リリカルなのはVS夜都賀波岐   作:天狗道の射干

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なのは編とユーノ編では時間にズレが存在しています。
大体一月から二月程度。ちょっとユーノ編の方が少し未来の時間軸の話です。


副題 ユーノと鉄腕人妻。
   クロノと馬鹿兄。
   都築ワールドの幼女の聡明さは異常。



ユーノ編第一話 管理局での日常

1.

 空間を切り裂いて、その拳が迫り来る。

 

 鋭い拳。打ち込まれる速さも技の威力も正に極上。

 達人の武芸と称するに相応しい一撃だ。

 

 

「っ!」

 

「ほらほら、動きが止まってるわよ、ユーノ!」

 

 

 細かいステップに移動魔法。

 それを足元のローラーブレードでの移動に絡めて行われる高速戦闘技術シューティングアーツ。

 

 ミッドチルダで盛んに行われているボクシングにも似た格闘技ストライクアーツをベースにした戦闘技術。それこそがこのシューティングアーツである。

 

 その使い手。長い青髪を頭の後ろで纏めたポニーテールの美女、クイント・ナカジマは数あるシューティングアーツ使いの中でも極上――最高峰の使い手であった。

 

 

「そら! 休んでる暇はない!! 教えた型で動きなさい!!」

 

「くっ! は、はい!」

 

 

 クイントの指導によって教え込まれたストライクアーツの基本動作。

 その中でも初歩の初歩と言える守りの型でクイントに対応しようとする少年だが、やはりそこは技量の差。あっさりと弱所を見抜かれ、鋼鉄の如き拳に貫かれる。

 

 

「ほら、腕が少し落ちてる! 疲れてるのは分かるけど、型はしっかりと守る!」

 

「は、はい!」

 

 

 クイントの教えに、無論加減はあるのだろう。

 だが彼女の教え方は基本スパルタ。習うより慣れろを地で行く女傑だ。

 

 一通り型を教え込んだら後は組手。

 ユーノが気絶するまで組手は続き、その際に上手く出来なかった型を数百、数千と自己鍛錬でやらせる。

 

 本気で強くなりたい。

 そう希望して教えを乞うて来た少年に返せる、クイントなりの誠意がそれである。

 

 

「それじゃあ、ギアを上げるわ。歪みも加えた私独自の技を見せてあげるから!」

 

 

 死ぬ気で耐えなさい。

 そう口にしてクイントは少年に対して全力を発揮する。

 

 

「存在重複」

 

 

 言葉と共に、クイントの姿がブレた。

 まるで蜃気楼の如く、女の影が二つに揺れる。

 

 ユーノはその光景に我が目を疑い、それが果たして如何なる歪みが推測しようと身構える。だが、その現象を解明する余裕などあるはずもなく――

 

 

「シッ!」

 

 

 正に神速と呼ぶべき速さで、ユーノの懐へと入り込んだクイントは、その拳を打ち込んだ。

 

 

「がっ!?」

 

 

 打ち込まれる拳は、ユーノの防御を摺り抜ける。

 守りを固めていた少年の腕の隙間を、摺り抜ける様に撃ち込まれた。

 

 だが、同時にユーノは腕に衝撃を感じている。

 拳を打ち込まれた腹の痛みと、拳を防いだ腕の痛みを、全く同時に感じていた。

 

 

(何だ、これ!?)

 

「ほらっ! 次よ!」

 

「っ!?」

 

 

 だが、思考を続ける余裕などはない。

 一瞬でも気を抜けば、直ぐ様に次が飛んでくる。

 

 襲い来るは、鋼鉄のブーツに覆われた蹴撃。

 ローラーによる加速力が乗った一撃は、容易く人を殺せる凶器と化す。

 

 真面に受ければ不味い。だが、防ぎ切れる自信はある。

 守りの型は武芸の基本。ユーノはこの一月、そればかりを教え込まれて来た。

 

 繰り返し、練りに練られた防御の術は、彼の性格や性質とも合致していたのだろう。

 身体が動かなくなる迄、己を鍛え。動かなくなれば、マルチタスクにイメージトレーニングを走らせる。

 

 偏執的な鍛錬量の果てに、ユーノは確かに守勢だけなら見られる域まで届いている。

 守りよりも攻めを得意とするクイント相手の防御技術に、迫るだけの物に磨き上げていた。

 

 そしてクイントもまた、ある程度は加減している。

 その蹴撃は大振りで、未だ実力で大きく劣るユーノでも、何とか追い付ける速度。

 

 故に、守りを固めたユーノは安堵して――

 

 

「がっ!?」

 

 

 直後、抉り込まれる痛みに意識を飛ばし掛けた。

 

 

(確かに防いだはずなのに!?)

