IS〈インフィニット・ストラトス〉〜G-soul〜 作:ドラーグEX
俺と千冬姉は、無事に箒達と合流した。
マドカとの勝負で負傷した千冬姉はラウラを連れて別の部屋に行った。そこで治療しするらしい。シャルロットと簪も、千冬姉に話があるとかでついて行った。
残された俺は今、箒と一緒に、二つ並んだベッドの上で眠るマドカと鈴が目を覚ますのを待っている。
「それにしても、よく見つけられたな、使えるベッド」
「ラウラがここに来た時に偶然見つけてくれた。つい最近使われた形跡があるらしい」
「確か瑛斗が来てたんだよな。もしかして瑛斗が使ってたりして」
はは、と笑うと箒は眉をハの字に下げた。
「……一夏、私もこんな状況で笑えるほど鈍感ではない」
「……そうだな。ごめん………」
無理やり作った笑顔を消して、またマドカに視線を落とす。
右頬には、まだ癒えきってない小さな切り傷が残っている。
「マドカは、ずっと苦しんでたんだ。千冬姉を殺したいマドカと、そんなことはしたくないマドカの間で……」
千冬姉とマドカの勝負に割って入った時に、マドカは叫んでいた。
千冬姉を殺したい。理由もある。だけどそんなことはしたくない。でもそうしなきゃ━━━━━━
「織斑マドカは終われない……か」
マドカの言う『終わり』。それはマドカ自身の死。
目を覚まして、千冬姉が生きてるとわかったら、マドカはどうするんだろう。
「なあ箒……俺は間違ってたのかな………」
「そんなことはない。お前は、正しいことをした」
箒はそう答えてくれた。
「少なくとも私には、お前や千冬さんと一緒にいたマドカは幸せそうに見えていたぞ」
「そっか………」
小さな切り傷に触れると、ほんのり温かさを感じた。
「ごめんな……マドカ……」
罪悪感を感じて、ポツリと謝罪の言葉をつぶやく。聞こえてるかどうかわからないけど、言わなきゃいられなかった。
「一夏……」
「ん……………」
「「!」」
隣のベッドから、声とモゾモゾと動く音が聞こえた。
「……んぅ〜……ん!?」
ガバリと勢いよく起き上がったのは鈴だった。
「鈴! 気がついたか!」
「一夏? 箒? こ、ここどこ? あいつはっ?」
「お、落ち着け。ここはお前が連れ去られた桐野第一研究所だ」
「桐野第一研究所? ここ、そんな名前なんだ……」
「何があったか、覚えてるか?」
箒が聞くと、鈴は首を横に振ってツインテールを揺らす。
「はっきりとは…」
「俺達と戦ったことは?」
「アタシ……そんなことしたの!?」
驚愕した鈴は、横で眠るマドカの存在に気づいたようで、目を丸くした。
「ま、マドカ? なんでマドカまで?」
さっき説明したんだけど、この様子だとそのことも覚えてないみたいだ。
「鈴、実は………………」
話そうとしたところで、後ろの扉が開けられた。
「凰、気がついたか」
「千冬さん? え? なに? 何がどうなってんの?」
「千冬姉、怪我は?」
「もう何ともない。助かったぞ、ラウラ。お前の医療用ナノマシンのおかげだ」
「えっ、あ、い、いえっ! お役に立てて光栄でありまひゅっ!」
声をかけられたラウラは若干噛んだ。その顔は真っ赤になっている。
その隣では、なぜかシャルロットと簪も顔を赤くしていた。
「た、確かに手っ取り早くはあったけど……」
「びっくり……した……」
三人を大して気にするわけでもなく、千冬姉は俺達に近づいてきた。
「凰、なぜこの建物にいた」
「な、なぜって言われても……よく覚えてないんです。アタシ、一夏の家から帰る途中のはずだったのに……気がついたら、地下室みたいなところにいて……と思ったら、また気を失って、ここで目を覚まして………あっ」
「何か思い出したの?」
「一夏の顔が見えた……でも、やけに横に引っ張られてたような……」
「それはお前が自分で━━━━━」
やったんじゃないか、って言おうとしたら、鈴はさらに続けた。
「それと、変な人も見たわ」
「変な人? どんなやつだ?」
