非常に楽しみで御座いまする。
18:00 駅前にて
E組の男子たちがぞろぞろと集まっていた。
「流石にこの人数いると目立つな」
菅谷がそういうのもよく分かる。
中学生と言えどもここまで集まると周りの人もチラチラと振り返ってくるのだ。
そんな彼らは和生の先導に続いて歩いていくのだがそんなとき和生に前原があることを聞いてきた。
「なー桜井。泊まっていいとか言ってたけどよ、どうすんだ?この人数」
前原が危惧しているのは人数が入る部屋があるのかということ、和生の家に来たことのある磯貝は大丈夫な事をわかってはいるが寺坂、吉田、村松以外は泊まる意思のようでかなりの人数がいる。
「気にしなくていいよ。俺と律だけじゃ広過ぎる位の家だからね。正直いうと宴会場みたいなのが2つあるからさ」
家に宴会場とは意味不明なんだよと言う和生はあっけらかんとしているが周りの男達は正直どんだけ広いんだと思想を膨らませている。
そんな話をしている間に和生の家に着いた。
それをみた男子たちの第一声は
「「「で、でかい…!」」」
あまりの大きさに驚いているようだ。
そんな様子を気にもとめない和生は自宅の敷地へと入っていき、玄関にある大量の靴を整理し始めた。
続いて男達もおじゃまする事にする。
「「「おじゃましま〜す」」」
男子たちは和生に促されリビングへと入っていく。
そこには女子たちが既に到着しており、楽しそうに談笑していた。
少し遅れて靴を整理していた和生が合流、そこで女子たちの荷物を見て恐る恐る声をかけた。
「まさかとは思うけど…」
「お、桜井ちゃ〜んじゃましてるよ〜」
中村がやけにニヤニヤしながら和生に反応する。
「女子も泊まるつもりだとは想定外だ…」
女子たちは全員が宿泊用の荷物を持ってその場にいることに和生は絶望の表情をする。
年頃の男女が同じ屋根の下で一夜を過ごす、何が起こるかわかったもんじゃない状況に右手で頭を抑えた。
「ごめん…止められなかったの」
頭痛がしているかのような様子の和生に速水が駆け寄る。
「盲点だったよ…発案者は中村さん?」
「まーね♪でも矢田ちゃんもノリノリだったもんねー♪」
中村と矢田という女子を引っ張る二人の発案ということもあり全員が賛同したようだ。
男子達としては良く狭間も乗ってくれたなと感じているが、それを理解したのか狭間が口を開いた。
「男どもが寝てる間に呪いをかけ放題なんて滅多にない機会じゃない。楽しまなきゃそんよね。フフフ」
邪悪な笑みを浮かべる彼女を見て、男子の背筋におカンが走ったのは言うまでもない。
「と、とりあえず夕飯の支度をするからみんなは遊んでて」
「「「は〜い!」」」
和生は現実逃避するかのようにキッチンに逃げていった。
そんな彼の元に数人の男女がやって来た。
「和生くん、手伝うよ」
「私たちもお手伝いするね」
「料理なら任せて」
渚、神崎、原の3人が和生の手伝いを名乗り出た。
3人はキッチンにいる和生に指示を求めるが3人がどれくらい料理ができるのか知りたかった和生はそれぞれに好きなものを作るようにお願いした。
特にE組の母とまで呼ばれる原の実力には興味があったようだ。
原は巨大な寸胴鍋に肉や野菜を入れてスープを作るようだ原曰く
「温かい料理は心を落ち着けてくれる」
だそうだ。
渚は和生と協力してホワイトソースを作り、オーブンに入れてグラタンを作っていた。
その間に和生はパスタを茹でており、余ったホワイトソースでカルボナーラも作っていた。
そんな和生に神崎が話しかけてきた。
「桜井くん、味見して欲しいんだけど」
「いいけど何を?」
「ちょっと待ってね」
神崎が作っていたのは唐揚げの甘酢餡掛けだ。
食欲をそそるいい香りに和生の表情が緩む。
「神崎さん凄いね。美味しそうだよそれ」
「そうかな?美味しいかどうかは食べて判断してね。はい、あ〜ん」
「えっ?」
「なぁに?」
現状を理解出来ていない和生、E組1の美少女と呼ばれる神崎が自分に向けて唐揚げをつまんだ箸を差し出している。
「ほら、早く味見して?」
無垢な笑顔でそう言ってくる神崎に和生は焦り渚に助けくれと目配せをする。
一方渚はというと苦笑しながら和生を見たあと、リビングでゲームや談笑をしているクラスメイトたちを見た。
和生の恋人である速水は矢田や茅野と談笑に花を咲かせており、こちらを見てはいない。
しかし神崎にベタ惚れな杉野はというとその状況を凝視しており、今にも崩れ落ちそうになっていた。
「桜井くん…?」
呆然とする和生に神崎が首をかしげた。
「わたしの料理なんか食べたくないの…かな?」
寂しそうな顔をする神崎に和生は腹をくくった。
「(凛香…杉野…本当にごめん。今回だけは見逃してくれ)そ、そんなことないよ。食べる食べる」
「じゃあはい、あ〜ん」
「あ、あ〜ん…」
笑顔の神崎から食べさせられる料理は口に入った瞬間にバルサミコ酢の風味が広がり、肉を噛めば噛むほど旨みが溢れる素晴らしいものだった。
だが和生は美味しさとともにクラスメイトと恋人への罪悪感で一杯であった。
「おいしい?」
「あ、ああ、うん。すっごく美味しいよ」ニコッ
どうにか笑顔を作り上げた和生はリビングに視線を向ける、速水は相変わらず気づいていないようだが杉野の顔は死にそうなものになっている。
和生は心の中で杉野に何度も謝ったのであった。
この和生の行動がのちに波乱を呼ぶことになる。
いやー、修羅場にするためにいろいろと考えた結果がこれですよ。
なかなか難しいものですね。
それと杉野本当にスマンかった。
感想待っております、夜にはまた投稿できるようにがんばりたいとおもいます。