桜井和生と暗殺教室   作:トランサミン>ω</

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皆さん(」・ω・)オッス(」・ω・)オッス
トランサミンです!いやー、解剖学って難しいこと限りないですよw
勉強が忙しくて遊ぶ暇が全然ありません…。
それに暗殺教室のアニメももう終わりですし…単行本もあと一つだけ…寂しいですね。
ですが暗殺教室を途切れさせないためにも!私はこの作品を書き続け、暗殺教室ファンとしてずっと物語を届けていこうと思います!
それでは皆さん!今回は主人公である彼の視点や第三者視点を織り交ぜてお届けします!


苦悩の時間

頭が痛い…激しい吐き気と飛び出そうなくらいに眼球が痛む。世界が可笑しかった。さっきまで俺はルウシェと一緒に炎の触手を操る茅野と戦い、殺せんせーへの攻撃を防いでいた筈なのに、気付けば茅野は倒れており殺せんせーが茅野に何かを施している。

 

世界が凍り付いていた、音、空気、光さえも緩慢に感じ、見ているだけで気が狂いそうな光景が視界に広がっている。この状況を俺は知っている…『蒼魔凍』だ。戦いの場に置いて最強と言える能力、しかし俺は戦いの最中確かに蒼魔凍を解除したはず…。

何故今も世界が凍り付いているのだろうか…意識が遠のき…身体中の内蔵を吐き出してしまいそうな衝動に駆られる中…

 

「和生っ!和生っ!」

 

彼がこの世で最も愛している女性、速水凛香の声が彼を呼び戻した。

 

「へっ?あ、何?」

「もう!渚が茅野の動きを止めて殺せんせーが触手を抜いてくれたのよ」

「…ああ。じゃあ全部終わったんだね?」

「うん、後は殺せんせーの話を聞くだけ」

「ゲホッ!!」

「殺せんせー!?」

「平気です…ただ流石に心臓の修復に時間がかかる。先生から聞きたいことがあるでしょうがもう少しだけ待って下さい」

「…先生」

 

殺せんせーが口から血を吐いて蹲っている。茅野が戻ったなら殺せんせーの過去を知る権利が俺達にはある。

そんな時、殺せんせーを1発の弾丸が襲い、先生がそれを躱した。

 

「瀕死アピールも大概にしろ。まだ躱す余裕があるじゃないか。使えない娘だ、自分の命と引き換えの復讐劇ならもう少し良いところまで観れるかと思ったがね」

「…シロ!!」

「大した怪物だよ、いったい1年で何人の暗殺者を退けて来ただろうか。だがここまで、ここにまだ3人ほど残っている。最後は俺だ、全てを奪ったお前に対し…命を持って償わせよう」

 

突然現れたシロと真っ黒なローブを纏う人物、そしてオレンジ色の髪をした英国婦人。シロのローブから覗くのは1人の男の顔、殺せんせーにはどうやら心当たりがあるようで表情が堅い。そして俺の横に立っているルウシェの表情もだ。

 

「3月には…呪われた命に完璧な死を」

「行こうか『2代目』、『マザー・グース』」

「待て!!」

「ルウシェ?」

 

歩き去るシロ達3人。しかしマザー・グースという名を聞いたルウシェが紅桜を抜刀して切っ先を婦人の背中へ向けた。婦人が振り返り笑ってルウシェに語りかけた。

 

「久しぶりね?ルウシェ。いつ以来かしら?」

「…忘れたとは言わせません!!お前が母さんを殺した時だ!!」

 

…母さんを殺した?ルウシェは何を言っている。

だけど俺もあの婦人の顔には見覚えがある…あれは俺が入院していた時の…!!

 

「ふふっ、桜井和生くんも久しぶりね?肩の調子はどうかしら?折角私が治してあげたんだから感謝してよね?」

「…何故貴様がそこに居る!!吐け!!」

「ルウシェ、せっかちな女性は嫌われるわよ?シロ、行きましょう?」

「あぁ。絶望は来るべき時に訪れる」

「くっ…」

 

去っていくシロ達を女の子とは思えない目で睨みつけている。あの時病院で俺を診ていた先生が母さんを殺した…?

