〜祈side〜
「ふふっ、そのっちたら」
「何やってんの園子」
僕と須美はいまイネスのフードコートの椅子に座っている。銀と園子はいろんな場所を食べ歩いている。今園子たちはたこ焼きを食べている。
「ひ、ひのはん。あふい!あふいよ〜!(ミノさん。熱い!熱いよ〜!)」
「でも美味しいだろ?」
「うん〜」
あの二人を見ていたらなんだかお腹すいてきたな、僕もたこ焼き買いに行こっかな。
「須美もたこ焼き食べる?」
そう言って僕は席を立つ。
「あ、じゃあ私も……」
「須美の分も買ってくるよ、だから待ってて」
僕はたこ焼きが売ってある場所に行きたこ焼きを二つ頼む。
「いらっしゃい!何がいいか?」
「えと、たこ焼き二つお願いします」
「二つね、ちょっと待っとけよ」
男の人がたこ焼きを焼き始める。僕は他のメニューを見ていた。それと後ろを見ると銀と園子が須美と何かを話している、すると突然男の人が。
「お、そうだ坊や」
「何ですか?」
皿にたこ焼きを乗せながら言う。
「彼女は大切にしろよ?人生の先輩からのアドバイスだぜ。ほい!たこ焼き二つ上がり!」
「かっ、か!?」
何だろう最近そんなことばっかり周りから言われてる気が……
「ほら、早く行け王子。姫がお待ちだぜ?」
「たこ焼きありがとうございます。あと、須美は彼女ではなく友達ですから!」
そう言って僕は早足で席に戻る。最後に男の人が笑いながら
「ハッハッハ、青春だね〜少年」
〜須美side〜
「そのっち?なんでそんなことを聞くの?」
私は今とても困ってる。そのっちが突然変なことを聞いてきたのだ。その内容は……
「わっしーは祈くんのことをどう思ってるのかな〜って」
祈くんをどう思っているのか、だった。なぜか銀が少し慌てている。
「す、すす須美?どう思ってるんだ?」
「どう、って分からないわ。一緒にいると楽しいとは思うけど」
自分でどう思ってるのかが分からない。だけど少しだけ好意があるのは実感している。これはイネスに入る前の出来事だが。銀と祈くんが手を繋いでるのを見て。
「なんで!手を繋いでるの!」
「え、いやこれは祈が……」
なんてやりとりがあったのだ。嫉妬かな、まぁこれはとりあえず置いておいて。
今度は二人に聞き返してみる。
「逆に聞くわ。二人は祈くんをどう思ってるの?」
銀が先に答える。
〜銀side〜
「逆に聞くわ。二人は祈くんのことをどう思ってるの?」
須美が聞き返してきた。私はなぜかすぐに答えが出た。
「私は……少しだけど、祈を意識してるんだと思う」
「「え?」」
須美と園子がキョトンとしている。
「さっき手を繋いで感じたんだけど少しドキッとしたんだ」
「それって〜ミノさん、祈くんが好きなの〜?」
「ふぁ!?」
そこに祈がたこ焼きを二つ持ってくる。
「三人とも何してるの……」
〜園子side〜
祈くんがたこ焼きを持ってきて聞いてきた。
「今ね〜ミノさんが祈くんのことが好きって言ったんだよ〜」
祈くんは頭を抱えて。
「はぁ、またその話か……さっき男の人と話してたんだよ、須美と僕が恋人に見えるって。はい、たこ焼き」
「こ、恋人!?」
わっしーが顔を赤くする。ミノさんは
「園子!なんで言うんだよ!?」
「でも私は祈くんとミノさんはお似合いだと思うけどな〜」
冗談で言ったつもりだったんだけど。
「祈と私が……」
あ〜、また前みたいになっちゃった。
「あまり話をややこしくしないでよ……」
祈くんが疲れきったように言う。祈くんも前と同じようにミノさんに話しかける。
「銀、おーい」
ゆさゆさと体を動かす。なんでだろうミノさんが少し羨ましい、私も本当は祈くんを意識してる。
「でもなんでこうなったんだ?」
ミノさんを揺らしながら呟いた。
「祈くんの優しさ、そういうところだよ〜」
祈くんは少し困ったように返答した。
「え?ぼ、僕が悪いのか?」
〜祈side〜
なぜか今日は疲れることがいっぱいある。朝みんなが家に来て、未来の勇者、園子と出会い、こっちに帰ってきたらこんなことになる。もう何も起きないで欲しい。心から思っていた……………が。
「もう今日は疲れた……ん?」
突如起こった異変に四人は同時に気付いた。
「これ……時間止まってるよね〜?私の感覚がいきなり鋭くなったわけじゃないよね〜」
「ええ。それはないわね。敵よそのっち」
「おいでなすったァ!休日台無し!」
四国は、あっというまに樹海へと姿を変えていった。僕は未来での戦いもあって結構体が重い。
「はぁ……また戦うのか……」
園子が僕の独り言に気付いた。
「また?」
「ああ、大したことじゃないから気にしないで」
「(ま、園子と戦うよりは楽かな。バーテックスなんて)」
