桜井和生と暗殺教室   作:トランサミン>ω</

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投稿が遅くなり申し訳ありませんでした。

実は作者間でのトラブルなどがありましてメンタルが殺られていましたw
そんな時支えて下さった仲の良い作者さんたちへ感謝の意味を込めて!そして私が書きたいという欲望から季節外れの番外編を書かせていただきます!


月見の時間

皆さんは『月』という物にどんな印象を抱くだろうか。

美しい、儚い、寂しいなど様々な印象を与えてくれる月を見て楽しむという風習が日本には古来より存在する。

これは月明かりのように美しい光を放つ少年と…その光を愛してやまない少女の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は良い天気!学校もお休み!何をしようかなぁ〜♪律は中村さんの携帯に入って出かけてるみたいだし久しぶりに1人の休日だね」

 

 

美しいブロンドの髪をした少年桜井和生が少し遅い起床をした。

彼の言う通り今日は土曜日、学校が無いので時間を持て余しているようだ。

 

 

「昨日は熱が入って遅くまで修行しちゃったし…流石に体が悲鳴を上げてるや…うーん…あっ!そうだよ!」

 

 

ふとカレンダーを見た和生は何かを思いついたかのようにポン!と手を叩いた。

 

 

「たしか今日は満月何だって律が言ってたもんね♪まぁ、満ち欠けの話でずっと欠けちゃってるんだけど…お団子作って見ようかな♪」

 

 

和生は動きやすい服装に着替えた後、意気揚々と自室を出て台所へと向かった。

 

 

「よし!まずは材料があるかをチェックだね!えぇーっと…お団子用の粉はあるし…上新粉もイイヤツがある。あとは味付けをどうするか…だね。やっぱり甘いもの好きとしてはここは妥協できない!餡子は大納言のこし餡がある…みたらしも作れるし…まぁ、後は気分次第でいっか♪」

 

 

和生はふわりと笑うと鍋に水を入れて軽く温め始めた。

 

 

「まずはボールにお団子の粉を入れてと、耳たぶくらいの柔らかさになるまで少しずつぬるま湯を加えてこねるよ!って誰に説明してるんだろ?まぁ…いっか♪」

 

 

和生は流石の手際で団子の生地を作っていく。

しかし途中でその手を止めた。

 

 

「耳たぶくらい…か。俺の耳たぶじゃなんかなぁ…wもし凛香の耳たぶだったら…」

 

 

和生は愛する恋人の耳たぶの感触を想像して真っ赤になってしまった。

 

 

「はっ…///だめだめだめ!変な事考えちゃダメだよ!取り敢えず今はこれくらいでいいかな?後の仕上げは夕方にたほうがいいかな〜。やっぱり出来立ての方が美味しいもんね!」

 

 

和生はそう言うと作った生地にラップをかけて台所を後にした。

その後軽い昼食を食べ、学校の宿題を終わらせてのんびりとしていた。

すると彼の携帯電話が着信を知らせるメロディーを流した。

 

 

「はい、桜井です」

 

 

『あっ…和生?』

 

 

「凛香、どうしたの?」

 

 

『えっと…』

 

 

「ゆっくりでいいよ?携帯会社同じだから通話料金は気にしなくていいしね♪」

 

 

『ふふっ…そうね。それで本題なんだけど…今から会える…?』

 

 

「いいよ?宿題も終わらせちゃってすること無かったかしね。まぁ、凛香と会うためなら宿題なんてどうでもいいんだけどさ」

 

 

『じゃあ…会えるのね?』

 

 

「うん、今どこにいるの?迎えに行くけど」

 

 

『和…の…の前…』ボソッ

 

 

「ん?」

 

 

『か、和生の家の前…///』

 

 

「ふぇっ!?わ、分かった!」

 

 

和生は速水との通話を切ると急いで玄関へと走る。

そしてドアを開けると…

 

 

「あっ…///」

 

 

頬を赤く染めた速水の姿が。

彼女の姿は普段の凛とした雰囲気とは正反対の可愛らしい水色のワンピース姿。

透きとおるような白い肌と水色のワンピースが良く合っている。

 

 

「なんか…急に来ちゃってごめん」

 

 

「それはいいんだけど…何でまた急に?」

 

 

「それは…」

 

 

「それは?」

 

 

「会いたく…なっちゃったから…」

 

 

「ぐっ…///」

 

 

速水の一言で和生の心が一瞬にして撃ち抜かれる。

E組切ってのスナイパーである彼女は、桜井和生という男の心を射抜く事に関しては誰にも負けないのだ。

 

 

「と、取り敢えず入ってよ…///」

 

 

「あっ、うん。お邪魔します」

 

 

和生は赤くなっている顔を隠すように速水を家の中に招き入れ、リビングへと誘った。

 

 

「あれ、律は?」

 

 

「中村さんと矢田さんと倉橋さんが出かけるらしくて、中村さんの携帯に行ってるよ」

 

 

「じ、じゃあ」

 

 

「うん、期せずして2人きりだね」

 

 

「そ、そうみたいね…///」

 

 

今度は速水が照れてそっぽを向いてしまう。

和生は速水にソファーに座るよう促すと自分もその隣に腰掛けた。

 