 

 

 交差した腕に、感触は残っている。

 痺れる腕は確かに、彼女の蹴りを受け止めている。

 

 であるというのに、現実には攻撃を防げないという結果に終わった。

 受け止めている場所にある足とは別に、もう一つの足が其処にあったから――

 

 

「足が、三本!?」

 

「気付いた?」

 

 

 防いだ足とは別の足が、クイントに重なる様に出現している。

 

 否、足だけではない。

 手が、目が、口が、あらゆる要素が倍数に増えていた。

 

 重なる様な影が、ゆっくりと左右に分かれていく。

 そこに現れるのは、二人目の女。少年の眼前で、クイント・ナカジマが二人に増えた。

 

 

「これが私の歪み。存在重複」

 

 

 どちらが偽物。どちらが幻影。という訳ではない。

 彼女の歪みは、自己の存在を重複させると言う異能。

 

 片腕を二本に、足を四本に、拳の威力を八倍に。

 倍に倍に倍に。あらゆる要素を増幅させる事こそ、この歪みの真価である。

 

 故に此処に並ぶのは、どちらも正しくクイント・ナカジマ本人だ。

 

 

「それじゃあ、今度は多対一の訓練よ。最低限の型は教えているんだから、その出来の良い頭で必死に応用法を考えなさい!」

 

「む、無茶言わないで下さいよ!?」

 

「問答無用!」

 

 

 迫る二人のクイント。その動きに見劣りはない。

 二人に増えたのだから実力も半分。そんな道理は通じない。

 

 

「そらっ!」

 

「がはっ!」

 

「もいっちょ!!」

 

「げふ!!」

 

「更に、おまけ!!」

 

 

 前後左右から来る極上の拳打。圧倒的な蹴撃。

 たった一つでもユーノの手に余るそれは、四方八方から迫る。

 

 二人のクイントの手の数が増えている。蹴りの威力が増している。ローラーの移動速度まで倍になっている。

 

 あらゆる全てを倍にする彼女は、その圧倒的な手数でユーノを翻弄する。

 対処能力を遥かに超えた拳と蹴りの雨を前に、彼に出来る事など何もない。

 

 だが――

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ――っ!」

 

 

 ユーノ・スクライアは諦めない。

 そうとも、この程度で諦めるなら、彼はあんな啖呵を口には出来ない。

 

 諦めない意志で、瞳を強く輝かせる。

 女の力に耐え抜きながら、その輝く瞳は貪欲に、クイントの技術を盗み取ろうとしていたのだ。

 

 

(へぇ)

 

 

 クイントは、対峙するユーノの姿に笑みを深める。

 対処出来ないと割り切って、それでも齧り付いて来るその姿。

 

 少しずつ攻撃に慣れていき、確実に防げる物を増やしている。

 そんな意志と意欲に溢れる少年に、彼女は嬉しそうに微笑んだ。

 

 最初に見た時は、まるで見所がない打ち筋だと思った。

 ユーノ・スクライアと言う少年は、何処までも武才がない様に見えたのだ。

 

 だが、蓋を開けて見ればこれだ。

 僅か一月で此処まで鍛え上げ、クイントの動きに付いて来ようとしている。

 

 才能がある。そう感じる。

 意欲とそれがあるからこそ、こうも練磨されているのだろう。

 

 その才を見抜けなかった事に、己の勘も鈍ったかと思う。

 今も尚、武才を欠片も感じていない感覚に、師としては才能がないのかと悲しくなる。

 

 だが、同時に嬉しくもなる。

 これだけの才がある子なら、きっと初見であっても、あの切り札に耐えられる筈だと。

 

 

「そんじゃ、切り札行くわよ!」

 

「ちょ!?」

 

 

 ならば教えよう。ならば刻み込もう。

 クイント・ナカジマと言う女が生み出した、切り札足る繋がれぬ拳の一撃を――

 

 

「ウイングロード、展開っ!」

 

 

 女の足元に、展開されるは翼の道。

 陸戦魔導師である彼女に、空への手段を与えるウイングロード。

 

 自身の十八番を展開したクイントは、それだけでは止まらない。

 

 

「拳撃威力倍の倍! そのまた更に倍!!」

 

 

 歪みがクイントの右手に集まり、限界まで力を高める。

 八倍にまで高められた拳を握り、クイントは翼の道を駆け上がる。

 

 空に浮かび上がった女は、そこで一気に脱力する。

 全身から力を抜いて、落下状態から身体を捻り、拳を撃ち出した。

 

 

繋がれぬ拳(アンチェインナックル)!!」

 

「ぐはぁっ!!」

 

 

 その最大の拳が打ち込まれる。

 圧倒的な威力を誇るクイントの切り札は、ユーノのバリアジャケットを突き破り、その勢いのままに彼を地面へと叩き付けた。

 

 

 

 繋がれぬ拳。それはクイントが得意とする彼女の切り札。

 本来は地上で完全に脱力した状態から、全身の力を上手く伝えて拳圧を放つ技である。

 

 だが、それでは足を止めなければ使えない。

 絶対の格上を相手取る限り、それは致命的な隙となる。

 

