IS〈インフィニット・ストラトス〉〜G-soul〜   作:ドラーグEX

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霧うず巻く島 〜または許されない『もしも』〜

エリス救出にあたってエリナに幸いしたのは、エリナ自身の身体が大きな外傷を負っていなかったことだった。

腕に点滴を繋ぎ、内側に蓄積された疲労などのダメージを取り除くことで、エリナの体は順調に回復している。

「スワンさん、本当にいいんですか? ここの医療技術は確かに高いですが……」

メディカルチェックをする真耶が続く言葉を出す前に、エリナはつとめて明るい声で先手を打った。

「問題ありませんよ。エリスが危ないのに、おとなしく寝てるわけにもいきません」

「そうですか………」

「それより……あなたはどうしてここにいるの?」

棘のある言い方にスコールは苦い笑みを見せる。

「まだ寝てた時の方が可愛げがあってよかったわね」

「質問に答えて! セフィロトを盗んだこと、忘れてないわよ!」

「スワンさん、落ち着いてもらいたい。あなたは治療中だ」

窓の外に視線を投げていた千冬がエリナを諌めた。

「ブリュンヒルデ……」

「こちらとしても不本意だが、事情があってこいつらを抱え込んでいる」

「事情?」

「いい機会ね。貴女も知るといいわ。瑛斗のこと」

「瑛斗の……? どういうこと?」

「いいわ、教えてあげる」

(私が気がかりなのは、彼女の方なのだけどね)

そう思考したスコールは、訝しげな顔をするエリナが知らない、瑛斗の真実を語り始めた。

 

 

楯無さんに連れられてやって来たのはなぜか学園近くの臨海公園だった。

「すごいわね! 私達三人で貸し切り!」

移動中一言も喋らなかった楯無さんが歓声をあげる。俺にはどこかそれがわざとらしく聞こえた。

俺達の他に誰もいないこの空間。ここだけが世界から切り取られているみたいだ。

「楯無さん、あんまりはしゃいでると、また傷が開いちゃいますよ?」

「へーきへーき。もう何ともないんだから」

身を案じる一夏に、楯無さんは猫のように目を細めて笑う。

「……それで、俺達に何の用ですか?」

本題を聞くと、楯無さんは眉を下げた。

「助けたくれたお礼におねーさんとデート、ってのじゃあ……納得しないわよね?」

「あんな目をしていた人が、今更何言ってるんです」

「そう……よね。でも、お礼っていうのは本当かな。二人が来てくれなかったら私、殺されてたから……」

落下防止の手すりに体を預け、海の方を見たまま楯無さんはポツリポツリと喋り始めた。

「……実はね………簪ちゃんにはまだ会ってないの」

「会ってない? どうして?」

「簪と何かあったんですか?」

「ううん……。何だか……顔を合わせるのが怖くて……」

「怖い?」

「今の私には、簪ちゃんに笑って会える自信が無いの。……姉失格ね」

楯無さんの肩が自嘲するよう揺れる。

「簪ちゃんに辛い思いをさせて、君達に簪ちゃんのこと……本来私が自分でやらなくちゃいけないことを全部押し付けて……………」

波の音と、楯無さんの声しか聞こえない。俺と一夏は黙したまま、楯無さんに耳を傾けている。

「『楯無』を継いで、ひたすらその責務を果たしていたら、いつの間にか私のそばから簪ちゃんがいなくなってて、それなのに敵ばかりが増えていった」

楯無さんの言った『敵』という言葉に、エミーリヤが思い浮かんだ。

「君達に協力してもらうまで、簪ちゃんと最後に話したのはいつだか覚えてもなかったわ。簪ちゃんが私を避けてたのもわかってた。でも、私は自分から簪ちゃんに歩み寄ろうとしなかったの。できなかったの。簪ちゃんが私に作った壁に、私はどこか甘んじていたの………」

 

