IS〈インフィニット・ストラトス〉〜G-soul〜   作:ドラーグEX

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願いに走れ 〜または塗り重ねた嘘の終極〜

「その先は無い……か。悲しい台詞じゃな」

背中越しに、少女、チヨリの声が聞こえる。私は足をまた止めることになった。

「ワシもお前と似たようなものなのかもしれないのぉ……ワシにも、もう先は無いかもしれん」

「そんなことは私の知ったことではない」

「冷たいのぉ……ごほっ、ごほっ」

チヨリが咳き込んだような声のあと、ビチャビチャと液体をこぼすような音が聞こえた。

「お前……」

地面についた赤い液体は、間違いなくチヨリの口を押さえた手の隙間から出ていた。

「げほっ……げほっ……そろそろ、ごほっ! げ、限界か……っ!」

チヨリがふらついた瞬間、倒れると直感した。

「危ないっ!」

倒れる前にチヨリの頭の後ろに手をおいて身体を支える。

「しっかりして!」

「す、すまんの……ベンチに座らせてくれ。それだけでいい」

言われた通りにベンチまで運んで座らせた。

「ありがとうじゃ……しかし……」

チヨリが、私の顔を見ている。

「なんだ?」

「いや………気にするな。話を戻そう……お前は、織斑千冬との戦いに勝利したとしても……自分には先がない、と言いおったな?」

「……ああそうだ」

「ならばこれは……お前が死ぬ為の戦いと言うわけじゃな」

「死ぬ為の戦い……そうだな。違いない。それが戦いというものだ」

「では……死にゆくお前に一つ、手向けをしてやろうかの……!」

「手向けだと?」

チヨリの言葉を反復した直後、眼前に投影ディスプレイが出た。

「なんだこれは」

「データを送った……。お前の探している、織斑千冬が向かった場所のな」

「……なぜ、ねえさんがここにいるとわかる」

「ワシが、そう仕向けた。織斑千冬は必ずここにいる……!」

「………………」

「言うておくが、嘘ではない。ワシは……絶対の自信のもとに言っておる……げほっ!」

チヨリはまた微量だが血を吐いた。

「無理をするな。近場の病院まで運んでやるぞ?」

「そ、それには、及ばん……! お前は、お前自身のことだけを考えて行動しろ……!」

小さな手が、私の身体を突き放した。

「行くがよい……! お前の願いを叶えろ……!!」

ふと思った。

私は、何の理由があってこの少女を気にかけた?

見ず知らずの初対面の少女が、目の前で血を吐いたからか?

違う。

血など、もううんざりするほど見てきたはずだ。

では、なぜだ?

いや、最早そんなことはどうでもいい。

《サイレント・ゼフィルス》に次ぐ新たな私のIS、《バルサミウス・ブレーディア》を展開。

「………………」

壁は、紙に刃物を通すように切り刻まれる。

「………………」

身体の奥底から、熱いものが沸き上がった。

わかるぞ。いる。この壁の向こうに。

(私の願い……それは……)

あの人に勝ちたい。

あの人に聞きたい。

あの人を━━━━殺したい……!!

壁を、蹴破った。

巻き上がる粉塵が晴れ、その姿を捉えた。

「見つけたぞ……ねえさん!!」

「マドカ……」

とうとう見つけた。この廃墟の地下で、遂に対峙した。

「これは驚きました。小さなブリュンヒルデですか」

そばに妙なやつがいたが、気にすることはない。

「……これはお前の仕業か?」

「とんでもない。完全なイレギュラーです」

「……マドカ、なぜお前がここにいる」

「決まっている……! ねえさんを殺す為だ!!」

「記憶も戻っているのだったな……」

「それでは私は失礼します。姉妹水入らずを邪魔してはいけません」

妙なやつは駆け足で私達から離れ、視界から消えた。

「待て! 貴様は━━━!」

「どこを見ている! ねえさんの相手は私だっ!」

 

ねえさんに向かってブレードビットを飛ばす。

 

