IS〈インフィニット・ストラトス〉〜G-soul〜   作:ドラーグEX

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上陸! 神掌島の決戦 〜またはまだ癒えない心の傷〜

「や、やっと着いた……!」

止む気配の無い蝉の声を全身に浴びながら倉持技研第二研究所の門の前で、一夏はどっと息を吐いた。

「電車で一時間からバスで一時間、しかもその後歩かされるとは………」

山の奥と言っても過言ではない僻地。そんな中にポツンと佇む、自身の専用機《白式》の生まれた場所。

「にしても、俺に何の用なんだ?」

ガントレットになっている白式を見ながらつぶやく。

「て言うかどうやって入るんだ!? インターホンも無いし━━━」

と、後ろから気配を感じた。

「っ! 誰だっ!?」

「あーらら、気づかれちゃったか?」

一夏の後ろに立っていたのはISスーツの上から白衣を着て、長い長い犬歯を見せながら笑う、くるくる巻き毛の女性。

そのたわわな胸元には、『かがりび』と書かれた名札。

条件は、揃っていた。

「あ、あなたが瑛斗の言っていた………!」

「ふふん? 彼から私のことは聞いてるみたいだね?」

「……………痴女さん?」

「そっちかぁ……!」

倉持技研第二研究所所長、篝火ヒカルノは額を押さえて天を仰いだ。

「あ、す、すいません! 瑛斗が言ってたイメージが先行しちゃって……確か、篝火ヒカルノさん、ですよね?」

「そーそ。ここの所長やってる篝火ヒカルノ。よろしくね、織斑一夏くん」

ヒカルノが手を差し出す。

「こちらこそよろしくお願いします」

一夏もその手を握って握手の形になった。

「………………」

「………………」

「………スキが無いね」

「瑛斗に言われましたから」

一夏は足に力を入れていた。

「道理でさっきも気づかれたわけだ。後ろに意識を向けてたんだね?」

 

ヒカルノが握手を解くと、一夏の背後の扉が開いた。後ろのヒカルノは、門の内側に一夏を導く。

「まぁ立ち話も何だから、涼しい室内で話そうじゃないか」

ヒカルノに連れられて真っ白な建物の中へ。

ヒカルノは外履きを乱雑に脱ぎ捨てると、モフモフのスリッパに足を突っ込んだ。

綺麗に掃除され、チリ一つない廊下を進む。内装は白。廊下も、壁も、蛍光灯も、全て白で統一されていた。

「あの、ここに瑛斗は来たんですよね?」

「そうだよ」

「ここで、どんな話してたんです?」

「んー……」

ヒカルノは考えるように唸った。

「彼の名誉のために、あえて伏せておくよ」

「そうですか………」

「あ、それはそうと、お姉さんは元気かい?」

「え? 千冬姉? 元気ですけど……」

「そうかいそうかい。そりゃ何より」

「千冬姉と知り合いなんですか?」

「いんや。ただの同級生。高校時代のね」

「バリバリに知り合いじゃないですか。というか、千冬姉とってことは束さんとも? まさか友達?」

「だーから、ただの同級生だよ」

ヒカルノは立ち止まって、白衣を翻しながらくるりと回って一夏に振り返る。その勢いで胸がぷるんっ、と揺れた。

「いいかい? 友達ってのは対等な立場の人間に使う言葉だよ。向こうは私の事なんて眼中に無かったみたいで、実際私なんかは彼女らの足下にも及ばなかった。だから同級生。ただの、同級生」

「そ、そうですか………」

そしてヒカルノはまた前を向いて歩き出す。一夏もその後に続いた。

「気になるかい? 昔のあの二人のこと」

「はい。全然知らないから興味あります。昔の二人ってどんな感じだったんですか?」

「まあ私もそんなに詳しいわけじゃあないけどね。なんだかあの二人は、周りが見えてない感じだったよ」

「周りが……見えてない?」

どういう意味なのか考えようとした時、前方の扉が開いて若い男が出てきた。

「あっ、所長! やっと戻って来たんですね! どこ行ってたんです!?」

「客人のお出迎えをしてただけだよ。君もうるさいやつだねぇ」

「誰のせいで……って、君はもしかして織斑一夏くん? ようこそこの研究所へ! この人に変なことをされなかった?」

「へ、変なこと? 対処出来たので、特には……」

「そうかそうか。気をつけてね。この人変わってるから」

「は、はあ、どうも」

一夏はその男の勢いに少したじろいだ。

「君も節操が無いね。桐野瑛斗くんにもそんな風に言い寄ってたじゃないか」

と、ヒカルノが男に茶々を入れる。

「所長!?」

「ふふふん。キョドるなキョドるな。余計怪しいぞ?」

「ちっ、違いますからねっ! ちょっと! 聞いてます!?」

「うはははは」

男の声をスルーして、ヒカルノは扉の向こう側へ。

 

