今回は久しぶりに昔の書き方で。
この話は本編とは別の世界なので悪しからず。
「Happy Birthday!!」
「お兄様?誰に向かって言っているのです?」
「それはまぁ、この作品が始まって1周年だけど誰にも祝ってもらえず、誰にも認知していてもらえなかった可哀想な作者に向かってだよ」
「なるほど!情をかけているわけですね!」
「まぁ、そんな所かな」
開幕から生みの親である作者をdisっている2人、書いている私は涙目だが、事実なだけに何も言えない。
2人は庭のベンチに座ってアイスを食べているようだ、この暑い季節さぞ美味しいことだろう。
「それにしても暑いよねぇ〜。記念だからって現実と同じ気候にしなくても…」
「はい。ですが、その分アイスが美味しいです!」
「確かにね、このソーダ味の清涼感がまた…格別だよ」
「お兄様はさっぱり系がお好きですね。私はイチゴが好きなので♪」
「幸せだね〜」
「そうですね〜。そういえばお兄様、この作品の事で思った事があるのですが」
「ん?なになに?」
「作者は書き始めてから現段階までは事前に考えておいた筋書き通りだと思っていますけど、張っておいた伏線が多過ぎて回収しきれてないですよね?」
非常に痛い所を突いてきますなぁ…確かにたった1話の為だけにあのキャラにあーしてこーしてとかしてるけど…やりすぎた感は否めない…
「まぁ、でも呼んでる皆さんは読み返したり、読んでる途中に、あれ?これってもしかして?って思ったりしてくれてるかもしれないでしょ?だから一概には悪いとは言えないよ。それに凛香がメインの話とかも偶にあって嬉しいし」
「私がどうかしたの?」
「お姉様!」
「噂をすれば何とやらだね」
「何言ってるのよ?呼んだのは和生でしょ?」
ベンチに腰掛けていた2人のもとに速水がやってくる、速水はこの気候だけあって薄着、オフショルダーの白いシャツに水色のスカート姿だ。誰とは言わないが金髪で赤目の少年が好みそうな服装をしている。
「会う度に思うけど、凛香ってオシャレだよね。毎回違う服装でドキッとさせられるし」
「お兄様、口元が緩んでいますよ?」
「あはは、こんなに可愛い恋人がいて俺は幸せ者だなぁと思ってたらついね」
「はぁ…和生って素でそういう事言うんだもんね…」
「嫌だった?」
「べ、別に嫌とは思ってないけど…」
ぷいっと首を逸らしてしまった速水を見て和生とルウシェがまた笑った、2人は食べ終えたアイスの棒を数メートル離れた場所にあるゴミ箱に投げ入れた。すんなりと入れてしまうのは修行の賜物なのだろう。
「それで?今日は何をするつもりなの?」
「もう少ししたらもう3人、人が来るはずなんだけどね」
「あっ!来たみたいですよ!」
「おーい!お前ら!」
「本当に暑いな…」
「ほらほら千葉くん!だらけないだらけない!」
やって来たのは磯貝、千葉、片岡の3人だ。
磯貝はいつも通りのイケメンオーラを発しているし、片岡も凛とした雰囲気を漂わせている。一方の千葉は暑さにやられているのかガックリと肩を落としている。
「悠馬!よく来てくれたね!」
「まぁ、親友に呼ばれれば余程のことがない限りはちゃんと来るって」
「それで?私が呼ばれた理由は?凛香ちゃんがいるのはわかるけど」
「磯貝と付き合ってるからでしょ?和生の事だから…」
「よし、悠馬。ダブルデートしようか!」
「んー、メグが良いならまぁ…」
「はぁ…どうせダメって言っても行くんでしょ?」
「私の彼氏が迷惑かけます…」
「俺は何のために呼ばれたんだ…何の関係もないだろ」
先程まで項垂れていた千葉が顔を上げてそう言うと…
「千葉さんは私の修行に付き合って頂けますか?」
「まぁ…いいけど。なんで俺なんだ?」
「遠距離射撃を紅桜で弾く練習がしたいんです♪」
「お、おう」
笑顔でとんでもない事を言い放つルウシェだが、出来てしまいそうな気がするために千葉は頷くしかなかった。
「じゃあ一旦ここで解散という事で!行くよ!」
「おいおい…全く。じゃあ俺らも行くか」
「そうだね。ほら凛香ちゃんも」
「うん、わかってる」
こうして1周年記念とは全く関係の無い彼らの普通の1日が始まった。
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「相変わらずここは色んなお店があって賑やかだね」
「結局ここなんだな」
「悠馬くんはよく来るの?」
「ああ、和生と修行した帰りなんかに2人で少し見て回ったりするよ」
「ゲームで負けた方の奢りなんだけど…いつも俺が負けるんだよね…」
「磯貝って何でも卒無くこなすもんね」
俺達は今、ショッピングモールに来ています!皆も知ってるよね?俺と凛香がデートで来たところだよ!今日の目的はまぁ、普通にデートしたかったってのもあるけどさ?そろそろ悠馬たちの関係も勧めたいと思って!だって悠馬ってイケメンのくせにヘタレだしね!