そんなことを思いながら僕は大橋へと向かった。
大橋につき真ん中で陣を取っていた。すると、ひとつの物体が姿を現した。
「何だあれ……天秤?」
「天秤が……空に浮いてるね〜」
20メートルはあるだろう敵が、ゆらゆらと前進してくる。
「全く、どういう生き物なんだか。ウィルスの中で生まれただけで、あんな形になるもんかね」
二丁斧を構え、銀が攻撃体制をとる。
「なるんじゃない?ウィルスだし」
剣を構えて僕が言う。
「訓練通りに動くわ。分かってるわね銀」
勇者は訓練を受けるらしい。それは突出するな、という須美からの警告だった。
「そうだった。つい敵を見ると突撃したくなる。須美よろしく。」
熱くなる銀の性格は、頼もしくもあり、危なっかしくもあった。その後に僕も言われた。
「銀と同じく、祈くんも気をつけてね?訓練してないから無茶はしないで」
「分かった。気をつけるよ」
「そもそもどこが顔なんだろう〜」
園子は敵のフォルムをじっくりと観察している。
「私が仕掛ける!」
遠距離攻撃のできる須美が攻撃をした。何本の矢を敵にめがけて放つ。しかし
天秤の分胴部分に吸い寄せられ、矢が刺さっても敵は全くの無事であった。
「!もう一度……射かける!!」
だがそれも先程と同じようになってしまう。それに須美は悔しがりぐっ、と唇を噛む。
「(何故だ、なぜ相手は攻撃してこない?)」
僕は警戒を解くことなく相手を見ていた。
「ミノさん、祈くん、あの敵、体と体がつながってる部分が、細くてもろいかも〜……!」
「接続部分を狙って攻撃ね、了解!」
敵の左右から呼吸をあわせて銀と園子が攻撃を仕掛ける。その瞬間、敵が動いた気がした。
「?待て!園子!銀!」
僕の声を発した、だが遅かった。天秤は分胴を振り回すように、大回転をはじめた。
「………くっ!?近づけない」
竜巻のような防御に銀と園子が弾き飛ばされる。回転を利用して先程吸い寄せた矢を、お返しとばかりに、僕と須美の方に射出していた。
「矢をそんな風に返すなんて!」
須美が素早く体をひねる。
「ちっ!」
僕は剣でそれを弾く。避ける方がいいのだかそれだと。
「樹海が……!私の矢で……!」
そう。樹海がダメージを受けると、樹海が戻った時に、街に何かしらの形で災が降りかかる。敵は、前進を続けてくる。
「このっ……不気味なんだよお前は!!」
銀が攻撃を仕掛けるが、やはり回転で弾かれる。それを見ていて。
「(竜巻……そうか!)」
僕はとある事を思い出してそれを攻撃に活かそうと走る。
「祈くん!?」
「あいつ!何してんだよ!」
敵が回転をはじめる。それと同時に高く、敵より高く跳躍する。園子が僕のしようとしていることに気づく。
「そっか!台風の目!」
僕のすることそれは台風の目を利用する攻撃。周囲が強くても真上には風があまり吹いていない。でもそれは。
「でも竜巻な飛び込むようなものだから、相当危ないわけで……」
「だけど、もう祈は……」
僕は既に竜巻の中に入っている。中に入れば外からは何も見えない、だから神力が使える。剣に光が集まる。
「はぁぁぁぁぁっ!!」
僕は敵を切る。すると切った場所を中心に無数の光の斬撃が発生する。光は敵を切り刻む、だけど僕も竜巻の風で傷を負う。
「(長い時間この場にいたら僕の方が持たない……動きを止める!)」
剣を構え直し敵の方を向く。
「止まれぇぇぇぇ!!!!」
剣を敵の頭上に突き刺す。大きな斬撃音が鳴り敵の動きが止まった。
「みんな!今だ!!!」
~須美side~
「みんな!今だ!!!」
祈くんが叫ぶ。
「だけど!」
「僕のことはいいから!……っ!?」
祈くんの顔がゆがむ。それもそうだ風の影響で体中を切り裂かれている、そこから血が出ていてとても動けれる状態じゃない。
「須美!園子!行くぞ!!」
銀とそのっちが先に走り出して相手の間合いに入りこんだ。
「(しまった、タイミングが遅れた!)」
須美も一瞬遅れて、相手の間合いに入りこむ。
「この距離なら、吸い取れないはず……!」
須美は接射、銀とそのっちは敵にまとわりついて、回転を許すことなく、少女達はラッシュを続けた。
しばらくすると、敵は進路を変え橋を戻りはじめる。数分後に少女達に追い立てられるように橋から撤退していった。
「はぁ……はぁ……勝った、の?」
戦いが終わったと感じた少女達は大橋で横になった。
夏休みが終って宿泊研修も終わり創作時間が増えると思うので、これからは更新ペースを早くしていきます。これからも応援よろしくお願いします。
次回予告
「……天秤の頭に刺さったままなんだけど」
「合宿?僕も?」
「時間が無いぞ、急げ星崎祈」
「大丈夫だから、ね」
「好きな人の言い合いっこをしよう!」
第七話 合宿