非常に眩しい状況になった。
照明の逆光でステージも見づらい。
「今日も元気だ銃がうめぇ!!」
そういって男が放った弾丸は速水の顔スレスレを通過した。
「一度発砲した敵の位置は絶対忘れねぇ、もうお前はここから絶対動かさないぜ。下で見張ってた二人は暗殺専門だが俺は軍人上がりだこの程度の一帯多数の戦闘は何度もやってる。ジュニアごときに遅れをとるかよ。さぁてお前らが奪った銃はもう一丁あるはずだが」
「速水さんはそのまま待機!!」
男の声を遮るように殺せんせーが声を発した。
「今撃たなかったのは賢明です千葉君!君はまだ位置を知られていない。先生が敵を見ながら指揮をするので…ここぞという時まで待つんです!」
「どこからしゃべって…」
男が見渡すと一番前の席に殺せんせーはいた。
しかもニヤニヤして顔は縞模様、明らかになめている。
「テメー何かぶりつきで見てやがんだ!!」
「ヌルフフフ、無駄ですねぇこれこそが完全防御形態の本領発揮です。これくらいの視覚ハンデはいいでしょう」
「…チッ、その状態でどう指揮執るつもりだ」
「では木村君5列左へダッシュ!!寺坂君と吉田君はそれぞれ左右に3列!」
「なっ…」
殺せんせーは生徒達の名前を使ってシャッフルを試みた。
だが敵も名前と位置を覚え始めていた。
「出席番号12番!!右に1で準備しつつそのまま待機!」
「へ?」
「4番と5番はターゲットを撮影律さんを通して敵の様子を千葉君に報告!」
「ポニーテールは左前列へ前進!バイク好きも左前に2列前進!」
今度は殺せんせーは生徒の番号や特徴で指示を出し始めた。
「最近竹林君オススメのメイド喫茶に興味本位でいったらちょっとハマリそうで怖かった人!!錯乱のために大きな音を立てる!」
「うるせー!なんで行ったの知ってんだテメー!」
寺坂が大声を上げて椅子をどんどん叩く。
「甘いもの好きの金髪スーツは女性銃手の不安をとるために、手を握る!!」
「そ、そんなこともするの!?」
カズキは困惑しながらも速水の手を握る
「桜井…」
「がんばろうね」ニコッ
敵もだいぶ翻弄されているようだった。
そこで殺せんせーは最後の指示を出す。
「さて、いよいよ狙撃です千葉君。速水さんは状況に合わせて彼のフォロー。次の先生の指示のあと君たちのタイミングで撃ちなさい。ですがその前に、表情をあまり出すことのない二人に先生からアドバイスです。君たちは今ひどく緊張していますね?先生への狙撃を外したことで自分たちの腕に迷いを生じている。ですが大丈夫です。君たちは一人でプレッシャーを抱えることは無い、外した時の作戦もちゃんと用意しています。ここにいる全員が訓練と失敗を経験しているからこそ君たちは安心して引き金を引きなさい。その引き金は全員で引く引き金です。」
そう言ってふたりに殺せんせーはアドバイスをした。
「では行きますよ、出席番号12番!たって狙撃!」
そう言って立ち上がったところに男は狙撃をした。
「ビンゴォ!」
しかし当たったのは千葉ではなく菅谷がつくった人形だった。
「分析の結果、狙うならあの一点です」
「オーケー律」
そういって千葉は射撃を行った。
しかしその弾丸は男に当たることはなくその横を通り抜けていった。
「フヘヘ、へへへ外したなそれで二人目も場所がっ…!?」
千葉が狙ったのは吊り照明の金具だった。
吊り照明が男に叩きつけられていた。
しかし相手もプロそれでもなお千葉に銃口をむける。
が、それは速水の弾丸に阻まれた。
「ふーっ、やっと当たった」
速水によって銃が吹き飛ばされ男は無防備になった。
そしてすぐに寺坂たちがガムテープで拘束する。
その状況に烏間は
「肝を冷やしたぞ、よくこんな危険な戦いをやらせたな」
「どんな人間にも殻を破って大きく成長できるチャンスが何度かあります。しかしひとりではそのチャンスを活かしきれない。集中力を引き出すような強敵や、経験を分かつ仲間達に恵まれないと。だから私は用意できる教師でありたい。生徒の成長の瞬間を見逃さずに高い壁を良い仲間をすぐに揃えてあげたいのです」
烏間はなんて教育だとおもったが生徒たちの表情をみて杞憂だなと思った。
しかし…
「きゃっ!?」
生徒たちは次の階に向かおうとして振り返る。
悲鳴の先には男が一人、その手には速水が掴まれていた。
「ククク、上には行かせねぇよ」
次回オリキャラ登場です。
若干不快な思いをさせる描写もあるかもしれませんが
次回からはカズキがメインの回になります。