楯無さんの声が、心なしか震え始めている気がした。

「時々考えたわ。私が『更識楯無』じゃなかったら、どうなってたんだろう、って……」

今、目の前にいる楯無さんからは、いつものような堂々とした雰囲気を感じられない。

もしかしたら、これがこの人の本当の姿をなのかもしれない。

「IS学園にも入学しないで、国家代表になんてならないで、普通の……ただ普通の女の子だったら……。そうしたら、簪ちゃんともっと姉妹らしいことが出来てたんじゃないかって……」

「楯無さんは、『更識楯無』になったことを後悔してるんですか?」

「……わからないわ。だって、後悔も何も、そうなって然るべきだって思ってたから。━━━━自己が無いって、こういうことなのかしらね」

楯無さんの頭の動きで、視線を上に上げたのを理解した。

「ねえ、二人とも。私……」

楯無さんは身体ごと俺達に振り返った。

 

「━━━━『更識楯無』をやめる」

 

「えっ……」

「なっ……」

あまりに唐突なことに、言葉を失う。しかし、楯無さんはさらに続けた。

「……って言ったら、どうする?」

「ど、どうするって…そんな……」

困り果てた一夏が俺を見てくる。正直俺も困ってる。が、何も答えないってわけにもいかないだろう。

「俺は……あなたの意見を尊重しますよ。それは俺や一夏がどうのこうの言える問題じゃない」

「そう………一夏くんは?」

「お、俺も、瑛斗と同じです」

「そっか……」

「それを俺達に聞きたくて、ここに連れて来たんですか?」

「そうじゃないって言うと嘘になるね。でも、君達と話をしたかったから……」

しかし、そう言ってから楯無さんは首を横に振った。

「ううん。違うわね。誰でもよかったんだわ。君達がたまたまいたから、君達を選んだだけ……」

楯無さんは、拳をきゅっと握り締めて、俺と一夏を見つめた。

「……ごめんなさい。面倒だったわよね。もう、帰っていいわよ」

「楯無さんはどうするんです?」

「少し……一人にさせて? ちゃんと、帰るから」

掠れるような小さな声のあと、楯無さんは俺達から逃げるように足早に歩き出す。

「楯無さんっ!」

呼んでも立ち止まらない楯無さんの背に、俺は声を投げた。

「あなたが何を言われたかは知りません! でもこれだけは覚えていてください! あなたには敵が多いかもしれない! それでも! 俺達はあなたの味方だっ!!」

後半叫びに変わっていた俺の声は、さざ波の音の中に溶けて消えた。

「楯無さん……」

みるみる小さくなっていく背中。

「ど、どうするんだ瑛斗……」

うろたえる一夏。

「……一人にしてやろう」

でも、俺はどこか冷静だった。

「いいのか?」

「一人になりたい時って、あるもんさ。気が済んで帰ってくるなら、それでいい」

「もし……帰ってこなかったら?」

「草の根をかき分けてでも探すだけだ」

「瑛斗……お前………」

ああ、そうか。

 

俺は楯無さんにあの時の俺を重ねていたんだ。

(俺みたいに、バカな人じゃないと思うけど………)

俺は一夏を連れて、IS学園へと戻った。

 

