……ダンジョン、に……出会、い、を……求める、のは……間違ってい、る……の?   作:カミカミュ

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|・ω・)ノ⌒【13話】ゴトッ


|))<カクレローミツカルナー





感想の方ですが返信はしようと思いますが、少し時間が空いての返信になりそうです・・・。


13話 食人花と機凱種

 

 

次の日

 

ベルは完治したてでダンジョンに行くと言い朝早くに出かけてしまった。シュヴィは定期的に行っているメンテナンスをしていた。武装に問題はないか、各機関の調子はどうかと簡単におこなっていく。典開時にも特に問題がないことを確認し、追加された武装一覧を一通り見ていく。さて、武装を全体的にチェックしてみたのだが、やはりというかわかりきっていた事だが『弱い武装』というものは存在しない。あの世界で作り出された武装に弱さはなく、牽制としての武装すら存在しない。

 

例えるなら目くらましとして光を放出する武装があったとしよう。それは敵の目をほんの少しだけでも逸らすことは出来るかもしれないが、それ以上に自分の居場所を回りに知らせてしまい死につながる結果となろう。第一に機凱種より上位の種族に光程度で動きが鈍る者達などいない。その様な貧弱な武装など用意などせず、直接相手の視界を焼き尽くして視力を奪ってしまうほうが何倍も有効的である。

 

シュヴィが用意した『弱撃』でダメージを負わない奴らが闊歩していたのがあの世界である。大気は死に、太陽は隠れ、天を割り、大地は裂いた、全種族が力と技術に知恵を働かせ殺し合う世界。相手を絶対的に殺す力を持つか、殺されないように最後まで逃げ続けるか。殺すために滅びないために編み出された武装は、この地では手に余るものとなった。

ハッキリ言えば使い所がないのである。補助や防御といった攻撃性の無い武装はこの先重宝するだろうが、攻撃重視の武装は『被害を周辺に出さず、目の前の敵だけを殺す』には典開するたび演算しなおし、調節して撃つという工程が必要になる。その様なことをしている間に殴るか蹴り殺したほうが早いのである。

 

この先、弱撃や素手による攻撃だけで戦ってもいいのだが、いささか目立つ。武装を使えば周りの被害が問題になる。武器を持ち歩いてもいいのだが、初日のように武器の耐久が心配でもある。もしかすると、派手に使う冒険者用に壊れない対策された武器もあるかもしれないが、現状武器についてはそこまで必要に感じていない。

 

となると魔法がこの世界にもあるようだが、それを解析し、使用するのが最善の手だと考える。一度魔法についてギルドか知り合いの者たちに聞いてみたほうがいいかもしれない。

 

そう考え、教会から出ると悲鳴が聞こえた。常人では聞き取ることは不可能な距離での悲鳴が聞こえた。ただの悲鳴ではない、命の危機にある生物が放つ叫び声。すばやくそれを理解したシュヴィは長距離観測機を使い場所の特定を急ぐ。悲鳴が聞こえたのはここからバベルより先にある円形闘技場付近。

 

モンスターの数は10を越える。数体は闘技場の中にいると予測し、その周辺に観測を向ける。13、12、11、10、9、8、7とすでに討伐が始まったのか数を減らしていく、そして残り5体。モンスターの反応は1体がベルとヘスティアの反応の方へ。残り4体はアイズの反応付近にいる。

シュヴィは咄嗟に攻撃用の武装を典開したが街中では使えないことを考え、拘束用の魔法へと切り替える。

 

 

怒呪の矢(ツォルン・プファイル)

 

 

弓の形に変化した左腕から5体に向けて鏃部分が黒と紫のオーラが互いに侵食し合う歪な矢が放たれる。矢の効果は拘束とは無縁の着弾した相手を最終的に殺すものである。鏃の黒のオーラに触れた部分は生物なら腐り落ち、物質なら脆くなるか錆びて崩れる。紫のオーラは触れた部分を強力な溶解液を掛けられたかの様に溶かしてしまう。

 

説明だけでは凶悪そうに見えるが、あの大戦でダメージを受けたのは精々人類種くらいだ。大抵躱されるか、弾かれるか、届かない。

 

そして結果は、1体に直撃し、1体の左腕を擦り、3体躱された。

 

直撃と躱されたのはアイズ方面だ。ベルとヘスティア方面のモンスターは左腕を犠牲に避けた。追撃を放とうとしてシュヴィは動きを止める。先日のベルの言葉を思い出したからだ。彼は言った『強くなりたい』と。では、今から追撃を放ちモンスターを始末して良いのだろうか?否、これはベルに経験を積ませるとしても絶好の機会だ。それに相手のモンスターは左腕を失い失血し、バランスも上手く保てないでいるはずだ。これならばベルでも倒せるだろう。

 

それなら、躱した3体の方に行くべきだろう。

 

 

偽典・天移(シュラポクリフェン)

 

 

その場からシュヴィの姿は消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叩きつけられ衝撃で立ち上がれないレフィーヤに迫っていた食人花は突如として飛んできた禍々しい矢が異臭の漂う口へと突き刺さり、黒と紫のオーラに包まれ腐り、溶け崩れた。レフィーヤはもちろん触手と戦っていたティオナやティオネは本体がやられたことで腐り落ちる触手を見ながら、駆けつけたアイズも呆然としていた。だが、地面が再度揺れる。

 

 

「ちょ、ちょっとっ」

 

「まだ来るの!?」

 

 

ティオナ達の悲鳴と同時に新たに3匹の食人花が現れる。閉じていた蕾みを一斉に開花させ、見下ろすような格好でその強大な口を彼女たちに向ける。そこに先ほどの矢が食人花を襲うが先程ので学習したのか地面に潜り回避する。地面から出たところをアイズがレイピアで斬りかかろうとするが、ビキッという亀裂音の後に、レイピアは粉砕した。アイズの得物が壊れたことに彼女たちが驚愕するが、食人花は蠢きだす。

 

食人花は壊れたレイピアで攻撃するアイズに対して攻撃を行っていく。ティオネとティオナが参戦するも食人花は見向きもしない。

 

 

「ちょっと、こっち見向きもしないんだけど!今度はアイズ!?」

 

「魔法に反応してる……!?」

 

 

風の魔法を行使するアイズへと触手の鞭で辺り一帯を破壊しながら迫る。それを連続で回避しつつ、倒れたレフィーヤから遠ざけるように後退していくアイズ。

 

 

「アイズ、魔法を解きなさい!追い掛け回されるわよ!」

 

「でも……」

 

「一人一匹くらい何とかするって!」

 

 

殺到する攻撃の中、アイズはティオネ達から呼びかけられ、止むをえず魔法を解除しようとした。そこで視界に逃げ遅れたのか獣人の子供が座り込んでいるのが見えた。判断は一瞬で済み、風の気流を全開で纏おうとした時だった。

 

3匹食人花の動きが突然止まり、後方へと振り返った。

 

アイズ達も何事かとそちらへ視線を向けると、

 

空間が捻じ曲がるかの様に渦巻き、そこに少女が現れた。

 

 

そして、少女……シュヴィは呟く。

 

 

「……こ、の攻撃……はど、の、ように避……ける、の?」

 

 

 

偽典・極劫零獄(エブナフォードポクリフェン)

 

 

 

辺りが冷気で覆い尽くされた。

 

 

 

 

 





『怒呪の矢』-ツォルン・プファイル-
・腐らせ、錆びらせ、溶かしちゃう危ない魔法の矢
・拘束用()


『偽典・極劫零獄』-エブナフォードポクリフェン-
・めちゃくちゃ凍る

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