「織斑一夏くーん? 君も入りたまえよー?」

「あ、は、はい!」

一夏が入った室内には見知った後ろ姿があった。

「………あれ? 簪?」

「え? あ……」

こちらに振り返ったのは、簪だった。

「待たせたねカグヤ。お客さんの相手してくれてあんがとさん」

「ううん! この子とってもいい子だったよー!」

簪と対面で座っていた女性、伊那崎カグヤは朗らかにヒカルノを迎えた。

「おぉ! 織斑一夏くんだ!」

そして一夏の姿を確認して椅子から跳ねるように立ち上がって、一夏の前に。

「初めまして! 私ここでテストパイロットしてる伊那崎カグヤ!」

「初めまして。瑛斗から話は聞いてます。《打鉄飛天式》ですよね? 使ってるIS」

「そうだよ!」

カグヤは右手のグローブを見せた。これが打鉄飛天式の待機状態の姿である。

「……あ、そうだ。これ、瑛斗に言われて買ってきました。駅前のドーナツ屋のドーナツです」

「わ! ありがとう! 気が利くー!」

一夏が差し出したドーナツの入った箱をカグヤは目を輝かせながら受け取る。

「わーい! 早速食べちゃおっと!」

カグヤは椅子に座って箱の中から取り出したドーナツを食べ始めた。

「びっくりしたぜ。簪も来てたんだな?」

一夏に声をかけられた簪はコクリ、と一度頷いた。

「う……うん。ちょっと前に着いた。昨日、織斑先生に、言われて……」

「千冬姉に?」

「うん……」

「あー、君達、悪いけどこれから隣の部屋に移動してくれるかい? ここは休憩室兼応接室(笑)くらいのもんなんだ」

ヒカルノが飄々とした様子で一夏と簪を誘導する。

「さてと、それじゃあメンツも揃ったことだし、今回呼び出した理由を話しておこうか」

移動し終えると、腰に手を当てたヒカルノが自ら本題を切り出した。

「簡潔に言うとだね。今回はデータ採取をしたいんだよ」

「データ、ですか? 定期的に送ってるはずですけど?」

一夏も簪も、箒やマドカ、瑛斗などの特例を除いた他の専用機持ち達同様に自分のISのデータはそれなりの頻度で送っていた。

「それもそうなんだけど、やっぱ自分の目で見てみないとわかんないところもあっかんね」

ヒカルノは肩を竦める。

「白式は一応うちが設計に関わってる。自分らの機体のデータを詳しく知らないわけにはいかんでしょ。本当はもっと早くに呼びたかったんだけどね。どーにもこっちの都合がつかなくってさ」