「顔は布でグルグル巻きにされてて、よくわからなかったわ。でも女の人だったわ」
「私も見た。おそらくお前を攫った張本人だろう」
「マドカはどうしたんです? もしかして、記憶が戻って……」
「その通りだ。私に勝負を挑んだ結果だ」
「まさか……死んでる………!?」
「そんなわけあるか」
「そ、そうよね! よかった……」
俺の言葉にホッと息を吐いた鈴に千冬姉は問いかけた。
「誘拐されるにあたって、何か心当たりはあるか?」
「心当たり、ですか?」
「千冬姉、そんなのいくらでもあるんじゃないか? 鈴は中国の代表候補生だし、それだけでも十分理由になると思うけど」
「それはない。仮に中国政府が交渉相手だったとして、こうも簡単には人質であるコイツを手放すはずがない。交渉相手は凰を人質に取られると個人的に困る人物と考えた方が自然だ」
「アタシが人質に取られると、困る人……」
鈴が思案顔をすると、無事ならそれに越したことはないと千冬姉は話を締めた。
「千冬姉、どうしてここに来たんだ?」
聞くなら今しかない。そう思った。
「やはり、気になるか」
「迷ってここに来た、とか、マドカに呼ばれてってわけじゃないだろ? 教えてくれ。千冬姉はここに何をしに来たんだ?」
「探し物だ」
「何を探してたんだよ?」
「……………………………」
千冬姉は沈黙した。
「何かあるんだな? やっぱり」
「……話さねばならんな」
意を決したように、千冬姉は顔を上げる。
「瑛斗のこと……ですよね?」
「え……」
「シャルロット?」
声を発したのは、シャルロットだった。
「織斑先生も、瑛斗のことを知ってるんですよね? だからここに来て……」
「デュノア……やはり、知っていたのか」
「楯無さんから聞きました。僕だけじゃありません。ラウラと、簪ちゃんも……」
ラウラと簪の顔を見てから千冬は深く息を吐いた。
「更識のやつ、すでに話していたか……」
「ま、待ってくれみんな! 話を勝手に進めなるなよ!」
「瑛斗のこと……。まさか、瑛斗がここに来れない理由と関係しているのか?」
「そ、そう言えば瑛斗いないけど、一体何の話なのよ?」
「お前たち三人は聞かされていないのか……」
「だから何の話なんだ! いい加減教えてくれ!」
痺れを切らして声を荒げる。
「喚くな」
額に鈍い痛みが走った。目の前には千冬姉の拳骨が置かれてる。
「いだっ!?」
「言ったろうが。私はここにあるものを探しに来た。無駄足だったがな」
「だ、だから、それはなんなんだよ? 千冬姉は何を探してたんだ?」
「……亡国機業の足跡だ」
「亡国機業の……足跡?」
千冬姉の返答は、すぐには理解できなかった。
「ここは桐野第一研究所……というのはわかるな?」
「そ、そりゃあ……でも、瑛斗と何の関係があるんだよ? 確かに苗字は同じだけど、単なる偶然じゃないのか?」
「偶然なんかじゃないんだよ、一夏」
シャルロットは首を横に振った。
「偶然じゃないって……じゃあここはいったい瑛斗とどんな関係なんだ?」
「ここは……瑛斗が、生まれた場所………」
簪は俯きながら確かにそう言った。
「う、生まれた? どういうことよ?」
「言葉通り、そのままの意味だ。瑛斗は……ここで生まれ育った」
ラウラは下ろしていた拳を握って、真っ直ぐ俺を見つめた。
「ここは、あいつの家だったのだ」
◆
「眠っていた? 俺が、この機械の中で……?」
「そうよ。少なくとも、あなたはこの中で十年は眠っていたの」
楯無さんの言ってる意味がわからない。
「十年って……俺はつい最近までツクヨミ……宇宙にいたんですよ? その俺がどうしてこの機械の中で10年も寝てられるんですか」
楯無さんの目が、いつにも増して鋭い。
「……よく、考えてみて?」
額から汗が流れた。やっぱりわからない。何かの間違いなんじゃないか? 十年なんて、それこそ俺がツクヨミにいた期間━━━━━
「………!」
