申し訳ございません。
カズキの部屋では
「うぅ…ひっく…ひとりはやだよぉ…」
「ひとりじゃないよ、大丈夫」
未だに泣き止まないカズキを速水が慰めていた。
「俺は人殺しだ…武器を使わなくても人を殺しちゃう…」
「ううん、そんなことない。命は奪ってないもの」
「でも…心を殺したよ…?」
「桜井のおかげで私の心と身体は守られたの。あのとき助けてくれなかったら私は死んじゃってたよ」
「でも、それは俺の身勝手で助けただけで…」
「それでもわたしは嬉しかったよ、ありがとう」
「速水さん…」
そういって速水は笑いかけカズキの頭を撫でる
「うぅ…でも…みんないなくなっちゃうんだ…瞳を合わせるだけで…」
「瞳?」
速水はその言葉に心当たりがあった。
今みているカズキの瞳はを普段通りの紅い瞳、しかしあの時速水が見たのは金色の瞳。
金色だったカズキの瞳は恐ろしいほど冷たいものだったと思い出し速水は少し怯えた。
しかし
「わたしは桜井と瞳を合わせても全然平気だよ?」
「ほん…とう?」
「うん、だから大丈夫。思いっきり泣いていいの全部吐き出して?」
そういって速水はそっとカズキを抱き寄せた。
「速水さん…ありがとう…うぅ…寂しいんだ…あんな広い家に…自分以外誰もいない…あいさつを交わす人もいないし、ご飯はいつもひとり…ずっと寒かった…みんな何処かへいっちゃうんだ…離れていっちゃうんだ…」
カズキの凍った心が少しずつ溶け言葉になっていく。
速水はそれを全て受け止める。
「みんな一緒にいるっていってたじゃない」
「でも…卒業したら離れるし…」
「わたしはそばにいるから、ずっとそばにいる。ひとりになんかさせないわよ」
「でも…どうしてそんなに優しくしてくれるの…?」
「それは…」
速水は顔を赤くする。
「それは…?」
「わたしにとって桜井が…その」
「…?」
「大切なクラスメイトだからよっ///」
「ほんとう…?」
上目遣いでカズキが速水を見る。
「うん、ほんと」
「ありがとう…速水さんって暖かいね、安心する」
「桜井はちょっと濡れてて冷たいけどね」
「あはは、ごめんごめん」
「あ、やっと笑った」
「速水さんのおかげだよ、ありがとうね」
「助けてもらったし…そのお礼」
「ありがとうねほんと、そろそろ時間だから行こっか」
「うん、殺せんせー待ってるもんね」
「それに…ちょっと恥ずかしいし…」
「あ、ごめん離すね!」
そういって速水はカズキから離れる。
「悠馬にも謝んなきゃなー」
「磯貝に?」
「うん、親友に隠し事なんて良くなかったよ」
「そうだね」
カズキは思う、話して良かったと。
皆は受け入れてくれたのだと。
そうおもいつつ速水と共にビーチに向かうのであった。
注意
桜井くんはまだ自分の気持ちをわかっていません。
ですがとても愛に飢えた少年ということだけわかっていただけると幸いです。