「な、なるほど……」

「君の《打鉄弐式》もだよ」

急にヒカルノに視線を向けられた簪は小動物が警戒するようにピクリと身じろぎした。

「すまないね。君のISは本来こっちで組んでおくはずだったのに」

「い、いえ……そんな……」

「まさかそっちで完成させちゃうとは。一人でやったんだっけ?」

「えっと……瑛斗が、手伝ってくれて……」

「ほー? 彼も開発に携わってたのかい」

「瑛斗がいなかったら……完成してませんでした……」

簪のその言葉に、ヒカルノの目がキランと輝く。

「なるほどなるほど。じゃあ君のISは彼と君の子どものようなものだね?」

「こっ、こどっ……!?」

簪は白い肌を赤くして、ボフンッ! と頭から湯気を出した。

「ち、ちちっ、違いますっ! 他にも、いろんな人が、手伝ってくれて……!!」

「ははは、それくらい大事だねって話さ。慌てちゃって可愛いねぇ」

「………………」

カラカラ笑うヒカルノを、簪はじっとりとした目で見た。

「じゃあお喋りも程々に、データ採取を始めようか。二人ともIS展開してちょうだいな」

「あ、はい」

「わかりました……」

一夏と簪はIS《白式》、《打鉄弐式》をそれぞれ展開する。

「うんうん。いい機体だ」

ヒカルノの背後からメカアームが六本伸びて、二人のISの装甲に触れる。

「あ、君達は降りてていーよ」

空中投影ディスプレイに表示されるデータから目を離さずにヒカルノは二人に声をかける。

「降りててって……そんなに時間かかるんですか?」

「そだねー、この分だと二時間くらいかな?」

「二時間!?」

「別にそこでじっとしててくれてもいーけどさ。せっかくなら裏の川で釣りでもしてきたら? 結構釣れるよ?」

「釣りですか! いいですね。あ……」

一夏は目だけ動かして簪の様子をうかがった。

「ど、どうする?」

「え……私は…………」

簪はしばし沈黙。

「………うん。行く」

そして首を縦に振った。

「決まりだ! 行こうぜ!」

一夏が白式から降りた後、簪も後に続く。

「オーケーオーケー。はい釣竿」

ヒカルノはどこからともなく釣竿を取り出した。リールもなければルアーもない。ただ竹の棒に釣り糸と釣り針が付いているだけ。

「餌は現地調達で頼むよ」

「じ、じゃあ行ってきます」

「いってらー」

ヒカルノは一夏と簪を見ることなく送り出した。

「…………………」

二人が退室したのを確認して、ヒカルノは表情にわずかに影を差した。それでも、操作する手は休むことがない。

「ヒカルノー」

カグヤが部屋に入ってきた。一夏の渡したドーナツは食べ終わったようで、口元にチョコレートソースが付いている。

「カグヤ………少しは感傷に浸らせてくれたってバチは当たらないと思うんだけど」

「それに付き合ってあげるんだってば」

カグヤは苦笑を交えてヒカルノの隣に立った。

「これが白式……」

「ああ。私が会いたかった━━━━《白騎士》だ」

ヒカルノは白式を、敢えて前身である、世界に最初に現れたIS、《白騎士》の名で呼んだ。

「あと少しだね」

「そうだね。ふふん、ゾクゾクするよ。目の前に、全てをかけて追い求めてきたものがあるんだからさ……!」

ヒカルノの吊り目は、爛々と輝き、白い装甲を写していた。

 

 

学園を出発してしばらく。俺たちはどこかの港に到着いた。

「はぁ〜……」

トレーラーから降りた俺は海に向かって深い息を吐いた。

(息苦しかったわぁ……)

仕方ないとは思ったけど、車内は結構ピリピリしてたし、かなりの心労が溜まっちまった。

(スコール達はともかく、エリナさんもイーリスさんも楯無さんも全然話さないから……)

イーリスさんはエリナさんの横でストレッチをしている。いつでも動けるようにってことだろうか。いかにも軍人らしい。

スコール達は運転席の近くで何やら話し込んでいる。

楯無さんだけが出て来ていないでいた。俺はそれが気がかりでならない。

「………ん?」

あ、イーリスさんと目があった。

「おい桐野瑛斗、そこにいると危ねぇぞ?」

「え?」

ヒュルルルル……

ふと、何か、風を切るような音が聞こえた。上からだ。

見上げれば、青空の中に黒い点が。それは、次第に大きくなって━━━━

「瑛斗っ!」

「おわぁっ!?」

ドッゴーン!!

俺が居た場所に、直方体の物体が降ってきた。しかもそれなりの大きさと質量を持っているようで、コンクリートの地面が若干割れている。

「な、なんだあ!?」

思わず叫んでしまった。

「え、瑛斗、大丈夫!?」

俺の身体の上には、エリナさんがいる。助けてくれたのはエリナさんのようだ。

「エリナさんが助けてくれなかったら、死んでました。いやマジで……」

「よしよし、時間通りだな」

 

イーリスさんは俺達を意に介さず、落下してきた物体をポンポンと叩く。

「ちょ……ちょっとイーリ! これ貴女の!?」

「ちげーよ。こいつはお前んだ」

「え?」

イーリスさんが物体の側面のボタンを押すと、排気音と一緒に物体はISハンガーに早変わりした。

「これは……ファング・クエイク?」

無人展開された《ファング・クエイク》がまるで乗り手を待っているかのように佇んでいた。そのカラーリングは、紫紺(ヴァイオレット)

「エリナ用のファングだ。つっても、ファングの開発請け負ってる研究機関に別のファングを紫に塗装させただけだけどな」

「これを……私の為に?」

「だから準備してたっつったじゃねぇか。アタシのデータを基礎に運用実験中だったらしいが、無いよかマシだろ?」

「イーリ……!」

 

感激したようにエリナさんは瞳を潤ませる。

「ヘッ……。ほら、早くISスーツに着替えて最適化(パーソナライズ)終わらせろ」

イーリスさんに頷いて、エリナさんはハンガーにかけられていたISスーツを持ってトレーラーの中へ戻って行った。

「しっかし、よくこんなのすぐに用意出来ましたね? どうやってここまで?」

立ち上がった俺はファングを観察しながらイーリスさんに問いかけた。

「あ? あー、そりゃお前、ナタルにこいつを持って追いかけさせたからな」

「ナタル……?」

「ナターシャだよ。ナターシャ・ファイルス」

「え!?」

言われて空を見上げる。一筋の光が飛び去って行った。もしかして今のがそうなのか?