一つだけ浮かび上がりかけたけど、俺はそれをすぐに自分で却下した。
「まさか……いや、でもそんなことあり得ない……!」
「瑛斗くん、あなたが今考えたことを当ててあげるわ」
楯無さんは閉じた扇子をゆっくりと上下に揺らす。
「『もしかしたら、ツクヨミに行く前に?』………どう? 違うかしら?」
ゴクリ、と唾を飲み下す。楯無さんの予想は当たりだ。
「その反応……どうやら図星みたいね」
「で、でも……俺はその時は施設にいて━━━━」
「それは何処にある、何ていう名前の施設?」
楯無さんの言葉が覆い被さる。まるで叱られてるみたいな気分になったけど、俺は思い出そうとした。
「それは……………」
(………………あれ?)
思い出そうとして、気持ち悪くなった。嫌な汗が吹き出して止まらない。
「思い……出せない………!?」
忘れちゃいけないはずの記憶なのに、霞がかかってる。
(所長と初めて会ったのはどこだ?)
わからない。
(その日は何月何日だ?)
思い出せない。
(どうやってツクヨミへ行った!?)
心当たりがない。
「お……俺は……俺は、ツクヨミに行くまで………いったい……何をして……!?」
目眩がして、ふらついた。
「き、桐野! 大丈夫っすか?」
とっさにフォルテ先輩が支えてくれた。
「あ……ありがとう、ございます。先輩」
「顔色悪いっすよ?」
「大丈夫です……まだ……」
自分の足でちゃんと立って、楯無さんと目を合わせる。
楯無さんは軽く頷くとまた話しだした
「あなたはそう
「思わされてる……?」
「アオイ・アールマイン………あなたもよく知ってるでしょ?」
「どうして、ここで所長の名前が出てくるんですか……」
「彼女がどんな人か、あなたは知ってる?」
楯無さんの真意が掴めない。それでも俺は楯無さんの問いに答えた。
「ツクヨミのIS研究所の所長……………」
「それだけじゃないでしょ?」
「俺の………俺の親代わりだった人だ! 大切な人だ!!」
段々混乱して、つい出てしまった大きな声が反響する。
「そうよ。アオイ・アールマインはツクヨミIS研究所の所長であり、そしてあなたの親代わりの女性。でも、それだけじゃないのよ」
「それだけじゃ……ない?」
「更識としての力をフルに使って調査した結果、アオイ・アールマインにはもう一つの顔があったわ。彼女は心理学のエキスパートでもあったのよ」
「し、心理学……? そんなの聞いたこと……」
「知らないのは当然よ。彼女はそれを公にはしてなかったからね」
「そんなのはいいんです。所長が心理学ができるから、なんだって言うんですか」
「心理学っていうのは色々な分野があってね、人の治療にも使われるのよ。そして彼女が得意としていたのが、その心理学を使った治療……精神療法よ」
「精神療法……」
「戸宮、どういう意味っすか? せーしんりょーほーって」
「……人の精神的な面での疾患を治療するための手段のことです」
「しっかん? よくわかんないっすけど、元気がないやつを励ますみたいなもんすか?」
「……端的に言えば」
後ろで先輩と戸宮ちゃんの会話が聞こえた。楯無さんはそれに乗っかって話を進める。
「フォルテちゃん、確かに精神療法にはそういう種類もあるわ。でも、アオイ・アールマインが使っていたのはもっと別。暗示や催眠術よ」
「暗示? 催眠術? ……あ! ゲームでよく眠らせるやつっす!」
「ま……待ってくれ!」
俺はたまらず叫んだ。
「話が見えない……。所長が、暗示? 催眠術? わけがわからないですよ楯無さん」
腹の底から染み出てくるような不安を否定するようとして、ぎこちない半笑いが出来た。
「まさか俺が所長に暗示や催眠術をかけられてる、なんて言うんじゃないんでしょうね? はっ、悪い冗談もいい加減に……………」
「………………………」
楯無さんは沈黙している。それどころか、みんなが俺を見ていた。
「………………………」
鼓動が早くなる。
(まさか……本当に…………?)