 故にクイントが加えた改良が、落下しながら放つ事。

 脱力状態さえ作れれば、放つ事が可能な拳。其処に落下する運動エネルギーまで加われば、それは正しく必殺と呼べる切り札となろう。

 

 

 

 地に倒れ伏したユーノ。歪みを最大限に使用した為に、一人に戻ってしまったクイントは、油断なく彼を見据えて構えている。

 

 

(さって、この天才君は、何を見せてくれますか)

 

 

 クイントは期待している。

 これでは終わらないだろうと、期待していた。

 

 自分の目利きでは、未だこれに耐えられるレベルではないと判断できる。

 だが、才能がないと断じた目利きと、短期間でそれを上回った少年の実績。そのどちらを信頼するかと言えば、明確な実を持つ後者となる。

 

 故にクイントは、必ず立つだろうと期待している。

 或いはこの一回の交差で、己を技を盗み取るかも知れない。

 

 そんな期待をしていたクイントは――

 

 

「あら?」

 

 

 しかし、少年は立ち上がれない。

 意識を失ったユーノは、口から泡を吹いて倒れていた。

 

 

「……やり過ぎたかしら」

 

 

 否、繋がれぬ拳という自身の切り札を見せられたので良しとしよう。

 クイントは額から汗を流しながら、下手な口笛を吹いて意識を逸らした。

 

 

 

 そんな光景を訓練場の監視モニターで確認していたクロノ・ハラオウンは、溜息を吐いて気絶したユーノを治療する為に医療班に連絡を入れるのだった。

 

 

 

 

 

2.

 クイントが仕事で去った後の本局訓練場。

 医療室で治療を終えたユーノは、教えられた型の反復練習を行っていた。

 

 身体は痛むが、まだ動く。

 自分は数を重ねなければ、物に出来ないと自覚している。

 

 だからユーノは、こうして拳を突き出すのだ。

 

 

「随分とせいが出るな、ユーノ」

 

「あ、クロノ」

 

 

 そんなユーノに、クロノはスポーツ飲料の入ったソフトボトルを投げ渡す。

 ありがとうと片手で受け取り、ユーノは訓練を途中で切り上げると一息吐く為に、訓練場の端にあるベンチに腰を掛けた。

 

 同じくクロノも、彼の横に座る。

 静かになった訓練場の中に、ごくごくとユーノが水分を補給する音だけが響いていた。

 

 

「なあ、フェレット擬き」

 

「何だよ、ってか何で君が僕の変身魔法のこと知っているのさ」

 

「ん。……スカリエッティがあの宝石を治した時にな、あいつ録画されていた映像をアースラ関係者全員に見せて回ってな」

 

 

 水分を補給しながら、訝しげな表情を浮かべるユーノに対して、クロノはニヤリと笑みを浮かべる。

 

 堅物の彼らしくもない、そんな悪戯な笑み。

 それを見て、ユーノは嫌な予感を感じていた。

 

 

「温泉は楽しそうだったな。淫獣」

 

「ぶはっ!?」

 

 

 飲み掛けの飲料が、吹き出されて空を舞う。

 慌てるユーノに、汚い奴だなとクロノは白けた目を向けた。

 

 

「見たのか!? お前!!」

 

「いや、あの子はデバイスを鞄の中に閉まっていたからな。音声が聞こえてきただけだ」

 

 

 その言葉に、どこかほっとする思いを抱いて、ユーノは再びソフトボトルに口を付ける。

 

 

「しかしふと疑問に思ってな。お前、あの時約束とかしてたろ? あの子のこと、好きなのか?」

 

「ぶはっ!?」

 

 

 再び口に含んだ水分を吹き出すユーノ。

 げほげほと咳き込むユーノに対して、汚い奴だなとクロノは眉を顰めた。

 

 

「いや、別に、僕はそんな!?」

 

「別にそう慌てることでもないだろう。僕もエイミィと付き合っているが、そういうことって自然な物じゃないのか?」

 

「自然って、ってかクロノ付き合ってたの!?」

 

「ああ、まぁ。生死を共にすれば必然的に絆は深くなるからな。……僕にはあいつしかいない。そう思うくらいには愛しているよ」

 

 

 お、大人だ。ユーノはその時初めてクロノが自身より年上だと言う事実を確かに認識していた。……背は小さいけど。

 

 

「おいフェレット擬き。お前変なこと考えていないか?」

 

「いや、何でもないよ」

 

 

 目を逸らすユーノに、まあ良いとクロノは話を戻す。

 彼が態々ユーノの元にやって来たのは、差し入れだけが理由じゃない。

 

 想う所があるならば、それを自覚する必要があると感じた。

 だから、この迷う少年の胸中を探る為に、クロノは言葉で問い掛けるのだ。

 

 

「んで、実際どうなんだよ。憎からずは思っているんだろう?」

 

「どう、なんだろう」

 

 

 疑問を問われ、ユーノは自答する。

 果たして自分は、高町なのはをどの様に想っているのだろうか。

 

