな老人だが部下が必死に説得中だ」

 

 

「…」

 

 

烏間の言葉に生徒たちは俯いたままだ、何故なら彼らのクラスメイトも怪我を追っているのだから。

 

 

「桜井君の方だが、左腕を地面と強打した為に肩を痛めたそうだ。気を失ったのは衝撃による脳震盪。後遺症もなく同じく2週間程で退院できる。大事に至らなくて本当に良かった」

 

 

「「「…っ」」」ゾクゾクッ

 

 

烏間が言い終えるのと同時に生徒達は背後に殺気を感じた。

そこにいたのは顔を真っ黒にした殺せんせー、本気で怒っている時の顔だ。

 

 

「だ、だってまさかあんな小道にチャリに荷物いっぱい乗せたじーさんが居るとは思わねーだろ!!」

 

 

「そーだよ。もちろん悪いことしたとは思うけど…力をつけるためにやったんだもん…」

 

 

「地球を救う重圧と焦りがテメーにわかんのか?」

 

 

その言葉を聞いた殺せんせーは『ビシッ』と触手で僕たちの頬を叩いた。

 

 

「…今のは生徒への危害と報告しますか、烏間先生?」

 

 

「…今回は目をつぶろう。暗殺期限までに時間が無いために危険を承知で高度な訓練を取り入れたが…君たちにはまだ早かったようだな」

 

 

烏間はそれだけ言い残して病院内へと戻っていった。

カツンカツンと足音が響く中

 

 

「「「…ごめんなさい」」」

 

 

生徒達は小さくつぶやいた。

 

 

「今の君達は本校舎の生徒と何ら変わりません。身につけた力に酔い、弱い者の立場になって考える事を忘れてしまった。少し強くなりすぎたのかも知れませんね。」

 

 

叩かれると痛くて悔しいのに、返せる言葉が一つもなかった。

生徒達は理解した、これが間違うという事なのだと。

 

 

「話は変わりますが、今日からテストまでクラス全員のテスト勉強を禁じます」

 

 

「「「!?」」」

 

 

そう言って殺せんせーは教科書を取り出して破り捨てる。

 

 

「罰ではありません。今やるべき事をやるだけです。教え忘れた先生にも責任があります先ずは被害者を穏便に説得してきますので、君たちは和生君の様子を見てきてください。その後は被害者の方にちゃんと謝りましょう」

 

 

殺せんせーはそれだけ言い残して飛び去っていった。




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