IS〈インフィニット・ストラトス〉〜G-soul〜   作:ドラーグEX

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第六章 最強生徒会長、見参!
夏休み明け。新たな少女 〜または現れる謎の先輩〜


夏休みが明け、九月二日。

 

ISを使った実戦訓練が、一組と二組の合同で行われている。今、俺の相手をしているのは《ブルー・ティアーズ》を展開したセシリアだ。

俺はG-soulの第二形態《G-spirit》で応戦している。

 

セシリアのビーム攻撃をBRFアーマーで防ぎ、ビームブレードで接近戦に持ち込んだ。

「おらおらおらおらぁっ!」

「くっ……!」

セシリアも銃剣《インターセプター》で対応してくるが、パワーが違う! このまま押し切って━━━━!

 

「……もらいましてよ?」

「!」

セシリアがニッと笑った。

「接近戦に持ち込んでくるのはわかっていました! ティアーズ!」

セシリアが放出したビットが俺の背後を取った。

「効くかよ!」

 

スラスターを展開し、ビームウイングを出現させる。揺らめく焔の翼がビームを吸収していく。

「それも予想済みですのよ?」

セシリアは腰部分の装甲から小型ミサイルを発射した。ビットは囮か……!

「しまっ━━━━ぐああっ!」

爆風を受けて吹っ飛ぶ。ビームウイングをはためかせて何とか姿勢を立て直して着地する。

「やるじゃねえか」

プライベート・チャンネルでセシリアに話しかける。

『もちろんです。伊達に代表候補生をしてませんわ』

シールドエネルギーは残り一二〇か。まだ行ける!

「そうだな。それじゃあこれでどうだ! Gメモリーセカンド! セレクトモード!」

Gメモリーの発展型、Gメモリーセカンドを起動する。

「射撃にゃ射撃だ! セレクト! エルドラス!」

━━━━コード確認しました。エルドラス発動許可します━━━━

G-spiritの装甲が変化し、両腕にはキャノン砲《ドルア》を。腰部装甲にはレールカノン《ソルアス》を装備。装甲にライン状の紋様が走る遠距離攻撃特化のエルドラスモードになる。

「行けぇっ!」

放たれたビームと実体弾がセシリアに襲い掛かる。

「そのような攻撃ではっ!」

セシリアはビットを巧みに操り、実弾を撃墜。ビーム攻撃は身をひるがえして躱す。だが!

「俺も今の攻撃で仕留めようなんて思ってねえさ」

「!?」

俺はセシリアの真上に浮遊する。

 

キャノン砲が分裂し、指のように俺の手に装着される。そして装甲のライン部分が開き、総数六〇門の小型ビーム砲が顔を出した。

 

「手のビーム砲も含めれば七〇門……………! もらった!」

ビームの雨がセシリアを包み込み、土煙が辺りを覆う。

「くっ!」

土煙から飛び出したセシリア。ティアーズのエネルギーはもう無いのだろう。浮遊しているがフラフラだ。

「セーシリア♪」

「!?」

俺の声に振り返るセシリア。俺はその眉間に手で鉄砲を作るように人差し指を向けた。ビーム発射はいつでもいける。

「勝負あり、だな?」

「……ええ。まいりましたわ」

セシリアが敗北を認めて、二人手間ゆっくりと地上に降りる。

 

「どわあああっ!」

 

隣から悲鳴と墜落音が聞こえた。

「どうやら向こうも終わったみたいだな」

「そうですわね」

お互いISを待機状態に戻して、もうもうと上がる土煙のもとへ向かう。

「これで二連勝! ほれほれ、なんか奢りなさいよ?」

「くっそー……」

すると得意げな表情で《甲龍》を展開した鈴が着地した。そして土煙の中から一夏が出てくる。

「ははは、まあた派手にやられたな、一夏?」

「大丈夫ですか?」

「うーん、やっぱり《雪羅》になるとエネルギー消費がもっと酷くなるんだよな……」

ぼやく一夏。まあ、雪羅形態の《零落白夜》は威力は高くなるがそれと同様にエネルギー消費も増える。

「みなさーん! 終わったらこっちに来てくださーい!」

「おっと、山田先生が呼んでるな。行こうぜ」

俺達は先生のところへ向かい、動きの確認、および改善点を話し合った。

「やっぱり広いよなぁ。ここ」

「ああ。全くだ」

訓練が終わり、更衣室で着替える俺と一夏は久々に使った更衣室の広さを改めて実感した。

「それにしてもいいよな。お前のG-soulは」

「何が?」

「エネルギーの使用量だよ。俺の白式とは違ってあんまり使わないだろ?」

「そんなことないさ。ビームソードとビームガンにもエネルギーは使うし、G-spiritの時はなおさらさ。ビームウイングだって……」

「………………」

ふと見ると、一夏が誰かに手で目隠しをされてる。一夏の頭がちょうどその手の主の顔を隠していた。

 

「……え? どゆこと?」

「えへへ。だーれだ?」

「「だ……誰?」」

声をそろえてつぶやくと、謎の手は一夏の顔から離れた。

「えっと……」

一夏がその手の正体を見ようと振り返ると、振り返った方向に置かれていた扇子が一夏の頬を押した。

「ふふ、引っかかったぁ♪」

鈴の音のような笑い声が聞こえ、その人の顔を見る。制服姿で、リボンの色から二年生ということが分かる。が、やっぱり━━━━。

「「えーと、誰?」」

やっぱりさっぱり分からない。誰だ?ホントに。

一夏と一緒に首を捻っているとその二年生の先輩は時計を指差した。

「名乗ってあげてもいいけど、織斑先生に怒られちゃうぞ?織斑一夏くん、それと桐野瑛斗くん?」

「「は……あ!!」」

時計を見れば次の授業が始まって三分経っている。ヤバい。これはヤバい……!

「急げ一夏! 殺されっぞ!?」

「あ、ああ! じゃあ、失礼します!」

俺達はバタバタと更衣室を出て教室に向かった。

 

更衣室を出る直前、謎の先輩が一夏の顔を子供のような無邪気な表情で見ていたが、なんだったんだ?

……

 

…………

 

………………

「「ぎゃあああああ!」」

結局、俺と一夏は織斑先生に怒られ、俺はシャルに、一夏は箒にボッコボコにされたのでした。

一夏の言い訳、酷かったなぁ。


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