「一昨日で八連敗目なんだよね…」
「はいはい、慰めてあげるから」
「じゃあパフェ食べに行こう!あ、やっぱり先に服かな?」
「うん、好きなだけ付き合ってあげる」
俺は凛香の手をそっと握ると後ろにいる悠馬達の方へ振り返る。
「あれ?2人は手を繋いだりしないの?」
「あはは、俺達はまだ…な?」
「う、うん」
「まぁ、2人が良いならいいけど」
相変わらず…か。取り敢えず今はデートを楽しむ事にしようかな?俺達は学生でもお手頃な価格で買うことが出来るアパレルショップに足を運んだ。
俺がいつも使ってるだけあって店員さんとも顔見知りなんだよね〜♪
「…どうかな?」
「おぉー!すっごい可愛いよ!流石凛香だね!」
「…ばか///」
今何をしているかというと!凛香にいろんな服を着せて楽しんでます!ワンピースやブラウスにいろんなスカートを合わせてるんだけど、どれも可愛いから目の保養には最高だね!
「今俺、凛香と付き合えてる幸せを噛み締めてるよ」
「そりゃあ私だって和生と付き合えて幸せだけど…こんな事で?」
「当たり前でしょ?どんな些細な事でも、凛香の事なら俺の中では一番大きな事なんだからさ」
「あーもう!そんなんだから本校舎の女の子達からラブレター貰うのよ!」
「全部丁寧に断ってるんだからいいでしょ!?」
「私は気が気じゃないの!私より可愛い子なんていくらでもいるんだから!」
「…店員さん。今彼女が着ている服、カードで一括お願いします」
「お客さま、かしこまりました」
「…行くよ」
俺は速やかに会計を済ませ、凛香を連れて店の外に飛び出した。
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「あいつら…どこ行ったんだ?」
「さぁ?でもいいんじゃない?2人だけの方が気楽でしょ?」
「そりゃ、違いないな。メグは着たい服とかないのか?」
「わ、私は別に…」
和生達が居なくなってメグも自分の趣味を出せるかなとか思ってたんだけどな…うーん…俺の前くらいは好きな物を好きなだけ着ればいいと思うんだけどな…
「俺はどんなメグでも嫌いになるなんて事は無いんだしさ?どんなのが好きなのか教えてくれよ」
「悠馬くん…その…あそこにあるやつが…」
メグが指さした方向にあったのは、所謂姫系と呼ばれる服があるコーナーで、こういった1面が見られると、イケメグなんて呼ばれている彼女だけど、やっぱり1人の女の子なんだなって実感する。
「良いじゃんか!着てみろって!」
「で、でも私には似合わないって」
「着てみなきゃわかんないだろ?俺達はいつだって不可能なことを可能にしてきたじゃんか!ほらほら!試着試着!」
俺は嫌がるメグを選んだ服を持たせて試着室に押し込んだ、次に試着室のカーテンが開いた時に俺が言葉を失ったのは言うまでもないよな?
あの光景は言葉にできないや…
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「ここからにするか…」
俺は今、学校の裏の山に来ている。ルウシェの修行の内容は至ってシンプル、俺がペイント弾でルウシェを狙い撃ちそれをルウシェが蒼魔凍無しで迎撃するという物だ。練習用のライフルに赤いペイント弾を装填して時を待つ。スコープから見えるルウシェの様子は、目を瞑っていて、気配を探っているようにも見えた。
(勘付かれる前に…殺る!)
俺はライフルのトリガーをトリガーを引き絞った。
「…っ!!」
俺は目を疑った。勘違いしないで欲しいが、ペイント弾はしっかりとルウシェに命中している。彼女の肩に命中し赤い水性ペイントが弾けている。
だけど…!ルウシェが紅桜を振り抜いた方角は間違いなくコチラ…コンマ数秒のズレだったとでも言うのか!?
「ふっ…桜井兄妹…本当に化け物だな…」
俺は狙撃ポイントを移すために移動を開始した。ルウシェが定位置から動く事は無い。俺は二百メートル程移動して再びライフルを構え…トリガーを引き絞る!!
