……ダンジョン、に……出会、い、を……求める、のは……間違ってい、る……の?   作:カミカミュ

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ちゃっかり、ソード・オラトリアの内容ぶっこみます。

02/07 加筆訂正中…


3話 芋虫とロキ・ファミリア

 

 

 

 

 

冒険者になって半月ほどが経った。ここしばらく私は教会に戻ってはいない。理由はどこまで潜れるかを試してみたいからだ。一度私のステータスを見たヘスティアは悩みに悩んだ末に頷いてはくれたけど、『目立つ行動はしないこと』だそうだ。私自身も目立った行動の後に自由に動けなくなるのは困るので、頷いておいた。そんなこんなで人目を気にしつつ、ダンジョンに潜り込んで数日が経つ。

 

 

-5日と14時間08分21秒13経過-

 

-到達階層51階層目-

 

-50階層目にてキャンプ地を発見しましたが、こちらを捉えたものはいませんでした-

 

 

少し前に買った装飾や柄のない白いローブに包まれたシュヴィは周囲を警戒しつつ探索する。目的もなく地形を確認しながら歩いていると、何かが暴れまわったのか木々が無残にへし折られるか押しつぶされ、周辺の壁や地面がひび割れた空間に出た。

 

よく見ると木々の一部に何かが付着しており、樹皮を濃い紫色に変え黒煙が上がっている。少し辺りを散策してみると、被害を受けてない場所があった。

 

この部屋の最奥に位置し、小さな岩窟から僅かな水が湧き出ており、流れ出た先で神秘的な青い輝きを宿す泉ができている。その泉の前には大量の灰が積もっていた。灰をどけると中には金色に輝く翼の皮膜の一部がある。何かのモンスターのドロップ品のようだ。

 

 

「……ん、お土産、に……いい」

 

 

シュヴィはソレを回収し、一旦戻ろうかと考えていると、複数の足音に人の気配がこちらに来る。

 

 

「……君が、強竜(カドモス)を、倒したの?」

 

 

長く腰辺りまで伸ばした金髪に最低限の守りだけされた蒼い軽装の女性が話しかけてきた。

 

 

「……違、う、私が来、た……時にはこ、の、状態だっ……た」

 

「アナタ、こんな深い階層に来るなんて、どこのパーティ?あと、ファミリア名も答えてくれないかしら?」

 

 

胸が大きい褐色の女性が質問をしてくる。しかし、ヘスティアに目立つなと言われた手前素直に話すわけにはいけないので適当に答えておく。

 

 

「……ん、目立つ、の、ダメ……言われ、た、から……ファミリ、ア、はタブー……あと、一人でき、た……」

 

「いやいや、一人はさすがにないでしょー」

 

「そ、そうですよ。こんな深層まで、パーティもなしに来るなんて考えられません!」

 

 

無い胸褐色女と森精種が否定してくる。そうは言われても、事実なのだけど。この階層程度のモンスターたちならば全力を出すまでもなく片手間に終わる。

 

 

「……む、一人だ、も……ん……あと、後ろ、に、敵い……る」

 

『え?』

 

 

話しかけてきた4人の後ろには巨大な芋虫のモンスターがいた。全身を染める色は黄緑。膨れ上がった柔らかそうな緑の表皮に、所々に濃密な極彩色が刻まれており、異様に毒々しい。腕のような器官が伸びた奇妙な芋虫である。

 

その巨躯か芋虫かに驚いた4人は一瞬動きを止める。攻撃のモーションに入った芋虫に対して動くタイミングが遅れた4人の横を碧い閃光が横切る。閃光は芋虫に着弾するとゴバァッ!と轟音の後に芋虫は蒸発してしまった。

 

 

「……ん、魔石は無、事……」

 

「え、いやちょっt『――あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!?』!?」

 

「今の声っ!」

 

「ラウル……!」

 

 

今の悲鳴を聞いた4人は駆け出していく。残ったシュヴィは泉の水を汲んでいた。見た感じだと、何かの効能でもありそうな不思議な水だ。

 

 

「……これ、も、お土……産」

 

 

ゆっくりと、50階層への階段を登るシュヴィ。登った先の50階層の風景は来た時と変わっていた。あちこちから黒煙が上がり、キャンプ地は崩壊している。そして、女型の巨大芋虫と戦う金髪が目に入った。首をかしげながらも上へ上がる階段のあたりにいる人物達に指示を出す者へ近づく。

 

 

「……ねぇ?……上がらな、い、の……?」

 

 

小人族の少年がこちらを振り向き。私を怪訝そうな顔で見たあと尋ねてくる。

 

 

「……君はどこのパーティの者だい?」

 

「……パーティ違、う……一人……」

 

「……ふむ、まぁいい。今は見ての通り、あのモンスターの討伐が終わるまで僕たちは上には行かないよ。保護が必要なら君も待つといい」

 

「……ん、分かっ、た……」

 

 

シュヴィはくるりと小人族の少年に背を向け、モンスターへと歩き出す。それを見た小人族は慌てたように私に声をかけてくる。

 

 

「ま、待て!何処へ行くつもりだ!巻き込まれるぞ!!」

 

「……ちょっ、と、倒し、て、く……る」

 

そう言い残し、少年が後から叫んでくるが無視して駆ける。

 

 

「――『制速違反(オーヴァ・ブースト)』――」

 

 

超高濃縮精霊に指向性を与え、揮発し超加速した蹴りをモンスターに叩き込む。扇に似た厚みのない腕が引きちぎれて吹き飛ぶ。蹴りの威力にモンスター自身も体勢を崩し地面を転がる。金髪女が驚いたように瞳を見開きこちらを見るが今は無視だ。

 

 

「――【典開(レーゼン)】――『偽典・焉龍哮(エンダーポクリフェン)』――」

 

 

唱えた私の右腕が変化し、1m程の砲塔になる。そして、私は本来の1割ほどの威力で砲撃を撃ち出す。本来の威力で打ち込めば、この迷宮を何階層撃ち抜くかわからない。この世界では、私がどの程度まで手加減できるかにかかってる気がする……。私の砲撃により、広範囲にクレーターを残すことになったが時間と共に再生するだろう…‥多分。少年の元に戻ると、何故か歓迎され、一緒に地上に戻ることになった。

 

ここで、先程までに会った人物の名前を知ることができた。

 

 

金髪女がアイズ・ヴァレンシュタイン

 

小人族の少年がフィン・ディムナ

 

おどおどした森精種がレフィーヤ・ウィリディス

 

無乳褐色がティオナ・ヒリュテ

 

巨乳褐色がティオネ・ヒリュテ

 

 

他にも狼男とキリっとした森精種のリヴェリアについても紹介されたが狼男が喚いていたせいでの名前が聞き取れなかった。後、泉で回収した水は欲しがってたので余分に取った分をあげた。こうして、一旦私は地上に戻ることにした。

 

 

……………………………………目立っ、た、か……な?

 

 

 

 

 




目立ったシュヴィである。

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