「昨日の夜のうちから整備班に色塗らせて、そんでもってナタルにゃ時間になったら私のいる場所に落っことせって言っておいたんだ」

「行っちゃいましたけど、ナターシャさんは増援じゃないんですか?」

「ノーノー。ナタルは詳しいことは知らないからな。お前の知り合い一行のことを一から教えんのも面倒だし」

「それじゃあ、整備班の人達はともかく、ナターシャさんが使いっ走りじゃ……」

「人聞きが悪いな。ちゃんと報酬は用意してある。今度酒を奢ってやるんだ」

「さ、さいですか」

俺の周りの大人達はお酒大好きだな、ホント。

なんて話をしてたらISスーツに着替えたエリナさんがトレーラーから降りて来た。

「い、イーリ………」

なぜかエリナさんは前かがみ。

「エリナさん? どうかしましたか?」

「え、ええっと……」

なぜか気まずそうに瞳を揺らしている。

「どうした? はっきり言いやがれ」

言葉を選ぶように口ごもっていたエリナさんは、ようやく言葉を発した。

「ちょっと……胸のあたりがき、キツくて……」

エリナさんが姿勢を正す。イーリスさんに貸してもらったISスーツはどうやらイーリスさんが使っているものと同じなようだ。

イーリスさんは前のファスナーをヘソの下あたりで止めたけど、エリナさんはちゃんと上まで閉めている。そのせいもあるのか、なんだか息苦しそうだ。

「んだよ。そんなことか。苦しいんなら開けりゃいいじゃねーか」

「で、でも……」

「お前が使ってたスーツは置いてきちまったんだろ? 嫌なら下着でやんな。もしくはすっ裸」

「すっ……!? わ……わかったわよ!」

エリナさんはファスナーをジィ……と胸の辺りまでゆっくり下げた。押さえ込まれてたエリナさんの胸が少しだけ覗いて見える。

「ヒュー♫ なかなかエロいな」

口笛を吹いてエリナさんを下から舐めるようにしげしげと見つめるイーリスさん。楽しそうだなこの人……。

「なっ? お前もそう思うだろ?」

「えっ!?」

話を振られた!?

「ほらほら。お前も年頃ボーイだろ。率直な感想言ってやれ」

「えええ……!」

ど、どうしよう……! 何言ってもヤバい気がする。

「え、瑛斗……?」

ああ! エリナさん! そんな目で見ないでくださいよ!? 余計に言いにくくなっちゃうでしょ!?

「さっさと言えって。すっげーエロいですって」

イーリスさんがニヤニヤしながら俺に耳打ち。ますます困った。

「え……あ………あの……」

「あー、ゴホンゴホン。取り込み中で悪いんじゃがの。準備を早いとこしてくれんか?」

いつの間にか繋ぎに着替えてエリナさんの後ろに立っていたチヨリちゃんが咳払いをした。

 

というかチヨリちゃんだけじゃなくスコールとオータム、引っ張り出されたのか楯無さんもいた。

た、助かった………! これに乗っからない手は無い!

「そ、そうですよエリナさん! 準備! 準備しましょう!」

エリナさんに必死に訴える。

「そ、そうね! うん、そうしましょう!」

エリナさんもいそいそとファングに手足を通してくれた。

「ちぇっ、つまんねーの」

イーリスさんだけが、残念そうにつぶやいた。

「では、エリナ嬢のISの最適化を待つ時間を利用して、これからの行動について説明するぞ」

チヨリちゃんが真剣な表情になったのを見て、俺も気を引き締めた。そだ。俺達は遊びに来たわけじゃないんだ。

「三人一組で動いてもらう。エリナ嬢とアメリカ国家代表、それと瑛斗。お前達には人質になっとる……えーと?」

「エリスさん」

「そうじゃそうじゃ。エリス嬢の捜索を頼む。それとエミーリヤの相手はスコールとオータム、それから楯無の嬢ちゃんの三人じゃ」

「………どうして私がこの二人と?」

「聞いておるぞ。アクア・ナノマシンが通用せんかったんじゃろ?」

「……………」

「その時点でお前の力はほぼ半減じゃ。ならばそれを補う者が必要じゃろうて。安心せい。二人の強さはワシが保証する」

楯無さんは押し黙った。悔しいけど認めざるを得ない、そんな気持ちなんだろう。

「それから、これじゃ」

チヨリちゃんは楯無さんに何か白いスタンガンのようなものを渡した。

「チヨリちゃん、何だそれ?」

剥離剤(リムーバー)じゃよ。これでISに誤作動を起こさせて操縦者から引き剥がすことが出来る。どこぞの企業が極秘裏に作っとったモンにワシが手を加えた。性能は申し分ないぞ」