 

「凄いなって思ってて、可愛いなって思うところもある。羨ましいって思いもあって、守らなきゃって思いもある」

 

 

 可愛い女の子だと思う。

 凄く強くて、優しい子だと思う。

 才能と家族に恵まれた少女を、確かに羨む思いもある。

 

 それが如何なる感情なのか、ユーノはまだ答えが出せない。

 ただ、感じた思いを口にしてみると、やっぱりしっくりと来ることがある。

 

 

「家族が居るって良いな。羨ましいって思えるんだよ、あの子の家は」

 

「……お前にもスクライアという家はあるんだろう?」

 

「どうかな、ちょっと分からない」

 

 

 苦笑と共にそう返して、ユーノは一族を思う。

 

 管理世界の一地方に住まう部族。

 遺跡発掘を生業とするスクライア一族を。

 

 

「僕はスクライア一族に生まれた。そう聞いている」

 

「聞いている?」

 

「うん。母さんも父さんも見たことがないんだ。ただ長から、一族の皆は家族だって言われて、そういう物だと思い込んでいた」

 

 

 伝聞形の言葉。確信を抱けない迷い。

 愛された実感を知らない少年は、愛すると言う事に答えを出せない。

 

 

「その一族は家族じゃないのか?」

 

「いや、家族だよ。……だけどさ、僕って自分で言うのも何だけど結構優秀だったから、一族の皆が管理世界の学校に通わせてくれてたんだ。全寮制で、三歳くらいの時から去年の春先くらいまで。だからって言う訳じゃないけど、スクライア一族にも壁があるように感じて」

 

 

 育った場所が違うから、どうにも一族の皆を素直に家族と見れない。

 皆の仲の良さを遠目に見て、自分の居場所がないように感じてしまっている。

 

 

「だから、なのはが帰って来て欲しいと言ってくれた時、本当に嬉しかった。本当の本当に嬉しかったんだ」

 

 

 だから、嬉しかった。

 ユーノがなのはに対して抱く想いの中で、確実と言える感情がそれだ。

 

 嬉しいのだ。彼女の言葉は。

 まるで柔らかな日差しに包まれるかの如く、彼女の傍は温かいのだ。

 

 だから、守りたいと思った。

 守らないといけない。それだけは、絶対に譲れない事。

 

 

「そう、か」

 

 

 ユーノの想いを聞いて、クロノも感じ入ることはある。

 家族が欠けていて、一家団欒を羨ましいと感じる思いはこの少年にも存在する。

 

 だからこそ、彼は問い掛けるのだ。

 

 

「お前、天魔を倒すんだろ?」

 

「うん」

 

「管理局に入るのか?」

 

「うん。いずれは、ね。ここに居た方があいつの情報は得られるだろうし、何より一族から管理局入りした人間が出れば、皆も喜ぶ」

 

 

 管理世界の住人にとって、管理局員というのはエリートの証のような物だ。

 

 少数部族であるスクライア一族とは言え、その認識は変わらない。

 彼らはユーノが管理局入りすれば、諸手を上げて喜ぶであろう。

 

 

「殉職率は高いぞ」

 

「知ってる」

 

「なら良い。……ただ、思うことがあるなら、伝えられる内に伝えておけ」

 

 

 クロノの実感が籠った言葉に、ユーノは遠い目をした彼の視線の先を想像する。

 そこにはきっと、思う所を伝えられずに死んでいった局員達の姿が映っているのだろう。

 

 

「僕が言いたいのはそれだけだ。お前があの子を好きなら、しっかりと伝えておけ。そうでないときっと後悔してしまうからな」

 

「クロノ」

 

「……何だ」

 

「その、えっと。……ありがとう」

 

 

 そんな彼の不器用な気遣いに感謝を。ユーノは素直に抱いた。

 

 

「別に、大した事じゃないさ」

 

 

 そんな感謝に、気取った台詞が返される。

 だが朴念仁気味な彼の事、気取った心算もない本心なのだろう。

 

 そんな態度に甘える様に、ユーノは空のソフトボトルをベンチに置いて、話題を変えた。

 

 

「けどさ、一ヶ月あれば帰れるって言ってたのに、全然帰れないよね。なのは、心配してなきゃいいけど」

 

「それはすまんな。渡航制限が行われる時期になっているとは思ってなくてな、まあ後三ヶ月は待ってくれ」

 

 

 現在、ミッドチルダの航路には渡航制限が適応されている。

 管理局の手によって、航行可能な艦船に大幅な制限がかけられているのだ。

 

 管理局上層部の許可を得た者。一部のVIP。ミッドチルダに帰投する管理局所属船艇。

 それらを除いて、クラナガンにある港を使用することが許されていない。首都から許可なく出向する事が、全面的に禁止されている。

 

 クロノは三ヶ月もすれば、渡航制限は解除されると言っているが――

 

 

「そもそも何で渡航制限とかあるのさ」

 

 

