桜井和生と暗殺教室   作:トランサミン>ω</

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凍える時間

烏間は自分の目を疑った。

先程まで倒れていたカズキがいつの間にかロミオの背後から容赦なく刃を突き刺したからだ。

「殺せんせー、どうなってるの?」

渚も不思議な光景に殺せんせーへの答えを要求する。

「彼は至って普通に近づいたのでしょう、それを私たちが視界で捉えられなかった。そういうことでしょう」

「殺せんせーにもみえなかったの?」

「いえ、私には見えていましたよ。彼の近づく姿も、そして……彼の才能の片鱗も…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かにお前は動けなくしたはず…何故そこにいる…」

ロミオの疑問は至極真っ当だ。

「うるさいよ…さっさと離れてくれるかな」

そういってカズキは速水をロミオの手から奪い取り、抱き抱えみんなの元へもどる。

速水はカズキの腕の中で不思議な言葉をきいた。

「いままでありがとう」

「えっ?」

そう言ってカズキは速水をみんなの元へ連れていき、すぐさまロミオの元へともどった。

「速水さん大丈夫!?」

片岡が心配して近づいてきた。

「う、うん…桜井のお陰で…」

「でも、凄く体が冷たいよ?」

「怖かったからかな…」

「大丈夫、もう大丈夫だからね…」

そういって片岡は速水を抱きしめ、頭を撫でた。

だが彼女たちは気づかない…その冷たさが速水を救った少年からの物だとは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良くもやってくれたなテメー!」

「それはこっちのセリフだよ…隠してた感情が出てきちゃったじゃないか…」

「テメーだけは絶対に殺す!!」

そういってロミオはカズキに斬りかかってきた。

「こっちも今出せる本気で行かせてもらうよ…」

「「「……!?」」」

その場にいた全員が感じ取った。

カズキから発せられるとても冷たい雰囲気を。

カズキは手に持っていた刺剣を投げた。

その刺剣は磯貝の目の前に突き刺さり、磯貝はそれを手に取った。

そして

「カズキ…無事でいていくれよ…」

心配そうに呟いた。

「さっきまでのは本気じゃねーっかぁ!?」

ロミオは激昴してカズキに斬りかかる。

カズキはそれを躱すが、何回かは直撃してしまっており身体から流血が止まらない。

「殺せんせー!止めなくていいの!?」

「そうだよ!もう桜井はボロボロだ!」

不破と菅谷が殺せんせーに問いかける。

「とめなければなりません…しかし今の彼を止められる人間はこの場にはいません」

「おい、それはつまり」

「えぇ、あのロミオという男でも無理でしょう」

殺せんせーは心配しながらもカズキを信じて微笑んでいた。

「はぁはぁ…」

ロミオが攻撃を一旦中断し距離をとった。

「じゃあ今度はこっちからいくね」

カズキは腰に下げていたもう一本の刺剣を鞘から抜いた。

その剣は透きとおった蒼い刃を持ち冷気を放っている。

「零剣レヴィアタン、永久凍土で作られたつくられた刺剣…母さんが遺した刺剣だ」

シュゥッ

次の瞬間カズキがとった行動に全員が驚いた。

カズキは傷口にその刃を当てて血液を凍らせてしまったのだ。

「お前の斬撃などこの程度だ、本当の剣戟を教えてやる」

カズキはひどく冷たい声でそう言い放つと。

着ていたスーツのジャケットを脱ぎ、投げ捨てた。

全員がそのジャケットに気を取られた一瞬のうちにカズキは姿を消した。

「ど、どこへいった」

ロミオも動揺を隠しきれない。

「ここだよ」

「!?」

カズキは突然ロミオの左に現れ刺剣を一突き、それに驚いたロミオは後ろへ倒れてしまった。ロミオの目は既に恐怖に染まっており、戦意が感じられるものではなくなっていた。

一方カズキの金色の目は恐ろしく冷たいものとなっている。

「いけません!!彼を止めないと!」

殺せんせーが焦っている。

「や、やめてくれぇ…」

ロミオは恐怖から涙を流し始めた。

「この剣は嫌いだ…冷たさが俺の心を映したようで…そろそろ終わりにしようか」

冷たく言い放ち、カズキはトドメを刺そうとした。

「凍えて眠れ…永遠に覚めることのない眠りにいざなってやる」

そうしてカズキが最後の攻撃をしようとしたその時

「桜井だめ…命まではだめ」

「速水…さん?」

速水がカズキを後ろから抱きしめた。

「さっきいままでありがとうっていったわよね?そんなの許さないよ…だから帰ってきて…」

「烏間先生!今です!速水さんがカズキ君を止めてくれている間に奴を!」

「わかった、みんなも手伝ってくれ!」

「「「はいっ!」」」

生徒たちは一致団結してロミオを拘束した。

カズキがロミオを殺そうとしたことを気にしながらも彼を問い詰め用とはしなかった。

「速水さん…もういいよ…殺さないから…」

「違うでしょ…?いなくならないって言うまで離さないから…」

「…」

速水の言葉にカズキは黙ってしまう。

「カズキ君、速水さんを救おうとしたその姿勢は素晴らしい。ですが闘い方は褒められたものではありません、わかっていますね?」

「はい…すみません」

「わかればいいんです、そんな身体でよく頑張りました。」

「はい…」

カズキは剣を鞘にしまった。

するとカズキの傷口を塞いでいた氷が砕け、再び血が流れ出した。

「カズキ…これ」

磯貝は手に持っていた刺剣をカズキに渡す。

「ありがとう…」

「皆さんカズキくんの傷を処置しだいすぐにターゲットを目指します。時間がもうありません。そしてカズキ君このミッションが終わったら君のことを話してもらえますか?」

「うん…もう隠せないし」

「ありがとう、それではいきましょうミッション再開です!」

「「「おうっ!!」」」




一度カズキの話は終わりですが。
潜入の話が終わったらまたやりますので
またお楽しみに
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