IS〈インフィニット・ストラトス〉〜G-soul〜   作:ドラーグEX

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今回も少し修正を加えました。話はトントンと進んでいきます。


新天地。IS学園! 〜または突然の入学〜

「えっと……生きてる、よな?」

 

  俺を心配そうに見る《打鉄》の操縦者は俺ぐらいの年の男だった。

 

  俺はこの短時間に超常現象を二度も見ている。おかしい。確か男はISを操縦できないんじゃなかったのか?

 

「………………」

 

  うつ伏せになっていた俺はじっとその男を凝視した。

 

「お前……男、だよな?」

 

  俺を見る男は、確かめるよう俺に問いかけた。

 

「……その疑問、現在進行形で俺も持ってるぞ」

 

「え? ……あ、それもそうか」

 

はは、と苦笑した男に、俺はのそりと手を伸ばす。

 

「さっそくで悪いんだけど……立つの、手伝ってくれないか?」

 

「ああっ! そ、そうだよな! ごめんごめん!」

 

  俺は男の手を借りて何とか立ち上がる。

 

「助かったよ。ええっと……」

 

「一夏だ」

 

「ありがとう一夏。俺は━━━━」

 

「あ! やっと見つけました! おーい!」

 

  俺が名乗ろうとしたとき、また前から誰かがやって来た。

 

  やって来たというよりは降りてきた、の方が正しいだろう。ISを展開して俺と男……一夏の前に降り立ったのは、紛れもなく女性だった。

 

「もう! いきなりどこかに行ったら捜すのが大変じゃないですか~。ってあれれ?」

 

  眼鏡を掛けた小柄な女性は俺をまじまじと見ている。何だ? 俺の顔に何かついてるのか? いや、確かに土汚れはついてるが……。

 

「えぇぇぇ!? イ、イレギュラーが二人に!?」

 

  女性はそう言って何やら携帯端末を取り出し、電話をかけた。

 

「あっ、もっ、もっ、もしもし!? 大変です! ISを操縦できる男の子、二人目を発見です!え? 何を言ってるんだ? 嘘じゃありません!ホントなんですってば!」

 

  電話を終えると、女性は俺と一夏の方を向いた。

 

「えっと、と、とりあえず戻りましょうね。あ、あなたもですよ?」

 

「「は、はあ」」

 

  俺たちは、眼鏡の女性についていき、墜落現場を後にした。

 

 

「まさか、本当だったとはな……」

 

  連れて来られた場所は、森に囲まれた開けた場所。ツクヨミの映像資料で見たことがある。グラウンドというやつだ。

  そこにはもう一人、多分さっき連絡を取っていた相手の女性が待っていて、俺の顔を見るなりそう言った。

 

「おい、お前」

 

「な、何でしょうか?」

 

  俺たちを迎えにきた女性より遥かに『出来そう』な女性が俺に話しかけた。しかしこの顔、どこかで見たような……?

 

「名前はなんという?」

 

「き、桐野瑛斗です。歳は十五。今年で十六になります」

 

「……そうか。ああ、織斑、お前はもう帰っていいぞ」

 

「え、でも千冬ね━━━━」

 

  バシッ!と一夏の頭に出席簿のようなものが振り下ろされ、大きな音を立てた。うわぁ、痛そう。

 

「ってえ!」

 

「織斑先生だ。分かったらもう帰れ。入学の手続きはこちらでする。お前は着替えて自宅待機だ」

 

「服は一応更衣室に置いておきましたよ。最初にここに来た道を戻って行けば着きますから」

 

  小柄な方の女性が一夏に更衣室とやらに向かうように指示した。『入学』って、何のことだろう……。

 

「は、はい。分かりました。じゃあな、瑛斗」

 

  そう言って一夏は消えて行った。

 

「さて、お前の話だが、まずはどうしてこうなったのか教えてもらおうか」

 

「さっきニュースで流れてた崩壊する宇宙ステーションから一つだけ脱出ポッドが降下したってのと何か関係があるかも」

 

「おいおい。流石にそれはないだろう」

 

「………………あの」

 

「ん?」

 

「……それ、俺です」

 

  俺の言葉に、二人の女性は動きを止めた。しかし目は俺の方を向いている。 これはもう少し説明せねば。

 

「えっと、俺は、あの宇宙ステーション〈ツクヨミ〉の中のIS研究所の研究員の桐野瑛斗です。ってさっきも自己紹介はしたか。なんて言えばいいかな……」

 

  俺がうーんと唸っていると、山田と呼ばれた女性は携帯端末を操作し、俺に一つの画像を見せた。

 

「こ、これが、あなたですか?」

 

  見るとそれはどこから撮影したのか爆発する宇宙ステーションから脱出し、降下するポッドの写真だった。

 

「ええ。これが俺の乗ってた脱出ポッドです。大気圏を突破したまでは良かったんですけど、いきなり空中分解始めて……。それで俺は咄嗟にこのG-soulを起動させて、あそこに突っ込んだ次第です」

 

  俺が説明し終えると、ちふゆね? と呼ばれた女性はため息をついた。

 

「……真耶、こいつも入学だ」

 

「え!? でも、試験も受けてないのに……」

 

「後で調べはする。だが宇宙のIS研究所の研究員がISを操縦して落ちてきた。しかも男だ。政府が何を言ってくるかわからん。こいつを守るためにも、手間はなるべく省く」

 

「は、はあ……。分かりました」

 

 何だ何だ? 俺の知らないところでどんどん話が進んでいくぞ?

 

「桐野と言ったな。お前はこのIS学園に入学してもらう」

 

「え? ……あ、IS学園!?」

 

その名前は知っている。ISの操縦者の育成を目的とした特別な学校だ。操縦者だけでなく、専門のメカニックまで、必要な人材はここから輩出されていく。俺はそんなところに落ちてきてたのか……。

 

「悪いが、今のところお前に拒否権はない。早く返事をしろ」

 

「は、はい!?」

 

 良く分からないが、こうして俺のIS学園に入学が決まった。


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