 そもそも、何故そんな制限があるのか。

 他の管理世界では聞いた事もない内容に、ユーノはそう疑問を零す。

 

 

「それは……いや、お前も知る資格があるか」

 

 

 態々渡航制限を行うのには、当然ながら理由がある。

 その事情を教えて良いのか、僅か逡巡するクロノであったが、渡航制限でユーノが不利益を被っている以上は知っても構わないだろうと判断する。

 

 

「この渡航制限の理由は――」

 

「お、ここに居たか! クロノ!!」

 

 

 渡航制限の理由を語ろうとしたクロノは、唐突に掛けられた声に阻まれた。

 

 声の主へと振り向くユーノとクロノ。

 その先には茶色に近い橙色をした短髪の、好青年というべき容姿の青年が立っている。

 

 

「ティーダ?」

 

 

 切羽詰まった表情の彼に、クロノは疑問を口にする。

 そんなクロノの下に駆け寄ったティーダは、地面に手を付いて頭を下げた。

 

 

「頼む! クロノ! 僕を助けてくれ!!」

 

 

 目の前で突然土下座し始めた青年。

 その姿に、ユーノとクロノは困惑することしか出来なかった。

 

 

 

 

 

3.

「いや、妹へのプレゼントくらい自分で決めろよ」

 

「そうと言いつつ、一緒にショッピングモールに来ている辺り、クロノも意外と付き合い良いよね」

 

「お前だってそうだろう。……あいつなんて放っておけばいいのに」

 

「いや、目の前で土下座して、初対面の僕にも意見を頼むような人を放っておく訳にはいかないだろ?」

 

 

 そんな風に会話を続けるユーノとクロノ。

 彼らの目の前には、子供服売り場であれも似合うこれも似合うと、発狂している馬鹿兄の姿があった。

 

 高級店の店員の表情が引き攣っている事実が、彼の質の悪さを示している。

 如何に訓練されたサービス業関係者でも、これは流石に許容範囲外だったのだろう。

 

 管理局員でなければ、確実に局員を呼ばれている不審さだ。

 

 

「ああ、ティアナ。君に贈るべきプレゼントを一人では選べない駄目な兄を許してくれ!」

 

「……いや、お前はまず、そんな自分を顧みろ」

 

 

 天を仰いで、そんな嘆きを漏らす不審者。

 その姿に執務官は溜息を吐いて、無駄と分かっている突っ込みを口にした。

 

 

「えーと、ティーダさんってこんな人なの?」

 

「いや、仕事中はもっと真面だ。管理局員の模範と言える程度には、好青年な男だよ。……妹が関わらなければ」

 

 

 妹に似合いそうな服を抱きしめながら、大声を上げる男の姿。

 そんな彼の姿に他人の振りをしたくなった二人は視線と話題を逸らす。

 

 

「制服を見た感じだと、ティーダさんって空の人だけど、仲良いの?」

 

「士官学校時代の腐れ縁だな。大分年は違うが、僕とは同期という奴だ。……まあ、天魔襲来がある影響で管理局の陸海空の前線メンバーは大体仲が良いんだが」

 

 

 同じ戦場で同じ釜の飯を食った仲という奴だな、そう語るクロノにユーノはそういう物かと頷いた。

 

 

「管理局の部署ごとの仲の悪さは有名だったけど、現場だとそうじゃないんだな」

 

「好き嫌い言っている余裕がないしな。ナカジマ准陸尉をお前に紹介出来たのだって、直接の知り合いだったからだぞ」

 

「ああ、クイントさんって陸の人だったんだ」

 

 

 知らなかったと口にするユーノに、一月師事した相手の所属くらいは知っておけとクロノが突っ込む。

 

 そうして続けるように、仲の悪い噂の原因をクロノは語った。

 

 

「対立しているのは上層部と現場を知らない本局勤めの連中くらいさ」

 

「上層部の対立はあるのか」

 

「ああ、予算争いでどうしても、な」

 

 

 管理局が国営とは言え、組織である以上どうしても予算制限は付いて回る。

 

 限りある予算の分配について、陸は天魔襲来の危険性があるミッドチルダの防衛力強化。特に平時における首都防衛機能へと力を回すべきだと主張する。

 

 空もミッドチルダの防衛強化には同意だが、陸よりも緊急時対応能力の高い空の方が重要なのだからこちらに予算を回すべきと口にする。

 

 海は彼らとは逆に、管理局設立意義である管理世界の安定こそを重視すべきと語っている。そして専守防衛を続ける限り、結局天魔災害は終わらない、とも。

 

 どこも間違ったことを言っている訳ではなく、どの論にも一理はある。

 故に少しでも予算を多く欲しい上層部は、互いに険悪な状況になっている訳だ。

 

 最も、現場レベルだと、派閥争いなどしている余裕はない。

 その為、陸と海の局員が肩を組んで酒を飲みに行く、という光景も珍しくはなかった。

 

 

「面倒だね」

 

