「んー、離島って何が起こるかわからないよね」
カズキは考え事をしていた。
今日は暗殺旅行当日、カズキも荷物をまとめて出発しようとしていたのだが。
不安に駆られ地下室にもどっていた。
「備えあれば憂いなしって言うし、烏間先生がくれた奴も含めて、3つ持ってこうかな」
そういってカズキは対殺せんせーレイピアと、さらに2本本物のレイピアを手にした。
「まぁ、こっちは少し不安があるけど。いざとなったらそんな事言ってられないしね」
カズキは手にしたうちの1本の青い刀身をもつレイピアをみて呟いた。
「あ、やばい遅刻しちゃうよ!」
そういって慌てて家を飛び出していった。
「にゅやぁ…船はやばい…船はマジでやばい…先生、頭の中身が全部まとめて飛び出そうです…」
殺せんせーは相変わらず乗り物酔いが凄い。
「殺せんせー起きて起きて!見えてきたよ!」
倉橋が対殺せんせーナイフを振りながら起こす。
杉野と前原も続いて話す。
「東京から6時間!!」
「殺せんせーを殺す場所だぜ!」
「「「「島だぁーっ!!!」」」」
そういってクラス全員がさけんだ。
島に着いた生徒たちはホテルにチェックインした後、サービスで配られたトロピカルジュースを飲んでいた。
「カズキは飲まないのー?」
「カルマも飲んでないじゃん」
「俺はあんまり甘いのが好きじゃないの、でもカズキは違うでしょ?」
「あー、なんか眩しいなって思っててさ」
「どーゆーこと?」
「なんでもないよ」
気にしないでくれと言われたカルマだが、気にしないわけがなかった。
何故ならカズキから冷たさを感じたから、見た目や態度はいつもと同じなのにとカルマは不思議に思っていた。
「殺せんせー!例の暗殺は夕食の後にやるからさー、それまでは遊ぼーぜ!」
「いいでしょう、よく遊びよく殺すそれでこそ、暗殺教室の夏休みです」
前原の誘いに殺せんせーは簡単に乗ってくれた。
本当はこれも作戦なのだ。
生徒たちはプラン通りに暗殺ができるか、入念に現地をチェックする。
そのあいだに殺せんせーに気づかれないよう、各班が殺せんせーと遊んで注意を引いておくのだ。
「いやぁ、遊んだ遊んだ。おかげで真っ黒に焼けましたよ」
「「「黒すぎだろ!!」」」
「歯まで黒くなりやがって…」
「それじゃあもう表情が読み取れないよ…」
木村と岡野が殺せんせーのあまりの黒さに呆れている。
「じゃ、殺せんせー。暗殺は飯の後なんで、レストラン行きましょうか」
そう言われ殺せんせーはウキウキしながら磯貝について行く。
「夕飯はこの貸切船上レストランで夜の海をたっぷり堪能しながら食べましょう」
「…な、なるほどねぇ…まずは先生を酔わせて戦力を削ぞうというわけですか」
「当然でふ、これも暗殺の基本ですから」
「実に正しい、ですがそんなに上手くいくでしょうか」
「「「黒いわ!!!」」」
先生は舐めたような口ぶりだが顔が黒くてわからない。
「ややこしいからなんとかしてよ…」
「表情どころか前後もわかんないよ…」
「ヌルフフ、お忘れですか皆さん?先生には脱皮があるんですよ?」
「あ、月1回の脱皮だ!」
「本来はやばい時の奥の手ですが…はっ!?」
「あーばかだなー、暗殺の前に自分の戦力削いでヤンの」
生徒たちは思った。どうしてこんなドジを未だに殺せないのだろうかと
「さーて飯の後はいよいよだ」
「会場はこちらですぜ」
生徒たちに案内され歩く殺せんせー、案の定酔っている。
「このホテルの離れにある、水上パーティールーム」
「ここなら逃げ場はないよ」
「楽しい暗殺」
「まずは映画鑑賞から始めようぜ?」
そう言われ席につく殺せんせー。
いよいよ僕らの暗殺が始まった。