……ダンジョン、に……出会、い、を……求める、のは……間違ってい、る……の? 作:カミカミュ
|・)ヒョコッ
|(・_・= ・_・)o キョロキョロ
|・_・)っ【12話】コトッ
|<バレテェネェナ...
シュヴィがヘスティアを観測したのと同時刻。
土下座を続ける神友に仕事が身に入らず、事務を投げ出す。
「……ヘスティア、教えて頂戴。どうしてあんたがそうまでするのか」
へファイストはジッとヘスティアを見据えながら聞く。
「……あの子達の、力になりたいんだ!今あの子達は変わろうとしている。特にベル君は一つの目標を見つけて、高く険しい道のりを走り出そうとしている!シュヴィ君は武器も持た…ず?うん、見た目は素手でダンジョンに潜ってる!二人とも大した武器を身につけてはいないんだ、だから欲しい!あの子達を手助けしてやれる力が!あの子達の道を切り開ける、武器が!」
視線は床に縫いつけたまま、へファイストの方を見向きもせずに言葉を続ける。
神が神に願う行為。それは本音を包み隠さずさらけ出し、自分という存在をぶつけるための儀式でもあった。神を動かすには足りる想いか、吐露をもって証明する。
「ボクはあの子達に助けられてばっかだ!ていうか、養ってもらってお小遣いが貰える、中々の良待遇になってきている!ボクはあの子達の主神なのに、神らしいことは何一つだってしてやれてない!」
最後は搾り出すようにして、ヘスティアはぐっと体を強張らせた。
「……何もしてやれないのは、嫌なんだよ……」
消え入りそうな弱々しい言葉は、しかしヘファイストスを動かすに足りた。
この時、偽らざるヘスティアの想いを、彼女は認めたのだった。
「……わかったわ。作ってあげる、あんたの子にね」
ばっと瞠目した顔を振り上げたヘスティアに、ヘファイストスは肩をすくめて見せる。
「私が頷かなきゃ、あんた梃子でも動かないでしょうが」
「……うんっ、ありがとう、ヘファイストス!」
すぐに立ち上がりよろめいて四つん這いに戻り、破顔する友の姿に、ヘファイストスは形だけのため息をつく。
「――で、言っておくけど、ちゃんと代価は払うのよ。何十年何百年かかっても、絶対にこのツケは返済しなさい」
「わ、わかってるさ、ボクだってやる時はやるんだ。ああいいとも、いいさ、ベル君とシュヴィ君への愛が本物だって、身を持ってヘファイストスに証明してあげるよ」
「はいはい、楽しみに待っているわ。で、あんたの子が使う獲物は?」
ヘファイストスは飾り棚に向かいながら聞く。
「えっと、ベル君がナイフだけど……」
「そう、もう一人の子は?」
紅緋色の鎚を取り、振り返りながら聞くと、口篭っているヘスティアが目に入る。もう一人の子は確かシュヴィと言っていた。パーティ会場でもその子のことで相談があると。
「信じられないかもしれないけど、シュヴィ君自身が武器みたいなものなんだ……」
その言葉にヘファイストスは眉をひそめる。
「詳しく聞かせなさい」
「シュヴィ君は言っていた、種族は機凱種。生物ではなく、機械でできた種族だって。さらには自分が受けた攻撃を解析し、その攻撃と同等の能力の武装を瞬時に設計したり、その攻撃を模倣して自分たちのものとすることができる。それ故に、理論上無限に強くなることができるってさ、シュヴィ君の武装を見せてもらったこともあるけど、おかしいんだ……」
「……おかしい?」
「どれもこれも、街は消え、緑は滅び、大地を吹き飛ばし、海を蒸発させる。そんなデタラメことが行使できる武装の数々。シュヴィ君自身の耐久度だって深層のモンスターですら傷を与えるのは難しいと思う」
種族名すら聞いたことが無い。むしろそんな種族が存在していたら、全ての頂点に立つ強さだ。考えを巡らしていると、「あとね……」っとヘスティアが漏らしたので聞く。
「ある日ポツリと言ってたんだけど『……シュヴィ、は位階序列十、位、大したことじゃ……ない』ってさ、シュヴィ君以上の種族が九つもいると思うとぞっとしないかい?」