「ああ、面倒だ」

 

 

 そんな事情を聞かされたユーノは、素直に内心を吐露し、クロノも同意する。

 人の世というのは、とかく面倒な物である。人が集まる組織と言う物は、その面倒から逃れられないのだ。

 

 

「って君達。無視してないでティアナへの贈り物でも一緒に考えてくれないか!?」

 

「いや、そう言われても」

 

「……その服で良いんじゃないか?」

 

 

 どうでも良いとクロノは、店頭のマネキンが着ている子供服を指差す。

 その指の先にある服をジロジロと眺めて、ティーダは頭を抱えて叫び始めた。

 

 

「だ、駄目だ! スカートが短すぎる!! ああ、こんな短いスカートを履いては、ティアナが町の野獣たちに!?」

 

「……ティアナちゃんって何歳?」

 

「今年で六つだな。……年の割に良く出来た、良い子だぞ」

 

 

 六つの子供が、どんな対応をされると妄想しているのか。

 ティアナーと叫ぶ馬鹿兄の姿に、ユーノとクロノは揃って嘆息した。

 

 

「応援でも呼ぶか」

 

 

 同性が選んだ服なら、こいつも納得するだろう。

 通信端末を片手で操作して、クロノは自身の恋人へと連絡を取るのであった。

 

 

 

 

 

4.

「兄さんがご迷惑をおかけしました」

 

 

 どこか舌っ足らずな口調でぺこりと頭を下げる少女、ティアナ・ランスターに二人は揃って苦笑を返す。

 

 仕事中の為来れなかったエイミィが、通信端末越しに選んだ花柄のワンピース。それは幼い少女に、とても良く似合っている。

 

 

「全く、誕生日でもないのに、暫く会わなかったら何か買ってくるんですよ、兄さんは」

 

「まあ、愛されているって感じじゃないのかな?」

 

「そうですね。それは分かりますし、嬉しいですけど、もう少し大人しくして欲しいような」

 

「……あいつも生きて帰れるのが嬉しいんだ。あまり邪険にしてやらないでくれ」

 

 

 ティアナの愚痴に、クロノはそんな言葉を返す。

 そんなクロノの言葉に、ティアナは首を傾げて問い掛けた。

 

 

「クロノお兄ちゃんが、兄さんを守ってくれるんですよね?」

 

「……まあ、共同で任務に当たる時はな。守るというより、支え合うという形だが」

 

「なら大丈夫です! クロノお兄ちゃんの事は信用していますから!」

 

 

 だからきっと大丈夫。そんな風に明るく笑う少女。

 オレンジ色のツインテールが揺れる姿に、クロノも釣られて笑みを浮かべる。

 

 

「ならその信用に背かないよう頑張らないとな。ああ。約束する」

 

「はい。約束です」

 

 

 無邪気に笑う少女と小指を絡めて、クロノは約束する。

 互いに支え守り合って、彼女の下に必ず兄を帰す事を。

 

 

「おのれぇぇ、クロノめぇぇぇ」

 

「……ティーダさん、落ち着いて下さい」

 

 

 そんな彼らの姿に、「僕は兄さんなのに何故クロノがお兄ちゃんなんだ」とドロドロした目で彼女の兄はクロノを見詰める。

 

 その血走った瞳に引きながらも、ユーノは落ち着かせようと言葉を掛けた。

 

 

「ええい。飲むぞ!!」

 

 

 ユーノに言われずとも、ここでクロノに突っ込めばティアナがどう反応するか、分かっている。

 

 故に恨み言も言えないティーダは、乱暴な動作で自棄酒を煽るのであった。

 

 

 

 

 

 夜も遅くなった為、ユーノとクロノはもう帰ろうとする。

 そんな彼らを、玄関先まで見送りに出るのはティアナ一人だ。

 

 酒を飲んで居間で爆睡しているティーダ。

 幼いのに後片付けをしながら、こうして客を見送るティアナ。

 

 兄より良く出来た妹なんじゃないか。

 若干六歳の少女の姿に、一瞬ユーノはそんなことを思ってしまった。

 

 

「……兄さんも、昔はもっと真面目だったんですけど」

 

 

 ユーノの表情から察したのか、苦笑いしながらティアナは口にする。

 そんな言葉を口にした少女の表情には、確かに親愛の色が強く出ていた。

 

 

「ティーダは――」

 

「クロノ?」

 

「いや、ここで話すべきじゃないか、後で話す」

 

 

 そんなティアナの様子に、ティーダが変わった理由を知るクロノは口を開こうとして閉じた。

 

 彼の脳裏に浮かぶのは母の折檻。空気を読めという良く分からない教え。

 

 

(あのこと、ティーダはティアナには知られたくないだろうし、今言うべきじゃないのか? これが空気を読むと言うことだろうか?)