「……そう……なんでしょ?」
楯無さんの肩に手を置いた。
「いつものアレ……ですよね? 俺を困らせようって、悪知恵働かせてるだけなんですよね……!? ねえ!?」
頼む。頼む楯無さん。そうだって言ってくれ……!!
「……………その通りよ」
「そ、そうなんですよね。ほら、やっぱ━━━━」
「あなたはアオイ・アールマインに暗示をかけられているの。それもとても強力なやつをね」
「……………っ!!」
ビクリと手を楯無さんの肩から離して、そのまま下ろした。
「瑛斗くん、今から話すことは、全て真実よ。受け止めてちょうだい」
楯無さんは少しだけ瞳を揺らして、機械の上へ遠い視線を向けた。
「そもそも亡国機業幹部会というのは、当時の亡国機業のリーダー……亡国機業総帥を抹殺した総帥直属の部下たちのことよ。事実上、今の亡国機業のトップなの」
「……知らなかった」
「仕方ないことよ。知っている人間の数は限られているの。私も、更識の力をフルに使って手に入れた情報なんだから」
「……所詮私は、末端だったと言うわけですね……」
戸宮ちゃんは目を伏せた。
「彼らの目的は何なのか、何故ISを盗んでまわっているのか、わからないことは多いわ。でも、今の問題は殺された亡国機業総帥についてよ」
楯無さんはポケットから携帯端末を取り出して、ある画像を全員に見えるように拡大投影した。
集合写真のようだった。数人の男女が写っていて、中央に子供を抱えた男の人がいる。
「これは……写真、ですの?」
「この写真は二十年前に撮られたものよ。そしてここに写っているのが、当時の亡国機業」
「十人いるかいないかっすけど、これだけなんすか?」
「写っているのはごく一部。組織の上層部よ。そしてこの写真が撮られたその日の夜、総帥と、その妻は殺されたわ。名前は
「……桐野?」
戸宮ちゃんが首を傾げて、俺に視線を投げる。その後すぐに、セシリアやチェルシーさん、フォルテ先輩も俺を見た。
「二十年前に裏切りにあって殺されたのは、瑛斗くんの両親なの」
「……………じゃあ……楯無さんは、この……この男が抱えてる子供が、俺だって言いたいんですか?」
自分でも驚くくらい冷静な声が出た。パニックの向こう側ってやつか。
「…………そういうことよ」
「……っ」
楯無さんが首肯して、俺は汗をかいた両手を握り締めた。
「えっ? じ、じゃあ……ここにいる桐野はなんすか? 誰っすか?」
「桐野瑛斗よ。正真正銘、桐野繁継と咲恵の息子のね」
フォルテ先輩は頭を抱えた。
「あ、頭こんがらがってきたっす……だって、桐野のパパさんとママさんは二十年前に死んでるんすよね? それなのに………」
「ご両親が殺害されたにも拘らず、なぜ桐野さまはご存命なのか……その答えには、この機械が関係しているようですね……」
フォルテ先輩の疑問をチェルシーさんが代弁した。それどころか、その問題のヒントまで予測する。
「その通り。この機械はコールドスリープマシンなの」
コールドスリープ。
SF映画で見たことがある。体の成長を止めて、長い間眠りに着くことだ。
「そんなすごい技術が、二十年も前に存在するもんなんすか?」
フォルテ先輩の疑問は、俺も感じていた。二十年も前に、そんな映画の中でしか無いような機械があるのか?