「マドカ……!」

「さあ、私に殺されろっ!!」

見慣れた家の玄関。そこに腰かけて、見慣れた背中が靴を履いている。

『父さん………本当に、行っちゃうの?』

『………………』

アタシの父さん。

ずっと一緒だったその人が今、家を出ようとしている。

『ねぇ、何か言ってよ! おかしいでしょ、いきなり離婚なんて!』

『鈴……わがままを言わないの』

声が大きくなったアタシを母さんが止める。それにアタシは噛みついた。

『母さんも母さんよ! なんで二つ返事で頷いたのよ!? 昨日までいつも通りだったのに!』

『私たちには私たちの事情があるのよ』

『家族がバラバラになっちゃうのよ!? それなのに、どうしてそんなに落ち着いてられるのよ!?』

『鈴……』

『どうして!? 父さんと母さんはお互いに好きだったから結婚したんでしょ!? 違うの!?』

『……鈴』

父さんが、アタシの肩にそっと手を置いた。

『鈴、よく聞くんだ。父さんはここを出て行く。理由は話せない。でもこれだけはわかってほしい……』

その目は、今まで見たことのないような真剣な目だった。

『お前を……母さんを、愛してる』

『父さん……』

何か言って止めなきゃいけないはずなのに、言葉が出てこない。

『それじゃあ……』

父さんは一度アタシを撫でてから立ち上がって、扉に手をかけた。

『この子を、鈴を頼む』

『……はい』

きっと、もう二度と会えない。アタシはそう直感していた。

このままじゃ、ダメなのに……!

『いや……』

やっと出た声は、自分でもびっくりするくらい震えてて、小さかった。

『行かないで……!!』

父さんの背中が、扉の向こうに消えた。

……

 

…………

 

………………

 

……………………

 

…………………………

「……ん」

(寝ちゃったのね……)

状況は変わってなかった。手足を妙な鎖に縛られて、ISを展開出来ない。口も動かせないから助けを呼ぶことも出来ない。

(嫌な夢だったわ……)

限りなく異常な状況なはずなのに、そんなことを思ってしまう。

でもそれはアタシにとってそれくらいのことだった。

(どれくらい経ったのかしら……)

時計も窓もない部屋だから、時間の感覚が無くなってる。一日ってことはないだろうけど、それなりに時間は経ってるはず。

(そう言えば……一夏にもこんなことあったのよね……)

一夏が誘拐されたことがあるという話を思い出して、ふとそんなことを考えた。

(一夏も……こんな気持ちだったのかしら……)

ズズン……

「ん…?」

地鳴りのような音が聞こえた。

ズズン……ズズン……

(何? 何が起こってるの……?)

連続した振動が伝わる。

(工事の音……? でもそれならもっと別の音も聞こえるはず……)

振動がどんどん近づいて来る。

やっぱり工事の音なんかじゃない! この建物の中で何かが起こってる!

天井から細かい欠片まで落ちてきた。この上に誰かいるんだわ!

「んんっ! んーっ!!」

口は塞がれてるけど、なんとか届くように叫んでみた。

だけど、音は遠ざかって、また無音になってしまった。

(ダメか……)

落ち込んだのもつかの間、扉が開いた。

「お騒がせして申し訳ございません。少々イレギュラーが発生してしまいまして……」

さっきの女の人だった。

「………………」

「朗報です。あなたを解放します。目的は果たされ、私はここから離脱しますので。ですが……」

気づいた。女の人の手には、拳銃のようなものが握られている。

「んぅ……!?」

「ここでいきなり、というわけにもいきません」

一歩、また一歩とゆっくり近づいてくる。

アタシのそばにしゃがんで、脇腹に銃口を押し当てた。

「んっ……!」

「少し……眠っていてください」

パシュッ!

(何を━━━━━━━)

目の前が大きく歪んで、意識が遠のく。

「死なせはしませんよ……あなたのお父様との約束ですので……」

(とう……さ……ん……?)