「それって………あ! 確か去年の学園祭で……」

「ケッ! ヤなこと思い出させやがる」

見れば、オータムは苦虫を噛み潰したみたいな渋面を広げていた。

「操縦者からISを引き剥がす……そんな道具が………」

「アタシらが知らねえことはまだまだあるってこったな。エリー?」

純粋に驚いているエリナさんとは反対にイーリスさんはけろりとしている。

「楯無や。お前さんの目的はエミーリヤが盗んだISの奪取じゃ。それを忘れてはおらんな?」

「……もちろん、です」

「ならばよい。これはお前さんに渡す。使い方はスタンガンと変わらんから、接近して使うんじゃぞ?」

チヨリちゃんから受け取った剥離剤を、楯無さんは複雑そうな顔で見つめる。

(大丈夫なのか? 楯無さんは……)

少し心配だ。

「お? どうやらそっちの最適化終わるようじゃな?」

言うやいなや、エリナさんの纏っていたファングは一度光ると、よりイーリスさんの使うファングと似たシルエットになった。

「意外と早いのじゃな?」

「まあ初期化(フィッティング)の段階はアタシのデータ入れてすっ飛ばしてるしな。バイタルデータも私とエリーならどっこいどっこいってところだろうからよ」

「助かるわ。本当にありがとう、イーリ」

「いいってことよ。待機状態にしとけよ? エネルギーがもったいねえ」

イーリスさんに言われてエリナさんはファングを待機状態にして地面に自分の足で立つ。

「………あら? そのIS、待機状態はどこにあるのかしら?」

「ああ、多分━━━━」

スコールが問うと、イーリスさんがエリナさんの腹、と言うかヘソを指差した。

「イカしたヘソピになってんじゃねぇか?」

「ヘソピ……? あっ!?」

下腹部をさすったエリナさんは顔を赤くした。

「い、イーリス………!!」

「ハハッ、仕方ねえだろ。そういう仕様なんだから」

 

「さて、エリナ嬢の準備も済んだようじゃし、そろそろ出発じゃ」

「出発って、船使うんじゃないのか? 港に来たんだし」

「んなわけあるか。ワシが造ったトレーラーは凄いんじゃぞ? 何と海も渡れるんじゃ」

「マジで!?」

「論より証拠じゃ。まぁ乗れ乗れ」

半信半疑でトレーラーのコンテナに全員乗る。

「ようし! 発進!」

運転するオータムに助手席のチヨリちゃんが指示を飛ばす。

トレーラーは速度を上げながら海へと突っ込む。

ザッパァァァァァン!!

車体が着水。

 

何度か揺れると安定して海に浮かんだ。トレーラーは船になったんだ。

「す、すげー……」

「どうじゃ! ワシが造った水陸両用トレーラーは! 暇しとる年寄りの行動力を舐めるでないぞ!」

一人でめちゃくちゃテンション上げてるチヨリちゃん。

「このまま自動操縦で島にまっしぐらじゃ!」

「なあなあチヨリちゃん」

実はコンテナと運転席は繋がっている。俺は身を乗り出してチヨリちゃんに声をかけた。

「島ってどれくらいで着くんだ? 俺が島に行った時、結構かかったんだけど。日単位で」

「お前の時はもろもろ用意せにゃならんかったからの。その時間稼ぎで遠回りをしてもらったんじゃ。本来ならば半日とかからずに行けるわい」

「そうなのか? 俺も何か変だとは思ったけどさ………」

「過ぎたことをそうくよくよ言うでない」

それからしばらくすると、トレーラーは止まった。

「さて、これでの移動はここまでじゃ。ここからは各々ISを展開して島に乗り込め」

「チヨリちゃんはどうすんだ?」

「ワシはトレーラーで島に上がる。少しやらねばならんことがあるのでな」

「ガキ、お前も用意しとけよ」

運転席を離れたオータムに言われて、数歩下がる。

コンテナの天井が開いて、九月の、まだギラつく日差しが入ってきた。

「来い……《G-soul》!」

G-soulを展開して、海上に上がる。他のみんなも続いて出て来た。

『ここからなら、もう島が見えるじゃろ?』

オープンチャンネル。チヨリちゃんの言う通り、神掌島は視界に入れることが出来た。

「あ……」

チヨリちゃんが居を構えていた山が見えた。山の中腹に、大きな穴が空いている。

「ひどい……」

思わず心の内が溢れてしまった。

『見ていて気持ちのいいもんじゃないわの』

「あそこにエリスさんが……」

「エリス……無事でいて……!」

「おい元亡国機業! 期待してんぜ?」

「オータム。私達、国家代表から激励もらっちゃったわよ?」

「みたいだな。あの女たぁ気が合いそうだ」

「……………………」

楯無さんは無言だ。だけど、話しかけることが出来ないくらいの気迫を感じる。

「島での行動は、各々伝えた通りにの。では……総員出撃じゃっ!!」

 