「瑛斗くん、あなたのお父さんは天才だったわ。時代の遥か先を行く頭脳の持ち主……言うなれば篠ノ之博士の男版ってところね」
「そんな人なら、コールドスリープマシンを作るなんてわけないってことですか……」
「でも、だからこそ、その恐ろしさを知る身内に殺されたのかもしれないわ」
「…………………」
皮肉な話だとは思った。でも、今の篠ノ之博士は世界中が追いかけている。あり得ない話じゃ無い。
「殺される間際になって、二人は幼いあなたをこの機械の中に入れて、隠したのよ。未来への希望としてね」
「未来への希望……?」
「瑛斗くん、あなたは……」
「亡国機業次期総帥の座に着くはずだったのよ」
◆
「くーちゃーん? どこー? 返事してー?」
木々が生い茂る森の中を、不思議の国のアリスが着るような衣装で歩く女がいた。
天才、篠ノ之束である。
桐野第一研究所の廃墟の外れの森を進む束。
「どこにいるんだろ?」
立ち止まり、腰に手をやって、ふぅ、と息を吐く。
「緊急信号が発信直後に切れるなんて、誤作動には思えないしなー」
くーとの通信を終え、『作業』に戻った直後にくーからの緊急事態を伝える信号をキャッチし、文字通り飛んで来た束だったが、まだくーの姿を発見できずにいた。
周りは見渡せど見渡せど木しかない。
「うーん……ん?」
すると、束の足元に白い物体が跳ねながら近づいて来た。束が製造したウサギ型のロボットである。
「見つかったの?」
問いかけると、ロボットは束の前をピョンピョンと跳ね回り、茂みの中へと消えた。
その後をつけて森の中を進むに連れて、木々が自然にとは思えない倒れ方をしていく。
「あ━━━━」
ウサギロボットの姿を再度発見した束は、視線をウサギロボットの前に向けた。
「………くーちゃん……………」
目の前にいる、木に身体を半分ほど埋めた少女は、ボロボロであった。
頭から血を流し、右腕は肩から先が千切れかけ、青と赤のケーブルが露出し、左胸には、ポッカリと穴が空いている。そして、腹部は削り取られたかのように抉られていた。
死んでいてもおかしくはない惨状は、心臓の弱い人間が見れば卒倒することだろう。
胸の真ん中で弱々しい光を明滅させるISコアは、くーの今の状態を物語っているようだった。
「た………ば……ね……………さ……………ま………」
くーは、呼吸と声との間のような掠れた音で束の名を呼ぶ。
「も………し…わ…………け……あり………ま………せ…………」
「そんなことないよ、くーちゃん」
しかし束はくーへと近づき、その頬を撫でた。
「お母さんが、すぐ助けてあげるからね」
風が上から吹いた。束の頭上の空が、不自然にゆがんでいる。
ウサギロボットが束の肩に乗ると、空から光が降りてきた。それは束とくーを包み込むと、二人の身体を浮遊させた。
さながらUFOに攫われるかのような形になりながら、束は空中でくーを抱きかかえる。
「準備は出来てるよ。あとは……」
「あ……………」
くーの胸のISコアが身体から分離した。
その瞳から光が消え、頭はガクリと力無くもたげた。
ウサギロボットはコアに覆いかぶさり、その腹にコアを収納すると、動かなくなったくーの身体の上に乗った。
「今はそれで我慢してね。大丈夫。すぐに終わるから……」
束と、くー、そしてくーのISコアをその身に収めたウサギロボットの姿が、歪んだ青空の中に開いた穴の中へと吸われ、消えた。