桜井和生と暗殺教室   作:トランサミン>ω</

36 / 113
伏魔の時間

「な、なんだよこれ!?」

「どういうこと…」

磯貝とカズキは戻ってきて驚いた。

暗殺に失敗したとはいえ異常なほど疲労の色をみせている。

烏間がフロントに島の病院の場所を聞いたが無駄足だったようだ。

程なくして烏間の携帯に非通知で電話がかかってきた。

「やぁ先生、可愛い生徒たちがずいぶん苦しそうだねえ」

「何者だ、まさかこれはお前の仕業か?」

「ククク、最近の先生は察しがいいな。人工的に作り出したウイルスだ。感染力はやや低いが一度感染したら最後…潜伏期間や初期症状に個人差はあれ、一週間もすれば全身の細胞がグズグズになって死に至る。治療薬も一種のみのオリジナルでね、あいにくこちらにしか手持ちが無い。渡すのが面倒だから直接取りにしてくれないか?山頂にホテルが見えるだろう、手土産はその袋の賞金首だ」

どうやら生徒たちが苦しまされている原因は人工的に作り出されたウイルスによるもののようだ。

「その様子じゃクラスの半数はウイルスに感染したようだな、フフフ結構結構」

「もう一度聞くおまえは…」

「俺が何者かなどどうでもいい。賞金100億を狙っているのはガキ共だけじゃないってことさ、治療薬はスイッチ一つで爆破できる。我々の機嫌を損ねれば感染者は助からない」

「……念入りだな」

「そのタコが動ける状態を想定しての計画だからな、動けないなら尚更こちらの思い通りだ。山頂の『普久間殿上ホテル』最上階まで1時間以内にその賞金首をもってこい。だが先生よお前は腕が立つそうだからな、動ける生徒の中で最も背が低い男女2人に持ってこさせろ」

「くっ…」

そう言われ烏間は渚と茅野に目を向ける。

目を向けられた2人はキョトンとしている。

「フロントに話は通してある、素直にくれば交換はすぐに済む。だが外部と連絡を取ったり…時間を少しでもすぎれば即座に治療薬は破壊する。礼を言うよ、よくぞそいつを行動不能まで追い込んでくれた。天は我々の味方のようだ」

この状況での第3者の乱入、烏間は生徒たちに説明をし同僚にホテルへかけあわせてもらうがプライバシーを繰り返され意味をなさなかった。

ホテルには様々な悪い事情があるらしく打つ手がないらしい。

「どーすんすか!?このままじゃいっぱい死んじまう!!こっ…殺されるためにこの島に来たんじゃねーよ!」

吉田が悲痛な叫びを上げると

「落ち着いて吉田くん、そんなに簡単に死なない死なない。じっくり対策考えてよ」

原が落ち着くよう諭してくれた。

寺坂も要求を無視して都会の病院に運んだほうがいいといったが、竹林に無駄だと言われてしまった。

「対症療法で応急措置はしとくから急いで取引にいったほうがいい」

「竹林、お前ほんと頼りになるな」

「やめてくれよ桜井、それほどでもないさ」

打つ手なし交渉時間もあまりない中で殺せんせーが口を開いた。

「いい方法がありますよ」

「え?」

渚が思わず聞き返す。

「病院に逃げるより、おとなしく従うよりは律さんに頼んだ下調べも終わったようです。元気な人は来てください、汚れてもいい恰好でね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、烏間先生の同僚の方ですよね?」

「はい、そうですが。どうかされましか?」

カズキは殺せんせーの元へ行く前に外務省の人を訪ねていた。

「スーツを1着貸してください」

「どういった理由で?」

「おそらく今から必要になると思いますので、すぐに着るわけではありません」

「わかりました、すぐに準備させますので」

「ありがとうごさいます!」

「いえいえ、ご武運を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たけぇ…」

思わず呟く程の高さであった。

「ホテルのコンピュータから内部の図面と警備の配置図を入手しました。」

律によればこの崖の上にある非常口から侵入可能なようだ。

「律えらいよ、よく頑張ったね」

「はいっ!ありがとうございます」

カズキに褒められ、頬を染めながら喜ぶ律。とても可愛らしい。

「敵の意のままになりたくなければ手段は1つ、患者10人と看病に残した2人を除き、動ける生徒全員であそこから侵入し最上階を奇襲して治療薬を奪い取る」

「「「…!?」」」

生徒たちは殺せんせーの言葉に驚きを隠せなかった。

「…危険すぎるこの手馴れた脅迫の手口、相手は明らかにプロだぞ」

烏間も危険だといっている。

「ええ、しかも私は君たちの安全を守れない。大人しく私を渡した方が得策かも知れません。どうしますか?全ては君たちと…指揮官の烏間先生次第です。」

殺せんせーの言葉に生徒たちは

「それは…」

「ちょっと無理だろ…」

「そーよ、無理に決まってるわ!第1この崖よこの崖!ホテルにたどり着く前に転落死よ!」

イリーナの言葉に烏間も2人に持っていかせるしかないと思ったのだが

「渚君、茅野さんすまないが…」

生徒たちがいなくなっていた。

そして頭上から声が聞こえてきた。

「いやまぁ…」

「崖だけなら余裕だよね」

「いつもの訓練に比べたらね」

「ねー♪」

生徒たちは容易く崖を駆け上がっていく。

「でも、未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてないから。烏間先生、難しいけどしっかり指揮を頼みますよ」

磯貝の言葉に寺坂とカズキも続く

「おお、ふざけたまねした奴らに…キッチリ落とし前つけてやる」

「どうするんですか?烏間先生。俺はやる気ですけど」

「見ての通り彼等は只の生徒ではない。あなたの元には15人の特殊部隊がいるんですよ。さぁ、時間はないですよ?」

殺せんせーの言葉に烏間は

「注目!!目標は山頂のホテル最上階!!隠密潜入から奇襲への連続ミッション!!ハンドサインや連携については訓練のものをそのまま使う!いつもの違うのはターゲット層のみだ!3分でマップを叩き込め!!19時50分作戦開始!!」

「「「「おう!!」」」」

生徒たちへ作戦を伝え、それに生徒たちは大きな声で答えた。

E組のミッションが今始まろうとしている。




最近、カズキが空気みたいになってますが
後でちゃんと出しますのでご安心を。
感想ご意見まっております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。