今度は3発、弾道をミリ単位で変えて撃ち込んだ。
「…俺の負けだな」
撃ったペイント弾は1発は命中したが、2発は弾かれてしまった。ルウシェの反射に驚いているが、それよりも斬られた悔しさの方が大きかった。
俺はそれから暫くの間、残りのペイント弾が無くなるまで彼女を狙い続けた。残弾が無くなったのは日が沈む頃のことだった。
「千葉さん!ありがとうございました♪」
「いや、途中から俺もルウシェに当てる事だけ考えてたし。気にするな」
「えへへ、それは良かったです。あ、そこにあるお水取ってもらってもいいですか?」
「わかった」
「ふぅ…気持ちいい〜♪」
ルウシェは俺が手渡したミネラルウォーターのボトルを受け取ると、頭から水をかけ始めた。体にまとわりついていたペイントが流れ落ちる。この暑さもあって余程気持ちがいいのだろうか、ルウシェの表情は笑っている。
「お、おい!ルウシェ!」
「はい?何でしょう?」
「…透けてるぞ」
「へ?き、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「何も見てなかった事にするから早く隠せ…」
「うぅっ…///」
いや…俺も見たくて見たわけじゃないぞ?不可抗力だ不可抗力。俺だって男だ…まぁ、透けた肌や下着を見ればドキドキさせられる訳だが…ここまで恥ずかしがられれば話は別だ。
「え、えっと…その…ごめんなさい…見苦しいものを見せてしまって」
「いや、俺は何も見てないぞ…」
「だ、大丈夫です!その…修行の日々であまり綺麗な体ではありませんから」
「だから俺は何も見てないって言ってるだろ?ただ…そうだな。ドキッとさせられたとだけは言っておくよ。綺麗じゃない奴が他人をドキッとさせられるわけないよな」
「…そうなんですか?」
「あぁ…そういうもんだ。帰らないか?アイツらも帰ってきてるだろ?」
「あっ!待って下さ〜い!」
自分でもらしくない言葉を掛けちゃったかもな。
でも、桜井と一緒でルウシェも笑ってる方が良く似合うと俺は思う。
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「ちょっと!待ってってば!」
俺はそんな凛香の制止の言葉も聞かずに走り続けた。気付けばショッピングモールを出ていて直ぐの公園にやって来ていた。
「いきなりどうしたの…?」
「凛香が悪いんだよ」
「えっ…」
「自分より可愛い女の子なんていくらでもいるなんて言うから。先に言っとくけどね?凛香は可愛いから、他の皆には悪いけどクラスでも断トツだよ。先ず見た目、文句無しのルックスだよね?さらさらした髪も、透き通るような目も、絹みたいにすべすべな肌も、俺は大好きたしさ。次に性格、偶にぶっきらぼうな時もあるけど、それは照れてるだけで実際嬉しそうにしてるのがわかるから俺は気にしてないし。イヤイヤ言いながら俺のしたいことに付き合ってくれる優しさも…」
「ストップ!ストップ!それ以上は恥ずかしい///」
まだ語り切れてないよ!俺の凛香への気持ちを全て語るにはそうだな…最短1週間はかかるね!
「私のことを好いてくれてるのはわかったけど…ここ…外だから」
「あ、やっぱり暑いかな?何処かお店入る?」
「そういう事じゃなくて!恥ずかしいの!」
「んー、照れてる凛香も可愛いから俺からすると何の問題もないんだけど…」
「私があるの!」
「そう言えば、服のタグとか取ってなかったね。こっちおいで?」
「…うん」
俺は凛香を呼ぶとさっき買ったばかりの服のタグを切り取る、こういう時にキーケースに入ってる仕込みナイフが役立つよね。何事も無く俺は切り取ろうとしたんだけど…
「…」
「…和生?」
「…白…なんだね」
「なっ!?見たの!?」
「あはは…いいと思うよ?俺は凄く好きな色だし」
「あーもう!私が喜ぶ言葉で誤魔化さないの!ほら!パフェ食べるんでしょ!行くよ!」
「あ、待って待って!」
「許さないからね!」
「えぇー!?どうしたら許してくれる…?」
「そうだね…パフェ、全部和生が食べさせてくれるならいいよ」
それじゃあ御褒美だよ?まぁ、凛香がそれで許してくれるなら何だっていいけどね♪
「じゃあ俺の手はそれで塞がっしちゃうから俺には凛香が食べさせてね?」
「…それでいいわよ」
あはは!今日も俺の恋人は世界一可愛いです!
1周年記念とは一体なんだったのか。
そして本当にあっという間でしたね。様々な方に応援され、コラボ等の経験もさせてもらい、実りある1年でした!
これからもゆっくりではありますが更新を続けていこうと思います!読んでくれている皆さん、これからも応援してもらえると嬉しいです。
感想や評価などお待ちしています!
次の更新は私の誕生日とかかな…?(笑)
高評価を下さった
はるぴーさん
ありがとうございます!