砂埃が空に舞う。

かつては人の往来もあった神掌島の港町は、今や静寂に包まれた廃墟と化していた。

「そろそろ来る頃かしらぁ?」

波を寄せては返す海を見つめるエミーリヤ・アバルキン。IS冷酷な霧の女王(ジェストコスチ・トゥマン・プリンツェサ)を展開し、臨戦態勢である。

「………あらぁ?」

ハイパーセンサーに反応があった。

「エミーリヤッ!!」

自らが憎む相手の声が聞こえ、反射的に口角が上がる。

「来たわねぇ? 待ってたわよぉ? 更識楯無ぃ?」

目の前に降り立った楯無の姿。エミーリヤの中で殺意と歓喜が入り混じる。

「元気そうじゃない。でもぉ、今回は一人じゃ無いのねぇ?」

楯無から視線を少し上に上げる。オータムとスコールがISを展開して浮遊していた。

「私くらい、一人で倒せるんじゃなかったかしらぁ? うふふふ……」

ねとついた視線に乗せて、嘲るような笑みが楯無に投げられた。

「まぁいいわぁ。それはそうとぉ………あなた達だけぇ? エリナはどうしたのかしらぁ? 桐野瑛斗もいないようだけどぉ?」

「あいつらなら、お前が拉致ったらエリスとかいうやつを探しに行ったぜ?」

「瑛斗も彼女も、貴女に構ってる暇は無いそうよ」

スコールとオータムが地表に降りて、楯無の代わりに答えた。

「……私は更識楯無と話していたのだけど?」

「おっと、そいつは悪かったな」

「けど、私達のことも見てもらわないと困るわね?」

オータムは背中のウェポンアームを、スコールは長く伸びたテールユニットを蠢かす。

「ここのオーナーがあなたのしたことにかなりご立腹なの。手加減はしないわよ?」

「ククッ、久し振りに暴れられるぜ………!」

二人の周囲の空気が変わる。

「一対三ねぇ。うふ……うふふ…………あはははははっ!!」

突然、エミーリヤの笑い声が爆ぜた。

唐突な大笑に、オータムは訝しむ。

「あんだぁ? 敵わねぇと分かって観念したか?」

「あははは! はは! はぁ……。お客様はちゃんともてなさないとねぇ?」

「……っ! オータム! 下がりなさい!」

スコールが叫ぶのと、エミーリヤの後方から無数の弾が飛来するのが同時だった。

「プロミネンス・コートッ!!」

スコールのIS《ゴールデン・ドーン》から熱線が格子状に飛び、反射的に一点に集中したオータム達を弾から守る。

「これは………水!?」

熱線に触れた弾は蒸散していくのを見て、楯無は瞬時に理解した。

「そうよぉ。これは私のISのアクア・ナノマシンの弾丸。当たると痛いわよぉ?」

「で、でも……これだけの弾幕を一人で!?」

「うふふふふ、不思議かしらぁ? それじゃあ、種明かしよぉ」

エミーリヤが指を鳴らすと、弾幕は止んだ。その直後、至る所から人影が生えてきた。

瓦礫を押しのけて出て来たのは、()()()()()

「こいつは……!」

『うふふ……アクア・ナノマシンで作った分身よぉ?』

エミーリヤの声が何重にも重なって聞こえる。

『更識楯無ぃ? 貴女のアクア・ナノマシンのデータのおかげでこんなことも出来るようになったわよぉ?』

瓦礫の中からなおも湧き続けるエミーリヤの分身。その分身全てがISを展開し、薄ら笑いを浮かべている。

『今度こそその身体、バラバラに引き裂いてあげるわぁぁぁぁ!!』

数多のエミーリヤが、楯無達に殺到した。

「来るっ……!」

楯無はランス《蒼流旋》を構える。

「くっ……!?」

しかし、脚が動かない。心が、身体が、押し寄せる敵意に怯えていた。

「………………」

「………………」

スコールとオータムは特に応戦する構えらしい構えを取ってはいなかった。

「あなた達!? 何してるの!?」

楯無の叫びも、二人は意に介さない。

「………スコール、分身だってよ」

「ええ。それもかなりの数。驚いたわ」

「ああ。驚いた」

「でもね………」

「けどよ………」

「「それが?」」

ガガガガガガガガガッ!! ゴォォォォォッ!!

オータムの射撃(ブラスト)モードのウェポンアームから発射されたエネルギー弾と、スコールの放った火球がエミーリヤの分身の群れを薙ぎ払った。

「たかが水で作った人形。私達の敵じゃないわ」

「てめえで挑んでこないようじゃ、たかが知れてるな」

今の一瞬で押し寄せた分身達を、ノーモーションの攻撃で押し返したのだ。

「………すごい……」

楯無のつぶやきに、オータムがギロ、と鋭い目を向ける。

「おいコラ生徒会長! いつまでボサッとしてやがる!!」

「え……」

「彼女はあなたを狙ってるわ。注意しなさい。向こうが殺す気で来るなら、こっちも殺す気でいかないと……本当に死ぬわよ?」

スコールもこちらを振り向かないが、その声音はどこか優しかった。竦む楯無をスコールなりに奮い立たせたのだ。

「あ、あなたたちに言われなくても!!」

楯無は怒鳴り、手近にいたエミーリヤの姿をランスに内蔵された四連ガトリングで撃ち抜いた。撃ち抜かれた分身が水飛沫を飛ばす。

「エミーリヤ! あなたは私が倒すわ!」

 