夜。消灯までまだ時間のある、生徒達の自由な時間。

時折ドア越しに楽しそうな会話の声を聞こえてくる寮の廊下を、簪はどこか緊張した様子で歩いていた。

「………………」

そしてとある一室の前で立ち止まり、一度深呼吸をしてからドアをノックした。

「はーい……あ! 簪! いらっしゃい!」

出迎えたのはシャルロット。

「来たようだな。待っていたぞ」

部屋の奥からルームメイトのラウラも顔を出す。

「こ、こんばんは……」

「準備出来てるよ。入って入って」

「う、うん……」

部屋の中に入ると、ふわり、と品の良い香りが鼻をくすぐった。

「わあ……!」

可愛らしい小さなテーブルの上には、ティーカップとお菓子が並べられている。

「美味しいって評判のお店のお菓子なんだよ! ラウラがつまみ食いしちゃいそうで大変だったんだ」

「私は毒味をしようとしただけだ」

「もー、その必要はないんだってば」

簪はシャルロットに昼のうちから、お茶会をやるからと誘われていたのだ。楯無の身を案じてやまない簪を元気づける為の、シャルロットの粋な計らいである。

「し、シャルロット………ラウラ……呼んでくれて、ありがとう……」

「ううん、気にしなくていいんだよ? 簪が元気になってくれたらいいなって思って」

「シャルロットシャルロット、早く食べよう」

「ラウラ……まぁ、いっか。簪ちゃんも座って座って」

「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて……」

それから、三人は紅茶やお菓子を食べながら、他愛のない話をした。

……

 

…………

 

………………

 

……………………

 

「美味しかった〜! 並んで買った甲斐があったよぉ〜!」

「シャルロットの買う菓子に外れはないな」

シャルロットは、幸せそうに笑みを浮かべ、ラウラもうんうんと頷く。

「どうだった簪。簪の口にあったかな?」

「うん……ごちそうさま。とっても美味しかった」

簪はそう言うと注がれた紅茶に映る自分の顔を見ながらポツリとつぶやいた。

「お姉ちゃんにも、食べさせてあげたいな……」

「そう言えば、楯無さんには会えたのか?」

ラウラの問いに簪は無言で首を横に振る。

「そうか………」

「山田先生には、お昼過ぎにはもうお姉ちゃんは回復したって聞いたけど……会えてない……」

少し重くなる空気。

「……よし。腹も満たしたところで、これより緊急会議を始める」

と、ラウラがおもむろに立ち上がった。

「き、緊急会議……?」

「ラウラ、いきなりどうしたの?」

鼻白むシャルロットにラウラは意外そうに丸めた赤い瞳を向けた。

「む、なんだシャルロット、お前はこの緊急会議のためにこの場を設けたのではないのか?」

「違うよ!?」

「ふむ、まぁいい。この問題は元は私が一人で解決しようと思っていたのだが、お前達にも関係していることだ。協力してほしい」

「協……力……?」

「まずはこれを見てくれ」

ラウラが提示したのは数枚の写真。

「これ………瑛斗?」

簪の言う通り、写真には全て瑛斗が写っている。

真正面から撮られているものが無く、どことなく……いやかなり盗撮じみているが、シャルロットと簪はあえてスルーした。

「新聞部の者から押収……もとい買い取った。この写真はただ瑛斗が写っている、というだけではない」

「どういうこと?」

「もう一度よく見てみろ」

シャルロットと簪は互いに顔を見合わせてから、再び写真を見る。

「………あ」

簪が声を上げた。

「何かわかったの?」

「この写真の瑛斗、スコール先生とか、巻紙先生と一緒に写ってる」

「え……あ、ホントだ」

確かに写真には瑛斗の他にスコールやオータムが写っている。

さらによくよく見れば、何か話をしているかのようだ。

「こいつらが来てからというもの、瑛斗はこいつらとつるんでいることが多い」

「た、確かに瑛斗から先生達に行ってる時もあるけど、それって大体が先生達に注意してたりじゃないかな?」

「甘いぞシャルロット。聞いた話では、瑛斗がこいつらと共に学園から出ていった姿を見た生徒もいるらしいのだ」

「えっ………」

「そして本題なのだが……その問題というのは……」

一度目を伏せたラウラはカッと目を開いた。

「瑛斗の好みが歳上かもしれないということだ……!!」

どーん!

