星崎 祈は勇者になる   作:小鴉丸

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遅くなりましたが第六話です。



第六話 それぞれが心に秘める思い

〜祈side〜

 

 

「ふふっ、そのっちたら」

 

「何やってんの園子」

 

僕と須美はいまイネスのフードコートの椅子に座っている。銀と園子はいろんな場所を食べ歩いている。今園子たちはたこ焼きを食べている。

 

「ひ、ひのはん。あふい!あふいよ〜!(ミノさん。熱い!熱いよ〜!)」

 

「でも美味しいだろ?」

 

「うん〜」

 

あの二人を見ていたらなんだかお腹すいてきたな、僕もたこ焼き買いに行こっかな。

 

「須美もたこ焼き食べる?」

 

そう言って僕は席を立つ。

 

「あ、じゃあ私も……」

 

「須美の分も買ってくるよ、だから待ってて」

 

僕はたこ焼きが売ってある場所に行きたこ焼きを二つ頼む。

 

「いらっしゃい!何がいいか?」

 

「えと、たこ焼き二つお願いします」

 

「二つね、ちょっと待っとけよ」

 

男の人がたこ焼きを焼き始める。僕は他のメニューを見ていた。それと後ろを見ると銀と園子が須美と何かを話している、すると突然男の人が。

 

「お、そうだ坊や」

 

「何ですか?」

 

皿にたこ焼きを乗せながら言う。

 

「彼女は大切にしろよ?人生の先輩からのアドバイスだぜ。ほい!たこ焼き二つ上がり!」

 

「かっ、か!?」

 

何だろう最近そんなことばっかり周りから言われてる気が……

 

「ほら、早く行け王子。姫がお待ちだぜ?」

 

「たこ焼きありがとうございます。あと、須美は彼女ではなく友達ですから!」

 

そう言って僕は早足で席に戻る。最後に男の人が笑いながら

 

「ハッハッハ、青春だね〜少年」

 

 

 

 

〜須美side〜

 

 

「そのっち?なんでそんなことを聞くの?」

 

私は今とても困ってる。そのっちが突然変なことを聞いてきたのだ。その内容は……

 

「わっしーは祈くんのことをどう思ってるのかな〜って」

 

祈くんをどう思っているのか、だった。なぜか銀が少し慌てている。

 

「す、すす須美?どう思ってるんだ?」

 

「どう、って分からないわ。一緒にいると楽しいとは思うけど」

 

自分でどう思ってるのかが分からない。だけど少しだけ好意があるのは実感している。これはイネスに入る前の出来事だが。銀と祈くんが手を繋いでるのを見て。

 

「なんで!手を繋いでるの!」

 

「え、いやこれは祈が……」

 

なんてやりとりがあったのだ。嫉妬かな、まぁこれはとりあえず置いておいて。

 

今度は二人に聞き返してみる。

 

「逆に聞くわ。二人は祈くんをどう思ってるの?」

 

銀が先に答える。

 

 

 

 

〜銀side〜

 

 

「逆に聞くわ。二人は祈くんのことをどう思ってるの?」

 

須美が聞き返してきた。私はなぜかすぐに答えが出た。

 

「私は……少しだけど、祈を意識してるんだと思う」

 

「「え?」」

 

須美と園子がキョトンとしている。

 

「さっき手を繋いで感じたんだけど少しドキッとしたんだ」

 

「それって〜ミノさん、祈くんが好きなの〜?」

 

「ふぁ!?」

 

そこに祈がたこ焼きを二つ持ってくる。

 

「三人とも何してるの……」

 

 

 

 

〜園子side〜

 

 

祈くんがたこ焼きを持ってきて聞いてきた。

 

「今ね〜ミノさんが祈くんのことが好きって言ったんだよ〜」

 

祈くんは頭を抱えて。

 

「はぁ、またその話か……さっき男の人と話してたんだよ、須美と僕が恋人に見えるって。はい、たこ焼き」

 

「こ、恋人!?」

 

わっしーが顔を赤くする。ミノさんは

 

「園子!なんで言うんだよ!?」

 

「でも私は祈くんとミノさんはお似合いだと思うけどな〜」

 

冗談で言ったつもりだったんだけど。

 

「祈と私が……」

 

あ〜、また前みたいになっちゃった。

 

「あまり話をややこしくしないでよ……」

 

祈くんが疲れきったように言う。祈くんも前と同じようにミノさんに話しかける。

 

「銀、おーい」

 

ゆさゆさと体を動かす。なんでだろうミノさんが少し羨ましい、私も本当は祈くんを意識してる。

 

「でもなんでこうなったんだ?」

 

ミノさんを揺らしながら呟いた。

 

「祈くんの優しさ、そういうところだよ〜」

 

祈くんは少し困ったように返答した。

 

「え?ぼ、僕が悪いのか?」

 

 

 

 

〜祈side〜

 

 

なぜか今日は疲れることがいっぱいある。朝みんなが家に来て、未来の勇者、園子と出会い、こっちに帰ってきたらこんなことになる。もう何も起きないで欲しい。心から思っていた……………が。

 

「もう今日は疲れた……ん?」

 

突如起こった異変に四人は同時に気付いた。

 

「これ……時間止まってるよね〜?私の感覚がいきなり鋭くなったわけじゃないよね〜」

 

「ええ。それはないわね。敵よそのっち」

 

「おいでなすったァ!休日台無し!」

 

四国は、あっというまに樹海へと姿を変えていった。僕は未来での戦いもあって結構体が重い。

 

「はぁ……また戦うのか……」

 

園子が僕の独り言に気付いた。

 

「また?」

 