 

「でもまさか電話をかけてきた時には家の前に居たなんてびっくりしちゃったよ」

 

 

「ご、ごめん…電話するよりも先に体が動いちゃってて…迷惑だった?」

 

 

「何言ってんのさ?こんなに可愛い凛香の姿が見られたんだから迷惑なわけないよ?言うのが遅くなったけどその服すごく似合ってるよ」

 

 

「あ、ありがと」

 

 

「でも凛香が来るならもう少しお洒落な服装してればよかったよ」

 

 

「もう…どんな格好でも和生はカッコイイから気にしなくていいわよ」

 

 

「あはは…そうだといいんだけどなぁ」

 

 

和生が苦笑していると再び携帯に着信が入る。

 

 

「はい、桜井です」

 

 

『あっ!桜井ちゃん?』

 

 

「中村さん?どうしたの?」

 

 

『今日うちら泊まりやるんだけど、律もずっと私の携帯に居るっていうから連絡をね』

 

 

「あ、了解です」

 

 

『じゃね〜』

 

 

そう言って中村が通話を切ったのを確認すると和生は速水に通話の内容を話した。

 

 

「へぇ〜。じゃあ和生は今夜1人なの?」

 

 

「そうなるかな。まぁ、夜ご飯の準備は出来るから大丈夫だよ」

 

 

「そうなの?」

 

 

「うん!朝から仕込んでるから!ちょっと待ってて!」

 

 

和生はそう言うとソファーから立ちあがり台所へと向かった。

 

 

「これを作ってたんだ!」

 

 

「なにかの生地?」

 

 

和生はボールを速水の元へ持っていき、中身を見せた。

 

 

「お団子!今日は満月って律が教えてくれたから作ってたんだ!良かったら凛香も食べてく?」

 

 

「えっ、いいの?と言うかずっと三日月よ?」

 

「そう言うのは気分が大事なの!だから満ち欠けの周期的には満月だから!寧ろ一緒に食べてくれたら嬉しいよ!1人より2人の方が美味しいに決まってるから!」

 

 

「じゃあお母さんに連絡入れておくね」

 

 

「はーい!」

 

 

このやりとりの後、2人は至って普通に過ごしていた。

テレビでニュースを見てその内容について話をしたり、家にある簡単なゲームをしたりして時間を費やしていった。

そして夕方

 

 

「よし!じゃあお団子を完成させよう!」

 

 

「お、おー?」

 

 

2人は並んで台所に立っていた。

 

 

「まずはお鍋にお水を入れて沸騰させるよ!」

 

 

「はい、じゃあ火をつけるわね」

 

 

「うん、ありがとね。じゃあ次は均等に分けたお団子の生地を丸めるよ。水が沸騰したらお団子を入れて15分くらい茹でて、その後水で〆ておしまい!」

 

 

「案外簡単に出来るんだ」

 

 

「そうだね、でも凛香が手伝ってくれたからこんなに早く出来たんだよ?だから飛びっきり美味しいの作るからね!」

 

 

「あ、ありがと…///」

 

 

和生はその後、みたらしのタレと霙大根つくり餡子を取り出した。

 

 

「じゃあ外行こっか?」

 

 

「そうね、もういい時間だし」

 

 

現在の時刻は夜7時すぎ、あたりもすっかり暗くなっていた。

速水は作った団子と三種類の味変、湯呑みに入ったお茶をお盆に乗せて外へ出る。

和生は簡易テーブルを持って外へ出た。

2人は庭にあるベンチに腰掛け、和生が持ってきた簡易テーブルの上にお盆を置きお団子を口に運んだ。

 

 

「なんだかこういうのも悪くないね」

 

 

「そうね、それに和生の作るお菓子は美味しいし」

 

 

「そう言ってくれると嬉しいな。それに今日は月がよく見えるよ」

 

 

「雲が無いから確かに綺麗ね。…まるで和生みたい」

 

 

「えっ?」

 

 

速水の言葉に和生は首をかしげた。

 

 

「だって和生っていつも綺麗に輝いてて私たちを優しく照らしてくれる…だけどどこか朧気だから」

 

 

「そうなの?」

 

 

「うん」

 

 

「俺が月なら凛香は太陽かな?」

 

 

「どうして?」

 

 

「月ってさ?太陽の光を反射して輝いてるでしょ?」

 

 

「そうだけど…それが?」

 

 

「だから凛香は太陽なんだよ。俺がいつも輝けるのは…頑張れるのは凛香がいるから。凛香がいないと俺の光は無くなっちゃうんだ」

 

 

「和生…」

 

 

「ねぇ凛香」

 

 

「なに?」

 

 

「月が…綺麗ですね」

 

 

「えっ…///」

 

 

「…」ニコッ

 

 

「…死んでもいいわ///」

 

 

「凛香…」

 

 

「和生…」

 

 

2人は見つめ合い…そして…月明かりの下で2人の影が重なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月は太陽の光が無ければ輝くことは出来ない。

そして太陽はいつも地上を照らすことは出来ない。

お互いがお互いを支え、どちらが欠けてもいけないのである。

今宵月明かりの下で愛を誓いあった2人に幸福が訪れることを願うばかりだ。




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