 

そこでアタシの意識は暗闇に飲み込まれた。

 

第三アリーナの整備室で俺は《G-soul》と《セフィロト》のエネルギー回復を待っていた。

このアリーナの整備室には他の整備室と違って、ISのエネルギーを自然回復よりも短時間で行うことが出来る装置がある。

と言っても、そんな大したもんじゃなくて第二〜第三世代型ISに共通する接続コネクタからチャージャー付きのケーブルを繋いでエネルギーを充填するってだけで、ほんの少しばかり時間が短くなる位のものだ。ラウラ達に話した時間も、これを使えばの仮定。

というわけで俺は二機のISを無人展開状態で横に並べて回復を待っていた。

白と黒。正反対の色のISが並ぶのは改めて見るとなかなかに壮観だ。でも、俺はまた別のことを考えていた。

「しかし……どうしたってんだろう」

あの時の、居場所がわかった時の三人の態度。

「なんか……引っかかるんだよな」

まるで俺を引き留めさせたかったみたいな感じで、三人だけで行ってしまった。

充填を始めてから結構経つ。もうみんな着いたころだろう。

「どうも嫌な予感がする……早くしてくれ……」

と、後ろから誰かの足音が聞こえた。

「ん?」

「……あ」

「あれ? 戸宮ちゃんじゃねぇか」

そこにいたのは俺らの後輩の戸宮ちゃんだった。

「……どうも」

「おう。どうしたんだ? お前もフォルヴァニスのエネルギーが無いのか?」

「……いえ、生徒会長が第三アリーナに来るようにと」

「楯無さんが? 今学園にはいないぞ?」

「……? メールが来たので、てっきりいるものだと……」

二人で顔を見合わせて首を捻る。

「来るように言われただけか?」

「……はい。あなたは、ここで何を?」

「見てのとーり。G-soulとセフィロトのエネルギーを充填してたんだ」

「……扉が開いていたので、ここかと思ったのですが」

すると、また誰かの足音が聞こえた。

「来たみたいだな」

「……そのようですね」

しかし出て来たのは全く別の人だった。

「更識さーん、用ってなんす……あれ?」

フォルテ・サファイア先輩。楯無さんと同級生で、専用機《コールド・ブラッド》を所持するアメリカ代表候補生。が、俺と戸宮ちゃんの前で青い目をパチクリしてる。

「フォルテ先輩?」

「…………………」

「桐野と、確か一年の専用機持ちの……」

「……戸宮梢です」

「そうそう、戸宮っす。で、お前達何してるっすか? 更識さんは?」

「楯無さんに呼ばれたんですか?」

「そうっすよ。第三アリーナに来て欲しいって」

「……もしかして、メールで?」

「二人もそうなんすか?」

「俺は違います。ISのエネルギーを回復しようと。戸宮ちゃんは先輩と同じみたいですよ」

「それで、肝心の更識さんはどこっすか? ここの扉が開きっぱなしだったっすから来てみたんすけど」

「……生徒会長は、学園にはいないそうです………」

「え? マジっすか?」

「簪も言ってました。朝からいないみたいです」

「…本人不在なのに、私達を呼び出す………不自然」

確かに不自然だ。もしかしてもう戻って来てるのか?

「……それと、もう一つ。気になることがある」

「なんすか?」

フォルテ先輩に問われて、戸宮ちゃんは俺の方を向いた。

「……学園の外で何があった?」

「え……俺?」

戸宮ちゃんはコクリと頷いて、並んだ俺のISたちに視線を投げる。

「……ここしばらく、私はあなたを学園で見ていない……にも関わらず、ISのエネルギーを補充しなければならないことを考えて、何かあったのは確実………」

「そ、それは……」

少したじろぐ。と、戸宮ちゃんの目の端が鋭く光った。

「……やっぱり、何かあった」

「………………」

一瞬迷ったけど、話すことにした。

「……鈴が攫われた」

俺の言葉に戸宮ちゃんはピクリと身体を動かし、フォルテ先輩は目を丸くした。

「鈴って、凰のこと……っすよね?」

「……攫われた?」

「今、ラウラとシャルと簪、一夏と箒が助けに向かってる。俺もエネルギーが回復すればすぐに追う。なんでエネルギーが無かったのかは今は言えない。だけど、これが終わったら話すから」