「ああ、大したことじゃないから気にしないで」

 

「(ま、園子と戦うよりは楽かな。バーテックスなんて)」

 

そんなことを思いながら僕は大橋へと向かった。

 

 

 

 

大橋につき真ん中で陣を取っていた。すると、ひとつの物体が姿を現した。

 

「何だあれ……天秤?」

 

「天秤が……空に浮いてるね〜」

 

20メートルはあるだろう敵が、ゆらゆらと前進してくる。

 

「全く、どういう生き物なんだか。ウィルスの中で生まれただけで、あんな形になるもんかね」

 

二丁斧を構え、銀が攻撃体制をとる。

 

「なるんじゃない?ウィルスだし」

 

剣を構えて僕が言う。

 

「訓練通りに動くわ。分かってるわね銀」

 

勇者は訓練を受けるらしい。それは突出するな、という須美からの警告だった。

 

「そうだった。つい敵を見ると突撃したくなる。須美よろしく。」

 

熱くなる銀の性格は、頼もしくもあり、危なっかしくもあった。その後に僕も言われた。

 

「銀と同じく、祈くんも気をつけてね?訓練してないから無茶はしないで」

 

「分かった。気をつけるよ」

 

 

 

「そもそもどこが顔なんだろう〜」

 

園子は敵のフォルムをじっくりと観察している。

 

「私が仕掛ける!」

 

遠距離攻撃のできる須美が攻撃をした。何本の矢を敵にめがけて放つ。しかし

 

天秤の分胴部分に吸い寄せられ、矢が刺さっても敵は全くの無事であった。

 

「!もう一度……射かける!!」

 

だがそれも先程と同じようになってしまう。それに須美は悔しがりぐっ、と唇を噛む。

 

「(何故だ、なぜ相手は攻撃してこない?)」

 

僕は警戒を解くことなく相手を見ていた。

 

「ミノさん、祈くん、あの敵、体と体がつながってる部分が、細くてもろいかも〜……!」

 

「接続部分を狙って攻撃ね、了解!」

 

敵の左右から呼吸をあわせて銀と園子が攻撃を仕掛ける。その瞬間、敵が動いた気がした。

 

「?待て!園子!銀!」

 

僕の声を発した、だが遅かった。天秤は分胴を振り回すように、大回転をはじめた。

 

「………くっ!?近づけない」

 

竜巻のような防御に銀と園子が弾き飛ばされる。回転を利用して先程吸い寄せた矢を、お返しとばかりに、僕と須美の方に射出していた。

 

「矢をそんな風に返すなんて!」

 

須美が素早く体をひねる。

 

「ちっ!」

 

僕は剣でそれを弾く。避ける方がいいのだかそれだと。

 

「樹海が……!私の矢で……!」

 

そう。樹海がダメージを受けると、樹海が戻った時に、街に何かしらの形で災が降りかかる。敵は、前進を続けてくる。

 

「このっ……不気味なんだよお前は!!」

 

銀が攻撃を仕掛けるが、やはり回転で弾かれる。それを見ていて。

 

「(竜巻……そうか!)」

 

僕はとある事を思い出してそれを攻撃に活かそうと走る。

 

「祈くん!?」

 

「あいつ!何してんだよ!」

 

敵が回転をはじめる。それと同時に高く、敵より高く跳躍する。園子が僕のしようとしていることに気づく。

 

「そっか!台風の目!」

 

僕のすることそれは台風の目を利用する攻撃。周囲が強くても真上には風があまり吹いていない。でもそれは。

 

「でも竜巻な飛び込むようなものだから、相当危ないわけで……」

 

「だけど、もう祈は……」

 

僕は既に竜巻の中に入っている。中に入れば外からは何も見えない、だから神力が使える。剣に光が集まる。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!」

 

僕は敵を切る。すると切った場所を中心に無数の光の斬撃が発生する。光は敵を切り刻む、だけど僕も竜巻の風で傷を負う。

 

「(長い時間この場にいたら僕の方が持たない……動きを止める!)」

 

剣を構え直し敵の方を向く。

 

「止まれぇぇぇぇ!!!!」

 

剣を敵の頭上に突き刺す。大きな斬撃音が鳴り敵の動きが止まった。

 

「みんな!今だ!!!」

 

 

 

 

~須美side~

 

 

「みんな!今だ!!!」

 

祈くんが叫ぶ。

 

「だけど!」

 

「僕のことはいいから!……っ!?」

 

祈くんの顔がゆがむ。それもそうだ風の影響で体中を切り裂かれている、そこから血が出ていてとても動けれる状態じゃない。

 

「須美!園子!行くぞ!!」

 

銀とそのっちが先に走り出して相手の間合いに入りこんだ。

 

「(しまった、タイミングが遅れた!)」

 

須美も一瞬遅れて、相手の間合いに入りこむ。

 

「この距離なら、吸い取れないはず……!」

 

須美は接射、銀とそのっちは敵にまとわりついて、回転を許すことなく、少女達はラッシュを続けた。

 

 

しばらくすると、敵は進路を変え橋を戻りはじめる。数分後に少女達に追い立てられるように橋から撤退していった。

 

「はぁ……はぁ……勝った、の?」

 

戦いが終わったと感じた少女達は大橋で横になった。




夏休みが終って宿泊研修も終わり創作時間が増えると思うので、これからは更新ペースを早くしていきます。これからも応援よろしくお願いします。

次回予告

「……天秤の頭に刺さったままなんだけど」

「合宿?僕も?」

「時間が無いぞ、急げ星崎祈」

「大丈夫だから、ね」

「好きな人の言い合いっこをしよう!」

第七話 合宿

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