 

 

 どうにもしっくりこない感覚に首を捻りながら、ティアナに別れの挨拶をするとユーノを引き摺って行く。

 

 

「また来てくださいね! クロノお兄ちゃん。ユーノさん!」

 

 

 にっこりと手を振るティアナ・ランスター。

 彼女の背後で寝ている青年は「何故僕が兄さんで、クロノがお兄ちゃんなんだ」という寝言と共に血涙を流しているが、少年達は見なかったことにして立ち去った。

 

 

 

 

 

 ランスター兄妹の住まう家から少し離れた住宅街の中、ゆっくりと歩を進めるクロノはティーダ・ランスターが変わった事情についてユーノに話していた。

 

 

「ティーダはな、以前は随分と真面目な奴だった」

 

 

 職務熱心。品行方正。管理局員かくあるべし。

 公務中は勿論、私事の間ですら、規律に正しい姿を見せていた頃を思う。

 

 

「士官学校でスキップした僕と同時に卒業。僕が主席であいつが次席だった。そんなあいつの夢は執務官になることでな、僕が執務官試験に最年少で合格した時は随分と悔しがっていたよ」

 

 

 だがティーダ・ランスターはそれで腐らなかった。

 ひたむきに勉学を続け、職務の間でも執務官を目指すことを諦めなかった。

 

 それは任務でクロノと一緒に動くことになった時、報告書を提出した後に年下である彼に頭を下げて教えを乞う程。

 

 それほどに彼は真剣であった。

 彼は本当に真剣な想いで、夢を目指していたのである。

 

 

「そう。あいつは必死で勉強して、僕や他の執務官と知り合う度に教えを乞うて、努力を続けていた。そしてそれは実ったんだ」

 

「ん? でも、ティーダさんは」

 

「空の首都防衛隊所属だな。勿論、それにも理由はある」

 

 

 今のティーダは、執務官ではない。

 首都防衛隊の一士官として、ミッドチルダで活動している。

 

 

「あいつが執務官試験に合格して、その後の短期研修で次元航行船に配属された時にな。……ティアナちゃんが倒れたんだ」

 

 

 執務官は、特殊な資格とされている。

 逮捕権と裁判権。弁護士や検事としての権限を併せ持つ資格である。

 

 その権限の大きさ故に、合格直後の研修も多く取られる。

 より多くの経験を積ませる為と言う名目で、新人の執務官が他の部署を行き来する事はそう珍しくもない。

 

 

 

 執務官に頭を下げて時間を作ってもらい、勉強が出来ている環境。そんな優れた環境で必死に勉強していたティーダは、故に家族を疎かにしてしまっていた。

 たった一人の妹が体調を崩してしまっていることに、疲労から気付くことが出来なかったのだ。

 

 そして一月の航海と言う研修を終えて帰って来た時、彼が見たのは病室で眠る妹の姿であった。

 

 

「あいつ。直ぐに執務官資格返上の手続きを取ってな。何故と問う僕にこう言ったよ。夢よりも大切な者がある。そんな当たり前のことに漸く気付いた、とね」

 

 

 執務官となれば、権限の大きさに伴って仕事の量も増加する。

 

 前線に出ないタイプの執務官と言うのも多く、必ずしも船で長期出張をしなければいけない職種ではない。

 それでも、唯の一局員に比べて、拘束時間が増えるのは当然だ。高いキャリアと給与には、相応の責務が発生するのである。

 

 故にティーダは、まだ正式な資格取得となっていなかった事を利用して、返上手続きを申請した。少しでも長くティアナと共に居る為に、彼は己の夢を諦めたのだ。

 

 

「……何か、凄いね」

 

「ああ、凄いよ。……ただ、今まで蔑ろにしてしまった妹にどう対応して良いのか分からなくなってしまったらしくてな。取り合えず愛情表現だけは自重しないことに決めたらしい」

 

 

 それがあのシスコン誕生理由。

 それは余りに行き過ぎだろうと、ユーノは頬を引き攣らせた。

 

 

「その所為でティアナちゃんに、兄さんうざいと言われているあいつを見るのはちょっと胸が痛くてな」

 

「……ああ、から回っているんだ」

 

「確かにティアナちゃんが絡んだあいつはうざいが、……なぁ」

 

 

 もうちょっと報われても良いんじゃないか、とティーダを良く知るクロノは思う。

 

 本人は今の方が生き生きとしているから、多分幸せなのだろう。だが、もう少し、恵まれても罰は当たらないとも思うのだ。

 

 

「まぁ、人に歴史あり、って奴だな」

 

「……そうだね。ちょっと意外だった」

 

 

 言ってユーノは住宅街にともる灯りを見る。

 たった一軒の家庭でこれだけの歴史があったならば、この地に生きる人々にはどれほどの過去があるのだろうか、と。

 

 そんなユーノの視線に気付いたのか、クロノは己の決意を口にする。

 

 

「それを守るのが、僕ら管理局の役目だ。僕はそう自負している」

 

「これを、守る?」

 

 

 無数に灯る小さな輝き。日常に交わされる多くの刹那。

 そんな輝きを守り抜く、それは口で言うほど簡単なことではない。

 

 守るという言葉は、軽々しく口にして良い物ではない。

 

 軽い言葉は、言葉の意味自体を軽くする。

 覚悟や守ると言う言葉を容易く使って破る奴は、ただの未熟な恥知らずでしかない。

 

 だが、それでもクロノは使う。

 分かって口にする言葉は、意志を固めて己に誓う為にある。

 

 

「そう。このミッドに生きる人々を大天魔から守る。管理世界を平定し、今なお戦争が起こっているような世界を安定させる。そう誓うこと。成し遂げるという覚悟を持つこと。それこそが管理局員に必要とされる資質なんだって、僕は考えている」

 

 

 お前にその意志はあるか?