 

楯無達がエミーリヤと戦っている同時刻、瑛斗、エリナ、イーリスの三人は島の反対側からチヨリの住居兼研究室の山の内部に入り込んでいた。

「なるほど。確かにあのチビっ子の言った通り、地下基地になってやがるな」

イーリスが、周囲を警戒しながら先頭を進む。通路は一本道で、明かりは無く、仄暗い。

「かなり荒らされてる……。瑛斗、あなたが来た時もこんな風に?」

「いえ。前はもっとちゃんとしてました」

その後ろをエリナ、瑛斗の順で並んで歩く。

「……そろそろ楯無さん達はエミーリヤと……」

「大丈夫なのか? あのロシア代表。やけに気ぃ張ってたみてえだが?」

「……楯無さんは迷ってるんです」

「迷ってる?」

エリナが瑛斗の言葉を反復する。

「更識楯無じゃなかったら……あの人はそう言ってました。今の自分の在り方に、あの人は不安になってるんだ……」

「ふーん」

 

イーリスはさして興味無さげに相槌を打った。

「ふーんって……!? イーリスさん、楯無さんはかなり思い詰めてたんですよ!?」

「んなのこっちにどうしろってんだよ? 自分どうこうなんざ、自分で決めるもんだろうが」

「それは……! そうかも、しれませんけど………」

「『更識楯無』ってのは確か世襲制なんだろ? それなりの覚悟を持ってなきゃやってけねえはずだ。そもそも部外者のアタシらがとやかく言えるもんでもねえ」

「でもそんな状態で楯無さんはエミーリヤと……殺されかけた相手と戦ってるんです!」

「だから死なねえように、あのチビっ子はあの亡国機業二人を当てがったんだろ? お前、あの二人の実力知ってるんじゃねえのか?」

「…………………」

瑛斗は何か言いかけて、口を閉じた。イーリスはフッと笑う。

「それでも心配なら、とっととエリスを助けて、迷える子羊ちゃんのケツをひっ叩きに行こうぜ? なあ? エリー?」

「そうね。瑛斗、彼女達を信じましょう?」

「……はい」

「っと、行き止まりか」

イーリスが歩みを止めると、連鎖的に後ろのエリナと瑛斗も立ち止まる。

「あ、そこの壁、多分押すと回ります」

瑛斗が壁を指差す。

「隠し扉ってやつか? どら………」

イーリスに押された壁。瑛斗は回転するのを想像したが、予想に反して壁はビクともしなかった。

「………何も起きないぞ?」

「あれ? おかしいな……」

代わって瑛斗も壁を押したが、やはり結果は同じだった。

「どうするの? ここまで一本道だったわよ」

「戻って別の道探します?」

「あー………いや、任せろ。私にいい考えがある」

イーリスはそう言うと二人を数歩後ろに下げさせた。

「何するんです?」

「へへ、まぁ見てろ!」

イーリスは右腕を伸ばして、バズーカを呼び出した!

「え!? ちょっ━━━━!?」

発射(ファイア)ッ!!」

ドカーン!!

熱の塊が壁の前で爆発。もうもうと上がる煙の向こうで、壁に穴が開いた。

「………よしっ」

「よし、じゃないわよ!」

ゴンッ!