 

「おい!茅野が目を覚ましたぞ!」

「ホントか!?」

「茅野さん…良かった」

「最初は純粋な殺意だったの…お姉ちゃんの仇って…けど殺せんせーと過ごすうちに殺意に確信がもてなくなった。この先生には私の知らない別の事情があるんじゃないか?殺す前に確かめるべきじゃないか?って。でもその頃には触手の殺意が止まることを許さなかった…バカだよね…皆が純粋に暗殺を楽しんでたのに私だけただの復讐に1年を費やしちゃった」

「茅野、僕は君にこの髪型を教えて貰ってからさ?自分の長い髪を気にしなくて済むようになった。殺せんせーって名前も皆気に入って使ってるだろ?目的がどうとか気にしなくていい。茅野はこのクラスを作り上げてきた仲間なんだから。どんなに1人で苦しんでたとしても全部演技だったなんて言わせないよ。皆と笑った沢山の日が」

「…渚」

「殺せんせーは皆揃ったら全部話すって約束してくれた。先生だって聖人じゃない、良い事ばかりじゃないのは皆知ってる。でも一緒に聞こうよ。殺せんせーの話を」

「…うん。ありがと…もう…演技やめていいんだ…」

 

涙を流す茅野にクラスメイトたちが寄り添っている、そして…遂に殺せんせーの過去に触れる時がやって来た。

 

「茅野はここまでして先生の命を狙いました。並大抵の覚悟じゃできない暗殺だった。そしてこの暗殺は先生の過去とも雪村先生とも…つまり俺らとも繋がってる。話して下さい、どんな過去でも…真実なら俺らは受け入れます」

「ふー…」

 

磯貝の言葉を聞いた殺せんせーは長く息を吹いてから話し始めた。

 

「できれば過去の話は最後までしたくなかった。けれどしなければなりませんね…君たちとの信頼と絆を失いたくないですから。夏休みの南の島で烏間先生がイリーナ先生をこう評しましたね?『優れた殺し屋ほど万に通ずる』非常に的を得ていました。先生はね?教師をするのはこのE組が初めてです。にも関わらずほぼ全教科を滞りなく皆さんに教えることができた。それは何故だと思いますか?」

「…まさか?」

「そう。2年前まで先生は…『死神』と呼ばれた殺し屋でした。それともう一つ放っておいても来年の3月には先生は死にます。1人で死ぬか、地球ごと死ぬか。暗殺で変わるのはそれだけです」

 

 

語られた殺せんせーの過去、それは俺達に衝撃を与えた。殺せんせーは本物の『死神』だった事、シロの正体、柳沢に改造を施されこうなってしまい、最愛の人であった雪村先生を助けることができなかった事、そして…この先生を殺さなくちゃいけないのか…という事だ。俺達の頭を巡る殺せんせーとの思い出、殺せんせーの言葉を疑う余地など俺達には無い…爆発の期限は3月13日、俺達の…苦悩の冬休みが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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年が明けて2日、世間の人々が正月ムードの中、俺は独り校舎裏の山に篭っていた。

理由は簡単、俺の身体に起きた異変と…あの時のルウシェの言葉の意味を冷静に考えるためだ。

 

「あの時ルウシェは『お前が母さんを殺した時』と言っていた…皆は殺せんせーの過去だけで頭がいっぱいだったから何も言わなかったんだろうけど…俺にはルウシェの言葉の方が衝撃だったよ」

『主よ、汝の妹の話から察するに、汝らの母親を殺したのは奴と見て良いだろう』

「ヴラドもそう思うよね…うっ…」

『また頭痛か…触手を抑えるために蒼魔凍を用いた故に更に症状が進行したのであろう』

 

ヴラドの言う通り、茅野の攻撃を止めるために蒼魔凍を使ったのが原因なのは明白、表情には出さないけど本当はかなり厳しい状況だ。何せこの冬休みの間凛香と1度もデートして無いからね…誘えるような状況じゃなかったし、気を抜いたら倒れそうっていうのが大きいかな。

 

『時に主よ、ライルの話を聞きたくはないか?』

「あぁ…俺と同じ状況になった初代王様だっけ?うん、聞きたいね。どんな人だったの?」

『この世には表には出ることがないが魔なるもの、異端が存在する。例を挙げるとするならば『魔女』近代でも魔女狩りが行われているであろう?奴はそ奴らを狩る者、『魔女狩り』だった』

 

魔女狩り…西洋で行われた虐殺と同じだ…魔法の力を持つと恐れられた女性が殺された事件…

 