 安易に管理局に入ろうと考えている少年に、クロノはそう問い掛けていた。

 

 

「分からない。僕の手は、そんなに大きくはないから」

 

 

 ユーノの手は、たった一人を守るので精一杯だ。

 あのいけ好かない鬼を、殴り飛ばす手段としてしか考えていなかった。

 

 

 

 手を開いて空を見上げる。指先を大きく広げてみる。

 その手で無理に多くを掴もうとすれば、開いた指の隙間から零れ落ちてしまうとユーノは知っている。

 

 

「だが、一人で救う必要はないんだ」

 

 

 そんな彼の手に、クロノは己の手を重ねる。

 開いた指の隙間を埋めるように、彼らの掌は重なって――

 

 

「ほら、隙間は減っただろう?」

 

 

 隙間は、少しだけ小さくなった。

 二人で手を重ねれば、確かに救える量は増えるのだ。

 

 

「二人なら救える量が増える。もっと大勢、組織皆で協力すれば、ミッドチルダだって掴めるはずだ。僕はそう信じている」

 

 

 そう信じる事、信じられる事。

 それこそが管理局員だと誇るように、クロノは口にする。

 

 凄いな、とユーノは圧倒されていた。

 

 

「けど、何で僕にそんな事を? 管理局員を目指しているから、ってだけの理由じゃないっぽいけど」

 

 

 だが、同時に違和を感じる。それにしてはおかしい、と。

 そんな心得は、実際に局員になってから教えても十分間に合う事であろう。

 

 思えばおかしいのはクロノだけではなかった。そう、ユーノはようやく気付いた。

 

 

「そうだな。知っていてもらいたかったのだろう。僕らが戦う理由。その意志が消えてしまわないように」

 

 

 誰もが焦っていた。誰もが悲壮感を抱いていた。

 

 クイントが一月の間に、多くを教え込もうとした事。

 その姿には、何かに急がされている様な、そんな印象が浮かぶ。

 

 ティーダがティアナと話している際、その姿を目に焼き付けるかのようにしっかりと見詰めていたことが気になった。

 

 そしてクロノだ。彼のこの言葉。

 彼とティアナの約束には、どこか違和感が拭えない。

 

 

「管理局が渡航制限を行う理由は、管理世界中に散っている戦力をこのミッドチルダに集める為にある。大量の航行船が港に集まる以上、民間企業なんかが入って来るとそれだけでトラブルの火種になり兼ねないからな」

 

「クロノ?」

 

 

 今更ながらに、渡航制限の理由を口にするクロノ。

 その姿に疑問と嫌な予感を抱いて、ユーノは首を傾げた。

 

 

 

 そして、クロノは天を指差す。

 そこにあるのは双子月。その月は少しずつ近付いている。

 

 

「一月後、あの月が一つに重なる」

 

 

 双子月が、重なる。

 それが意味する事は、唯一つ。

 

 

「ミッドチルダ大結界が止まる。天魔が来るぞ!」

 

 

 ミッドチルダに、彼らが来る。

 その言葉は、何よりも重くユーノの心に響いた。

 

 

 

 

 

 




ティーダさんの性格が良く分からない。なので捏造。

優秀で妹思いの好青年が、妹の危機に気付けなかった。
なのに笑って許されたらシスコンが暴走するんじゃね、とかいうイメージ。

普通に妹思いが行き過ぎたお兄ちゃんにしようと思ったら、なんかドラマCDの水銀並の変態になっていた。解せぬ。


以下、オリ歪み解説。
【名称】存在重複
【使用者】クイント・ナカジマ
【効果】自身の強制力が及ぶ範囲内で、あらゆる要素を二倍にする歪み。
 体が二倍。力が二倍。足の速さが二倍。消費カロリーが二倍など、倍加する対象は多岐に渡る。自身を二人に増やして、傷を片方に押し付けて治癒するという荒業も可能となっている。
 反面、この歪みはもう一人自分が居れば良いのにという想いから生じた物である為、倍加の重ね掛けは非常に難しい。
 自分を増やせる数は倍の倍、四倍が限度で、他の要素は八倍が限界。さらに限界使用した直後は歪みが強制解除され、数秒程使用不能になるという欠点もある。


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