「警察とか、そういうのには言ったっすか?」

「そんなことをしたら鈴を攫った連中が何をするかわかりませんよ」

「……下手をすれば、凰鈴音は殺される」

「知ってると思うけど、学園に今先生がいない。動けるのは俺たち専用機持ちだけだ」

「あ! もしかしたら楯無さんは凰がさらわれたのを私たちに伝えようとしたんじゃないっすか?」

「……その可能性もある」

「ここにはいないとなると……やっぱり奥の演習場っすかね」

「そうですね……俺も行きます。ちょうどG-soulのエネルギーが全快しました」

G-soulとセフィロトを待機状態に戻し、二人と一緒に整備室から出て、アリーナへ向かう。

演習場へ続く通路は、やけに静かだった。

「あれ? 誰もいないのか?」

「みんな部活とかなんじゃないっすか?」

「確かに、この時期は部活で忙しい生徒が増えますけど」

「……それにしても、静か過ぎる」

そして演習場へ出ると、人がいた。でも、楯無さんじゃない。

「……セシリア?」

「………………」

そこにいたのは、セシリアだった。

《ブルー・ティアーズ》を展開してアリーナ中央に立ち尽くしている。

「お前も戻って来てたのか。でもなんでここにいるんだ?」

「………………」

話しかけても、反応が無い。

「せ、セシリア?」

セシリアの様子が変だ。

「瑛斗さん……いえ、桐野瑛斗!」

「な、なんだよ? なんで急にフルネーム?」

キッと顔を上げたセシリアに息を飲んだ。

怒ってる。怒りの眼差しを俺にぶつけている。

「わたくしは━━━━あなたを許しませんっ!! ティアーズッ!」

セシリアが俺に突っ込んで来た!?

「はあぁぁぁっ!」

「!?」

 

スナイパーライフル《スターライトmkⅢ》の先端に取り付けられた銃剣の《インターセプター》が迫る。

「危ねぇっ!」

戸宮ちゃんとフォルテ先輩を左右に突き飛ばす。

「………っ」

「桐野っ!?」

「うわっ!?」

G-soulをギリギリで展開してシールドで防御した。

セシリアはバーニアを吹かして俺を押す。

「いきなり何だよセシリア!? 俺がお前に何をしたっ!?」

「何を白々しいことを!」

セシリアは背中から二つのバレット・ビットを射出して、俺の左右を取った。

「バレット!」

「ぐっ!」

弾丸を避けるために後ろに下がる。

(しまった……!)

直後に気づいた。セシリアはスターライトを『正面』に構えてやがる。狙いはこっちか!

「遅いですわっ!」

バンッ!!

「ぐあぁっ!!」

BRFを起動する間も無くビームが直撃した。

「この━━━━━!!」

ビームガンをコールしてビームで反撃する。

「そんな遅い弾に!!」

「っ!?」

セシリアの、ブルー・ティアーズの挙動が、今まで見たことがないくらいに速い。

「ティアーズ!!」

ブルー・ティアーズの装甲からBTビットが分離。ビームを発射する。

「BRFでっ!」

ビットからのビームを打ち消そうとシールドに内蔵されたBRFを起動した。

「無駄ですわよっ!!」

BRFの有効圏内に入る直前、ビームが()()()()

「うがっ……!」

背中にビームが直撃。痛みが走る。

 

(曲がるビーム……! 偏向射撃(フレキシブル)!)