「だっ!?」

エリナがイーリスの頭をグーで殴った。

「ってーな! 何すんだ!」

「エリスがそこにいたらどうするの!?」

「いなかったんだからいーだろ!?」

「二人とも落ち着いて! 今はそんな言い争ってる場合じゃないですよ! 開いたんなら先に進みましょう!」

言い争う二人をなだめて瑛斗は穴の中へ入る。壁の向こうは照明に照らされていて、少し眩しい程である。

「………ん?」

瑛斗の展開するG-soulのつま先に何かが当たった。

「これ………戦闘義構(アサルト・マリオネット)の腕か!?」

拾い上げると、内部構造が剥き出しになった戦闘義構の腕だった。

「なんでこんなところにこんなものが………?」

「━━━━どうやら、当たりだったみたいだな」

「え?」

いつの間にか隣に立っていたイーリスが前方を指差す。

「エリス!」

檻の中で眠るエリスの姿があった。

「早く出してあげなくちゃ━━━━」

「構えろ! 桐野瑛斗!」

動き出そうとした瑛斗をイーリスの一喝が止める。

「い、イーリスさん?」

「どうやら、そう簡単にはお姫様は助けさせてもらえないようだぜ?」

イーリスは、エリスの囚われた牢の周囲にうず高く積まれたジャンクを見ながら両手にマシンガンを握った。

直後、ギギギギ………! と不快な金属音が鳴り響いた。

「あのジャンク………動いてる?」

エリナの言葉通り、ジャンクの山は震えていた。まるで、起動したかのように。

そして、瞬く間にジャンク達は変形し、重なり合い、繋がり合い、『ヒト』の形になった。

瑛斗達を阻むように、機械仕掛けの三体の屑鉄の巨人が、金属の擦れ合う音を響かせながら立ち塞がる。

「マジかよ……!」

「なんて大きさなの……!」

驚く瑛斗とエリナを尻目に、イーリスは一人目を獲物を見つけた獣のように輝かせていた。

「さしずめ、悪い魔女がこしらえた使い魔ってところか? いいね。手厚い歓迎じゃねえか。あのまま何事も無かったんじゃ、歯応えがねえ」

「言ってる場合ですか!?」

「………ごめんなさい瑛斗。彼女、昔からあぁなのよ」

「行くぜ野郎共! このジャンク野郎をぶっ壊せば、お姫様を助けてエンディングだ!」

 

 

「よっこら………せっと。ふぅ……なんとか、ここまでは順調じゃな」

瑛斗や楯無達とは完全に別行動を取ることになったチヨリは、チヨリしか知らない隠し通路から自身の研究室の中へ入っていた。

「ここのことはまだバレてはおらんようじゃし……となれば………」

その時だった。

『やあ、待っていたよ』

空間に若い男の声が響いた。

「お前か。ワシの家で好き勝手してくれたのは」

『留守に上がり込んだことは詫びさせてもらうよ。でもなかなか好条件な立地だったんでね』

「何者か……と聞くのは野暮か。あの女をけしかけた者、そうじゃな?」

『けしかけただなんて。俺はただ協力してあげただけだよ』

「協力者? 共犯者の間違いでは無いのか?」

『どちらに捉えてもらっても構わない。そんなこと、どうでもいいじゃないか』

「……それもそうじゃな」

チヨリはマイナスドライバーを両の袖口から取り出し、前方へ投げた。

ドライバーが暗闇に飲み込まれた数秒後、ガシャン! と、何かが崩れるような音を聞いたチヨリは歩を進めた。

「………何にしても、人の留守に好き勝手しておるのに変わりはない」

足元に転がるのは、かつて自分が造り上げた青い装甲の一つ目の戦闘義構。

「人のもののシステムを勝手に書き換えおって……!」

ロボットの胸部装甲に取り付けられている見覚えのない装置に突き刺さったドライバーを引き抜いて、繋ぎのポケットから出した数本の工具で瞬く間に装置をバラバラに解体した。

『やるね。初見の機械をこうもあっさり』

「どこから見とるか知らんが、年季が違うわ。若造が」

『くく………怖い怖い』

「目的は何じゃ? ここには目ぼしいものは残してはおらんつもりじゃったがな」

『そのようだ。正直肩透かしだったよ。でも君に動かれると何かと不都合でね。しばらく時間稼ぎをさせてもらうよ』

男の声の後に、通路の奥の闇の中からぞろぞろと重火器を携行した戦闘義構達が浮かび上がる。どの機体も、チヨリが造ったものだ。しかし、それぞれの装甲パターンはまちまちで、急造したような印象をチヨリは覚えた。

『君の相手は彼らに任せるよ。結構な数を用意したからね。楽しむといい』

「ふん、どこまでもなめくさりおって。………ほれ、起きんか」

チヨリが小さな踵で足元に倒れている戦闘義構を一度蹴った。すると、その一つ目(モノ・アイ)に光が灯る。

『へぇ? 再起動もかけてたんだ』

「言ったであろう。年季が違う、とな」

『それはそれは……。なら、お手並み拝見といこうか。おばあさん?』

声の直後、大小様々な口径の銃口がチヨリに向けられた。

「目ん玉ひん剥いて、よぉく見とれ………若造っ!!」

チヨリは指の間にドライバーやペンチを挟み込んで構え、一体の鋼鉄の従者を隣りに、突貫した。




いよいよ始まった神掌島決戦。
エリス救出と強奪されたISの奪還、それぞれの目的のために行動する瑛斗や楯無たちに楯無のISのナノマシン・アクアを吸収したエミーリヤと、屑鉄の巨人たちが立ち塞がります。
別行動をするチヨリにも、自分で作ったマシンが襲いかかってきてますね。
一夏も倉持技研へ赴きました。ヒカルノの計画がまた一歩進んだようです。
タイトルの通りですが、楯無はまともに戦えるのでしょうか……。
それでは次回もお楽しみにっ!


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