『余ら血属器はもともと異端を狩る者たちに宿る霊が武器に宿りし物。余はライルに宿る霊だった。奴は賢い男で強さも魔女狩り1だった。だが…奴には他人の気持ちという物がわからなかった。心が冷たかったのだ。冷血という言葉が良く似合い、その冷たさ故の強さであった。他人を殺す事を厭わない、何の躊躇もなく仲間を見捨てる。そんな男に宿ったチカラ』

「それが蒼魔凍…」

『如何にも。奴はあらゆる物を捨てて強さを求めた。魔女を狩り、立ち塞がる者を排除し、遂には一つの国を手に入れた。しかし奴にも転機が訪れる。女との出会いだ』

 

…女との出会いで変わるとか自分の事を言われてるようで何か心にくるなぁ…凛香のおかげで俺は心を開けたわけだしね。

 

『女は魔女であった。しかしライルは奴を殺す事はできなかった。何故ならば女は抵抗ひとつしなかったのだ。

余の杭を体に受けて尚、ライルの心を溶かそうと試みた。魔女の狙いは何だったのかはわからん、しかしライルはその女の想いに触れ変わったのだ。しかしどう思う?魔女狩りの男が魔女と愛し合う?仲間が許す筈がない。ライルは自分に襲い掛かる同胞たちをひたすらに倒し続けた。一国を治める者としてであり、女とその間に生まれた子を守るためにだ。蒼魔凍を持つライルは敗北する事は無かったが…蒼魔凍の過剰使用で倒れた。凍り付いた世界の中では女の声も届かず、絶対零度の回廊を歩き続け…死に至った』

 

絶対零度の回廊…蒼魔凍で凍り付いた世界では愛する人の声さえも届かない…どうすれば…

 

『ライルの魂が消える瞬間、余に奴が言った言葉が…蒼魔凍の次の扉を開いた…だ。絶対零度の回廊の最奥部にある何かを奴は開いたのだろう。主よ、汝は奴の血を色濃く受け継いでいる』

「わかるよ…凛香に心を溶かされて…俺は変わる事ができた。だけどこの前蒼魔凍を使ってわかった。絶対零度の回廊、あれは並大抵の精神力じゃ歩けないよ」

 

まるで身体の全ての血液が逆流するような感覚だったしね…ヴラドの話から察するに俺は恐らく近い内に命を落とす事になる。凛香に伝えるか否か…それとも助かる方法を探すか…蒼魔凍を使わなければあの世界に入り込む事はまず無い。吐き気や頭痛と戦い続けながら生きる事はできる…だけど恐らくそれは叶わない、ルウシェがマザー・グースに向けた殺意。本当にマザーが母さんを殺したんだとすれば俺は戦わなきゃいけない。つまり…死は必然…あぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずっと一緒って約束…果たせそうにないや…凛香…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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彼が思い悩んでいる頃、ルウシェは兄の恋人である速水の元を訪れていた。

 

「お姉様…今、大丈夫ですか?」

「…ごめん千葉。少し抜ける」

「あぁ、気にするな」

 

速水は千葉と共に狙撃訓練を行っていた。この冬休みに計画されていた暗殺は全て中止、和生とも会えず時間を持て余していた彼女は腕を磨くことしかすることが無かったのである。

 

「他の男性と2人限りなんてお兄様が嫉妬してしまいますよ?」

「そう…かな?今の和生…私の事見えてないもの…」

「…やはり気付いているみたいですね。私もここ数日のお兄様の様子は可笑しいと思っています。大好きな甘いものを食べても顔は晴れず、お姉様の話をしても表情は暗いまま。夜遅くに家を抜け出しては早朝に帰宅する。不自然だと思いませんか?」

 

…私だってわかってるよ…和生が可笑しい事ぐらい…期末テストの日から『好き』って言葉を1度も聞いてない…血を吐く和生の姿を見ても何もできない私…1番近くで支えるって決めたのに…!好き…大好き…なのに!どうして私に何も言ってくれないの…?ねぇ…どうして…?

 

「うん…私もわかってる。和生が可笑しいことくらい…」

「ですからお姉様にお願いがあるのです」

「…何?」

「暫くの間、私をお姉様の家に泊めて下さい」

「…えっ?」

 

 

 

 

 

 




今回も超展開、初代王様と和生くんの類似点。
読み直すと沢山出てくるかもですよ!

それと余談ですが、この前のアニメ暗殺教室の『ラスボスの時間』。柳沢がやられる時の描写が端折られすぎていて私は爆笑してしまいました(笑)
原作で言っていた雑魚キャラみたいなやられ方でしたねw

それでは感想や高評価お待ちしています!

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