 

追撃のビームが来る。

「G-spirit!!」

ビームウイングを開いて、迫ってきたビームを吸収した。

「ビームだけじゃなくてよ!!」

BTビットが引っ込んで、バレット・ビットがセシリアの周りを飛び回り、一斉に銃口を俺に向ける。

「八つ全部だとっ!?」

セシリアの制御出来るビットは六基が限界のはずだ。それなのに目の前のセシリアは八基のバレット・ビットを全部制御してみせた。

「バレット・ビット! フルバーストッ!!」

弾丸と、スターライトからのビームが豪雨のように降り注ぐ。

「ぐああぁぁぁっ!!」

凄まじい勢いの攻撃に、俺は地面に叩きつけられる。

「…!?」

BTビットとバレット・ビット。セシリアの駆使するビット全てが俺を取り囲んでいた。

「これでっ!」

おまけに、真上はスターライトを構えて、いつでも撃てるセシリアがいる。

(やられる━━━━?!)

そう思った瞬間、横からの弾丸と氷の弾がビットを薙ぎ払った。

「なんですの!?」

セシリアと一緒に俺も振り仰ぐ。

「いまいち何が何だかわからないっすけど………普通じゃないのはわかるっすよ」

「…流石に、やり過ぎ」

俺たちから数メートル離れた場所にいたのは戸宮ちゃんとフォルテ先輩。《フォルヴァニス》と《コールド・ブラッド》を展開していた。

「あなた達……! 邪魔をしないでくださる!? わたくしは━━━━!」

ガチャ……

フォルヴァニスのレールガンがセシリアに向けられる。

「……次は、当てる」

戸宮ちゃんの目はマジだ。

「私も、暴走する後輩は見過ごせないっす」

フォルテ先輩も手のひらの上に中型の氷塊を形成した。

オープン・チャンネル越しの二人の警告でセシリアは動きを止めてる。

(今しかない……)

俺はG-spiritを解除してセシリアに呼びかけた。

「……セシリア、聞いてくれ。鈴が攫われた」

「えっ……?」

 

プライベート・チャンネルに切り替えて、セシリアだけに伝える。

「それだけじゃない。マドカの記憶が戻った。織斑先生を殺そうとしてる」

『そんな……!?』

「俺はこれから、鈴を助けに行ったラウラ達を追わなきゃいけない」

『…………………』

「こんなの、お前らしくないじゃないか。いったいどうしたんだ?」

セシリアはビット達を呼び戻して、地面に降りた。

「……本当に、何も、知らないのですわね?」

「ああ。俺は何も知らない。だから落ち着いてくれ」

「……………!!」

そのままブルー・ティアーズの展開を解いて、セシリアは座り込み……

「わたくしっ……! わたくしは……何をして……何をしているの……!!」

顔を手で覆って泣き出してしまった。

「こんなことをしても……! お父様もお母様も戻っては来ないのに……!!」

「セシリアの……父親と母親?」

「セシリア!!」

演習場の入り口から、メイドさんが飛び出した。

「チェルシーさん?」

俺や戸宮ちゃん達には目もくれず、チェルシーさんはセシリアに駆け寄る。

「セシリア! なぜこんなことを! こんなことをしても、旦那様と奥様は決して……決してお喜びにはなりません!」

「わかってます……! わかってますわ……! わかって……いるのにっ!!」

泣きじゃくるセシリアを見る俺のそばに、フォルテ先輩と戸宮ちゃんが降り立つ。

「い、一体何がどーなってるっすか?」

「……わからない。でも、何かが起きてる」

俺は立ち上がり、チェルシーさんに言った。

「チェルシーさん……何がセシリアをこうさせたのか知ってるんですね。話してもらえますか?」

身体を震わせて泣いているセシリアに寄り添うチェルシーさんは、ゆっくりと頷く。

「その前に……」

俺はビームガンの銃口を上に向け、引き金を引く。

 

飛び出したビームは直上へ。

そして、()()された。

「そんなところで高みの見物してないで、降りてきたらどうですか……」

アリーナの上空。

そこには、俺を助けてくれた二人をここに呼び出して、確実に何かを知っている……

「━━━━ねえ、楯無さん」

「…………………」

生徒会長がいた。


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