 

「とし……!?」

「うえ……!?」

シャルロットと簪は電撃を浴びたかのように硬直した。

「……ま、まさかあ。ラウラ考え過ぎだよ。確かにエリナさんやエリスさんもいるけど、あれはもっと、こう………」

「そ……そうだよ。考え過ぎ……」

「私もそう考えたいのだが、この写真を見るとそうなのではないかと勘ぐってしまうのだ」

ラウラはまた別の写真を取り出した。

若干物怖じしながらも、先ほどと同様に写真を見やる。

夕日に照らされる廊下を歩くにこやかな瑛斗の横を歩いているのは、シャルロット達も見知った顔だった。

「これ、フォルテ先輩……!?」

その見知った顔の正体はフォルテであった。

「これもなかなかの破壊力を持っているが……最も衝撃を受けたのは……これだ」

ラウラが二人に見せた写真は、なんとフォルテが瑛斗に抱きついている瞬間を収めたものだった。

「な、何これ!?」

「先輩……嬉しそう……!」

「新聞部の者も、詳しい状況まではわからなかったそうだ」

フォルテは笑顔を咲かせ、瑛斗も笑っている。良い写真であることに間違いはないのだが、そんなこと気にしてる場合じゃない。

「うぅ〜………どうしよう、もしかしたらって思い始めちゃうよ」

「であろう? そこでなのだが、二人の知恵を貸してほしい」

「僕達の?」

「うむ。歳上好きの可能性が浮上した瑛斗の気をどうやってひくか、皆で考えようではないか」

不敵に、そしてどこか楽しそうに笑ったラウラ。

(━━━━あ)

 

ふとシャルロットは思い至った。

(もしかして、ラウラもラウラなりに簪のことを………なら!)

「そうだね! 簪、僕たちも一緒に考えよ!」

「えっ、う……うんっ!」

シャルロットに言われるまま、簪も首肯する。

「では、まずは………」

少女達の夜は、更けていく。

 

「ん……?」

 

目をさますと、見知らぬ部屋。

 

「ここ……どこっすか………?」

 

囚われの身となっているエリスは、重たい瞼を半分ほど開いた。

「自分………確か………」

頭をもたげると、チャリ……とかすかな金属音が耳のそばで響く。

「なんすか……?」

「お目覚め?」

音の正体を確認する前に、声が聞こえた。

「せん………ぱい……?」

ぼやける視界に、人のシルエットが映る。

「残念だけど、人違いね」

「え━━━━」

プシュッ

腕に、何か注射針の様なものが射し込まれ、何かが流し込まれる感覚。

「あ………ぅ……」

直後、エリスは深い眠りへと沈んだ。

「…………………」

寝息を立て始めたエリスを無表情に見下ろすエミーリヤ。エリスの腕には小型の装置が巻きつけられている。そこから睡眠薬が一定のペースでエリスに投与されているのだ。

ここは神掌島。

かつて瑛斗が訪れたこの島を、エミーリヤは隠れ家として占拠していた。

 

否、占拠していたのではない。エミーリヤが来た時には、この島は()()()()()()()()()()

「こんな場所を用意しているなんて、あなたにできないことってあるの?」

『あるさ。それなりにね』

エミーリヤに返事を返した男の声。その声はこの空間全体から聞こえてくる。

『こちらとしては、協力関係の人間には手厚い援助をしているつもりさ』

「手厚い援助……ねぇ?」

エミーリヤの後ろには、無残に破壊された機械の残骸がうず高く積まれていた。

そのジャンク達は、人の形をしていたらしく、手と思われるパーツには武器が握られている。

「気になってたんだけど、これ何なの?」

『この場を用意する時に少々手間取ってね。そこらに転がってる戦闘義構(アサルト・マリオネット)は無視してくれ』

「ふぅん……」

『それはそうと……しくじったねぇ〜』

声はどこか笑っている。

「何よ。まだチャンスは幾らでもあるわ。更識楯無にもかなりのダメージは与えたし。唯一、予想外だったのは━━━━」

『桐野瑛斗………かい?』

「織斑一夏もねぇ。どういう手品でエリナを倒したかわからないけど、退かざるを得なかったわぁ」

『まあまあ、狩りの獲物は弱らせてからって相場が決まってるじゃないか。それに、獲物は向こうから来てくれるようだし』

「どういうこと?」

『どうやらこの場所のことが嗅ぎつけられたらしい。明日にでも更識楯無は君を倒すため、そして桐野瑛斗は人質を助けるため、ここに来るだろうね』

「ふふふ……むしろ好都合ねぇ。まとめて殺してあげるわぁ」

『頼もしいね。でも、用心しなよ。どうやら他にも来るようだ。君のお友達とかね』

「お友達? まさかエリナ?」

『ご明察。他にも何人か来るかもね』

「何人来ても変わらないわ。私にはその対策もあるんだから……あ」

『どうかしたかい?』

「…………いいこと思いついちゃったぁ……! ふふ…ふふふ………!!」

狂気を宿らせたエミーリヤの瞳は、眠っているエリスに向けられていた。

 

 

出発の朝が来た。

まだ九月ということもあって、朝でもある程度暑い。

「まさか本当に立てるようになるなんて……」

校門の前に来た俺は隣にいるエリナさんに純粋に驚いていた。

「もちろんよ。一緒にエリスを助けましょ?」

「ったく……おとなしく寝てりゃいいのによ」

イーリスさんがあくびを噛み殺しながらぼやく。どこから持ってきたのか、その出で立ちは軍人そのものだ。

「あなた達だけに瑛斗を任せられないもの。それとも私のこと信じてなかったの?」

「どーだかな。ヘヘッ」

「それで、イーリの方は準備終わったの?」

「あ、そうですよ。エリナさんにはISが………」

「心配すんな。ちゃんと来る」

イーリスさんは簡単に答えた。『来る』ってどういうことだ?

「お、どうやらバスが来たみたいだぜ?」

「バス?」

エリナさんと一緒にイーリスさんが示した方向を見る。

わずかな駆動音を携えて走る、大型のコンテナとトラックが合体したようなマシンが俺達の前で止まった。

「驚いた。本当に来るのね」

コンテナ側面がスライドして、中からスコールが出てくる。

「ええ。戦闘時の頭数に入れてくれて構わないわ」

「スコール、これは?」

「チヨリ様が用意してくれたトレーラーよ」

「そうじゃ。ワシがこしらえたんじゃ」

チヨリちゃんがスコールの後ろからひょっこり顔を出した。

「チヨリちゃん!」

「誰だ? このチビっこいの」

イーリスさんとエリナさんがきょとんとしている。そういや二人は知らないっけ。

「お初にお目にかかるな。アメリカの国家代表と瑛斗の世話人よ」

「せ、世話人?」

「チヨリちゃんも一緒に来るのか?」

「当たり前じゃろうが。自分の住まいを好き勝手されたんじゃからの」

「おいババァ! さっさと乗せろ! 時間無いんだろ!?」

運転席からオータムの怒鳴り声が聞こえてくる。どうやら運転手はアイツのようだ。

「わかっとるわい! ほれほれ乗れのれ!」

チヨリちゃんに追い立てられるようにコンテナの中にエリナさん達と入る。

中は意外に広くて、普通に立つとこが出来た。壁の周りには機械類がびっしり張り付いている。

「これで全員かの?」

「………ん? おい桐野瑛斗、更識楯無はどうした?」

視線が俺に集中する。俺の脳裏に昨日の楯無さんの後ろ姿がちらつく。

「楯無さんは………」

多分来ない。そう言おうとした時━━━━

「遅れてごめんなさいっ!」

息を切らした楯無さんがコンテナに飛び乗ってきた。

「楯無さん!?」

「レイディの装甲に予備があって助かったわ。もう大丈夫よ」

「やれるのね?」

スコールが楯無さんを射抜くような目で見る。昨日の今日だからスコールが気にするのも当然か。

「借りたモノは返さないと。いつまでも落ち込んでなんていられないわ」

「……わかったわ。オータム、出して」

「おう!」

スコールの合図でアクセルが踏まれ、車体が僅かに揺れる。

(エリスさん………必ず助ける! 待っていてくれ!)

俺は、硬く拳を握りしめた。




次回は神掌島にカチ込みです。
そして一夏は倉持技研へ。
次回もお楽しみにっ!

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